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平成20年第2回定例会 代表質問

平成20年6月17日(火)

条例改正で環境先進都市創造を
地震に強い首都東京を築く

知事の基本姿勢
行財政運営
スポーツ・文化・観光施策
環境対策
都市機能の拡充と首都再生
安全・安心のまちづくり
産業振興対策
福祉・保健・医療対策
食の安全・安心対策
東京教育ビジョン
副知事のあり方


服部ゆくお
服部ゆくお(自民党)
■知事の基本姿勢

質問1
 平成二十年第二回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問いたします。
 まず、去る八日、秋葉原で発生した無差別殺傷事件、去る十四日に発生した岩手・宮城内陸地震で亡くなられた方々に心より哀悼の意を表するとともに、負傷された皆様、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 秋葉原の事件は、事件を引き起こした加害者の心理状態や犯行予告といった内容が問題になっています。こうした卑劣な犯罪を二度と起こさせない社会、都民が安心して暮らせる社会の実現に向け、青少年・治安対策本部、警視庁など、関連局の一層の努力をお願いいたします。同時に、我が党はそのための支援を惜しまない覚悟であります。
 震災対策については後ほど具体的に伺いますが、地震に強い首都東京を築くという我が党の決意を改めて申し上げ、質問に入ります。
 去る六月五日、東京は二〇一六年夏季オリンピック・パラリンピックの立候補都市に決定されました。平成十七年九月に石原知事が、子どもたちに夢と希望を、そして感動をともに分かち合おうと招致を表明して以来、知事を初めとする都と我々都議会が車の両輪となって取り組んできた活動が実を結び、実現に向けて大きく前進をいたしました。今後、招致活動の場は全世界へと広がりますが、さらに気持ちを引き締め、知事とともに招致実現に邁進してまいります。
 さて、今定例会には、環境確保条例の改正案が上程されております。地球温暖化による人類への影響は年々深刻化し、オーストラリアの干ばつやヨーロッパの熱波、ミャンマー・サイクロン災害など、異常気象が世界じゅうで頻発しています。
 我が国も身近に迫る危機に積極的な対策をとるべきであり、都が国に先駆けて二酸化炭素の排出量削減義務化に踏み切ったのは、未来を見据えた知事の英断であると思います。
 一方で、大きな政治課題を忘れ、道路特定財源の問題や日銀総裁人事などで、政局ばかりを意識した目先の政治戦術に終始する国会の状況などを見るにつけ、オリンピックの招致や二酸化炭素排出量削減義務化など、次世代への大いなる遺産となる政策に果敢に取り組む都政は、国政に比べ、はるかに見識の高い政治を行っていると考えます。都政はまさに政治のあるべき姿を体現していると思いますが、知事の所見を伺います。


答弁1
 ▼知事
 答弁に先立ちまして、一言申し上げます。
 去る八日、秋葉原で発生した理不尽きわまりない無差別殺傷事件で被害に遭われ、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、負傷された方々に心よりお見舞い申し上げ、一日も早いご回復を祈念申し上げます。
 今月十四日には、岩手・宮城内陸地震が発生いたしました。被災された皆様に対し、謹んでお見舞いを申し上げます。亡くなられた方々にも心から哀悼の意を表するとともに、行方不明の方々の一日も早い救出、被災地の速やかな復興を心よりお祈りを申し上げます。
 既に警視庁の救助隊や東京消防庁のハイパーレスキュー隊などを派遣しておりますが、今後もできる限りの支援を行ってまいりたいと思っております。
 まず、政治のありようについてでありますが、今、東京、そして日本は、人類の生存にかかわる複合的な危機にさらされていると思います。地球温暖化問題や、新型H5型の特にインフルエンザの対応など、待ったなしのところまで来ていると思います。にもかかわらず、国政は、選挙を意識してか、眼前の危機から目をそらして、事の本質を見きわめることができずに、スピード感を持ってこれに取り組もうとしておりません。
 一方、都政はこれまで、大気汚染の改善を初めとして、医療、福祉、教育、治安などのさまざまな分野で、将来を見据えた改革を実行してきたと思っております。
 二〇一六年オリンピックの実現も、子どもたちに心の財産を贈るとともに、東京を水と緑の豊かな都市へと成熟させて、二十一世紀の都市モデルを示し、日本を新しい発展に導いていく取り組みの一つであります。
 東京は、日本と世界の中で果たしていくべき役割を明確に認識しつつ、都議会の皆様のご協力を得ながら、先進的な政策を今後も展開し、未来への確かな道を開いていきたいと思っております。

■行財政運営

質問1
 次に、地方税財政改革について伺います。
 国において、ことし秋には抜本的な税制改革が予定され、既に前哨戦が始まっています。今回の税制改革は、地方分権改革の第一歩として重要な意味を持っています。そこで、都は、国に対して、地方税や財政調整のあり方など、地方税財政制度全体の改革を打ち出していくことが重要です。その際に何よりも大切なことは、地方分権の推進と地方税財源の拡充という普遍性を備えた理念を持って国に対して強く主張し、交渉していくことです。
 このたびの抜本的な地方税財政改革は、国と地方の関係を、いかに都民、国民にとってよりよいものにしていくかが問われており、この二つの理念に基づいて、中長期的視点で国家のあり方を変えていくという大きなビジョンに裏打ちされた主張を展開するべきと考えます。知事の所見を伺います。


答弁1
 ▼知事
 地方税財政改革についてでありますが、今日の閉塞状況を打開するには、国と地方のもたれ合いから脱却し、地方がみずからの意思と才覚で地域の活力を呼び覚ますことが必要でありまして、そのためには、それに足る権限と財源を確保することが不可欠であります。
 今回の地方税財政改革は、こうした大局的な見地に立って、消費課税や法人課税、道路特定財源のあり方など、制度全体を一体的に見直す抜本的改革として実現させなければならないと思います。
 その際には、地方自身が地方税財源の拡充に向けて確固たる意思を持って、地方消費税を含めた消費税率の引き上げという根本課題に対して正面から向き合うことが求められると思います。
 また、法人事業税の不合理な暫定措置は、この改革の中で確実に解消すべきであると思います。
 現在、都として、あるべき地方税財政制度の方向を明らかにすべく検討を進めておりまして、時期をとらえて、東京からの提言を発信していきたいと思っております。
■スポーツ・文化・観光施策

質問1
 次に、東京オリンピック・パラリンピック招致について伺います。
 冒頭申し上げたとおり、東京は立候補都市として承認され、その審査においては最高の評価を得られました。これは、これまで我が党を初めとした都議会と東京都、そして東京オリンピック招致委員会が一体となって、区市町村、商店街を初め地域の方々など、関係者の皆様の力添えをいただきながら一丸となって取り組んできた招致活動が実を結んだものと考えます。
 とはいえ、承認されたシカゴ、リオデジャネイロ、マドリードは、いずれも強敵であります。来年十月に向け、これらの都市を相手に招致をかち取るためには、東京が開催地として最もふさわしい都市であることを示す魅力的な大会計画づくり、国内における招致機運の盛り上げ、そして、今回の立候補都市承認により解禁となった国際的なプロモーション活動、そのどれもが重要であります。
 そこで、予選を好成績で通過し、次の段階に臨む知事のオリンピック・パラリンピック招致成功に向けた決意をお聞かせください。


答弁1
 ▼知事
 オリンピック・パラリンピック招致についてでありますが、まずは、立候補都市に選ばれたことについて、これまでご支援、ご協力をいただいた都議会を初め、全国の自治体、経済界、都民、国民の皆さんに厚く御礼を申し上げます。
 IOCの評価では、東京は都市としての総合的なポテンシャルが認められ、一応トップの成績で通過しましたが、招致レースは、実質的には登山口にただ立ったばかりでありまして、本当の戦いはこれからであります。
 今回の評価に慢心することなく、来年十月の本選に向けて、環境問題の克服、完璧な安全対策など、日本だからこそできる、最先端技術を駆使した新しいオリンピックを世界に提案してまいります。
 しかし、これから、非常に複雑で見えにくい戦いが始まります。何といっても大事なことは、国を挙げて総力戦で臨むことであります。政府の財政保証、国会の招致決議、外交戦略、世論の盛り上げなど、総理、各大臣、超党派の招致議員連盟の皆さんには、大いに協力をしていただかなければなりません。
 私自身も北京の大会に赴くなど、先頭に立って招致活動に邁進することを改めて決意しております。そして、是が非でもオリンピック・パラリンピックの日本の招致を成功させたいと思っております。




質問2
 先日、福岡で開催されたイベントは、各種メディアも大きく取り上げ、我が国全体の機運醸成に大きな成果を上げたと思います。このようにさまざまな関係団体との連携を一層強化し、より多くの国民の支持を得るために、国内での招致機運の盛り上げと国際的な招致活動に今後具体的にどのように取り組んでいくのかも伺います。


