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  4. 桜井武(自民党)

新タワーが建設される墨田区の
押上・業平橋地区の整備進めよ

桜井武

新タワー建設に伴う墨田区要望

質問1
 私からは、墨田区の押上・業平橋地区において行われる新タワー建設事業、いわゆる東京スカイツリーに関連して質問させていただきます。

 スカイツリーは、十八年三月に押上・業平橋地区に建設することが決定し、現在、平成二十四年春のオープンを目指して工事が進められております。オープン後は、世界じゅうから観光客が訪れる都市型観光の広域交流拠点として、初年度には約五百四十万人もの観光客が訪れる、地域の誇りとなるまちに生まれ変わるものと大いに期待されているところであります。

 新しい集客拠点となるこの地域では、周辺の道路、河川、公園などに関連する公共施設の整備やグレードアップが必要と考えられます。

 そこでまず、河川の整備について伺います。

 東京スカイツリーが建設される箇所のすぐ南側に、北十間川が流れています。この川の東武橋より東側の区間は、背後の地盤が特に低いため、水門で締め切り、川の水位を低下させて、高潮に対する安全性を確保しています。

 同じように水位を低下させている河川には旧中川がありますが、旧中川は護岸の耐震化をする工事が進められており、その中で、安全性を向上させるだけでなく、高いかさ上げ護岸を撤去し、非常に魅力のある水辺空間が現在でき上がりつつあります。

 北十間川についても、旧中川と同様に、かさ上げ護岸を撤去するなど、良好な河川環境を創出していく必要があると考えます。

 東京スカイツリーへのアクセスの一つとして、河川を生かした舟運を活用することも必要ではないかと思いますが、残念ながら、樋門により締め切られており、隅田川からの船の通り抜けが現在できない構造になっております。

 このような現状にある北十間川については、水辺空間の整備を初め、船の通過を可能とするなど、スカイツリーのそばを流れる川にふさわしい整備を行う必要があると考えます。

 そこで、北十間川の整備状況と今後の取り組みについて伺います。

答弁1
建設局長
 北十間川の整備状況と今後の取り組みについてでありますが、江東内部河川の東側については、周辺の地盤が低いことから、水門等で締め切り、水位を低下させ、水害に対する安全性を向上させてまいりました。

 北十間川については、この水位低下に引き続き、護岸の耐震化工事を行い、延長三・一キロメートルのうち二・一キロメートルが完成しております。このうち、横十間川合流部付近の三百メートルについては、護岸の緑化や散策路などの整備を進め、都民に親しまれる水辺環境を創出しております。

 お話にありました隅田川からの船の航行につきましては、地元区の強い要望があり、将来の検討課題であると認識をしております。

 今後は、押上・業平橋地区を中心に、水面を望むことができる、緑豊かな北十間川の整備を行ってまいります。

質問2
 東京スカイツリーのある押上・業平橋地区から錦糸町方面に流れる河川で、横十間川があります。北十間川の東側や旧中川と同じように水位低下がなされた河川ですが、護岸の耐震対策が必要な河川と聞いております。

 この川も、北十間川や旧中川と同様の考え方で整備することにより、東京スカイツリーから錦糸町方面へ、まちとまちをつなぐ新たな歩行者ルートの確保という点からも期待されるところです。

 そこで、横十間川の今後の整備について伺います。

答弁2
建設局長
 横十間川の今後の整備についてでありますが、横十間川は、過去の地盤沈下に対応するため、かさ上げしてきた護岸が老朽化しており、再整備を必要としている河川であります。このため、地盤改良などの耐震化工事を行い、安全性を向上させるとともに、川沿いの植栽や水辺の散策路を設置するなど、親水性にも配慮した整備を進めることとしております。

 横十間川については、平成二十二年度に完成を予定している旧中川に引き続き、整備に着手できるよう、二十一年度から、調査、設計などの準備を進めてまいります。

 今後、北十間川の整備とあわせ、護岸の安全性を高め、押上・業平橋地区から錦糸町方面への散策も可能となる、にぎわいのある横十間川の整備を目指してまいります。

質問3
 道路整備について伺います。

  放射第三二号線のうち、押上駅付近から明治通りの区間は、通称押上通りと呼ばれておりますが、押上・業平橋地区と墨田区北部を結ぶ重要な幹線道路でありながら、朝夕の交通渋滞が慢性化しており、 早期整備を求める声が高い路線であります。

