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  3. 第3回定例会 一般質問
  4. 山内れい子(ネット・み)

障害者の不安を払拭する
新型インフルエンザへの対応を

山内れい子

これからの道路づくり

質問1
 私はこれまで、国立市で、歩行者、自転車のための道、まちづくりにかかわる市民活動をしてまいりました。それらの活動を通して、市民が計画から実施まで各段階で主体的に参画することは、まだまだ少ないと感じております。

 そこで、特に、これからの道路つくりにおける市民参加のあり方について伺います。

 とかく賛否両論がある道路建設では、住民説明会は開かれても合意形成に至るまでは難しいことが多いようです。しかし、十分な市民参加でつくられた道路には、市民の愛着もわくのではないでしょうか。

 例えば、調布保谷線では、調布地区において市民参加で環境施設帯整備が行われ、すばらしい歩行者、自転車環境が整い、これから三鷹地区の整備に着手するとのことです。私も実際に歩いてみて、地域の方々と東京都が一体になって道をつくり、守り、育てていくまちづくりの姿勢を感じました。住民参加で環境に配慮した道路整備の事例として、各地から視察が相次いでいるとも聞いております。ここをモデルとした道づくりが広がっていくことを望みます。

 そこで、東京都の道づくりの試みとして高く評価できる調布保谷線における、これまでの市民参加の取り組みと今後の進め方について伺います。

答弁1
東京都技監
 調布保谷線における市民参加の取り組みと今後の進め方についてのご質問にお答えいたします。

 調布保谷線は、多摩地域の活性化のみならず、神奈川県、埼玉県両県と広域的な連携を強化する南北方向の骨格幹線道路であります。加えて、幹線道路ネットワークを形成することによりまして、交通の円滑化を図り、CO2の削減など広い範囲での環境改善に大きく寄与するものでございます。

 川崎街道から埼玉県境に至る延長十四・二キロメートルのうち七キロメートルが完成または概成しておりまして、現在残る七・二キロメートルで事業中でございます。沿道地域の環境に配慮するため、四車線の車道の両側に十メートルの広幅員の環境施設帯を設け、幅員三十六メートルの道路整備を進めております。

 本年三月に交通開放いたしました調布区間の環境施設帯につきましては、都と地元市、市民から構成されます協議会を設置して、沿道利用のための副道の有無、ゆとりある歩道や自転車走行空間、緑豊かな植樹帯の配置などを検討し、整備してまいりました。

 今後、本格的な整備に着手いたします三鷹─武蔵野区間におきましても、環境施設帯の形態につきまして、住民等との協議会を設置し、検討する予定であります。

 引き続き財源の確保に努め、地元の理解と協力を得ながら、調布保谷線の早期完成を目指し、着実に整備を進めてまいります。

質問2
 自転車利用の促進について伺います。

 ヨーロッパの諸都市では、自転車利用促進の仕組みが広がっています。パリでは、自動車削減計画と公共交通機関の整備の両面から進め、道路についても現行の規制を強化し、路上駐車スペースの削減、自転車道の整備などを進めた結果、自転車道は一九九五年には八キロしかなかったのが、二〇〇八年には三百七十キロメートルにまで延長されました。こうした取り組みの結果、温室効果ガスの削減など大きな成果を上げているとのことです。

 環境省も温暖化対策として自転車利用に着目しており、札幌市と千代田区丸の内で、レンタサイクルの社会実験を始めるそうです。東京のまち中で自転車利用促進をさらに具体化していくことは環境面からも効果のあることと考えますが、環境局の取り組みについて伺います。

答弁2
環境局長
 自転車利用の促進についてお答えいたします。

 地球温暖化対策を進めていくためには、自動車に過度に依存しない交通行動への転換を推進することが必要であります。こうした観点から、都は、環境に優しく、身近で便利な交通手段である自転車の利用を促進しております。

 今後とも、自転車走行空間の整備、交通ルールの遵守などの取り組みとあわせ、地域特性に応じて区市町村等とも連携しながら、先進的な自転車利用の取り組み事例の周知や都民への幅広い普及啓発などを展開してまいります。

質問3
 これまで道路は、自動車交通需要に対応することを重点として整備が進められてきました。その一方で、世界に類を見ないほど公共交通網が整備された東京では、車への依存を減らし、環境負荷を軽減させていくことが可能ではないかと思います。また、身近な生活道路では、人や自転車が安全に通行できる道づくりが必要です。