答弁2
 ▼東京オリンピック招致本部長
 オリンピック・パラリンピックの今後の招致機運の盛り上げと国際的な招致活動についてでございます。
 開催都市をかち取るためには、百人を超えるIOC委員の過半数の支持を得ることが最大の目標でございます。そのためには、解禁になりました国際招致活動を強力に展開し、日本開催をアピールする情報を積極的に発信してまいります。また、関係団体との連携強化により、日本全国で招致機運を高め、世論の後押しを獲得してまいります。
 そこでまず、国内では、今年度より開始いたしましたオリンピックムーブメント共同推進事業の実施によりまして、区市町村との連携を一層強化するとともに、商店街の協力を得て、招致フラッグを昨年度の倍の規模で掲出するなど、都民に身近な場所から招致機運の盛り上げを図ってまいります。
 さらに、全国の自治体に加え、新たに、商工会議所や商工会、各種団体、教育関係機関、ボランティア団体とも連携して、全国的な支援を要請するとともに、メディアの協力を得て、従来に増してより効果的なPR活動を行い、招致への賛同の輪を広げてまいります。
 海外においては、本年八月の北京オリンピックの機会に、JOCや企業と連携して、北京にPRの拠点を設け、東京の魅力や開催計画をIOCや世界のマスコミに向け積極的に発信してまいります。
 また、その後の十月におきましても、例えば、スイスのローザンヌではオリンピック開催都市世界連合の設立総会、東京ではレスリング女子世界選手権大会、インドネシアのバリ島では第一回アジアビーチ競技大会等の国際会議や国際スポーツ大会が予定されております。今後、これらの機会を活用して、国や経済界とも連携しながら国際的な招致活動を積極的に展開してまいります。




質問3
 次に、平成二十一年九月開催が正式に決定した、東京二〇〇九アジアユースパラゲームズについて伺います。
 本大会は、障害のある青少年がスポーツに親しむ絶好の機会として都民の期待も高まっています。この大会を成功させることにより、東京がオリンピック・パラリンピック開催にふさわしい都市であることもアピールできるものと考えますが、本大会の開催の意義と、大会の成功に向けた知事の意気込みについて伺います。


答弁3
 ▼知事
 アジアユースパラゲームズについてでありますが、本大会は、アジアの各国、地域から、障害のある十四歳から十九歳までの若いアスリートたちが東京に集まりまして、質の高い競技を繰り広げるものであります。
 これらの若者たちが、ハンディキャップを乗り越え競い合うことは、大きな喜びと将来への糧になるものと確信しております。参加する若者のこれからの人生にすばらしい贈り物ができるよう、本大会をぜひとも成功に導いていきたいと思っております。
 このことによって、東京がオリンピック・パラリンピックの開催にふさわしい、魅力のある都市であることも世界にアピールしていけると思います。




質問4
 都は、スポーツ・フォア・オールの立場から、この夏、新たなスポーツ振興基本計画を作成するとしています。だれもがスポーツに親しめる社会、スポーツ都市東京の実現を目指し、明確な目標を持つべきと考えますが、所見を伺います。


答弁4
 ▼生活文化スポーツ局長
 スポーツ都市東京の実現に向けた目標と取り組みについてでありますが、東京都における成人の週一回のスポーツ実施率は、現在、三九・二%にとどまっており、五〇%を超えるヨーロッパの先進諸国と比べて、まだまだ低い水準にございます。
 そこで、例えば、だれもがどこでも簡単に取り組める新しい健康体操などのスポーツメニューを提供するとともに、地域スポーツクラブの全区市町村への設立を推進し、地域住民の主体的な活動を支援するなど、スポーツ実践層の拡大に向けた取り組みを総合的に展開してまいります。
 これに加え、多様なメディアを通じた情報の提供に努め、スポーツムーブメントの醸成を図ることによって、二〇一六年度には、スポーツ実施率を六〇%以上とすることを目指す所存でございます。




質問5
 ところで、欧米においては、地域活性化の手段として国際スポーツイベントの招致に積極的に取り組む都市が数多くあります。招致に当たっては、民間活力によって設立されたスポーツコミッションと呼ばれる組織が大きな役割を果たしていると聞きます。我が国においてこのような取り組みはまだ例を見ませんが、都においては、都民スポーツの新たな展開を図るために、スポーツコミッションの設立を検討すべきと考えますが、所見を伺います。


答弁5
 ▼生活文化スポーツ局長
 スポーツコミッションについてでありますが、大規模なスポーツイベントは、広く都民がスポーツの楽しさを実感できる機会となることに加え、多くの集客と消費の拡大をもたらし、都市のプレゼンスを向上させるなどの社会経済的効果がございます。
都市の発展に貢献する重要な戦略としてスポーツ振興を展開していく上で、国際スポーツイベントの招致活動等を担うとともに、公益的な観点からスポーツ振興に取り組むスポーツコミッションは、今後大きな役割を果たすものと考えております。スポーツ都市東京の実現に向けたスポーツ振興の新たな担い手として、民間活力を生かした東京版スポーツコミッションの設立について検討してまいります。



質問6
 次に、東京の新たな文化の創造、発信について伺います。
 東京には、江戸開府以来四百年の歴史に根づいた伝統文化や文化財などが多数存在し、東京の魅力ある文化資源となっています。こうした文化資源を観光資源として世界に発信することにより、国内外の観光客は増加し、経済の活性化も期待できます。
 かつて、フランスで文化大臣を務めた故アンドレ・マルローは、国家予算の一%を文化政策に充てることを目標にさまざまな取り組みを進め、フランスの魅力を世界に広めました。
 また、東京の文化的魅力を積極的にアピールすることは、国際的に東京の評価を高める上でも大変効果的であり、オリンピック招致に向けた機運を高揚する点からも重要です。
 そのためにも、文化に視点を置いた観光施策を積極的に推進するべきです。文化の創造と発信は、観光の振興、ひいては経済の発展にも結びつきます。こうした視点に立って、文化と観光の一層の連携が重要と考えますが、知事の所見を伺います。


答弁6
 ▼知事
 文化施策、観光施策の連携についてでありますが、東京は、江戸開府以来はぐくまれてきた伝統と文化、アニメやファッションなど最先端の文化が融合する、世界の他都市にない魅力を持っております。
 こうした魅力を一層高め、海外に発信することは、文化面における東京の国際的評価の向上だけではなく、外国人旅行者の増加など観光の振興にもつながりまして、経済の活性化にも資する極めて有意義なものであると思います。
 このため、今年度、伝統芸能、演劇、音楽などの分野で大規模な文化プロジェクトを展開するとともに、江戸情緒豊かな町並みや、近代的に生まれ変わる都市空間を新たな観光資源として活用するなど、文化的魅力の創出と向上に取り組んでいくつもりであります。
 加えて、魅力あふれる東京を、シティーセールスを通じてアジア、世界に発信するなど、文化施策と観光施策の連携をより一層強化してまいります。
 先日、民間のある有志の方々から、オリンピックを想定して、東京にあるようでないランドマークをぜひつくりたい、ひいては、例の振りそでの火事で消滅した江戸城を、何とかみんなで拠金してつくりたいという申し出もございました。これは大変ありがたい申し出で、都もこれを歓迎し、これからできれば実現したいなと思っております。




質問7
 東京には、長い歴史の中で生まれ、今日まで守られてきた、国や都の指定文化財となっている建造物のほかに、例えば台東区にある横山大観記念館のように、民間が所有し、一般公開している歴史的な建造物を活用した文化施設もあります。しかし、これら民間が所有する施設の中には、施設維持に困難を来しているところもあり、何らかの支援を必要としている状況にあります。
 そこで、このような文化施設を保存し、東京の観光情報として積極的に発信するなど、幅広く検討する時期に来ていると考えますが、見解を伺います。


答弁7
 ▼生活文化スポーツ局長
 歴史的な文化施設への支援についてでありますが、東京には、文化財などに指定された建造物のほか、民間が保存、継承してきた歴史的な建造物を活用した文化施設も各地域で公開されており、東京の持つ貴重な文化資源となっております。
 お話の横山大観記念館にも先日行ってまいりましたが、この記念館には、大観の作品のみならず、岡倉天心が創設し、大観も創設当時から同人であった日本美術院のメンバーである橋本雅邦、菱田春草などの作品が収蔵、展示されておりました。建物と庭は大観自身の設計に基づき建築されたものであり、大観がここで作品を制作し、住まいとしたところで、美術館としても大変魅力のあるものでございました。しかし、昭和二十九年建築で、老朽化が進んでおり、地震が心配な建物でございます。
 こうした東京の魅力を高める文化資源を将来的に保存、継承していくことは、文化面、観光面などからも大変重要と改めて感じたところでございます。
 今後の文化資源としての施設保存や観光情報の積極的な発信などに関しては、ご指摘のとおり、関係局及び区市町村と十分連携して検討すべき課題であり、都としては、こうした民間の文化施設の状況について実態調査を行ってまいります。




質問8
 昨年、日本の美しい歴史的風土百選に選ばれた上野公園は、多くの美術館などの文化施設が集積し、不忍池とともに文化と自然が調和した特色のある公園です。また、上野公園には、寛永寺清水堂を初めとして、旧東京音楽学校奏楽堂など、重要文化財に指定された建築物が数多く存在します。特にフランスの建築家ル・コルビュジエの作品である国立西洋美術館本館は、世界遺産に登録する動きもあります。
 文化の森として再生を目指す上野公園グランドデザインを実現する上で、これら文化施設や歴史遺産を生かすため、上野公園の整備は、都と文化施設を所管する国などの関係機関とが連携して取り組むことが重要であると考えますが、所見を伺います。


答弁8
 ▼建設局長
 上野恩賜公園の整備についてでありますが、上野恩賜公園は、豊かな緑に文化施設や歴史遺産が溶け込み、文化と自然が一体となった魅力あふれる公園であります。
 その魅力をさらに向上させ、上野恩賜公園が文化、観光の拠点となるよう、平成十九年五月に設置した検討会において上野公園グランドデザインの検討を進めており、平成二十年九月に最終報告を取りまとめる予定であります。これを受け、年度内に公園整備の基本計画を作成してまいります。
 あわせて、上野恩賜公園の整備を着実に推進するためには、文化施設を所管する国などの関係機関や地元区と連携して取り組むことが重要であります。今後、これらの関係者と協議する場を設置し、相互に協力しながら、上野恩賜公園が文化と歴史を体感できる緑豊かな公園となるよう整備を推進してまいります
■環境対策

