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  4. 伊藤ゆう(民主党)

公共の駐車場経営は高コスト
支出の総点検と民営化を求める

伊藤ゆう

道路整備保全公社

質問1
 「東京都が監理団体を活用する意義は、採算性・市場性を欠く分野、公共性の高い分野などにおいて、民間の資金・人材・ノウハウなどを活用し、弾力的な運営を行うことにより、都が直接実施するよりも質の高いサービスを効率的・効果的に提供することです」。これは平成十六年に東京都が監理団体改革を行うに当たって発表した監理団体改革の第一章第一項に記された監理団体の意義であります。つまり都は、採算がとれない、市場が成熟していない分野だけは監理団体は必要であると定義しています。

 以下、その旨を踏まえて、東京都の監理団体である財団法人東京都道路整備保全公社について伺います。

 同公社の具体的業務は、東京都にかわって都道用地を取得する道路整備事業と、都有地を借り上げて行う駐車場経営の二本柱であります。

 前者の用地取得事業については、道路用地買収という公共性の観点から、同公社が業務を担う意義を認めることができます。

 しかし、都有地を活用した二百三カ所、約一万一千台の駐車場経営については、必然性と利益の使い道に疑問を呈さざるを得ません。

 まず初めに、公社が都民還元事業と称して支出している駐車場経営から得た利益、約三億円の使い道について触れます。

 ここに、「駐車場における芝生舗装の実験調査委託」と題した調査報告書があります。これは、平成十九年度に公社が民間コンサルタント会社に随意契約で委託調査させた四十六ページにわたる報告です。中身はといえば、試験的に駐車場で芝生舗装を行い、育成観察から得られた基礎データを紹介する内容ですから、ヒートアイランド対策といえば聞こえがいいかもしれません。

 しかしながら、公社が管理する駐車場の多くは都有地であるために、例えば都道の高架下や日本橋、八重洲、都庁など地下駐車場が多く、日当たりに恵まれた駐車場は少ないのです。にもかかわらず、同様の調査が平成十七年から十九年まで三年連続して行われ、十九年度だけでも、この調査委託費に六百万円が支払われております。

 ならば、公社では、当然いずれかの駐車場で芝生の舗装を行ったものと思い、問い合わせたところ、回答は、実験を行った駐車場以外では、どこも芝生舗装は行っていないとのことでありました。調査に三年の月日と予算をかけながら、実施をしないというならば、公社はどのような目的でこの調査委託を実施したのか、目的を伺います。

答弁1
建設局長
 公社が実施した芝生舗装の実験調査の目的でございます。

 その前に、東京都道路整備保全公社の意義を少し説明させていただきますと、この保全公社は、交通渋滞の解消等を目的として駐車場運営を行うとともに、都道の無電柱化、それから用地取得、工事監督補助業務を通じて都の道路行政を補完しておりまして、「十年後の東京」を実現するためにも欠かせないパートナーでございます。

 また、公社は、渋滞解消目的で、採算がとれず民間が参入しない条件であっても、その箇所で必要となる駐車場があれば、それを設置しまして違法駐車を解消する取り組みや、収益を活用いたしまして、民間の駐車場の位置情報あるいは満空情報などを一般の利用者にインターネットで提供するs-parkという仕組みですが、こういうs-parkなどの都民還元事業を展開しております。

 さらに、カーシェアリングの事業の支援や、民間がなかなか手を出さない自動二輪駐車場の整備など、総合的駐車対策に役立つ先駆的な駐車場の取り組みを行っているというふうに認識しております。

 お尋ねの駐車場における芝生舗装の実験調査は、公社が進める先駆的な取り組みの一つでございまして、具体的には、都の施策でございますヒートアイランド対策に貢献するために、駐車場への芝生舗装の適用の可能性を探り、民間駐車場が同じように芝生舗装する際の参考としても役立ててもらうために実験を行ったものでございます。

