平成20年6月17日(火) |
子どもたちの命を震災から守れ
新市場、原点に返り再検討を |
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東村邦浩(公明党) |
■知事の基本姿勢 |
質問1
都議会公明党を代表して、知事並びに警視総監及び関係局長に質問いたします。
初めに、去る八日の秋葉原における無差別殺傷事件、並びに去る十四日に発生した岩手・宮城内陸地震において、とうといお命を亡くされた方々に対し、衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、負傷された皆様並びに避難所生活を送られている皆様に、心よりお見舞いを申し上げる次第であります。
さて、二十日後に迫った洞爺湖サミットでは、ポスト京都議定書のフレームづくりが主要議題となります。このため日本政府は、日本独自のCO2 国内排出量取引制度を構築し、できれば、それを国際基準にしたいと考えているようであります。ただ、排出量取引そのものでは、排出量が移転するだけで、CO2 などの温室効果ガスの総排出量は減りません。
削減するためには、総量ベースで現状の排出量より少ないキャップを全世界やそれぞれの国、企業に割り当てることが重要であります。しかし、アメリカ、中国、インドといった排出大国が京都議定書に参加しない現状を考えれば、全世界に合理的に排出量枠を配分することは、現時点では難しいといわざるを得ません。
先駆的な取り組みを行ったEUの域内排出量取引制度は、金融機関のマネーゲームに陥っており、排出量削減の点では効果が上がっていないと指摘もされております。そもそも、金融工学を駆使して、無価値であるCO2 に人為的に価格をつけ、市場取引を進めていけば、新たな投機対象になることは自明の理であります。大事なことは、排出量取引制度をマネーゲームに陥らないようにすることであります。
かの歴史学者アーノルド・J・トインビー博士は、その著書「二十一世紀への対話」の中で、我々はどん欲と慢心を克服しなければなりません、しかも、テクノロジー進歩の結果、人間が自然環境と自分との関係を逆転させてしまっている現代ほど、この二つの決定的な人間の欠点が蔓延した時代は恐らくなかったでしょうと警告を発しております。都議会公明党は、このことを根幹に据え、真正面から地球温暖化対策に取り組む決意であります。
人間の持つ、このどん欲と慢心は環境問題だけではありません。世界の投機マネーは、サブプライムローンの破綻からオイル市場や食物市場に流れ、その結果、一部の投資家が莫大な利益を享受した反面、原油や食物価格が高騰し、各国の経済から市民生活まで多大な影響を及ぼしています。
そこで、こうした現代社会の潮流を東京から変えていこうとする知事の決意をまず伺います。
答弁1
▼知事
現代社会の潮流についてでありますが、地球のように高度な文明を保有した惑星は、自然の循環が狂って非常に不安定になって、宇宙時間から見れば瞬間的に消滅するといった、ブラックホールの発見者のホーキングの言葉を今さら思い出しておりますが、今必要なことは、我々がせっかくつくり上げてきた現代文明社会が真に望ましいものといい切れるかという冷静な自己反省、分析、そして、さらに謙虚な反省というものが必要だと思います。これは、ご指摘にあったトインビーのいう、人間の持つどん欲と慢心の克服にもつながっていくと思います。
人間は自然をすら支配できると錯覚してきましたが、結局はホーキングの指摘のように、みずから招いた地球温暖化によって、学者にいわせれば、あと五年の以内によほどのことをしないとポイント・オブ・ノーリターンを過ぎると。まさに、逆に自然から人間が復讐されているという状況であります。
また、高度な市場メカニズムや金融技術を手にはしましたが、現実には市場原理主義というものが世界を席巻し、原油高や食糧危機などを引き起こしているわけでありまして、我々は、その文明の発展によりみずからを損ないかねない、皮肉な倒錯ともいうべき事態に立ち入っているわけであります。
地球温暖化問題は、あるいは新型インフルエンザなどと並びまして、眼前に迫った危機に対して、どうも鈍感としかいいようのない現代社会の潮流を、ある啓蒙によって潮流を変えていかなくちゃならないと思います。
ゆえにも、我々の未来を開くために英知と力を結集し、東京から具体的な手だてを講じて、日本と世界を変革する一石を投じていきたいと思っております。今必要なものは、ご指摘のように、まさに正確な文明論、正確な文明意識というものだと思います。
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■オリンピック・パラリンピック招致 |
質問1
以下、都政の直面する課題について、具体的に質問をいたします。
初めに、オリンピック・パラリンピック招致について質問いたします。
六月四日、アテネで開催された国際オリンピック委員会理事会において、東京は、二〇一六年オリンピック・パラリンピックの立候補都市として最も高い評価を受けて選出されました。二〇一六年の東京大会の実現に向けて大きく前進をしましたが、招致活動はこれからが本番であります。
来年十月の開催都市決定に向けて国際招致活動も解禁され、各立候補都市による熾烈な招致レースが繰り広げられることになります。そのような中、北京オリンピックは、まさに東京の魅力を世界にアピールする絶好の機会であります。知事並びに招致委員会は万全の体制を整えて臨むべきであります。これに向けての知事の決意を伺います。
答弁1
▼知事
北京オリンピックでの招致活動についてでありますが、東京は立候補都市に選ばれましたが、これから世界を相手に非常に複雑で見えにくい本当の戦いが始まるわけでありまして、北京オリンピックは、開催都市決定のかぎを握るIOCの委員がたくさん集まりまして、世界じゅうのメディアも注目するなど、東京、日本の魅力と我々のすぐれた開催計画を世界にアピールする絶好の場所であります。このため、JOCとも連携しまして、北京に拠点を設け、都と招致委員会が一丸となって招致活動を実施し、オリンピック・パラリンピックの実現につなげていきたいと思っております。
中国は我が国の隣国でありまして、実際に開催されるオリンピックをこの目で見るということは大いに参考になるので、私も現地に赴くつもりでおります。
質問2
申請都市の評価結果を見ると、東京は項目によっては負けているものもあります。そこで、東京の課題を整理し、対策を検討すべきであります。見解を求めます。
答弁2
▼東京オリンピック招致本部長
IOCによる申請都市の評価結果についてでございます。
東京は、立候補都市の決定に当たり、IOCの作業部会から、総合評価としてトップの評価を受けました。この結果は、招致の可能性の高さを示し、今後の招致活動にとって大きな弾みとなります。
しかし、次点のマドリードとは僅差であり、また、シカゴなども、欠点を補って今後の立候補ファイルを作成してくることは間違いないと考えます。
いずれにしましても、立候補都市に選ばれた時点で、改めて横一線で戦いが開始されたところでございます。
今後、ご指摘の点を踏まえ、都議会や国、競技団体等と十分に連携しながら、よい点はさらに伸ばし、不足する点は必ずレベルアップを図り、環境問題への取り組みや日本が誇る技術力など、他都市にはない新たな特色を打ち出してまいります。そして、来年十月の総会では、IOC委員から、ぜひ東京でオリンピック・パラリンピックを開催したいといわれる開催計画の策定に全力を挙げて取り組んでまいります。
質問3
東京の一番のウイークポイントは、世論調査の低さにあります。IOCの調査の結果、東京は賛成が五九%と最も低く、他の都市が七割、八割を超えている中で、世論の支持を重視するIOC委員にアピールするには、世論喚起が急務であります。都の見解を求めます。
答弁3
▼東京オリンピック招致本部長
世論喚起についてであります。
開催都市を勝ち取るためには、IOC委員の過半数の支持を獲得することが最大の目標であり、これまで以上に関係者が連携強化して、全国での招致機運を高め、世論の後押しを得て、IOC委員の心をつかむことが必要でございます。