質問1
 次に、地球温暖化について伺います。
 ことしは京都議定書による約束期間が始まる歴史的な年です。EUが一月に大幅なCO2 排出削減目標を打ち出すなど、世界は温暖化防止に向けて大きく動いております。
 そうした中、都は、CO2 削減の強化を柱とした環境確保条例の改正を本定例会に提案しました。まさに時宜を得た取り組みであり、東京オリンピックの理念に合致した、環境先進都市をつくり出すという観点からも、我が党はこれを大きく評価いたします。
 今回、こうした積極的な取り組みを打ち出すことができたのも、都がこれまでの間、事業所と信頼関係を築き、地球温暖化対策計画書制度などの取り組みを着実に進めてきたからであります。
 条例改正の意義と温暖化対策にかける知事の決意を伺います。


答弁1
 ▼知事
 温暖化対策についてでありますけれども、地球温暖化については、多くの専門家が警鐘を鳴らしているように、かなりの対策を講じなければ、五、六年のうちに臨界点、ティッピングポイントに達するといわれるほど憂慮すべき事態となっております。
 温暖化がもたらす破局的な事態を回避して、この地球環境を次世代に引き継いでいくためには、徹底したCO2 削減策を速やかに実行することが必要であります。
 都は、全国に先駆けて実施してきた温暖化対策に関する制度を強化するために条例を改正し、都民や企業などあらゆる主体に、その役割と責任に応じた一層の取り組みを促すことといたしました。
 今回の条例改正により、削減義務化や排出量取引制度といった、CO2 の排出を総量で削減する仕組みを構築するとともに、日本の持てる環境技術が最大限発揮できるよう、都が先導して再生可能エネルギーの普及促進などに取り組んでまいります。
 さらに、都民や事業者の皆さんに、不要なネオンサインなどの消灯や家庭での節電といった具体的な行動を働きかけるなど、東京オリンピックの開催理念にも合致した低炭素型都市の実現を目指して、東京の総力を挙げてCO2 の削減に取り組み、中未来における我々の子孫への責任を果たしていきたいと思っております。




質問2
 条例案には、オフィスビルを含む大規模CO2 排出事業所に対して、都市レベルでは世界で初めてとなる排出総量削減義務と排出量取引制度の導入が規定されています。この制度は、総量削減を確実なものとするとともに、対象となる事業者も、みずからの事業所に合った削減手法をみずからの判断で選択できる仕組みとなっており、自由経済社会にふさわしい制度であると思います。
 都は、削減義務率等の設定や排出量取引制度の具体化等に当たっては、専門的な知見や先行的な事例の経験を踏まえるとともに、対象事業者とも十分なコミュニケーションを図り、その理解と協力を得て制度の構築を進めるべきと考えますが、所見を伺います。


答弁2
 ▼環境局長
 削減義務と排出量取引制度についてでございますが、都はこれまで、制度構築に向けて、幅広い事業者等の参加を得て意見交換会の開催を重ねるとともに、事業者団体の各種会議の場においても意見をお聞きするなど、多様な機会をとらえて事業者とのコミュニケーションを図ってまいりました。さらには、現行の地球温暖化対策計画書制度の運用実績や、EUなど海外事例の経験を踏まえるなどして制度設計を行い、今回の条例提案に至ったものでございます。
 今後、省エネルギー技術の現状と開発の動向を初め、CO2 削減対策に関する知見を持つ専門家などによる削減義務率の検討会を設置するとともに、制度の対象となる事業者から十分に意見を伺うためのさまざまな機会を設け、実効性の高い制度の構築を進めてまいります。




質問3
 中小規模事業所については、任意の報告書制度が盛り込まれていますが、報告書により事業者がみずからのCO2 排出実態を認識し、これが契機となって事業者の意識改革が進み、省エネに取り組むことが重要です。中小企業にとって省エネに取り組むことは、設備が更新され、ランニングコストも抑えられるという点で、経営面でもチャンスになり得ます。事業者がこうしたチャンスを生かすために、都は、既に取り組んでいる省エネ診断や相談事業を一層充実し、加えて、省エネ促進税制の検討を進めるとともに、省エネ設備等の設置、導入に対する支援策を整備する必要があります。
 また、過日、我が党が都に対して要望したように、中小企業の自主的な対策による削減量が第三者機関などによって適正に評価され、確実に買い取られるような仕組みを導入し、排出量取引制度が中小規模事業所の省エネ促進策としての効果も発揮するよう検討すべきです。
 今後、東京商工会議所などとも十分に連携し、こうしたさまざまな支援策を具体化し、中小企業の省エネ化を積極的に促進していくべきと考えますが、所見を伺います。


答弁3

 ▼環境局長
 中小企業の省エネ対策の促進についてでございますが、省エネ対策は、エネルギーコストの削減に寄与するものであり、適切に取り組まれれば、本来、中小企業にとって経営上のメリットになるものでございます。
 このため、都は現在、東京商工会議所の各支部への訪問などを行い、東京都地球温暖化防止活動推進センターが実施する省エネ診断の普及を進めており、今後は、東京都商工会連合会や都内の金融機関の協力も得て、省エネ診断の紹介を進めてまいります。
 また、お話の中小企業の省エネ対策を適正に評価し、CO2 排出削減量が確実に買い取られる仕組みの構築は、中小企業の省エネ促進策として有効と考えられます。
 今後、こうした施策を含め、中小企業のさまざまな省エネ支援策の具体化に向け、積極的に検討を進めてまいります。




質問4
 また、家庭における対策の強化も必要です。
 都は、地球温暖化防止活動推進センターの活用などにより、省エネについてきめ細やかな情報提供に努めるとともに、ライフスタイルの転換を誘導、促進していく必要があります。
 また、国が補助金を打ち切ったために足踏み状態となっている太陽エネルギーの普及を再び伸ばすため、我が党の要望により準備を進めている太陽エネルギー利用拡大プロジェクトなど、具体的な促進策についても積極的に講じていただきたいと思います。
 そして、こうした取り組みの個々の家庭への働きかけについては、区市町村の行う施策との連携を強化し、これを支援することを視野に入れつつ、家庭部門での省エネ化や、再生可能エネルギーの導入などの温暖化対策を強力に推進していくべきと考えますが、所見を伺います。


答弁4
 ▼環境局長
 家庭部門の温暖化対策の推進についてでございますが、家庭のCO2 削減を強力に進めるためには、省エネ型のライフスタイルへの転換を促す普及啓発活動を進めるとともに、住まいにおける電力やガス消費の大幅な削減を可能とする低CO2 型のエネルギー機器の利用拡大を図ることが必要でございます。
 このため、都は、化石燃料を太陽エネルギーで代替する太陽光発電や太陽熱利用機器の飛躍的な拡大を図る仕組みづくりを行うとともに、家庭のエネルギー消費の約三割を占める給湯において、高効率給湯器の導入を図るための認定制度の構築と支援策の導入に取り組んでまいります。
 また、お話のとおり、家庭部門の対策を進めるためには、地域に即したきめ細かな対応ができる区市町村の取り組みを促進していくことが重要でございます。このため、都の持つ温暖化対策の技術に関する情報を提供するなど、区市町村の取り組みを後押しし、家庭部門のCO2 削減を本格的に推進してまいります。




質問5
 東京は絶えず至るところで開発が進んでいる、活力にあふれた都市です。こうした都市再生の営みは、都市機能を更新し、東京の魅力を高めると同時に、環境負荷の低減を図る絶好のチャンスでもあります。特に、削減義務の対象となるような大規模なオフィスビルが建てかわるときが重要です。
 今回の条例案では、省エネ性能の最低基準を義務づけるなど、新築建築物への強化が図られていますが、抜本的に建築物の環境性能を引き上げていくためには、省エネの発想を持って建物の計画づくりを進めることが重要です。低CO2 型の都市づくりを実現するためには、こうした取り組みを誘導していくべきと考えますが、所見を伺います。


答弁5
 ▼環境局長
 低CO2 型の都市づくりについてでございますが、都はこれまで、一定規模を超える建築物の新築等について、確認申請の時期をとらえ、建築物環境計画書の提出を義務づけ、個々の建築物の環境配慮を求めてまいりました。
 今後、本格的に低CO2 型の都市づくりを推進するため、今回の条例改正案では、新築建築物の省エネ最低基準の義務化などにより建築物単体の対策強化を図る一方、大量のエネルギー需要が生じる大規模開発については、計画策定の早い段階に、開発地域全体で、未利用エネルギーの活用などエネルギーの有効利用を図るための計画作成を義務づけることといたしました。これにより、都市づくりにおいても地球温暖化対策を推進し、低炭素型社会の実現を目指してまいります。




質問6
 また、地球温暖化防止に向けた世界的な潮流の中で、東京がイニシアチブをとり、世界の環境ビジネスを牽引することは、産業振興の観点からも極めて重要です。特に中小企業にとっては、みずからCO2 の排出抑制に努める一方で、持ち前の技術を生かし、環境分野に新たなビジネスの活路を見出す千載一遇のチャンスでもあります。この好機を逃すことなく、都内中小企業を主体とする環境ビジネスを振興すべきと考えますが、今後の展望を伺います。


答弁6
 ▼産業労働局長
 環境ビジネスの振興についてですが、都は、「十年後の東京」において、環境関連産業を東京の将来を支える創造的都市型産業の一つとして、重点的かつ戦略的に育成することとしております。そのため、本年十一月に開催いたします産業交流展に、先進的な地球温暖化防止技術を有する環境関連分野の中小企業を全国から募りまして、ビジネスチャンスを拡大してまいります。
 一方、環境関連技術が市場で受け入れられるためには、あらかじめ有用性を実証する必要があるなど、事業化に向けた課題も存在いたします。今後、こうした課題を踏まえまして、技術の開発から実証、販路開拓の各段階に応じたきめ細かい支援を行うなど、より一層積極的に次代をリードする環境関連産業の育成に取り組んでまいります。




