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  2. 平成21年
  3. 第3回定例会 代表質問
  4. 長橋桂一(公明党)

中小企業支援、雇用対策を
出産、子育ての環境整備を

長橋桂一

日本の危機に立ち向かう決意

質問1
 十八期最初の定例議会に当たり、都議会公明党を代表して質問をいたします。

 公明党は、さきの都議会議員選挙において、都民の皆様の信任をいただき、全員当選を果たすことができました。ご支援をいただいた都民の皆様に心から感謝を申し上げる次第です。今や待ったなしの少子高齢社会対策、経済危機突破への方策、安心の医療・介護体制の構築、さらには更新期を迎えた都市インフラの整備など、公明党は現場の声をどこよりも聞き、新たな決意で臨み、東京の将来展望を築いてまいります。

 知事は、所信表明の中で、イギリスの都市専門誌の調査結果を引用し、東京が世界の住みやすい都市ランキングで実質的に世界一位であることを紹介されました。東京都の先進的な都市づくりの評価であり、まさに知事のいわれる都民の英知と力の結集の成果であります。

 一方、スイスの国際経営開発研究所IMDが最近発表いたしました世界競争力年鑑によりますと、日本の相対的評価はかつて一位であったのが、五十七位中十七位と低迷しております。

 もちろん、先ほどの住みやすい都市との指標の違いはあるものの、この評価は、日本及び日本人のポテンシャルを十分に発揮できていない状況を浮き彫りにしていると思えてなりません。いま一度、日本のポテンシャルを引き出すためにも、道州制などの本格的な地方分権のあり方を追求するとともに、現場を持つ首都東京が重要課題に対する大胆な解決策を示し、あわせて東京の将来ビジョンを改めて力強く提示することが重要であると考えます。首都東京の知事として日本の危機に立ち向かう決意をまず伺いたいと思います。

答弁1
知事
 東京の知事として、日本の危機に立ち向かう決意についてでございますが、ご指摘の国際的な競争力のランキングで、日本は九〇年代初頭には首位でしたが、今や大きく低迷しているところでございます。耐用年数を過ぎた社会経済システムの抜本的な再構築を怠り続けたツケがたまっているということでありましょう。

 この日本の政治を実質的に支配している中央官僚が、みずからの美徳をコンティニュティー、コンシステンシー、つまり、継続性と一貫性ということを自称しているならば、これはこの変化の激しい時代に、変化に対応できるわけがございません。

 また、本来はそういう官僚を使うべきこの国の政治家の多くは、国力を伸ばすことへの認識も戦略も欠いてきたという気がいたします。例えば、世界に先駆けて東大の坂村健教授が開発したコンピューターの基本ソフト「TRON」を、アメリカの圧力に負けて世界に頒布することを控えた、そういった事例もあります。

 東京では、環状道路建設を長期間凍結しちゃったために、今日、膨大な国家的経済ロスが生じているわけでありまして、こういう状況の中で、東京都の、日本の心臓部であり、頭脳部であります首都の知事として、東京からこの国を再生すべく、皆さんと一緒に幾つかの試みを続けてまいりました。

 東京と日本の競争力を目覚ましく向上させるための三環状道路の整備や、これは凍結解除しましたが、羽田空港の再拡張、国際化を、国を何とか動かして前進をさせたと思います。

 また、日本の力の源泉であります小零細企業を支えて、ベンチャー技術の開発のための施策も幾つか講じてまいりました。

 都民が安心して、みずからの力を発揮できるように、福祉や医療の充実、治安の確保にも取り組むなど、ハード、ソフトの両面から、企業と一緒に策を講じて施策を続けてまいりました。

 今後も、地球環境問題や少子化など、我々が直面する喫緊の困難な課題に対して、迅速に、かつ果敢に対処して、国をも先導していきたいと思っております。

 しかし、特に集中、集積の進んだ東京には、世間の知らない可能性が充満しておりまして、私たちは、競争力のランキングとして、必ずしも非常に低下したという感じは、私はいたしません。何をもってそういうランクを決めたかわかりませんが、少なくとも日本より上位にある香港やシンガポールに比べて、日本が、特に文明を動かしていく技術という面で劣っているとはとても思えません。

 むしろシンガポールのような国は、世界一のコンテナ扱い量を誇っておりますけど、私も案じて視察に参りましたが、シンガポールの港を動かしているソフトもハードも全部日本製でありまして、それが何で日本で活用されないか。これは日本におけるシステムやいろんな問題があると思いますけど、まして、軍事がすべてとは申しませんが、クリントン政権の最後の年に、夏に、アメリカのある調査団がやってきました。これは、デュアルユース・テクノロジー、つまり、日本では民間で使っているけど、軍事に転用すれば非常に効果のある技術というものが日本にはたくさんあるということでやってきて、彼らは瞠目して帰ったんですが、その最初のきっかけは、何とその年の一月に発表されたソニーのプレイステーション2という、今、3になっていますけど、子どものゲーム機器でありまして、これに搭載されているマイクロチップは、アメリカの宇宙船に搭載されている、彼らにとって最高度のマイクロチップの四倍の能力を持っております。

 ご存じでしょうけど、アメリカの軍用機あるいは高機能旅客機の操縦席は全部日本製でありますし、こういったものを彼らは自国で生産できないかという研究に来ましたが、結局、時間もお金も倍かかるということで、日本の供給にこれから仰ぐということを続けて、帰ったわけですが、私は、そういった日本の技術というものを、もう少し日本の政治家がしっかりして、外交の面でも誇示する。つまり、それを踏まえて、世界にもう少しはっきり物をいうというようなことをしたらいいんじゃないかと思うんですが、日本人は何か自分の説明が非常に下手といいましょうか、それをしないことが美徳のように感じている節がありますけれども、私はこれはやっぱり非常にもったいないことだと思います。間違っていると思います。

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予算編成における事務事業のあり方検証

質問1
 平成二十二年度予算編成について質問します。

 去る七月三十日に通知された平成二十二年度予算の見積もりに関する依命通達では、新たな公会計制度を活用して事務事業評価の取り組みを推し進め、従来にも増して事後検証の強化を行っていくこととしております。

 我が党はかねてより、限られた財源の中で必要な事業を持続していくためには、むだをなくし都民のために最大限の効果が発揮できるよう、施策の実効性を高めていくことが不可欠であり、そのために事務事業評価や新たな公会計制度の活用が最も重要であると主張してきました。

 平成二十二年度予算編成に当たって、都財政を取り巻く環境が当面好転することが期待できない状況にあります。今後、難しいかじ取りが強いられることになりますが、こうしたときであるからこそ、全国に先駆けて導入された公会計制度を活用しつつ、サービスを受ける都民の視点から事務事業のあり方をしっかりと検証し、一層都民に役立てるよう改善していくことが重要であります。見解を求めます。

答弁1
財務局長
 東京都は、事務事業評価制度を、事業のむだをなくし、より効果的な施策として構築する上での重要な手法として位置づけておりまして、お話しの新たな公会計手法を活用したコスト・ストック分析を取り入れるなどにより、この仕組みを充実させるように取り組んできております。

 今日、都財政をめぐる環境は非常に厳しく、また、当面、大きな好転を期待できない状況にございますので、こういうときにこそ限られた財源を最大限効果的にむだなく生かしていくために、ご指摘をいただいた一つ一つの施策の有効性や実効性を検証し、より一層都民に役立つ施策に練り上げていくということが、従来にも増して重要になっております。

 こうした観点から、来年度予算編成では、新たに事務事業評価を編成の柱の一つに位置づけまして、このために新たな公会計手法の活用例のノウハウを庁内で共有するなど、各局の自主的な事務事業評価への取り組みを支援する方策を積極的に講じております。これにより、事業目標の達成度や費用対効果の分析をより徹底をしていこうということをしてございます。

