
障がい者スポーツ
質問1
ことし九月に東京で開催される東京二〇〇九アジアユースパラゲームズについて質問します。
アジアの四十の国と地域から、障害のある若者やスタッフ合わせて約千人が参加する今回のユースパラゲームズは、二〇〇三年の香港大会以来、六年ぶりの開催となります。この祭典は、障害者スポーツの競技レベル向上に寄与するとともに、障害の有無にかかわらず、同世代の若者に夢や希望を与える絶好の機会になると期待しております。
石原知事は、今定例会の施政方針表明の中で、オリンピックについて、人間がつくり出す劇の中で最も美しい劇でありますと、その感動を美しい文学的表現で強調されました。
パラリンピック、ユースパラゲームズについても同じ思いであろうと思いますが、東京で初めての開催となるアジアユースパラゲームズの意義を踏まえて、この祭典に対する知事の認識と決意を伺います。
答弁1
知事
アジアユースパラゲームズについてでありますが、この大会は、アジアの障害のある若いアスリートたちが集って競技を繰り広げる国際大会でありまして、日本で初めての開催となります。
障害のある若者たちが、ハンディキャップを乗り越え、全力で競技に挑み、競い合うことは、大きな喜びと将来への糧となります。眺めていても、人間とは本当にこんなに強いものかなという感銘を与えてくれると思います。
参加選手のみならず、多くの都民、国民にも、そういう意味で夢と感動をもたらす舞台となるよう、この大会をぜひとも成功させたいと思っております。
この大会により、東京がオリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい、魅力のある都市であることを世界にアピールしていきたいと思っております。
質問2
ユースパラゲームズでも、大会の成功を支えるのは、いうまでもなく障害者スポーツボランティアであります。近年、障害者スポーツに親しむ個人や団体がふえ、競技レベルも高度化する傾向にある中で、一緒にトレーニングをしたり、技術的なアドバイスや健康管理面の助言もできるボランティアへの期待が高まっております。専門的な知識や技術を持つボランティアを育成することは、選手層のすそ野を広げ、その中から、パラリンピックやユースパラゲームズを目指す選手も数多く輩出されていくと思います。
そこで、東京都が区部と多摩地域に一カ所ずつ設置している障害者スポーツセンター等を活用し、介助だけでなく、競技技術やトレーニング方法など専門的な知識を身につけたボランティアの養成に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
障害者スポーツボランティア養成についてでありますが、現在、都は、障害者スポーツセンターにおきまして、障害者スポーツの技術的指導や競技者の安全、健康管理など専門的知識を持つ指導員やボランティアを育成しております。また、こうした方々は、障害者スポーツボランティアとして人材バンクに登録され、さまざまな場面で障害者スポーツの振興に寄与していただいております。
今後、こうしたボランティアがさらに高い専門的知識や技術を身につけ、積極的な助言や主体的な活動ができるよう、リーダー講習及びコーディネーター講習などの充実に取り組んでまいります。
質問3
障害者スポーツの振興に関連し、区部のスポーツ拠点として利用されている東京都障害者総合スポーツセンターの交通利便性について質問します。
北区にある同スポーツセンターは、鉄道駅から離れているため、JR池袋駅と王子駅を経由する送迎バスを運行させておりますが、スポーツセンターの利用者からは、電車の乗りかえや移動の負担が軽くなるよう、経由する駅をふやしてほしいとの声が寄せられております。
路線を拡大すれば、利用者の利便が図られ、スポーツセンター利用者の増加にもつながると思います。停留所を新たに設置するには、道路管理者の許可や、乗降者、通行者の安全確保のための施設整備など、課題は当然ありますが、利用者の居住地やスポーツセンターへの経路を把握した上で、経由する駅をふやすべきと考えます。見解を求めます。
答弁3
福祉保健局長
東京都障害者総合スポーツセンターの送迎バスについてでありますが、現在、スポーツセンターと王子駅及び池袋駅間で送迎サービスを行っておりますが、両駅とも複数の鉄道路線が乗り入れ、駅構内もバリアフリー化されているため、利用者にとって利便性が高いものと考えております。
しかし、経由駅をふやすことが可能であれば、より利用者の利便が増すものと考えられますので、今後、改めてセンター利用者の希望や居住地等からの交通経路などを把握した上で、駅のバリアフリー化の状況、バス停スペースの有無、道路占用許可基準との適合性などについて調査をしてまいります。
