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平成20年第2回定例会 代表質問

平成20年6月17日(火)

後期高齢者医療制度の廃止を
新銀行の失敗は知事の責任

後期高齢者医療制度の廃止
新銀行東京
築地市場の移転問題
新型インフルエンザ対策
防災対策
オリンピック招致
障害者施策
島しょ振興
温暖化対策
地方分権
再質問

大沢 昇
大沢 昇(民主党)
■後期高齢者医療制度の廃止

質問1
 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 まず、先日起きた岩手・宮城内陸地震について述べます。
 今回の地震も、発生予測が困難な直下型で、しかも、事前評価では地震が起こりにくいと思われていた地域での地震であり、地震列島日本では、どこででも大きな地震が起こり得ることを改めて再認識させられる地震でした。
 今も現地では、行方不明者の捜索が続けられており、一人でも多くの方々の生存が確認されるよう願うものです。同時に、不自由な避難生活を送られている皆様にお見舞い申し上げるとともに、不幸にも犠牲となられた方々のご冥福をお祈りいたしたいと思います。
 こうした自然災害は、この間、国内外で続いており、約一カ月前には中国四川省で同じ内陸直下型地震が、そして、その十日前にはビルマがサイクロンに襲われています。こうした自然の猛威を防ぐすべはありませんが、予測し、備え、被災後には国内外の連携による迅速な救援、救命によって被害を最小限にとどめていく努力が常に求められています。
 その一方で、先日の秋葉原では、人を殺したかった、だれでもよかった、こんな理不尽な動機で無辜の人々が一人の人間に襲われ、殺され、傷つけられました。被害者やご遺族の悲しみ、怒りを思えば、言葉もありません。
 警視庁には、模倣犯の犯行を徹底的に抑制する警戒態勢をとるとともに、犯行の経緯、動機の解明はもちろんのこと、戦闘用ナイフの取り締まり、ネット対策のほか、犯人の心理、事件の社会的背景など、あらゆる面から分析を行い、このような犯罪の抑止につなげていただきたいと思います。
 さて、さきの所信表明において石原知事は、後期高齢者医療制度、新銀行東京、築地市場の移転問題、中国四川大地震といった都民が注目する課題について、一切触れられませんでした。
 そこでまず、後期高齢者医療制度の廃止について伺います。
 後期高齢者医療制度により、旧制度が持っていた高齢者の健康維持や増進への取り組み、福祉的役割がなくなるなど、制度の持つさまざまな問題点が明らかとなっています。政府・与党は、また見直しを提案していますが、発足わずか二カ月で二転三転しなければならないこの制度には、すべての世代が納得をしていません。
 加入者の多くは年金生活者であり、収入はほとんどふえませんし、年をとれば、だれでも体力が落ち、持病の一つくらいはあるのが普通です。そういう七十五歳以上の高齢者を対象とする以上は、当然、福祉的要素が強く求められます。また、広く薄くリスクを負担するはずの保険で、後期高齢者だけを他の世代と切り離すという制度設計自体に無理があり、将来の保険料高騰を招く仕組みとなっているのです。制度を支える若年者の側も、高齢者数の増加に伴って、十七年後には十八兆円と増大する高齢者の医療費を見据え、むだをなくすべきとはいっても、このような制度をつくれとはいっていません。
 今年度、国の制度に従って算出された東京の平均保険料は九万円という高さだったため、東京都と区市町村は、法定負担金に加え、約百十億円の補助を投入せざるを得ませんでした。東京都の後期高齢者医療制度の加入者の状況を見ると、半数以上は低所得者に分類されますから、医療費が増大していった場合に過大な保険料負担としないためには、都や区市町村からの補助を増大させざるを得ません。
 このように制度内で適切な負担と給付の調整もできないのが後期高齢者医療制度であり、目の前の帳じり合わせのためにつくられたものとしかいいようがありません。東京都としても、国に対して廃止を求め、高齢者を支えるに足る医療保険制度の改革を実現するよう、強く求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。


答弁1
 ▼知事
 長寿医療制度についてでありますが、この制度は、あくまで国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識しています。
 しかし、その仕組みに欠陥が露呈してきて、現在、国において保険料の軽減などの改善策が検討されておりまして、都としては、国の責任として、国民の納得のいく策を講じるように働きかけてまいります。
 なお、国に対して、制度自体の廃止を求める考えはありません。
■新銀行東京

質問1
 次に、新銀行東京について伺います。
 石原知事が不退転の決意と述べていた再建計画で、単年度黒字を想定している三年後の決算が発表されるころには、知事の任期は終わっています。このまま、だれも責任をとらない、何も明らかにされないまま税金がむだに失われていくことで、本当にいいのでしょうか。
 自民党と公明党との賛成で四百億円の追加出資が可決された後、今度は減資の話が出てきました。石原知事は、六月六日の定例会見で、ぜい肉を落として身軽になる、どこの企業でもやっていると述べていますが、減資のもととなる資本金のうち一千億円は都民の税金です。それをどこの企業でもやっていると安易に応じることは断じて認めることはできません。
 仁司さんや森田さんあるいは津島さんと、経営者が次々とかわる中で、新銀行の発案から設立、運営まで一貫してかかわってきたのは、一体だれなのでしょうか。
 私たちは、新銀行の失敗は石原知事の責任だと考えますが、知事があくまでも旧経営陣の責任と強弁するのであれば、まず、民事や刑事の訴訟を提起することで、その責任を問うべきです。責任を問うことなくして、減資を認めることなど到底あり得ないと考えますが、石原知事の見解を伺います。

答弁1
 ▼知事
 新銀行東京の減資と旧経営陣の責任についてでありますが、経営再建のための増資に伴い減資を行うことは、ごく一般的なことであります。今回の減資は、過去の負の遺産である繰越損失を一掃するために行われるものでありまして、資本の額は変動いたしますが、実質的な企業価値や会社財産は変動いたしません。減資と旧経営陣の責任追及とは切り離すべきものと考えております。
 なお、旧経営陣に対する責任追及については、現在、新銀行東京が外部の弁護士と相談して、委託して調査を進めております。あくまで銀行当局が厳正に対処すべきものと考えております。




質問2
 新銀行では、三月十日に発表した調査報告書に基づき、経営責任との因果関係をどう結びつけるのかを検討するために、さらに専門家に依頼しているということです。これでは結論の引き延ばしで、責任問題をうやむやにしようとしているとしか思われません。
 新銀行では、結論をいつごろ出し、旧経営陣をいつごろ訴えるつもりなのか、見解を伺います。


答弁2
 ▼産業労働局長
 新銀行東京による旧経営陣に対する責任追及についてですが、現在、新銀行東京において、外部の弁護士に委託をして調査が進められており、年内を目途に調査結果を得た上で、法的対応について検討するとしております。
 



質問3

 また、新銀行東京がいつまでも旧経営陣を訴えないのであれば、大株主である東京都が率先して株主代表訴訟を起こしていくべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。


答弁3
 ▼知事
 株主代表訴訟についてでありますが、都としては、今現在、新銀行東京により進められている旧経営陣に対する責任追及、これは当然行われるべきものでありまして、その調査の結果とその後の対応を踏まえて判断してまいります。
 



質問4

 さらに、調査報告書の全文の公開について、東京都は、訴えを提起するための重要な資料であることや、個人情報が含まれることを理由に拒んできました。しかし、私は、旧経営陣への訴えが提起された段階において、個人情報をマスキングするなどして、調査報告書の全文公開に踏み切るべきだと考えますが、改めて見解を伺います。


答弁4
 ▼産業労働局長
 調査報告書の公開についてですが、新銀行東京調査委員会の調査報告書は、銀行の内部資料でありますけれども、仮に訴訟が提起された場合には、その行方を左右する重要な資料となります。こうした資料の公開については、新銀行東京の判断を尊重すべきものというふうに考えております。