 また、歩道も狭く、電柱が林立しており、今後、スカイツリーの完成により、観光拠点エリアが形成される観点からも、来訪者の回遊性に配慮した歩行空間の整備も必要であると考えますが、放射第三二号線の事業化に向けた今後の取り組みについて伺います。

答弁3
建設局長
 放射第三二号線の事業化に向けた取り組みについてでありますが、本路線は、江東区塩浜から墨田区京島に至る延長六・三キロメートルの骨格幹線道路で、このうち四・九キロメートルが完成または概成、江東区内の〇・五キロメートルが事業中でございます。

 未整備区間であります押上駅付近から明治通りまでの八百六十メートルにつきましては、現道の幅員が十一メートルと狭く、交通の円滑化や防災性の向上を図るため、区部における第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけております。また、安全で快適な歩行空間の確保や良好な都市景観の形成を図る上でも、早期整備が必要であります。

 このため、平成二十一年度から道路の幅員構成を検討するなど、事業化に向けて取り組んでまいります。


 押上通りの南側、いわゆる四ツ目通りは、スカイツリーと錦糸町駅を連絡する道路でありますが、歩道が狭い上に電柱もあります。さらには街路樹もまばらで、歩行者にとって快適な空間とはいえません。

 せっかく新しい観光資源ができることから、この資源を生かす都市基盤の整備が必要であると考えますが、この路線は、都と区が平成十六年三月に策定した第三次事業化計画の優先整備路線に選定されておりません。

 観光で訪れる来訪者の利便性向上はもとより、歩行者の安全性や地域の景観の向上のためにも、ぜひとも次期事業化計画を策定する段階では、四ツ目通りを最優先整備道路に位置づけし、道路の拡張整備とあわせて電線の地中化を進めるよう、意見を申し述べておきます。

質問4
 東武伊勢崎線第二号踏切の解消についてお尋ねします。

 現在、東京都内には約千百六十カ所もの踏切があり、東京の最大の弱点である交通渋滞を初めとするさまざまな問題が発生しています。このため、踏切問題は二十世紀の負の遺産とまでいわれており、その解決は都における喫緊の課題といえます。

 東京スカイツリーの建設用地付近にある東武伊勢崎線第二号踏切もその一つであり、区道の桜橋通りの慢性的な交通渋滞を引き起こすなど、地域生活に大きな影響を与えています。

 また、世界じゅうから観光客が訪れる拠点にふさわしいまちづくりを実現していく上からも、東武伊勢崎線の立体交差化により本踏切を除却し、交通渋滞や市街地分断を解消していくことが不可欠であります。

 そこで、東武伊勢崎線の立体交差化に向けた都の取り組みについて所見を伺います。この踏切ができない場合は、都バスの観光はお断りになりますね。

答弁4
都市整備局長
 東武伊勢崎線の立体交差化についてでございますが、お話の伊勢崎線第二号踏切は、平成十六年六月に都が策定いたしました踏切対策基本方針では、鉄道立体化の検討対象区間二十区間には位置づけられてはおりませんが、いわゆる重点踏切の一つとしては選定されております。

 地元墨田区では、東京スカイツリー建設を契機とした地域の整備を進める上で、区道と交差する本踏切の解消が必要であるとしまして、道路と鉄道の立体交差化に向けたまちづくりの課題等について検討を行っております。

 都といたしましては、こうした地元区の動向を見ながら、技術的な支援を検討してまいります。

質問5
 来月二十二日、第三回目の大会となる東京マラソン二〇〇九が開催されます。

 東京マラソンは国内外の多くの市民に支持され、今回の大会には二十六万人もの応募があったと聞きます。非常に人気のある、まさに日本を代表するマラソン大会になりました。このような人気のマラソンコースとするには、いろいろな点を考慮して決めたと思うのでありますが、東京を代表する河川である隅田川をぜひ渡ってもらいたいと考えています。