このため、今年度より新たに開始した区市町村との連携によるオリンピックムーブメント共同推進事業の実施、商店街での招致フラッグの掲出拡大などにより、都民に身近な場所から招致機運の盛り上げを図ってまいります。
さらに、全国自治体に加え、新たに商工会議所や商工会、各種団体、教育関係機関、ボランティア団体等とも連携して、全国的な支援活動の展開を要請するとともに、メディアの協力を得て一層効果的なPR活動を行い、オリンピック・パラリンピック招致に向けた世論の盛り上げを図ってまいります。
質問4
また、区市町村に委託をするオリンピックムーブメント推進事業の多くが夏から秋にかけて実施をされます。しかしながら、区市町村においては、どのように事業を実施してよいか迷うところが多いと聞きます。こうしたことから、都は区市町村に対し、明確なガイドラインを示し、積極的に支援をしていくべきと考えます。都の見解を求めます。
答弁4
▼東京オリンピック招致本部長
都と区市町村によるオリンピックムーブメント共同推進事業についてでございます。
この事業は、オリンピズムの普及啓発を通じて、スポーツ、文化の振興、青少年の健全育成、環境対策などを推進し、よりよい地域社会の形成を目指すものであります。同時に、オリンピック・パラリンピックの招致機運を高めていく効果を期待するものであります。
実際に区市町村が本事業を実施する際には、オリンピアンやパラリンピアンの参加、オリンピズムにちなんだ企画など、区市町村がこれまで経験したことのない対応が求められることがあると考えます。
そこで、都は、あらかじめわかりやすい事例を示すとともに、個別、具体的に企画や実施方法について相談、助言を行うなど、ご指摘の趣旨を踏まえ、積極的に支援してまいります。
質問5
次に、パラリンピックについて質問いたします。
オリンピックの陰に隠れてパラリンピックの注目度は低く、テレビ中継や新聞報道などを見ても、オリンピアンの取り上げ方に比べ、パラリンピアンの扱いは余りにも少ないのが実情であります。
そうした中、都が来年九月、十四歳から十九歳までのアジアの障害のある若者による東京二〇〇九アジアユースパラゲームズを開催することは、障害者のスポーツの振興、インフラ整備という観点のみならず、オリンピック・パラリンピック招致という観点からも高く評価するものであります。
今後、オリンピック・パラリンピック招致に向け取り組んでいく中で、例えばオリンピアンのふるさと特使のように、パラリンピアンも招致活動のプロモーションに積極的に参加できる仕組みをつくり、パラリンピックの社会的関心を高めるべきであります。都の見解を求めます。
答弁5
▼東京オリンピック招致本部長
パラリンピックの社会的関心の向上についてでございます。
パラリンピックは、障害者スポーツへの理解促進はもとより、だれもが安全かつ快適に生活できるまちづくりを促進し、開催都市に大きな効果をもたらします。
都はこれまでも、オリンピックとパラリンピックを一体のものとして招致活動に取り組んでおり、七月には、当本部の名称を東京オリンピック・パラリンピック招致本部に、また、招致委員会の名称を東京オリンピック・パラリンピック招致委員会に変更いたします。
九月には、北京パラリンピック大会時をとらえ、関係各局と連携し、来年東京で開催のアジアユースパラゲームズをPRするなど、障害者スポーツの振興及びパラリンピックの認知度向上に努めてまいります。
さらに、来年二月にIOCに提出する立候補ファイルにおいては、東京パラリンピック大会の意義や効果について明らかにしてまいります。
パラリンピアンには、これまでも署名活動に参加していただくなど、招致活動にご協力いただいてまいりました。先日発足した招致委員会のアスリート委員会にもパラリンピアンに参加いただいており、今後、ご指摘の趣旨も踏まえ、さまざまな場面で積極的な協力を得て、パラリンピックに対する社会的関心の向上に努めてまいります。
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■治安対策 |
質問1
次に、治安対策について質問いたします。
六月八日昼、秋葉原で起こった無差別殺傷事件は、余りの凶悪な犯罪にだれしもが驚き、悲しみ、怒りを禁じ得ませんでした。ことしになってから、一月に品川で少年が五人に切りつけ、三月には茨城県土浦市で八人を殺傷する事件が起きており、都は、事件を起こした社会的背景などを徹底的に分析し、模倣事件が起こらないようにしなければなりません。
治安を預かる警視庁としての被害者支援を含めた事件発生時の対応、さらにはその後の対応について警視総監に伺います。
答弁1
▼警視総監
答弁に先立ち、このたびの事件で被害に遭われ、お亡くなりになられた七名の方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方々の一日も早いご回復を心より祈念申し上げます。
また、事件発生直後、東京消防庁、災害医療支援チームの方々には大変迅速に活動していただいたのでありますが、この間、居合わせた通行人の方々にも、混乱した状況の中、みずから進んでさまざまな救護活動を行っていただきました。ご協力いただきました多くの市民の方々に対し感謝申し上げます。
初めに、被害者支援を含めた事件発生時の対応及びその後の対応についてお答えいたします。
本事件は、被疑者が、休日の買い物客等でにぎわう秋葉原の歩行者天国に二トントラックで突っ込み、数人をはねた上、車両から降車して、付近にいた通行人等を次々とナイフで刺して死傷させたという事件でありました。
現場の騒ぎに気づいた直近交番で勤務中の万世橋署の警察官が直ちに現場に急行し、通行人を追い回しながら危害を加えている被疑者に追いつき、警棒を用いて制止した上、拳銃を使用して被疑者を現行犯逮捕いたしました。
同日、刑事部長指揮による特別捜査本部を設置し、現在、犯行の動機や経緯など、事件の全容解明に向けた捜査を鋭意推進しているところであります。
また、当日の現場では、本部等からも勤務員を大量に投入して被害者の救護活動に当たったほか、直ちに被害者支援本部を設置して、亡くなられた方々のご遺族や負傷された方々に対する支援を開始し、関係者への連絡や状況説明、病院やご自宅への送迎、捜査手続の説明やその立ち会い、必要なカウンセリング等を実施したところであります。
さらに、類似事案の発生を防止するため、事件発生の翌日に通達を発出して、秋葉原地区はもとより、繁華街等における警戒警ら活動の強化、職務質問による不審者、不審物の発見活動の徹底等を指示し、現在、これらの諸対策を継続しているところであります。
質問2
また、犯人が所持していた殺傷能力のあるダガーナイフ、折り畳みナイフ、投げナイフなどが何の規制もなく簡単に売られていることに、改めて社会的関心が寄せられております。
そこで、ナイフの販売規制及び購入者の身元確認などの未然防止策を検討すべきであります。警視総監に見解を伺います。
答弁2
▼警視総監
ナイフの販売規制及び購入者の身元確認などの未然防止策についてお答えいたします。
東京都青少年健全育成条例においては、一定のナイフ類を青少年に販売してはならないこととしていることから、警視庁ではこれまで、これらの殺傷能力の高い刃物を取り扱う事業者に対して、販売時における身分確認を行うよう指導してきたところであります。
しかしながら、本件のような重要凶悪事件の未然防止を図るためには、青少年に限らず、販売時の身分確認を徹底するとともに、不審な点がある際には一一〇番通報をしてもらう必要があると判断し、先般、販売店に対しその旨の協力要請を行うよう、各警察署長に指示したところであります。
なお、ナイフの所持規制等については、既に国において検討を始めていると承知しており、警視庁といたしましては、警察庁と連携を図りながら必要な対応を検討してまいりたいと考えております。
質問3
今回の事件では、犯人が携帯電話サイトの掲示板に犯行予告を書き込んでおりました。自殺サイトの場合、警察庁は、接続業者の団体に協力を求めて自殺阻止に役立てており、全国で百二十一人の予告情報の通報を受け、七十二人を救助している事実があります。
警視庁として、こうした犯罪予告について、業界団体に積極的に通報するよう協力を求め、犯罪抑止に取り組むべきであります。警視総監に見解を伺います。