 来年度予算の編成に当たりましては、こうした取り組みによりまして、事務事業の検証を一層強化いたしまして、厳しい財政環境にあって本当に都民に役立つ施策を構築できるように、各局と連携しながら全力で取り組んでまいります。

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中小企業支援

質問1
 未曾有の経済危機の中で、中小企業の経営は依然として厳しい状況にあります。中小企業の経営を支えるためには、さまざまな取り組みが強く求められています。税制の面からの支援もその一つであります。

 国は二十一年度税制改正で、法人税に関して中小企業の欠損金の繰り戻し還付を復活させました。これは、前年度が黒字でありながら、今年度が赤字に陥った企業に対し、前年度に納税した法人税を還付するというもので、赤字に陥った中小企業の資金繰りを税制の面から支える仕組みであります。

 地方税についても、前年度に黒字だった中小企業が次の年に赤字になった場合、法人税と同じような仕組みがあってしかるべきと考えます。赤字に陥った中小企業の資金繰りを支援するため、法人事業税や都民税にも損失の繰り戻し還付制度を創設すべきと考えますが、都の見解を求めます。

答弁1
主税局長
 お話しのように、国は中小企業支援の観点から、法人税において欠損金の繰り戻し還付制度を復活させております。

 これを地方税である法人事業税、法人住民税にも適用することにつきましては、地方税法の改正が必要でございますが、都といたしましては、多額の還付金等の発生により、地方団体の財政運営に支障を来すなどの課題もあると認識しております。

 今後、中小企業への税制上の支援につきましては、都税収入や景気の動向等を勘案しながら、幅広く検討してまいります。

質問2
 東京都独自の融資制度について質問いたします。

 資金調達能力が乏しい中小企業にとって、緊急保証制度を中心とする制度融資や日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付が頼みの綱であります。しかし、経営者からは、信用保証枠を使い切り、新たな融資を受けることができない、条件変更をしたために融資を断られたなどと、切実な声が寄せられています。既存の制度だけでは資金調達ができず、困窮している企業はふえている現状があります。

 我が党は、こうした状況を踏まえ、ことし第一回定例会で都が提案した独自の融資制度を立ち上げる条例を可決したところです。したがって、この融資制度については、既存の制度では対応できない中小企業に対し、資金供給の可能性を具体的に広げる内容でなければなりません。そのためにも一刻も早く新たな制度の内容を示していくことが必要であります。

 知事は、今定例会の所信表明で、今月を目途に立ち上げると明言しましたが、中小企業の経営者からは大きな期待が寄せられております。既存の制度では融資を受けられない中小企業の実態を踏まえて、新たな融資制度であることを明らかにするとともに、融資限度額や融資期間、中小企業の負担軽減を図る具体的な制度内容を具体的に示すべきであります。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 景気後退の影響を強く受け、緊急保証制度によりましても資金調達が困難な中小企業が存在しておりますが、今回新たに立ち上げる融資制度は、こうした中にあって、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等により、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業などを見出し、支援していくことを目的としたものでございます。

 具体的には、地域の金融機関の目ききの力と民間保証機関の審査ノウハウを活用した仕組みといたします。

 融資対象は、取扱金融機関と一定の取引実績のある都内中小企業とし、資金使途は原則として運転資金、融資限度額は一千万円以下の小口資金、比較的長期の融資期間といたします。また、預託金や損失補助により、金利、保証料といった中小企業が負担するオールインコストの低減を図ります。

 現在、取扱金融機関と保証機関との間で実務的な協議を進めておりまして、今月中の制度開始を目指してまいります。

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少子化対策

質問1
 少子化対策、子育て支援について質問します。

 都は七月に、安心して子どもを産み育てられる東京の実現を目指し、少子化打破・緊急対策本部を設置しました。局を超えた戦略的施策の検討、各局の円滑な連携が期待されております。

 知事は、子育て世代、特に三十五歳から三十九歳までの団塊ジュニア世代が東京には圧倒的に多いことなどから、今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスと述べられるなど、その意気込みも強く伝わっております。

 さきの総選挙では、子育て支援が大きな争点となり、長年、児童手当の拡充に反対してきた政党が、突然、給付額や対象を大きく拡大したマニフェストを発表し、国民の関心を引きつけるなどしておりましたが、公明党は、これまで一貫して少子化対策、子育て支援策を推進し、実現をしてまいりました。

 例えば、今から四十年前の一九六九年には、公明党の主導で国に先駆けて東京都独自に児童手当制度を創設し、全国的に評価された結果、三年後には国の制度へと発展をしました。また、児童手当以外にも、乳幼児医療費助成制度や出産育児金の創設、妊婦健診の無料化、子育て応援特別手当創設などを推進してまいりました。

 少子化対策や子育て支援は今後、雇用の安定や住宅の確保などさらなる総合的な事業展開を緊急に推進する重要な時期を迎えております。都として、合計特殊出生率の回復に向けた数値・年次目標を明確にして取り組むべきことが重要であります。まずは少子化対策に向けた知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 少子化対策についてでありますが、少子化は、個人の価値観の問題がその根底にはあるでしょう。人生に対する物の考え方、そういったものがこの少子化というものを規定している節も多いと思いますけれども、しかし、国家という単位で見た場合に、経済のパイを縮小させ、年金や医療、インフラの維持を困難にして、伝統文化までも失わせかねない問題だと思います。

 国もさまざまな施策を講じておりますが、子どもを持つことへの国民の不安が払拭されずにおりまして、少子化の流れを変えるに至っておりません。

 今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスと考えております。庁内に緊急対策本部を設置して、対策の立案を指示いたしました。

 少子化の傾向を反転させるためには、これから結婚し、子どもを産む若者や子育ての最中の家庭が、真に安心して子どもを産み育てることができるように、育児と仕事が両立できる環境を整え、選択できるサービスを、質、量ともに拡充していくことが必要だと思います。

 そのために、都は、これまでも力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用や住宅の分野の政策をも総動員しまして、合計特殊出生率の回復に向け、国を先導するような重層的、複合的な施策を構築して実現していきたいと思っております。

 今後とも、緊急対策本部を中心に、具体的な施策目標も検討し、現場ならではの発想を生かして、国の縦割りの壁を破る、東京から新しいモデルビルディングを行っていきたいと思っております。

質問2
 都の少子化打破・緊急対策本部では、子育て支援、医療、教育、雇用、まちづくり、地域力の活用という総合的な検討が進められております。社会全体で子育て支援をしていく環境づくりに都が大きく踏み出しました。

 さらに、都は六月に、待機児童解消に向けた子育てサービスの今年度の整備目標を五千人から八千人にするなど、これらの都の取り組みを改めて評価するものであります。

 一方で、二十代、三十代の非婚・晩婚化の原因として、非正規雇用による経済的不安が指摘されております。そこで改めて取り組みの焦点となってくるのが積極的な雇用政策の推進であります。既にイギリスでは、三年間で二十五万人の失業手当受給者に就業機会を与えることを目的とした地域雇用パートナーシップ事業が始められて、限られた予算で大きな成果を上げております。過去二年間で十万人が新たな職を得ておりますが、シミュレーションでは失業手当の支出が減り、納税者がふえることで歳入に大きく貢献し、四百億円の対策費で八百億円の税収増の効果があるとしております。