質問5

 さて、六月下旬には、新銀行東京の株主総会が予定されています。株主総会では、新銀行東京の減資が提案されると思われますが、責任を問うことのないまま減資だけに応じることは都民の理解は得られないものと考えます。
 また、東京都との業務連携について、他の金融機関とも連携可能なメニューを新銀行だけに優先的に発注することは、形を変えた追加出資にほかなりません。むしろ、新銀行の売却などを見据えて、安易な事業展開は中止すべきです。さらに、経営情報の公開について、新銀行が自主的に行っていくよう具体的に提案していくべきだと考えています。
 私は、このような視点から、六月下旬の株主総会に向けて都は積極的に発言していくべきだと考えますが、大株主である東京都の取り組み方針について伺います。


答弁5
 ▼産業労働局長
 新銀行東京の株主総会に向けた都の取り組みについてですが、新銀行東京は、会社一丸となって再建に向けて取り組まなければならず、また、都民の理解を得るために、より一層積極的な情報開示に努めることが必要であるというふうに考えております。
 都は、これまでも株主総会において、中小企業支援の一層の充実、収益面に配慮した業務運営、積極的かつわかりやすい情報の開示など、大株主としての立場から申し入れを行ってきております。
 今回の株主総会に向けましては、提案された議案を都として十分検討した上で適切に対処をしてまいります。




質問6

 新銀行東京の売却や事業譲渡などに関して、石原知事は、追加出資後、速やかに第二ステージに移ると発言していました。その後、五月二十二日には、近畿産業信用組合が新銀行の支援を表明し、六月二日には津島社長が、外資も含めて資本提携や買収などの話が二、三件ある旨発言していました。
 東京都としても、他の金融機関との連携や営業譲渡などについて積極的に働きかけていくべきと考えますが、現時点での取り組み状況について見解を伺います。


答弁6
 ▼産業労働局長
 他の金融機関との連携等についてですが、新銀行東京の再建計画は緒についたばかりであり、まず早期に再建を実現することが何よりも重要というふうに考えております。
 なお、かねてから申し上げているとおり、再建計画のみでは経営の安定化に必ずしも十分とはいえないことから、都としても新銀行東京の経営基盤の強化に資するような他の金融機関との連携について、引き続き検討してまいります。




質問7

 また、新銀行東京の情報公開については、四百億円の追加出資が可決された途端、またもとの状態に戻ってしまうのであっては、経営監視の責務さえ果たせません。少なくとも、予算議会で提出されていた月ごとの融資状況や不良債権額などを初め、四半期ごとの経営情報は、議会からの請求を待たずして自主的に公開されるべきであると考えますが、情報公開についての見解を伺います。


答弁7
 ▼産業労働局長
 新銀行東京の情報公開についてですが、新銀行東京の経営情報等については、これまで中間、期末決算ごとの実績などの情報を議会にお示しをしてまいりました。
 今後は、新銀行東京から報告を受けました経営情報について、原則として四半期ごとに、銀行の経営に影響を及ぼさない範囲で可能な限り開示をしてまいります。




質問8

 新銀行での関係書類の隠ぺいや改ざん、破棄などについて、さきの予算委員会では、東京都は、新銀行において適切に対応すべき事項だと答弁していました。しかし、この間、既存融資先が、改めて新銀行から書類の提出を求められたなどという話も聞こえてきます。店舗を一カ所に集約するのをいいことに、不都合な書類を破棄などしたりすることは、あってはなりません。
 そこで、改めてこの間の新銀行東京における資料や関係書類、データなどの隠ぺい、改ざん、破棄などはないといっていいのか、見解を伺います。


答弁8
 ▼産業労働局長
 新銀行東京における資料管理等についてですが、新銀行東京における資料、関係書類の保存、管理につきましては、新銀行東京において適切に対応すべき事項であるというふうに考えております。
 



質問9

 新銀行の経営監視について、四月一日には都庁内に金融監理室が立ち上がり、今月には銀行内に経営監視委員会が設立される予定です。しかし、東京都へのヒアリングでは、何を監視するのか、これから検討するとの回答で、その実効性は心もとない限りです。
 一方で、中小企業の経営者からは、完済したのに貸してくれない、もう借りるのはやめた、借入先に新銀行の名前があると企業イメージが落ちるので、そもそも借りないといった声もあり、融資縮小の再建計画が妥当なものであったかどうかなど、議会としても注視していく必要があります。再建計画に移行してからまだ二カ月半ですが、融資実績や不良債権額など、再建計画どおりに推移しているのか、東京都における経営監視の状況について伺います。


答弁9
 ▼産業労働局長
 都における経営監視の状況についてですが、都は、四月一日に金融監理室を設置し、臨時株主総会で承認した増資の実施や、経営状況に関する報告内容の見直し、店舗の集約に伴う融資相談コーナーの開設準備など新銀行東京の経営再建が着実に達せられるよう、監視及び支援の両面にわたる取り組みを実施してまいりました。
 なお、新銀行東京の融資実績や不良債権額などの状況については、新年度がスタートして間もないことから、今後、原則として四半期ごとに、銀行の経営に影響を及ぼさない範囲でお示しをしてまいります。
■築地市場の移転問題

質問1
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 この間、築地市場の移転予定地である豊洲地区について、土壌からは環境基準の四万三千倍、地下水からは環境基準の一万倍のベンゼンなどが検出されています。私の選挙区、江東区の豊洲には、現に住んでいる人も多いので、豊洲は汚染されていると宣伝されるのは、正直いっていい感じがいたしません。しかし、あえて申し上げるならば、この豊洲地区は、もはや市場の移転先として不適切ではないかと多くの都民が感じているのではないでしょうか。
 こうした都民の不安や疑問が高まる中で、改めて築地市場の移転問題を検証すべきです。もちろん現在地再整備がとんざしてしまった経緯も承知していますが、アスベストへの対応なども含め、新技術や新工法はないのか、本当に種地が確保できないのか、あるいは、知事のいう外環沿いなどを含め他の移転候補地は全く考えられないのかなど、あらゆる事態を想定して多様な検討をしていくべきだと考えます。
 石原知事は、五月二十三日の定例記者会見において、予算のことも含めて、これから現在地再整備が一つの検討の主題になるかもしれないし、ならないかもしれないと含みのある発言をしていますが、築地市場の移転問題に関して、知事の見解を伺います。


答弁1
 ▼知事
 築地市場移転問題についてでありますが、豊洲新市場の予定地における約四千百カ所の詳細調査で、四万三千倍のベンゼンが一カ所からは検出されました。他も相当高い数値もございますけれども、そうした高濃度の汚染の範囲は、しかし、極めて限られておりまして、風評被害が懸念されますが、事実を正確に把握し、冷静に対処していくことが重要であると思います。
 現在の築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなく、衛生面での課題やアスベストの問題もありまして、一刻も早い対応が必要であります。
 築地市場の移転は、実に長い長い年月をかけてさまざまな案を検討し、関係者間で議論を尽くして決定したものであります。
 豊洲地域の土壌汚染については、専門家会議の提言が七月に予定されております。都としては、各分野の方々からの提言を幅広く受けとめ、既存の枠にとらわれぬ、さまざまな新技術や、既に幾つかの案も出ておりますが、今まで考えられなかった工法の可能性も探りながら、早期に具体的な計画を取りまとめてまいります。




質問2
 私たちは、万が一、豊洲での整備を進めていくにしても、築地市場の移転問題を検証する上で、土壌汚染対策費用や都の負担、事業スケジュールなどについても明らかにしていくべきだと考えます。
 五月十九日と三十一日に開催された専門家会議では、地下二メートルまでの土壌をすべて入れかえることなどの対策案が示されましたが、これを受けて、各マスコミでは、平成二十四年度に予定していた開業時期が三年ほどおくれる、あるいは六百七十億円とも見積もっていた土壌汚染対策費が一千億円ないしは一千三百億円に膨れ上がるなどと報じられています。既にこれらの数字が既成事実となっているようですが、東京都は、現時点において、事業スケジュールの見込みや土壌汚染対策費用の見積もりについて、どのように試算しているのか伺います。


答弁2
 ▼中央卸売市場長 
 事業スケジュールと土壌汚染対策費についてでございます。
  現在、専門家会議で土壌汚染対策について検討中であり、事業スケジュールや費用を算定できる段階にはございません。
  七月には、専門家会議から提言が出される予定であり、都といたしましては、この提言を踏まえ、新技術や工法などの可能性も探りながら、食の安全と都民や市場関係者の安心を最優先にした対策を検討し、早期に具体的な土壌汚染対策や必要となる経費及び工期を明らかにしてまいります。




