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  2. 平成21年
  3. 第3回定例会 一般質問
  4. 小沢昌也(民主党)

温暖化対策に積極的に取り組め
下請取引適正化で中小企業支援

小沢昌也

環境対策

質問1
 地球温暖化対策について伺います。

 地球温暖化、気候変動は、集中豪雨や竜巻などの異常気象をもたらし、生態系に影響を与え、洪水、土砂災害、農作物への損害など大きな被害が生ずる原因となっており、私たちの生命、財産を危険にさらしています。

 しかしながら、国の対策は遅々として進んでおらず、石原知事もことし五月のソウルでのC40世界大都市気候変動サミットで、あるものに関しては、ポイント・オブ・ノーリターン、引き返すことのできない時点を通り過ぎていると思うと発言しており、温室効果ガス排出量の削減に向けて、より積極的な対応が求められています。

 都は、二〇二〇年までに二〇〇〇年比二五%の温室効果ガス排出量の削減を目指し、世界で最も環境負荷の少ない先進的な環境都市を実現するため、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを推進しています。 平成二十年度には条例を改正して、大規模事業所に対する総量削減義務と排出量取引制度を導入し、中小規模事業所に対しても地球温暖化対策報告書制度を創設するなど、まさに国に先駆けた取り組みを進めております。 持続可能な都市を構築し、地球温暖化に立ち向かっていくためには、こうした先駆的な取り組みを進めるとともに、都民一人一人の環境問題に対する意識の醸成に努める取り組みを積極的に推進していかなければならないと考えます。

 特にこれからの時代を担う若い世代は、初等教育から環境問題が社会科や理科などの授業科目で取り上げられ、危機意識は大人世代よりも向上しております。しかし、知識としての環境問題と実生活及び社会の中での環境課題を認識し、行動することがまだまだ結びついていないのが現実であると考えます。 将来世代の子どもたちが、環境問題の現状や課題、解決策について気づき、考え、行動する大人になることが必要です。すなわち、この地球規模の環境問題をこれからの人類の共通認識ととらえ、それぞれの社会的役割の中で行動できる人材の育成が求められていると考えます。 そのためには、知識だけでなく、感動、体験を重視し、子どもの自発性を引き出すような学習を実施する必要があります。 こうした認識に立ち、今後一層の環境学習の強化が必要と考えますが、知事の所見を伺います。

答弁1
知事
 地球温暖化対策についてでありますが、温暖化がもたらす危機の深刻さは極めて明確になっておりまして、これを防止するためには、とにかくまずCO2を大幅に削減する必要があります。

 こうした認識に立って、都は、世界初の都市型キャップ・アンド・トレードの導入など先駆的な施策に取り組んでおりますが、地球温暖化を克服していくためには、都民一人一人が省エネ、節電行動を実践することも重要であります。そのためには、環境について学び、考え、行動する契機となる環境学習の取り組みを推進していくことも必要であると思います。

 都は、環境学習の一環として、本年六月をCO2削滅アクション月間と位置づけ、これにより、都内の小学校五年生が家庭で一週間、省エネ行動に取り組みました。 今後とも、環境学習の強化を図るなど、都民、事業者を巻き込んだ施策を展開し、低炭素型社会の実現に取り組んでいきたいと思っております。

 しかし、この問題については、東京だけではなしに国家全体がその気になって動きませんと、しょせん東京だけでは蟷螂の斧にすぎないと思います。

 ことしあるいは昨年のG8サミットでは、環境問題はほとんど問題になりませんでした。専ら話題は、議題は経済のリセッションにかまけたと思いますけれども、その後、何人かの首脳に、周りが、環境問題について少しは合議が進展したかと聞かれて、ことしも去年も答えは半歩前進ということでありました。一昨々年のバリ島のあの会議を見ても、あの結果も半歩前進でありました。三年かかって一歩半では、これはとてもじゃないけれども、このあしき変化に、私は追いついていかないと思います。

 そういう危機感というものを私たちがもう少し強く持ち合うことで、この問題についてきめの細かい具体的な対処というものを重ねていかないと、下手をすると地球はもたないんじゃないかという懸念を私は非常に持っております。

質問2
 都は、都立高校において、省エネ型照明器具の設置や雨水利用を進めてきたことに加え、太陽光発電設備の導入や屋上緑化、壁面緑化などの施策を明確な数値目標とともに進めております。 これらの取り組みについてはさらに積極的に推進していただきたいと考えますが、都立高校における温暖化対策についての取り組み状況と今後の見解を伺います。

