
まず冒頭、一言申し上げます。
昨日の私どもの代表質問における知事発言の指摘に対して、知事より、いった覚えがありません、招致委員会に対する大きな侮辱との発言がありました。
都民、国民の理解を妨げる、招致委員会の努力に水を差すような発言、行動をしてきたのは一体だれなのか、知事みずから、胸に手を当ててお考えになった方がよろしいのではないでしょうか。
また、法的措置もということですが、それはそれで結構です。まずは、新銀行東京の旧経営陣からおやりになる、それが都民のためであるといっておきます。
教育
質問1
東京未来塾は、首都大学東京特別推薦入学選抜において、今年度四十九名中五名の不合格者を出しました。十二月三日、不合格者五名は、所属高校から連絡を受け、非常に大きな衝撃を受けました。学校も保護者も、特に全員を推薦した未来塾も想定外であったようで、保護者は、適切な塾生へのフォローがほとんどないと感じて、家族の精神的な痛みは今も続いております。なぜ不合格となったのか、首都大は採点基準を説明していません。未来塾は五十名程度の入塾生を選抜し、首都大は、塾生を対象に五十名の推薦枠を設けております。
受験勉強よりリーダー育成を目的に、百日程度の出席とその成果が選抜の資料となるとの説明で、五名の塾生も過密スケジュールを頑張りました。首都大特別入試に関しても、学部指定枠への調整も受け入れ、全員が推薦されています。
未来塾は、教育長を塾長、指導部長を副塾長とする教育庁指導部の事業であり、首都大からは、学長初め多くの講師が講座を担当しています。倍率の高い中、入塾できれば、所属高校は入塾生の進路は首都大確実と思ったようです。
こうした教育庁設置という強い後ろ盾に、首都大と所属高校との強い連携があるとなれば、だれもが信頼します。そこでの不合格の烙印は、将来のリーダーとなる夢を壊してしまうことになったと認識され、五名の塾生をしっかり支援していただきたい。 今、来年度の塾生選抜中です。せめて今後の塾生に同じ思いをさせないよう、また一般の高校生との不平等とならないよう、各関係機関の連携を急ぎ見直していただきたい。
未来塾は、東京都教育ビジョンの中の大学入試のあり方と高校教育の質の向上の実現例とされていますが、それをなし得ているとは思えません。今後、未来塾は、特別推薦入学選抜があるということを売りにするのはやめ、首都大と連携し、広く大学生に対象を広げたリーダー育成に見直されたいと考えます。五年が経過して、ここで課題を整理し、設立当初の目的である、日本の将来を担い得る改革型リーダーとしての資質を持つ人材を育成するという理念が実現できるよう、しっかりと検討すべきと考えますが、ご見解を伺います。
答弁1
教育長
東京未来塾についてでございますが、東京未来塾は、首都大学東京と東京都教育委員会が連携しまして、都内すべての高等学校三年生を対象とし、日本の将来を担い得る改革型リーダーとしての資質を持つ人材を育成することを目的に、平成十六年四月に開設をいたしました。
未来塾の塾生は、東京都教職員研修センターにおきまして年間七十日間、各界の第一人者を招聘した特別講義の受講、みずから課題設定して探求活動を行う課題解決学習、首都大学東京と連携したゼミナールや企業等での体験学習を通して、課題解決能力や幅広い教養、社会貢献の志をはぐくんでまいりました。
なお、首都大学東京への進学を目指す塾生は、在籍する高校の校長の推薦を受け、首都大学東京が実施する特別推薦入学選抜試験に合格しますとともに、未来塾の全課程を修了した場合に初めて入学が可能となるものでございます。また、生徒の希望による他の大学進学を否定しているものではございません。
昨年までの四年間で、未来塾を卒塾したすべての生徒は、選抜試験である大学入試を経まして、首都大学東京を初めとする大学に進学し、未来塾で学んだことをもとに、専門的な課題に意欲的に取り組んでまいりました。
本年三月には、未来塾の第一期生が大学を卒業することになりますが、官公庁、民間企業への就職を初め、大学院への進学などが報告されております。
このようにして、本事業を通して、二十一世紀の東京の創造的発展を担い得る若い人材の育成に努めてきたところでございますが、今後とも、首都大学東京や在籍高等学校との連携を一層図りまして、未来塾で実施している特別講義やゼミナール等のさらなる改善に努めてまいります。
質問2
私は、十数年前から、日本語支援の必要な子どもたちを支える民間市民団体とともに活動してまいりました。義務教育に次ぐ課題は、高校生の受け皿が少ないことでした。もう一刻も待てないと要望を重ね、やっと昨年、都教育委員会はルビ振り入試を導入し、今年度は五十七名が入学、来年度入試の申し込みは百二十七名という状況ですが、一方で、非漢字圏の子どもたちはさらに深刻です。高校に入学したい外国人生徒には、未来を開くチャンスをつかみたい、バイリンガルを生かして将来教師になりたい、夢と希望を持つ生徒がふえています。学びたい生徒を卒業までしっかりサポートする体制をつくらなければなりません。