雇用対策
質問1
雇用対策について質問します。
雇用不安が大きく社会問題化する中で、失業や定年前の退職等を契機に、技能を身につけて安定した就業を目指したいと考える人が多くなっております。
都は、正規雇用に向けた技能習得訓練機会の提供や、仕事との両立が可能な夜間訓練の新設など、多様なニーズにこたえるための取り組みを進めておりますが、訓練期間、年齢、訓練中の生活費確保など、要件が適合せず、断念せざるを得ないケースも見受けられます。
例えば、勤めていた会社の倒産により、三十歳代後半で失業し、退職金なし、マンションのローンを抱え、家族も養わなければならない状況の中で、再び失業しないために技能を身につけようとしても、条件が合わず、結局、職業訓練を受講できなかったという相談が寄せられております。ほかにも類似した事例を幾つか耳にしており、さらにきめ細かな職能開発支援策が不可欠であると考えます。
そこで、職業訓練が三カ月から一年と比較的長期間にわたるもののほかに、一カ月程度の短期間の訓練メニューの提供、企業と連携して、仕事の現場を体験した上で就業できる制度、さらには、希望する職種の現場見学によるスキルアップ意欲の啓発など、支援メニューを一層多様化する必要があると考えます。今後の対応について見解を求めます。
答弁1
産業労働局長
職業訓練におけるメニューの多様化についてでありますが、社会経済情勢の変化に伴い、求職者のニーズは多様化しており、職業訓練の実施に当たっては、訓練科目、訓練期間、実施方法などにさまざまな工夫を凝らすことが必要であると認識しております。
都はこれまでも、ニーズの変化に応じた科目の見直しや、三カ月から二年までの訓練期間の多様化、各年齢層向けの訓練コースの設定、さらには、現場実習を伴うデュアル訓練や、現場見学を行う、ものづくり体験塾などを行ってきたところでございます。
来年度は、非正規労働者向け訓練において短期コースを設定するなど、今後とも、多様なメニューにより求職者を支援してまいります。
質問2
技能習得期間中は、安心して訓練に専念できる生活支援策の強化も必要と考えますが、所見を伺います。
答弁2
産業労働局長
職業訓練での技能習得期間中の生活支援策についてでありますが、職業訓練の受講生に対しては、安心して訓練を受けられるよう、受講生それぞれの状況に応じまして、雇用保険の延長給付、障害者や母子家庭の母等を対象とした訓練手当、今年度から開始いたしました就職チャレンジ支援事業における受講奨励金などの支援策を講じております。
また、こうした支援を受けられない方に対しては、技能者育成資金制度による貸し付けがございまして、この制度については、都がその拡充等を国に要望してきており、今年度、対象者の拡大や返還免除制度の創設など、大幅に拡充をされております。
今後、こうした制度について一層の周知徹底を図り、受講生を支援してまいります。
質問3
都の職能開発支援の拠点として職業能力開発センターがありますが、職業訓練に励み、技能を身につけたとしても、雇用先が見つからなければ、その技能を生かすことができず、生活の安定にはつながりません。
同センターでは、ハローワークとの連携や、独自に雇用先の開拓を推進しておりますが、今後の就職支援として、受講生をより多くの求人企業と直接結びつけられるような場の提供や、企業OBなどを活用した企業訪問による雇用先の開拓等に力を入れるべきと考えます。見解を伺います。
答弁3
産業労働局長
職業能力開発センターの受講生に対する就職支援についてであります。
都は、職業訓練の受講生と求人企業とのマッチングを図るため、平成十九年度から、業界団体等と連携をいたしまして、合同企業説明会を開催してまいりました。来年度は、この企業説明会の回数をふやして、都内すべてのセンターで開催をいたします。
また、センターには、人材アドバイザーとして、現場に精通している企業OBを配置いたしまして、企業の人材ニーズの把握や求人開拓等を行っており、ご指摘を踏まえまして、今後、人材アドバイザーなどによる企業訪問件数をふやしてまいります。
こうした取り組みによりまして積極的に雇用先を開拓するなど、受講生の就職を支援してまいります。
がん対策
質問1
がん対策について質問します。
医学の進歩により、早期発見や早期に治療を開始した場合、がんにかかることが即、命を落とすことを意味するものではなくなってきたとはいえ、依然として命を脅かす病気であることに変わりはなく、がんと診断された患者や家族の心の不安、動揺は想像にかたくありません。