 平成二十四年春には、墨田区押上に東京スカイツリーが開業し、新たな東京の観光名所、世界的な観光名所になることも期待されます。ぜひ東京マラソンのコースについて、ここに立ち寄ることを考えていただきたい。都の見解を伺います。

答弁5
生活文化スポーツ局長
 東京マラソンについてでございますが、東京マラソンは、三万五千人の大規模市民マラソンと、世界のトップランナーによるレースが融合した大会でございまして、そのコースにつきましては、国際大会の条件を満たしつつ、東京のさまざまな観光名所をめぐる設定としているところでございます。

 本大会はまだ創設から間もなく、まずは世界有数の大会としての地位を確立することが最も重要であるというふうに考えておりまして、そのため、現在、国際陸上競技連盟によるゴールドラベルの取得を目指しておりまして、来月開催される第三回大会から、成績により賞金を授与するとともに、女子のトップランナーによるレースも始めることといたしました。

 したがって、お話の点につきましては、今後の研究課題と考えております。

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医療基盤の整備

質問1
 医療基盤の整備について伺います。

 病床数は、地域ごとの適正配置の促進と適切な入院医療の確保を目的として、二次保健医療圏ごとに定められる基準病床数が設定されています。このような基準病床数を踏まえながら、東京の急速な高齢化の進展に伴う医療ニーズの増加に備える必要があります。高齢者が都民の四分の一を占めると予想される平成二十七年は間近に迫っています。

 高齢患者の場合、複数の疾患を抱え、長期にわたり医学的管理を必要とするケースもふえております。その一方で、東京都の人口十万人当たりの療養病床数は全国ワーストファイブを推移しており、都外の療養病床に入院している都民は約五千二百人に上ると推定されております。こうした状況から、東京都は、平成二十四年度末までに、療養病床を約二万八千床までふやす目標を立てました。

 厚生労働省の平成十八年の医療施設調査によると、東京都における病院病床の状況は、一般病床が八万四千床、療養病床が二万一千床と、療養病床は一般病床の四分の一にすぎません。平均入院日数を見ると、一般病床が十七日であるのに対し、症状安定期の療養病床は百九十六日と、一般病床の約十二倍に当たります。

 一般病床、療養病床それぞれが、患者の状態に応じた医療を行っている姿が見えてくるわけですが、現実には、急性期を過ぎた後、引き続き医療を必要とする患者の行き場がない問題が、特に高齢者の場合、顕著です。病床の利用率でいえば、一般病床は七六%なのに対して、療養病床は九二%と満床に近い状態です。こうした事実から、急性期病院を退院した後の受け入れ先として、療養病床が強く必要とされているものと思われます。

 着実に地域の中で療養病床を確保していくためには、現在の一般病床のうちから療養病床へ転換が可能な場合には、きちんと支援することが必要です。改めて都の取り組みを伺います。

答弁1
福祉保健局長
 療養病床の確保についてでありますが、療養病床は、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする患者の療養の場であるとともに、在宅療養患者の症状急変時における一時入院先としての機能も担うなど、その確保は今後ますます重要となります。

 このため、都は、一般病床から医療療養病床への転換などを促進するため、独自の施設整備費補助を実施しており、来年度も引き続き、療養病床の増床に向けた支援を行ってまいります。

 また、国に対し、医療療養病床を安定的に確保できるよう、診療報酬上の評価の充実について、引き続き提案要求をしてまいります。

質問2
 療養病床の確保だけでなく、退院後、住みなれた地域で療養生活を送る都民の支援も不可欠であります。

 墨田区は、東京都リハビリテーション病院を拠点として、診療所の医師が連携して、退院後の在宅療養生活におけるリハビリテーションを支える在宅リハビリテーション支援事業をスタートさせました。高齢者が安心して生き生きとした生活を送る上で、リハビリテーションの充実は重要であり、全国的にも先進的な取り組みとして注目を集めています。

 このような在宅医療体制の整備は、都民の高齢化に伴い、ますます重要性を増しております。都内でそれぞれの地域の医療資源や特色を生かした在宅医療が進むよう、東京都として基盤整備を推進すべきと考えますが、所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 在宅医療の推進についてでありますが、都は平成十九年度から、包括補助事業を活用して、在宅医療相談窓口の設置など、各区市町村における在宅医療推進の取り組みを支援しております。