 知事は、雑誌の対談で東京の魅力を語り、若い人の間でも車を持つことがステータスシンボルではなくなっている、自転車利用についても、かつて霞が関周辺で車のかわりに自転車を使おうとしたと述べています。

 時代を先取りし、先見的な取り組みを行った知事の感性に敬意を表した上で、改めて環境の世紀における道路のあり方について、知事の所見を伺います。

答弁3
知事
 環境の世紀における道路のあり方についてでありますが、首都東京の骨格を形成する幹線道路の整備は、交通の流れを円滑化し、自動車から排出されるCO2の削減に大きく寄与するなど、低炭素型の都市づくりの推進に極めて重要な役割を担っていると思います。

 このため、就任以来一貫して三環状道路の必要性を訴え、国を動かし、その実現に取り組んでまいりました。外環の都内区間が整備されますと、CO2は年間三十万トン、例の浮遊粒子状物質──すすですね、SPMは、ペットボトル約二十万本分が削減されるなど大きな効果があるはずであります。

 幹線道路の整備により、環境負荷の低減はもとより、ゆとりのある都市空間を創出し、街路樹などの豊かな緑や快適な歩行者、自転車のための空間など、多様な機能を都市の中に発現させていきたいと思っております。

 環境の世紀にあって、幹線道路のネットワークとあわせて質の高い都市環境の形成を図り、世界の範となる環境先進都市東京の姿を国の内外に発信していきたいと思っております。

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新型インフルエンザ対策

質問1
 新型インフルエンザについては、今後、秋冬に向けて、季節性のインフルエンザを大きく上回る感染者が発生することが予想されます。感染拡大を防ぐ意味で、都民への感染予防の周知を行う必要があります。

 既に、学校における予防策については、新学期スタートに合わせ児童生徒など関係者への予防策が進められていますが、高齢者や障害者などの小規模事業所を含む福祉施設への対応も求められています。どのように感染予防の周知徹底を図るのか、伺います。

 また、在宅サービスを提供する事業所は小規模なところが多く、新型インフルエンザへの対応についても不安に感じているところが少なくありません。今後の対応を要望しておきます。

答弁1
福祉保健局長
 新型インフルエンザに関し、社会福祉施設等における感染予防の周知徹底についてであります。 都はこれまでも、直接あるいは区市町村を通じて、感染予防などに関する情報提供を行ってまいりました。本格的流行期を前に、感染予防に加え、施設において発症者が出た場合の感染拡大防止策などを徹底するため、八月から社会福祉施設等に対する説明会を十六回実施し、約三千五百人の方の参加を得ております。

 今後とも、「広報東京都」や月刊「福祉保健」などの広報誌や新たに作成するDVD等も活用しながら、きめ細かな情報提供を行い、周知徹底に努めてまいります。

質問2
 都民への情報提供という意味では、一般的な予防方法や医療機関の受診の仕方について周知が行われています。また最近は、重症患者の発生や、ワクチンの国における対応など、刻々と情報が伝えられています。こうした情報について、情報弱者と呼ばれる障害者の人たちに対しても、きめ細かく配慮した情報提供は必要だと考えます。

 また、医療機関での対応がスムーズにできないために不安を抱えている人たちもいます。

 特に聴覚障害のある方からは、医療機関での受診の際に医師や看護師に症状を伝えられるのか、医師の指示を理解できるのかといった心配の声が聞かれます。不安を払拭するような対応が必要と思いますが、あわせて都の所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 障害者の方々への対応についてでありますが、新型インフルエンザの一般的な予防対策や受診方法を示したパンフレットについて、視覚障害者用音声コードを付したものや、知的障害者用にルビを振ったものを関係障害者団体などに配布しております。聴覚障害者につきましては、保健医療情報センターで実施しているファクス相談を関係団体に周知するとともに、区市町村に対し、医療機関受診時に手話通訳や要約筆記者の派遣制度を円滑に利用できるよう働きかけております。