質問3

 土壌汚染対策の費用負担について、私は、昨年六月二十一日の経済・港湾委員会において、新たに土壌汚染が見つかった場合、その処理はだれが行い、費用はだれが負担するのか、質問してきました。
 これに対して、東京都は、汚染原因者の負担だと明確に答弁した上で、操業に由来するものの対策費用は、基本的に汚染原因者である東京ガス株式会社が負担すべきだと述べていました。
 しかし、一方で、専門家会議が打ち出した汚染の有無にかかわらず土壌をすべて入れかえる対策では、費用のすべてを原因者に求めるのは困難であると思われます。私は、汚染者負担の原則から、東京ガスに対しても適正な負担を求めていくべきと考えますが、東京都はどのような考え方で、どのように東京ガスに負担を求めていくのか、見解を求めます。


答弁3

 ▼中央卸売市場長
 東京ガス株式会社の費用負担についてでございます。
 東京ガス株式会社は、平成十年から十四年にかけて土壌汚染調査を行い、平成十四年及び平成十七年に環境確保条例に基づき処理計画を提出し、土壌汚染対策を行った後、平成十九年にすべての完了届の提出を終え、条例に基づく手続を完了しております。
 その後、都の土壌汚染調査によって、新市場予定地には都市ガス製造に伴う汚染物質が存在することが確認をされております。
 都は、今回の調査結果を踏まえ、新市場予定地が生鮮食料品を扱う市場用地という観点から、安全をより一層確保するため、法令が求める以上に手厚い土壌汚染対策を検討してございます。
 今後、こうした経緯や操業に伴う汚染物質の存在などを総合的に勘案し、都としての対策が固まった段階で、費用負担について東京ガス株式会社と協議してまいります。




質問4

 約四十ヘクタールの敷地で地下二メートルまでの土壌をすべて入れかえるとなると、単純計算でも八十万立米の土壌を処理しなければなりません。しかし、今の社会状況において、汚染土壌をトラックに積んでどこかへ運んで処理することは、受け入れ先の理解を得られないだけでなく、積みかえや運搬の際の飛散などを心配する周辺住民からの理解をも得られにくいというのが現状であります。
 専門家会議での提言を受けて、具体的な処理方法については、今後、具体的な検討がなされるのだとは思いますが、周辺住民への影響なども含め、汚染土壌の運搬や処理についてどのように考えているのか、見解を求めます。


答弁4

 ▼中央卸売市場長
 汚染土壌の具体的な処理方法についてでございます。
 土壌汚染対策では、汚染土壌の飛散や漏えいを防止し、安全確保に万全を期すことが必要でございます。
 このため、土壌搬出の際には、散水の上、防水シートで密封するなどの措置を講じ、さらに、市街地を通過しての土壌運搬を極力減らすため、船による輸送を主体としてまいります。
 また、汚染土壌の処理に当たりましては、加熱処理や洗浄処理など汚染物質が確実に除去できる方法を採用いたしますとともに、現地で処理することも検討してまいります。
 加えて、処理後の土壌についても、搬出先などを確認し、適正かつ確実に処分されるよう努めてまいります。
■新型インフルエンザ対策

質問1
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 都は、新型インフルエンザ行動計画、対応マニュアルを策定しています。この中で、都民の三〇%、三百八十万人が感染すると予測しており、抗インフルエンザ薬タミフルを都備蓄分、国備蓄分、市場流通分とあわせて確保することを想定し、都は約百万人分を備蓄しています。三百八十万人が一度に感染するわけではないにしても、いざ大流行した場合には、多数の医療機関への供給が必要となります。このままの備蓄で、時期を逸することなく、必要とする医療機関に必要な量が行き渡るかどうかは疑問です。
 さらに、医療関係者からは、新型インフルエンザの治療を行うのに必要な分を考えると、より多くの備蓄が必要との指摘もあります。
 流行時にも診察を続けなければならない医療関係者にとっては、万全の備えがなされているのか懸念があって当然です。医療機能の維持を求めるのであれば、バックアップをしっかりしなければならないと考えます。抗インフルエンザ薬の備蓄増強を含めた必要な医療資器材の確保など、新型インフルエンザ対策、発生に備えた医療体制の強化に取り組む必要がありますが、見解を伺います。


答弁1
 ▼福祉保健局長
 新型インフルエンザ発生時の医療体制の確保についてであります。
 都は、新型インフルエンザ発生時に備え、感染症指定医療機関や協力医療機関の確保に努めるとともに、区市町村が整備する発熱センターなどへの支援、抗インフルエンザウイルス薬や個人防護具の備蓄等を進めております。
 また、現在、都内十のブロックで協議会を順次立ち上げ、保健所、区市町村、医療機関等が発生段階に応じて担う具体的な役割と連携策等を検討しております。
 今後とも、関係機関と連携しながら、地域医療体制の確保に努めていくとともに、重症化の防止効果が期待され、現在約百万人分を備蓄しております抗インフルエンザウイルス薬につきましては、備蓄量の大幅な増大を検討してまいります。




質問2
 また、都庁みずからが都民生活に必要な業務を遂行していくことが必要です。そのため、職員一人一人がみずからの身を守れるようしっかりとした準備をしていくことと、そして自分がどう動くべきなのか把握していなければなりません。各部署の優先業務特定やその業務に従事する職員の確保、職員や家族の安全確保などを検討することが不可欠です。
 これらの検討を踏まえ、新型インフルエンザ発生を前提とした都庁業務の継続計画、すなわちBCPを早急に策定することが必要と考えますが、見解を伺います。


答弁2
 ▼総務局長
  新型インフルエンザ発生時の業務継続についてでございますが、新型インフルエンザの発生に備え、事前から対策を講じていくことは重要でございます。
 このため、都はまず、実施すべき施策をまとめた行動計画や対応マニュアルを策定し、これに基づき訓練を積み重ね、対応力の強化を図ってまいりました。
 また、職員に対し、正しい知識を普及啓発するとともに、感染症対策に直接従事する職員の防護具の備蓄を進めております。
 今後、都民生活に必要な業務に当たる職員の確保や、安全対策などを含めた業務継続のための計画について検討してまいります。



質問3

 流行の初期段階は、指定医療機関と専門家を有する保健所が中心となって封じ込め作戦が実施されます。しかし、この時期を超えてしまうと、専門家による封じ込めから、多数発生した患者への各自治体や地域の関係者との連携した対応へと段階が移ることになり、自宅療養への支援など各自治体による対応が必要とされます。まさに地域力が試されることとなります。
 都内区市町村の状況を見ると、計画や詳細なマニュアル、区役所の窓口業務一本化や、感染者が出た場合の職員確保策に取り組み、具体的なシミュレーション訓練を実施して備えているところもありますが、まだまだ進んでいないところも多くあるようです。早急にすべての区市町村で万全の備えがなされるよう、しっかりと支援すべきですが、どのように取り組むのか伺います。


答弁3
 ▼総務局長
 区市町村への支援についてでございます。
 新型インフルエンザの発生時には、都と区市町村とが連携して感染の拡大防止に努めることが重要でございます。
 このため、都は、区市町村に対し、症状等により患者をトリアージする発熱センターの設置に必要な資器材の確保や、訓練の実施等を支援いたしますとともに、行動計画や対応マニュアルの策定について、専門的、技術的な助言を行ってまいりました。
 今後とも、区市町村の対応力の強化に向け必要な支援を行ってまいります。




質問4
 いつ新型インフルエンザが発生してもおかしくないといわれている中、基本的な情報が不足し、都民一人一人が備えをするにも、流行時に適切な行動をとるにも、どうしていいのかわからない人が大半であり、相変わらず情報不足であります。
 例えば、震災に関する情報は、受け手の関心が高く、テレビや新聞、その他の場面で多く発信されており、地震のときにとるべき行動、その後の避難場所や支援の流れがイメージできます、また、震災を想定した非常持ち出し袋や防災グッズは身近なところで販売されており、多くの家庭に常備されています。新型インフルエンザの発生、流行についても、各家庭での備えが進むことが必要です。
 さまざまな分野で、科学者などが専門知識や最新の研究を情報発信するマスコミセミナーなどの取り組みが始まっています。情報不足を解消するためには、都や区市町村がわかりやすい広報を行うとともに、都民に正しい情報が伝達されるように工夫して情報提供していく必要があると考えますが、見解を伺います。


