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私道内給水管設備を積極的に
環境最優先のオリンピックを

田中たけし

築地市場移転

質問1
 築地市場の移転についてお伺いいたします。

 これまで、豊洲新市場予定地の土壌は、東京ガスが環境確保条例に沿って調査をした結果、ベンゼンやシアンなどの有害物質が確認され、東京ガスみずからの操業に伴う有害物質の処理は東京ガスにより既に行われ、他の操業によらない土壌汚染は東京都が処理を行うこととし、さらに二・五メートルの盛り土をするため安全であるとの説明を伺ってまいりました。

 しかし、平成十九年に行われた都知事選の直前に、急遽、石原知事の英断で、土壌汚染対策等を検証する専門家会議が設置されることとなり、選挙後、専門家による調査が開始されました。そして、法律で定められている以上の土壌調査が行われた結果、東京ガスが既に処理をしたとされている範囲も含め、環境基準を超えるベンゼン、シアン、砒素、鉛の有害物質が検出されました。しかし、それらは全体の一部分であり、より安全な新市場の建設に向け、処理をすべき土壌の全容が明確にされたものと、前向きに受けとめております。

 その後、さらに別組織として設置された技術会議において、公募によりさまざまなアイデアが提案され、その中から土壌処理方法が検討され、当初想定していた一般的な工法よりも三百八十七億円も安く、しかも、工期も二カ月短縮され、土壌処理が行われることが判明いたしました。

 専門家会議や技術会議を設置したことは、新市場予定地の土壌処理の客観性、専門性が担保され、法律で定められている以上の処理が行われることとなりました。また、結果として、最良で、しかも経費をも節約できる工法が見出され、都民や消費者に対して安全・安心のメッセージを伝えることとなり、石原知事の英断はまさに正しかったと思っております。

 そこで改めて、専門家会議や技術会議の設置をどのように評価しているのか、石原知事のご見解をお伺いいたします。

答弁1
知事
 専門家会議及び技術会議に対する評価についてでありますが、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策については、専門家会議と技術会議という二つの会議体を設置し、科学的な見地から、土壌汚染対策の内容とそれを実現する具体的な技術、工法について検討していただきました。

 こうした複合的、重層的な方法を採用したことによりまして、二重、三重のチェックが働き、食の安全・安心を高いレベルで確保しながら、経費及び工期が大幅に縮減できたと考えております。

 技術会議の原島座長が、今回採用した技術、工法の特色は、広い許容性を持っており、想定していない事態にも十分対処が可能なことであるといわれましたが、これは、今後、対策工事を進めていく上で大変心強い内容であると思います。原島さんのお言葉では、これは実に、自分たちにとっても、学者としてもいい勉強になったということであります。

 技術というものは、日々進歩、開発されておりまして、それゆえに人間の文明も進んできたわけであります。これが歴史の原理であります。それを信じていない手合いは、ただの守旧でしかありません。

 日本の技術を信頼して、新たな発想で検討を行ったことにより、想定よりはるかによい結果を出すことができ、都民や市場関係者の方々にも安心していただけるものと確信しております。

質問2
 発がん性物質であるベンゾ(a)ピレンが検出されたことが、平成十九年十一月、専門家会議に報告されておりました。翌平成二十年六月に、前年報告されていたときの百十五倍ものベンゾ(a)ピレンが検出されておりましたが、このときは公表せず、ことしの一月に新聞各紙によりその記事が掲載され、初めてその事実が公になりました。

 食品の偽装表示事件など、食に対する不安を感じる事件が相次いでいる中、多くの都民は、食品の安全性に対して非常に神経を使っております。また、安全だといわれる食材であっても、安心できなければ、その食材を口にする人は少ないと考えます。つまり、消費者は食品に対する安全性を求め、さらにそれ以上の安心を求めております。

