
都政運営の基本姿勢
質問1
平成二十一年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
今回の衆議院議員選挙において、我が自由民主党は下野することになりました。国民の審判を真摯に受けとめ、いま一度原点に帰り、国民本位の党再生をしていく覚悟でなければなりません。
都議会自民党もまた、さきの都議選で議席を大きく減らすことになりました。ご支援をいただいた都民の皆様におわびを申し上げなければなりません。と同時に、選挙の際に寄せられた皆様のご支援、ご支持を忘れることなく、責任を持って都民のための政策立案、施策の実行を果たしていく決意であることを申し上げ、質問に入ります。
申し上げるまでもなく、我々の原点であり、果たすべき責任とは、都民の生命、財産を守り、安全と安心を実現することであります。我々は、治安、医療、福祉、教育、環境、震災対策など、あらゆる分野でだれよりも汗を流してきたと自負をしております。そして、この十年、石原都知事という希有な東京のリーダーとともに、単に議会と執行機関という車の両輪の関係を超えて、協力関係を築き、数々の成果を出してきたのであります。
しかし、現下の経済危機を初めとして、深刻化する地球環境問題など、東京と日本を取り巻く課題はなお山積しております。
こうした中、都政において東京のさらなる発展を図り、より美しく、より安全で、都民が希望を胸に生きることができる都市を実現していくために、未来図である「十年後の東京」を実現していかなければなりません。
将来を見据えながら、都民の生活にしっかりと根をおろした政策をつくり上げ、決してぶれることなく推し進めることが必要です。また、日本をリードしていこうという高い志の発露こそ、この国の牽引役である首都東京を預かる都政のよき伝統であると思います。我々は引き続き、与党第一党として正々堂々石原都政を支え、本筋のしっかりした都政のありようを示し、施策を確実に実行していきます。
そこで、知事に改めて都政運営の基本姿勢を伺います。
答弁1
知事
都政運営の基本姿勢についてでございますが、都政において、都議会自民党の皆さんとは志を同じくし、力を合わせて東京と日本の再生に向け数々の先進的施策を生み出してきたと思います。
ご指摘のように、我々の未来がかかる地球環境問題を例にとりますと、都市として世界で初めてICAPへの加盟を果たした都が、来年四月から世界初の都市型キャップ・アンド・トレードを開始することは、その最も新しい成果だと思います。
今、この国は、人口減少といった社会の構造変化への対応を迫られるなど、新しい国家の大計が求められております。
一方では、都政は既に都市としての将来戦略であります「十年後の東京」計画を構えております。これを着実に具体化することで、ひとり東京の発展、成熟だけではなくて、この国が進むべき航路を指し示し、混迷から再生へと導いていきたいと思っております。
今後も、これまで同様、議会全体で、都民、国民のために、そして子どもや孫たちのために真摯な議論を重ねて、東京から未来を切り開く挑戦を果敢に進めていきたいものだと思っております。
質問2
我が党は、石原知事就任以来、知事と手を携え、時宜にかなった都民に真に必要な行政サービスを提供しながら、徳俵に足のかかっていた都財政を土俵の中央まで押し戻し、中長期的な視点を持った、持続可能な財政を築き上げてまいりました。
これは、石原知事と我が党が三つの基本姿勢を土台とした財政運営を行ってきた成果にほかなりません。すなわち内部努力や施策の見直しにより、効率的、効果的な財政運営を行うこと、短期、長期の双方の視点から、都民にとって真に必要な施策を選択し、限りある財源を重点的に投じること、将来を見据え、財政の対応力をバランスよく確保、活用すること、この三点であります。
都財政を取り巻く環境を見渡すと、昨年夏から始まった経済危機による景気の落ち込みは大きく、ここに来て改善の兆しが見えてきたものの、回復基調までには至っていません。また、この景気低迷が長引くことも想定され、当面大きく好転することは期待できない状況にあります。
その一方で、少子化など山積する諸課題を克服し、東京の将来をしっかりとつくっていくなど、中長期的な視点に立った都政運営を行っていかなければなりません。
また、引き続き厳しい経済状況のもとにあって、雇用問題など都民生活の足元の課題にも対応していく必要があります。
このようなときこそ、改めてこの十年間取り組んできた財政運営の原点に立ち返り、しっかりとした土台に立った財政運営を行うことが従来にも増して重要であると考えますが、知事の所見と決意を伺います。
答弁2
知事
今後の財政運営についてでありますが、知事就任以来、私は、財政再建に真正面から取り組み、これを達成するとともに、その成果を都民に還元するべく、国の二歩も三歩も前を行く先進的な施策を展開してきたつもりでございます。歳費の削減、人員の整理を行ってきました。国はどうもこれについて遅かったような気がしますが、これは、徹底した内部努力を実施するとともに、限られた財源を、都民にとって真に必要な施策に重点的に振り向け、堅実な財政運営を行ってきたからこそ可能となったものであります。
昨年夏から始まった日本経済の落ち込みは非常に大きく、景気の低迷が長引くことも想定されております。都財政を取り巻く厳しい環境が当面大きく好転することはなかなか期待に難しいと思います。
そうした中にあっては、これまで培ってきた基金など、財政の対応力の活用が必要なのはもとよりでありますが、同時に、この間、都議会の皆様とともに進めてきた財政運営の基本に改めて立ち返り、これを堅持していくことが不可欠であると思います。
今後、こうした観点から、いかなる荒波の中にあっても、東京の未来を切り開き、都民生活を守り抜く決意に立って、改めてみずからを厳しく律し、都政に課せられた使命を着実に果たし得る堅実な財政運営を行っていきたいと思っております。
せっかくの機会ですから、この機会にこういうところからあえて民主党の皆さんにお願いいたしますが、福田内閣の折に法人事業の分割基準というものを一方的に改悪されまして、東京の税収を暫定的に二年にわたって一年三千億ずつ国が収奪することになりました。これは、今回の民主党が標榜している中央官僚の全国支配というものにもとると思いますね。こういったものこそ、ひとつ民主党の皆さんも、都のために力を合わせて、こういった悪い措置というものを撤回するようにご努力願いたい。これは、私は、国民の念願であると思いますから、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
少子化対策
質問1
少子化対策について伺います。
去る第二回定例会において、我が党は日本の行く末に大きな危機として影を落とす少子化問題を取り上げ、国に具体的な政策提言を行うとともに、都が率先して行動を起こし、地に足のついた、しっかりとした政策を打ち出していくよう求めました。
これに対し、知事は、少子化の流れを変えるべく、国を先導するために、かつてない重層的で複合的な対策を検討していくことを明らかにし、七月には佐藤副知事を本部長とする少子化打破・緊急対策本部を設置しました。我が党の提案を受け、速やかに対策本部を設置したことを評価するものであります。我が党も、党内に少子・高齢化政策推進本部を立ち上げ、今後、具体的な政策を提言してまいります。
そもそも少子化対策は、本来国の責任として、国家挙げて取り組む問題であります。しかし、国の対策は各省庁縦割りで、質量とも不十分であるといわざるを得ません。真に実効性のある少子化対策を講じるためには、子育てサービスの充実、働き方の見直し、仕事と家庭の両立支援、経済的負担の軽減、住宅支援など、総合的に施策を展開していくことが何よりも重要であります。
そのためには、既存のストックの活用や地域、企業との連携など、あらゆる社会資源を活用し、社会全体で子育てを支える、国を先導した取り組みを推進すべきであります。家庭のきずなや地域のきずなを再生し、子どもを家族がはぐくみ、家族を地域社会、社会全体で支える、こうした社会であってこそ少子化の流れを変えられると考えますが、改めて少子化対策に取り組む知事の基本的な考え方を伺います。
答弁1
知事
少子化対策についてでありますが、さきの第二回定例会で、都議会自民党からは大変重要な建言をいただきました。そして、みずからもこの国の行く末を思って、今が少子化の傾向を反転させるラストチャンスととらえ、庁内に緊急対策本部を設置し、対策の立案を指示いたしました。
もちろん、少子化は、国家の未来に直結するがゆえに、その対策は国の責務であります。国が経済的給付を充実することは国家政策として重要であると思いますが、それだけではこの危機はなかなか乗り越えられない。
育児と仕事が両立できる環境を整え、都民が選択できるサービスを質、量ともに拡充してこそ、子どもを持つことにちゅうちょしている家族に希望を指し示し、不安を解消することができると思います。
そのために、都は、これまで力を注いできた保育や医療、教育の拡充はもとより、雇用や住宅の分野の政策をも動員いたしまして、現場ならではの発想で、国を先導する重層的、複合的な施策を構築していきたいと思っております。
今後、緊急対策本部を中心に、日本社会がかつて持っていた家族のきずなを再生し、社会総がかりで子育て家族を支える東京からの新しいモデルビルディングを行っていきたいと思っております。ただいまいただきましたご指摘、ご提案はしっかりと受けとめたいと思います。
質問2
新たな施策に取り組むためには、まずこれまでの国、都の施策を十分検証しなければなりません。また、結婚、出産を近い将来に控えている若年層や子育て世代の意見や要望を十分に聞くことも必要であります。その上で、国に具体的な政策提言を行うためには、社会実験ともいうべき新たな少子化対策に果敢に挑戦すべきであると考えます。対策本部の本部長である副知事の所見を伺います。
答弁2
佐藤副知事
少子化の傾向を反転させるためには、これから結婚し、子どもを産む若者、また、子育て中の家庭が、真に安心して子どもを産み育てることができるよう、社会全体で子育てを応援する仕組みをこれまで以上に強化していくことが必要であります。
そのため、現在、少子化打破・緊急対策本部では、関係各局が連携をいたしまして、子育てに必要な保育、医療、教育、住宅、雇用などの各分野ごとに、子育て世代や現場の意見、また、世論調査の結果などを用いながら、子育て家庭の現状や具体的なニーズを改めて分析いたしますとともに、諸外国の施策や、これまでの国や都の施策を検証いたしまして、新たな少子化対策の立案作業を進めているところでございます。
今後、こうした作業を積み重ねていくことに加えまして、都民の方々から寄せられるご意見や、また、都議会の皆様方からのご提言などを踏まえまして、現場を持つ東京ならではの発想で、お話のありました社会実験ともいうべき新たな施策を初め、国を先導する重層的、複合的な施策を構築してまいります。