答弁4
 ▼福祉保健局長
 都民への情報提供についてであります。
 新型インフルエンザ発生時に、都民一人一人が適切な対応がとれるようにするためには、疾病の知識、医療機関への受診方法、感染からの自衛策など、正しい知識を身につけておくことが重要であります。
 都は、これまでも保健所と協力をいたしまして、感染症の知識の普及に努めてきましたけれども、今年度から新たに、区市町村がみずから行う感染症予防に関する普及啓発事業を支援をしております。
 今後、新型インフルエンザに関する国内外の情報収集に努め、さまざまな報道機関の協力を得ながら、都や区市町村の広報等も活用し、都民に対して一層効果的な情報提供を行ってまいります。

■防災対策

質問1
 次に、防災対策について伺います。
 岩手・宮城内陸地震の行方不明者の捜索が今も続けられておりますが、同じ内陸直下型地震である中国四川大地震では、四千六百万人に上る被災者を生みました。中国政府の発表によると、死者は七万人にも達し、避難生活者は今なお八百万人を超えています。この大地震に対し、都は災害見舞金五万ドルの贈呈、現地での飲料水など生活用水確保のための物資提供を行ったほか、人的支援として、国際緊急援助隊の救助チームに東京消防庁職員六名、医療チームには都立病院の医師一名を派遣しました。犠牲となられた多くの方々に対して謹んでお悔やみ申し上げるとともに、現地で救援のため活動された皆様には、率直に敬意を表したいと思います。
 しかし、一方で、国際緊急救助隊の現地での活動では、想定外の活動を要請されたことによって、資機材や装備の過不足が生じるといったような、現地入りを急いだ余りの調整不足など、課題も残されたといわれています。
 そこで、まず、今回の中国四川省の地震に伴う国際緊急援助隊の活動において、どのような見識を得られたのか、消防総監の見解を伺います。


答弁1
 ▼消防総監
 国際緊急援助隊活動で得られた見識についてであります。
 今回の中国四川省の地震災害に対する活動内容は、現在取りまとめを行っているところでございますが、東京消防庁から派遣した六名の隊員によりますと、倒壊建物の下敷きとなった人々の救出活動に当たり、日本の救助技術を習得した地元中国の救助隊員と連携したことが大きな力となったこと、また、現場は、建物の損壊が著しく、活動空間の確保が極めて困難なことから、現地の重機を使用し活動できたことが効果的であったとの報告を受けております。
 このことから、平素から国内外の防災関係機関等と連携を図るとともに、重機による機動的な救出活動を展開することが重要であると改めて認識したところであります。




質問2
 また、このような経験は、逆に、東京が被災した場合に国内外からの援助を受け入れる際の貴重な参考事例になると考えます。今回の経験をきちんと分析し、総括した上で、今後の防災対策に生かしていくべきと考えますが、知事の所見を伺います。


答弁2
 ▼知事
 震災時における海外支援の受け入れについてでありますけれども、首都東京で大地震により大きな被害が発生した場合、被災者の救出救助を迅速に行うためには、海外からの積極的な支援を受け入れることは当然必要であります。
 日本は、ミャンマーや中国と違って閉鎖社会ではございませんから、都は既に二年前から、総合防災訓練にソウル特別市や台北市の救援部隊を受け入れたり、東京消防庁のハイパーレスキュー隊などと連携した救出訓練を実施しております。
 また、在日米軍の機動力も活用した患者搬送や緊急物資の輸送などの訓練も行っております。
 今後とも、海外からの支援部隊を円滑に受け入れ、積極的に受け入れ、活用する訓練を行い、都の災害対応力を一層強化していきたいと思っております。




質問3

 四川大地震を受け、国は公立小中学校の校舎の耐震化を加速するため、地方公共団体への補助率の引き上げを決めましたが、公立小中学校だけでなく、私立学校の耐震化も進める必要があります。特に都内の私立学校には多くの児童生徒が通っており、高校では半数以上が、幼稚園に至っては九割が私立学校に通っています。
 都では、平成十五年度から私立学校の実施する耐震化工事に対して補助を行ってきていますが、私立学校全体の耐震化率は、補助を開始した平成十五年度当初の五三%に対して、十九年度当初では六六%であり、この四年間で一三ポイント、一年当たり三ポイントの伸びにすぎません。
 都は、「十年後の東京」への実行プログラムで、三年後の小中学校の耐震化率を八五%としていますが、私たちは、この目標値は小中学校だけに限定するのではなく、高校、幼稚園なども含めたすべての私立学校にも適用されるべきものと考えます。私立学校の耐震化率六六%に毎年三%ずつ上乗せしても、三年後に八五%の達成は困難です。私立学校の耐震化を促進するためには、現行の補助制度を充実するとともに、各学校が制度を積極的に活用するよう、さまざまな方策を講じるべきと考えますが、見解を伺います。


答弁3
 ▼生活文化スポーツ局長
 私立学校の耐震化についてのご質問にお答えいたします。
 都では、平成十五年度から耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を開始し、十九年度には個人立等の幼稚園や専修、各種学校を補助対象に加えました。さらに、二十年度には、私立学校が行う耐震診断、耐震補強工事に対する補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象として、木造の校舎等や耐震のために必要な改築工事を加え、補助制度の充実を図ったところでございます。
 今後とも、こうした補助制度について説明会を開催するなど、積極的に周知するとともに、国の緊急対策も踏まえ、耐震化が加速されるよう必要な支援策を検討し、具体化してまいります。




質問4

 四川大地震では、地震による土砂崩れが川をせきとめてできた土砂ダムの決壊による水没被害のおそれがあると、連日報道されています。また、平成十六年の新潟県中越地震では、地震だけでなく、地震発生前の豪雨や発生後の豪雪も重なった、いわゆる複合災害が発生いたしました。
 現在、東京都地域防災計画では、震災と風水害は完全に別物として扱われておりますが、東京では、例えば私の地元である江東区のようなゼロメートル地帯では、台風による高潮と地震とが前後して重なるおそれがありますし、都心部では、都市型水害と地震が重なる可能性もないとはいえません。都においても、防災対策では複合災害の発生も想定すべきと考えますが、見解を伺います。


答弁4
 ▼総務局長
複合災害に対する防災対策についてでございます。
 大地震と重なって台風による高潮などが発生する可能性がないとはいえないために、対策は必要でございます。
外郭堤防や防潮堤の耐震化はとりわけ重要でございまして、現在整備を進めておりますが、万が一、複合災害が発生した場合には、災害対策本部等において、地 域防災計画に基づき必要な応急対策を行ってまいります。
 今後とも、震災や風水害などさまざまな災害への対策を推進し、災害から都民の生命、財産を守ってまいります。

■オリンピック招致

質問1
 次に、オリンピック招致について伺います。
 東京は、七都市から立候補都市の四都市に選ばれ、ことし八月の中国北京オリンピックが、二〇一六年オリンピック選考に向けての国際招致最大のアピールの場となります。
 ところで北京大会は、人権問題の影響でシドニーに敗れてから二度目の挑戦の成果であり、大会理念は、新たな北京ですばらしいオリンピックを掲げました。IOCからは、大会開催の中国の開放を望むメッセージとして、その後の国内変化が期待されていましたが、今回もチベットをめぐる混乱が世界各地で続けて起こりました。さらに、日本各地で冷凍ギョーザ事件が発生するなど、食に対する不安もぬぐえません。
 オリンピックととともに、都の人権や消費者行政を総括する立場にある石原知事も、軍事政権の独裁国家だからああいう爆発が起こったと発言をしたり、冷凍ギョーザ事件にも懸念を表明してきました。
 一方、北京大会出席に関しては、都合がつけばと述べていました知事が、友人、隣国だからと出席の意向を示しました。そこで、北京大会開会式への出席を踏まえて、平和とスポーツの祭典、北京オリンピックについての見解を伺います。