 土壌汚染対策法の対象となっていない物質であり、また、技術会議で示してきた処理方法で対応できるため、専門的見地から安全であるとはいえ、都民の安心を得るためには、より適切な対応が求められます。法令に定められていないから公表するとかしないとかではなく、毎日消費者の口に入る食品を扱う場所として、豊洲新市場を安心してもらえるかどうかが大きなポイントであります。都民に安心してもらうためには、都庁と都民の信頼関係が大切であり、適切な情報対応が必要であります。

 そこで、専門家会議や技術会議により安全性が確保される中、都民から安心され、信頼される豊洲新市場の開場に向け、改めて中央卸売市場のご決意をお伺いいたします。

答弁2
中央卸売市場長
 都民から安心、信頼される豊洲新市場の開場についてでございます。

 今回、技術会議で取りまとめた土壌汚染対策は、専門家会議の提言を確実に実現するなど、安全・安心を高いレベルで確保するとともに、複合的な汚染の一括処理、新構造の遮水壁など、最先端の技術、工法を採用することにより、施工の確実性と経費、工期の縮減を実現しております。さらに、汚染土壌を都内で処理するなど、環境にも十分配慮した内容となってございます。

 都としては、こうした土壌汚染対策の内容について、広報誌やホームページの活用、わかりやすいパンフレットの作成、きめ細かな説明会の開催などにより、都民、市場関係者に正確に理解してもらうよう努めてまいります。

 また、リスクコミュニケーションの観点から、現在実施しております環境確保条例第百十七条調査などの結果を、報告を受けた後、速やかに公表するとともに、今後実施いたします工事の内容についても、安全性に配慮しながら、できる限り現地を公開してまいります。

 こうした方策を積み重ねることにより、豊洲新市場整備に都民の信頼と安心が得られるよう努めてまいります。

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観光事業

質問1
 観光事業についてお伺いいたします。

 羽田空港の再拡張、国際化が、平成二十二年十月末の第四滑走路の供用開始を目指し、進められております。これにより、年間発着能力が二十九・六万回から四十・七万回へと増強され、国の内外からより多くの観光客が東京を訪れることは確実であります。

 観光客が確実に増大する中で、東京都としても、観光施策に対し、より積極的に取り組むべきであり、多くの観光資源の拡充が必要であると考えます。そのためには、中でも外国人の関心の高い文化、歴史的建造物や景観などの保護や保存を行うべきであり、また、新規観光資源の発掘や拡大支援が必要であると考えます。

 そこでまず、特に外国人旅行者誘致のために、これまで以上に文化資源を活用する取り組みがぜひとも必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

答弁1
産業労働局長
 文化資源を活用した外国人旅行者誘致の取り組みについてであります。

 外国人旅行者の誘致を促進するためには、外国人の関心が高い伝統文化などの魅力を一層活用することが重要であります。都はこれまで、シティーセールスなどを通じまして、日本や東京の伝統文化や芸能などを海外に積極的にPRしてまいりました。

 来年度は、現在、観光資源として活用されていない文化資源の掘り起こしや、新たな観光モデルルートづくりについて調査を行いますとともに、外国人旅行者が多い都庁舎におきまして、茶道や生け花など伝統文化を気軽に体験できるプログラムを、外国語の解説をつけて実施いたします。

 これらの調査結果や体験プログラムの効果につきまして区市町村に情報提供いたしますとともに、それぞれの地域の文化資源を活用した取り組みを支援するなど、外国人旅行者が一層文化を楽しめる環境づくりを推進してまいります。

質問2
 都内各地域には、観光客を呼び込む可能性を秘めた、埋もれた観光資源がまだまだたくさんあると思っております。私の地元品川区の京浜急行立会川駅付近には、かつて土佐藩の下屋敷があり、幕末のころ、黒船来航に備えて砲台を築いた跡も残っております。そこで若き日の坂本龍馬も警備に当たっていたといわれており、坂本龍馬が立会川で生活をしていたことから、地元商店街では、坂本龍馬と各種イベントを関連させるなど、新たな観光資源の発掘に取り組んでおります。また、高知市長から坂本龍馬像を贈っていただくなど、高知市との交流にもつながっております。さらに、この地区では、近くの勝島運河を活用し、水辺に親しむ運河ルネッサンス事業も行っており、相乗効果による地域のさらなる魅力づくりに取り組んでおります。