答弁2
教育長
 都立高校における温暖化対策の取り組み状況と今後の見解についてでございます。

 都教育委員会は、都立高校における温暖化対策として、改築や大規模改修時期に、太陽光発電設備、省エネ型空調設備、気密サッシ、複層ガラス、断熱塗料の導入、雨水の再利用などに計画的に取り組んでまいりました。既存校舎に対しましても、省エネ型器具や設備の導入のほか、ヒートアイランド対策の一環として、校庭の芝生化、屋上緑化、壁面緑化などを計画的に進めており、太陽光発電設備は、今年度末までに二十一校に設置の予定でございます。

 今後とも、都立高校の省エネ化や自然エネルギーの積極的な活用を通じて環境負荷の低減を図りますとともに、生徒の環境への関心や意識を高めてまいります。

質問3
 生徒たちにとって、一日の大半の時間を生活する高等学校において、環境対策の施設や制度が充実されつつある都立高校は、環境教育において実践的な学びの場となると考えます。

 例えば、既に行われている各校の環境教育実績、成果をウエブサイトなどで情報提供したり、環境への実践的な取り組みを表彰するコンテストの実施、また、推進校制度でこれから活動を始めようとする高校に対する側面支援を行うことなど、現在行われているハード面の施策とソフト面の施策を有機的に結びつける取り組みが重要であると考えます。

 そこで、都立高校におけるさまざまな環境施策の意義と効果を積極的に生徒たちが学ぶことができる環境教育や、さらに、高校生が社会人になったときに必要とされるべき意識を芽生えさせるよう、一歩踏み込んで、生徒たちが行う環境活動への支援を推進すべきと考えますが、所見を伺います。

答弁3
教育長
 都立高校における環境教育についてでございます。

 各学校では、教科や総合的な学習の時間の中で環境保全や地球温暖化等について指導し、環境を大切にする態度の育成を図っております。

 こうした教科等での学習に加えまして、現在、多くの都立高校では、節電や節水、ごみの減量等の活動に取り組んでおります。また、太陽光発電を取り入れている学校においては、発電量を校内に表示することによりまして、クリーンエネルギーの使用に関する生徒の関心を高めております。

 さらに、関係機関に呼びかけまして、高校生環境サミットを実施したり、ISO一四〇〇一やエコアクション21の認証を受けたりするなど、CO2削減に関する実践的な取り組みを進めている学校もございまして、都教育委員会では、こうした取り組みをフォーラムで紹介したり、表彰するなどしてまいりました。

 都教育委員会は、今後もこうしたすぐれた取り組みの普及啓発に努めるなどして、都立高校における環境教育を推進してまいります。

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薬物依存対策

質問1
 薬物依存対策について伺います。

 昨日の代表質問でも都議会民主党は、薬物乱用防止対策について質問させていただきました。芸能人などによる薬物乱用のニュースが毎日のように報道され、社会的にも薬物問題に関心が高まっている現在こそ、都は、さらなる薬物乱用防止に向けた対策を進めていくべきだと考えます。

 薬物乱用防止対策については、啓蒙活動への拡大と充実、指導取り締まりの強化、薬物問題を抱える人への支援という三つの対策がありますが、私は、薬物依存者の治療、社会復帰の支援について伺いたいと思います。

 薬物依存症は、依存者本人の身体的、精神的健康の阻害だけにとどまらず、家族や周囲の方々の人生をも破壊しかねません。さらに、幻覚、妄想等による凶悪な犯罪や重大な交通事故など、社会に与える甚大な被害ははかり知れません。

 薬物乱用は低年齢化の傾向にあり、比較的手に入りやすいといわれている大麻に至っては初犯者が八五・五%を占めており、二十歳代の若年層が六割以上となっています。薬物乱用のない社会を実現するためには、薬物乱用防止への啓発と教育、取り締まりの強化とともに、薬物依存者の治療や社会復帰に積極的な支援を行う必要があると考えております。

 薬物依存者の治療、社会復帰を実現するためには、早期の相談、早期の治療が重要です。薬物依存症になると、使用をやめようと思っても自分でコントロールすることが困難になり、回復には長い時間が必要とされています。薬物依存者の薬物乱用を防ぐためには、問題解決の第一歩として、早期に専門家に相談すること、さらに、医療とあわせて、薬物に頼らない生活を身につけるリハビリテーションなどが重要と考えます。

 薬物乱用が発生してから、本人や家族などが相談機関へアクセスするまで、数年を要しているのが実情です。薬物の乱用が悪化している中、早期に相談につながり適切な支援を受ける体制を構築することが重要であると考えます。

 薬物依存者は、本人が否認する場合が多いと思われ、家族や周囲の人々が早期に相談機関につながることができるよう、効果的な啓発を行っていかなければなりません。

 そこで、再乱用防止に向けたより一層の周知を推進すべきであると考えます。今後の取り組みについて見解を伺います。

答弁1
福祉保健局長
 薬物依存症の相談についてでありますが、都では、薬物依存症に関する専門相談を精神保健福祉センターや保健所等で実施をするとともに、相談業務に携わる関係機関職員の人材育成を行ってまいりました。