答弁1
 ▼知事
 北京オリンピックについてでありますが、八月の北京オリンピックは、懸念材料は多々あるものの、前の東京大会から四十四年ぶり、ソウルから二十年ぶりにアジアで開かれ、世界じゅうから注目をされております。東京の友好都市でもある北京が、平和な社会を目指すオリンピック精神を、みずからの国家の中で具現化して成功させることは、中国の人民の将来にとっても大変結構なことと思います。私も、北京に赴くつもりでおります。




質問2
 立候補都市に選ばれたこの時期に、東京オリンピック計画の検証をしっかりと行うべきです。
 まず、来年二月の立候補ファイルの提出期限を控え、新市場予定地での高濃度の土壌汚染の発覚は、国際放送センターなどの配置に影響を与え、環境五輪とした計画の再検討につながっていくのではないでしょうか。あそこにメディアセンターをつくる問題も、基本的に考え直さなければと知事発言もありました。そこで、国際放送センターなどの配置の変更も視野に入れて、計画を検討していくべきではないでしょうか。知事の見解を伺います。

 
答弁2
 ▼東京オリンピック招致本部長
 国際放送等のメディアセンターについてでございます。
 メディアセンターは、オリンピックスタジアムなどの主要な競技場から可能な限り近い場所に配置することをIOCから求められております。
 こうした点を踏まえ、メディアセンターの配置計画の策定に当たりましては、築地市場の移転計画の動向も視野に入れつつ、世界一コンパクトなオリンピックという東京大会の会場コンセプトに基づき適切に対応してまいります。




質問3

 また、都は、国立競技場とは別に、千二百十四億円をかけて総座席十万席で、日本最大の都立メーンスタジアムを建設する予定です。そこで、我々民主党は、昨年、第二回定例会で、都は国に国立競技場として整備する交渉を続けるよう求めました。都が日本最大の競技場を建設し、オリンピック後も運営維持をしていくことに懸念を抱いているからであります。
 最近のオリンピックのメーンスタジアムの後利用でも、アテネが七万席でその運営は厳しく、シドニーも維持費削減のため十一万席のうち三万席を撤去し、財政難に対応しています。国内招致を検討した札幌市も、施設維持管理費、年間百六億円などを市民に提示し、招致を断念した経緯があります。維持管理費を含めた後利用計画が公表されていない都立スタジアムの運営も、相当厳しい状況に陥るのではないでしょうか。
 一方、知事がオリンピックの規格外と述べていた神宮外苑の国立霞ヶ丘競技場のあり方検討が始まったと聞いています。一九六四年東京オリンピックのレガシー、メーンスタジアムが生まれ変われば、国民の期待は高まっていくと考えられます。国家的プロジェクトであるオリンピックの実現には、国の全面的な支援が必要であり、国立スタジアムでオリンピックが開催されることが最善と考えますが、知事の見解を伺います。


答弁3
 ▼東京オリンピック招致本部長
 オリンピックスタジアムについてでございます。
 オリンピックスタジアムは開会式、閉会式が行われ、そのためにこれまでの開催都市や立候補都市の多くが十万人規模あるいはそれに近いスタジアムを準備しております。また、IOCとしても、競技施設の中で最もシンボリックな施設としてそのあり方を重要視しております。
 二〇一六年のオリンピック招致におきましても、神宮の霞ヶ丘競技場の活用を検討してまいりましたが、IOCの求めるメーンスタジアム及び補助競技場を物理的に入れることは困難であることが判明しました。
 そこで、オリンピックが国家プロジェクトであることを踏まえ、都は、一貫して、神宮よりも立地条件のよい晴海に国立で整備するよう国に要望してまいりました。しかし、国は、東京に二つの大規模な第一種相当の競技場は建設しないとの立場でございます。そのため、都は、開催都市としての責任を果たすとともに、都民のスポーツ、文化の拠点を新たに形成する観点から、晴海に都立で整備することとしたものでございます。
 国に対しては、国家プロジェクトの観点から、今後ともスタジアムの整備費等につきまして、最大限の負担を強く求めてまいります。
 大会後のオリンピックスタジアムのあり方につきましては、都民のスポーツ文化施設として、またオリンピックのレガシーとして残すにふさわしい適切な規模や後利用の方法を現在検討しております。
 なお、文部科学省は、神宮の霞ヶ丘競技場のあり方について、専門家による調査を開始いたしましたが、これは施設の老朽化や、二〇一六年オリンピックのサッカー競技場としての利用を踏まえた調査であると聞いております。




質問4

 オリンピックの財政保証を国に求めるに当たって、知事は与党に、国に一銭も迷惑はかけない、記者会見では、国から一文ももらうつもりはないけれども、最低限の協力だけはしてもらいたいと述べています。
 そもそも知事の役割は、IOCの最終選考に国の財政保証が必要であることを説得し、理解を促すことですが、実際は、仕方なく要請しているような印象を与えています。また、低い世論の支持には、君らのせいだよ、メディアが足を引っ張るからこうなると、他者批判を展開する姿にも食傷ぎみです。報道のせいなのか、理念が弱く都民の心に届かないのか、東京の招致機運は一向に高まりません。
 招致委員会会長である知事は、他都市から一五%以上離された支持の現実を踏まえて、真摯な態度で今後の招致に取り組むことが求められます、知事の見解を伺います。


答弁4
 ▼知事
 オリンピック招致機運についてでありますが、IOCの世論調査がどのような方法で行われたか、つまびらかでありませんけれども、都民の支持率は他都市に比べると確かに低くなっております。しかし、これは昨年、招致委員会が実施した調査結果とほぼ同じでありまして、予想されたことではあります。
 ともかく、東京の人たちはぜいたくになれておりますから、何があっても当たり前という感覚になっております。しかし、開催が決まれば、こぞって応援してくれるところがありまして、実際、顕著な例として、今年度、昨年度の東京マラソンでも非常に多くの応募がありました。しかも、その応募に漏れた方々が、今度はボランティアを名乗られて、非常に盛大な活動、応援をしてくださいました。
 今回、一位で立候補都市に選ばれたことで、東京開催への期待感は国じゅうに高まっております。北京オリンピックでの日本人の選手の活躍や、東京マラソンなどの大きなスポーツ大会を通じて、必ず期待値は高まっていくものと信じておりますし、また、そのための努力を、民主党の方々も含めて、これから展開していきたいと思っております。
 ちなみに、先般、国会のレベルでは超党派、自民党、公明党、民主党その他の政党が加わってくれまして、共産党はいませんでしたけれども、超党派の推進連盟を形成してくれました。民主党からは、羽田君、渡部君という、両大御所が出席してくれまして、非常に温かい声援を送ってくれました。
 都議会の民主党というのは、私、よくわからぬですけれども、先般の知事選で何か、あれ、民主党の候補だったかどうかわかりませんが、何とかという知事が、オリンピックについて聞かれて、途中で立ちどまって考えるといっていましたけれども、選挙の途中で立ちどまって、メディアに聞かれたら、あの方はオリンピック反対ですよね。あなた方、それを本気で支持したんですか。ということは、オリンピック反対ですか。これ、都民にかわって皆さんにもお聞きしたい。
 また、来年十二月二日のコペンハーゲンで開催都市をかち取り、日本人全体に大きな夢をつくる努力をしていきたいと思います。
 ぜひ都議会の民主党も態度を改めて、渾身の協力をしていただきたい。
■障害者施策

質問1
 次に、障害者施策について伺います。
 自立支援法施行から二年がたちましたが、障害者の所得が確保されないまま、負担だけが先行して続いてきました。その結果、障害者はふえない収入からの出費、事業者は低い報酬に疲弊しています。法制定時には、賛成反対を問わず、だれもが口にした障害者の所得保障を実現させないままでの現行制度存続は許されません。施行三年目の抜本的見直しでは、所得とサービスの報酬単価の引き上げを実現しなければなりません。使命感だけでは仕事は続けられないこと、我慢にも限界があることは、昨今の救急医療現場からの医師の立ち去り、介護現場での人手不足で思い知っているはずです。
 介護保険では、人材流出が問題となっていますが、その訪問などの平均的サービスの時間単価は約三千五百七十八円、自立支援法では、平均約二千四百五十九円です。これは事務費を含めた単価であり、移動を含めると時間当たりの報酬は、さらに低くなります。訪問介護における自立支援法の報酬と介護保険の報酬との格差を埋めるためには、東京都全体で約十億円が必要となります。
 民主党は、法施行以来、都に対し、サービスの利用動向や障害者の生活実態を注視すること、過重な負担を取り除く都独自の措置を求めてまいりました。法施行後二年間の都内障害者福祉の実態から、所得保障と報酬単価の見直しが必要と考えますが、見解を求めます。