 この自治体と企業が連携して新たな雇用、就労を創出していく、地域雇用パートナーシップに当たる事業を東京都でも検討するべきであります。

 例えば、職業紹介にとどまらず、社内で職業訓練を行う企業に対しても都が財政支援を行い、さらに生活が安定するまでの期間、生活支援を行う新たな制度を創設すべきであります。こういった生活支援、職業訓練、職業紹介の連携が重要と考えます。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 生活支援と職業訓練等が連携した事業についてでございますが、現下の厳しい雇用情勢のもとで、経済的に不安定な状態に置かれている方々の職業的自立と生活安定化のためには、ご指摘のとおり、生活支援と職業訓練、職業紹介が連携した支援は効果的と考えております。

 このため、都は、昨年八月から、区市町村と連携して、低所得者向けに就職チャレンジ支援事業を開始し、生活支援から職業訓練、職業紹介までを一体として実施することにより、安定した就業に向けまして支援を行っております。この事業の利用者数は、八月末現在で約三千三百名に上っております。

 今後とも、この事業をより効果的なものとするため、区市町村との連携を密にするとともに、相談など支援体制の充実を図ってまいります。

質問3
 正社員化を支援するネクストジョブ事業が昨年東京しごとセンターでスタートし、大きな成果を上げております。これを東京しごとセンター多摩でも取り組むべきとの我が党の主張に対し、都は検討を約束しました。そこで、その検討の結果を明らかにしていただきたいと思います。

答弁3
産業労働局長
 現在、しごとセンター多摩では施設の改修などを進めておりまして、十月下旬より専用窓口を設置し、ネクストジョブ事業を開始する予定であります。

 ネクストジョブ事業は、三十歳代非正規雇用者を対象に、ジョブコーディネーターが正規雇用化、職場定着を支援するものでありまして、今回の窓口開設により、多摩地域での対応を強化していきます。

 今後とも、非正規雇用で働く方々の正規雇用化を支援してまいります。

質問4
 ワークライフバランスの改善です。

 ある大手衣料品チェーンでは、女性社員が子育ての時間を確保しながら収益も伸ばしております。この企業では、キャリアを積んだ女性社員が結婚や出産を機に退職するケースが多いことから、八時間勤務・土日休み店長制度を導入しました。その結果、この制度ができるまでは、結婚後も店長を続ける女性社員は一人もいませんでしたが、現在では二十四人も誕生し、仕事と家庭を両立させて活躍していることは有名であります。

 安心して子どもを産み育てられる社会を実現するためには、これまでの発想を大きく転換し、共働きや父親の子育てを応援する企業をふやす政策が必要であります。税制上のインセンティブや補助金、融資条件の優遇、入札制度の総合評価基準にワークライフバランスへの取り組みを加えるなど、あらゆる支援策を進めるべきであります。見解を求めます。

答弁4
知事本局長
 かつて国は、育児をしない男を父とは呼ばないというポスターをつくって、父親の意識改革を呼びかけたことがありますが、今こそ必要なのは、企業経営者を初め、働くすべての方々の意識改革であると考えます。

 企業発展の原動力はさまざまありますが、その最も大きなものは社員の力であり、社員の子育てを支援し、その家族の幸せを実現していくことは、社員をよりよく生かし、その能力を余すところなく発揮させ、ひいては企業の発展にもつながると考えます。

 都内のすべての企業は、社員の子育てを負担ととらえるのではなく、むしろ企業発展の重要な足がかりととらえられるような施策を、少子化打破緊急対策本部において、今回のご提案を含め、鋭意検討してまいります。

質問5
 東京都庁におけるワークライフバランスの取り組み状況とその成果を伺うとともに、都庁での取り組みを東京モデルとして明示するなど、民間企業に広げていくべきでありますが、見解を求めます。

答弁5
総務局長
 都では、平成十七年三月に、次世代育成支援対策法に基づきまして、事業主として東京都職員次世代育成支援プランを策定しまして、休暇の取得促進や超過勤務の縮減などに取り組むとともに、職員向けの講演会の実施や子育てを支援するさまざまな制度の周知に努めてまいりました。

 その結果、女性職員の育児休業取得率が一〇〇%近くに達し、また、男性職員の出産支援休暇、これは二日間でございますが、この取得率も八〇%を超えるなど、妊娠、子育て中の職員への支援や男性職員の子育て参加につきましては、着実に成果が上がっております。

 今後とも、ワークライフバランス確保の観点から、職員の仕事と子育ての両立支援を積極的に進めてまいります。

生活文化スポーツ局長
 ワークライフバランスの推進には、都みずからが取り組みを着実に進め、その内容を業種や規模が多様な民間企業に活用できるよう情報提供をしていくことも重要であるというふうに認識をしております。

 都はこれまでも、課題別の解決策を示した実践プログラムを作成いたしまして普及啓発を行ってまいりましたが、これに加えまして、都みずからの取り組み事例や民間企業の先進的な取り組み事例を、東京モデルとしてウエブサイトなどを通じて広く発信し、ワークライフバランスの社会的機運の醸成に努めてまいります。

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医療・福祉施策

質問1
   都民の生命を守る最後のとりでである救急医療体制について質問します。

 年間約五十八万件発生している救急搬送のほとんどは、スムーズに受け入れが行われておりますが、その一方で、受け入れに時間がかかった搬送困難事例が三万五千件以上発生している実態もあります。

 こうした状況を改善するために、都は全国初の試みとして、救急医療の東京ルールを八月三十一日にスタートさせました。島しょ部を除く都内十二の二次保健医療圏ごとに救急医療機関が連携を密にして迅速に搬送できるようにしようとするもので、都民の理解と協力を求めるテレビCMや救急医療ルールブックの新聞折り込み等を通し、徐々に浸透しつつあります。

 私も今月二日、東京ルールにおける調整部門の一つである東京消防庁指令室を視察し、救急患者受け入れコーディネーターによる調整や救急医療機関の連携状況を見てまいりました。救急医療は暮らしの安全・安心の重要な基盤であり、不断の努力によって向上させていかなければなりません。

 そこでまず、東京ルールを踏まえた東京の救急医療の強化について、石原知事の決意を伺いたいと思います。

答弁1
知事
 東京の救急医療についてでありますが、救急医療は、患者の増加や医師の不足などによりまして大変厳しい状況にあります。関係者の懸命な努力によって支えられているのが現状でありまして、今般、医療現場を担う方々の英知によって、地域全体で救急患者を受けとめる東京ルールなるものを定めまして、先月末にスタートさせることができました。

 少子高齢社会の進展によりまして、救急医療の需要はますます高くなっております。都民の方々にも、限られた社会資源である救急医療を守るために、ぜひとも適切な利用を心がけていただきたいと思います。

 都民の大切な命を守るため、医療機関、行政、都民が一体となって、東京ルールを着実に推進し、迅速、適切な、また合理的な救急医療体制の確保に取り組んでいきたいと思っております。

質問2
   東京ルールの基盤ともいうべき地域救急会議について質問します。

 二次保健医療圏ごとに設置することになっているこの会議は、連携の軸となる地域救急医療センターや救急患者の受け皿となる地域の医療機関のほか、消防、関係自治体等で構成されることになっております。

 しかし一方、救急医療機関で暴力行為や医療費不払いの患者が増加していることも搬送を困難にしている大きな要因となっていることから、こうしたさまざまなトラブルにも対応するためには、警察、福祉関係機関なども救急会議に加える必要があると考えます。都の見解を求めます。

 あわせて、東京ルールがまだスタートしていない多摩地域など、四つの保健医療圏でも早期に運用を開始すべきと考えます。見解を求めます。

答弁2
福祉保健局長
 この会議は、地域の関係者が参画し、救急患者の適切な受け入れなどさまざまな課題を協議し、解決していくものであります。

 ご指摘のような行政機関を含めました連携協力体制については、その構築に向けて、今後、必要な調整を行ってまいります。

 お話しの四つの地域につきましても、医療機関による話し合いが進んでおり、医療機関相互の合意が形成された時点で速やかに地域救急医療センターを指定し、運用を開始いたします。