新型インフルエンザ対策
質問1
新型インフルエンザ対策について伺います。
五月の国内初の患者発生後、都は速やかに感染症対策本部を立ち上げ、全庁挙げて感染拡大防止に取り組み、被害を最小限に抑えられております。しかしながら、新型インフルエンザの感染は拡大を続けており、早ければ十月にも最初の流行のピークを迎えるとされています。
また、冬場には季節性インフルエンザの流行とあわせ、例年になく多くの患者発生も予想されます。
来るべき大流行期に備え、都民や事業者に対し的確な情報提供を行い、感染予防のさらなる徹底を図るとともに、地域における医療体制の確保に取り組むことが必要であります。知事のリーダーシップのもと、医師会を初めとする関係機関との協力を一層促進し、この危機に立ち向かっていくべきと考えますが、知事の決意を伺います。
答弁1
知事
新型インフルエンザ対策についてでありますが、新型インフルエンザ発生後、都と関係機関が連携し、感染拡大防止に全力を挙げて取り組んできた結果、都内における患者の発生は、現段階では、調査した医療機関の平均では週三・六六人となっておりまして、比較的小さな規模に何とかとどまっております。
しかし、現在、全国的に若年層を中心とした感染が広がっておりまして、ほとんどの人が免疫を持っていないことから、今後、感染が急速に拡大することが予想されます。
感染を防ぐには、都民一人一人が感染への予防策を講じることが有効でありまして、引き続き、さまざまな機会をとらえて、手洗い、せきエチケットの重要性を訴えていきたいと思います。
間近に迫った大流行に向け、都民が安心して診療を受けられる医療体制を確保しなければなりませんが、医師会や薬剤師会など関係機関との連携をより一層強化し、万全を期してまいりたいと思っております。
質問2
今回のインフルエンザでは、熱やせきといった比較的軽い症状の患者も多く占めておりますが、脳症などの重症例や死亡例も発生しており、先般、我が党は都に対し、対策に万全を期するよう緊急要望を提出したところであります。
大流行期にインフルエンザの発生動向を的確に把握するとともに、基礎疾患を有する方や妊娠をしている方など、重症化しやすい方々や小児への対応を万全にしていくことが重要であると考えますが、今後の医療提供体制にどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
答弁2
福祉保健局長
新型インフルエンザの大流行期における医療提供体制の強化についてでありますが、外来部門におきましては、東京都医師会を通じて、新型インフルエンザの疑いのある患者に対する早期診断、早期治療の徹底を、また、入院部門では、都内の全病院に対し、急増する患者に対応できる体制確保を要請いたしました。
さらに、ICUの稼働実績や人工呼吸器の保有状況等を把握し、重症化した小児や妊婦、基礎疾患を有する方など、専門的医療が必要な患者の診療体制の確保に努めております。
また、サーベイランスの実施、健康安全研究センターの検査体制の強化により、インフルエンザ発生状況の的確な把握を行うとともに、懸念されるウイルスの変異などの監視を強化してまいります。
産業・景気対策
質問1
中小企業対策について伺います。
内閣府が先月発表したことし四月から六月までの国内総生産、GDPは年率三・七%増と五期ぶりのプラス成長となるなど、これまでの政府の取り組みにより、我が国経済は底を打ったという見方が出てきております。
しかしながら、中小企業の現場は、その実感を得るに至っていません。我が党は都内中小零細企業に対し、資金繰りや受注拡大への支援など、昨年度からさまざまな対策を実現してきました。例えば、昨年秋以降、緊急保証制度における指定業種の拡大を直接国に働きかけ実現するとともに、制度開始時に一部に混乱が見られた区市町村の認定業務の円滑化を図るため、中小企業診断士の派遣を素早く実施するなど、厳しい経営環境に直面する都内中小企業の資金繰りを強力に支援してきました。
こうした取り組みにより、都における緊急保証制度の取り扱いは、今年度第一・四半期終了時点で、累計二兆四千億円となるなど、多くの中小企業に利用されています。
その一方で、緊急保証制度によっても資金調達が十分にできない中小企業が存在しているのも事実であります。我が党はこうした中小企業の中で、この難局さえ乗り切れれば将来の展望が開ける企業を見出し、支援していくことを強く求めてまいりました。
本年第一回定例会で成立した東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援に関する条例に基づく支援策を早急に具体化し、多様な資金供給ルートを構築する必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁1
産業労働局長
本年第一回定例会において条例案及び予算案のご議決をいただいた以降、支援策の具体化に向け、地域の金融機関を初めとする関係機関の調整を進めるとともに、民間保証機関から融資スキームの企画提案の募集を行ってまいりました。
このたび、新たな融資制度の枠組みが固まったところであり、具体的には、地域の金融機関の目ききの力と保証機関の審査ノウハウを活用した仕組みといたします。融資対象は、取扱金融機関と一定の取引実績のある都内中小企業とし、資金使途は原則として運転資金、融資限度額は一千万円以下の小口資金、比較的長期の融資期間といたします。
また、預託金や損失補助により、金利、保証料といった中小企業が負担するオールインコストの低減を図ります。
現在、取扱金融機関と保証機関との間で実務的な協議を進めておりまして、今月中の制度開始を目指してまいります。
制度融資に加え、本制度の創設により、高い技術力やすぐれたビジネスプラン等を持ち、この難局さえ乗り切れれば将来的に展望が開ける企業を資金面から支援し、東京の産業活力の維持向上を図ってまいります。
質問2
都内中小企業にとって、受注の減少は深刻です。企業現場、とりわけ製造業では、昨年来急激に受注が落ち込み、先行きが見えないとの不安の声が続いています。こうした危機的な状況を克服するためには、経営力の向上や資金繰りの改善とあわせて、新たな受注を確保し、販路拡大していくことが不可欠であります。
都は、都内中小企業の受注開拓の取り組みを支援する受注開拓緊急支援助成事業を開始しました。新たな受注を開拓するためには、積極的に展示会等に出展して、自社製品をより多くの人に知ってもらうことが大切であり、時宜を得たものであります。
これにとどまらず、大企業を初めとする発注側企業への働きかけなど、あらゆる手を尽くして、積極的に受注開拓に取り組む都内中小企業を総力を挙げて支援していくべきです。
都は今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いします。
答弁2
産業労働局長
昨年来の世界的な不況のもとで、厳しい経営環境に置かれている都内中小企業が活路を切り開いていくためには、ご指摘のとおり、受注開拓と販路の拡大が急務であります。このため、都は、意欲的に経営改善に取り組む中小企業を支援する経営力向上TOKYOプロジェクトで、新たな受注開拓が必要とされた企業に対して、展示会出展経費等を助成する受注開拓緊急支援助成事業を実施しておりますが、これまでに多数の申請をいただいております。
また今後、都と商工会議所や商工会等の中小企業支援機関が連携し、大企業を初めとする発注側企業に直接発注を働きかけてまいります。
さらに、より活発な受発注が行われるよう、地域に密着した地元の金融機関とも連携する等、工夫を凝らした商談会を開催いたしまして、中小企業の受注機会の拡大を一層強力に支援してまいります。
質問3
中小企業の厳しい現状とともに、雇用情勢は一段と厳しさを増しております。今後も、中小企業支援や雇用対策に全力を挙げて推進していく必要がありますが、大切なことは、中長期の展望を持ち、経済の成長を促すとともに、産業の発展によって雇用の場の拡大を図っていくという視点です。経済危機脱出後の新たな成長軌道までを見据えながら戦略的に施策を講じていくことが重要であり、この視点なくしては東京の将来に責任を持つことはできません。
現在、高齢社会の到来や世界的な環境問題への関心の高まりを受け、東京には、健康、環境など今後成長が期待される産業が芽吹いております。こうした産業分野の育成に向け、積極的に政策を実行していくことが今こそ求められていると考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
知事
中長期の視点に立った産業育成についてでありますが、我が国は現在、深刻な経済危機を脱し切れずにおります。
日本の頭脳部、心臓部である首都東京には、成長への道筋を再び見出し、これからも日本経済を牽引していく役割があります。
その役割を果たすためには、足元の危機の克服に向けた中小企業対策、雇用対策に万全を期すだけではなく、厳しい状況の中でも、将来への布石として、成長産業の育成を図っていく必要がございます。
東京には、環境、健康、ロボットなど、今後成長が期待される産業が多く存在しております。こうした産業の育成には、企業や大学が持つ技術を一層高めるとともに、これらの技術を結集し、新事業の創出を促進していくことが必要であります。
このため、今年度から平成二十三年度にかけて、区部と多摩に順次開設する産業支援拠点を核とした新技術、新製品の開発、事業化の促進や、産学公に金融機関も加えたネットワークの構築などに積極的に取り組み、新たな産業発展の道を切り開いております。
このところ、オリンピックの招致運動、ビッディングに忙しくて、外国にしばしば出かけて、いろんな人に会っておりますが、IOCの委員にもなかなかそれぞれの国で重要な地位を占めている人がいますけれども、こういう人たちに、東京が毎年表彰している、なかなか製品になり切れていない先端技術の表彰をした品目の詳細なリストをお渡ししまして、ひとつそれぞれの国で、その地勢に応じたこういった製品、技術の採用というものを東京と協力してやらないかということを持ちかけておりますが、非常に皆さん強い意気込みでこれに反応してくれております。
質問4
入札契約制度について伺います。
我が党では、入札・契約制度改革PTを設置し、入札契約制度のあり方についてさまざまな角度から検討を行ってきました。そこで明らかにしたことは、公共調達においては、事業者に品質の高い仕事をしてもらうことが最も重要ということであります。単に価格が安ければよいというものではなく、同じ価格であっても最大の効果が得られるよう、優良な事業者を契約者として選ぶ仕組みが必要とされているのです。
公共工事は、完成後数十年にわたって都民生活の基盤となる社会資本を整備するものであり、その品質確保は、結局は都民の利益になります。したがって、公共工事の入札契約制度は、そのコスト水準が社会的に真に適正なものとなるよう、適切に運用していく必要があります。