答弁1
 ▼福祉保健局長
 障害者の所得保障と事業者の報酬単価の見直しについてであります。
 障害者自立支援法では、法を円滑に運用していくために、法施行後三年目であります平成二十一年度を目途に施行状況を勘案、検討の上、必要な措置を講じることとされております。
 都は、法の見直しに向け、障害者の所得保障について早急に検討を加え、その対策を講じ、また事業者の報酬につきましては、利用者負担への影響等も考慮した上で、大都市の実情を適切に反映した設定とするよう既に国に対して提案要求をしてございます。




質問2
 次に、障害児への支援について伺います。
 周産期医療が高度化し、重度心身障害児がふえています。救われる命がふえたのに、その命を育てる支援は、まだまだ不十分であります。
 在宅支援がないために小児病床から退院できない状態があり、一方では、重度心身障害児施設には六百人の待機者がおり、拡充が望まれているにもかかわらず、既存の施設においてすら医師、看護師の確保に困難を生じ、安定運営が危ぶまれています。
 また、学齢期の障害児の放課後活動などを行う児童デイサービスについては、都独自の事業が行われ、地域に根づいてきましたが、自立支援法の事業体系においては同等の事業がないとの指摘もされております。
 在宅支援の充実、重度心身障害児施設への支援充実、児童デイサービス事業の創設は、法見直しにおいて必須と考えますが、都の見解を伺います。


答弁2
 ▼福祉保健局長 
 障害児への在宅支援の充実などの法の見直しについてでございます。
 都は、これまでも独自に地域の福祉施設を活用した通所施設を整備し、重症心身障害児者とその家族の方を積極的に支援するなど、さまざまな取り組みを行っております。
 自立支援法の見直しに関しましては、都は、重症心身障害児者が安定した地域生活を送ることができるよう、通所施設整備の促進や在宅サービス充実のための環境整備を国に求めております。
 さらに、学齢期の障害児の放課後への対応として、新たな類型の児童デイサービスを創設すべきことについても国に対して提案要求をしてございます。
 障害者施策について必要な見直しを引き続き国に働きかけてまいります。




質問3

 障害者施策の最後として、先日、神奈川県の福祉施設で死亡者を出した火災に関連して伺います。
 最近、障害者の在宅生活を推進しており、アパートをリフォームしたようなグループホームもふえております。平成十八年に長崎県で発生した認知症高齢者グループホームの火災を受けて、国において消防法令が改正され、平成二十一年からグループホームにも火災警報器、火災報知設備、スプリンクラーの設置が義務づけられることとなりました。しかし、整備や改修の計画を立てようにも詳細が明らかとなっておらず、速やかに示されるよう求めるものであります。
 一方、在宅生活を送る障害者の住宅は、スプリンクラーなどの設置は義務づけられていませんが、災害時のパニック行動、移動困難、コミュニケーションの困難など、一般的な避難よりも困難がつきまといます。実効性のある対策が必要と考えますが、都の見解を伺います。


答弁3
 ▼消防総監
 在宅生活を送る障害者の方々の住宅における防火安全対策についてでありますが、これらの方々に対しては、春、秋の火災予防運動などの機会をとらえて、消防職団員が防火診断を実施し、喫煙管理や火気使用器具等の安全な取り扱いを初め、住宅用火災警報器の設置促進及び防炎製品の普及などについて、障害等の状況に応じた安全対策の指導を行っております。
 さらに、関係局及び区市町村と連携し、火災を感知して自動的に通報する火災安全システムの設置促進や、災害時に地域全体で障害者など災害時要援護者を支え合う消防のふれあいネットワークづくりを推進しております。
 今後とも、障害者など災害時要援護者の方々の住宅における防火安全対策について推進してまいります。
■島しょ振興

質問1
 次に、島しょ振興について伺います。
 伊豆諸島の特性を生かした振興を図り、自立的な発展を目指す東京都離島振興計画は、十年計画の半ばを過ぎました。この間にも、離島振興に大きく関係する海洋と人類の共生をうたう海洋基本法や、観光振興や環境保全を推進するエコツーリズム推進法が制定され、離島の生活基盤の整備促進や伊豆諸島のエコツアーを後押しする動きが始まっています。地上デジタル放送の推進による情報格差への対応なども進行中です。
 そこで、今後はこれらの新たな視点を踏まえていくとともに、高齢化の進行や観光人口の減少、廃棄物処理の確立、専門医療の確保といった課題の現状を検証し、計画目標をどのように達成していくのか、都の見解を伺います。


答弁1
 ▼総務局長
 島しょ振興についてでございます。
 東京都離島振興計画は、価値ある地域差の発揮を基本理念といたしまして、伊豆諸島における振興の方向性を示したものでございます。
 都は、これまでこの計画に基づき、観光、交通、情報通信及び防災の四分野を重点施策といたしまして、島民生活の安定や福祉の向上など、島しょ地域の生活水準向上に取り組み、交通体系、道路、水道、医療体制などの基本的な生活環境を大きく改善してまいりました。
 しかし、依然として観光業を中心とした産業の活性化、道路、港湾などの基盤整備、福祉、医療の充実といった課題が残されておりますほか、地上デジタル放送への移行などの新たな課題も発生しております。
 島しょ地域の振興発展のためには、何よりも島の町村が主体となって取り組み、自立した島づくりを進めることが重要と考えております。
 こうしたことから、都としては、今後とも、島しょ地域の重要性にかんがみ、本計画に基づき町村と連携を図りながら、島しょ地域の自主的、自立的発展を支援してまいります。




質問2
 離島振興には、島民の定住人口と国内外から訪れる一定の観光人口の増加が必要不可欠ですが、他の離島地域と同様に、伊豆諸島でもともに減少傾向にあり、この二つの人口や物流を結ぶ生命線は航路や航空路といった交通アクセスであり、その維持に向けてさまざまな取り組みが行われています。
 水深が深く波の荒い伊豆諸島の港湾整備は、天候に大きく影響を受ける高速船などの就航率の改善、安定のために重要であり、小離島における一港二突堤方式などの整備や、他の島での一島二港方式の改良や防波堤の整備を着実に推進し、静穏域を確保し、就航率を向上させていく必要があります。課題に対する取り組みとその効果について、都の見解を伺います。


答弁2
 ▼港湾局長
 伊豆諸島の離島航路に関します二点についてお答え申し上げます。
 まず、離島航路の就航率向上についてでありますが、気象、海象条件の厳しい離島では、強風や波浪の影響を考慮した港湾の整備が重要でございます。
 このため、都は、船舶が風向きに応じて着岸できるよう、大離島は一島二港方式、小離島は一港二突堤方式によりまして、港湾の整備を計画的に進めることで、大型定期船や高速ジェット船の就航率の向上を図ってまいりました。
 こうした取り組みによりまして、例えば、御蔵島では百五十メートルの岸壁が完成いたしまして、大型定期船が平成十六年より毎日運航されることとなりました。また、式根島の高速ジェット船の就航率は、最近五カ年で六六%から八七%へ格段に改善いたしました。
 今後とも、さらなる就航率向上に向けまして、港湾の整備や改良を着実に進めてまいります。




質問3

 また、客船の小型化、高速船の導入により、盆、年末年始の多客期に、島民の親族や観光客が船の座席を確保するため、混雑が引き起こされます。そこで、定期航路事業者と解決策について協議し、交流、観光需要に対応していくことを求めておきます。
 そして、原油価格の高騰が続いております。ガソリンの出荷価格は今月、石油元売各社が前月比一リットル当たり十二円から十四・五円引き上げたのを受け、全国のガソリンスタンドが店頭価格に転嫁する動きを始めました。
 船の燃料である軽油の価格も高値圏となり、C重油も高騰が続いております。景気減速感が強まる中で定期航路事業者や、航路が生命線である離島地域にも大きな影響を及ぼしております。
 国でも、経営状況が悪化している離島航路維持のための検討が行われ、航路の活性化や経営改善に向けた議論が続いています。都においても、離島航路に関して実情に合わせた支援策を充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。


