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  4. 古賀俊昭(自民党)

皇居お濠の汚濁を早期改善せよ
海の森の名称は平成鎮守の森に

古賀俊昭

皇居のお濠の水質汚濁

質問1
 皇居のお堀に東京都の下水が流入している問題について伺います。

 灯台もと暗しという箴言がありますが、これほど我々日本人の、そして国家の品性が問われる深刻な課題が真剣な議論の対象となることなく、長く等閑に付されてきたのはなぜなのか。殊に首都東京の政治、行政にかかわる我々は、みずからに問うべきでありましょう。

 一片の法律があるわけでもなく、しかし、日本の首都は東京であることを、だれしも信じて疑いません。それは、皇居が置かれた都こそが首都とのことわりがあるからであります。首都移転、首都機能移転が法律までつくりながら雲散霧消したのも、そのことわりの理解を全く欠いていたからにほかなりません。

 ところが、東京を首都たらしめている皇居、そして我が国の象徴たる皇室のお庭であるお堀が下水で汚染されているのです。現在、東京都が管理する合流式下水道からは、内堀で四カ所、外堀で十二カ所のはけ口から、雨の日にあふれ出た汚水がお堀に流入して、水質汚濁の原因となっています。

 この問題を世に明らかにしたのは、平成二十年、昨年十二月の「文藝春秋」誌の記事であり、著者の清水政彦弁護士は、半年前から都下水道局などに改善を申し入れ、協議を重ねた経緯を詳しく報告しています。

 石原知事にお渡ししてある写真でもわかるとおり、お堀の汚濁は、大量のアオコが発生するなど、見るも無残な状況であります。

 「文藝春秋」の記事によれば、千鳥ヶ淵では、環境省が発表する公共水域の水質検査で、日本一汚い湖といわれている静岡県の佐鳴湖や千葉県の印旛沼などをはるかに上回る汚濁となっており、水質をはかる代表的指標のCOD、化学的酸素要求量の環境基準は八ミリグラム・パー・リットルに対し、千鳥ヶ淵は四〇ミリグラム・パー・リットルと基準の五倍を超えているそうであります。

 まことに不名誉な日本一、国内最悪の水質汚濁の公共水域を東京の真ん真ん中に放置した不作為は、皇室への冒瀆であるばかりか、対外的にも非文明的な印象を与え、その状態を放置したままでは、まさに世界に恥をさらすことになるのです。平成二十八年の五輪招致を目指す東京都として、この問題は、万難を排して早期に解決すべき問題であります。

 幸いに知事は、「十年後の東京」計画で、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活することを目標の第一に掲げ、具体的には、東京駅や皇居周辺について、日本の玄関口にふさわしい景観を形成しようと、新たに皇居周辺を景観誘導区域に指定し、緑や水辺などと調和した風格ある景観を誘導する取り組みを開始するとしています。この計画と目標の達成には、お堀の汚濁改善解決が前提となるのは明らかであります。

 経済不況の今こそ、真に価値ある事業、後世の遺産となるものに投資すべきであります。これは、本質的にはお金の問題ではありませんが、結果として大きな内需の拡大をもたらすものです。あの昭和恐慌を二年で乗り切った高橋是清は、国債で財源をつくり、公共事業を大胆に拡大し、経済再建を立派になし遂げました。ケインズ以前のケインズといわれるゆえんであります。

 さきに紹介した「文藝春秋」で清水弁護士は、具体的改善策まで詳細に述べています。合理的提案だと思いますが、当該事業の予算措置には、やはり知事の勇断が不可欠であります。天皇陛下ご即位二十年の慶賀すべき年に当たり、知事の皇居お堀の水質汚濁についての認識と改善への決意をお聞かせください。

答弁1
知事
 内堀の水質についてでありますが、皇居周辺は、皇居の森の豊かな緑や江戸城のたたずまいを残すお堀の周辺などが見事に調和し、我が国の歴史と文化を醸し出す風格を備えております。

 オリンピック・パラリンピック招致も見据え、緑と水辺の調和した風格ある景観の形成とともに、さわやかな風を運ぶ緑と水の回廊をつくり上げていくためにも、皇居内堀の水質改善は必要であると認識しております。

 内堀を所管している環境省においても、新たな水源から内堀に水を引き込む可能性などの検討を始めたと聞いております。

 実は私、環境庁に在任中に、ある業者が新技術なるものを持ち込みまして、ぜひ実験的にやらせてほしいということで、かつての千代田区の区役所のありました横の牛ヶ淵といいましょうか、ごく限られた水域で一月間、機械を回してやってみましたが、余り残念な、効果はありませんでした。