しかし、現在、折からの景気後退による民間建設市場の冷え込みの中で、都も含めて全国的に公共工事の入札価格が著しく低下しており、採算がとれない受注案件もふえているとの指摘があります。
こうした低価格入札が続けば、その工事自体の品質の確保に問題が生じるおそれがあり、中には、評価点に達することができず指名停止になった事業所も複数あると聞いております。同時に、中長期的に企業体力の消耗により技術力の維持が困難になるなど、将来の公共工事の品質確保にも支障が生じるおそれがあります。さらに、低価格で受注した結果として、下請の中小企業への不当なしわ寄せや工事現場での労働安全対策の切り下げが生じているとの懸念も生じています。
都は現在、入札契約制度改革研究会で制度改革の検討を行っていると聞いております。低価格入札をめぐるこうした状況を踏まえ、早急に対策を講じる必要があると考えますが、見解を伺います。
答弁4
財務局長
公共工事は、完成後、数十年の長期にわたり、その機能が維持される必要がございまして、工事の品質の確保は極めて重要な課題でございます。そのため、一定水準を下回る低い価格で入札があった場合には、中小規模の工事では、最低制限価格制度を適用いたしまして自動的に失格とする一方、大規模な工事におきましては、工事施工上の工夫の余地が大きいことから、低入札価格調査制度を設け、当該工事契約の履行が可能か否かを調査した上で契約を締結しておりまして、これらにより価格と工事品質との両立を図ってきております。
一方、厳しい経済状況の中、昨今、低価格の入札案件が増加するとともに、これまでに見られなかったような著しく低い価格での入札が生じてきております。こうした低価格入札が今後続くと、工事現場における労働安全対策の切り下げ、あるいは下請企業への不当なしわ寄せを生じさせるおそれが高く、また中長期的にも、優良な事業者の減少や技術力の低下を招くなど、今後の公共工事の品質確保に悪い影響が生じることが懸念され、必要な対策を講ずべき事態であるというふうに認識をいたしております。
現在、入札契約制度改革研究会におきましてさまざまな角度から検討を行っており、その報告を踏まえて、必要な諸施策を実施し、改革を総合的に進めていくこととしておりますが、低入札価格調査制度につきましては、労働安全対策などの法令遵守の徹底や、中長期的な工事品質の確保の観点に立ちまして、速やかに強化を図ってまいります。
質問5
新銀行東京について質問をいたします。
新銀行東京は、既存の金融機関の貸し渋りなどにより資金繰りに苦しむ中小零細企業に資金を供給し、疲弊した東京の経済を活性化する使命を担って設立をされました。その際、都議会は、我が党や民主党を含む大多数が賛同したわけでありますが、その新銀行東京が、旧経営陣のずさんな経営により深刻な経営悪化に立ち至ったことは遺憾でなりません。
我が党は、昨年第一回定例会において、苦渋の決断ではありましたが、新銀行再建のため四百億円の追加出資に賛成をいたしました。これは、新銀行東京が支える多くの都民の生活や中小零細企業を守ることを最優先すべきとの判断をしたからであります。
新銀行東京は、この五月に発表された平成二十年度決算では、低コスト構造を図るなどにより、当期純損益が再建計画を二十一億円上回る業績を上げました。さらに、八月に発表された平成二十一年度第一・四半期決算で、開業以来初となる黒字を計上し、現経営陣による地道な経営努力が実を結びつつあると評価するものであります。
このように、経営再建が計画を上回る業績で一歩一歩着実に進んでいるにもかかわらず、都議会民主党は、東京マニフェスト二〇〇九において、都は、事業譲渡や株式の売却などを含め、新銀行東京から早期に撤退すべきと主張しています。しかし、経営再建中の新銀行東京から都が撤退するということは、新銀行東京が支えている多くの中小零細企業を切り捨てることを意味し、無責任な主張であります。
民主党が主張する早期の事業譲渡や株式売却は、現実問題として不可能であるだけでなく、多くの都民に不安を与え、迷惑をかけることが必至であります。
厳しい経営環境の中でひたむきに努力をしている中小零細企業と、そこで働く従業員やその家族の生活を守るため、新銀行東京の経営を再建することこそが現在とるべき道であると考えますが、改めて知事の見解を伺います。
答弁5
知事
新銀行東京の経営再建についてでありますが、新銀行東京は、六月末時点で三千億を超える預金を有するとともに、他の金融機関では支援が難しい、赤字、債務超過先を多数含む約一万社に及ぶ取引先を支援しております。
こうした小零細企業を守り、金融不安を招かないために、私はこの銀行の再建を決意いたしました。
新銀行東京は、平成二十一年度第一・四半期決算で、純利益は七億円と、開業以来初の黒字を計上してくれました。さらに、銀行経営のプロが社長に就任し、再建に向けた取り組みは着実に進んでおります。
新銀行東京の支援に頼る多くの小零細企業のことを考えれば、都が新銀行東京から撤退することは、ご指摘のとおり、大きな混乱を招くものであります。したがって、そうした考えは全くございません。
引き続き、新銀行東京の経営再建に全力を尽くしていきたいと思っています。
もし、ことし続いて単年度黒字というものが実現しましたならば、かねて申しておりましたように、外国のセクターなどの協力をする体制も実現していくことができますので、その前提として、ひとつ銀行経営の諸君に渾身の努力をしていただきたいし、これを熱烈に支援していきたいと思っております。
まちづくり
質問1
都市基盤の整備について伺います。
羽田空港では、来年十月に新滑走路が供用開始されるとともに、新たに機能的な国際線ターミナルも完成し、年間で、昼、夜それぞれ三万回の国際定期便が就航する予定です。
羽田空港が首都東京における本格的な国際空港となることは、大変すばらしいことと期待していますが、羽田の将来的なあり方を考えると、まだこれで十分とはいえません。
昼間の時間帯については、運航回数が約三万回となっているがゆえに、台北や香港など近距離のアジア路線に限られ、シンガポールやバンコクなど、その先の都市までは就航することができません。供用開始以降も、昼間の発着回数の拡大を図って、国際化を一層進めていくことが必要と考えます。
供用開始後を見据えて、さらなる国際化に向けた知事の所見を伺います。
答弁1
知事
羽田空港の国際化についてでありますが、羽田は都心と直結して、二十四時間利用できる空港でありまして、世界の大都市の空港の中で最も便利な空港と思われます。国際競争力の強化など、我が国の将来を左右する非常に重要なインフラだと思います。
新しい滑走路の建設について、都は無利子貸付の協力を行っておりまして、事業は着実に進んでおりますが、来年十月の供用開始が一日たりともおくれることがあってはならないと思います。まずは、これを確実に実現させていきたいと思っております。
それでもなお、国際都市東京のグローバルな経済活動や後背人口を含めたポテンシャルの高さなどを考慮しますと、供用開始時に年間三万回としている昼間の国際線発着枠では、とても十分ではありません。
年間四十万七千回となる昼間の空港容量のうち、まだ配分先が決められていない発着枠を極力国際線に振り向けまして、シンガポールやアジアなどの主要都市へのさらなる就航拡大を進めるとともに、昼間の空港容量自体についても、管制の工夫などによりまして、可能な限り増大させるよう強く求めてまいります。
これは内々の合意でありますけれども、近い将来、Cラン、南北に延びております滑走路の一つをさらに延長しまして、羽田からも一番の大型機が旅客を満載し、満タンにして、今では不可能です、羽田からは不可能なワシントン、ニューヨークであるとか、パリ、ロンドンまで直行便が飛べるように、これは必ずしたいと思いますし、内々の合意も得ております。
質問2
成田空港が閉鎖されている深夜、早朝の時間帯については、来年十月から、欧米など世界の主要都市との間を結ぶ国際定期便が羽田空港から数多く運航し、多数の利用者が集まることとなります。それに伴い、深夜早朝に利用する利用者の足となる公共交通手段を確保することが必要不可欠になってきます。
羽田空港の二十四時間化に対応した空港アクセスの充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2
都市整備局長
二十四時間利用可能となる羽田空港の特性を生かすには、深夜、早朝の国際線に対応した公共交通手段を確保することが重要でございます。昨年から、深夜、早朝のチャーター便のため、バスの運行を開始するとともに、モノレールの空港駅からの始発時間を繰り上げるなどの対応を始めておりますが、再拡張後は、深夜、早朝の利用者が飛躍的にふえることが見込まれます。
このため、国は本年五月から、都や交通事業者など関係者とともに運行時間帯の拡大や本数の増加などについて検討、調整を始めました。都としては、国と連携を図りながら、深夜、早朝便に対応した使いやすい公共交通手段の確保など、空港アクセスの充実に取り組んでまいります。
質問3
東京の最大の弱点である交通渋滞を解消し、都市の利便性の向上や国際競争力の強化を図るため、三環状道路を初めとする幹線道路ネットワークの整備が極めて重要であります。
中でも、東京外かく環状道路は、首都東京の渋滞解消に寄与するだけでなく、広く我が国全体に便益を及ぼす重要な幹線道路であり、大きな整備効果があることから、一日も早い完成が待ち望まれております。
本年五月、外環の整備計画が決定し、国の平成二十一年度の補正予算が成立したことで、事業化されました。また、都議会においても、第二回定例会で外環の補正予算を速やかに成立させました。
そこで、都は、国と協力し、積極的に整備を推進すべきと考えますが、外環整備推進に向けた都の取り組みについて伺います。
答弁3
東京都技監
外環の整備推進に向けた都の取り組みについてでございますが、外環は、東京から全国に放射状に延びる高速道路を環状に連結し、東京のみならず、広く国全体にその便益が及ぶ重要な幹線道路であり、国の責任において早急に整備されるべき路線であります。
国は、平成二十一年度予算において、九十五億円の事業費を計上し、事業着手したところであり、外環の関越道から東名高速間の用地取得の一部を受託する協定を六月末に国と都の間で締結いたしました。
今後速やかに、国とともに事業説明会を開催し、都は四カ所のジャンクション、インターチェンジのうち大泉ジャンクション部において、これまで道路整備で培ってきた経験を生かし、迅速に測量や用地取得を進め、早期着工に結びつけてまいります。
また、都は、外環の整備を進めるに当たり、国と協力して地元の意見や要望に対する考え方を示した対応の方針を確実に履行してまいります。