 この実験の結果、舗装の表面温度の低減効果は確認できましたが、維持コストの面からなど、民間への普及はいまだに課題がある状態でございます。このため、現在、さらに低コストで維持管理ができるクローバーを使った緑化の実験を行っております。

質問2
 調査報告書は、この後どのような活用をされたのでしょうか。公社の説明によれば、ほかの民間駐車場事業者にも得られた基礎データが資するように調査を行ったといいますが、この調査結果は、民間事業者に配布されたわけでもなく、公社の閲覧可能な資料室に保管されているだけで、どれくらい閲覧されたかもわかりません。公社が芝生舗装したわけでもない、民間事業者の目にとまったかも疑わしいとすれば、この調査報告書によって都民が還元されたものは一体何だったのでしょうか、伺います。

答弁2
建設局長
 調査報告の都民等への還元についてでございますが、この四六ページに及ぶ調査報告書の概要版を平成二十年七月に同公社のホームページに掲載いたしまして、この効果や課題を広く一般に公開するとともに、駐車場事業者の団体でございます社団法人全日本駐車協会発行の機関紙にも調査内容のあらましを掲載することで、全国の駐車場事業者などに周知を行うなど、広報にも努めておるところでございます。

 この結果、調査概要のホームページからのダウンロードの数は、四六ページのかなり大きなボリュームであるにもかかわらず、半年で九千七百件にもなっております。かなり関心があるというふうに認識をしております。また、自治体や民間事業者からの問い合わせもありまして、利点や課題等が見えてきたことで、各事業者が駐車場緑化を進める際の参考として役立っていると考えております。

質問3
 首をかしげたくなるのは、公社が平成十五年から始めたP- Pass事業であります。P- Pass事業とは、駐車場利用者に、Edyカード機能を伴ったこのP-Passカードを利用して(実物を示す)、駐車場料金をキャッシュレスで支払ってもらおうという取り組みでありました。

 公社は、これまで設備投資などの経費に五千四百万円を投じ、十五カ所での利用を可能にしましたが、その後の拡大が一向に進んでいません。その理由は、カード申込者が極端に少ないからであります。利用台数が年間三百万台を超える公社の駐車場であるにもかかわらず、P-Pass会員数はわずかに二千二百十五人で、P-Pass可能な駐車場でも、P-Pass利用率は、何と〇・三%でしかありません。

 不採算事業と呼ぶ以外ありませんが、公社は撤退どころか、毎年、P-Passキャンペーンと称して、会員獲得キャンペーンを広告代理店にプロデュースさせています。平成十九年には、駅前でのチラシの配布などに百八十六万円もの予算を投じ、二カ月間のキャンペーン期間中に得られた会員は、たったの三百九人でした。一人の会員を獲得するのに六千十九円かかった計算になります。このコストパフォーマンスをどのように認識しているのでしょうか、伺います。

答弁3
建設局長
 P-Pass事業のコストパフォーマンスについてでありますけれども、P -Passは、電子マネーであるEdyに駐車場の出入庫とポイントカードとしての機能を持たせたものであります。これによって駐車料金の精算や出入庫がスムーズになり、利用者の利便性向上に資するものであると考えております。

 また、駐車場を利用した金額の一〇%ポイント還元の仕組みがございまして、この仕組みで地域の店舗と連携することで、地域振興を促進するものであるということも考えております。

 さらに、駐車場事業者にとっても、キャッシュレス化による安全管理の強化、磁気式カードからICカードへの転換による偽造の防止、利用状況の把握の迅速化が可能になるなど、多くの効果があると考えております。

 公社は、この仕組みを広く他の事業者に普及させることを目指しまして、先駆的、公益的事業として導入しております。

質問4
 今後も予算を伴う会員獲得キャンペーンを続けていくつもりなのか、伺います。

答弁4
建設局長
 P-Pass会員獲得キャンペーンの今後の予定についてでございますけれども、公社が行うキャンペーンに加えまして、日常の駐車場利用者への直接PR、管理人が直接PRすることや、他の団体が主催するイベント等に参加して、さまざまな機会を通じてカードの利点を周知し、利用拡大してまいりたいと思っております。