答弁3
▼警視総監
犯罪予告等の書き込みへの対応についてお答えいたします。
インターネット上の違法情報や有害情報を発見した場合の通報先としては、現在、警察庁が委託運営しているホットラインセンターがあり、ここで犯罪予告や自殺予告についても受け付けております。
しかし、緊急を要するものについては、直接警察に通報していただいた方が早い対応ができることから、警視庁では、去る六月十二日に、インターネット関連事業者十五社に対して、インターネット上に犯罪予告や自殺予告等の書き込みを発見した場合には一一〇番通報するよう、文書にて要請したところであります。
なお、犯罪予告は、インターネットのほか、手紙や電話、メールなど、さまざまな通信手段で日常的に行われており、警察としては、このような訴や通報を受理した場合には速やかに関係所属に手配するとともに、発信元の解明とあわせ、関連場所における街頭警察活動を強化するなど、犯罪の未然防止に努めているところであります。
今後さらに、インターネット上の犯罪予告を見た一般の利用者からも迅速な通報をいただくよう、広く呼びかけを行っていきたいと考えております。
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■地球温暖化対策 |
質問1
次に、環境確保条例の改正に関連して質問いたします。
今回の改正は、欧米の大都市と比べて二割、三割もCO2 の排出量が低い環境先進都市東京において、世界で初めて事業所におけるCO2 排出総量に削減義務を課すというものであり、評価をいたします。我が国の環境政策を牽引してきた東京が、環境サミットとして注目を集める洞爺湖サミットを前に先駆的な取り組みを発信することは、国際社会における日本の存在感をも高めることに寄与するものであります。
そこでまず、必要最小限のエネルギー使用で、豊かで快適な都市生活が可能な低炭素型社会の実現に向けた石原知事の決意を伺います。
答弁1
▼知事
温暖化対策についてでありますが、温暖化がこのまま進行すれば、地球は破局的な事態を招きかねず、これを回避するためにはCO2 を劇的に削減する必要があります。東京は、既に先進国の大都市の中ではエネルギー効率が高い都市となっておりますが、CO2 の排出のさらなる削減に取り組むため、今回条例を改正して、削減義務化といった実効性のある仕組みを構築するとともに、再生可能エネルギーの普及促進などを着実に推進していきたいと思っております。
こうした取り組みに加えて、都民や事業者も巻き込んだ省エネ、節電運動を強力に推し進め、世界で最も環境負荷の少ない――ちなみに、東京は一人当たりのCO2 排出量というのは、ロンドンやニューヨークに比べて二〇%、三〇%も低い現況ですが、さらにこれに加えて、先駆的な低炭素型都市モデルを示し、これを国際社会へ広く発信していきたいと思っております。
質問2
さて、事業所におけるCO2 排出総量削減義務化は、対象となる事業所には当然一定の義務を伴うものであり、制度の円滑な実施には、対象事業者からの深い理解と自発的な取り組みを促していくことが必要であります。特に、削減率の設定には公平性や公正さが求められます。
二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%の削減目標を掲げている東京として、事業所の設備更新による削減余地等も勘案しながら、義務化する削減率をどう設定するのか、削減達成期限も含めて見解を求めます。
答弁2
▼環境局長
削減義務率の設定方法等についてでございますが、削減義務の導入をめぐって開催したステークホルダー会議等におきましては、多くの事業者から、短期的な視点から削減義務率が設定されると、長期的視点からの省エネ投資の判断が行えないとする意見が寄せられました。
こうした意見を踏まえまして、五年間程度を想定している削減期間の削減義務率を設定する際にも、対象となる事業所全体に求められる二〇二〇年度までの中期的な削減レベルをお示しし、これを前提として、CO2 削減対策に関する知見を持つ専門家などによる検討会において検討を進め、具体的な削減義務率を定めてまいります。
また、削減義務の達成期限は、対象事業所ごとの排出量データの最終的な確定や、排出量取引による不足量の調達等に要する期間も考慮し、削減期間終了後、一年間程度の整理期間を置いた時点に設定することを想定しております。
質問3
また、排出量の確認には第三者機関による検証が行われますが、制度運営にかかわる事業所の負担をできるだけ軽減するために、検証の方法やルールについても一定の配慮が必要となります。また、排出量取引についても、投機対象とされないための防止策が何よりも重要であります。あわせて都の見解を求めます。
答弁3
▼環境局長
検証方法への配慮等についてでございますが、対象事業所の排出量や削減量を正確に算定することは、削減義務や排出量取引の公正な運営の前提として不可欠なものでございます。したがいまして、今回の制度では、排出量等について第三者機関による検証を行うこととしておりますが、他方、検証費用が過大な負担とならないような配慮も必要なものと認識しております。
このため、CO2 発生の大宗を占める電気やガスについては、それぞれの供給会社が計量法に基づいて使用量を計測していることから、その検針票の数値を基本とするなど、簡素でありながら正確に排出量を把握できる検証方法を検討してまいります。
また、都が導入する排出量取引制度におきましては、EUの制度が、削減される前にも排出枠による取引を認めることとは異なり、実際に削減された量だけを取引による義務履行として認めることとしているなど、投機対象とされにくい設計になっているものと考えておりますが、今後とも、ご指摘の点を踏まえた制度設計を進めてまいります。
質問4
今回の条例改正で、中小規模事業所においても、報告書の任意提出など、地球温暖化対策推進制度の中に組み込まれることになります。とりわけ複数の事業所を管理する法人については、エネルギー使用量の合計が一定量以上の場合には、報告書の提出や内容の公表が義務化され、大きな負担となります。
したがって、今後、中小規模事業所が省エネ性能のすぐれた設備へ更新する際には、税制面での優遇措置や更新費への助成制度について検討すべきであります。見解を求めます。
答弁4
▼環境局長
中小規模事業所の省エネ対策の支援についてでございますが、省エネ対策はエネルギーコストの削減に寄与するものであり、適切に取り組まれれば、本来、企業にとって経営上のメリットになるものでございます。
このため、都は、本年度六百件の省エネ診断を行っていくこととしており、現在、東京都地球温暖化防止活動推進センターとともに、地域の経済団体等に働きかけ、省エネ診断の普及を進めております。
また、本年度、新たな融資制度の創設も予定しておりますが、今後さらに、中小規模事業所のさまざまな省エネ支援策の具体化に向け、関係局とも連携し、積極的に検討を進めてまいります。
質問5
現在、各企業においてCSR、すなわち企業の社会的責任の履行についてもさまざまな取り組みがなされております。例えば、緑の東京募金への協力や事業所緑化等CO2 の吸収源対策を進めております。地球温暖化対策においては、CO2 吸収源対策も極めて重要であり、そこで、このような企業に対しては、総排出量削減の取り組みと連動させた制度とすべきであります。都の見解を求めます。
答弁5
▼環境局長
地球温暖化対策における緑の活用についてでございますが、世界全体の温室効果ガスの約一七%は森林の過剰伐採などによる森林破壊に由来するといわれており、森林を初めとする緑の保全は、温暖化対策においても重要な課題でございます。
都の温暖化ガス削減対策に占める都内の緑の吸収源としての割合は、世界全体や国内全体よりは小さいものの、本年三月に策定した新たな東京都環境基本計画においても、都の温暖化対策の一部に位置づけており、緑の保全と創出を東京のCO2 排出総量の削減を目指す取り組みとしても推進してまいります。
質問6