 今後とも、関係障害者団体や区市町村等と連携し、引き続き適切に対応してまいります。

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消費者行政

質問1
 消費者問題について伺います。

 多くの食品を海外に依存している日本では消費者は、いつ、どこで、だれが、何を、どうつくったかを確かめてから食品を選びたいと考えています。ところが、現在の食品表示は、それに十分こたえる制度にはなっていません。消費者の知る権利、選択できる権利を保障するために、食品表示は基本的な情報です。国において、二〇〇六年に原産地表示を義務化する品目が拡大しましたが、あらゆる加工食品にも原料原産地表示を義務づけてほしいという要望が多く寄せられています。

 歩みの遅い国に対して、東京都では、ことしの六月より調理冷凍食品の原料原産地表示が実施されています。調理済み冷凍食品という限られた食品が対象ですが、最大の消費地である東京都が取り組む意味は大きく、評価するものです。現在の調理冷凍食品の原料原産地の表示の実施状況をお聞かせください。

答弁1
福祉保健局長
 調理冷凍食品の原料原産地表示についてでありますが、都は制度の円滑な導入に向け、事業者説明会の開催やパンフレットの配布など周知に努めてまいりました。本制度は六月から本格実施されたところであり、今月中に包装への表示や事業者のホームページなどによる情報提供の実施状況について調査を行う予定であります。

 なお、六月に行いました調査では、この時期は本格実施以前に製造された製品が数多く流通する時期でありましたが、既に七割を超えた商品について制度の趣旨に沿った情報提供がなされておりまして、都の制度は着実に普及しつつあることを確認しているところであります。

質問2
 東京都の消費生活センターに寄せられた相談のうち、契約、解約に関するものは全体の七割以上、私の地元の国分寺市の消費者相談でも五百七十件中三百七十四件と群を抜いて多くなっています。

 二〇〇七年の国の認定を受けた適格消費者団体が個人にかわって訴訟ができる消費者団体訴訟制度が創設されました。年々悪質商法の手口が巧妙になり、被害の拡大防止と差しとめ請求を行う適格消費者団体の役割はますます重要になってきます。しかし、弁護士や司法書士、消費生活アドバイザーなど、高い専門知識と経験を必要とする活動でありながら、極めてボランタリーな活動に頼っているのが現状です。

 国では、ようやく消費者庁設置法案等の附帯決議において、適格消費者団体等に対する支援のあり方について検討を行うことが盛り込まれました。

 都内には二つの適格消費者団体があると聞いています。都としても、これらの団体に対して、積極的な支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 適格消費者団体への支援についてでございますが、都は、消費者団体訴訟制度が効果的に機能するよう、都内の二つの適格消費者団体と市区町村代表等から成る連絡会を設置し、消費者被害の実態等について定期的に意見交換を行うとともに、適格消費者団体と覚書を締結いたしまして、差しとめ請求権を行使するに当たり必要となります都及び市区町村の消費生活相談情報につきまして、適切に提供しているところでございます。

 さらに、国に対しても、適格消費者団体が活動しやすい環境整備に努めるよう提案要求を行ってきております。

 今後とも、適格消費者団体が期待される役割を十分果たすことができるよう支援してまいります。

質問3
 昨年、東京都消費生活基本計画を十一年ぶりに改定し、庁内の関係各局から成る横断的な組織をつくり、幅広い施策に取り組んでいます。消費生活対策審議会は都民にどれだけ役に立ったかという視点から、事業実績の確認、評価をするとしており、大いに期待するものです。

 深刻な消費者問題に対応するためには、一人一人の都民が賢い消費者として力をつけていくことが何よりも重要です。消費者被害を未然に防止していくには、高齢者や若者など悪質商法にねらわれやすい消費者に対する的確な情報提供が重要と考えますが、所見を伺い、質問を終わります。

答弁3
生活文化スポーツ局長
 消費者に対する的確な情報提供についてでございますが、悪質商法の被害を防止するためには、効果的な取り締まりとともに、都民一人一人に悪質商法に関する情報を十分に提供していくことが重要であるという認識をしております。

 このため都は、悪質事業者の処分を行った場合には、その手口や事業者名を公表し、注意喚起を行うとともに、さまざまな消費者問題について、都のホームページや消費生活に関する総合情報誌、「東京くらしねっと」などの広報媒体を活用して、情報を提供しているところでございます。特に被害に遭いやすい高齢者や若者向けには、通常の消費生活相談に加えまして、被害防止キャンペーンや特別相談を実施するなど特段の対策を講じております。

 今後とも、消費者被害の防止に向けて、効果的な情報発信に努めてまいります。

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