質問3
 救急医療が十分機能するためには、二次救急医療体制の充実が不可欠であります。しかしながら、救急搬送事例が増加しているにもかかわらず、東京はこの十年で救急医療機関が二〇%も減少しております。二次救急患者のおよそ八割を受け入れている民間の中小病院は、今、診療報酬の改正、医師不足、看護師不足等で救急医療体制を維持していくことが困難になってきております。こうした状況は、やがては地域医療の崩壊につながりかねません。対応策の充実を早急に検討すべきです。見解を求めます。

答弁3
福祉保健局長
 都は、医師や看護師不足の厳しい状況の中、救急医療を担う医療従事者の定着を図るため、勤務環境改善事業などに取り組んでおります。また、今年度から、救急勤務医師に対する新たな手当を創設いたしました。さらに、国に対して、診療報酬の改善などの提案要求も行っております。

 今後とも、こうした施策を積極的に推進することにより、地域における救急医療体制の確保に全力を挙げて取り組んでまいります。

質問4
 流行期に突入した新型インフルエンザ対策について質問します。

 厚生労働省が先月二十八日に公表した新型インフルエンザの流行シナリオによると、九月下旬から十月上旬に流行のピークを迎え、ピーク時の入院患者は全国で約四万六千人、そのうち都内では約四千六百人と推計されております。間近に迫った流行期に対応するためには、患者に対する医療提供をスムーズに行い、人的被害や混乱を極力抑える対策が求められております。

 まず重要なのは診療体制の充実強化であります。新型インフルエンザの感染が急速に広がった場合、病院だけでなく地域の診療所も多くの感染者を受け入れることになります。このため、医療機関が混乱することなく流行のピークを乗り越えるための緊急時体制を講じておく必要があります。

 例えば、患者の重症化を防ぐには早期受診、早期治療が重要であることから、診療所における診療時間の延長、休日診療の実施等、外来診療体制の強化を検討することも必要であると考えます。見解を求めます。

答弁4
福祉保健局長
 新型インフルエンザの大流行期における早期診断、早期治療の体制確保について、東京都医師会を通じて各医療機関に要請をいたしました。

 しかしながら、流行のピーク時に急増する患者に対応していくためには、特に休日・夜間時の診療体制を確保することが急務であります。このため、速やかに区市町村や関係団体と協議の上、地域の開業医や救急以外の病院に対し、診療時間の延長や休日診療の実施などの協力を要請してまいります。

質問5
 都は、今定例会に備蓄用抗インフルエンザウイルス薬、折り畳み式ベッド、防護服等の買い入れを提案しております。今後は、重症化した患者にも十分対応できるよう、集中治療室や人工呼吸器の確保など、医療体制を迅速に整えるべきです。見解を求めます。

答弁5
福祉保健局長
 都は、新型インフルエンザによる重症患者の発生に備え独自の補助制度を創設し、医療機関における入院病床の整備や人工呼吸器等の医療資器材の整備の支援を初め、重層的な対策を講じております。

 秋冬の大流行期には、多くの重症患者が発生することも懸念されるため、都内の全病院に対し、その対応を要請いたしました。

 さらに、現在、ICUの稼働実績や人工呼吸器の保有状況を把握するなど、診療体制の確保に努めております。

 今後、妊婦や透析患者等、感染した場合に重症化するリスクが高い方に対し、感染予防や早期受診など、適切な情報提供を行ってまいります。

質問6
 新型インフルエンザのワクチン接種費用について質問します。

 厚生労働省は、ワクチン接種の優先順位については一定の基準を示しておりますが、接種費用についてはまだ明確に定めておりません。仮に自己負担になると、経済的な理由で接種を受けられないケースも想定されます。経済格差が命の安全格差を生むような事態を招くことは断じてあってはなりません。ワクチン接種について、都は都民の生命を平等に守るために、経済格差、区市町村間の格差が生じないよう国に強く要望すべきと考えます。見解を求めます。

答弁6
福祉保健局長
 国が現在示している実施案におきましては、今回のワクチン接種が個人予防を主たる目的とすることから、接種費用については実費相当額を自己負担とし、低所得者の負担軽減措置のあり方について、今後検討していくということになっております。

 都は、これまでもワクチン接種が円滑かつ確実に行えるよう、国の責任において、実効性のある仕組みを構築するとともに、必要な財源措置を講じるよう、提案要求をしてまいりました。

 今後とも、国の動向を注視しつつ、新型インフルエンザのワクチン接種が適切に実施されるよう、国に求めてまいります。

質問7
 新型インフルエンザ対策に関連し、流行の蔓延期においても事業者等が被害や混乱を最小限に抑え、事業の継続を可能とするBCP策定について質問します。

 BCPは東京都のみならず、区市町村や事業者がそれぞれ策定することが、都民生活や都市機能を維持する上で極めて重要であります。

 都は、本年第一回定例会において、強毒型を想定した新型インフルエンザに関する都政のBCPを本年七月には中間のまとめを行い、二十一年度中に策定することを明らかにいたしましたが、いまだ中間のまとめの発表はありません。本格的な流行が既に始まっている状況の中、事態は急を要します。

 都は、今回の弱毒型の経験を生かし、都民の信頼と安心を確保するためにも、感染症の危険度や状況に応じて柔軟に運用できる都政のBCPを早急に策定すべきであります。都の見解を求めます。

答弁7
総務局長
 新型インフルエンザに関します都政のBCP、事業継続計画の策定についてでございますが、都は、昨年十月、都民の健康を守り都市機能を維持するという方針のもと、強毒型を想定いたしましたBCPの策定に着手し、縮小や休止する業務と、都民生活に不可欠な継続すべき業務の選定を進めてきております。

 一方、ご指摘のとおり、今回発生しました弱毒型といわれる新型インフルエンザへの対応も踏まえることがございますので、ウイルスの感染力や毒性等に応じまして、各業務を弾力的、機動的に実施できるよう早急に検討を進め、二十一年度中にBCPを策定いたします。

質問8
 都は、我が党の主張を受けて、本年度から新たに事業者団体が実施するBCP策定に関する研修会に講師を派遣するなど、感染拡大防止に努めています。このことについて評価するものであります。しかしながら、現状はBCP策定に着手している区市町村、事業者等は一部にすぎません。

 そこで都は、区市町村や事業者等がBCPを円滑に策定できるようガイドラインを策定するなど、さらなる意識啓発に努め、一層の支援を図るべきであります。見解を求めます。

答弁8
総務局長
 新型インフルエンザの被害を最小限に抑えるためには、都政のBCPの策定に加えまして、各団体がそれぞれBCPを策定することが極めて重要でございます。

 このため、都は、区市町村の参加を得まして検討会を設置し、二十一年度中にBCP策定ガイドライン、これは仮称でございますが、これを策定するなど、区市町村を支援してまいります。

 また、本年度から、先進的な取り組み事例や具体的な策定方法を紹介するとともに、事業者等の研修会に講師を派遣しております。

 今後、実施回数をさらにふやすなど、事業者への支援を充実してまいります。

質問9
 がん対策について質問します。

 日本人は国民の半数ががんになり、三人に一人はがんが原因で死亡している世界一のがん大国であります。がんは、細胞のDNAが突然変異し、長い年月を通して細胞分裂を繰り返し、がん化するのが一般的です。長寿社会の日本では、高齢化に伴い、がん患者が増加しているのです。