質問7
 都民や中小企業に一層の協力を求めるからには、都みずからが範を示す必要があります。平成十七年度に都内で発生した約六千万トンのCO2 のうち、都の事業によるものは約二百二十万トンです。そのうち、下水道局が四割近くを占めています。今後どのようにCO2 の発生を減らしていくのか、下水道局の取り組みを伺います。


答弁7
 ▼下水道局長
 下水道事業におきますCO2 削減の取り組みについてでございますが、下水道局はこれまで、いち早くアースプランを策定し、民間と連携して新技術を開発、導入するなど、京都議定書で定める六%削減に努めてまいりました。
 昨年末には、温室効果ガスの削減と同時に、資源化した汚泥を発電燃料として活用する汚泥炭化炉を稼働させ、さらに本年度には、汚泥をガス化して発電に有効活用する汚泥ガス化炉の建設に着手いたします。また、この五月からは、日本で初めてとなる新型太陽光発電システムの実証実験も開始したところでございます。
 しかし、カーボンマイナス東京の実現にはなお一層のCO2削減対策が求められており、従来の社会システムや技術の延長にとどまらず、大学や民間企業と緊密に連携して、先進的な技術や新しい発想による画期的な技術の研究開発を進める必要がございます。
 このため、産学と連携した研究開発を強化する拠点として、下水道技術研究開発センターを砂町水再生センターに設置し、開発した技術につきましては、当局施設に積極的に導入して実用化を支援することとしております。
 こうした取り組みの成果を全国に発信し、下水道事業全体のCO2削減に貢献してまいります。




質問8
 地球温暖化対策として、都民や企業との連携によりCO2 の大幅な削減策に取り組む一方で、猛暑や干ばつ、洪水など、この地球で現実に発生している温暖化の影響に対処するための取り組み、いわゆる適応策も強く求められています。
 知事が所信表明で述べられたように、都はこの十月、地球温暖化問題に先導的に取り組む世界の大都市グループ、C40の国際会議を東京で開催します。都が環境先進都市としてのリーダーシップを発揮するためにも、この会議でCO2 の削減策とともに、適応策に関する取り組みを世界に向けて発信すべきと考えますが、知事の所見を伺います。


答弁8
 ▼環境局長
 C40気候変動東京会議の開催についてでありますが、昨年、私、リビングストンに招かれまして、彼が主宰している、世界の大都市の環境問題に関するニューヨークの会議に出ました。ただ、大変失望を感じて戻ってまいりましたが、行われているのは抽象的な一般論ばかりでありまして、あるいは危機感の披瀝であって、具体的な提案というのは一向になされませんでした。こんなことでは意味がないので、ぜひこういった問題に関する各国の専門家の高度な知識というものを披瀝し合って、それを連帯させることで、一歩、二歩踏み込んだ具体策を共同で展開していきたいという、そういう意味で、この会議を提案したわけであります。
 地球温暖化は、既に世界各地に深刻な影響を与えておりまして、五、六年のうちに思い切った手を打たなければ、人類にとって破局的な事態を招きかねないところまで来ております。
 これまで、都市は化石燃料を多量に消費し、地球環境に大きな負荷をかけてまいりました。地球の危機に直面する今日、都市みずからが立ち上がって、国をも先導して、喫緊の課題として温暖化対策に取り組まなければならないと思います。そのために、まず世界の大都市の間で危機意識を共有することが極めて重要であり、かつまた、それに加えて、共通する技術というものの展開で具体的にこれを食いとめていく、そういう努力が絶対に必要だと思います。
 今回の会議では、高度の見識を持つ専門家を集めまして、冒頭で、我々が現に直面している危機と子孫に対する責任について知見を披瀝してもらい、共通の認識を持ち、また、実質的な技術の展開についての討論も行っていただきたいと思っております。
 その上で、地球温暖化の防止策に加え、温暖化から生態系や人間社会を守る適応策について、世界の大都市間で初めて重点的に議論することになると思います。
 この会議を通じて、参加都市は、これまで培ってきた技術や知恵、経験を分かち合い、地球温暖化対策の一層の進展を図るつもりであります。
 例えば、東京は、世界一安全でおいしい水道水の供給のノウハウ、あるいは世界最高水準の技術による漏水防止、あるいは下水再生水の循環利用など、高度な先進技術を世界にこの際伝えていきたいと思います。
 さらに、徹底した節電などによるCO2 の削減や、緑化の推進による温暖化への適応など、さまざまな方策を提起し合って、課題を共有する都市の間で共同の取り組みを進めていきたいと思っております。
■都市機能の拡充と首都再生

質問1
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 昨年末の法人事業税の一部国税化に際し、知事は福田首相から、東京の重要施策に国が最大限協力するという約束を取りつけました。
 その重要施策の一つである羽田空港の国際化について、国土交通省は、首都圏空港における国際航空機能拡充プランを公表しました。その内容は、二〇一〇年十月の再拡張後に、国際線発着回数を昼夜合わせて約六万回に倍増するとともに、昼間の時間帯に、北京、台北や香港までの就航を可能とするなど、都が求めてきた国際線発着枠の拡大、就航距離制限を超える東南アジアの主要都市への就航に沿うものとなっております。国との協議が早速このように実を結んだものと、我々都議会自民党は、この協議の場づくりに骨を折った立場として、自画自賛ではありますが、喜んでおります。
 知事は、このプランをどのように受けとめ、羽田空港の国際化について今後どう進めるつもりなのか、所見を伺います。


答弁1
 ▼知事
 羽田空港の国際化についてでありますが、国土交通省が示した国際化プランは、羽田空港の国際線発着枠の倍増を図るとともに、これまで固執していた合理性のない就航距離制限を外すなど、都の主張に沿うものであり、当然でありますが、大きな前進とも思います。
 また、今回、従来の枠から踏み出しまして、ASEAN以遠に飛行機を飛ばし、また、六時台、二十二時台にも、欧米を初め、あるいはアメリカの西海岸までの、そういったかなりの遠距離の都市に、世界の主要都市への就航を可能とする新たな方針を打ち出す予定であります。
 今後とも、増大する航空需要に的確に対応するため、空港関連の道路ネットワークの充実とともに、横田空域の早期全面返還の実現を含め、いまだ十分とはいえない昼間の国際線の増加など、さらなる国際化の進展を国に求めてまいります。




質問2
 次に、東京の道路整備について伺います。
 東京の最大の弱点である渋滞の解消を図るためには、三環状道路や骨格幹線道路、連続立体交差の早期整備が必要であり、そのためには道路整備の財源が必要不可欠です。
 我が党はこれまで、暫定税率や地方道路整備臨時交付金制度の堅持を、暫定税率等の継続を求める地方の声総決起大会など、さまざまな機会をとらえて訴えてきました。その結果、衆議院の再可決により、暫定税率や地方道路整備臨時交付金制度が復活し、平成二十年度の財源について確保できたのであります。
 一方、政府は、道路特定財源制度を廃止し、来年度からの一般財源化を閣議決定しました。東京の道路整備は道半ばであり、引き続き道路整備のための財源を確保していくことが不可欠であると考えますが、国の一般財源化の動きに対する知事の所見を伺います。


答弁2
 ▼知事
 道路特定財源の一般財源化の動きについてでありますが、首都圏三環状道路や骨格幹線道路など、東京の道路ネットワークは、これはもう全国のハブとなるものでありまして、我が国の国際競争力の強化や都市の活性化、環境改善の観点からも早期整備が不可欠であります。したがって、道路特定財源の一般財源化が行われようとも、国に対して、首都圏の道路の必要性を正当に評価し、三環状道路など東京の道路整備を着実に進めていくための安定的な財源を確保するように強く求めてまいります。
 このところ、この問題を踏まえて、国交省の幹部とも入念に話をしておりますが、国交省もまた、やっぱり首都圏、首都の環状線がいかに優先順位が高いものということは、技術的にも承知していると思いますし、これはできるだけ早期に、実現に向けて工事を展開していきたいと思っております。




質問3
また、閣議決定により、地方道路整備臨時交付金制度の維持が不透明な状況です。安定した財源を確保するためには同様の制度が必要であると考えますが、都の取り組みについて伺います。


答弁3
 ▼建設局長
 地方道路整備臨時交付金制度についてでありますが、本制度は、地域の課題に対して一体的に行われる必要のある複数の道路に関する事業に国費が一括して交付されるもので、個別事業の進め方は、地域の実情に応じて地方の裁量にゆだねられるなど、事業の重点化、効率化に資する柔軟な仕組みとなっており、東京の道路整備に重要な役割を果たしております。
 東京の最大の弱点である渋滞の解消を図る幹線道路ネットワークや連続立体交差などの整備を着実に進めるため、道路特定財源が一般財源化されたとしても、必要な財源を確保し、同様の仕組みを維持するよう国に強く求めてまいります。



質問4
 首都高速中央環状線や圏央道については、完成目標年次を定め、着実に事業を推進しており、首都圏三環状道路の完成に向け積極的な取り組みが進められています。とりわけ懸案であった外環については、第一回定例会において、知事は、平成二十一年度の事業着手を強く国に要求すると明言されました。
 国は、その実現に向けて財源の確保と事業着手の準備を進めるべきと考えますが、改めて知事の所見を伺います。