また、都の排出量の約四分の一を占める家庭部門における取り組みも重要であります。太陽光発電の普及や太陽熱の利用の促進について、都としての支援策や新たな仕組みづくりが不可欠であります。設備設置費補助や家庭で発電した電気の購入義務化など、環境先進都市にふさわしいシステムを立ち上げるべきであります。都の見解を求めます。
答弁6
▼環境局長
太陽光発電や太陽熱の利用推進についてでございますが、太陽光発電や太陽熱など太陽エネルギー利用機器の普及には費用負担の軽減が大きな課題であることから、都は、昨年の三月に、有識者や関連事業者の参加を得て、太陽エネルギー利用拡大会議を立ち上げ、ことしの二月には、利用拡大策についての最終の取りまとめをしていただきました。
この結果を踏まえて、都は、太陽エネルギー利用機器の生み出す環境価値を買い取るとともに、太陽電池や太陽熱温水器のメーカー、住宅メーカーなどと連携して、初期費用の負担を十年程度で回収可能とすることを目指す仕組みづくりを、来年度からの実施を目指し現在進めており、太陽エネルギー利用の推進を積極的に図ってまいります。
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■耐震化対策 |
質問1
次に、学校の耐震化について質問いたします。
中国四川大地震では、多くの学校の建物が倒壊し、大勢の子どもが犠牲になりました。その主な原因は、建物の耐震性の脆弱さにあったと指摘をされています。
学校等の耐震化の最大の課題は、小中学校、幼稚園、保育園等の耐震改修のおくれであります。平成二十年四月段階で、都内の公立小中学校の耐震化率は約七七%、公立幼稚園は約八三%であります。さらに、区市町村によっても、取り組みに大きな格差があるのが実態であります。
私立の小中高校、私立幼稚園については、専修学校等も含め、平均で六七%にとどまっており、特に私立幼稚園の対応のおくれが目立っております。また、保育園の耐震化率についても、公立、私立の認可保育園は平均で六三・七%にとどまっているのが実情です。
小中学校の耐震化については、「十年後の東京」でも重要な施策に掲げていますが、子どもたちの命を震災から守ることを最優先に、都は、学校、幼稚園、保育園などの耐震化を一刻も早く実現するよう、取り組みを一層加速すべきと考えます。知事の見解を求めます。
答弁1
▼知事
学校などの耐震化についてでありますが、先般の中国四川省の大地震では、大変痛ましいことですが、大勢のいたいけな子どもたちが、勉強中に、倒壊した校舎の下敷きになって亡くなりました。現地の調査では、中には、学校のコンクリートの柱の中に一本も鉄骨が入っていないというような、そういう部分もあったようでありまして、東京は、今後三十年以内に大地震の発生する確率が七割程度と予測されております。将来を担う子どもたちの命を震災から守ることを最優先に考えていかなければならないと思います。
まさに、四川省のこの悲劇は、学校における悲劇は他山の石でありまして、このため、「十年後の東京」では、地震が怖くない東京の実現を目指し、小中学校を一〇〇%耐震化するという目標を掲げ、実行プログラムでも三年後の到達目標を明示するとともに、私立学校への助成拡充など、施策の具体化を図ってまいりました。また、学校の耐震化に対する支援の拡充を国にも働きかけてまいりました。
今回、国はようやく重い腰を上げまして、倒壊の危険性が高い公立小中学校に対して緊急対策が講じられることとなりました。都としては、これまでの耐震化の取り組みをさらに加速させるため、新たに都独自の支援策を早急に講じるなど、公立、私立とも、学校などの耐震化を強力に進めていきたいと思っております。
質問2
学校等の耐震改修事業を強力に促進するには大きな財政負担が伴うために、区市町村や私立幼稚園、保育園に対する十分な支援措置が不可欠であります。
公明党は、公立の学校等の耐震化支援について、四川大地震の被害を踏まえ、自治体の大幅な財政負担軽減措置を福田首相に要請しました。これを受け、国は、従来の補助率二分の一を三分の二に引き上げました。それでも、財政状況が厳しい自治体は積極的な耐震化に踏み込めないのが実情であります。
そこで、特に財政状況が厳しい自治体等に対し、都独自の支援策を講じるべきであります。見解を求めます。
答弁2
▼教育長
学校の設置者は、学校施設を良好な状況に保ち、児童生徒の身体、生命の安全を確保する義務があります。
各区市町村は、計画的に耐震化に取り組んでおりますが、耐震化率につきましては、都全体としては着実に向上しているものの、残念ながら、区市町村間でばらつきがございます。
都教育委員会としましては、耐震化が進まない区市町村の状況をきめ細かく把握し、国の緊急対策にあわせて、耐震化の前倒しが図られるよう、必要な支援策を早急に具体化してまいります。
質問3
また、経営基盤が弱いために耐震改修のおくれている私立の学校、幼稚園、保育園等についても、都独自の支援強化措置を講じ、保護者の安心と子どもたちの安全に万全を期すべきであります。見解を求めます。
答弁3
▼生活文化スポーツ局長
私立学校等の耐震改修に対する都独自の支援についての質問にお答えいたします。
都はこれまで、子どもの安心・安全のため、建物所有者が耐震化に取り組むことができるよう、情報提供や技術的支援を行うとともに、耐震補強工事等について財政的支援を講じてまいりました。
私立学校の耐震化については、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を開始し、十九年度には個人立等の幼稚園や専修、各種学校を補助対象に加えました。さらに、二十年度には、私立学校が行う耐震診断、耐震補強工事に対する補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象として、木造の校舎等や耐震のために必要な改築工事を加え、補助制度の充実を図ったところであります。
こうしたことに加え、今後、私立学校の耐震化が加速されるよう、国の緊急対策も踏まえ、必要な支援策を早急に検討、具体化してまいります。
また、保育園等については、緊急実態調査を新たに実施するなど、区市町村や関係団体と十分連携し、耐震化の推進に努めてまいります。
質問4
都議会公明党は、従来より住宅耐震助成を積極的に推進してまいりました。これに加え、住宅の耐震化を促進する都独自の税制の活用も必要であります。国は、耐震改修をした住宅の固定資産税を軽減する制度を設けていますが、耐震改修だけでは東京の住宅の耐震化促進には十分ではありません。
住宅の建てかえが可能な人にも固定資産税の軽減措置を講ずることにより、さらに建物の耐震化が促進されると考えます。都の見解を求めます。
答弁4
▼主税局長
耐震化促進のための税制の活用についてでございますが、建物の耐震化を促進していくことは、都民の安全・安心を確保する観点から、都にとって緊急かつ重要な課題でございます。
そうした中で、税制の活用もその有効な手段の一つであると考えております。
具体的にどのような制度としていくかにつきましては、ご指摘の趣旨も含め、今後、鋭意検討を進めてまいります。
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■住宅政策 |
質問1
次に、住宅政策について質問いたします。
二〇〇四年、ロンドンは、二〇一二年のオリンピック開催を前にロンドンプランを発表いたしました。人々にとって住みやすい都市ロンドンの実現を政策目標の一つに掲げ、既存住宅ストックの活用や良質な住宅供給の促進など、力強く住宅政策の推進をうたっています。
東京都の住宅行政上の課題も、耐震、耐火対策の充実だけではありません。職住接近や多世代の近同居による少子化対策、六百万戸を超す都内住戸のスケールメリットを生かした環境貢献など、まさに多種多様であります。
少子高齢化に対応しながらも、豊かさを実感し、環境負荷にも貢献できる東京の魅力を、新たな住宅政策を通じて積極的に展開していくことについて、知事の抱負を伺います。
答弁1
▼知事
新たな時代に対応した住宅政策の展開についてでありますが、都民が真に豊かさを実感できる社会を実現するとともに、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市としていくためには、住宅についても、ストック重視へと転換し、住宅の長寿命化や既存住宅の流通促進などに取り組んでいくことが求められていると思います。