 しかし、高齢化だけでなく、ウイルスや食生活ががんの原因になることもあります。

 例えば、若い女性に急増している子宮頸がんは、ウイルスの感染が原因といわれています。公明党が推進してきたワクチンの接種でかなり防ぐことができます。また、喉頭がんは九六%、肺がんは七二%、食道がんは四八%、喫煙が原因とされています。児童生徒がみずからの健康増進のために、がんや生活習慣病防止も含め、正しい知識を身につけるがん教育が大切です。

 また、塩分のとり過ぎや肥満もがんの原因になるといわれています。がんを含めた生活習慣病の予防については、専門医とも連携を図ることが必要です。都教育委員会は、東京都医師会と連携した専門医による学校保健活動支援事業により、生徒や教員に対する啓発と助言を行っていますが、がんの予防については十分といえません。この事業を活用して、都立高校でがん教育を推進すべきであります。がん教育を実施する場合には、がんの専門医と連携し、わかりやすい副読本等を取り入れるなどの工夫が必要です。都の見解を求めます。

答弁9
教育長
 現在、学校においては、小学六年で病気の予防、中学三年で健康な生活と疾病の予防、高校一年で健康の保持増進と疾病の予防という保健の授業の中で、疾病の原因や予防に関する学習を行っております。

 とりわけ都立高校におきましては、平成十五年度から、専門医による学校保健活動支援事業によりまして、教員は専門医から助言を受けて、生徒のさまざまな健康課題に対応してまいりました。

 お話のように、これからは、がんの原因や予防に関する正しい知識を身につけさせる必要がございますことから、今後、都医師会との連携を一層強化いたしまして、がん予防の視点を踏まえた事業の充実を図ってまいります。

 さらに、学校においてがんに関する教育を行う場合には、喫煙による健康被害や薬物乱用とも関連づけ、健康な生活とがんの予防に関する効果的な補助教材を活用するなどして、発達段階に応じた学習を充実するよう、各学校を指導してまいります。

質問10
 小児がん対策について質問します。

 白血病、脳腫瘍、悪性リンパ腫などの小児がんは、かつては不治の病とされていましたが、医療の進歩により、現在では七割以上が助かるようになりました。しかし、依然として子どもの病死順位の一位であり、年間約三百人の幼い命が失われています。

 また、仮に治癒した場合でも、長期入院による家計負担、治療中の学業の問題、将来的な進学、就職、結婚、出産など、患者、家族とも生涯にわたってさまざまな困難が立ちはだかっています。

 さらに、小児がんに関する相談、子どもを亡くした家族への支援、小児がんの理解と偏見をなくすための広報など、患者、家族を支える取り組みは多岐にわたります。

 本来、こうした患者、家族への支援は国が全国的視野で行うべきですが、都としても、がん対策推進計画に新たに明記し、より重層的に取り組むべきと考えます。見解を求めます。

答弁10
福祉保健局長
 がんに罹患した子どもたちは、がんを克服した後でも、合併症や成長障害への身体的ケア、再発の不安に対する心のケアなど、引き続き医療的ケアを必要とする場合があり、小児がんの専門的な治療ができる医療機関において、こうした子どもたちを見守っていく取り組みがなされております。

 がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院に指定されている四つの病院におきましても、長期フォローアップ外来の設置など、子ども、家族への、よりきめ細かな支援が行われております。

 東京都がん対策推進計画改定時には、こうした取り組みを踏まえ、必要な検討を行ってまいります。

質問11
 盲ろう者支援について質問します。

 視覚と聴覚の障害をあわせ持つ盲ろう者は、コミュニケーションがとれないまま福祉行政の谷間に置かれていました。

 都議会公明党は、盲ろう者の方々から要望を受け、都が全国で初めて通訳・介助者派遣事業を創設するとともに、本年五月に開設された日本版ヘレン・ケラー・センターともいうべき東京都盲ろう者支援センターの設置も推進いたしました。関係者の喜びと期待は大きく広がっております。都の対応を評価するものであります。

 知事は、本年の予算特別委員会で、同センターを日本全体のセンターにするよう育てていきたいと答弁されました。そこで、次の展開が重要であります。知事の決意を伺いたいと思います。

答弁11
知事
 盲ろう者支援センターについてでありますが、これは、公明党の中嶋幹事長に、あるとき、ある一人の人物を紹介されました。私は非常にショックを受け、感動いたしましたが、これは福島智さんという、ちょうど私がお目にかかった日に東大の研究所の教授に任命されたそうですが、この方は七歳のときに、まず片っ方の目が見えなくなって、やがて両眼失明し、今度は十代に入ってから片っ方の耳が聞こえなくなり、ついに十七歳のときに両耳が聞こえなくなって、完全な盲ろう、つまり自分で意識を持ってから、ヘレン・ケラーさんのような状況に陥ったという、非常に、何といいましょうか、むごい試練にさらされた方ですが、この人が刻苦勉励して、しかも、お父さん、お母さんは賢明で、とっさに指で点字を打つ方法を考えて、そのコミュニケーションが今日本全体に敷衍しつつありますが、この方にお目にかかって、私は本当に、人間というのはかくも強くあり得るものかという感動を得ました。

 状況を聞きますと、東京にも約二千人、日本全体で二万人もの、全く目も見えない、耳も聞こえないという、福島さんの表現だと、大きなつぼの中にふたをされて閉じ込められた、そういう境遇の方々がおられるんですが、この具体的な把握が全然行われていない。いわれて初めて知りましたけれど、都下の各区市町村にもそういう方がおられるんでしょうが、地方の自治体もそういうことを知らない。

 国の行政は、ただ一概に心身障害者の対策なども講じておりますけど、障害者といってもいろんなケースがありまして、このように全盲全ろうという最悪の障害に陥った方々に対する配慮は、特殊な形では全く行われていないということで、私も、簡単なことでございますが、施設をつくりまして、日本で初めて台東区に盲ろうの方々のコミュニケーションのセンターをつくりました。

 その開場のときに何人かの方々が来られておりましたが、人によってそのコミュニケーションが違うんですね。指の点字でやる人と、手のひらに字を書いても、これは非常にテンポが遅いんです。そういったコミュニケーションの差異というものを、私はやっぱり合理的な指点字という形で統一することで盲ろうの方々が救われると思うんですが、まだまだ宣伝が足りませんし、そのうちにテレビなどでぜひこれを取り上げて、こういう方々の存在──それから、東京は何もそれを誇るわけじゃございませんが、私は中嶋幹事長の紹介で大きなヒントを得ました。これはとても大切なことですが、こういった施設が、これは国の力によって、もっともっと随所にあってしかるべきだと思います。

 開設から三カ月たちましたが、盲ろう者の訓練や交流事業がようやく始まりまして、まさに都から発信する、当たり前のことですが、日本では新しい福祉施設として動き出しておりまして、これから先、国や自治体からも多くの見学者が訪れてきますが、いずれにしろ、ぜひ多くの人々に利用してもらい、かつ知ってもらって、全国の自治体の盲ろうの方々の支援のモデルとなるように、これを発展、育てていきたいと思います。ひとつ皆さんのご協力を賜りたいと思います。

質問12
 盲ろう者支援の今後の課題について質問します。

 第一に、盲ろう者は、都内に約二千人在住すると推計されておりますが、その実態は明らかになっていません。そこで、より正確な盲ろう者の実態を把握するための調査を行うべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁12
福祉保健局長
 盲ろう者の実態調査についてでありますが、国は五年ごとに身体障害児者実態調査を実施しており、平成十八年度の同調査において、全国の盲ろう者数の推計値を公表しております。

 しかし、盲ろう者への適切な支援を行うため、平成二十三年度実施予定の次回調査に向けて、生活状況や障害程度の状況などについて、より正確な把握ができるよう国に働きかけてまいります。