日本語指導の必要な外国人生徒に対しては、都立高校入学後の早い時期からきめ細かな支援が必要であると考えます。ご見解を伺います。
答弁2
教育長
日本語指導の必要な外国人生徒についてでございます。
日本語の習得状況が多様な外国人生徒に対しましては、個別の状況に応じた適切な日本語指導を行うことが重要でございます。
都立高校におきましては、日本語指導の必要な外国人生徒に対する個別指導、いわゆる取り出し授業や、放課後あるいは夏季休業日における補充指導などを実施しております。
また、都教育委員会は、取り出し授業のための非常勤講師の配置や、日本語指導に関する教員研修の実施などを行ってまいりました。
平成二十一年度には、こうした取り組みに加えまして、これまで十六カ国語で作成してまいりました外国人児童生徒用のテキストを二十二カ国語に拡充しますとともに、入学後の早い時期からの活用を促進し、都立高校における日本語指導の充実を図ってまいります。
質問3
世界的な景気の悪化により、我が国の雇用情勢も大変厳しい状況になっています。高校生の就職内定率は、十二月末現在では全国が八二・三%、東京は七七・六%と、前年に比べて下降ぎみです。また、卒業を目前に高校生の内定取り消しもあると聞いています。都立高校における内定取り消しの状況と都教委の対応について伺います。
答弁3
教育長
就職内定取り消しの状況と、その対応についてでございます。
都立高校生の内定取り消しは、平成二十一年二月六日現在で九名でございまして、そのうち八名が他の事業所等への進路を決定しており、残り一名も今年度中に決定する見込みでございます。
都教育委員会は、昨年十二月に全都立学校へ通知文を発出いたしまして、内定取り消しがあった場合、速やかに報告するとともに、ハローワーク等との連携により生徒へのきめ細かな就職指導を行うよう、学校を指導いたしました。
また、ハローワークによる当該生徒への迅速な就職支援と内定取り消し事業所への指導を東京労働局に依頼をしたところでございます。
今後とも、内定取り消しがあった場合には、同様に関係機関と連携し、各学校における就職指導を支援してまいります。
質問4
高校生にも内定取り消しがあるような厳しい経済状況の中で、生徒が自己の進路を安易に選択してしまわないようにすることも大切です。生徒に目的意識や勤労観、職業観を持たせるキャリア教育が重要であると考えます。都教委のご見解を伺います。
答弁4
教育長
キャリア教育についてでございます。
生徒が将来にわたる生き方を考え、主体的に進路を選択していく能力と、望ましい勤労観や職業観を身につけることは、大変重要でございます。
都教育委員会は、平成十八年度から、すべての都立高校に対し、年間指導計画を作成し、教育活動全体を通じてキャリア教育を推進するよう指導してまいりました。
また、キャリア教育の実践連絡協議会やフォーラム等を開催し、すぐれた実践事例の普及啓発を図りますとともに、生徒が企業等で就業体験を行うインターンシップ事業を実施するなど、都立高校におけるキャリア教育の推進に努めてまいりました。
今後とも、こうした取り組みを通して、各学校におけるキャリア教育の一層の推進を図ってまいります。
質問5
都は平成十八年三月、「東京都立学校教職員のこころの健康づくり計画」を策定し、訪問相談など体系的なメンタルヘルス対策を進めています。しかし、教育の現状は想定以上に厳しく、この十八年新規採用教員二名が自殺されました。うち一名のご遺族は、その原因を過重労働、公務上のストレス、学校内のサポート不足として公務災害認定請求をし、地方公務員災害補償基金東京都支部は、本部との協議を踏まえ、これを公務外と認定しました。ご遺族は納得されておられません。
精神疾患による公務災害認定は極めて難しい状況です。ご遺族による公務災害認定請求書によると、当該学校は単学級であり、新規採用教員でも、一年目から、クラス担任のほかに学習指導部、生活指導部、給食事務部、渉外部、各種委員会、クラブ活動等の職務があり、長時間労働が続き、加えて、保護者からのクレームにより精神的な負担が大きくなったことなど、幾つもの要因が重なったことが自殺へと追い詰めた原因と主張されています。
再びこうした痛ましい状況をつくってはなりません。二十年度は、都内小学校約千三百校に対して、新規採用教員は約千四百五十人という状況です。
このパネルをごらんください。ちょっと小さいんですが、教育庁の資料から、東京都公立学校教員の年齢分布を示しています。縦軸が教員数、横軸が年齢です。
上が平成十五年のグラフ。青い線が全体、赤い線の小学校ともに、四十代、五十代の教員が多くいることがおわかりになると思います。