質問5
 ここまで会員獲得に予算をかけているのですから、当然、公社の職員はP-Pass会員になっていると思い、公社職員に占める申込者数を調べてみました。その結果、公社の職員数四百三十九名に対し、登録料が無料にもかかわらず、会員になっているのはたったの六十三名であることが判明し、唖然としました。

 予算をかけて広告代理店にキャンペーンをさせるのであれば、まずは身内の職員から会員を募るのが道理ではないでしょうか。それとも、公社の職員さえも申し込まないようなカードのために会員獲得キャンペーンを続けてきたのでしょうか、所見を伺います。

答弁5
建設局長
 P-Pass会員獲得キャンペーンの公社職員への働きかけについてでございますけれども、P-Pass事業は、公社駐車場を利用していただく利用者の利便のために導入した仕組みでありまして、公社職員であるという理由での利用は考えておりませんでした。

 一方、会員獲得キャンペーンは、さきに申し上げたとおり、P-Passの利便性を理解していただくため、より効果的な取り組みにしていく必要があると考えております。

質問6
 何より問題視したいのは、公社の経営体質です。

 実は、このP-Pass事業には、計画開始から現在に至るまで、事業の損益分岐点などを予測したマスタープランが存在しません。唯一存在するこの基本計画は(実物を示す)、目標利用者数も導入コストも書かれていない、A4一枚のぺらで、まさにどんぶり勘定で見切りスタートしたとしか、いいようのないものです。結果、損益分岐を判断できず、中途半端な事業継続を行っているのであります。 公社は、なぜ損益分岐を想定した事業計画書をつくらなかったのか。また、事業を不採算事業とみなしているのか伺います。

答弁6
建設局長
 P-Pass事業の事業計画についてでありますが、公社は、ITを活用したP-Passの導入など、民間が先導して実施することが困難な事業でありましても、先駆的に取り組むことにより、民間を牽引する役割を果たしていくことが求められると考えており、P-Pass事業は、公社の平成十五年度事業計画に位置づけて開始し、段階的に取り組みを拡大してきたものでございます。

質問7
 建設局は、P-Pass事業開始時に、この事業計画に目を通したのか伺います。

答弁7
建設局長
 P-Pass事業の事業計画に建設局として目を通したかというお尋ねでございますが、P-Pass事業は、毎年度協議をしている公社の事業計画がございます。この中に公社の独自事業として盛り込まれているものであり、建設局として協議を受け、全体として承認しているものでございます。

 今後とも、P-Passの普及拡大が図られるよう、引き続き公社を適切に指導してまいります。

質問8
 これまで申し上げてきた支出だけでも問題意識を持っていただいたことと思いますが、以上は、ほんの序の口であります。肝心の駐車場経営そのものに高コスト体質がありました。

 まず、私は、二百三カ所の駐車場のうち、立地に恵まれた比較的規模の大きい八重洲、日本橋、宝町、新京橋、東銀座、六本木の六つの駐車場の事業所別損益計算書を公社に作成させ、精査いたしました。その結果、六つの駐車場の損益は、年間八百五十二万円の赤字であることが判明しました。日本で最も地価の高い、人の往来の激しい場所で、赤字経営であります。

 その一つ、年間三百四十四万円の赤字を出す東銀座駐車場に注目したいと思います。ここは、銀座東武ホテルの正面、昭和通りの地下に掘られた百八十車両を収容可能な駐車場であります。日本一の立地である駐車場が、なぜ赤字を出すのか。そのからくりは、駐車場管理人に年間四千万円以上かかる膨大な人件費にありました。