また、耐震性が不十分な住宅や木造住宅密集地域の解消など、防災性の向上を図るほか、東村山市本町地区での格安の一戸建ての住宅の供給、これは実証実験をいたして大変な成果を生んだと思いますが、住宅市場の構造改革など、都内の住宅の多くを占める民間住宅に係る課題に適切に対応していく必要があると思います。
セーフティーネット機能の向上など、都民の住まいの安全・安心を確保するとともに、世代を超えて住み継がれる住宅まちづくりを推進するため、少子高齢化の進展や環境問題の深刻化など、状況の変化を踏まえた住宅政策を総合的に展開してまいります。
質問2
民間の調査では、都内分譲マンションの着工累計数は百四十万戸に及び、都内全体の住宅戸数の約四分の一を占めます。しかし、マンション居住者の高齢化が進む中、管理組合による自主的な取り組みだけでは、老朽化マンションの耐震対策や大規模修繕、建てかえなどの推進が次第に困難になりつつあり、行政による適切な誘導策が必要であります。
そこで、都は今後、年金生活などの低所得居住者への適切な支援策や資金負担の少ない計画案の提示など、居住者間の合意形成に必要な、新たな施策を強力に推進していくべきと考えます。所見を求めます。
答弁2
▼都市整備局長
マンション対策についてでございますが、マンションを世代を超えて住み継がれる住宅ストックとするには、適切な維持管理、改修等の促進や建てかえの円滑化を図ることが重要でございます。
マンションの老朽化が進む中、高齢化等により管理組合の機能が低下し、合意形成が一層困難となるなど、維持管理や建てかえを行う上でさまざまな問題が生じております。このため、都は、管理組合に対する相談体制の整備や計画的な修繕及び建てかえの助成等のほか、今年度より耐震改修助成制度を設けるなど、支援に努めております。
さらに、管理組合等の実態を掘り下げるため、マンション白書を作成し、新たな施策展開に役立てるとともに、大規模修繕や建てかえ等が円滑に行われるよう、今後、マンション施策を総合的に推進してまいります。
質問3
民間住宅への取り組みに加え、都営住宅によるセーフティーネット機能の充実も重要であります。昨年十二月の公営住宅法施行令の改正により、入居収入基準や家賃制度が見直されました。しかし、国が平成十八年九月に公表した施行令の改正案では、入居中の全世帯の家賃が値上げとなるため、都議会公明党は、昨年十一月、国に対し再検討を申し入れました。 その結果、全入居世帯の七割強の、収入の少ない世帯の家賃を据え置いたほか、事業主体独自の激変緩和措置を可能とするなど、申し入れ趣旨に沿った政令改正が行われました。制度改正の実施は来年の四月ですが、都としても、年金生活などの低所得世帯への負担緩和に積極的に取り組む必要があります。
そこで、都は、国制度に上乗せをし、現入居者の負担軽減に向けた都独自の激変緩和策や、家賃改定適用時期への柔軟な対応を検討すべきと考えます。見解を求めます。
答弁3
▼都市整備局長
都営住宅の入居収入基準等の改正に係る現在入居中の世帯への負担軽減についてでございます。
国は、政令改正に当たりまして、家賃が上昇する場合に、五年間で段階的に実施する等の経過措置を講じております。都といたしましては、入居中の世帯において、国の措置を講じてもなお負担の変化が大きい場合には、さらに都独自の激変緩和措置を実施するなど、十分な配慮を行っていく必要があると考えております。
このため、入居を希望しながら入れない方々との均衡も考慮しつつ、今回の改正に伴う家賃の変動の見込みを踏まえた負担の軽減策や、家賃改定の適用時期についての柔軟な対応を今後検討してまいります。
質問4
また、現行の都営住宅が抱える課題の一つに、いわゆる二K住宅の狭い間取りの問題があります。二K住宅は、財政再建の中での都営住宅の整備策の一環として進められたものであります。しかし、二人世帯用の居住空間としては、子育てスペースがとれない、介護ベッドが入らないなどの課題も明らかになってきています。
そこで、今後の建てかえに際しては、子育てや介護に配慮するため、いわゆる二Kを廃止して二DKとし、長期に活用できる良好な住宅ストックとするべきであります。既存二Kのより柔軟な活用策も含め、所見を求めます。
答弁4
▼都市整備局長
都営住宅の二人世帯用住宅についてでございますが、建てかえに当たりましては、居住者の世帯人数により基準を設け、住みやすい間取りとなるよう工夫しながら住宅を供給してまいりました。
二人世帯用住宅はこれまで、建てかえ対象団地の居住実態から主に高齢者世帯向けとしてまいりましたが、少子化が進展する中、今後、安心して子どもを育てられる住宅として供給することも求められております。
このため、子育てをする若年ファミリーや高齢者など多様な世帯が活用できる良好なストックとなるよう、面積規模など必要な見直しを行ってまいります。
また、既存の二人世帯用住宅については、建てかえ事業の進捗など、団地ごとの実情を踏まえ、幅広い活用策を検討いたします。
質問5
現在、都の住宅行政部門は、民間マンションの建てかえ、都営住宅の管理、建てかえ、耐震化問題など、居住者にかかわる極めて具体的な事柄への対応を常に求められています。同時に、良質で安価な住宅を供給する仕組みや、公が関与した安心感のある再開発の工夫など、新しい課題への対応も求められています。
もともと現在の都市整備局は、都市計画局、住宅局、面的整備部門の建設局の三局合併により、広範な業務を担う組織となったものであります。効率的な管理を行う視点からも、体制整備が喫緊の課題となっております。
以上のような観点から、都市整備局において、住宅政策を専管する組織、人事体制の強化を図るべきと考えます。都の見解を求めます。
答弁5
▼総務局長
住宅政策を専管する組織、人事体制の強化に関するご質問にお答え申し上げます。
都では、その時々の行政課題に応じて適宜適切な見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めております。
今日の住宅行政では、都営住宅や民間マンションの建てかえ、既存住宅の耐震化、木造住宅密集地域の整備促進など、多くの重要かつ困難な課題が山積しております。
このような諸状況を十分踏まえた上で、直面する課題により迅速かつ的確に対応できる執行体制の確立に向け、ご指摘の住宅政策を専管する組織、人事体制のあり方を速やかに検討してまいります。
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■中小企業支援 |
質問1
次に、中小企業への支援策について質問いたします。
平成十八年四月から一年間の中小企業の倒産件数は九千五百七十二件であるのに対して、平成十九年四月から一年間の中小企業の倒産件数は一万一千三百三十三件と、千七百六十一件、率にして一八・四%増加をしております。我が国経済の下支えをしている中小企業が倒産をしていくことは、日本の国力を衰退させることにほかなりません。特に最近では、大企業に比べ立場の弱い中小企業が、原材料価格の高騰によるコストの増加を価格に転嫁できず、結局は赤字経営に陥って倒産をするという例が後を絶ちません。
例えば製造業の場合、大手企業が効率化による利益を上げるために、従来は中小企業が単体で受注をしていたものを、関連工程を一括して発注するユニット発注に見直すようになりました。これにより、単体で受注をしていた中小企業が、ただでさえ少ない利益がさらに少なくなるという事態が生じております。
中小企業が生き残るためには、どんな状況になっても大企業に対して物がいえる体制をつくることであります。そのためには、大企業から今まで受注を受けていた中小企業もグループ化をし、対等に大手企業と交渉ができるようにすべきであります。今こそ都が思い切って手を差し伸べ、グループ化に向けた支援をしていくべきであると考えます。見解を求めます。
答弁1
▼産業労働局長
中小企業のグループ化に対する支援についてですが、大企業において、関連工程を一括して発注する、いわゆるユニット発注へと発注方式の転換が進む中、中小企業単体で大企業から直接受注することが困難になりつつあります。