下のグラフは、五年後の平成二十年のものです。全体、小学校ともに、二十代、四十代後半から五十代の教員が多くなっています。
今後十年で、このピークに位置する教員が退職していきますと、人数が少ない三十代半ばの教員が、新たに大量採用されてきた二十代の教員をリードしなければなりません。
今後十年、大量退職により急増する小学校新規採用教員に対しては、特に多様なサポート育成支援が必要です。教育委員会の対応について伺います。
答弁5
教育長
小学校新規採用教員の育成支援についてでございます。
小学校の新規採用教員は、初年度から学級担任として学級経営や保護者対応を行いますことから、円滑に教育活動をスタートできるよう支援することが重要でございます。
都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携いたしまして、平成十九年度新規採用教員から、正式採用前の三月の段階で、四月から勤務する学校に出向いて、授業参観や児童との交流など、学級担任として役立つ実践的な活動を体験いたします任用前学校体験や、管理職OB等が各学校を巡回して助言し、相談に応じる、教育アドバイザー制度を実施しております。
また、平成二十一年度からは、昨年策定いたしました東京都教員人材育成基本方針に基づきまして、新たに任用する主任教諭が若手教員に対して指導方法の工夫、改善を助言するとともに、保護者との対応、地域との連携の進め方などについてOJTを通じて指導するなど、学校現場における人材育成の取り組みを進めてまいります。
さらに、区市町村教育委員会はそれぞれ独自に、例えば校長OBを活用して授業の進め方を指導したり、土曜日に新規採用教員のための相談室を開いたりするなどの取り組みを行っております。
このように、新規採用教員の育成につきましては、都と区市町村が連携いたしまして、万全を期して取り組んでいるところでございます。
質問6
平成十九年度の文部科学省調査によりますと、都内の公立学校休職者は六百二人で、うち精神疾患による休職者は四百十六人と七割を占め、全国的にも増加傾向にあり、十年前の三倍になったと聞いています。
特に、新規採用教員や人事異動などで職場環境が大きく変わった教員など、新たな環境の変化に対応できない教員への疾病の予防が必要です。
このような状況において、教員へのメンタルヘルス対策のより一層の充実を図る必要があると考えますが、どのような対策を行っているのか、伺います。
答弁6
教育長
教員へのメンタルヘルス対策についてでございます。
都教育委員会では、新規採用教員への啓発資料の配布、臨床心理士や精神科医による個別相談、区市町村教育委員会が主催する研修会への講師の派遣、ストレス対策等の精神保健講習会や、管理職を対象とした事例研究会の開催など、疾病の早期発見、予防に努めております。
また、精神疾患で休職した教員が職場復帰する際には、医療機関における訓練のほかに学校における訓練を実施しております。学校における復帰訓練を行う際には、教育相談員や心理相談員が学校を訪問し、個別具体的な相談に応じるなどの支援を行っております。
今後とも教員のメンタルヘルス対策の充実に努めてまいります。
ことし四月より、国の教員免許更新制が始まります。当初は不適格教員の排除が目的とされましたが、施行時には教員の資質向上に、また対象者も、現職にある者のみに変更されました。
都では、私学や都外流入の方も含めて、対象者は約七千五百人程度と試算していますが、全国関連自治体や大学など受け入れ側も大変な状況ですし、幼稚園から高校まで対象となる多くの現職教員は、三十時間をやりくりし、この間、学校現場から離れることになります。
だれのための、何のための法制度か、大きな疑問ですが、やらなければならないのであれば、大事な時間は有効に使わなければなりません。本来、教育現場を子どものために整える研修であるべき原点に立ち返り、都として、十年研修や内容が重なる研修との整合性について検討し、実のある教員人材育成基本方針並びに教員研修制度の整備を強く要望いたします。
平和
質問1
都の平和施策と平和の日の意義について伺います。
昭和二十年三月十日未明の大空襲により、東京では一夜にして多くの命が失われ、至るところ焼け野原と化しました。この間、東京への空襲実態や遺族の状況、被災者名簿の作成などに積極的に取り組んできたのは、被災者を中心とした市民団体でした。やっと平成十五年に遺族会が結成され、毎年、石原知事あてに支援の要請をしています。国に対しては、戦後六十二年目にして被害者百十二名による第一次集団提訴、続いて昨年三月十日に二十名が第二次提訴をしております。
この訴訟の目的は、国との雇用関係がないという理由で軍人と民間人を差別し、民間人被害者に対して何らの援助をせず、切り捨て、放置した国への謝罪と損害賠償を求めるものです。提訴は、国が一貫して民間人被災者への補償を認めず、一方で軍人、軍属等へのみ年間一兆円を超す国家補償をしていることは、法のもとでの不平等と訴えています。