 実際に東銀座駐車場に車を駐車してみましたが、駐車場は機械などを一切使わない平面駐車で、料金の支払いは自動精算機ですから、通常、利用者が管理人を必要としない場所でありました。ところが、この駐車場には日中三人、夜間一人の管理人が二十四時間体制で置かれています。しかも、管理人には公社の嘱託職員が含まれており、その年収は平均四百五十万円だといいます。なぜ年収四百五十万円もかかる管理人がかように必要なのでしょうか。

 さらに、八重洲、日本橋、宝町、新京橋も、管理人が三人体制であることがわかりました。八重洲を除く四つの駐車場は、昭和通りの地下でつながっており、その距離は最長で一キロの距離ですから、緊急のときには、だれか一人がすぐに駆けつけられる位置関係です。にもかかわらず、全長たった一キロの地下トンネルに管理人が十二人もいることになります。これでは、幾ら車が入っても黒字になるわけがありません。日中三人も管理人が必要な理由を伺います。一体どのような方々が公社の嘱託職員になっているんでしょうか、伺います。

答弁8
建設局長
 日本橋、宝町、新京橋、東銀座の四つの駐車場は、いずれも昭和通りの地下にありますが、それぞれ駐車場は車道で遮断されて独立した駐車場でございます。駐車場の管理には、車両の誘導、場内巡回、接遇、料金の回収やプリペイドカードの販売など、多くの業務があり、それぞれの駐車場で三人の配置は必要な体制であると考えております。

 公社は違法駐車による渋滞を解消するなど、公益的な観点で駐車場経営を行っておりまして、これらの中には、自動二輪駐車場など非採算部門、必ずしも採算の合わない駐車場もありますが、収益的に優良な駐車場もあわせて経営することで、駐車場事業全体としては健全な経営を確保している、こういう仕組みになってございます。

 次に、駐車場管理に従事する嘱託員についてのお尋ねがございました。

 各駐車場には、責任者として、豊富な知識と経験を持つ嘱託職員を置いております。その他の担当者は臨時職員を充てております。嘱託職員の構成といたしましては、公社自身のOBを四割強、それから民間からの一般採用を四割強、そして都職員OBが一割程度でございます。

 なお、公社の嘱託員の平均的な年収は約四百五十万でありますけれども、臨時職員の平均年収は実は約二百五十万ほどでございまして、したがって、管理人の平均年収は、お話の四百五十万ではなく、三百万程度であるということでございます。

質問9
 さらに驚くのは、これら直接経費と本社でかかる経費のほかに存在する営業所経費と呼ばれるものであります。営業所経費とは何かと尋ねたところ、駐車場が都内広範囲にあるため、三つの営業所があり、日常のメンテナンスや料金回収を行っている経費だといいます。

 そこで、三つの営業所の所在地と経費を改めて調べてみました。東部営業所は墨田区にあり、二十五名の人員で一億五千万円の経費がかかり、西部営業所は新宿区歌舞伎町にあり、二十六名の人員で一億九千万円の経費を要しています。

 ここで不思議なのは、新宿の西部営業所です。駐車場の所在地が広範囲だから営業所が必要といいながら、道路保全公社の本社は新宿区西新宿にあります。営業所から徒歩十五分圏内であります。駐車場経営を全国展開している三井リパークでさえ、事業本部以外、都内に営業所を持っていません。なぜ本社から徒歩十五分圏内に、家賃のかかる営業所が必要なのでしょうか、伺いたいと思います。

答弁9
建設局長
 西部営業所の必要性についてでありますが、西部営業所は、区部から多摩まで百二駐車場の無人管理駐車場の巡回、集金の業務や駐車場の定期利用契約事務、回数券販売など、駐車場の直接的な管理運営を行っております。

 一方、本社は公社全体の組織運営や企画策定等の業務を行っておるわけでありまして、本社と営業所がそれぞれ果たす役割は当然違いますので、同一の建物に置く必然性はなく、床を借りるというか、事務所を借りる経費面などからのメリットも特にないというふうに考えております。

質問10
 こうした営業所経費や人件費が経営を圧迫し、東銀座でさえ赤字経営になっていることは明らかであります。営業所の見直しをする必要があると思いますが、所見を伺います。