 いずれにしろ、都としては、雨天時の放流を内堀から隅田川へ切りかえるために、下水道幹線を整備するなどの対策を、オリンピック・パラリンピック開催前の平成二十七年度までには完了させるように努めております。

 あのバッキンガム宮殿のそばのハイドパークのお堀も、まあ、きれいとはいえませんが、しかし、あそこはロンドンのオリンピックでトライアスロンに使うぐらい、整備を進めているようでありまして、東京も負けずにそういうのができるんじゃないかと思っております。

 今後とも、環境省などの関係機関と連携して、内堀の水質改善に努めてまいります。

質問2
 合流式下水道は、一定量以上の雨が降ったときには、雨水と一緒に汚水もはけ口から内堀に放流され、それが流れのない閉鎖された水域である内堀では残ってしまい、汚濁の原因となっています。どのような経緯で雨天時に下水の一部が内堀へ流入することになったのか、お答えください。

答弁2
下水道局長
 雨天時に汚水まじりの雨水の一部が放流されることになりました経緯についてでございますが、区部の下水道は、汚水の処理と浸水被害の軽減を早期に実現するため、明治四十一年の内務大臣による認可に基づきまして、合流式下水道で整備をしてまいりました。

 合流式下水道では、一定量以上の降雨があった場合には、汚水まじりの雨水の一部が河川や堀などへ放流される仕組みとなっております。皇居周辺の地域につきましても、昭和十年前後に、今お話し申し上げました合流式下水道で整備しました結果、雨天時には当該地域の汚水まじりの雨水の一部が内堀に放流されるようになっております。

質問3
 下水道局の資料によれば、内堀の千鳥ヶ淵、桜田濠、清水濠には、現在、下水道のはけ口が四カ所あります。これらのはけ口からの汚濁物質の流出について、下水道局は早急な対策を講ずるべきです。これまでどのように取り組み、また、今後どのような対策を実施していくのか、伺います。

答弁3
下水道局長
 内堀の水質改善についてでございますが、これまで管理者でございます環境省と協議の上で、ごみなどの流出を抑制する装置を設置したはけ口もございますが、内堀の抜本的な対策は、汚水まじりの雨水を放流しないことであり、オリンピック・パラリンピック開催前の平成二十七年度までにこの対策を完了させるよう取り組んでまいります。

 具体的には、千鳥ヶ淵、桜田濠にございます三カ所のはけ口につきましては、放流先を内堀から隅田川へ変更するため、平成二十五年度の完成を目指して第二溜池幹線延伸部の整備に着手しております。

 また、延伸部の整備にあわせまして、内堀への放流を第二溜池幹線へ切りかえるために必要となる管渠の整備も行ってまいります。

 残る清水濠のはけ口につきましては、内堀への放流を雨水のみとするために、新たに汚水と雨水を分離する下水道管渠を平成二十二年度までに整備し、接続する流域の地権者に対して、敷地内の排水を汚水と雨水に分離するよう要請してまいります。

質問4
 この水質汚濁の問題は、内堀だけではなく、ボートをこいだり、釣りを楽しむ人々が憩う場である外堀でも同様です。私は、都心に数少ない貴重な水辺空間をより豊かなものにするためにも、当然、お堀全体の水質改善が必要だと思います。外堀の水質改善について、下水道局はどのような認識を持っているのか、伺います。

答弁4
下水道局長
 外堀の水質改善についてでございますが、内堀のみならず外堀につきましても、水質改善の必要性は深く認識しております。

 外堀では、現在、十二カ所あるすべてのはけ口につきまして、来年度までにごみの流出を抑制する装置の設置を完了させる予定でございます。

 しかしながら、外堀の抜本的な対策には、放流先を変更するための新たな幹線などを整備することが考えられますが、用地の確保が非常に難しく、また、地下には地下鉄などがふくそうするなど、実施は困難な状況でございます。そのため、降雨初期の汚れた下水を一時的にためる貯留池整備の可能性につきまして、引き続き検討してまいります。