 また、都としても、今年度開始をした盲ろう者支援センター事業について、各種相談機関等を通じて周知を図るとともに、区市と連携し、地域における交流の機会を設けることなどにより、実態の把握に努めてまいります。

質問13
 都が実施する盲ろう者通訳・介助者派遣事業については、事業の充実に伴い、平成二十一年度の派遣時間が平成十三年度に比べて約三倍になっています。しかし、派遣事務を行う職員の人件費は据え置かれています。また、通訳、介助者の報酬単価や派遣時間もニーズに十分に対応できるよう拡充が必要です。今後も通訳・介助者派遣事業が安定的かつ効果的に運営できるよう支援すべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁13
福祉保健局長
 都はこれまでも、通訳、介助者の派遣時間の拡大を図ってきたところであり、さらに、今年度は盲ろう者支援センター事業を開始いたしました。

 通訳・介助者派遣事業は、このセンターで行う通訳・介助者養成事業や盲ろう者の訓練、相談事業と一体的に運営することにより、安定的かつ効果的な運営を目指すことができるものと考えております。

 今後とも、事業の推移を見ながら、引き続き適切に対処してまいります。

質問14
 現在、盲ろう者の八割近くは家族と同居していますが、親の高齢化に伴い、自分が死んだ後、子どもがどうなるのか心配だという切実な声が寄せられています。国は、本年十月から身体障害者用のグループホームが開設できるようになります。それに合わせて、都は盲ろう者のグループホームの整備促進を図るべきと考えます。見解を求めます。

答弁14
福祉保健局長
 本年十月から、知的障害者や精神障害者に加え、盲ろう者などの身体障害者もグループホームの利用対象となります。

 身体障害者のグループホーム利用については、今後、国から詳細な通知等が示される予定でありますが、盲ろう者の生活支援に当たりましては、その障害の特性から、指点字等の十分なコミュニケーションを確保する必要があるなどの課題があります。

 都としては、盲ろう者の方がグループホームを利用する場合の課題解決に向けて、国に働きかけてまいります。

質問15
 介護基盤整備について質問します。

 都は、二十一年度からの三カ年で特別養護老人ホームは五千人分ふやすほか、小規模多機能型居宅介護事業所は百七十七カ所にふやすことを計画しております。しかしながら、二十年度の特養増床数は三百余りにすぎませんし、小規模多機能型居宅介護事業所の新規建設数は十六カ所にとどまっています。こうした現状を打破するには思い切った取り組みが必要です。

 まず、介護基盤の整備においては、国の補正予算で導入された定期借地権などの積極活用による経営リスクの軽減が必要です。そこで、介護基盤整備の対象となる民有地の所有者に資産運用上のインセンティブを与えるべきと考えます。見解を求めます。

答弁15
福祉保健局長
 介護サービス基盤の整備を進める上で、土地所有者の理解と協力は大変重要であると認識をしております。

 このため、都では、認知症高齢者グループホームなどの整備に当たり、土地所有者が建物を新築し運営事業者に賃貸する場合も、独自に補助の対象としております。また、事業内容や補助制度に関するリーフレットを作成し、地主や家主が所属する関係団体に配布するなど、周知に努めております。

 なお、お尋ねの今回の国の経済対策に伴い創設された定期借地権の利用に対する助成制度については、今後の国の動向を見守ってまいります。

質問16
 大規模な用地を必要とする広域型特養においては、統廃合などによる小中学校用地の活用が効果的です。既に整備実例は七カ所、今後の計画は数カ所あります。今後この取り組みをさらに広げていくためには、現在、都が小規模多機能型居宅介護事業所について実施している区市町村有地活用加算を特養整備についても実施すべきであります。この点を強く要望として申し上げます。

 また、建物のリース化も有効です。リース制度は、既に小規模多機能型居宅介護事業所や小規模特養では可能となっていますが、小規模特養ではいまだに具体例がありません。都はその原因を分析し、進捗を図るべきであります。

 また、特養と呼ばれる広域型特養では、いまだに社会福祉法人による建物の自己保有義務が解除されていません。この点については、国に強く要望すべきであります。あわせて見解を求めます。

答弁16
福祉保健局長
 小規模特別養護老人ホーム等の設置促進についてでありますが、定員が二十九人以下のいわゆる小規模特別養護老人ホームは、制度的に介護報酬などの面から、安定的な施設運営を行うことが困難であり、都においても整備が進まない状況にあります。

 このため、都は国に対し、小規模な施設であっても運営が成り立つよう、施設の定員規模に応じた段階的な介護報酬の設定について提案要求を行っております。

 また、定員三十人以上の広域型の特別養護老人ホームの施設建物についても、自己保有ではなく賃借により設置することができるよう、重ねて国に提案要求をしております。

質問17
 養護老人ホームを活用した介護基盤整備について提案します。

 養護老人ホームにおいては、平成十八年の法改正により、外部サービス型の特定施設入居者生活介護の指定を新たに受けられるようになりました。今後、老朽化した養護老人ホームの建てかえ時などをとらえて、この指定を受ける養護老人ホームを拡大していけば、軽度の特養入所希望者の新たな受け入れ先が拡大します。

 そこで、都は、関係者の自主的な協力によって、既に多くの道府県で効果を上げつつあるこの手法について、都内においても本格導入を図るべきと考えます。見解を求めます。

答弁17
福祉保健局長
 養護老人ホームにおける軽度の要介護者の受け入れについてでありますが、都では、養護老人ホームの建てかえに対する補助制度について、今年度から、軽度の要介護高齢者の受け入れを促進するため、外部の介護サービス事業者により、入所者へ適切なサービスを提供することを新たな条件として加えました。

 今後、本制度の活用を社会福祉法人に働きかけ、養護老人ホームにおける軽度の要介護高齢者の受け入れの促進に努めてまいります。

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住宅政策

質問1
 高齢化社会にふさわしい住まいのあり方について質問します。

 ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が急増している中、都は新たなプロジェクトチームを立ち上げ、安心感のある政策の充実に向けて、局横断的な検討を開始しました。この点は高く評価しますが、都議選直後の七月十六日付の国への提案内容には重要な課題が多く含まれており、我が党は、今後慎重な議論を重ねる必要があると考えています。

 まず一点目は、面積基準の緩和による小規模な高齢者住宅の整備を求めた点であります。

 建設経費や利用者負担の軽減という必要から単に面積基準の緩和という提案がなされたのであれば問題です。介護やケアを必要とするひとり暮らし高齢者にとって望ましい住環境の基準については、土地価格の高低などで地域差を設けるべきではありませんし、最低居住面積水準に満たない世帯の解消を図るという住宅マスタープランの大原則も堅持すべきであります。また、土地価格から生じる利用者負担額の差異は、助成金支援等の強化で補うべきです。見解を求めます。

答弁1
都市整備局長
 国に提案した高齢者住宅などの面積基準の緩和についてでございますが、この提案要求は、猪瀬副知事を座長とするプロジェクトチームにおける検討を踏まえて行ったものでございまして、地価の高い東京において、限られた土地資源、既存ストックの利活用の観点から面積基準を緩和いたしまして、サービスの質を確保しつつ、事業コストや入居者負担の軽減のための環境整備を図ろうとするものでございます。

 この要求は、急速に高齢化が進展する中で、民間事業者の意欲を喚起し、高齢者向け住宅や福祉サービス施設等のケアつき住まいの早急な整備を促進するためのものでございまして、最低居住面積水準に満たない世帯の解消を目指すという住宅政策の考え方を変更するものではございません。