 一方、現在、羽田空港と都心とを結ぶ交通アクセスの一つである京浜急行は、羽田空港へ最速で行ける快速特急がふえたため、既存の横浜方面への快速特急と合わせると、昼間の運行ダイヤのうち半分が、品川区内のすべての駅を通過する快速特急となっております。既に、羽田空港へのアクセスの視点から、品川区内は通過地域になりつつあり、羽田空港の拡張に伴い、この傾向がさらに強まることを心配しております。そしてその結果、羽田空港拡張に伴う経済的効果においても、品川区内が通過地域となってしまうことを懸念しております。そのためにも、立会川駅付近の取り組みを初め、品川区内では新たな観光事業の発掘、強化が必要だと考えております。

 そこで、羽田空港の再拡張、国際化も見据え、地域での新たな魅力や歴史的物語を見つけ出し、発信していくことは重要であり、新たな観光資源の発掘の観点から、地域の取り組みを支援し、観光振興を一層推進させることが重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

答弁2
産業労働局長
 地域の観光振興の推進についてでありますが、東京には、さまざまな史跡やイベントなど、観光資源が豊富にあり、それらを発掘、発信する地域の取り組みを推進していくことが重要と考えております。

 都はこれまでも、ウエブサイトにより各地の観光情報を多言語で発信いたしますとともに、それぞれの資源を生かしたイベントや観光マップの作成に取り組む団体に専門家を派遣するなど、各地の観光まちづくりを支援してまいりました。

 お尋ねの品川地域につきましては、羽田空港の国際化に伴って増加する旅行者を積極的に迎え入れていくため、品川、大田両区の観光協会等が連携して行う観光ガイドの充実や観光PRなどの取り組みを、広域観光まちづくり事業として支援をしてまいります。

 今後とも、地域における観光振興の一層の推進を図ってまいります。

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港湾事業

質問1
 港湾事業に関してお伺いいたします。

 現在、東京都は、首都圏四千万人の生活や産業を支えていくメーンポートとして、東京港の国際競争力強化のため、機能拡張や京浜三港との連携に取り組んでおります。

 一方、港湾地域には、私の地元品川区の八潮団地など、物流地域に隣接して一般の都民が居住し、生活している地域もあります。今後、港湾物流機能が強化されていく中、物流機能と生活機能との調和を図り、安全で快適なまちづくりが重要な課題であると認識しております。

 都では、八潮団地の周囲に緑道公園を配置し、港湾労働者の福利厚生施設を一般に開放しているほか、みなとが丘ふ頭公園に来年度から区のキャンプ場を受け入れたり、大井ふ頭緑道公園も、品川区立八潮公園との一体的管理によるさらなる公園機能の充実を図るため、品川区への移管が検討されているなど、地域貢献への一定の取り組みを行っています。しかし、より一層快適で魅力的な空間へと導くため、東京港の持つ環境、景観資源を生かしたさらなる取り組みが望まれております。

 そこで、八潮地区は、京浜運河沿いにある特性を生かし、周辺住民が水辺に親しめる取り組みを進めることが重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。

答弁1
港湾局長
 品川区八潮地区の魅力的な水辺空間の創出についてのご質問にお答え申し上げます。

 都は、臨海地域の開発では、東京港の物流機能の充実とともに、海上公園の整備や護岸の遊歩道化など、水辺を生かした憩いや潤いのあるまちづくりを進めてございます。

 お話の八潮地区の京浜運河につきましては、護岸の老朽化対策とあわせまして、景観にも配慮した緩やかな傾斜の石積み護岸を整備するとともに、背後に位置する既存の緑道公園との一体化を図り、合わせて約八ヘクタールの公園に再編することで、都民が水に親しみ、海辺を体験できる場といたしまして、来年度早々に開放してまいります。