答弁10
建設局長
 営業所の見直しの必要性についてでありますけれども、公社の駐車場は、東は江戸川区から、西は八王子の高尾まで広範囲に点在していることから、適正な管理を行い、利用者の要望に迅速に対応するために、都内に三カ所の営業所を設置しており、現在の営業所は効果的に機能していると考えております。

 今後とも、公社の駐車場が健全で効果的な運営が図れるよう、引き続き経営改善に努めてまいります。

質問11
 果たして、民間事業者が公社にかわって同じ駐車場を経営するとどうなるのか。私は、ある民間駐車場事業者に、さきの六つの駐車場の実地検証を依頼し、駐車場スペースと車の出入りなどから、本来どれほどの利益を上げられるのか調べてもらいました。

 アークヒルズにほど近い六本木駐車場の場合、現在、年間で四十六万円しか生まない利益が、民間経営なら、何と少なくても二千万円の利益を生み、さきの六つの駐車場で八百五十二万円の赤字が、三億円以上の黒字に変わるということです。民間事業者からは、営業所経費なんて考えられない、どうするとこんな高コストな駐車場経営になるかわからないと、あきれ声でありました。これまで公社は、民間事業者による経営助言など、外の意見を入れた経営見直しを行ったことがあるのか、伺いたいと思います。

答弁11
建設局長
 外部意見による経営の見直しについてでございます。

 経営の見直しについては、平成十四年度に、駐車場事業も含めました全事業について都の包括外部監査を受け、経営の効率化を進めてまいりました。また、公社は、平成十四年度から、毎年、公社事業全般に対する監査法人による外部監査を実施し、臨時職員の活用、夜間警備のアウトソーシング、有人管理所の無人化への転換などによりまして、日々健全な経営に努めているところでございます。

 今後とも、外部監査を活用し、効率的、効果的運営が図れるように努めてまいります。

質問12
 このほかにも、この一千四百万円をかけてつくった五百ページにも及ぶカラー地図一万部を(実物を示す)無料で配布したり、時間貸し駐車場利用者に蛍光ペンセットを無料配布するなど、大盤振る舞いの支出が数多く並んでいることがわかりました。なぜこのような放漫な経営がされているのでしょうか。

 それは、都有地の活用により安定的な利益が生まれ、その利益を消化する目的で支出先が決められているからにほかなりません。この際、公社の支出については、民間市場に照らして第三者による総点検を行う必要があると思いますが、所見を伺います。

答弁12
建設局長
 先ほど申し上げたとおり、公社は監査法人による外部監査を既に実施、導入しておりまして、その結果を踏まえて、みずから健全経営に努めているところでございます。

 ご指摘のありました駐車場マップでございますけれども、年間百万件以上アクセスがあるs-park、先ほど申し上げた一般の都民の方が携帯等で駐車場の空き状況あるいは位置を知る情報ですが、こういう仕組みとともに、この駐車場マップは、都内の民間駐車場、公社だけではなく、民間の駐車場も含めた駐車場の位置を利用者にわかりやすく記したものでございまして、こういう情報を提供することによりまして、その方が目的地に行くときに、そのそばに駐車場があることで、違法駐車をしない、違法駐車の防止に寄与することを目的として作成しておりまして、公社本来の役割を果たすための必要な経費であると考えております。

質問13
 冒頭に紹介したとおり、監理団体とは、採算性、市場性を欠く分野の活動が求められています。そのため、公社は財団法人として法人税の減免措置を受けてきました。本来、駐車場事業者が払う法人税は収益の三〇%ですが、公社は二二%の法人税で許され、付帯して固定資産税なども減免されてきたのです。

 果たして、銀座の一等地で行う駐車場経営が公益事業でしょうか。税制優遇を受けた上に、高コスト体質で利益を圧迫し、三億円の利益はむだ遣いに費やしている、これが公社の実態です。