こうした方々を応援するため、都内のすべてのがん拠点病院、認定病院には、がん相談支援センターが設置されておりますが、相談できる時間帯は、おおむね平日の日中のみとなっております。仕事を持ちながら、がんの治療を続けている方など、平日の日中にはなかなか相談に訪れることができない人にとって、夜間や休日でも相談に対応してもらえる体制は不可欠であります。早急な具体化が必要と考えますが、見解を求めます。
答弁1
福祉保健局長
夜間や休日におけるがんの相談対応についてでありますが、仕事をしながら治療を行う患者さんやその家族の利便性に配慮し、夜間や休日に療養上の不安などについて相談できる窓口を確保することは、患者さんや家族の療養生活を支援していく上で重要であります。
このため、夜間、休日における相談を、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の相談支援センター三カ所で、来年度早期からモデル実施をする予定であります。
今後、このモデル事業の成果を踏まえ、拠点病院及び認定病院における相談支援体制の充実に努めてまいります。
質問2
がんの患者や家族からは、同じようにがんに罹患し、不安を抱えながら治療を続けている方などと心の悩みや体験を語り合うことによって、不安が解消された、安心感につながったといった体験例も聞きます。
そこで、拠点病院等において、がんの患者や体験者同士が語り合い、交流できるスペースをつくるための支援も重要であると思いますが、所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
がん患者や体験者同士が交流できる場の整備についてでありますが、がん患者等がみずからの悩みや闘病体験を語り合い、励まし合うことは、患者、家族が病気に向き合う際の大きな支えとなります。
このため、都は来年度、拠点病院及び認定病院において、がんに関する情報収集や交流を行える、がん患者、家族交流室の整備を支援することとし、患者、家族の不安の軽減と療養生活の質の向上を図ってまいります。
都営地下鉄
質問1
都営地下鉄のバリアフリー化について質問します。
公明党が成立を主導した、平成十二年の交通バリアフリー法、平成十八年十二月のバリアフリー新法の施行などを経て、鉄道、バスなど公共交通機関のバリアフリー化が進んでおります。
私の地元板橋区の中心部を走っている都営三田線には十一の駅がありますが、地上からホームまでエレベーター等によるワンルートが確保されていない駅は五つもあり、利用者からは設置要望が強く出されております。早期に整備を実現すべきであります。ワンルート確保の見通しについて見解を求めます。
答弁1
交通局長
都営地下鉄のバリアフリー化についてでございますが、交通局では、人に優しい公共交通機関を目指し、エレベーター等により地上からホームまでのワンルートを確保するなど、さまざまなバリアフリー対策を進めております。
お尋ねの三田線の板橋区内におけるエレベーター整備につきましては、平成二十年度末、板橋区役所前駅でエレベーターの供用を開始する予定となっておりまして、これによりまして、十一駅中七駅でワンルートが確保される見込みでございます。残る四駅のうち二駅は既に工事に着手しており、他の二駅も、設計や関係者との協議など、工事着手に向けた準備を進めております。
引き続き、一日も早い整備に向け、全力を挙げて取り組んでまいります。
質問2
都営地下鉄におけるバリアフリー化は、エレベーター設置にとどまらず、さらに細やかな配慮が必要であります。例えば、小さな段差は、高齢者や急いでいる人のつまずきの原因になりますし、雨などで通路がぬれて滑りやすいところでは、転んでけがをするケースもあります。また、トイレ内に取りつけられているフックの位置が高いために、高齢者がハンドバッグやコートなどをかけることができないのも、バリアの一つであると思います。
健常者が普通に利用していれば障害とならないような、こうしたいわゆるプチバリアはまだ多く残っており、高齢者や障害者、妊婦や子どもの目線に立って着実に整備すべきと考えますが、見解を求めます。
答弁2
交通局長
地下鉄駅の小さなバリアについてでございますが、健常者が普通に利用していれば障害とならないような小さなバリアへの対応といたしまして、交通局では現在、駅構内の小さな段差の解消や、手すりが連続していない箇所の解消などを進めております。
事業の推進に当たっては、年度ごとに重点路線を定めて、各駅の実情を詳細に調査した上で必要な改善を行っております。
引き続き、高齢者や障害者などの目線に立ったきめ細やかな対応に努め、だれもが自由に円滑に移動できる公共交通機関を目指して取り組んでまいります。
質問3
都営地下鉄の混雑緩和について質問します。