 今後も、こうした取り組みを、八潮地区を核にいたしまして京浜運河沿いに拡大することによって、品川ふ頭南端部から大井ふ頭南端部までの延長約五キロメートルに及びます水と緑のネットワークづくりを進めてまいります。

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水道事業

質問1
 水道事業についてお伺いいたします。

 水道事業の使命は、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給することであります。この使命を果たすため、水道局では、安定した水源の確保、おいしい水の供給のための高度浄水処理の導入、さらには水道施設の耐震化、老朽化した管路の更新などに計画的に取り組んできました。

 これまで、材質的にもろい老朽管や腐食が進んだ管は、強度的にすぐれるダクタイル鋳鉄管に、また、これらの管路から分岐して宅地内に引き込む給水管も、耐食性や強度にすぐれるステンレス管へ全面的に取りかえるなど、先進的な取り組みが進められてきました。この結果、三十年前には約一六%であった漏水率が、今や三・三%という非常に低い数字となっております。

 漏水の防止は、水資源の有効活用になり、水道事業に伴うエネルギーの節約、ひいては地球温暖化防止にも貢献する非常に重要な取り組みであります。そのためには、引き続き管路の整備を適切に進める必要があります。

 一方、私道内に布設する給水管はお客様の財産であることから、お客様の負担で整備、管理することとされたため、私道には複数の細かくて長い給水管が多数存在し、水の出が悪い、漏水しやすいといった問題が生じてまいりました。そこで、現在、一定の要件を満たした私道を対象に、私道内の給水管の整備に取り組んできていると聞いておりますが、水道局の施策の中で、こうした給水管の整備はどのように位置づけられており、取り組まれているのか、お伺いをいたします。

答弁1
水道局長
 給水管整備事業の位置づけとその取り組みについてでありますが、漏水を防止し、貴重な水資源の有効活用を図る観点から、公道内に布設されている老朽化した配水管を、強度的にすぐれたダクタイル鋳鉄管に計画的に取りかえるとともに、これらから宅地内に分岐している給水管についても、ステンレス管に取りかえてまいりました。

 一方、私道内には複数の長距離給水管が残存し、漏水や出水不良の原因となっておりました。このため、平成六年度より、三本以上の給水管が布設されている私道を対象に、私道内に配水管を布設し給水管を整理する私道内給水管整備事業を開始いたしました。

 さらに、平成十九年度からは、その対象を拡大し、公道下の配水管から取り出している給水管が三本に満たなくても、これらの給水管から分岐し水道を使用しているお客様が十五世帯以上ある私道についても整備を進めることといたしました。

 これらにより、区部におきましては、平成十九年度末までに約四百七十キロメートルの事業を実施いたしました。

質問2
 私は、今後とも、より一層、私道内の給水管整備に積極的に取り組むことが重要であると考えます。そのためには、さらなる事業対象範囲の拡大が求められ、このことが、景気低迷の中で業界の活性化にもつながるものと考えます。

 そこで、事業の対象範囲のさらなる拡大についてのご見解をお伺いいたします。

答弁2
水道局長
 私道内給水管整備事業の対象範囲の拡大についてでありますが、この事業は、これまでの取り組みからも、漏水防止の点で大変高い効果を上げていることから、今後はさらに事業の対象範囲を拡大し、積極的に取り組んでいきたいと考えております。

 このため、平成二十一年度より、お客様が十五世帯以上ある私道というこれまでの要件をさらに緩和し、十世帯以上とすることにより、事業を拡大し、対象となる私道延長を約三百キロメートル増加させ、事業を推進してまいります。

質問3
 給水装置工事の電子申請についてお伺いいたします。

 引っ越しのときなどは、水道の使用に関する手続が、お客さまセンターやインターネットを通じて簡単にできるようになりました。ところが、給水装置工事の申請は、一回の工事につき、工事施行の申し込み、手数料等の納入、工事検査の申し込みなど、何度も工事店が水道局へ足を運ぶ必要があり、負担となっているという声も聞きました。