さらに、国に対しては、事業費の安定的な確保とコスト縮減を強く働きかけ、沿線区市と連携し、早期完成に向け、積極的に取り組んでまいります。
質問4
都は、区部環状、多摩南北などの骨格幹線道路の整備を推進しております。このうち、環状二号線は、都心部と臨海部を結ぶ極めて重要な路線であり、沿道で進められている新しいまちづくりを支えるためにも、早期整備が必要であります。
そこで、環状二号線の臨海部から虎ノ門に至る区間の整備の必要性と取り組みについて伺います。
答弁4
東京都技監
環状第二号線の臨海部から虎ノ門に至る区間の整備の必要性と取り組みについてでありますが、本区間の整備は、都心部と臨海部との連絡強化や地域交通の円滑化を図るとともに、緑豊かな都市空間ネットワークを形成する上でも極めて重要であります。
さらに、臨海副都心や晴海、勝どき、新橋・虎ノ門地区などでは、新たなまちづくりが進んでおり、これらの開発に伴い発生する交通需要に対応するためにも、早期整備が必要であります。
現在、本区間のうち、未整備の豊洲から虎ノ門までの四・八キロメートルの区間で事業中であります。
このうち、豊洲及び晴海地区につきましては、区画整理事業などにより整備を進めております。
勝どきから築地までの区間では、用地の取得を鋭意進めており、今年度から隅田川及び朝潮運河にかかる橋梁工事にも着手いたします。
汐留から虎ノ門までの区間では、再開発事業などと一体的に整備を進めており、既にトンネル区間の約七割で工事を実施中であり、来年度までには全区間で工事に着手してまいります。
今後とも、平成二十七年度の全線開通を目指し、全力で取り組んでまいります。
質問5
急激な都市の拡大とモータリゼーションの進展の過程で深刻化した踏切問題は、二十世紀の負の遺産であります。都内にはいまだ約千百六十カ所の踏切が残されており、その四分の一は、いわゆるあかずの踏切となっております。
こうした踏切は、交通渋滞や市街地の分断など、都市の活力の低下を招く要因になっており、抜本的な解決が必要であります。
都は、「十年後の東京」計画において、渋滞のない効率的で利便性の高い都市を実現するとしていますが、そのためには、踏切遮断による交通渋滞や地域分断を解消し、交差道路の整備や沿線のまちづくりを一体的に促進する連続立体交差事業をより一層推進していくことが不可欠であります。
そこで、連続立体交差事業の推進に向けた都の取り組みについて伺います。
答弁5
東京都技監
連続立体交差事業の取り組みについてでありますが、本事業は、数多くの踏切を同時に除却することにより、交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する極めて効果の高い事業であり、都が事業主体となり、道路整備の一環として必要な財源を確保しながら実施しております。
現在、七路線八カ所で事業を進めており、平成二十七年度末までに百八カ所の踏切を除却する予定であります。
このうち、JR中央線につきましては、本年十二月に、三鷹駅から国分寺駅間を高架化し、十三カ所の踏切をすべて除却いたします。
一方、新規箇所につきましては、昨年度、新規着工準備箇所として採択されました西武新宿線中井駅から野方駅付近と、京王線代田橋駅から八幡山駅付近の二区間の都市計画及び環境アセスメントの手続の着手に向けて、関係機関と調整を進めております。
また、今年度採択されました西武新宿線東村山駅付近につきましては、現在、構造形式や施工方法を検討しており、今後、国と協議してまいります。
さらに、京王線八幡山駅から仙川駅付近につきましては、世田谷区が施行いたします補助第二一六号線の整備計画が具体化したことから、連続立体交差事業の事業候補区間として位置づけ、事業化に向けまして、隣接いたします代田橋駅から八幡山駅付近と一体的に都市計画などの手続に取り組んでまいります。
引き続き、必要な財源の確保に努め、区市や鉄道事業者と連携しながら、連続立体交差事業を一層推進し、効率的で利便性の高い都市の実現に取り組んでまいります。
多摩振興
質問1
依然として厳しい経済情勢が続く中、今必要なことは、都民が希望を持てる東京の実現に向け取り組んでいくことであります。特に、環境にも配慮しながら、都市活力を支える都市づくりを戦略的に進め、引き続き日本を牽引する都市へ東京を再生することが必要です。
都は、この七月、東京の都市づくりビジョンを改定し、これからの東京の都市づくりを展開する上での基本的な方針を明らかにしました。重要なことは、このビジョンを実際の都市づくりに反映させ、都市の再生に結びつけていくことだと思います。
そこで、都市づくりビジョンの改定を踏まえ、今後の都市づくりの具体的な取り組みについて伺います。
答弁1
都市整備局長
改定した都市づくりビジョンでは、魅力とにぎわいを備えた環境先進都市東京を新たな基本理念として、都市活力を高め、環境の面においても世界の範となる都市づくりを進めていくことといたしました。
都心部では、都市再生を積極的に進め、業務機能等の質的高度化とともに、エネルギー利用の効率化を図り、国際競争力の強化と環境負荷の低減を両立させてまいります。多摩地域では、多様な都市機能が集積した核都市の整備や、都県境を越えた交通ネットワークの強化により、ゆとりある住環境を備えた自立した都市圏を形成してまいります。
また、区部、多摩を通じて、駅周辺のまちづくりなどを促進して、地域の生活を支え、魅力を高める施設の充実を図り、にぎわいのある生活拠点を整備してまいります。
今後、このような施策を積極的に展開することにより、東京を、さらに機能的で魅力のある環境先進都市へと再生してまいります。
質問2
都は、都市づくりビジョンに引き続いて、先月、多摩の拠点整備基本計画を発表しました。多摩の拠点を対象としたまちづくり計画としては、多摩の心育成・整備計画以来となります。
この計画において、八王子、立川、多摩ニュータウン、青梅、町田の五つの核都市に加え、新たに身近な圏域の都市づくりについても方向を明らかにしたことは、これまでの我が党の主張を踏まえたものであり、今後、この計画に基づき、まちづくりの取り組みが促進され、多摩地域全体の活性化が図られることを期待します。
そこで、都は今後、多摩地域の拠点の整備に具体的にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
答弁2
都市整備局長
多摩地域の都市づくりについてでございますが、このたび発表した多摩の拠点整備基本計画では、広域的な拠点である核都市に加え、より身近な生活拠点についても、整備の方針と具体的なプロジェクトを示し、まちづくりを促進することといたしました。例えば、核都市については、立川基地跡地昭島地区における土地区画整理事業の事業化を図り、目標とするまちづくりの早期実現に取り組んでまいります。
また、生活拠点では、調布駅やひばりヶ丘駅の周辺などにおきまして、連続立体交差事業や都市計画道路の整備にあわせ市街地の再編を促し、身近な拠点を再生してまいります。
今後、広域的な基盤整備を推進するとともに、補助制度の活用等を通じて地元市の取り組みを積極的に支援し、自立して一層の発展を遂げる多摩地域を実現してまいります。
質問3
我が党は、昨年、多摩リーディングプロジェクトの見直しを主張し、都がこれにこたえ多摩振興プロジェクトを策定したように、これまで、都と一体となって多摩地域の振興に取り組んでまいりました。その結果、都市基盤整備などのハード事業のみならず、地域医療体制の整備や子育て支援など、ソフト事業も取り入れた総合的な多摩振興策を進めることができるようになりました。
四百万人の人口を擁する多摩地域のさらなる発展に向け、この多摩振興プロジェクトを確実かつ積極的に進めることは都の責務であると思いますが、改めて、今後の多摩振興に対する都の取り組みについて所見を伺います。
答弁3
総務局長
都は、活力と魅力にあふれた多摩の創造を目指し、平成十三年に多摩の将来像二〇〇一を策定するとともに、その将来像の一層の具体化を図るため、多摩アクションプログラムや多摩リーディングプロジェクトなどを明らかにし、多摩地域の振興を進めてまいりました。本年二月には、新たな視点により、ハード事業のみならずソフト事業も取り入れた総合的な振興策として、多摩振興プロジェクトを策定いたしました。
今後とも、関係局及び市町村とも十分連携しながら、首都圏の中核拠点として発展する多摩の実現に向けまして、本プロジェクトを精力的に推進していくとともに、多摩地域を取り巻く状況や今後の発展を見据え、さらなる振興を図るための検討を進めてまいります。
安心・安全の確保
質問1
災害対策について伺います。
先月半ば、駿河湾を震源とするマグニチュード六・五の地震が発生し、東名高速の一部が五日間にわたって不通になるなど被害が生じました。東京で大地震が発生した場合、木造住宅密集地域が広範に分布することなどから、その被害ははかり知れません。
都では、防災都市づくり推進計画を策定し、木造住宅密集地域のうち、大きな被害が想定される地域で重点的に事業を展開していますが、首都直下地震の切迫性が指摘される今日、災害時の避難等に不安のある高齢者や障害のある方にも配慮をしながら、これまで以上にスピードを上げ市街地の防災性向上に取り組むことが必要です。
都は、防災都市づくり推進計画を見直すとしていますが、どのように災害に強い都市づくりを推進するのか、基本的な考え方と今後の進め方について伺います。
答弁1
都市整備局長
都におきましては、首都直下地震の切迫性を踏まえ、地震による建物の倒壊や市街地火災を防止し、避難、消火活動等を円滑に実施できる都市構造を早期に実現することが重要であります。
このため、最新の地域危険度調査や、これまで実施した事業の検証結果などを踏まえ、重点的な取り組みを行う整備地域の見直しを進めるとともに、沿道一体整備事業等の効果の高い事業や、防災街区整備地区計画等の規制誘導策を重層的かつ積極的に実施することによりまして、市街地の不燃化のスピードアップを図ってまいります。さらに、主要な生活道路を含めた避難経路の安全性を確保するため、沿道建物の耐震化を一層促進してまいります。あわせて、道路の段差解消など、避難時にも有効なユニバーサルデザインのまちづくりや、緑化の促進等による良好な都市環境の形成を、防災都市づくりの中でも進めてまいります。
このような基本的な考え方に沿って、防災都市づくり推進計画を平成二十二年当初を目途に改定し、地元自治体を初め、さまざまな主体と連携して、災害に強い都市づくりに着実に取り組んでまいります。
質問2
防災都市づくりを進める上で大切なのは、震災時に緊急物資の輸送や救急活動等の大事な役割を担う緊急輸送道路の機能を確保することであります。
阪神・淡路大震災では、倒壊した建物が道路をふさぐことにより、救急活動などの大きな妨げとなりました。このような事態とならないよう、沿道建物の耐震化を早急に進める必要がありますが、それには建物の所有者の理解と協力が欠かせません。