答弁4
 ▼知事
 外環道についてでありますが、外環道は、東京のみならず、我が国全体に便益が及ぶ重要な社会資本でありまして、これはもうトッププライオリティーとして、最優先順位の工事として、外環道の早期着工は、昨年十二月に福田総理が協力を約束しました都の重要施策でありまして、道路特定財源が一般財源化されようとも、外環道は、当然、国が必要な財源を確保して整備すべきものであります。
 今後も、国に対して、平成二十一年度の事業着手に向け、国幹会議を開催し、外環道の整備計画を定めるとともに、事業実施に必要な予算や執行体制を確保するよう強く求めてまいります。




質問5
 また、環状第三号線の上野寛永寺付近から文京区の目白通りまでは、約四・四キロメートルの区間にわたって計画の具体化が図られていません。この区間は、江戸時代以来の町並み、住宅、寺社仏閣などが残る谷中地区などに計画されていることから、平成十六年に策定された区部の都市計画道路の整備方針において、道路整備の実現に向けて計画の見直しを検討するとされています。
 そこで、都は、既に都市計画決定されている環状第三号線の上野から目白通りまでの区間について、計画の見直しの検討をどのように進めていくのか、伺います。


答弁5
 ▼都市整備局長
 環状第三号線についてでございますが、環状第三号線は、区部における骨格幹線道路の一つでございまして、交通渋滞の解消、環境改善、防災性の向上などを図る上で重要性の高い路線でございます。
 このうち、お尋ねの上野から目白通りまでの区間でございますが、歴史的な街並みが残る地域であることなどから、都市計画道路の整備方針におきまして見直しの検討を行うこととしております。このため、先月には、都と地元区で構成される検討会を設置し、関連する都市計画道路とあわせて、計画の見直しに着手いたしました。
 今後、地元区が行う地域のまちづくりとの整合を図るなど、さまざまな角度から道路線形や構造の検討を深め、計画案の策定に向けて取り組んでまいります。




質問6
 次に、都内における駐車対策や商店街などの物流対策についてですが、商店街などでは荷さばきスペースが十分に確保されているとはいえず、また、自動二輪車についても駐車場が不足していることもあり、昨年の駐車違反件数は二十五万件を超え、実に全国の四八%にも及んでいます。さらに、本年四月より、放置車両確認事務の民間委託が二十三区全域に拡大されました。運送事業者は、二人乗務など大きな負担を強いられています。
 我が党は従来から、荷さばきスペースや自動二輪車駐車場の整備促進などの対策を都に求めてきました。
 そこで、荷さばき車両や自動二輪車の駐車対策についてどのように取り組んでいるのか、所見を伺います。


答弁6
 ▼都市整備局長
 駐車対策についてでございます。
 交通渋滞の解消や物流の円滑化のためには、都市計画道路の整備などによる交通容量の拡大に加えまして、駐車車両の受け入れ施設の整備促進などの駐車対策が重要であると認識しております。
 都はこれまで、荷さばき車両対策として、高架下都有地を活用した施設の整備や、約二百六十カ所のコインパーキングを荷さばき可能とするなどの対策を講じてまいりました。また、自動二輪車につきましては、昨年五月に施設整備のガイドラインを策定し、駐車場事業者に働きかけることなどにより、約四千六百台を超える駐車スペースを確保してまいりました。
 引き続き、都有地の活用や区市などにおける取り組みを支援するとともに、既存ビルの駐車施設を有効活用する仕組みの検討を進めるなど、駐車対策を推進してまいります。




質問7
 荷さばきスペースの確保や共同配送の実施など、物流の課題を解決するためには、運送事業者を初め、商店街や荷主、行政機関など、多様な関係者がかかわる必要があります。そのためには関係者が広く連携し、課題解決に向けての仕組みづくりが必要です。
 都は、商店街などにおける物流対策についてどのように支援をしていくのか、伺います。


答弁7
 ▼都市整備局長
 商店街などにおける物流対策への支援についてでございます。
 荷さばきスペースの不足など物流の課題を解決するには、商店街や運送事業者などさまざまな関係者が連携し、地区の特性に応じました取り組みを行うことが重要でございます。このため、都は、支援策の一つとして、地区物流効率化認定制度を近々創設する予定でございます。
 この制度は、物流改善に向け、関係者が作成した計画を都が認定しまして、道路整備保全公社駐車場の優遇的な利用や、施設整備等に対する産業力強化融資の活用を可能とするなど、関係者の取り組みを支援するものでございます。
 また、本制度のガイドラインを作成し、説明会を開催するなど、円滑な運用を図ってまいります。
 今後とも、今回の取り組みを初め、関係者との連携により、地区の物流改善に努めてまいります。




質問8
 次に、連続立体交差事業についてですが、都内にはピーク時の遮断時間が四十分以上のいわゆるあかずの踏切が約二百七十カ所もあり、交通渋滞や踏切事故の要因になっています。
 昨年の第三回定例会における我が党の代表質問に対し、都は、踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象区間となっている二十区間について、事業化に向けて積極的に取り組むと答弁をされました。その結果、五月一日に、西武新宿線の中井駅から野方駅間と、京王線代田橋駅から八幡山駅間が新規着工準備箇所として国に採択をされました。
 そこで、新規事業化に向けた今後の取り組みについて伺います。


答弁8
 ▼建設局長
 連続立体交差事業の新規事業化に向けた今後の取り組みについてでありますが、連続立体交差事業は、踏切の遮断による交通渋滞や地域分断を解消するだけでなく、道路ネットワークの整備や沿線のまちづくりの促進に極めて効果の高い事業であります。
 このたび、踏切対策基本方針において鉄道立体化の検討対象になっている二十区間のうち、関連する道路整備計画やまちづくりへの取り組みの熟度などを踏まえ、七区間を事業候補区間として位置づけたところであります。
 このうち、既に新規着工準備箇所として採択された西武新宿線中井駅から野方駅間、京王線代田橋駅から八幡山駅間の二区間については、今年度、構造形式や施工方法などを検討し、事業化に向けた国との協議を進めてまいります。
 また、JR埼京線十条駅付近、京成本線京成高砂駅から江戸川駅間、西武新宿線野方駅から井荻駅間、井荻駅から東伏見駅間、東村山駅付近の五区間については、今後、技術的課題やまちづくりの進捗などを勘案し、財源の動向を踏まえながら、新規着工準備採択に向けて取り組んでまいります。



質問9
 次に、河川の整備についてですが、これまで東部低地河川や中小河川の治水対策を進めてきました。その結果、東京全域での治水に対する安全性は確実に向上しています。
 その一方で、緑豊かな自然環境やにぎわいといった、川の持つ魅力に対する都民の期待も高まり、我が党も、水の都東京再生議員連盟を中心に取り組んでいます。
 都も、治水機能を確保した上で、例えば多摩川でウオーキングなどが楽しめる五十キロメートルコースが整備されるように、一年三百六十五日、都民に親しまれる川づくりのための施策を展開していくべきと考えます。そこで、今後さらなる川の魅力向上に向けてどのように取り組んでいくのか、伺います。


答弁9
 ▼建設局長
 河川の魅力向上に向けた取り組みについてでありますが、河川の整備に当たっては、治水機能を確保しつつ、地域性を踏まえ、にぎわいあふれる緑豊かな水辺空間を創出することが重要であります。
 これまでも、隅田川や中川などでは、多くの人々に親しまれるスーパー堤防やテラスを整備してまいりました。また、緑が多く残る多摩地域では、人々が自然と触れ合え、魚や水鳥などにも優しい多自然川づくりを進めてまいりました。
 今後は、管理用通路などの緑化を計画的に進めるほか、川沿いの再開発事業などと連携し、川の魅力をまちづくりに生かせるよう、散策を楽しめる遊歩道や、水辺に近づける緩やかな護岸などの整備に取り組んでまいります。さらに、河川清掃や緑地の管理など、地域の方々と連携した活動を広め、豊かな水辺空間の創出に努めてまいります。




質問10
 都はこれまでも、災害時に備え、防災船着き場を整備し、水上バス発着などの平常時利用も図ってきました。さらに、多くの人々が集まる浅草など、防災船着き場を拡充整備し、観光客も含めた帰宅困難者対策を強化することが必要です。また、それを平常時に活用することにより、地域の活性化にも寄与し、一石二鳥の事業になるものと考えます。
 そこで、防災船着き場の増設及びその活用について見解を伺います。


答弁10
 ▼建設局長
 防災船着き場の増設とその活用についてでありますが、防災船着き場は、震災等の災害時に、被災者の避難や緊急物資の輸送などに重要な役割を担う施設であります。また、地域の活性化や利便性の向上を図るため、こうした施設を平常時においても活用することは重要であります。
 平成十九年度に改定された東京都地域防災計画において、防災船着き場の役割や運用が明確化されました。これに伴い、隅田川においては、災害拠点病院の追加や新たな鉄道の開通、浅草の観光客の増加など、社会状況の変化を踏まえ、現在、船着き場の増設などを含めた防災船着き場整備計画の見直しを行っているところであります。
 また、平常時の利用については、利用者の安全確保や施設の管理運営など、関係機関と調整を図ってまいります。
 今後とも、水の都東京の象徴にふさわしい隅田川を目指し、着実に整備を進めてまいります。




質問11
 次に、都営住宅について伺います。
 約二十六万戸の都営住宅は、真に住宅に困窮する都民に対し、公平かつ的確に供給していく必要があります。
 都営住宅を含む公営住宅の入居対象者については、平成八年の公営住宅法施行令で、収入の低い方から二五%に相当する月額二十万円までの方と、全国一律に設定されました。しかし、世帯所得の低下など、その後十年以上にわたる状況変化によって、入居対象者が三六%まで広がってきました。このため、昨年十二月、この政令が改正され、入居対象者の月収が十五万八千円まで引き下げられ、家賃算定の前提となる収入区分も見直されました。
 そこでまず、都は今回の政令改正をどのように認識しているのか、見解を伺います。