 このため、こうした手続にインターネットを利用した電子申請の導入を検討していると伺っております。このような申請方法が導入されれば、工事店にとって大きなメリットとなることから、積極的に検討すべきと考えます。

 また一方で、昔からのやり方の急な変更にうまく対応できない工事店も出てくるのではないかと心配されます。

 そこで、電子申請の積極的な導入に向け、すべての工事店が円滑に対応できるよう、フォローする方策も用意する必要があると考えますが、ご見解をお伺いいたします。

答弁3
水道局長
 給水装置業務への電子申請の導入についてでありますが、これまで、指定給水装置工事事業者が設計審査や完成検査などの申し込みの都度、水道局に来所して行ってきた手続を、インターネットを利用して行うことにより、申請手続の簡素化や水道局への来所回数が軽減されるなどのメリットがあり、また、給水装置業務全体の効率化を図ることも可能になります。

 このため、現在、電子申請の導入に向けた検討を行っているところでありますが、申請方式の変更にすぐには対応できない指定事業者が一部出てくることも想定されます。

 こうしたことを踏まえまして、現行の申請方式も一定期間並行して継続するとともに、講習会の開催や相談窓口を設置するなど、指定事業者にとって負担とならないよう留意しつつ、早期の導入に向け、検討してまいります。

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オリンピック・パラリンピック招致

質問1
 オリンピック招致活動についてお伺いいたします。

 アメリカに端を発する金融不安は実体経済に及び、今や戦後最悪ともいわれる不況が全世界に急激に浸透しております。

 こうした中、先日就任したオバマ大統領は、温暖化など地球環境問題への対応に消極的であったこれまでの政権の姿勢をまさにチェンジし、環境分野への大規模な投資を進めるグリーン・ニューディール政策を軸として、この苦境を乗り切ろうとしております。

 これは、ガソリン垂れ流しのアメリカの大型車よりも、燃費もよく自然に優しい日本のハイブリッド車の方がより多く売れ、アメリカ経済の象徴ともいわれていたビッグスリーすべてが破綻の危機に直面している現状を目の当たりにし、ようやく環境対策の必要性を痛感し、方針転換したものだろうと認識しております。

 一方、京都議定書を締結した京都会議の議長国である日本は、他の国に比べ、既に多くの環境対策を実行しております。そして、さらにその国に先駆け、東京では、石原知事の強いリーダーシップのもと、ディーゼル車排ガス規制、環境確保条例に基づくCO2削減の取り組みなどを初め、積極的に環境対策に取り組んでおります。

 先日、IOCに提出した立候補ファイルは、まさに世界トップクラスの環境対策に力を入れている東京にふさわしい、環境最優先のオリンピックとすることがうたわれております。

 地球温暖化が進み、ポイント・オブ・ノーリターンが一刻一刻近づく中、世界全人類に対する力強いメッセージを訴えていく世界最高の場となることを期待しておりますが、これがまさに日本だからできるオリンピックであり、東京だからできるオリンピックだろうと考えます。

 そこで、立候補ファイル提出を行った今、改めてオリンピック招致に関する石原知事のご所見をお伺いいたします。

答弁1
知事
 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、人類の存続を揺るがす地球環境の異変が世界各所で顕在化している今日、国際社会が連携して、温暖化対策などの問題解決に取り組むことが強く求められております。

 東京は、立候補都市の中で唯一、条例を整備してICAPへの加盟を目指すなど、環境への先進的な取り組みを積み重ねてきておりますが、その取り組みの成果を、二〇一六年のオリンピック・パラリンピックにおいて全世界に披瀝していきたいと思っております。

 東京が目指す大会は、海の森などの新しい環境計画や自然エネルギーを生かした競技施設、無公害、低公害車の導入など、日本が誇る最先端の環境技術を動員し、オリンピック史上、最も環境に優しい、世界初のカーボンマイナスオリンピックを実現したいと思っております。