答弁3
 ▼港湾局長
 離島航路への支援策の充実についてでありますが、島民生活と島の産業を支える交通基盤である離島航路を維持していくためには、運航事業者の経営の安定が不可欠であると認識してございます。
 現在、運航事業者に欠損額が生じた場合、離島航路整備法に基づきまして国が補助する制度がございます。しかし、その補助算定方式が、夜間に長距離を運航する伊豆諸島航路の実態を反映しない不十分なものであるため、都は、国の補助に加えて独自の支援を行ってまいりました。
 さらに、今般の未曾有の原油価格の高騰は、離島航路の経営環境を一段と厳しいものにしてございます。都は、引き続き国に対しまして、制度の改善と財源確保を求めてまいります。




質問4

 国内に広く普及しているテレビは、着々とデジタルに変換されつつあります。地上デジタル推進全国会議の目標でも、北京五輪において全国の半数に当たる約二千四百万世帯がデジタル化され、平成二十三年夏のアナログ放送停止直前には、全国五千万世帯がデジタル放送に切りかわる計画を設定しております。
 一方、離島地域には、放送受信が困難な地形難視聴地域などを抱えております。この新たな情報格差を解消していくために、都においても、これらの集落への地上デジタル放送の普及に必要な支援を行い、格差のない情報インフラの構築を行っていくべきと考えますが、都の見解を伺います。


答弁4
 ▼総務局長
 地上デジタル放送の普及についてでございますが、今やテレビは暮らしの一部ともなっており、いわゆる地デジへの完全移行に当たりましては、都民がテレビを見られないというようなことが生じないよう、受信環境に応じたきめ細かな対応を行っていく必要があると認識をしております。
 都といたしましては、地デジへの完全移行について、各区市町村の対応状況の把握に努めますとともに、地デジ移行は基本的には国の政策であることから、島しょなどの受信困難地域の施設改修などに対する支援策の拡充等を国に要望しているところでございます。
 今後とも、島しょ地域を含めて地デジ移行が円滑に進められますよう、国の施策の動向等を見きわめながら適切に対応してまいります。
■温暖化対策

質問1
 次に、温暖化対策について伺います。
 洞爺湖サミットまで、あと二十日となりました。国際的にも、国内的にも、温暖化対策への関心が高まる中、福田首相も六月九日に「低炭素社会・日本」をめざしてと題した、いわゆる福田ビジョンを発表しました。
 しかし、東京都の温暖化対策が二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減という目標を掲げているのに対して、福田ビジョンは、中期目標の発表を来年に先送りするなど、中身の乏しい、あいまいなものになっております。
 一方、今回、石原知事が提案した環境確保条例の改正案は、CO2の削減義務化を初め、建築物環境計画書制度の強化やチェーン店などの届け出義務化など、都議会民主党が求めてきた施策が盛り込まれており、一定の評価はしたいと思います。今後は、それぞれの事業者に対して公平公正な削減基準を設定していくとともに、省エネ税制の創設や環境金融などによる支援の充実が求められます。
 また、私は、国の温暖化対策がなかなか具体化されない中で、東京都の制度が日本全国に波及するよう、国や他の自治体に対しても積極的に働きかけていくべきだと考えております。
 そこで、まず、東京都の制度の全国展開に向けて、石原知事の見解を伺います。


答弁1

 ▼知事
 温暖化対策の全国展開についてでありますが、都はこれまでも、ディーゼル車の排出ガス対策を、首都圏を構成する他県とも協力して、広域行政として先駆的な環境政策を打ち出し、国をリードしてきたつもりでございます。
 今回提出しました環境確保条例改正案では、我が国初の大規模事業所へのCO2の排出量削減義務化と排出量取引制度の導入とともに、環境に配慮した建築物が評価される市場の形成を図るため、建築物環境計画書制度の強化など、強力な温暖化対策を盛り込んでおります。
 こうした先進的な都の温暖化対策が日本各地で実施されれば、多大なCO2削減効果が期待できると思います。
 既に、本年四月に開催されました八都県市首脳会議においては、地球温暖化防止に向けて、効果的な対策に今後共同して取り組んでいこうということを決定いたしました。既に、埼玉県においても排出量取引制度を導入し、都と連携していくことを検討していると聞いております。
 都は、動きの鈍い国を待つことなく、八都県市首脳会議におけるこうした取り組みを初めとして、都の施策を全国に向けて発信していくつもりでございます。




質問2
 条例案では、CO2削減義務化の補完措置として排出量取引が盛り込まれています。排出量取引で先行するEUでは、いわゆる先物取引が可能なため、マネーゲームだとの批判もありますが、東京都の制度は実需に基づく堅実な制度となっており、福田ビジョンで、ことしの秋に試行的に実施するとしている国内排出量取引も、東京都と同様に実需による制度となりそうであります。
 EUと東京都との制度の中身が違う中で、昨年十月、各国政府や自治体によって国際的な排出量取引市場の創設に向けた国際炭素取引協定が発足し、石原知事も参加の意向を表明しているところです。
 私は、日本の制度が具体的に決まらない中で、日本を除いた各国政府や自治体によって国際的な排出量取引のあり方の検討が進むことは好ましいとは考えておらず、東京都がこれらに主体的に携わっていくことは大いに意義があるものだと考えております。
 そこで、排出量取引市場のあり方について、東京都の基本認識をお伺いいたします。


答弁2
 ▼環境局長
 排出量取引のあり方についてでございますが、削減義務と排出量取引制度については、さまざまなバリエーションがあり、現在世界の各地域でその実情に合わせた制度設計が行われております。
 排出量取引制度は、本来、取引自体を目的とするものではなく、温暖化ガスの総量削減を効果的に進めるための手段として意義を有するものでございます。
 都におきましては、この観点から、みずからの事業所での削減を補完するものとして排出量取引を位置づけており、対象事業所で義務量を超えて削減した量、中小規模事業所で削減が検証された量など実際に削減された量のみを取引可能としております。
 また、都は、今後、国際炭素行動パートナーシップにも参加し、こうした都の制度をアピールしてまいります。




質問3

 自動車から排出されるCO2の削減対策について、ことし三月に発表された環境審議会答申では、七つの柱の一つとして盛り込まれていましたが、今回の条例案では、この対策だけが見送られる結果となっております。答申では、自動車管理計画書制度の拡充やエコドライブの推進などを初め、私が一昨年九月の一般質問で取り上げていた、販売事業者による低公害車の販売促進策なども盛り込まれていたため、残念でなりません。
 温暖化対策は、都民や企業がそれぞれの責任を踏まえて一丸となって取り組んでいかなければならない問題であり、私は、自動車から排出されるCO2削減対策についても、早期に条例化を図るなど、積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。


答弁3
 ▼環境局長
 自動車部門のCO2削減対策についてでございますが、自動車から排出されるCO2は都内全体の約二割を占めており、他部門と同様、その削減が重要でございます。
 このため、これまでの取り組みに加え、今年度から新たに人と物の流れに着目した環境交通モデル事業を開始するとともに、エコドライブの推進について、その核となる東京都エコドライブインストラクターの養成を開始するなど、CO2削減対策に取り組んでおります。
 今後、さらに取り組みを進めるに当たりましては、都県域を越えて移動する自動車の特性を踏まえた広域的な視点からの検討が重要でございます。
 また、さきの環境審議会におきましても、自動車環境管理計画書制度の拡充に当たっては、物流における事業者の自動車利用状況について十分なヒアリングが必要などの意見もあり、よりきめ細かな実態把握が求められております。
 こうした観点を踏まえ、CO2削減対策の強化を目指し、条例化を含めさまざまな施策に取り組んでまいります。