こうした取引構造の変化に適切に対応するため、すぐれた加工技術等を有する複数の中小企業がグループを形成しまして、共同受注体制を確立していくということは重要であるというふうに認識をしております。
そこで、都は、今年度から基盤技術産業グループ支援事業を新たに実施いたしまして、中小企業が共同で設備や受注システム等を導入する際にかかる経費を助成することで、大企業と対等に取引できる中小企業グループの創出を促してまいります。
質問2
さらに、中小企業がグループ化をすることにより、中小企業の弱点とされる販売部門、財務部門などを切り離して、それらの部門を統括会社とし、グループ内に設立することができます。そのことにより、中小企業の事業が効率化されるばかりでなく、そこに中小企業振興公社などから専門家を派遣することによって、戦略的な経営を展開できると考えます。都の見解を求めます。
答弁2
▼産業労働局長
グループ内における統括会社の設立と専門家による支援についてですが、ご提案の、販売部門や財務部門などを切り離して統括会社化することは、販売力や資金調達力を強化する上で有効な手段の一つであるというふうに認識をしております。
基盤技術産業グループ支援事業では、このような手法によりまして設立されたグループ内の企業に対しましても、公認会計士や中小企業診断士等の専門家を継続的に派遣をいたしまして、経営戦略の策定についてアドバイスするなど、きめ細やかな支援を行ってまいります。
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■医療・福祉施策 |
質問1
次に、医師、看護師不足対策について質問いたします。
都は、小児や周産期、救急、僻地医療に従事する医師を確保するため、このほど順天堂大学医学部の定員を二十一年度から五名増員し、奨学金を支給する制度を創設いたしました。都の小児科、産科医などの不足の現状を考えると、五名の増員だけでは東京の地域医療を守ることはできません。
そこで、新たに、都独自に医学部の学生に奨学金を貸与するような仕組みを検討すべきであります。見解を求めます。
答弁1
▼福祉保健局長
医学生に対する都独自の奨学金貸与についてであります。
小児、周産期、救急、僻地医療を担う医師の養成、確保は急務でありますことから、都は今年度から、病院勤務医の勤務環境改善等に取り組みますとともに、国の緊急医師確保対策を活用し、都が指定をいたしました大学医学部の定員枠の拡大や奨学金貸与制度の創設を行うことといたしました。
お尋ねの都の奨学金の拡充につきましては、こうした取り組みや医師確保の状況を踏まえながら、今後検討していくべき課題と認識してございます。
質問2
医療人材の確保という点では、医師に限らず、看護職員の確保も大きな課題であります。都が平成十九年十一月に発表した看護職員需給見通しでは、平成二十年には三千五百人余りの不足が生じるとしています。都は、都議会公明党の提案により、区部と多摩二カ所で行っている再就職に向けた研修と就業あっせん事業を、十九年度から新たに二十四病院で開始をいたしました。
しかし、看護職員の不足はいまだ深刻な状況にあります。二十年度は、この事業をさらに多くの病院に広げていくとともに、事業内容の充実を図ることが看護職員確保対策を一層促進していくことになると考えます。都の見解を求めます。
答弁2
▼福祉保健局長
看護職員地域確保支援事業の充実についてであります。
都は、身近な地域で復職に必要な最新の看護技術を習得できますよう、昨年度、二十四病院を地域就業支援病院として指定をいたしました。これらの病院では、復職支援研修を行うとともに、看護師等就業協力員によります再就業相談や就業あっせんを行い、百四十七名の復職を実現するという成果を上げ、改めて、看護師確保対策として、離職中の看護師への復職支援が極めて有効なことが明らかになりました。このため、今年度は指定を二十九病院に拡大するとともに、訪問看護ステーションや介護老人保健施設などにおいて在宅医療や介護サービスの担い手を確保する研修も導入し、一層の復職支援に努めてまいります。
質問3
次に、小児アレルギー疾患対策について質問いたします。
厚生労働省研究班の全国調査によると、東京都は、小学生、中学生ともに気管支ぜんそくの有症率は全国トップクラスで、小学生で六人に一人、中学生で八人に一人のぜんそく患者がいます。また、ぜんそくに加え、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、結膜炎等を加えると、何らかのアレルギー疾患を持つ子どもは三人に一人に上っております。
こうした患者数の多さとともに、アレルギー疾患は、ぜんそく、アトピー、食物アレルギー、アレルギー鼻炎、結膜炎、薬物アレルギーなど幅が広く、したがって、日常生活、学校や保育園、幼稚園など幅広くかかわっていることから、子どもにかかわるすべての職種の理解と協力のもとに、医師、心理療法士などコメディカルを含めたチーム医療体制を整える必要があります。
そこで、平成二十一年度開設予定の都立小児総合医療センターは、都におけるアレルギー疾患医療のセンター的機能を果たすことを目指すべきであり、そのためには、まず、専門診療としてのアレルギー科を開設するなど、診療機能を強化していくことが何よりも必要と考えます。見解を求めます。
答弁3
▼病院経営本部長
小児アレルギー疾患対策についてでありますが、同疾患は、厚生労働省の調査におきまして、十四歳までの子どもたちの約四〇%に何らかのアレルギー症状が認められるとしておりまして、また、ぜんそくやアトピー性皮膚炎も増加傾向にありますことから、ご指摘のとおり、その診療の重要性がますます高まっているものと認識をしているところでございます。
このため、今回、策定いたしました第二次都立病院改革実行プログラムにおきまして、アレルギー医療を、仮称でございますけれども、小児総合医療センターの専門医療として位置づけ、重点的に行うこととしております。
この小児総合医療センターでは、小児医療に関するさまざまな専門分野が密接に連携し、チーム医療を行うことで、心から体に至る総合的な診療を行うこととしておりまして、アレルギー疾患についても、こうした考え方のもとに専門医を配置し、医療水準の高い診療を目指しているところでございます。
今後、小児総合医療センターにアレルギー専門診療部門を設置することにつきましては、関連する他の診療部門との役割分担を整理した上で、その運営体制を構築する中で検討してまいります。
質問4
次に、知事の選挙公約の柱の一つであります中学校三年生までの医療費の無料化について質問いたします。
さきに述べたように、今、小中学生のアレルギー疾患がふえるなど、子どもたちの医療費が家計を圧迫しております。都は、都議会公明党の提案を受け、平成十九年十月、都内全域で義務教育就学期の小中学生を対象とした義務教育就学児医療費助成事業をスタートさせました。これにより、保護者の自己負担額が三割から二割へと軽減されました。
しかし、平成二十年四月一日現在、二十三区すべてにおいて、所得制限なしで中学校三年生までの医療費が無料化されましたが、一方、財政的に厳しい多摩の市町村においては、医療費の軽減額の二分の一を負担しなければならないため、都の制度を受けて、保護者の自己負担額を三割から二割へと軽減するのが精いっぱいであります。多摩の市民からは、同じ都民でありながら、なぜこのような格差が生じるのかと声が上がっております。
そこで、都は、こうした各市町村の財政負担にも配慮をし、各市町村と協議の上で、現在実施されている医療費助成事業の実施要綱を改めて改定し、速やかに中学校三年生までの医療費の無料化に踏み込むべきであります。見解を求めます。
答弁4
▼福祉保健局長
中学三年生までの医療費助成についてであります。
都が助成制度を開始したことにより、昨年十月から都内すべての区市町村で医療費助成事業がスタートいたしました。助成内容の拡大に当たりましては、ご指摘の点も踏まえながら、実施主体である区市町村と十分に話し合いを行うことが重要であると考えております。