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「海の森」の創出

質問1
 海の森の創出について伺います。

 初めに、日本の自然を見事に歌い上げた歌を紹介いたします。

 「倭は 国のまほろば たたなづく 青垣山隠れる 倭しうるはし」、大和の国は、国の中の国である、幾重にも重なり合っている青垣のような山々、その山々に囲まれている大和は本当に美しいという意味であります。これは、「古事記」に出てくる第十二代景行天皇の皇子、日本武尊の歌です。西は熊襲、出雲建を討ち、東は蝦夷を平定し、この間、浦賀水道の走水の暴風雨では弟橘姫の入水という有名な話もありました。日本武尊もいよいよ最期を迎え、草なぎの剣を置いて、三重県西北部の能褒野に出て、野獣の毒気に当たって死が迫ったとき、ふるさとである大和の都をしのんでうたったものであります。「倭は国のまほろば」は、まさに日本国の日本国たるゆえん、自然の美しさをたたえた言葉です。その美しい日本の自然、その気候風土からはぐくまれた大和心は、今どうなってしまったのでしょうか。

 平成十四年の予算特別委員会において、私は、江戸末期までの日本の自然について触れました。ペリーの「日本遠征記」には、江戸湾の例えようのない海浜、山々の自然の美しさに魅了されたことが印象的に述べられ、そこには東洋の神秘、日本の自然が厳然と存在しています。しかし、西洋列強による開国の強制、明治以後の近代工業化は、そのような日本人の心をはぐくんできた美しい自然を犠牲にしたといっても過言ではありません。

 敗戦、占領を経て、高度経済成長期の昭和四十年代の公害の時代、至るところで繰り広げられた環境破壊は、今や地球規模の自然破壊となり、やがてそれは人類滅亡の危機さえ問われることになり、自然との共生が叫ばれるようになりました。

 こうした流れの中で、今、東京が進める海の森計画の意義がいかに大切であるかということが理解できるでありましょう。しかし、それは海の森という名称では伝わりません。より具体的にいうならば、ごみの埋立地に自然の森をつくり、さらに日本人的発想でいえば、近代化という自然破壊によって生まれたごみの島を、日本人の心が宿る、神々が宿る鎮守の森にしようというものです。

 私は、平成十六年第二回定例会の我が党の代表質問で、平成鎮守の森を提案しています。大量生産、大量消費という私たちの欲望で生まれた巨大なごみの人工の島を森にして、自然生態系を回復させようというものです。

 それと同時に、人類は、自然を破壊し続けてきたこれまでの生活を改め、自然との共生、さらには自然への畏敬の念を取り戻さなければならないのです。かつて日本人は自然を畏敬し、共生するという自然観を持っていましたが、この百五十年の間には、西洋近代化の苦難の道をただひたすら走り、科学技術を優先させてきました。

 しかし、このような経験をしてきた日本だからこそ、東洋の心と西洋のわざを統合した新たな時代を切り開くことができるのです。これこそ現代の大和心の一つであり、それを東京都が実践できるか否かが成否のかぎを握っています。

 昨年十月十日、当初より海の森に協力してきた全国氏子青年協議会の皆様が、寛仁親王殿下から、殿下のおしるしである柏の木を託され、石原知事にその目録を手渡しました。私は、去る平成八年の全国植樹祭において天皇皇后両陛下がお手植えされたイチョウの木と御製碑を中心に、できれば皇族の方々に、日本の森をつくるため、その周辺に植樹をしていただき、そこに精神的なよりどころとしての森ができることが理想だと思います。それは、きっと東京オリンピックの開催の暁には大きな意味を持つでしょう。

 海の森事業委員長の安藤忠雄氏は、新聞やテレビなどを通じて、東京湾に鎮守の森をつくるということを訴えています。海の森の名称については、私は以前から知事にお願いしてまいりましたが、このままの名称では国際的にも説得力がありませんし、マスコミを通じて内外に協力を求める安藤氏が鎮守の森という表現をされていることからも、そろそろ名称について本格的に考える時期が来ているのではないでしょうか。知事の作家としての才を十分に発揮していただければと思います。

 中央防波堤の埋立地は内側と外側に分かれ、現在は内側に森をつくるものですが、中央防波堤は、かつて東京都が中心となってつくった明治神宮とも大変類似しています。明治神宮は、内苑と外苑ではそれぞれ役割が違い、内苑は明治天皇を祭る鎮守の森、外苑は文化及び運動施設などとなっています。私は、中央防波堤の森づくりとともに、今後、外側をどうするかということも検討すべきだと考えます。

 そこで伺います。改めて、ごみ埋立地に森との構想を超えた、日本人の自然観、哲学に基づく森づくりを考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