 また、今回の要求では、基準の見直しだけでなく、補助の対象拡大など国の財政支援の充実を求めております。

 今後、ケアつき住まいの供給促進に向け、都としての取り組みも含め幅広く検討し、高齢者が安心して暮らすことのできる住まいの実現に向けて取り組んでまいります。

質問2
 緊急対応や安否確認などを行うなどの地域支援の新たな仕組みの創設を求めたことについてです。

 高齢者に緊急時対応や安否確認などのサービスを地域で提供する際の工夫は、介護保険法内の地域支援事業と区市町村が独自に実施する法外事業とを組み合わせるなどして、区市町村の自主性にゆだねられています。

 しかし、地域支援事業においては、区市町村は介護予防に関するケアプランの作成などに主力を割かれてしまい、緊急対応や安否確認などの総合相談事業には余り多くの人員を充当できていないのが実情です。一方、法外事業は一般会計予算であり、財源上の不安定性はなお一層厳しい状態にあります。

 そこで、都は国に対して、介護保険事業に占める地域支援事業の配分について、区市町村の裁量範囲の拡大を求めるとともに、財源の安定化を強く要望すべきであります。

 また、区市町村が担う地域支援事業以外の単独事業に充当できる包括補助により支援を強化するべきと考えます。あわせて見解を求めます。

答弁2
福祉保健局長
 介護保険法の地域支援事業に関する国への提案要求等についてでありますが、都では、地域支援事業について、国に対し、区市町村が地域の実情に応じて柔軟に事業を展開できるよう、十分な財政措置を講じることなどを提案要求しております。

 また、高齢者に対する福祉サービスを充実するためには、区市町村の創意工夫が重要でありますことから、都は、包括補助制度による支援を行っております。

 今後とも、区市町村の主体的な事業展開を促進してまいります。

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集中豪雨対策

質問1
 集中豪雨対策について質問します。

 近年頻発している局地的集中豪雨は、神田川等において大きな被害をもたらしており、早急かつ着実な対策を講じていかねばなりません。

 都は、一時間五〇ミリの降雨に対応できる河川改修を推進しているところですが、都民への的確な情報提供も重要な取り組みです。本年三月より、都と気象庁が連携し、テレビのテロップを活用した神田川における洪水予報が実施されておりますが、洪水はんらんが起きる可能性のあるほかの河川にも早急に運用拡大していくべきであります。

 また、都では、雨量や水位情報を水防災総合情報システムとして、インターネットや携帯端末で公開し、情報提供しておりますが、近年のゲリラ豪雨における河川水位の上昇は急激であります。

 昨年八月、豊島区雑司が谷では、雨が降り出してわずか十数分後に八〇ミリを超える豪雨になり、それに伴う大事故が発生いたしました。また、先月は兵庫県佐用町で、一時間に八九ミリの豪雨で佐用川がはんらんし、甚大な被害がありました。

 人命を守っていくためにも、水防災総合情報システムの更新間隔を、技術開発を促進して、今よりも短縮し、リアルタイムに近い情報提供を行っていくべきであります。洪水予報の運用拡大とあわせて見解を求めます。

答弁1
東京都技監
 洪水による被害を軽減するためには、河川の整備はもとより、都民みずからが安全に避難できるよう、防災情報を迅速かつ的確に提供することが重要でございます。

 都内の中小河川では、荒川などの大河川とは異なり、豪雨時の水位上昇が極めて速く、洪水の予報が困難ではありますが、神田川においては検証を重ね、独自の水位予測モデルを開発し、洪水予報を開始いたしました。

 また、埼玉県との境を流れます芝川、新芝川におきましても、平成二十二年出水期からの運用開始に向けて、気象庁や埼玉県との調整を進めているところでございます。

 さらに、他の河川におきましても、それぞれの河川や流域によって異なる特性を踏まえ、洪水予報に適用可能な水位予測モデルの構築を目指してまいります。

 また、雨量・水位情報につきましては、水防災総合情報システムのホームページで情報提供をしております。現在、十分ごとに行っているこの情報の更新間隔を、二十二年の出水期を目途として、短縮するよう検討してまいります。

 今後とも、効果的な防災情報の提供に努め、都民の安全・安心を確保してまいります。

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環境対策

質問1
 緑の保全、創出に向けた都民との協働について質問します。

 都市における緑は、都民に潤いや心の安らぎを与えるだけではなく、美しい都市景観の創出やヒートアイランド対策など、その役割がこれまで以上に多様かつ重要となっています。

 現在、都で展開している緑の東京十年プロジェクトでは、二〇一六年までに一千ヘクタールの緑を新たに創出することを目指し、緑のムーブメントを展開しておりますが、より広い、さらなる取り組みが必要であります。

 そうしたことから、各局では、それぞれが所管するフィールドで、都民のボランティア活動を通して、緑の保全、創出を図る取り組みを実施しており、都民等の参加ニーズも高いと聞いています。

 しかしながら、環境局における保全地域ボランティア、建設局における都立公園ボランティア、水道局における多摩川水源森林隊など、取り組みの紹介や参加者の募集等を各局がそれぞれ独自に行っていることから、都民から見れば、いつ、どこで、どのような取り組みが行われているか、わかりにくくなっています。

 最近は、社会貢献活動の一つとして、緑の育成に参加したいという意向を持っている企業も年々増加しており、企業のニーズと都の取り組みとのマッチングが重要であります。

 そこで、緑のムーブメントをさらに進めるためには、緑を守り、育てるためのボランティア活動に都民や企業などがより参加しやすい情報提供を行うべきと考えますが、見解を求めます。

答弁1
環境局長
 緑あふれる東京の再生を目指し、現在、各局でさまざまな緑のボランティア活動に関する事業を実施しており、年間延べ三万人の都民等が参加しております。しかし、その募集などは各局が個別に行っていることから、より多くの参加を得るためには、わかりやすい情報提供の仕組みが必要と認識しております。

 そのため、都民、企業のニーズに合った緑のボランティアに関する情報が容易に検索できるように、各局が取り組んでいる情報を一元的に提供するポータルサイトを構築いたします。これにより、さらに多くの都民、企業の参加が図れるよう、情報提供に努めてまいります。

質問2
 東京の緑を後世に引き継いでいくためには、緑のムーブメントに加え、緑の保全、創出の核となる次世代の人材を育成することも、我々に課せられた大切な務めであります。

 都は一昨年、自然環境分野における人材を育成する仕組みとして、エコトップ・プログラムを創設しました。これは、今後の持続可能な社会の構築に向けて自然環境を保全するために、自然環境分野で幅広い知識を有しアクティブに行動できる人材を、大学、企業、NPO、行政が連携して育成し、社会に送り出していくためのプログラムであります。

 現在、プログラムの認定は、首都大学東京を初めとする五つの大学にふえ、今年度末にはエコトップ・プログラムの最初の修了生が誕生し、実社会に出ていく段階を迎えます。

 そこで、エコトップ・プログラムへの参加大学の拡充と、修了生がより活躍しやすい支援を行うべきであります。見解を求めます。

答弁2
環境局長
 この制度は、都が大学や企業などと連携して、自然環境分野の人材を育成し、実社会に送り出すものであります。

 これまで都の働きかけにより、認定を受けた五大学に加え、現在、認定取得を目指す大学が数校あり、参加大学数の増加が見込まれております。

 また、国は都の制度を評価し、今般、国の人材認証制度である環境カウンセラーに修了生が応募する際の経験年数緩和といった優遇措置が盛り込まれました。

 都としても、修了生が、大学、企業、NPO、行政などのさまざまな主体と人的ネットワークの構築が図れるよう、専用サイトの開設や交流会を実施するなど、修了生が社会へ出た後の継続的な支援を進めてまいります。

質問3
 行動力を持った即戦力となる人材を育成していくためには、単なる知識の吸収のみでは不十分であり、早い段階から、企業、NPO、行政など各方面での自然環境の保全に向けた実務経験を通じ、実践力を養っていくことが何よりも求められます。