都は、緊急輸送道路沿道の建物の耐震化をどのように進めていくのか、所見をお伺いいたします。
答弁2
都市整備局長
緊急輸送道路沿道の建物の耐震化についてでございますが、緊急輸送道路は、震災に際して、救急活動や物資輸送等の役割を担うものでございまして、建物倒壊による道路閉塞を防ぐことが重要でございます。
そのため、都は、沿道建物の耐震化に重点的に取り組んでおり、今年度から耐震診断の補助率を引き上げるとともに、総合相談窓口を開設し、建物所有者等への助言や相談に応じてまいりました。さらに、第一京浜や明治通りなどの優先度の高い路線を選定し、所有者の積極的な取り組みを促すため、地元自治体と連携して、戸別訪問を行い耐震化の必要性を直接訴える、いわゆるローラー作戦に本年八月から着手いたしました。
今後とも、これらの施策を積極的に展開し、地震に強い東京の実現に向け取り組んでまいります。
質問3
ことしは、西日本を中心として梅雨前線や台風に伴う多くの水害が発生し、貴重な人命が失われました。東京においても、近年、時間五〇ミリを超える豪雨が増加しており、八月にも北区で時間一〇〇ミリを記録する集中豪雨がありました。こうした豪雨による浸水被害は、都市化の進んだ東京にとって深刻な問題であり、治水対策はますます重要性を増しています。中でも河川整備は、治水対策のかなめとなる重要な施策であります。
都は、河川整備を着実に進めてまいりましたが、五〇ミリ降雨に対する現在の整備では、まだまだ十分とはいえません。
我が党はこれまで、より高い整備水準に移行するための取り組みを開始すべきとの考えを明らかにしてまいりました。東京の中小河川において、今後、河川整備をどのように進めていくのか、見解を伺います。
答弁3
東京都技監
水害から都民の命と暮らしを守るためには、中小河川の整備を積極的に進めることが重要であります。
都はこれまで、一時間五〇ミリの降雨に対処できるよう河川の拡幅や調節池、分水路の整備を進め、治水安全度を七五%まで向上させてまいりました。
平成二十一年度から、白子川地下調節池の整備を再開するとともに、入間川分水路の整備に着手するなど、五〇ミリ降雨対策のスピードアップを図っております。
さらに、近年の局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も踏まえ、東京に既往最大の被害をもたらしました狩野川台風級の七五ミリ降雨を視野に入れ、今後の河川整備のあり方について検討を進めております。
具体的には、学識経験者の意見を聞きながら、近年の豪雨実績も含めた降雨データの解析や既定計画の河川施設の再評価を行い、局地的集中豪雨の際にも、流域間で効果的な運用が可能な調節池の増設など、必要となる河川施設を検討してまいります。
引き続き、都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、中小河川の整備に全力で取り組んでまいります。
質問4
集中豪雨による浸水から住民の生命、財産を守るためには、このようなハード整備の取り組みはもとより、住民みずからが一刻も早く浸水の危険性のある場所から安全に避難できるように支援することも重要な行政の責務であります。そのためには、区市町村が機を失することなく避難勧告等の発令を適切に行えるよう、都は、区市町村に対して迅速かつ的確に情報伝達を行っていくべきであります。
市街地が広がる東京では、局地的な集中豪雨で、極めて短時間のうちに道路や家屋が浸水する都市型水害が大変憂慮されております。迅速かつ的確な情報伝達の重要性を改めて痛感するところでありますが、都における取り組みについて伺います。
答弁4
総務局長
集中豪雨時の情報伝達についてでございますが、ご指摘のとおり、区市町村が住民に正確な情報を迅速かつ的確に伝達することが重要でございます。そのため、都は、気象警報など重要な防災情報を、防災行政無線や災害情報システムによりまして区市町村に迅速に提供を行う体制を整備しております。また、毎年、都内全区市町村や防災機関と合同で情報連絡訓練を実施しておりまして、本年は、三月から開始されました神田川洪水予報によりますはんらん警戒情報の発表を想定した訓練を行いました。
今後も、都民の安全を守るため、実践的な訓練を繰り返し実施するとともに、都と区市町村、関係機関の情報の共有化を一層進める新たな災害情報システムを導入するなど、情報伝達体制の充実に努めてまいります。
質問5
八ッ場ダムについて伺います。
八ッ場ダムは、特定多目的ダム法に基づく国直轄の事業です。基本計画の作成、変更、そして廃止の際には、必ず関係一都五県知事の意見をその都度聞きながら事業を進めていかなければならないものであります。また、知事が意見を述べる際には必ず議会の議決が必要である旨、法は厳しくその手続を求めています。
埼玉県が、専門家による懇話会を設置し、客観的に検討を加え、知事の意見の提出の際の参考とするなど、国や都県においては独自の事業評価などを適宜実施してきたところでもあります。
さらに、都は、国との間でコスト管理等に関する連絡協議会を設置し、その後、一都五県の共同による協議会へと発展させて、確実にコストカットの成果も出しています。
今大切なことは、この事業が、国のみならず一都五県との連携において、中央政府と地方政府が数々の手続を積み重ねた上での約束のもとに成り立っているという紛れもない事実を我々が再認識することであります。
すなわち、関係地方政府の正当なこれまでの法手続を無視することは、政権政党がどこになろうと、政府としてできる話ではないのであります。もし、そんなことをしたら、国が地方政府を否定するようなものであります。
だからこそ、群馬県、埼玉県、そして千葉県知事からも同様な疑問が民主党に投げかけられているのです。加えて司法の場においても、八ッ場ダムに関する各都県の支出差しとめ訴訟では、東京、前橋、水戸の各地裁において、ダムの必要性を認める判決が繰り返し出されています。
こうしたことからも、八ッ場ダムの早期建設については、政権政党がどこであれ、着実に事業を推進していく必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
答弁5
知事
八ッ場ダムの事業推進についてでありますが、八ッ場ダムにつきましては、計画の公表以来、半世紀以上にわたり、地元の意向を最大限に尊重しながら、国と利根川流域の一都五県において、法律に基づく手続を積み重ね、今日まで事業を進めてまいりました。
治水と利水の恩恵を受ける関係都県はいうまでもなく、今では水没地の関係住民も一致団結して、ダムの一日も早い完成と生活再建を切望しております。
この生活再建の一部には、新しいダム、湖を観光の対象とする、そういった計画もありまして、これがとんざするということは、まあ住民の方にとっては青天のへきれきといいましょうか、まさに雷に打たれたような驚きじゃないかと思いますが、先般、あるところで、埋没する地域の下流のまちの町長さんにお目にかかりました。この方は、別にいずれの党にも属していない、地元から出たニュートラルな町長さんでありますけれども、この人が、まさに涙を浮かべて慨嘆しておりましたね。一体これはどういうことなんだろうかと。
こうした長年の経緯と現実も顧みずに、政権をとった上で、司法も妥当と認める公共事業を中止できると考えることは、これはまさしく暴論であって、国が強引に地方との信頼関係を覆すことにもなりかねないと思います。まさにこれは地方分権というものにもとるんじゃないでしょうか。
人口や都市機能が高度に集積する首都東京において、一たび洪水や渇水が起これば、日本の社会全体が混乱するわけであります。たびたび申していますように、今、東京にとって、関東一円にとって不可欠の水がめであります、水源地であります小河内ダムができたときも、一部の人に反対がございました。
この人たちは、ダムができたとき、小河内ダムは確かに読めばそう見えますけれども、しょうがないダムだって嘲笑しましたが、次の年に干ばつが来て、あのダムをつくったおかげで首都圏は救われたわけでありまして、この今日の異常気象の中で、どういう気象がこれから異常な形として東京近辺を襲うのかわかりませんが、いずれにしろ、繰り返して申しますけれども、この首都圏に洪水、渇水が起これば、日本の社会全体が混乱するわけであります。
今日、地球規模による異常気象が生じておりまして、今から十全の備えを行っていくことは、知事としての当然な責務であります。まして事業はもう七〇%完成している。あとはダムをつくるだけの段階で、この異常気象というものをどう踏まえているか知りませんが、私は、あのダムは決して不要なものではない、必ず近い将来、首都圏にとって必要なものであるということを天が証明してくれるのではないかと思います。
重ねて申し上げているとおり、八ッ場ダムは、治水、利水の両面から、都にとって必要不可欠な施設でありますし、引き続き関係自治体との連携を一層強めながら、事業の継続と早期完成を国に強く求めてまいります。
福祉・保健・医療施策
質問1
障害者施策について伺います。
まず、障害者自立支援法についてであります。この法により、身体、知的、精神のいわゆる三障害に対する福祉サービスの一元化や、国と地方自治体の財政負担のルール化による財源確保が図られるとともに、利用者負担についても、サービスの利用量と所得に応じて利用者が一定の負担をすることとされました。
法施行後も、負担能力に応じた利用者負担の大幅な軽減措置や事業者収入の保障、報酬引き上げなどが実施されてきました。その結果、利用者負担は平均三%程度に下がり、また、事業者収入の安定によりサービス供給量も増加しています。
さらに、さきの国会に提出された改正法案は、利用者負担軽減措置の実態に合わせ、応能負担を原則とすることや、重度視覚障害者の移動支援を新たに法定給付とすることなど、障害者からの要望が強い事項にもこたえたものでありました。
しかし、去る七月十四日の参議院における麻生総理問責決議の可決を受け、民主党などが国会審議に応じない状況の中、審議未了により廃案となりましたが、都議会自民党は、この法案が再度国会に提出され、早期に成立が図られるべきと考えます。都としても、早急に対応するよう国に求めていくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1
福祉保健局長
さきの国会に提出された障害者自立支援法等の改正法案では、利用者負担を応能負担とすることや、発達障害者を支援の対象として明確に位置づけることが提案をされておりました。
また、身近な地域での障害児支援を強化することや、重度視覚障害者の社会参加を促進する上で重要なサービスである移動支援を法定給付とすることなども盛り込まれておりました。
これらの内容は、都として、これまで要望してきた趣旨に沿うものであり、早急に実現が図られるよう、引き続き国に求めてまいります。