 このように、日本だからこそできる環境優先の新しいオリンピック・パラリンピックをぜひとも開催し、世界に対しても強いメッセージを発信していきたいと思っております。

質問2
 二〇一六年オリンピック開催都市決定まで既に一年を切り、これまでのさまざまな招致活動の成果により、世論調査の結果も支持率が七〇%を超えるなど、招致機運が盛り上がってきたと実感しております。私の子どもは現在小学生ですが、保護者の方々より、多くの子どもたちが、身近なところで世界トップアスリートたちが競い合うオリンピックが開催されることを本当に楽しみにしていると聞きます。

 世論調査の結果も、十五歳から十九歳の支持率が一番高い結果が出ており、大人以上に子どもや若年層からの支持が高いことを強く実感し、その子どもたちの期待にこたえ、夢や感動を与えてあげられるオリンピックをぜひとも東京で開催したいと強く願います。

 一方、開催支持率が七〇%を超えたことは大変喜ばしいことでありますが、都民の意見と都民以外の意見を比較すると、開催都市であるにもかかわらず、都民の方がオリンピック開催を希望する割合が低く、希望しない割合が高いことが気にかかります。

 そこで、これら世論調査の結果をどのようにとらえており、招致実現に向け、どのように生かしていこうとしているのか、お伺いいたします。

答弁2
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長
 世論調査の結果についてでございます。

 本年一月に招致委員会が実施いたしました世論調査では、東京オリンピックの開催を希望する人は約七割という結果を得ることができました。一年前の同じ調査や昨年六月のIOC調査に比べまして、一割近く増加しております。オリンピック招致に対する支持率は着実に増加しておりまして、これまでの招致活動や、都議会を初め多くの方々のご支援、ご協力の成果であると認識しております。

 特に、二十未満の支持率が高くなっておりまして、これは、七年後のオリンピック大会の主役になり得る次代を担う若者が招致に大きな期待を寄せている証左の一つとして、改めて勇気づけられるものであります。

 今後、より幅広い年齢層からさらに高い支持を得られるよう、世代に応じたさまざまな工夫を凝らして広報PRを行ってまいります。

 また、都内の支持率は、全国に比べて、わずかですが低くなっておりますが、これは、東京にさまざまな情報や文化、スポーツを楽しむ機会があふれていることが影響しているのではないかと思っております。

 このため、都内各地域の実情に精通している区市町村と連携したオリンピックムーブメント共同推進事業などを一層充実しまして、開催意義のPRを効果的に実施するなどして、都内全域で招致機運を盛り上げてまいります。

 今後とも、招致実現に向けまして、都議会の皆様と一体となって、世論のさらなる支持率向上が図られるよう、全力で取り組んでまいります。


 私は、多くの子どもたちに夢や感動を与え、地球温暖化に積極的に取り組む環境最優先のオリンピックの開催を強く待ち望んでおります。しかし、このオリンピック開催に向けた国民の意思を明確に示す国会決議が急遽見送られたことは、大変残念でなりません。

 オリンピック招致活動が政治の駆け引きに使われ、政局の道具にされたとするならば、世界の祭典オリンピックの理念に反し、断固あってはならないと思います。

 野球界のオリンピックともいわれるワールド・ベースボール・クラシックがいよいよ開幕いたします。原監督のもと、これまでペナントレースを互いに競い合っていた選手同士が結束し、世界一を目指し、チームがスタートいたしました。まさにこれがスポーツ精神に基づく姿勢であります。

 スポーツの祭典オリンピックを目指すに当たり、我々もWBCと同様、一致結束が必要であると考えます。石原監督のもと、自民党選手も民主党選手もともに結束し、優勝であるオリンピック招致をかち取ろうではありませんか。共産党選手の参加も大歓迎であります。そして、時には、チーム結束のため、勝利を得るためには、石原監督にも我慢していただく場面があるかもしれません。子どもたちが楽しみにしているオリンピックの招致活動も、子どもたちに模範となるような姿勢が必要であります。

 いずれにしても、東京が、日本が一致結束し、十月二日に勝利をかち取ることを強く願い、私の質問を終わります。

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