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  3. 第2回定例会 代表・一般質問
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高齢者福祉の充実に取り組むべき
行政サービスは複合的な視野を持って進めよ

高齢者福祉

山口文江

質問1
 高齢者福祉について伺います。

 私は、福祉関係のNPOの副理事長を経て都議会議員となり、始まったばかりの介護保険制度を根づかせ、介護の社会化を進めることを目指して活動してきました。しかし、保険料の見直しや制度改正のたびに、介護サービスは残念ながら充実とは逆の方向に向かっています。団塊の世代が六十五歳を迎えると、四人に一人が高齢者といわれています。特に東京では、高齢者のひとり暮らしや高齢者のみ世帯が増加しており、今後もその傾向が加速することは必至です。

 さらに、独身の子どもが仕事をやめて親を見るシングル介護もふえ、介護疲れによる自殺や心中なども後を絶ちません。今回議員を交代するに当たり、世界に先駆けて超高齢社会を経験する東京において、知事はどのような都市をつくっていくのか、見解を伺います。

答弁1
知事
 超高齢社会における都市づくりについてでありますが、いわゆる団塊の世代が高齢期を迎え、元気な高齢者が八割を占める中で、これまでのように高齢者を支えられる存在として、画一的にとらえるべきではないと思います。

 「十年後の東京」計画では、みずからの経験や能力を生かして、社会を活性化させる存在として新たな高齢者像を描いております。

 最先端技術の活用などによりまして、高齢者の健康で自立した生活を支えるとともに、介護や子育て支援を初め、さまざまな社会的課題の解決に高齢者みずからが活躍できる場を提供するなど、多様な社会参加を促進し、超高齢社会の都市モデルを実現していきたいと思っております。

質問2
 群馬県渋川市の高齢者施設の火災を契機に、未届けの有料老人ホームや高齢者の生活保護受給者の実態が明らかになりました。私たちは、住まいの確保は生活の最低条件と考えていますが、都内に次々とつくられる入居費等に月額十数万円もかかる有料老人ホームに入れるのは、ごく限られた人だけです。特別養護老人ホームは介護度の軽い人は入居できず、重い人でも二カ月から一年の待機は当たり前という状況です。在宅を支える新たな機能の小規模多機能施設も計画にはほど遠く、国や実施主体の自治体は介護保険給付の抑制や介護保険料の抑制に傾き、介護サービスが使いにくくなったという声が後を絶ちません。さらに、この四月からの介護認定基準の変更等は、介護度が軽くなってしまう傾向があります。

 都は、施設よりも在宅にかじを切っており、本年三月策定された東京都高齢者保健福祉計画には、高齢者の自立と尊厳を支える社会の実現に向けてと副題がつけられています。私たちが実施したアンケート調査では、介護度と介護の負担感は比例せず、むしろ介護度の軽い人に対する介護ほど負担感を感じるという現実が明らかになりました。

 今後、この計画に基づき、住みなれた地域や在宅での生活が継続できるよう、都として高齢者福祉の充実に取り組むべきであると考えますが、所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 高齢者福祉の充実についてでありますが、都は、本年三月、平成二十一年度から二十三年度までを計画期間として、高齢者施策の総合的、基本的計画であります東京都高齢者保健福祉計画を策定いたしました。本計画では、医療、介護が連携した高齢者専用賃貸住宅のモデル事業を初め、高齢者が住みなれた地域で自分らしく生き生きと暮らせる安全・安心な社会を実現するための施策を明らかにしております。

 今後とも、区市町村を初めとする関係者と十分連携し、本計画の着実な推進を図り、高齢者福祉の充実に努めてまいります。

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行政サービス

質問1
 行政サービスについて伺います。

 東京都教育委員会は、この四月、都立永福学園に、教員と外部の専門家が連携した新たな指導体制による肢体不自由教育部門を開設しました。開設によって、都立光明特別支援学校などの通学区域が縮小され、都立永福学園に児童生徒が転校することになりました。しかし、新たな体制を導入したにもかかわらず、医療的なケアを必要とする児童への体制が整わず、保護者が付き添いを余儀なくされる状況が二カ月も続いているということです。開校時期は二年も前から決まっているわけですから、万全な指導体制を整えて子どもたちを迎えるべきではないのかと疑問に感ぜざるを得ませんが、都の見解と今後の対応について伺います。

答弁1
教育長
 都立肢体不自由特別支援学校の指導体制の整備についてでございますが、本年四月に開設をした都立永福学園の肢体不自由教育部門では、児童生徒がこれまで在籍していた学校等の指導、支援を引き継ぐ必要がございますために、三月中から、転学者等の実態把握や保護者面談等を行い、個に応じた指導を行えるよう準備を進めてまいりました。

 さらに、全児童生徒六十五名中、医療的ケアを必要とする児童生徒十名につきましては、医師、教員、介護等の専門家と保護者が情報を共有し、教員や介護等の専門家が個々の児童生徒の状況に応じた医療的ケアができるよう、引き続き保護者の登校をお願いしてまいりましたが、たんの吸引が必要な児童生徒三名につきましては、五月中までに引き継ぎが完了したため、保護者の登校は終了いたしました。

 たんの吸引とチューブを通して栄養を補給する注入、この両方の医療的ケアが必要な児童生徒七名につきましては、徐々に保護者に登校していただく時間を縮小しておりまして、今学期中には引き継ぎを完了する予定でございます。

 今後は、今年度から導入した介護等の専門家を活用し、安全な環境の中で専門性の高い教育を一層充実することによりまして、保護者が安心して子どもを任せられる指導体制を構築してまいります。

質問2
  私は、福祉や教育は最も重要な行政サービスであり、何より高齢者や子どもの立場に立ってサービスが提供されるべきだと考えます。職員はそのサービス提供者であることを常に自覚して仕事をしていただきたいと思います。

 知事は、コスト意識の高い迅速かつ的確な行政執行を明言され、管理職対象にコスト意識についてという研修会も開催されたと聞いています。確かに都政は都民の貴重な税金の上に成り立っているのであり、むだなお金を費やすことは戒めなくてはなりませんが、先日公布された公共サービス基本法の理念にもあるように、行政サービスは単純にコストだけではなく、複合的な視野を持って進められるものと考えます。

 今後の職員に求める行政サービスとコスト意識について都の見解を伺い、質問を終わります。

答弁2
総務局長
 行政サービスとコスト意識についてお答えいたします。

 都民の期待にこたえるサービスを提供していく上では、限られた財源、人材を十二分に活用し、最少の経費で最大の効果を上げるというコスト意識の徹底が必要不可欠でございます。これまでも都は、指定管理者制度など民間の経営ノウハウの活用や新たな公会計制度の導入、各種の研修の実施により、職員の意識改革を積極的に進めてまいりました。

 今後とも、すべての職員が行政サービスの質の確保とコスト意識を念頭に置いて仕事を進めていくことが必要でございまして、あらゆる機会と手段を通じ、こうしたバランス感覚を備えた職員の育成に一層取り組んでまいります。

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