質問2
精神障害者対策について伺います。
障害者自立支援法により、精神障害者の福祉サービスの基盤整備が進むなど一定の成果があったとはいえ、医療面においてはまだまだおくれているといわざるを得ません。
都の現状を見ますと、都内の精神科病床の三分の二は多摩地域に遍在しており、身近な地域での医療の継続や、休日・夜間の医療提供体制などは、いまだ十分とはいえません。
都では、いわゆる社会的入院の状態にある精神障害者の地域生活への移行を進めていますが、退院後、地域生活を送っていく中で、服薬や通院などの治療が中断し、病状が悪化するケースも見られ、家族の負担も少なくないと聞いております。
精神障害者が、治療を継続し、安心して地域で生活をしていけるような仕組みづくりが急務と考えますが、所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
精神障害者の方々が地域で安定した生活を送るためには、適切な医療を身近な地域で継続して受けられるようにすることが重要であります。
このため、都は、本年六月に、東京都地方精神保健福祉審議会において、精神障害者を地域で支える上で必要な医療提供体制の整備等について検討を開始いたしました。
今後、審議会の意見を踏まえ、地域における医療機関等の連携体制の構築及び病状に応じて、より迅速に適切な医療に結びつけるための精神科救急医療体制の改善などについて、積極的に検討を進めてまいります。
質問3
高齢者対策について伺います。
今後高齢化が進展する東京において、高齢者は、老後に対する不安を持って暮らしています。その一つが住まいであります。現在、都では、都市整備局と福祉保健局とが一体となって検討を進めており、そこでは、都独自のケアつき住まいの整備促進が提唱されております。もちろん、本格的な高齢社会が到来する中で、高齢期の新たな選択肢の一つとして、ケアつき住まいを確保していく必要があります。
一方、都の調査において明らかなように、高齢者の約三分の二は現在の自宅での生活を希望され、その割合はふえる傾向にあります。地域には、ボランティアや民間事業者など、多様なサービス提供の担い手が存在しています。
そこで、今後、都として、住みなれた自宅暮らしを続けたいという高齢者の意向を実現するためにも、こうした多様なサービス資源をコーディネートする機能を強化することにより、安心して住み続けられる仕組みをつくり出す必要があると考えますが、所見をお伺いします。
答弁3
福祉保健局長
都では、今後の急速な高齢化の進展を見据え、猪瀬副知事を座長にプロジェクトチームを設置いたしました。
お話のとおり、在宅や住みなれた地域で暮らし続けたいという高齢者も多いことから、プロジェクトチームでは、地域全体に安全と安心を提供する仕組みとして、公的サービスを初めボランティアや民間事業者などをコーディネートする新たな拠点の設置を検討しております。
今後、事業の詳細についてさらに検討を行い、その内容を踏まえ、都として国に先駆けて新たなモデルの実現に取り組んでまいります。
質問4
先般、群馬県での高齢者の施設の火災事故は、大都市における高齢者施策について警鐘を鳴らしました。都では、直ちに類似の都内施設を対象とした緊急点検を実施するとともに、実効性ある指導が行えるための法改正を国に緊急提案を行い、さらに、防火設備の助成経費を補正予算により対応するなど、迅速かつ着実に取り組んできました。
さて、都では先月、未届け有料老人ホームのさらなる届け出促進のため、新たな指導体制を構築したと聞いております。
そこで、その内容や今後の未届け施設等への対応について伺います。
答弁4
福祉保健局長
都は、高齢者施設での火災事故を踏まえ、都内の未届け施設に対し、関係機関と連携して届け出指導を行ってきた結果、本年八月末までに六件の届け出がありました。
今回新たに社会福祉士や消防署員、区市の建築指導担当職員等から成る緊急対策チームを適宜編成し、施設設備やサービス提供の実態を調査するとともに、届け出促進に向けた指導を強力に行っております。また、未届け施設の情報の共有化等を図るため、東京消防庁や区市と連絡協議会を設置するなど、今後とも関係者間で連携しながら指導を徹底してまいります。
質問5
今回の火災事故に関連し、要介護度が高く、かつ低所得者が入所しやすい施設として特別養護老人ホームの整備が望まれています。現在、特養の整備はユニット型が基本でありますが、区市町村では、低所得者への配慮から、多床室での整備の希望も多いと聞いております。
こうした区市町村の実情も踏まえ、今後、都として、多床室も含む特別養護老人ホームの整備方針についてどのように考えているのか、所見を伺います。
答弁5
福祉保健局長
都では、利用者本位のケアを実現するため、特別養護老人ホームの整備に当たり、ユニット型個室での整備を基本として補助を実施しております。しかしながら、既存施設をユニット型に改築する場合、今まで以上の敷地が必要となるなど、物理的な対応が困難な場合も考えられます。このため、既存施設の増改築については、プライバシーに配慮するなど一定の条件のもとに、ユニット型でない施設についても今年度から補助の対象といたしました。
新たに特別養護老人ホームを整備する場合における従来型多床室の扱いにつきましては、ご指摘のとおり、区市町村の実情も踏まえ、今後、施設運営上の課題などを十分に検証した上で、検討してまいります。
質問6
救急医療について伺います。
医師の不足などから、救急医療機関は減少していますが、一方、高齢化の進展などにより、救急医療に対する需要は伸びています。都内の救急搬送件数は年間五十八万件と膨大ですが、医療機関や救急隊の懸命な努力により、そのほとんどは迅速に救急医療が提供されております。しかしながら、搬送先の選定に三十分以上を要するなどの、いわゆる選定困難事案も六%程度発生しております。
こうした状況に対し、先月末にスタートした救急医療の東京ルールが目指しているものは何か、スタートしたばかりではありますが、その実績がどのようなものなのか、伺います。
答弁6
福祉保健局長
東京ルールは、地域全体で救急患者の受け入れ病院をより迅速に選定することを目指した新たな取り組みであります。従来の救急隊などによる救急医療機関選定の仕組みに加え、地域で救急患者の受け入れ調整等を担う地域救急医療センターを指定するとともに、これをバックアップするため、都内全域での調整を行う救急患者受け入れコーディネーターを配置するものであります。
八月三十一日から九月十二日までの十三日間で、搬送先選定が困難な事案として受け入れ医療機関選定を行った実績は二百八十八件でありましたが、このうち二百四十三件は地域内で受け入れが行われました。新たにスタートしたこの方式を着実に推進し、救急医療体制の確保に万全を期してまいります。
質問7
がん医療について伺います。
東京都は、がん診療連携拠点病院や都独自の東京都認定がん診療病院の整備や連携体制の構築など、患者さんに適切な医療が提供できるよう取り組んでいます。また、医療機関が患者さんや家族の不安や疑問に丁寧に対応できるよう、がんに関する情報提供の推進、相談支援体制の整備を図っています。
そこで、都がこれまで取り組んできた、患者さんに対する相談体制の充実の具体的な内容と、その効果について伺います。
答弁7
福祉保健局長
がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院では、相談支援センターを設置し、患者、家族の不安や疑問に対し、きめ細かな相談や情報提供を行っております。また、今年度新たに、拠点病院等における患者、家族の交流を支援するための事業である、がん患者・家族交流室整備事業を四病院で実施をしてまいります。さらに、患者会の協力を得て行う、がん経験者によるピアカウンセリング事業では、生きがいや治療に臨む勇気を得たとの声をいただいているところであります。
この十月からは、日中、仕事を持つ患者や家族の利便性にも配慮し、相談支援センターにおける休日・夜間相談をモデル実施いたします。今後とも、相談支援体制の充実に向けた取り組みを進めてまいります。
質問8
小児総合医療センターについて伺います。
同センターについては、来年三月のオープンまであと半年になりました。建物も順調に整備が進み、今月中に竣工すると聞いています。しかし、病院事業においてハード以上に重要なのがソフト面の整備です。我が党はこれまで、医師、看護師の確保に全力を注ぐべきこと、小児三病院転出後の地域での医療整備をきちんと行うべきことを再三にわたり申し上げてきました。
まず、医療従事者についてですが、同センターは、小児の心から体に至る高度かつ専門的な医療を行う、我が国でもトップクラスの医療機関としての役割が期待されています。一方、病院に勤務する女性医師や看護師は、激務などを理由に中途退職することが社会問題化しており、医療従事者不足に拍車をかけています。このため、質、量ともに十分な医療従事者を確保するとともに、こうした医療従事者が激務に疲弊することなく、持続して勤務し続けられるような勤務体制をとることも重要であります。
そこで、開設時の医療体制についてはどのように考えているのか伺います。
答弁8
病院経営本部長
ご指摘のとおり、同センターが都における小児医療の拠点として、救急や周産期などの高度専門医療に取り組んでいくためには、多くの優秀な人材を必要としております。このため、現行小児三病院の人員と比較して、医師は五割程度、また看護職員は二割程度の増員を目指して努力しているところでございます。
全国的に医療人材の不足が深刻化する中で、こうした体制を整えることは容易ではありませんが、新センターの医療機能の高さや処遇改善等の取り組みが医療関係者から高く評価され、医師については大学派遣や海外の著名な病院からの招聘など、人材の確保が進みつつあります。
なお、昼夜を問わず患者が訪れる救急部門等では、宿直明けに休みをとることができる一直二勤務体制の導入を図り、医師の過酷な勤務の改善にも努めてまいります。
また、看護職員についても、採用試験の複数回実施や地方選考の実施等、採用活動の強化等に取り組むとともに、七対一看護基準や二交代制の導入など、働きやすい職場づくりに努めております。
今後とも、来年三月の開院に向け、組織の総力を挙げて人的体制の整備に取り組んでまいります。
質問9
今回の小児病院の移転統合は、多摩いずれの地域にも小児医療の充実をもたらすものでなくてはなりません。そのためには、北多摩北部地域や八王子地域といった、小児病院転出後の地域の小児医療体制の確保、充実に向けた取り組みを着実に進めていくことが必要であります。あわせて、今後、同センターがこれらの地域を含めた多摩地域の小児医療全体に大きく寄与していくためのさまざまな医療セクターが参画する仕組みづくりが重要であります。
そこで、これまでの取り組み状況と今後のさらなる対応について所見をお伺いします。
答弁9