 しかし、薬物依存症については、本人や家族が薬物問題を正しく認識できていないことなどから、相談機関につながりにくいといわれております。 このため、都では、薬物乱用の危険性や早期相談の重要性、相談窓口等について、薬物乱用防止のイベント等の機会を通じ周知に努めてまいりました。 今後も、精神保健福祉センターを中心に、引き続き人材の育成を行うとともに、区市町村とも連携しながら、薬物依存症者の社会復帰を支援してまいります。

質問2
 医療としての薬物依存対策としては、都立松沢病院が、平成二十三年度末開設予定の新病棟の開設にあわせて、精神科特殊医療の一つとして薬物依存症の専門医療の充実を図るとしています。体内から有害薬物を取り除き、幻覚や妄想などの精神病症状の改善をすることが医療本来の役割ではありますが、医療とリハビリテーションプログラムの相互連携は重要であると考えます。 そこで、松沢病院では現在どのような取り組みを行い、今後どのように取り組んでいくのか伺います。

答弁2
病院経営本部長
 都立松沢病院における薬物依存症の専門医療についてお答えいたします。

 薬物依存症の急性期においては、精神症状を安定させる治療薬の投与などの精神科治療と同時に、薬物解毒を行う身体的治療を行っております。

 また、回復期に入りますと、薬物依存を克服するためのグループ療法や作業療法に加え、社会復帰を支援する民間の自助グループ活動や家族会への参加プログラムなどを行っております。

 今後は、平成二十三年度末に完成予定の新病棟の開設にあわせて、新たに外来部門において薬物デイケアを実施するなど、薬物依存症に対する専門的医療の一層の充実を図ってまいります。

質問3
 都内に三カ所ある精神保健福祉センターの一つである多摩総合精神保健福祉センターは、平成十九年より、薬物依存者を対象とした認知行動治療のプログラムを試行実施しています。新聞報道によると、平成十九年度に延べ百人だった参加者が、翌二十年度には延べ四百九十三人に急増していると伝えられています。 薬物依存症の回復においては、実際の生活環境の中でいかに断薬を継続していくかが大きな要因となることから、地域生活に身を置きながら回復していくことも重要です。海外では、認知行動治療は再発防止などにおいて一定の成果を得られていると聞いており、こうした取り組みは積極的に支援し、拡充していくべきだと考えます。今後の取り組みについて見解を伺います。

答弁3
福祉保健局長
 薬物依存症者を対象とした回復プログラムについてでありますが、多摩総合精神保健福祉センターにおきましては、平成十九年度から、在宅で薬物依存症からの回復を目指す方を対象とした回復プログラムを試行的に実施しております。

 今後の事業の充実につきましては、プログラムの内容や効果を十分に評価、検証した上で検討してまいります。

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中小企業支援対策

質問1
 中小企業対策について伺います。

 一年前のリーマンショックに端を発した世界的な金融危機は、日本国内の実体経済に深刻な影響を与え、多くの中小企業が非常に厳しい状況に置かれております。都内の中小企業の倒産件数は二十一年一月から八カ月間で二千件を超え、増加の一途をたどっています。倒産に至らないまでも、受注量の急激な減少や資金繰りの悪化など、多くの中小企業が苦しんでいるのが現状です。

 東京都の経済を活性化するためには、都の事業所数の九九%を占める中小企業の経営回復が必須であります。そのためにも、中小企業の経営基盤を強化し、新たなビジネスチャンスに向けた支援を積極的に推進していくことが重要であると考えます。

 都は、下請取引の適正化を図るべく、昨年度、財団法人東京都中小企業振興公社に下請取引紛争解決センターを設置するとともに、国内の自治体関係機関としては初めて、法務大臣のADR認証を取得し、解決困難な紛争についても、弁護士などの専門家の意見、助言を受け、公正かつ迅速な対応に努めていると聞いています。下請企業からの苦情紛争相談件数は、十九年度八十件に対し、昨年度は四百六十四件とおよそ六倍に増加し、不当な取引に苦しむ中小企業の救済に一定の効果を上げています。

 しかし、物価の下落や親企業の業績悪化により、代金の支払い遅延、不払い、不当な値引きや取引契約など下請いじめが増加しており、まだまだ適正化に向けた取り組みが十分であるとはいえません。 不況下の今こそ、親企業と下請企業の双方が、相互理解と信頼のもとに、より一層の協力関係を構築し、ともに発展していくことが重要であると考えます。産業全体の底上げを図るためには、下請企業の適正化をさらに推進していかなければなりません。 ADRが苦情紛争の問題解決に実績を上げていくことで、中小企業への不当な取引に対する抑制が働き、下請企業の適正取引が推進されます。さらなる企業へのPR活動の展開や相談の積み重ねによる対策の強化を進めていかなければならないと考えます。 そこで、こうした取り組みについて周知を図るとともに、取引そのものの適正化をより一層推進することが必要と考えますが、見解を伺います。