 また、今年度から、在宅医療ネットワーク推進事業として、墨田区におけるがん患者の在宅療養支援に向けた地域連携体制の整備を初め、豊島区、国立市を加えた都内三地域で、おのおの特色のある取り組みをモデル実施をしております。

 さらに、来年度、在宅療養患者を支える地域の病院と在宅医療を担う医師や訪問看護師などとの顔の見える連携づくりを目指します在宅医療拠点病院モデル事業を、区部と多摩部、計四カ所で実施をいたします。拠点病院には、急性期型、療養型、また、その両者をあわせ持つ、いわゆるケアミックス型など、異なるタイプの病院を選定する予定であります。

 これらのモデル事業を通して、地域における在宅医療の基盤を整備してまいります。

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都財政

質問1
 東京都財政について石原知事に申し上げたいと思います。

 石原知事の財政運営の成果は、私がこれまで接しました多くの知事の中で抜群に秀でていると私は思います。就任当初、一千億円を超える赤字であった都財政のかじ取りを任され、知事も述懐したとおり、とんでもないところに嫁に来たわけでありますが、知事はそのとんでもないところを見事に改革し、新たな公会計の導入を初め、内部努力、施策の見直し、歳入確保と、あらゆる手だてを尽くして財政の健全化をなし遂げました。さらに、隠れ借金や負の遺産をみずから公表し、きちんと解消しています。現在、大阪府の取り組みが話題になっていますが、はるかはるか前に石原知事はその先鞭をつけていたのであります。

 石原知事の財政運営がすぐれているのは、財政再建をなし遂げると同時に、新たな施策展開を充実させつつ、さらには借金を減らしていることにあります。なすべき施策をやらずに、借金を返さないで後世にツケを回せば、毎年度の収支は楽になります。しかし、石原知事は、ディーゼル車の排ガス対策や認証保育所など先駆的な施策を実施し、東京から日本を変えています。加えて、東京都の借金である都債残高についても、一兆円以上減らしています。

 個々の施策を取り上げて、殊さらあれこれいう向きもあるわけではありますが、一方できちんと先進的な取り組みを進めながら、同時に、借金を減らしつつ財政再建を達成し、健全な財務体質を確立してきたことは正当に評価されるべきものでありまして、私は称賛に値するものと思います。

 今回の過去最大の税収減の中にあって、やるべきことを迅速かつしっかりとやる予算が組めるのも、これまでの財政再建の取り組みがあったればこそであります。しかし、今後、都市インフラの更新や少子高齢化の進展など、東京都の財政需要はますます大きくなり、都政のかじ取りはますます難しくなってまいります。石原知事にはぜひ、これまでのスタンスを変えることなく、都民の期待にこたえ続けられるように、 財政運営をこれからも堅実に運営していただくことをお願いしたいと思います。

 知事に今後の財政運営に向かう決意を伺いまして、質問を終わります。

答弁1
知事
 財政運営について過分なお褒めをいただきまして、ありがとうございます。これはあくまでも議会の協力あってのことでございますが。

 なお、今後の財政運営についてでありますけれども、就任以来、議会と手を携えて都財政の再建に取り組み、それをなし遂げたのは、いかなる状況にあっても、都政に課された使命をしっかり果たすためにほかなりません。

 今日の経済危機のもと、今後ますます厳しい財政環境が想定される中にあっても、これまで同様、都民生活が直面する課題に適切に対応するとともに、東京の将来をつくり上げていく歩みを着実に進めていかなければならないと考えております。

 こうした役割を将来にわたっても確実に果たしていくためには、施策を支え得る強靱で弾力的な財政体質を確保していくことが重要であります。だからこそ、これまでの財政再建で培った蓄えを有効に活用すると同時に、これに安易に頼ることなく、新たな公会計制度も活用いたしまして、財政体質の強化に取り組んでまいりたいと思います。

 今後とも、短期、中期の両面から都がなすべき役割を果たすことによりまして、都民を覆う不安や閉塞感を何とか払拭し、東京の未来を切り開いていけるように、堅実な財政運営を行っていくつもりでございます。今後の都政の取り組みに、引き続き強力なご支援を願いたいと思います。

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