答弁1
港湾局長
 海の森事業の意義についてでございますが、都は、「十年後の東京」で水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる取り組みを進めてございますが、海の森の整備は、ごみと残土の埋立地を緑あふれる島に生まれ変わらせ、東京湾から都心に向かう風の道の起点をつくっていくものでございます。

 オリンピック・パラリンピック開催の平成二十八年には、代々木公園に匹敵いたします規模の美しい森に育てていくことで、開催コンセプトである、地球環境問題の取り組みを東京から世界に発信してまいります。

 また、苗木をつくり、木を植え、森を育てる過程で、自然環境の再生や自然とのかかわりを学びながら、東京湾に創造する海の森は、日本人が持っている自然を畏敬する心や豊かな自然観を次の世代に伝える贈り物になると考えてございます。

質問2
 平成二十年度までの当事業の進捗状況、あわせて平成二十一年度の当事業の事業内容について伺います。

答弁2
港湾局長
 これまでの海の森事業の進捗状況についてでございます。

 海の森では、植樹に適した春季と秋季に著名人や公募都民等による植樹会を行い、環境都市東京の先進的取り組みを海の森から国の内外にアピールすることとしてございます。

 今年度は、春に、世界的に著名なロック歌手のボノ氏やノーベル平和賞受賞者のマータイ氏をお招きいたしまして植樹を行い、また、秋には、C40気候変動東京会議に参加した世界各都市の代表者による植樹を行うとともに、約二千人の公募都民によります植樹会を実施し、約一ヘクタール、九千本の植樹が完了いたしました。

 現在は、平成二十一年度の植樹に向けまして、約四ヘクタールの植樹地の整備を進めているところでございます。

 次に、平成二十一年度の海の森の事業予定についてでありますが、この春には、全国の道府県等の参加のもと、各自治体の木をふるさとの森として植樹することで、全国の人々と手をつなぐ海の森づくりを進めてまいります。

 さらに、オリンピック・パラリンピック開催都市決定の十月に先立ちまして、都民等が約三万六千本を東京ドームの広さの四ヘクタールに植える大規模な植樹会を行い、多くの人々に評価され、支えられる海の森づくりを世界に示してまいります。

 また、海の森募金やボランティアによる苗木づくりを通しまして、広がりつつある参加の輪をより広範なものにしていくため、今後、海の森友の会員への樹木の生育過程の情報発信や季節ごとの海の森見学会の実施など、きめの細かい取り組みを息長く進めてまいります。

質問3
 海の森の名称は平成鎮守の森とすべきと再提案いたしますが、いかがでしょうか。

答弁3
港湾局長
 海の森の名称についてでございます。

 海の森は、平成十七年に東京都港湾審議会から海の森基本構想の答申を受け、私たちのためにではなく、私たちの子どもたちのためにのスローガンのもと、都民、企業、NPO等の協力を得ながら整備してまいりましたが、これまで募金、苗木づくりなどの先行事業を進める中で、海の森という名称が一定程度の定着を見ているものと考えてございます。

 今後、開園に向けまして、ごみと残土の埋立地を緑あふれる島に生まれ変わらせる歴史的な取り組みという事業の意義や、これまでの経過も考慮しつつ、次の世代に引き継がれる森として、そのふさわしい名称を検討してまいります。

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保育所に対する指導監督

質問1
 保育園の集団感染対策と行政指導に関して質問いたします。

 映画「感染列島」が話題になるなど、感染症対策の重要性は国民共通の認識となっています。

 今月初旬、私は地元日野市で、社会福祉法人立の保育園が一堂に会して保育祭りが開催され、広い会場はかわいい子供たちの声で包まれました。その折に、感染症予防に非常に神経をすり減らしているとの保育園の現状を聞き、少々驚かざるを得ませんでした。その感染症予防対策の徹底が引き起こす問題を幾つか挙げます。

 まず、零、一歳児のおむつ交換を行う保育室は、病院のように消毒臭が広がるようになった。あるいは、子供の下痢などの特別な場合だけではなく、平常のおむつ交換も使い捨てビニール手袋、マスク等を使用し、まるで集中治療室を思わせる雰囲気である。さらには、もちつきでもマスクをつけた白装束で一種異様な格好を余儀なくさせられるし、その上、驚いたことに、ついたおもちは集団感染を恐れて子供には食べさせず、商店から購入した物を与える園もあるとのことでありました。感染症防止が優先されて、これでは子供の心は二の次で、まさに角を矯めて牛を殺すではないでしょうか。