答弁11
 ▼都市整備局長
 都営住宅についてでございます。
 まず、入居に係る収入基準等の改正についてでございますが、昨年三月に策定した東京都住宅マスタープランにおいては、所得や家賃の水準を踏まえた設定となるよう、適宜見直しを行うことが重要としております。
 国による今回の改正は、収入基準や家賃制度について、平成八年以来、十年ぶりに見直しを行ったものでございます。
 都としましては、収入基準の引き下げや高額所得者の明け渡し促進により、真に住宅に困窮する世帯の入居機会拡大が見込まれることから、都民の住まいのセーフティーネットとしての機能を一層強化するものと認識しております。改正の趣旨に沿って、今後、的確に実施してまいります。




質問12
 都としては、この政令改正を都営住宅のセーフティーネット機能を一層充実させるための貴重な機会ととらえ、的確に対応する必要があると考えます。
 一方、都営住宅の家賃は、収入区分に応じた負担率で算定されており、今回の改正により、現在居住する世帯のうち、収入が最も低い約七割においては負担増は生じないものの、残り三割においては負担増となるケースがあります。
 そこで、今回の改正を円滑に進めるためにも、都は、政令に定める五年間の経過措置に加え、独自の激変緩和策など、現在入居されている方々に配慮した負担軽減措置を講じるべきと考えますが、見解を伺います。


答弁12

 ▼都市整備局長
 現在入居中の世帯への負担軽減についてでございます。
 国は、政令改正に当たりまして、家賃が上昇する場合に、五年間で段階的に実施する等の経過措置を講じております。
 都としては、入居中の世帯において、国の措置を講じてもなお負担の変化が大きい場合には、さらに都独自の激変緩和措置を実施するなど、十分な配慮を行っていく必要があると考えております。
 このため、今回の改正に伴う家賃の変動の見込みを踏まえ、入居を希望しながら入れない方々との均衡も考慮しつつ、負担の軽減に向けた対応を今後検討してまいります。




質問13
 都営住宅の建てかえによる少子化対策も重要な課題です。都は、昨年の第四回定例会の我が党の代表質問で、建てかえ規模を段階的に拡大していくことを表明しました。建てかえを進めていく上では、少子化の進展に対応して、子育て世帯が居住できる住宅の供給を促進していくことが重要であると考えます。
 現在、建てかえの際は、二人世帯は二Kとするなど、世帯人数に応じた規模としていますが、こうした小世帯向けの住宅については、若い世代が安心して子育てできる間取りと広さを備えた住宅となるよう見直すべきと考えますが、見解を伺います。


答弁13
 ▼都市整備局長
 建てかえで供給する小世帯向けの住宅についてでございます。
 都営住宅の建てかえに当たりましては、居住者の世帯人数により基準を設け、住みやすい間取りとなるよう工夫しながら住宅を供給してまいりました。
 少子化が進展する中、安心して子どもを育てられる環境を整えていく上で、生活の基盤である住宅の果たす役割が重要であり、都営住宅におきましても、こうした観点に立った供給が一層求められております。
 このため、小世帯向けの住宅については、若年ファミリー世帯が安心して子育てできるよう、面積規模など必要な見直しを行ってまいります。
■安全・安心のまちづくり

質問1
 次に、震災対策について伺います。
 先月十二日に中国の四川省で発生した大地震は、死者数が推計七万人を超えるという史上まれに見る大災害となりました。そして、犠牲者の多くは、建物の倒壊によるものと伝えられています。
 大地震から都民の生命を守るとともに、震災時に首都東京が機能不全に陥らないよう、建物の耐震化を加速させることが必要です。
 そこでまず、都内の建物の大多数を占める民間建築物について、どのように耐震化を進めていくのか、所見を伺います。


答弁1
 ▼都市整備局長
 民間建築物の耐震化についてでございます。
 都はこれまでも、安価で信頼できる耐震技術の普及など、民間住宅の耐震化に取り組むとともに、百貨店など多くの人が利用する建物につきましては、関係団体との連絡会を通じて、所有者等への働きかけを行ってまいりました。
 加えて今後は、建物所有者への戸別訪問を行うローラー作戦や、九月の防災週間と一月の阪神・淡路大震災発生日の時期に合わせた耐震キャンペーンの実施など、普及啓発活動に一層力を入れてまいります。
 さらに、今年度創設したマンション耐震改修助成制度や、対象を全路線に広げた緊急輸送道路沿道建物の耐震化助成制度などによりまして、建物所有者の取り組みを積極的に支援し、民間建築物の耐震化を促進してまいります。




質問2
 民間建築物の中でも、マンションは居住者が多く、被災時の影響が大きいため、とりわけ重点的に取り組む必要があります。我が党の主張により、今年度、マンション耐震改修助成制度が実現しましたが、これを十分に活用して耐震化を進めるべきです。都の取り組みを伺います。


答弁2
 ▼都市整備局長
 マンションの耐震化についてでございます。
 都の補助制度の窓口となるすべての区市と協議いたしまして、既に半数を超える区で助成に向けた体制を整えておりまして、引き続き強力に働きかけを重ねてまいります。
 また、管理組合への支援として、民間の専門分野の九団体と設立したマンション耐震化促進協議会との連携によりまして、耐震相談窓口を四月に設置いたしました。
 さらに、耐震化についての啓発用パンフレットを作成し、今月から対象となる全管理組合に配布いたします。
 今後、区市や関係団体との連携を強化し、マンション耐震化の一層の促進に鋭意取り組んでまいります。




質問3
 公共建築物は、日常のみならず、震災時にも多くの都民に利用されることから、十分な安全性を確保することが必要です。そこで、防災上重要とされる都立建築物の耐震化の現状と今後の取り組みについて所見を伺います。


答弁3
 ▼財務局長
 防災上重要な都立建築物の耐震化についてでございますが、平成十八年度末現在の耐震化率は約九〇%となっております。
 これらの都立建築物は、多数の都民に利用されること、災害時における活動拠点や避難施設になることから、耐震化を早期に完了させることが極めて重要であります。このため、都は本年三月、東京都が所有する防災上重要な公共建築物の耐震化整備プログラムを作成いたしました。
 このプログラムに基づきまして、災害対策や応急活動の中心となる消防、警察、学校、病院など、防災上特に重要な都立建築物につきましては、原則、平成二十二年度末までに耐震化を完了するべく、現在、鋭意取り組みを進めているところでございます。また、それ以外の建物につきましても、可能な限り早期に耐震化を完了するよう、積極的に取り組んでまいります。




質問4
 我が党は、日本の将来を担う児童生徒を地震被害から守るべく、公立学校施設の耐震化を早急に進めるため、議員立法により地震防災対策特別措置法を改正し、耐震化事業にかかわる国庫補助率のかさ上げを実現しました。学校設置者である各区市町村では、国の緊急対策を活用し、耐震化が加速されることが大いに期待されますが、この緊急対策をもってしても耐震化が進まない区市町村が出ることも予想されます。
 共産党の主張する助成制度は単なるばらまきでしかなく、実効性があるとは思えません。耐震化をより一層推し進めるためには、都は、区市町村の実態を調査し、技術者の派遣など実効性のある支援策を講じる必要があると考えます。
 また、都内では、公立学校と並んで、多くの私立学校で児童生徒が勉学に励んでいます。児童生徒の安全は、公、私立を問わない問題であり、公立、私立それぞれの耐震化への取り組みについて伺います。


答弁4
 ▼教育長
 公立学校の耐震化についてでありますが、学校設置者は、学校施設を良好な状態に保ち、児童生徒の身体、生命の安全を確保する義務がございます。
  都教育委員会ではこれまで、都立学校の耐震化に取り組んできておりまして、平成十九年度末における耐震化率は約九六%となっております。今後、さらに耐震化を進めまして、平成二十二年度末までに完了いたします。
 また、小中学校につきましても、各区市町村が計画的に耐震診断及び耐震化に取り組みまして、都教育委員会が把握しております、ことしの四月現在の数字では、耐震診断実施率は約九九%、耐震化率は約七七%まで進んできております。
 都教育委員会といたしましては、耐震化が進まない区市町村の状況をきめ細かく把握し、国の緊急対策とあわせ、耐震化の前倒しが図られるよう、新たに都独自の支援策を早急に講ずるなど、公立学校の耐震化を進めてまいります。


 ▼生活文化スポーツ局長

 私立学校の耐震化についてでありますが、私立学校に学ぶ児童生徒の安心・安全のため、都では、平成十五年度から、耐震診断、耐震補強工事経費の一部について補助を実施してきました。
 十九年度には、新たに個人立等の幼稚園や専修、各種学校を補助対象に加えたところでございます。また、二十年度には、私立学校が行う耐震診断、耐震補強工事に対する補助率を二分の一から三分の二に引き上げるとともに、新たな補助対象として、木造の校舎等や耐震のために必要な改築工事を加え、補助制度の充実を図ったところでございます。
 今後も、私立学校に対して補助制度の積極的な活用を働きかけてまいります。
 また、耐震化について、私立学校に対しても、公立学校と同様な配慮をすべきとした国の緊急対策も踏まえ、耐震化がさらに加速されるよう、必要な支援策を早急に検討し、具体化してまいります。




質問5
 建物が地震に対して安全であるかどうかは、見た目でわかるものではありません。そこで、耐震改修済みの建物や、耐震診断の結果、耐震性が認められた建物については、そのことが利用者にわかるよう、建物の見やすい場所に表示するなどの取り組みを促進すべきと考えますが、所見を伺います。