答弁1
産業労働局長
 下請取引適正化の推進についてでありますが、現下の厳しい経済状況のもと、中小零細企業にとりまして下請取引の適正化は切実な課題でございます。

 このため、都は、下請法講習会や業界団体との情報連絡会、下請センター東京の取引適正化相談員の企業巡回などによりまして、下請法やADRの周知を図り、下請取引の適正化を推進しております。

 また、本年六月には、親企業団体で構成される協議会及び下請企業団体で構成される協議会の合同会議を開催いたしまして、都及び両協議会の連名で、下請取引の適正化に向けた共同宣言を行い、親企業と下請企業が協力関係を一層進め、下請取引の改善に努めていくことといたしました。

 今後とも、下請法やADRの普及に取り組み、下請取引の適正化を推進してまいります。

質問2
 こうした不況下にある今こそ、新たなビジネスの創出を目指す中小企業に対して積極的な支援を行っていくべきだと考えます。 東京は、少子高齢化、環境問題、安全・安心の確保など、日本を象徴する社会的課題が顕著にあらわれています。こうした課題を解決するためには、都内各地に存在する企業や人材の技術やノウハウを最大限活用して、社会的な課題を解決する新しいビジネスを創造することが重要です。また、各地域の観光資源や特産物を活用した、それぞれの地域ならではのビジネスの振興は、地域の魅力向上に不可欠であります。

 都は、地域のニーズや特性に応じた新たなビジネスを数多く生み出していくための中心的な施策として、東京都地域中小企業応援ファンドを昨年度から開始し、地域中小企業、NPO、住民など多種多様な主体が行う地域の課題解決や魅力向上を図る取り組みを支援しています。この東京都地域中小企業応援ファンドが、産業の振興と都民生活の向上を両立させ、雇用の創出にもつながる事業として発展していくことを期待します。

 しかし、この施策の効果を高めるためには、地域に存在する新たなビジネスの芽を継続的に掘り起こして支援していくことが必要であると考えます。東京都地域中小企業応援ファンドの今年度の実績と今後の取り組みについて伺います。

答弁2
産業労働局長
 東京都中小企業応援ファンドについてでございます。

 都は昨年度から、地域資源を活用した新たなビジネスを立ち上げまして、地域の魅力向上や課題解決に取り組む中小企業などを、このファンドによりまして支援しております。

 今年度上半期には、こうした中小企業等の提案を受け、地域の高齢者の裁縫技術を活用し、古着や端ぎれ等を再利用したファッション性あふれるアクセサリーを開発する事業など二十事業を選定し、助成を行うことといたしました。また、経験豊富な企業OB等を地域応援ナビゲータとして配置し、事業の進捗状況に応じたきめ細かなアドバイスを行っております。

 今後は、初年度に選定したプランが事業化を迎えることから、販路開拓までを一貫して支援することにより、事業の成功に結びつけてまいります。

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都立横網町公園

質問1
 都立横網町公園についてお伺いします。

 関東大震災から八十六年、東京大空襲から六十四年が経過しようとしており、当時の凄惨な被災体験を生の声としてリアルに伺う機会も減少してきております。震災や戦争の残す傷跡の大きさを多くの方々が再認識することで、その悲惨な史実を風化させることなく、平和の大切さと、地震を初めとする自然災害に対する備えの重要性の認識が促進されていくものと考えます。

 私は以前、-般質問において、都立横網町公園により多くの方々が訪れやすいよう、復興記念館の展示や案内方法に工夫を加え、広報を充実すべきとの指摘をさせていただきましたが、現況と今後の取り組みについてお伺いし、私の質問を終わります。

答弁1
東京都技監
 都立横網町公園の復興記念館についてのご質問にお答えいたします。

 復興記念館では、関東大震災や東京大空襲の惨事を後世に伝えるため、写真や絵画、遺品などの資料を展示しております。これまでも、多くの保管資料を限られたスペースの中でわかりやすく展示することや、震災、戦災に関する映像資料の閲覧コーナーの設置、レイアウトの見直しによる展示スペースの拡大など、展示の改善を進めてまいりました。また、ボランティアによる東京大空襲の体験の紹介や、近隣の文化施設との連携によるPRにも取り組んできたところでございます。

 今後とも、多くの方に訪れていただけるよう、さらに展示を工夫するとともに、ホームページやパンフレットの内容を見直すなど、広報活動の充実にも努めてまいります。

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