 ある福祉の専門家の話では、こうした対応を子供が受けると、子供の心には、自分は汚い者として扱われる屈辱感のような感情が刻み込まれる。これは介護施設でも同じことがいえる。人間の尊厳にもかかわる問題だといわれました。

 続けて、おむつ交換も、下痢のときは仕方ないが、普通は素手で行うべき。肌は心や脳の一部として、その接触のうちに子供の心の安定が図られ、人を信じる心や愛をはぐくむ。保育園は、食品製造業と違って感染症予防対策には限界がある。何より、零、一歳児は保育室の中でも排せつを行う。つまり、子供は病原菌を感染させる可能性の高い状態で保育を受けている。そして、病原菌に感染した場合でも、いわゆる保育に欠ける状況であれば預からなければならないので、結果として、保育現場は、感染者も健康な者も一緒に保育することになる。乳幼児の感染予防にはおのずと限界があるとの指摘はもっともであると思います。

 そこで、具体例を示して都の見解を伺います。

 昨年八月、八王子のある保育園で腸管出血性大腸菌感染症、O26の集団感染が発生し、感染者は保護者を含めて三十三名、新聞でも報道されました。幸いに、八王子市保健所の指導のもと感染拡大防止策を徹底し、あわせて的確な現場の対応で重症には至らず、九月十八日には終息宣言が出されました。保育園の取り組みに保護者からの苦情はなく、保健所からの高い評価も受けて、保健所主催の感染症研修に施設代表が招かれ、話までしています。

 しかし、その後、都は同園に対して特別指導検査を実施していますが、その検査は、保健所の指導に比べ格段に厳しい内容であったとのことです。果たして特別指導検査を行うほどの、法人施設側に著しく適正を欠く重大な問題があったのでしょうか。

 そこで、まず、保育園への特別指導検査はどのような場合に実施されるのか。また、いかなる法的根拠に基づくか、伺います。

答弁1
福祉保健局長
 保育所に対する指導検査についてでありますが、児童福祉法第四十六条及び都の指導検査実施要綱に基づき行っております。

 このうち、特別指導検査は次のような場合に行う検査でありまして、まず、一般指導検査による改善が認められないとき、次に、正当な理由がなく一般指導検査を拒否したとき、そして、食中毒や感染症の集団発生、事件、事故など法人、施設の経営等に重大な支障が生じているおそれがあると疑われるとき、こうしたときに行うものでございます。

質問2
 昨年十二月の特別指導検査の結果の通知には、改善が図られない場合には、法人の解散を命ずるための検討を行うとの大変威圧的な記述があります。では、具体的にいかなる場合に社会福祉法人は解散を命じられるのか、そうした事例があったのか、伺います。

答弁2
福祉保健局長
 社会福祉法人に対する解散命令でありますが、解散命令は、社会福祉法に基づき、社会福祉法人が法令、法令に基づく行政庁の処分もしくは定款に違反した場合であって、他の方法により監督の目的を達することができないとき、または正当な事由がないのに一年以上にわたってその目的とする事業を行わないときに適用することができます。

 具体的な事案といたしましては、老人福祉施設を運営する法人に対するものが一件ありまして、処分理由は、基本財産である土地建物の第三者への譲渡、措置費の不当流用、法人名義の不明確な負債、理事長の独善的な経営による著しく不適正な法人運営の四点であります。

質問3
 大切な子供を預かる保育園で、感染症の発症は、もちろんあってはならないことです。しかし、それぞれの法人、施設の熱意、創意工夫に支えられた子供の保育や教育を萎縮させたのでは本末転倒であります。

 都の指導に当たっては、現場の実情に合った適切な指導を行うよう強く求めるものですが、保育園に対する指導のあり方について答弁を求めて、私の質問を終わります。

答弁3
福祉保健局長
 保育所に対する指導のあり方でありますが、保育を受ける児童の健康を守り、その心身の健やかな育成を図るため、各施設に出向いて、国が定める人員配置等の最低基準が守られているかを確認するものであります。

 また、その際、感染症予防等については、保健所の指導を遵守することなどもあわせて指導をしております。

 今後とも、こうした指導を徹底するとともに、実地検査において把握した現場の状況を踏まえ、複数の施設を対象とした集団指導を行うなど、保育所の適正な運営を確保してまいります。

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