答弁5
 ▼都市整備局長
 耐震化の表示についてでございます。
 耐震診断により耐震性が確認された建物や耐震改修を実施した建物にその旨の表示を行うことは、利用者の安心を確保するとともに、建物所有者の耐震化への取り組みを促す上で有効と考えております。
 都は、一定の耐震改修を行った建物に対し、改修済みであることを証するプレートを交付する独自の取り組みを行ってまいりました。こうした取り組みを進める動きが大きく広がりまして、ことしの二月には、耐震化を推進する全国組織によりまして、耐震診断・耐震改修マーク表示制度が創設されました。
 今後は、区市や関係団体との連絡協議の場を通じて、この制度の早期普及に向け、取り組んでまいります。




質問6
 次に、水道事業についてですが、東京には水道管が縦横無尽に張りめぐらされ、その総延長は二万六千キロメートルにも及びます。都では、強度の高いダクタイル管への取りかえをほぼ完了し、さらに現在、給水上の重要な路線や病院、首都中枢機関などに供給するルートを優先的に耐震継ぎ手管に整備しています。
 一方、都の被害想定によると、地盤が弱いとされる東部地域の断水率は四〇%を超えています。そこで、断水率の低減に向けた水道管の耐震強化の取り組みと東部地域への一層の重点化について、今後の方針を伺います。


答弁6
 ▼水道局長
 水道管の耐震強化と東部地域への重点化についてでありますが、これまで老朽化した管については、強度の高いダクタイル鋳鉄管へ取りかえてきておりまして、さらに、管そのものの強化に加え、阪神・淡路大震災を契機として、抜け出し防止機能のある耐震継ぎ手管を採用し、管路の一層の耐震性向上を図ってきております。
 東部地域につきましては、揺れやすい軟弱な地盤であることから、平成十八年の首都直下地震による東京の被害想定においては、特に甚大な被害が想定されております。このため、東部地域におきましては、これまで以上の取り組みが必要であり、今後、劣化が見込まれる総延長約一千六百キロメートルに及ぶ管路の取りかえについて、新規に事業化を図り、積極的に実施してまいります。




質問7
 次に、復旧対策は、首都中枢機関等では発災後三日以内、都内全域では三十日以内としています。しかし、一日でも早い復旧は都民のだれもが願うところです。そこで、例えば路上での仮配管など通水を優先する復旧方法、これを検討すべきと思いますが、見解を伺います。


答弁7
 ▼水道局長
 震災時において通水を優先する復旧方法についてでございますが、多くの地域で被害が生じる状況の中、復旧困難な箇所におきましては、路上に仮配管を行う方法が迅速な通水を確保する上で有効であると考えます。
 例えば、倒壊した建物が路上にあり、掘削して水道管の復旧を行うことが困難な場合や、橋梁に添架された水道管が被害を受け、復旧工事が複雑になるなどのケースでは、本復旧よりも仮配管による復旧の方が、より早期に通水が可能となります。
 このため、復旧用の資材の調達などについて検討を行い、仮配管方式の積極的な導入を図ってまいります。




質問8
 これまで個々の建築物等の耐震化について伺ってきましたが、子ども、高齢者などの災害弱者を含め、都民の安全を守るためには、これらの耐震化施策を初め、各種の震災対策を総合的に推進していく必要があると考えますが、知事の決意を伺います。


答弁8
 ▼知事
 震災対策についてでありますが、四川大地震や岩手・宮城の内陸大地震のような大地震から、災害弱者を含め、都民の安全を守るためには、都のみならず、区市町村、防災機関が連携して総合的な震災対策を推進していく必要がございます。
 このため、昨年、地域防災計画を抜本的に見直し、人的被害の半減など減災目標を定めまして、目標達成に向け、全庁を挙げて施設の耐震化や初動態勢の強化などに取り組んでおります。
 また、区市町村や防災機関と連携して、大規模活動拠点を活用するなど、発災時における迅速な救援体制を整備しております。
 今後とも、大地震から都民の生命、財産を守るため、震災対策を強力に推進し、災害に強い東京の実現に全力を尽くしてまいります。
■産業振興対策

質問1
 次に、中小企業振興について伺います。
 最近の原油、原材料価格の高騰は、価格転嫁が難しいこともあって、大企業に比べ収益回復がおくれている中小零細企業は憂慮すべき状況にあります。都として、こうした深刻な事態に置かれる中小企業を支援する立場から、具体的な対応策を講じていくことが必要であると考えますが、現在までの取り組み状況と今後の取り組みについて伺います。


答弁1
 ▼産業労働局長
 中小企業の厳しい経営環境への対応策についてですが、国際競争の激化や原油、原材料価格の高騰といった状況のもと、中小企業が経営の安定を図っていくためには、現下の状況変化に応じた緊急対策に加え、中長期的な視点に立った経営基盤の強化が不可欠であります。
 そこでまず、原油、原材料高への緊急対策として、特別相談窓口を設置いたしますとともに、本年四月から原油・原材料高対策特別融資を実施いたしました。また、中小企業の経営基盤の強化に向けまして、中小企業振興公社の下請取引紛争解決センターにおいて、早ければこの夏にも、裁判外紛争処理、いわゆるADR機関の認証を取得し、下請取引のさらなる適正化を図ってまいります。
 さらに、中小企業と大企業の対等な取引関係の構築を目指し、本年度から基盤技術産業グループ支援事業を実施いたしまして、中小企業グループによる共同受注体制の整備等に対し、資金、ノウハウの両面から支援してまいります。
 今後とも、中小企業を取り巻く環境変化に対応した施策をタイムリーに展開してまいります。




質問2
 また、事業承継は、中小企業にとって重要な問題です。そこで、我が党を初め都議会では、昨年十月、国に対して中小企業の事業承継円滑化のための税制措置等に関する意見書を提出し、後継者が事業を承継する際に発生する相続税の軽減等を強く求めてきました。このたび抜本的な改正が行われることになり、税制面では一歩前進をいたしました。しかし、ふさわしい後継者がいないため、事業が立ち行かなくなった事例も多いと聞いています。
 経営者の高齢化に伴い、事業承継問題がますます深刻化すれば、産業基盤そのものが崩壊しかねません。都内中小企業の事業承継を円滑に進めるための仕組みづくりを早急に進めるべきと考えますが、所見を伺います。


答弁2
 ▼産業労働局長
 中小企業の事業承継についてですが、東京の産業基盤を維持する上で、確実かつ円滑な事業承継は極めて重要であります。
 このため、まず、中小企業の経営者が、後継者の早期かつ計画的な育成を不可欠と認識して、みずから事業承継に取り組むよう、今年度新たに事業承継普及啓発セミナーを開催いたします。また、後継者等が経営戦略や相続に係る法令等を学ぶための事業承継塾を開催することに加えまして、事業承継について自主的な学習活動を行う中小企業のグループに対しまして、専門家を派遣してサポートするなど、これまでの相談窓口や融資制度の活用とあわせまして、中小企業における事業承継の取り組みを積極的かつ多面的に支援してまいります。




質問3
 次に、新銀行東京について伺います。
 先般、新銀行東京の二十年三月期決算が公表されました。今回の決算は、銀行が再建に向けたスタートを切る上で極めて重要な意味を持つものであり、我が党としても大いに注目していました。内容を見ると、おおむね三月に示された見込み数値どおりの結果となっているようですが、都は、この決算をどのように評価しているのでしょうか。
 また、決算発表に際し、新銀行東京は、今月末の株主総会に減資を提案することを明らかにしておりますが、減資について、都はどのように対応するつもりなのか、あわせて伺います。


答弁3
 ▼産業労働局長
 新銀行東京の決算の評価及び減資への対応についてですが、平成二十年三月期決算につきましては、前期決算と比べますと、営業経費の削減や貸倒引当金の減少によりまして財務内容の改善が見られるものの、依然としてデフォルトの発生が続いており、引き続き経営改善に向けた一層の努力が必要であると考えております。
 また、今回の減資につきましては、過去の負の遺産である繰越損失を一掃し、財務体質の改善を図ることができることから、都といたしましては、新銀行東京から減資の提案があれば、前向きに受けとめてまいりたいと考えております。




質問4
 さらに、減資を行った場合には、その財源として発行した都債について減債基金への積み立てが必要になりますが、これについてどのように対応するのか、伺います。


答弁4
 ▼財務局長
 減資が行われた場合の減債基金積み立てへの対応についてでございますが、都は、新銀行東京設立当初の出資金一千億円の財源といたしまして、七百億円の都債を発行しております。この出資債は、地方財政法の規定等によりまして、将来にわたり出資が維持されることを前提にしておりますので、減資が行われた場合には、減債基金への積立時期を繰り上げて実施することが必要となります。
 その場合、積み立てをどのように行うかにつきましては、今後具体的に検討していくことになりますが、金利負担の軽減、手数料の引き下げなど、財政的な創意工夫を凝らしながら、可能な限り早期に適切な対応を行い、都民生活や財政への影響を最小限にとどめるよう努力をしてまいります。




質問5
 都内中小企業は、原材料価格の高騰に加えて、サブプライムローンにより損失をこうむったメガバンクなどの貸し出し姿勢が慎重になっていることから、貸し渋りや貸しはがしの再燃も懸念されるなど、極めて厳しい状況にあります。新銀行東京は、東京の地域経済を支えるため、額に汗して日々努力している中小企業に対して円滑な資金供給を行うことが使命であります。
 都においても、こうした役割を持つ新銀行東京を中小企業政策などに十分活用し、厳しい経営環境にある都内中小企業への支援を強化していくべきです。そのためにも、一刻も早く新銀行東京の再建を軌道に乗せていかなければなりません。
 再建に向けてスタートを切って二カ月が経過しましたが、この間の新銀行東京における取り組み状況について伺います。