東京への大空襲は、三月十日だけでも十万人、続いて五月二十四日、二十五日、八月十三日にも死者二十九名と、終戦の日の青梅空襲まで続き、集団疎開などで生き残った戦争孤児約三万五千人は、状況もわからず、戦後の復興の中で家族や財産を失い、精神的、経済的に多大な苦難を受けました。
折しも三月十日が近づく中で、平和の日の意義について知事に伺います。
答弁1
知事
東京都平和の日の意義についてでありますが、東京は、昭和二十年三月十日の大空襲により、一夜にして焦土と化し、多くの生命が失われました。
戦後六十年以上にわたり、日本は一貫して平和を堅持し、東京は世界有数の大都市となりましたが、今日の平和と繁栄が多くの都民の犠牲の上に築かれていることを決して忘れてはならないと思います。
そのために、東京都では、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓いまして、三月十日を東京都平和の日と定めております。
質問2
東京大空襲に関する現在の所管は、生活文化スポーツ局が、平成十三年に建立した東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑と犠牲者名簿の作成、建設局が都立横網町公園、東京都慰霊堂及び遺骨名簿の管理と分かれています。
遺族関係者は、平成七年から、アンケート調査を初め犠牲者名簿の作成など、議会に働きかけをしながら積極的に活動してこられました。犠牲者の氏名を記録することは、空襲の実相を記録するという大きな意味があり、犠牲者の存在のあかしです。また、被災時住所ごとの統計をとることよって、東京空襲がいかなるものであったかがはっきりわかるはずです。
空襲から六十四年を経て、被害の実態が見えにくくなり、関係者の高齢化も進んでいます。少しでも早い対応が必要です。都の空襲犠牲者名簿の到達点は七万八千四百四十名と、まだ道半ばです。名簿作成の周知、申し出の呼びかけをさらに積極的に行う必要があると考えます。
また、遺骨名簿からは遺骨を引き取った犠牲者名は除籍され、空襲犠牲者名簿には登載されていないのではないかと聞いております。せめて名前だけでも記したいという関係者の思いにこたえるために、関係局の連携を密にするなど、工夫により、犠牲者名簿の整備に一刻も早く努めるべきと考えますが、ご見解を伺います。
答弁2
生活文化スポーツ局長
東京空襲犠牲者名簿についてでございますが、都では毎年、「広報東京都」や記念行事のポスター、チラシなどを通じて、名簿登載への呼びかけを行っているところでございます。
また、区市町村や他の道府県に対しましても、周知について協力の依頼を行っているところでございます。
今後とも、名簿の整備方策については検討してまいります。
道路整備
質問1
都市計画決定の手続以来、西五反田地域の住民を中心とした近隣三十町会九団体で、高速品川線問題近隣町会合同連絡会を組織し、環境や景観保全の観点から、道路の真ん中に建つ巨大な換気塔を何とか見直してほしいと、換気所をなくすアイデアを全国公募するなど、独自で運動を展開してきました。
品川線の都市計画決定から約四年がたち、これまでの排出ガス対策に対応し、ハイブリッド車が増加するなど、自動車の性能は大幅に改善されつつあります。
このような状況にあって、五反田換気所建設工事に当たり、工事中の沿道への影響の軽減や換気塔の規模縮小などについて、都はどのように対応していくのか、お伺いします。
答弁1
建設局長
中央環状品川線五反田換気所建設工事における沿道への影響の軽減や換気塔の規模縮小などについてのご質問にお答えいたします。
中央環状線は、渋滞緩和や環境改善を図る上で極めて効果が高い路線であり、その機能を十全に発揮させるために、品川線の早期完成が求められております。
整備に当たりましては、沿道環境への影響が最も小さい地下構造を採用しているため、換気所の設置が不可欠でございます。
これまで、換気所の規模縮小や沿道への影響の軽減について、さまざまな検討を重ねてまいりました。この間、ディーゼル車規制など排出ガス対策が進み、国は昨年十月に道路トンネルの換気基準を改定したところでございます。
この新基準に基づき見直しを行った結果、換気所の地下部分の大きさを約三分の二に縮小し、換気塔の太さを約四分の一にスリム化するなど、計画を変更いたします。
これにより、工事中もおおむね現在の歩道幅員が確保できるなど、工事による沿道への影響を大幅に軽減できると考えております。これらのことを、お話にありました地元町会等で構成される連絡会へ、先般、説明いたしました。
今後とも、住民の理解と協力を得ながら、五反田換気所建設工事を着実に進め、品川線の平成二十五年度開通に向け、事業を推進してまいります。