病院経営本部長
小児病院が転出する地域の小児医療体制の確保については、この間、地元自治体や医師会など関係機関との協議を精力的に重ねております。
その協議の結果を踏まえ、北多摩北部地域においては、六月から多摩北部医療センター小児科の病床数を十三床から三十五床に整備拡充して受け入れを開始するとともに、四月から増強した常勤医師に加えて、清瀬小児病院から三名の医師をチームで派遣しております。さらに、多摩北部医療センターで実施している平日準夜帯での初期救急医療について、今月より週三日から週五日に拡大して実施に移したところであります。
一方、八王子地域においては、中核病院である東海大学八王子病院及び東京医科大学八王子医療センターでそれぞれ六床、合計十二の小児病床を新たに確保できる見込みとなっております。また、小児病院転出後の跡地と建物を活用して、八王子市が小児初期救急医療や重症心身障害児の通所事業を行うこととなっております。
さらに、ご指摘のとおり、多摩地域全体の小児医療水準を向上させる上で、医療機関の連携は非常に重要でありますことから、小児総合医療センターと多摩北部医療センターとの連携づくりなど、限られた医療資源を最大限有効活用するための仕組みづくりを進めてまいります。
今後も、小児病院が転出する地域を初め、多摩地域の小児医療の一層の充実に、関係局とともに全力で取り組んでまいります。
豊洲新市場
質問1
豊洲新市場の整備について伺います。
我が党は、都民はもとより、首都圏三千三百万人の食を支える築地市場の将来を真剣に考え、長期的視点から議論を進めてきました。
今回、民主党は、現在地再整備の検討を改めて行うべきとしています。しかし、築地での再整備は、過去に工事が中断し、平成十年に業界要望を受けて、最終的に都として移転整備の方針を定めたもので、都議会でもその当時より十分に審議を重ねてきております。築地の市場業界も、六団体のうち五団体は移転を希望しており、残る一団体の水産物仲卸業者も移転賛成と反対の意見が拮抗し、その代表者は、移転以外に方策はないとしています。移転反対が大多数の声であるかのような主張は、事実を大きくねじ曲げるものであります。
過去の経緯や市場業界の意向を無視し、対案を示さず、出口のない再整備の議論を繰り返すことは、いたずらに時間を浪費し、業界を混乱させ、築地市場を衰退させるだけであります。
施設の老朽、狭隘化が限界に来ている築地市場が、今後とも首都圏の基幹市場として十分機能を発揮し続けていくためにはどうあるべきかを真剣に議論することこそが重要であり、この問題を政争の具にし、都民の食生活に対する責任を放棄するようなことは決して許されることではありません。
今必要なことは、将来にわたり都民の食生活を守り、市場関係者の期待にこたえられる新市場の建設を一刻も早く実現することであります。
そこで、今後の豊洲新市場建設計画の推進に向けた知事の見解を伺います。
答弁1
知事
豊洲新市場建設計画の推進についてでありますが、築地市場は、既に老朽化、狭隘化が深刻でありまして、震災時における耐震性やアスベストなど、安全性の面からも、一刻も早い豊洲地区への移転が必要であると思います。
新市場予定地の土壌汚染については、トップレベルの首都大学東京の学長でもあります原島教授を座長に据えまして、各分野で最高権威の学者の方々で構成される技術会議が、二百もの技術の提案の中から選んで取りまとめた信頼性の高い対策を講じることによりまして、これまでに判明したすべての汚染状況について十分対応が可能であり、もはや安全性に不安はありません。もしこれに疑念をお持ちなら、この問題についてひとつ確かめ、議論もしていただきたいと思います。
今後の流通環境の変化などを見据えまして、豊洲市場を高度な品質管理、これは例えば、暑いときには、冷蔵、冷凍の施設が完璧でありません。それから、そういった時期に、外から物を運ぶときの運搬の手段というものが野ざらしにされていまして、非常に実際ある意味では危険な状況ではあると思います。
そういう意味でも、効率的な物流など、新たな機能を備えた基幹市場として発展させていくことが、将来にわたり首都圏三千三百人の食生活を支え、都民、国民への責任を果たすことになると必ず思います。
都としては、技術会議の提言に基づく万全な土壌汚染対策を確実に実施することで、安全性に揺るぎのない豊洲新市場の整備を進め、平成二十六年十二月の開場を目指してまいります。
質問2
豊洲への移転に当たっては、都民や市場関係者の安心を確かなものにするため、日本を代表する専門家の科学的知見に基づく万全な土壌汚染対策を確実に実施する必要があります。
先般、環境確保条例に基づく土壌調査の結果が公表され、これで調査はすべて終了しましたが、調査の結果の評価も含め、万全な土壌汚染対策の実施について伺います。
答弁2
中央卸売市場長
豊洲新市場予定地における詳細調査で、環境基準を超過した一千四百七十五地点につきまして、深さ方向に、これまで四百四十一地点の調査を実施してまいりました。今回、残る一千三十四地点について、同様の調査を実施いたしました。
分析の結果、深さ方向全体では、八二%が環境基準以下であり、平面方向の詳細調査では、六四%で汚染が検出されていないことを考え合わせると、新市場予定地は、汚染が敷地全体に広がってはいないことが明らかになりました。
また、不透水層につきましては、今回の調査地点すべてで確認でき、前回の調査で確認できなかった二地点の周囲で実施した調査でも確認できたことに加え、長い年月をかけて形成された地層の成り立ちから、敷地全体として見た場合、不透水層は連続していると考えております。
これらの汚染状況などは、汚染物質の濃度も含め、技術会議が検討した際に前提とした範囲内でございます。都が技術会議の提言に基づき定めた土壌汚染対策で、新市場予定地の安全性は十分確保できます。
都といたしましては、食の安全を確保し、都民や市場関係者が安心できる豊洲新市場を整備するため、最先端の技術、工法を駆使した土壌汚染対策を確実に実施してまいります。
環境問題
質問1
環境問題について伺います。
まず、地球温暖化対策についてですが、都はこれまで、世界初の都市型キャップ・アンド・トレード、すなわちオフィスビルを含めた温室効果ガス総量削減義務と排出量取引制度を導入し、キャップ・アンド・トレード制度の国際的な連携に向け意見交換を行うICAPに都市として唯一加盟するなどの成果により、世界の温暖化対策を牽引するEU各国とも対等に渡り合う立場になってきました。
そして、いよいよ来月オリンピック招致の決戦を迎えるコペンハーゲンでは、本年十二月、いわゆるCOP15が開催され、二〇一三年以降の国際的な温暖化対策の枠組みの合意が求められています。
かつて我が国の古都京都で開催されたCOP3で定められた京都議定書が次のステージに移るという歴史的な会議を前に、目先の数字に踊らされることなく、現代日本の首都東京が世界的な温暖化対策にさらに貢献していくという姿勢を改めて国内外に示すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
答弁1
知事
地球温暖化対策についてでありますが、先進国に求められる意欲的な削減目標を達成するためには、発電所や大規模工場だけではなく、オフィスビルも対象とした総量削減義務の導入が不可欠であります。
今、この施設の導入を世界に提起できるのは、都市型キャップ・アンド・トレードを構築し、都市としては世界で初めてICAPへ加入を果たした都だけであります。
都はこれまでも、国内のみならず、海外の多くの地方政府などの求めに応じて、大都市における気候変動対策のノウハウを提供してまいりました。
今後も、こうした実績を踏まえ、世界の大都市スタンダードとなるべき都のキャップ・アンド・トレードを世界にアピールしていきたいと思っております。
実は昨晩、今回叙勲を受けました、世界サッカー協会、FIFAの会長のブラッターさんの祝賀の会に出向きました。そこで、新しい総理になられるであろう民主党の鳩山代表と会って、長らくお話しすることに──主に話したのはオリンピックのことでもありますけれども、これは環境問題でありました。
私はそのときに鳩山代表に、自分が三十数年前東京で聞きました、あの天才的天文学者の、ブラックホールの発見者であります、名前は忘れましたが、あの学者の講演の概要をお話しいたしました。それで、あのときにホーキング博士が、これだけ地球の文明が進むと、地球の寿命は間もなく終わるだろう、宇宙時間でいえば瞬間的だといいました。私は、瞬間的な地球時間ってどれほどでしょうかと聞きましたら、およそ百年だ。あれから三十数年がたちました。残っている時間はありませんなといいましたら、鳩山代表は、やっぱりあの方は理科系の方だけに、非常に緊張した顔で顔色を変えられて、ホーキングがそういいましたか、考えなきゃいけませんなと。全くそのとおりだと思いますね。
彼がいい出した二五%削減というのは、経済界は色をなして反対するかもしれません。連合も反対しているようですけれども、果たしてこれから何年地球がもつことを考えれば、隣の中国の経済成長、インドの経済成長、軍備拡張、彼は彼なりに何を何年先目指すかわかりませんけれども、そんなのが全く意味のない地球の荒廃が来るということを彼は心から同意して、とにかく自分はやりますということをいっておられました。まあ念のためにご報告しますけれどもね。私はやっぱりこの地球を子孫のために失うわけにいかないと思います。
質問2
地球温暖化対策は産業革命に匹敵する変化をもたらすといわれていますが、都民の認識も全体としてはそこまでに至っていないようです。今後は、都民に身近な区市町村との連携をさらに深め、東京全体の低炭素革命を実現していかなければなりません。そうした意味で、今年度、区市町村における地球温暖化対策等を推進するために創設した補助制度は大変有効なツールであります。
一方で、従前のままの環境施策の対応に追われ、工夫次第で二酸化炭素の削減が期待できる施策に踏み出さずにいるなど、せっかくの補助制度が生かし切れていない面も見受けられます。
そこで、地球温暖化対策に軸足を置きつつも、区市町村の実情に応じて、より広範な環境施策を下支えできるようなものとしていくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2
環境局長
本制度に関しては、多くの区市町村から相談を受けまして、現在、補助交付の手続を進めております。地球温暖化の原因となるCO2は、都民生活やあらゆる経済活動から排出されるため、区市町村の多様な環境施策の中には、工夫によって温暖化対策に貢献できるものがあると認識しております。
こうしたことから、お話のとおり、区市町村が展開しているさまざまな環境施策についても、地球温暖化対策に資するという効果を積極的に評価し、より幅広く本制度の対象となるよう検討してまいります。
教育
質問1