今後、事業の実績等を踏まえ、実施方法や実施時期などについて区市町村と協議をし、具体的な内容について検討を進めてまいります。
質問5
次に、コミュニティバスのシルバーパス適用について質問をいたします。
東京都シルバーパス制度は、高齢者の社会参加を助長し、高齢者の福祉向上を図る目的で、平成十二年から現行の制度としてスタートいたしました。この制度は、都内を運行する一般乗合バス事業者が全社加盟している唯一の公益法人である東京バス協会が、事業の指定を受けて実施をしております。
一方で、コミュニティバスは、鉄道やバス路線が通っていない、交通の不便をなくそうという各自治体が積極的に関与して運行しており、近年、この事業に乗り出す自治体が増加をしております。
現在、各自治体が運行しているコミュニティバスは百二十一路線ありますが、東京都のシルバーパスの適用を受けているのは五十九路線にとどまっております。コミュニティバスは、公共交通の確保という公益的な観点から運行されるだけでなく、都のシルバーパス制度と同じ、高齢者の社会参加を促す目的も有しております。
そこで、コミュニティバスについても、各自治体の希望があれば、シルバーパスが使用できるよう検討すべきと考えます。見解を求めます。
答弁5
▼福祉保健局長
コミュニティバスへのシルバーパスの利用についてであります。
コミュニティバスは、区市町村が主体となって、交通手段の少ない地域の解消や公共施設などへの移動手段を確保するため、バス事業者との間で路線や運賃、運行経費補助等について協定を締結し、実施しているものであります。
コミュニティバスのうち、一般のバス路線と同等の運賃を設定しているものについて、区市町村とバス事業者の協議が調った場合は、シルバーパスで乗車できるようになっております。
今後、区市町村の希望があれば、シルバーパスの利用について関係者間で協議が図られるよう、調整をしてまいります。
質問6
次に、今定例会に提出をされた介護情報サービス手数料の改正について質問をいたします。
都議会公明党は、超高齢社会を迎えた東京の介護現場の屋台骨を担う介護従事者の確保や待遇の改善、介護サービス事業所の経営安定など、さまざまな課題を指摘し、その改善を都に求めてまいりました。とりわけ、介護サービス事業者に対して義務づけされているインターネット上での介護サービス情報の公表にかかわる手数料負担については、適正な引き下げを求めてきました。
我が党の主張を反映させ、都はこのたびの条例改正に伴い、公表手数料では約一〇%、調査手数料では約三〇%を引き下げるとしていることは評価をするものであります。
しかしながら、大変に厳しい経営状況の中、高齢者や家族のために介護保険制度を支えている介護事業者にとっては、この情報手数料が大きな負担となっていることには変わりはなく、効率的な調査方法によるコスト削減や制度自体の見直しが求められております。
例えば、複数の事業を展開する一つの事業所に対し、サービスの種類ごとに異なる調査機関が二回、三回と調査に訪れたり、また、公表されたインターネット情報へのアクセス件数を見ると、一事業所当たり一カ月に二件程度であり、納めた手数料に見合った効果は見当たらないといった不満の声が高まっております。
そこで、都は今後、介護サービス情報の公表制度について、調査の単位や周期など、効率的なシステムの検討を含めた制度の見直しを国に強く求めていくべきであります。見解を求めます。
答弁6
▼福祉保健局長
介護サービス情報の公表制度の見直しについてであります。
都では、国に対し、毎年行うこととされております事業所への実地調査について、調査の周期や確認方法のあり方などを改善するよう提案をしております。
また、今回の手数料改定に際しましては、同一所在地で複数のサービスを提供している事業者が多いことから、公表の対象をサービスの種類ごとから事業所ごとに改めることなどを求めたところでございます。
今後とも、事業者負担の軽減にも配慮しながら、介護サービスの利用者がより適切に事業者を選択できるよう、国に対し、制度の見直しを求めてまいります。
質問7
さらに都は、今後予定されている調査対象サービスの拡大や制度の見直しの際には、厳しい経営状況を抱えながら、介護サービスの基盤を支えるために懸命に努力をしている事業者の状況を踏まえた対応をしていくべきであります。見解を求めます。
答弁7
▼福祉保健局長
介護サービス情報の公表制度にかかわります手数料についてであります。
本制度施行後二年間の運用実態を踏まえまして、指定調査機関の行う事業所への実地調査や指定公表センターの行う公表事務の効率化を図り、手数料額の引き下げを行うことといたしました。
引き続き、ご指摘の点も踏まえ、介護サービスの利用者や事業者の意見を十分に聞きながら、より一層効果的かつ効率的に調査や事務を行うよう調査機関等を指導してまいります。
質問8
次に、児童相談所の充実について質問をいたします。
子どもは、温かい家庭の愛情に包まれながら養育されることが何よりも望ましいことであります。親の離婚や病気などで家庭での生活ができない子どもや、親の虐待等により、家庭で生活をさせるべきでない子どもが年々増加をしてきております。児童相談所の中の一時保護所には、さまざまな理由で入所している子どもがいますが、特に顕著に増加しているのが児童虐待による入所であります。総保護人員は十年間で約四割増加をし、平均保護日数も、平成九年度で二十五・二日であったものが、平成十八年度には三十五・五日と、十・三日も延びております。
都議会公明党は、東京都の一時保護所を視察いたしました。一時保護所は、一時保護が集中する時期でないにもかかわらず、既に定員オーバーの状況でありました。子どもたちの健全な養育のためには、一時保護所の増設をし、子どもたちの安全を確保すべきであります。都の見解を求めます。
答弁8
▼福祉保健局長
一時保護所の増設についてであります。
近年、児童虐待の増加により、子どもを緊急に保護するケースが増加しております。
このため、都は、平成十八年度に、西部一時保護所を新設いたしまして、定数増を図ったところでございますが、さらに今年度中には、既存の施設を活用した緊急整備を実施いたしまして、現在の百四十四名の定員を大幅にふやしてまいります。
なお、保護すべき子どもが一時的に集中し、定員を超える場合には、緊急対応用に整備した居室での保護や、児童養護施設等への一時保護委託を行うことにより対応してございますが、今後とも、保護すべき子どもについては、速やかに安全の確保に努めてまいります。
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■豊洲新市場 |
質問1
次に、豊洲新市場について質問いたします。
石原知事の判断により、都が豊洲新市場予定地の土壌汚染を再調査した結果、土壌の一部から、環境基準の四万三千倍、地下水の一部からも一万倍のベンゼンが検出をされました。都民の多くは、今、強く食の安全が求められる中、なぜそのような土壌汚染された場所に築地市場を移転させるのかと、食の安心に対して不安を抱いております。加えて、再調査の結果、汚染対策費は、当初予定の六百七十億の二倍の費用がかかるともいわれており、そこまで巨額の税金を使って、あえて豊洲に移転する必要があるのかという疑問の声も上がっております。
都議会公明党は、再調査の結果、新たに浮き彫りになってきた課題について専門的に検討し、中央卸売市場の方向性を決めていくための調査プロジェクトチームを党内に立ち上げ、検討を開始しました。
そのような中、知事は、過日の報道番組で、外環とか圏央道が整備されていたら、何も豊洲とか築地じゃなくたっていい、でもやっぱり業者が海から直に荷揚げしたいというんです、もうそんな時代じゃないと思うんだよと発言をされました。もしもこれが知事の本意なら、都議会公明党は、現在の豊洲移転計画をすべて白紙に戻し、都民の不信と不安を払拭すべきであると強く申し上げたいと思います。
新市場の整備に当たっては、むだな税金の支出をやめさせることは当然として、食品流通の安定と安全を確保し、都民の食生活を守ることが原点であります。また、市場は、築地の場外市場が典型例であるように、鮮魚、青果の集荷場、取引場というだけでなく、人々のにぎわい、経済活力や観光エネルギーの源であったといっても過言ではありません。また同時に、新たな市場は、時代の進展に伴って変化する商品流通過程に的確に対応していかなくてはなりません。