低炭素型社会への都民の意識が高まる中で、車の利用を控え、公共交通機関を利用する人が今後増加することが予想されます。現状でも通勤通学時の混雑が激しい都営地下鉄は、利用者増によってさらなる混雑が危惧されます。
都交通局は現在、都営地下鉄四路線のうち、新宿線、大江戸線の混雑緩和策を講じつつありますが、増便のための車両の発注、待機させる車両基地の確保など、計画から配置まで数年を要すると聞いております。このため、人口増が見込まれる沿線の乗客予測なども含め、今後の利用者増を想定して、早目に混雑緩和策を講じる必要があると考えます。見解を求めます。
答弁3
交通局長
都営地下鉄の混雑緩和についてでございますが、お客様に都営地下鉄を快適にご利用いただくためには、適正な輸送力を確保していくことが重要であると考えております。
都営地下鉄の四路線のうち、朝のラッシュ時間帯において混雑が特に激しい大江戸線と新宿線につきましては、車両の増備を予定しております。このほかの浅草線、三田線につきましても、引き続き混雑状況をきめ細かく把握するとともに、乗客数の推移等も勘案し、適切に対応してまいります。
今後とも、さまざまな社会状況の変化に対応できるよう、将来を見据えた事業運営に努めてまいります。
豊島病院のサービス充実
質問1
都立豊島病院の公社化に関連し、医療サービスの充実について質問します。
同病院は、この四月から東京都保健医療公社に運営が移管されることになりました。地域に密着した医療を提供してきた豊島病院の公社化について、利用者にとっての一番の関心事は、提供される医療サービスがどう充実され、公社移管後も安心して受診できるのかということであります。
豊島病院が公社に運営移管することによって、地域住民や地域の開業医がこれまで以上に利用しやすくなり、同病院の持つ医療機能も生かされるようにすることが重要であると考えます。
そこで、豊島病院が公社病院としての特色を生かし、地域の医療機関と機能連携を進めていく中で、相互のネットワーク化を積極的に推進し、利便性が高まるような仕組みづくりを進めていくべきと考えます。見解を求めます。
答弁1
病院経営本部長
公社移管後の豊島病院の医療機能についてでありますが、豊島病院は、移管後も現行の診療科及び診療機能を継続することとしており、地域の医療機関との連携を一層強化し、救急医療や脳血管疾患医療、がん医療に重点的に取り組んでまいります。
特に脳血管疾患医療では、都の認定する脳卒中急性期医療機関として、脳梗塞発症後三時間以内に投与すると大変効果のあるtPAによる血栓溶解療法を行うなど、発症直後の急性期患者に専門的な治療を実施してまいります。
また、急性期を脱し、回復期や在宅療養を必要とする患者に対しては、地域の医療機関とともに、病状に応じた診療計画としてあらかじめ定めた地域連携クリニカルパスを活用してまいります。
このことにより、豊島病院で行う専門的な治療から、リハビリ機能を持つ病院での日常生活の動作訓練へ移行するなど、地域の医療機関と連携した、患者の経過に応じた切れ目のない医療サービスの提供が可能となります。
豊島病院では、こうした患者を中心とした地域医療機関とのネットワークづくりに取り組むことにより、公社の役割である地域に根差した病院として、地域の方々が安心できる医療の提供に一層努めてまいります。
質問2
豊島病院における産科機能の充実について質問します。
豊島病院では、昨年十月から、リスク管理を必要とする分娩を中心に受け入れを再開し、今後、段階的に受け入れ対象や件数を増大するとしております。産科医療を取り巻く情勢が厳しい中、分娩の再開は大きな安心となっており、公社移管後も、産科を初めとする周産期医療に対応していくことは大変意義深いものと思います。
豊島病院における新生児医療体制を充実させていくべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。
答弁2
病院経営本部長
新生児医療体制についてでありますが、豊島病院が昨年十月に分娩を再開した際には、まずリスク管理が求められる分娩を中心に、双子、三つ子といったケースや低出生体重児等に対応してまいりました。
一方で、医師の確保についても努めてきており、この一月より、常勤の新生児専門医を新たに一名確保し、常勤の産科医を五名、新生児専門医を三名といたしました。これにより、新生児対応の当直体制が新たに可能となるなど、徐々に診療体制が充実されてきております。
こうしたことから、公社に移管される本年四月には、二十四時間体制で新生児の医療的管理を行うGCUを再開する予定としており、現在、その準備を鋭意進めております。
今後とも、分娩や新生児医療を初めとする、地域から求められる医療を的確に提供し、住民の方々に一層信頼され、頼りにされる病院となるよう努めてまいります。