我が党は、東京都の児童生徒の学力の実態を正確に把握した上で、学力向上に関するさまざまな取り組みが必要であることを以前から訴えてきました。
東京都では、国に先駆けて、平成十五年より都独自の学力調査を実施し、その結果を踏まえ、各学校における授業改善推進プランの作成や都教育委員会による東京ミニマムの公表など、さまざまな施策を行ってきました。
平成二十三年からは小学校、平成二十四年度からは中学校において新しい学習指導要領が完全実施となることから、東京都の児童生徒一人一人の学習の状況を引き続き把握し、学力向上のための施策を推進していく必要があると考えています。
そこで、東京都教育委員会は、今後、児童生徒一人一人の学習の状況を含めて実態を把握することについて、どのような考えを持っているのか伺います。
答弁1
教育長
学力の向上を図っていくためには、お話しのように、児童生徒の学力の実態を把握することが必要であり、都教育委員会では、平成十五年度より、都独自の学力調査を実施してまいりました。
これまでの調査結果から、東京都の児童生徒の学力の定着状況はおおむね良好でございますけれども、例えば、主語と述語の関係や小数、分数の計算など、個々の事項を見ますと、基礎的な知識、技能や考え方が身についていないこと、あるいは長い文章を読んで内容を把握したり、情報を整理して判断したりすること等に課題があることが明らかになってまいりました。
こうしたことから、都教育委員会といたしましては、これまで実施してきた授業改善推進プランや東京ミニマム等、授業改善のための施策を今後とも充実してまいる所存でございます。
また、児童生徒の学力の定着状況は毎年差異がございますことや、学習指導要領が改訂され、学習内容が変わりますことから、引き続き学力の把握に努めていく考えでございます。
さらに、各学校が把握した結果をもとに、児童生徒一人一人の学習における改善点を明確にして、児童生徒や保護者に対して還元することが重要であると考えております。
質問2
学力向上のための補習などの充実について伺います。
すべての児童生徒に基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせるとともに、伸びる子どもの学力を一層伸ばすことは学校の重要な役割であります。
しかしながら、都や国の学力調査の結果によれば、児童生徒の学力は上位層から下位層まで実に幅広い分布を示しています。このため、学校においては、日常の授業の改善を進めることはもとより、学習のつまずきが明らかになった子どもに対してきめ細かな指導を行うとともに、発展的な学習を希望する子どもに対しても、補習などを実施して、一人一人の学力を向上させることが必要であります。
こうしたことから、我が党は、学校が日々の授業の充実を図ることはもとより、教員が平日放課後に加えて土曜日にも補習などで勤務する場合には、半日単位で週休日を変更できるよう条例を改正するなど、責任政党として必要な教育環境の整備を求め、実現してまいりました。その結果、現在、土曜日を含めた補習などの実施率は、小、中とも他県と比較すれば高い数値となっていますが、条件さえ整えばさらに補習等を充実したいという学校があると伺っております。
そこで、広域行政を担う都として、そうした学校の取り組みを支援していく必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁2
教育長
児童生徒一人一人の学力向上を図るためには、各学校における通常の授業の充実に加えまして、補習等の個別的な指導を行う必要がございます。
こうした指導につきましては、授業終了後、できるだけ早い時期に行うことが効果的でございますことから、多くの学校が放課後や土曜日に、児童生徒の実態に応じて補習等を実施しております。
今年度からは、学習指導要領の移行措置に伴う授業時数の増加によりまして、平日の放課後の活用が限られますことから、今後、土曜日も含めた補習等を充実することが重要になってまいります。
このため、都教育委員会は、昨年十二月に、区市町村教育委員会に対しまして通知文を出しまして、希望する子どもたちを対象に、基礎学力の向上や補充、発展的学習等のための学習機会を提供することなどを例示いたしまして、土曜日を活用した取り組みの一層の促進を図ったところでございます。
補習等につきましては、さらに多くの学校が個々の実績に応じて実施できますよう、今後、都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携をいたしまして、充実策を検討してまいります。
質問3
小中学校の直結給水について伺います。
都では、平成十九年度から区市町と共同で、公立小学校の水飲み栓について、貯水槽を経由しないで直接給水する方式に切りかえるモデル事業を行っています。
以前は、水筒を学校に持っていくなど、児童の水道離れが進んでおりましたが、直結給水の工事が終わった学校では、体育の授業が終わった後などに、我先に蛇口から水道水を飲む児童の姿も見られるようであります。
東京が世界に誇れる安全でおいしい水を児童たちに提供するこのモデル事業がスタートしてから三年目になりますが、児童や教職員などから具体的にどのような声があるのか伺います。
答弁3
水道局長
このモデル事業は、都内の公立小学校を対象に、水飲み栓について、貯水槽を経由しないで直接給水する方式に切りかえるもので、実施効果を把握するため、切りかえの前と後に、児童約一万九千人、教職員約千三百人に対しアンケート調査を行いました。
その結果、現在の水道水に満足していると答えた教職員の割合は、切りかえ前には三割程度であったものが、切りかえ後には六割に増加いたしました。また、自由意見として、児童からは、いつでも水が冷たくなったので毎日飲むようになった、飲んでみたらおいしかった、特に体育などの後がいいなどの声があり、教職員からも、より安全でおいしい水が飲めるようになり、よかった、児童が水を喜んで飲む姿が見られるようになり、うれしく思うといった評価をいただいております。
質問4
区市町と調整していく中で、対象を公立中学校にも拡大してもらいたいとの多くの要望があると聞いております。せっかく小学校で水道水をおいしく飲めるようになっても、中学校に進学すると、このモデル事業の恩恵を受けられなくなるということになれば、次の世代を担う子どもたちが蛇口から直接水を飲むという目的を達成することなど到底できるとは思えません。
また、新たに公立中学校をモデル事業の対象にすれば、現在、平成二十二年までとしている実施期間についても考慮する必要があると考えます。
そこで、直結給水化モデル事業について、公立中学校への対象拡大を含めて、今後の事業展開をどうしていくのか、所見を伺います。
答弁4
水道局長
区市町からは、中学校への対象拡大や、数年にわたって取り組みが続けられるよう、期間延長の要望が寄せられております。
本事業は、ご指摘のとおり、小学校のみで行っているため、子どもたちが中学校へ進学すると対象とならないことから、当局といたしましても、この事業の成果を一層高めるためには、新たに取り組まなければならない課題であると認識しております。
そこで、蛇口から直接水を飲むという、日本が誇る水道文化を次世代に継承するため、新たにモデル事業の対象を公立中学校に拡大することについて検討してまいります。
また、モデル事業を円滑に推進するため、実施期間の延長についても、対象の拡大とあわせて検討してまいります。
オリンピック・パラリンピック招致
質問1
オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
今月二日、IOCは、二〇一六年オリンピック・パラリンピック競技大会の立候補都市四都市の評価委員会報告を発表しました。この報告書は、投票権を持つ全IOC委員に送付されており、それぞれの委員が十月に開催されるIOC総会で開催都市を選ぶ際、大きな判断要素となります。
一部、今回の報告書では、東京の課題についての指摘もありましたが、内容をよく見てみますと、東京の誇る、コンパクトで緻密な大会計画、安定した財政力、すぐれた輸送能力などが評価委員会から高い評価を受けておりまして、オリンピック・パラリンピック招致の実現にまた一歩近づいたものと感じております。これも、知事ご自身の、IOC委員からの支持を確実なものとするために、直接、東京開催の意義や計画の優位性、都市の魅力を訴えてこられた成果だと思います。
しかし、十月二日の最終決戦を目前に控えた現在も、どの都市が選ばれるのか横一線で、予断を許さない状況です。これまでも、我々都議会自民党は、知事と手を携え、招致推進の街頭による署名活動や、国や道府県への働きかけを行うとともに、さまざまな催しに積極的に参加し、機運の盛り上げに取り組んでまいりました。
来る二十三日は、原宿表参道で応援パレードに加わり、東京開催に対する熱意を国内外にアピールをします。また、決戦の地コペンハーゲンには、招致委員会の要請を受けて都議会として代表団を派遣し、最後のアピールを行いたいと思っております。
都民、国民に夢と希望と感動をもたらすオリンピック・パラリンピック東京招致というゴールに向け、ラストスパートを迎える知事の決意を伺い、私のすべての質問を終了させていただきます。
答弁1
知事
オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、いよいよ開催都市決定まで二週間余りとなりました。
私自身、これまでも、ローザンヌ、シンガポール、ベルリンなど直接海外に参りまして、プレゼンテーションやIOCの委員との面会の場で東京招致を懸命にアピールしてまいりました。
先日公表されたIOC評価委員会の報告書では、東京大会の特徴であります、環境を最重視した大会理念、コンパクトな会場計画、四千億円の基金を初めとした盤石な財政基盤などが高く評価をされておりまして、我々がこれまで取り組んできたことに間違いがなかったことを確信いたしましたが、しかし、まだまだこの行く先はわかりません。勝敗はこれからの本当に土壇場まで不透明でありますが、いずれにしろ、支持率など幾つかの点の指摘もありましたけれども、最近の支持率はもう八〇%を超していることや、会場にかかわる技術的な指摘についても、十分対応可能で問題ない旨を既にIOCに説明済みで、特にホテルの問題は、全くこれは懸念ございません。
十月のIOC総会を間近に控えて、今月の十七日には出陣式、二十三日には原宿表参道で応援の大パレードを開催し、大いに機運を盛り上げたいと思っております。
なかなか先の読みにくい難しい戦いでありますけれども、国や都議会を初め、都民、国民の皆さんの力をぜひとも決戦に結集していただきたいと思います。
そして、コペンハーゲンでは、最後の瞬間まで全力で戦い抜いて、悔いのない戦いを遂げて、日本の未来のために、地球環境の未来のために、招致成功の吉報を持ち帰りたいと心から願っております。