こうした多様な課題と要請にこたえる新市場の整備であるべきであり、そして何より、繰り返しになりますが、都民の不信と不安の払拭が何よりも重要であります。初めに移転ありきの議論は一切やめて、新市場整備の原点に立ち返り、すべての先入観、バイアスを排した再検討が不可欠であります。改めて新市場整備について知事の見解を求めます。
答弁1
▼知事
新市場整備についてでありますが、豊洲新市場予定地における約四千百カ所の詳細調査で、一カ所、四万三千倍という、べらぼうな、基準値を上回るベンゼンが検出されました。そうした高濃度の汚染の範囲は極めて限られてはいますが、しかし、風評被害が懸念される中、事実を正確に把握して冷静に対処していくことが必要であると思います。
現在の築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなく、衛生面でも課題がいろいろありまして、アスベストの問題もあり、一刻も早い対応が必要であると思います。
築地市場の移転は、かなり長い長い年月をかけてさまざまな案を検討し、関係者間での議論を尽くして、結果として決定したものであります。
豊洲地区の土壌汚染については、専門家会議の提言が七月にも予定されておりまして、都としては、各分野の方々からの提言を幅広く受けとめまして、工法も含めて、既存の枠あるいは既存の発想にとらわれずに、さまざまな新技術や工法の可能性も探りながら、早期に具体的な計画を取りまとめていきたいと思っております。
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■新東京銀行 |
質問1
次に、新銀行東京について質問いたします。
去る六月二日、新銀行東京は、二〇〇八年三月期の決算発表において確定をした一千十六億円の累積赤字を解消するために減資をする方針を明らかにしました。もとより新銀行東京の減資計画は、四百億円の追加出資の際に提示された再建計画に盛り込まれていたものでありますが、これにより、東京都の出資のうち約八百六十億円が毀損されることになります。
新銀行東京の内部調査報告書においては、このような累積赤字を発生させた責任は、旧経営陣によるずさんな融資と過剰な拡大路線が原因であるとしております。特に、調達する資金の利回りを一・五%から一・七%で行い、大企業五十社に対する貸し出し一千億円は一%の利回りで行っていたのですから、言語道断としかいいようがありません。改めて旧経営陣への徹底した責任追及を行うことを都民に対して明らかにすべきであります。
また、今回のずさんな融資の中には、三十五件の詐欺の疑いがある事件が含まれていることを新銀行東京が明らかにしました。この事件についても、刑事、民事の両側面から徹底して追及し、回収を行っていくべきであります。あわせて都の見解を求めます。
答弁1
▼産業労働局長
新銀行東京の旧経営陣への責任追及及び詐欺が疑われる事件への対応についてですが、旧経営陣に対する責任追及については、現在、新銀行東京が外部の弁護士に委託して、法的対応を視野に入れた調査が進められており、年内を目途に調査結果を得るということです。
それを踏まえた責任追及及び詐欺などの疑いのある事件に対する法的対応については厳正に対処すべきものであり、都としても適切に監視をしてまいります。
質問2
今回の減資は、まさに他の金融機関に新銀行東京を営業譲渡や業務提携することをにらんでの対応であると考えます。都議会公明党は、今、新銀行東京を破綻させると、新銀行東京が支援をしている赤字もしくは債務超過の五千六百三十五社の中小企業を倒産に追い込むことになり、従業員、家族を入れると約十八万人が路頭に迷うことになるため、四年間かけてソフトランディングさせていくことが何よりも重要であると考え、四百億の追加出資を決断いたしました。
したがって、新銀行東京は、四年間かけて、累積赤字ゼロ、融資、保証残高を現在の四分の一、預金残高を二十分の一にするという縮小再建計画を実現させた上で営業譲渡などを行い、追加出資の四百億を保全もしくは回収していくべきと考えます。改めて都の見解を求めます。
答弁2
▼産業労働局長
新銀行東京の今後の展開についてですが、現時点では、新銀行東京において、再建計画に限らず、新たな事業展開などによりまして、再建に向けた取り組みを一刻も早く軌道に乗せ、中小企業支援という銀行の役割を果たすことが最優先であると考えております。
今後、中小企業を取り巻く経済、金融環境の変化などを十分に踏まえた上で、柔軟な視点で取り組んでまいります。
質問3
この四月から再建計画がスタートしたわけであります。再建計画では、さきに述べた大企業への融資を縮小し、中小企業には徹底した目ききを行って、正常な融資先に四%から六%で貸し出しを行うと、さきの予算委員会で我が党の質問に答えました。また、預金についても、一・五%から一・七%のキャンペーン金利をやめ、一%以下の調達利回りにすると述べました。この四月から融資の返済期日が到来し、預金が満期になるものが出てまいります。
そこで、こういった状況をタイムリーにチェックできるように、新銀行東京は、議会に対して四半期ごとに決算報告を行うべきであります。見解を求めます。
答弁3
▼産業労働局長
新銀行東京の決算報告についてですが、四月に産業労働局内に金融監理室を設置するとともに、新銀行東京の経営状況や再建計画の進捗状況を適時適切に把握する観点から、経営監視のあり方の見直しを行いました。
今後は、新銀行東京から報告を受けた損益の状況や不良債権の管理状況など、経営状況や再建計画の進捗状況に関する情報につきましては、原則として四半期ごとに、銀行の経営に影響を及ばさない範囲で可能な限り開示、報告をしてまいります。
質問4
最近の景気動向や金融環境は非常に厳しい状況にあり、大手銀行でも決算が大幅に減益となっております。縮小再建といっても安易な道のりではありません。そこで、新銀行東京は、再建計画に明記されたモデルだけを実施するのではなく、東京都に新たに設置をされた金融監理室を窓口として、東京都のさまざまな事業と連携をし、そして対策を考えていくべきであります。都の見解を求めます。
答弁4
▼産業労働局長
新銀行東京と都との事業連携についてですが、新銀行東京が再建に向けた取り組みを着実に実施するとともに、都との連携により再建を早期に軌道に乗せ、収益面でも実効性のある連携策を推進していくことは重要であります。
これまで新銀行東京は、環境・CSR応援団、また、公共工事代金債権信託など、都の施策と連携した商品開発を通じて、中小企業に対する支援を実施してまいりました。
今後は、こうした支援策を引き続き実施するとともに、四月に産業労働局内に設置いたしました金融監理室におきまして、新銀行東京を強力に支援する観点から、各局事業との連携を進めるなど、中小企業支援メニューのさらなる充実に努めてまいります。
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■提案 |
最後に、意思決定機関としての議会権限の強化について提案をいたします。
いうまでもなく、議会は、政策形成、行政監視という二つの機能を有するとされています。とりわけ平成十二年の地方分権改革以降、政策形成機能の重要性が高まってまいりました。
こうした中、全国的に加速をしているのが、行政の長期計画や総合計画、いわゆる基本計画を議会の議決事項とする動きであり、既に二十の県が条例制定を行っております。基本計画等を議決するこのねらいは、議会の監視機能を強化するというよりも、むしろ議会と執行機関が車の両輪として、都民の意思決定をより反映させた実効性の高い計画を策定するところにあります。
都議会としても、早急に東京都の行政にかかわる基本的な計画を議会の議決事項と定める条例の制定に向け、検討を開始する時期に来たと考えます。各党、各会派のご賛同を求め、質問を終わります。
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