 このため、エコトップ・プログラムでは、カリキュラムの中にインターンシップを義務づけていますが、こうした機会の確保、充実のためには、民間企業の開拓が必要であります。都の取り組みについて見解を求めます。

答弁3
環境局長
 実務経験機会の確保、充実についてでございますが、本制度ではインターンシップの実施を主要な柱の一つに位置づけており、今後、受講生がふえていく中で受け入れ先を拡充することが課題であります。

 そこで都は、本プログラムを実施している大学を支援するため、各大学の特色やインターンシップの成果をPRするとともに、企業と大学とのマッチングの機会を設けることを目的として、新たに企業向けセミナーを十月に開催いたします。

 今後ともエコトップ・プログラムの認知度向上に努め、大学がインターンシップの受け入れ先を確保できるよう支援してまいります。

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築地市場移転問題

質問1
 築地市場移転問題について伺います。

 我が党は、現在地再整備も含め、移転問題を原点に戻って検討するため、昨年六月にPTを設置し、これまで、築地市場を初め移転候補地、重層構造の大阪市中央卸売市場などの実態を調査してきました。また、業界団体と意見交換をするとともに、土壌汚染については、我が国を代表する専門家へのヒアリングや処理プラントの視察を行うなど、この問題についてあらゆる角度から詳細に検証してきました。

 その結果、まず、営業を続けながらの現在地再整備は、かつて工事が中断し計画を断念した経緯があり、アスベストの処理や二十年にも及ぶ工期の長期化、また、工事に不可欠な種地の確保が困難などの問題があることが明らかになりました。

 さらに、財政的には、跡地の売却収入が見込めず、市場会計では財源が賄えないことから、新たに六百億円以上の税の投入が必要となるなど、都民の負担が発生することに加え、建設費とランニングコストの上昇が使用料にはね返ることから、市場業者の経営を大きく圧迫することが明らかになりました。

 こうした調査検討の結果、我が党は、移転を前提とした新市場の整備が合理的であり、財源も市場会計内ですべて処理が可能で、都民の新たな負担の必要もなく、納税者の納得が得られやすいと判断するものであります。

 したがって、今、都議会に求められるのは、生鮮食料品の安定供給という長期的展望のもと、少なくとも五十年以上は使用する都民の大切な財産である新市場に必要な機能等について議論を深めていくことであります。

 そこで、改めて、移転整備の必要性と新市場に求められる機能について、都の見解を求めます。

答弁1
中央卸売市場長
 近年、市場を取り巻く環境は、食の安全・安心への意識の高まり、流通コスト削減の要請、食生活の変化に伴う加工需要など、急激に変化しております。

 これに対し、築地市場は施設の老朽化、狭隘化が著しく、高度な品質、衛生管理が困難で物流が非効率など、環境の変化に十分対応できず、取扱数量が大きく減少しております。将来にわたり都民の食生活を支えていくためには、抜本的な施設改善による機能強化が必要となっております。

 しかし、築地での現地再整備は、工事に必要な種地が確保できないことに加え、工事期間が長期化し、市場業者の経営に深刻な影響を及ぼすことなどから、現実的には不可能でございます。このことは、市場業界から出された嘆願書においても明確に述べられており、新市場建設の推進が強く望まれております。

 豊洲新市場では、品質、衛生管理の高度化を図るため、施設を閉鎖型として、食品特性に応じたきめ細かな温度管理を行い、施設が十分機能を発揮するよう具体的な運用ルールづくりに取り組むとともに、駐車、荷さばきスペースを十分に確保し、物流の効率化を目指してまいります。

 さらに、顧客ニーズに対応できる加工、パッケージ施設の整備などにより市場機能を強化してまいります。

 都としましては、これらハード、ソフト両面の取り組みにより集荷、販売力を強化し、この先五十年を見据えた首都圏の基幹市場として豊洲市場の整備を進めてまいります。

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新銀行東京

質問1
 新銀行東京について質問します。

 新銀行東京にかかわる問題については、これまでも経済・港湾委員会や予算特別委員会の場で積極的に審議を重ねてきました。今後も、経営監視や責任追及も含め、所管の委員会の場でしっかりと審議を行い、再建計画を軌道に乗せることが肝要であります。

 新銀行東京は、再建計画初年度の平成二十年度決算において、計画を上回る業績を達成しました。さらに、この八月に発表された平成二十一年度第一・四半期決算では、再建計画を上回る形で、開業以来初めてとなる黒字を計上しました。昨年来の経済危機の中における新銀行の再建への取り組みと成果を評価したいと思います。

 今回の第一・四半期決算における黒字の計上という状況を見ても、再建計画が予定を上回る形で着実に進展していることは事実であります。

 そこで、二十一年度通期についても黒字計上を目指すべきでありますが、その見通しについて、都の見解を求めます。

答弁1
産業労働局長
 新銀行東京は、経営再建に向け、営業経費の圧縮による低コスト構造への転換に取り組んでおります。加えて、取引先へのきめ細かな対応を図り、信用コストの圧縮に努めました結果、この八月に発表した平成二十一年度第一・四半期決算において、純利益は七億円と、開業以来初となる黒字を計上いたしました。新銀行東京は、再建計画を上回る業績につなげるべく、全力で経営再建に取り組んでおります。

 新銀行東京は、平成二十一年度の通期決算の見通しにつきまして、中間決算発表時に明らかにするとしております。銀行による発表を待たなければなりませんが、都としては、こうした経営改善の地道な努力を積み重ねていけば、通期の黒字を確保できるものと考えております。

質問2
 都議会公明党は、新銀行東京が再建を着実に進め、黒字化し、企業価値を高めた後は、早い段階で譲渡または業務提携を行い、追加出資四百億円を回収または保全すべきであると強く主張してまいりました。このことについて、新銀行東京や都は具体的に動いているのか、見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 新銀行東京の経営再建に向けた取り組みは着実に進んでおり、今年度第一・四半期決算で開業以来初の黒字を計上いたしました。しかしながら、銀行みずからが課題としている実質業務純益の黒字化に向けて、今後さらなる取り組みが必要でございます。

 新銀行東京の今後の展開につきましては、他の金融機関との業務提携など、さまざまな選択肢が考えられます。しかし、こうしたことの前提として、リーマンショック以降の世界的な厳しい金融環境が好転すること、また、新銀行東京が経営を再建し、黒字を定着させることが必要と考えております。

 都としても、新銀行東京が一日も早く経営再建を果たせるよう、引き続き経営の監視と支援に努めてまいります。

質問3
 都議会公明党は、新銀行東京の深刻な経営悪化の責任追及を行うべきと一貫して訴えてまいりました。これまで都からは、新銀行東京は旧経営陣に対して司法の場において責任の所在を明らかにする方針であるとの説明がなされてきましたが、半年以上、何ら動きがありません。その後の旧経営陣に対する訴訟の準備状況について明らかにすべきであります。見解を求めます。

答弁3
産業労働局長
 新銀行東京は、既に旧経営陣の代表執行役であった仁司泰正氏及び執行役であった丹治幹雄氏に対して、損害賠償請求訴訟を提起する方針を決定しております。

 現在、年内を目途に訴訟を提起すべく、訴訟代理人の選定作業など周到な準備を進めていると聞いております。


 いよいよ来月、コペンハーゲンのIOC総会で、オリンピック・パラリンピックの開催都市が決定いたします。

 都議会公明党は、知事とともに招致実現を目指してまいりましたが、何としても招致レースに勝ち抜き、世界に誇る日本ならではのオリンピック・パラリンピックの開催を強く期待をいたしまして、私の質問を終わります。

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