質問4

 温暖化対策を進めていく上で、家庭部門での取り組みは欠かせません。中でも、私は、フードマイレージを普及させることで、世界的にも不足している水や食糧について都民が考え、環境行動の契機としていければと考えております。
 例えば、水は、東京都が安全でおいしい水道水を宣伝する一方で、ミネラルウオーターの消費量もふえ続けています。その水がフランスやアメリカなどから輸入されれば、それだけ多くのCO2を排出することになるわけであります。ロンドン市では、水道水と比べて生産するのに約三百倍のCO2を発生し、価格も約五百倍だとして、ペットボトル入りミネラルウオーターの官公庁での使用禁止を打ち出し、ニューヨーク市を初めとするアメリカ各都市でも、こうした取り組みが始まっております。
 私は、フードマイレージの観点から、飲料水のあり方も含め都民の環境行動を促し、CO2の削減に取り組んでいくべきだと考えますが、見解を伺います。


答弁4
 ▼環境局長
 家庭部門における取り組みについてでございますが、CO2の削減を進めていくためには、輸送等にかかる燃料の使用を抑制するという視点に立って、食材についても、しゅんで地場の素材を使用するよう心がけていくことが重要であり、飲用水についてもまた同様と認識しております。
 都は、今後とも、節電や節水を初め、フードマイレージの観点からの地産地消の推進など、都民に対してCO2の排出を抑制するための生活スタイルを積極的に呼びかけてまいります。
■地方分権

質問1
 次に、地方分権について伺います。
 国民がゆとりと豊かさを実感し、安心して暮らすことのできる分権社会の実現に向けて、地方分権改革推進委員会が第一次勧告を発表しました。都道府県から市町村へ三百五十九事業を権限移譲するなど、市町村の自治権の拡充を図る内容となっています。
 国からの分権に備え、まずは生活者、都民の視点を重視し、東京都の実態を踏まえた役割分担の適正化と事務事業の移譲を推進していくことが必要です。都の見解を伺います。


答弁1

 ▼総務局長
 区市町村への事務権限の移譲等についてでございます。
 区市町村の役割は、地域の実情等に応じて住民に身近な行政サービスを総合的に提供していくことでございます。
 一方、都は、広域的な自治体としての役割と、特別区の区域における大都市経営の主体としての役割を果たしていくことが必要でございます。
 こうした視点のもと、都は、これまで区市町村に対し、財政措置や人的支援も行いながら、着実に事務権限の移譲を進めてまいりました。
 さらに、現在、特別区への移譲につきましては、都区のあり方検討委員会において、再編を含む特別区の区域のあり方や税財政制度も課題としつつ、鋭意検討しているところでございます。
 今後も、区市町村の自主性、自立性の向上を支援し、地域の実情に即した行政運営ができますよう、役割分担の明確化と事務権限の移譲を進めてまいります。




質問2
 次に、国の出先機関の見直しや地方の税財源のあり方など、次期勧告に向けた地方の対応も重要です。
 地方分権改革推進法の早期成立は、政治主導によって実現しました。第二次分権はいまだ端緒にあり、第一次勧告も省庁の巻き返しで後退を余儀なくされております。
 第一次勧告の評価や次期勧告に向けた取り組みについて、知事の見解を伺います。


答弁2
 ▼知事
 地方分権改革の取り組みについてでありますが、地方分権改革推進委員会は、一年以上の調査、審議を重ね、第一次勧告を行いました。今回、国と地方の役割分担の基本的な考え方が示され、権限移譲の方向性が勧告されたのは意義あることだと思います。
 国の出先機関の見直しなど、国と地方の二重行政の解消や、国と地方の役割分担に見合った税財政制度の改革など重要な課題が、第二次、第三次の勧告に予定されております。
 ちなみに、都は、歳費の削減とともに、過剰な人員の整理もしてきました。国は、同じことを一向にやっていないと私は思います。
 第二次、第三次の勧告に予定されている委員会の真価が問われるのは、これからだと思います。
 第一次勧告に至るまでの間、霞が関の抵抗は非常に強く、今後議論が本格化する中で、各省との攻防はさらに激しさを増してくると思います。今こそ政治が確固たる信念を持って、この国のありようを示すという本来の役割をしっかりと果たさなければならないと思います。
 都はこれまでも、未来を見据え、みずからの手で先進的な取り組みを進めてまいりました。今日の混迷する政治状況を前に、こうした力を備えた都から、地方自治のあるべき姿や抜本的な税財政改革について主張を展開し、真の分権改革の実現を国に強く働きかけていきたいと思っております。




質問3

 国は、地方との財源を五対五とすることや、消費税率の引き上げの検討など、税財政改革に関する議論を開始しました。
 地方分権の推進と国への依存体質を高める譲与税強化の政策は相入れるものではなく、地方自治体の真の自立を担保する地方税財政改革の原則を確認することが先決と考えます。同時に、暫定措置法の固定化を阻止し、早期廃止を求めていかなければなりません。
 個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現に向けた地方税財政改革の今後の方向性について、石原知事の見解を伺います。
 以上で都議会民主党を代表しての質問を終えますが、答弁によっては再質問を留保させていただきます。


答弁3
 ▼知事
 地方税財政改革についてでありますが、今回の地方税財政改革においては、地方がみずからの権限と責任で地域の課題に主体的に取り組めるよう、自主性、自立性の高い財源を確保する必要があります。
 そのためには、消費課税や法人課税、道路特定財源のあり方など、制度全体を一体的かつ抜本的に見直すべきでありまして、消費税率の引き上げという課題に対しても、逃げることなく正面から向き合う必要があると思います。
  また、法人事業税の暫定措置は、当然早期に解消すべきであると思います。
■再質問

質問1
 再質問に先立ちまして、オリンピックの答弁に関して、先ほどの知事発言において、これまでの都議会民主党の協力に対して、極めて無礼な内容がありました。知事の発言の撤回と謝罪を求めます。
 新銀行東京について、再質問をさせていただきます。
 新銀行に関しては、九問ほど質問させていただきましたが、石原知事が、不退転の決意と語っているほど、その決意が感じられませんでした。例えば、旧経営陣の責任追及、法的対応の検討、内部調査報告書の公開や関係書類の保存、管理などさえ、石原知事並びに東京都は主体的な判断をせずに、新銀行サイドにゆだねているのが現状であります。昨日の記者クラブで、裁判ではっきりさせると意気込んでいたのがうそのようであります。
 新銀行の経営者は、だれがどこから派遣したのでしょうか。また、金融監理室は何のためにつくられたのでしょうか。主体的に判断すべき問題については、他者に責任転嫁をせずに、みずからが責任を果たすべきと考えますが、不退転の決意と語っていた石原知事の見解を伺います。
 なお、知事は、豊洲の土壌汚染について、四千百二十二カ所のうち一カ所だけが高濃度のベンゼンで汚染されていると強調していますが、事実を正確に把握するというのであれば、ベンゼンで五百六十一カ所、シアンで九百六十六カ所が環境基準を超えて汚染されていることを申し上げておきたいと思います。


答弁1

 ▼知事
 お気持ちはわかりますが、銀行の問題については、やはり常識、つまり銀行も一つの企業です。これは会社法にのっとって運営されているわけです。そういうものを踏まえて質問なり疑義を呈していただきたい。
 会社というものは、私の責任というのは、大株主としての株主の責任でしょう。しかし、その前に、会社法にのっとって段階があるわけです。第一は、やっぱり経営に破綻を来した、その経営を運営してきた経営陣の責任、それから、一種の監視機関として設けられた委員会としての取締役会、そして、それを監督しなくてはいけないであろう株主、これは株主総会ということでそれが行われるわけですけど、その三つの段階があるわけです。
 今、裁判云々で対象になっているのは、この第一段階の経営者としての責任というものが問題になっているわけです。そのそごを来したから銀行は破綻にしたわけでありまして、つまり、その段階のことを私、申し上げているんで、だから、第一段階の旧経営陣に対する責任の追及は、今、銀行の当事者が外部の弁護士に委託して調査を進めているわけです。これが、要するに、はっきりしてきた段階で、責任は第二段階に及ぶかもしれません。そして、株主の責任に及ぶかもしれませんが、今、その第一段階の責任の話をしているわけですから、物事を常識にのっとって冷静に話していただきたい。。

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