 知事、公社の行う駐車場事業は、採算の面でも市場の面でも、民間事業が十分に成熟している分野です。なぜ法人税などの税制優遇を受ける監理団体が行わなければならないのでしょうか。

 仮に、一万一千台分の駐車場スペースが民間事業者にゆだねられれば、都は大きな法人税収入を得られるばかりか、今よりも高額で都有地の貸し付けを行えば、得られた収入は一般財源となり、それこそ都民に還元できます。私からは、この際、道路保全公社の駐車場部門は徹底的に見直し、民営化することを提案いたしたいと思います。

 知事は、就任以来、平成十六年の監理団体改革を初め、外郭団体の改革には常に積極姿勢を示してきましたが、こうした状況を踏まえ、今後どのように公社の改革を行うのか知事の所見を伺い、答弁によっては再質問を留保して、質問を終えさせていただきたいと思います。

答弁13
知事
 質問の回答なるものが来ておりますけれども、今のお話を聞いていますと、これはちょっとやはり徹底して洗い直す必要があるんじゃないかという気がいたします。

 実は、これは外部監査の対象になったと聞いておるんですけれども、外部監査人は非常に努力を毎回してもらっていまして、非常に厳しい指摘を今まで受けてきました。直すところは、やっぱり直してきまして、随分いろんなものが向上したと思いますが、この問題については、私自身もう一回、事実というものを調査し直して、踏まえてからお答えいたします。

建設局長
 道路整備保全公社は、総合駐車対策に役立つ先駆的駐車場づくりや、道路用地、無電柱化などの道路行政推進の支援などにより、交通渋滞や都市機能の増進に寄与する団体という認識でございます。そうでありますが、今後とも、効率的、効果的な経営を図るというのは当然のことでございますので、不断の改革に取り組んでまいりますし、知事が答弁されたとおり、今後、私どもも検証し、知事に適切に報告し、ご判断をいただくこともあろうと思っております。

再質問

 知事からは、明確に見直しについて言及がありました。ところが、局長からの答弁は、いずれも苦しいいいわけにしか聞こえませんでした。局長は知事と見解を一にしているんでしょうか、改めて確認をしておきたいと思います。

 また、聞こえのいい、経営の見直し、不断の改革という言葉が聞かれましたが、具体的な改革案が示されない以上、我々は納得することができません。どのような新たな取り組みをするつもりなのか、局長に所見を伺いたいと思います。

答弁
建設局長
 個々のご指摘についてのそれぞれの見解については、監理団体としての道路整備保全公社を管理監督する建設局としての考えでございます。局長の考えということで結構でございますが、全体として、知事がやはり内容をもう一度よく徹底して調査をして検証する必要があるとおっしゃっておりますので、そういうことでやっていきたいと思っておりますし、私としては、何としてもいいたいことは、この道路整備保全公社が、主要な業務である駐車場を経営しているわけですけれども、その経営採算がいいところと悪いところを抱き合わせで経営しているというところがポイントでございまして、駐車違反はどこでもあるわけでございまして、民間が導入しないような駐車場を道路整備保全公社が設置することによって、その部分の違法駐車が減って、その結果、道路の渋滞が解消する、こういう大きな目的を持って進めておりますので、その点はぜひ、私としては変わらず強調させていただきたいと思いますし、もう一方の東京都の「十年後の東京」計画、これはもう大計画でございまして、三年間のアクションプログラムは、建設局が予算の半分ぐらいを担っております。ハード事業を進めるに当たりましても、やはりこの道路整備公社による電線類地中化の事業でありますとか、用地買収の事業でありますとか、それから、不足がちの監督員、工事監督員の補助の事業でありますとか、こういうものはぜひ道路整備保全公社に期待し、という意味でパートナーと申し上げました。このところは期待しております。

 といいながら、経営の不効率な面、そういう面については引き続き検証し、当然改善すべきところは改善し、知事にご報告し、判断をいただくということになります。よろしくお願いいたします。

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