答弁5
 ▼産業労働局長
 新銀行東京における最近の取り組み状況についてですが、新銀行東京におきましては、再建計画に基づく効率的な業務執行と、中小企業への円滑な資金供給の確保を図っていくことが必要であります。
 新銀行東京は、本支店を新宿に集約する一方、資金繰りを初めとした相談を行う融資相談コーナーを、今月から、秋葉原の中小企業振興公社を初め城南、多摩の中小企業振興センターに、また、八月には城東のセンターにそれぞれ開設し、都内各地域の中小企業者の利便性の確保に努めてまいります。
 また、公共工事受注者に対する支援として、従来の商品に加え、工事着手後のより早期の段階での資金調達を可能とする新たなスキームを七月から開始いたします。
 都は、今後とも、新銀行東京が中小企業への継続支援に軸足を置きつつ、経営再建が着実に達せられるよう全力で支援をしてまいります。
■福祉・保健・医療対策

質問1
 次に、医師の確保対策について伺います。
 昨今の医師不足は、診療の休止や入院の制限など、地域住民の医療の確保に深刻な影響を与えています。都内の病院でも、分娩取り扱いを制限する、あるいは小児科の救急医療が実施できないという事態となっており、また、救急医療の現場においても、医師が長時間勤務等で疲弊するという状況も生じています。
 都は、我が党の医師確保を喫緊の課題として早急に対策を講ずるべきとの主張を受け、病院勤務医の勤務環境を改善することや、再就業のための補助事業を今年度から新たに実施することとしました。
 こうした緊急的な対策に加え、中長期的視点に立てば、小児医療や周産期医療、救急医療にかかわる医師数そのものを重点的にふやしていく必要があります。
 都は、本定例会に医学生に対する奨学金貸与条例を提案していますが、この事業の意義について伺います。


答弁1
 ▼福祉保健局長
 医学生に対する奨学金貸与についてであります。
 都内におきましては、小児、周産期などの医療を担う医師の養成が急務であります。このため、国の緊急医師確保対策を活用し、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大するとともに、奨学金貸与制度を創設し、平成二十一年度から九年間で四十五名の医師を養成することといたしました。
 この制度創設に際し、都は独自に、医師免許取得後九年以上、都内の小児、周産期、救急、僻地医療に従事することを条件といたしました。こうした取り組みによりまして、地域で不足する医療を担う医師を着実に確保してまいります。




コメント
 なお、地域医療を担う医師をより多く確保する観点から、奨学金制度のさらなる拡充なども検討するよう強く要望しておきます。




質問2
 次に、都立病院の医師確保について伺います。
 医師不足は、全国の自治体病院において極めて深刻な問題となっており、都立病院や公社病院においてもその例外ではありません。このため、我が党は、再三にわたり医師確保に向けた働きかけを行い、この四月には、都立病院において、医療の中核を担う部長、医長を中心に給与の改善を図るとともに、東京医師アカデミーを開講し、若手医師の育成に直接取り組むなど、安定的な確保に向けた総合的な対策が動き出しました。
 しかしながら、依然として産科の医師不足は顕著であり、現に豊島病院や荏原病院では分娩が中止となっています。分娩の再開に対する都民の期待は非常に大きいものがあります。
 そこで、医師確保と分娩の再開について、今後の展望を伺います。


答弁2
 ▼病院経営本部長
 都立病院における医師確保などに関する今後の展望についてでございますが、医師確保については、ご指摘のございましたとおり、議会のご支援をいただきまして、これまで、医師の給与改善や若手医師の育成を図る東京医師アカデミーの開講など、さまざまな取り組みを行ってまいりました。
 この結果、病院現場からも、医師離れに歯どめがかかり、新たな医師確保の機会が広がったという声が届くなど、着実にその効果があらわれてきているところでございます。
 また、ご質問の分娩の再開につきましては、地域からの要望が強いことから、病院経営本部といたしましても、産科医の確保に特に力を入れて取り組んでいるところでございまして、具体的には、今般の医師確保策の医療界への周知や各大学医局への働きかけなどを、本部、病院を挙げて積極的に行うことによりまして、現在分娩を休止しております都立豊島病院におきまして、常勤の産科医四名を確保することができました。このため、地域の医療機関との役割分担を踏まえ、これまで豊島病院が担ってきた、帝王切開が必要となるなどのリスク管理が求められる分娩に対応できるよう、この秋を目途に準備を進めているところでございます。
 引き続き、来年度の財団法人東京都保健医療公社への運営移管に向けまして、地域医療の充実を図るよう、万全の準備を行ってまいります。
 また、同様に分娩を休止しております同公社の荏原病院におきましても、ことしじゅうに産科医一名を採用し、平成二十一年度にはチームとして産科医の派遣を受ける見通しがつきましたことから、その後の分娩再開に向け、具体的な準備を進めていくと聞いておりまして、病院経営本部といたしましても、公社に対し必要な支援を行ってまいります。




質問3
 次に、小中学生を対象とした医療費の助成について伺います。
 東京の総人口に占める子どもの割合は、全都道府県中で最下位であり、さらに、二十三区では合計特殊出生率が一・〇にも満たないなど、厳しい状況が続いています。
 我が党は、こうした状況を踏まえ、首都東京の子育て環境の向上を強く要望し、昨年十月から、全国で初めて、都道府県レベルで中学生までの医療費自己負担を三割から二割に軽減する助成制度が開始されました。
 一方、知事は、所得格差を踏まえつつ、中学生までの医療費負担をゼロにすることを公約に掲げ、我が党の質問に対しても、公約の実現に向けて準備を進めると答弁されました。
 医療費助成の充実は、都民の切実な願いであります。早急な実現を要望するところですが、この制度は、区市町村みずからが制定する条例に基づいて実施されるものであり、その内容も区市町村によって異なります。東京都のみで拙速な議論をすべきではなく、実施主体である各自治体の意向、地域の実情を尊重し、助成内容、財政負担のあり方等について十分な検討を行うべきであります。
 そこで、助成内容拡大の実現に向けた今後の都の取り組みについて伺います。


答弁3
 ▼福祉保健局長
 中学三年生までの医療費助成についてであります。
 都では、中学三年生まで医療費の自己負担を二割に軽減することを目的として助成制度を開始し、昨年十月から都内すべての区市町村で医療費助成事業がスタートをいたしました。助成内容の拡大に当たりましては、ご指摘の点も踏まえながら、実施主体である区市町村と十分に話し合いを行うことが重要であると考えております。
 今後、事業の実績等を踏まえまして、実施方法や実施時期などについて区市町村と協議し、具体的な内容について検討を進めてまいります。




質問4
 次に、妊婦健康診査について伺います。
 妊婦健康診査は、安全な出産のために必要であり、その公費負担を拡充することは、母子の心身の健康を確保するだけでなく、ハイリスク出産の早期発見により産科医療を支援し、子育て費用の軽減を図る面もあります。
 都は、昨年度、区市町村や関係機関に働きかけて、公費負担の対象とすべき健診項目などを示し、健診の実施体制を整備しました。こうした取り組みにより、本年四月から、都内全区市町村で、最低限必要とされる五回以上の公費負担が実現しました。
 一方、国は、妊婦が分娩までに受ける健診の回数は、十四回程度が望ましいとしております。しかしながら、現在、都内で十四回の健診の公費負担を実施しているのは、区市町村の三分の一となっております。安全な出産を図る上で重要な役割を担う妊婦健康診査の拡充が必要と考えますが、所見を伺います。


答弁4
 ▼福祉保健局長
 妊婦健康診査の拡充についてであります。
 昨年、国が最低限必要な健診の回数を五回と示しましたことから、都と区市町村、医療機関等で健診の公費負担のあり方について検討を重ねまして、この四月から、すべての区市町村が少なくとも五回以上の公費負担を実施しております。
 今後、ご提案の趣旨や実施主体であります区市町村の動向も踏まえ、国が望ましいとしております十四回の妊婦健診の公費負担に向けて必要な財源措置を行うよう、国に強く働きかけてまいります。




コメント
 なお、助産所での妊婦健診については、区市町村により対応にばらつきがあると聞いています。都民にとって、より使いやすい制度にするよう強く要望しておきます。




質問5
 次に、長寿医療制度について伺います。
 長寿医療制度は、超高齢社会に備えて、我が国が世界に誇る国民皆保険制度を堅持するため、高齢者の方々の医療費を社会全体で支える仕組みとして構築されたものです。ところが、制度が開始された四月以降、十分な説明がないまま保険料が年金から天引きされた、保険料が法外に高くなったなどの声が多く寄せられ、事前の準備や広報が不十分であったことは否めません。
 また、これまで我が党は、適正な水準となるよう、広域連合への適切な支援を求めてきたところですが、現在、国においても、与党プロジェクトチームが提出した低所得者層に対する保険料の軽減措置などの改善案をもとに、運用の見直しを行っています。
 そこで、都は、こうした現状を踏まえ、今後どのように対応しようとしているのか、伺います。


答弁5
 ▼福祉保健局長
 長寿医療制度についてであります。
 都は、運営主体である後期高齢者医療広域連合に対し、法定の財政負担に加え、円滑な運営のための財政支援や助言、指導を行っておりますけれども、現在、国におきましては、制度開始以降の状況を踏まえ、低所得者層への保険料の軽減などの改善策を検討しております。
 都といたしましては、国の責任において運営実態を踏まえた必要な改善を講じるとともに、高齢者の方への周知を行うよう、強く求めてまいります。
 また、制度の趣旨や仕組みについて十分な理解が得られるよう、都としても、広域連合や区市町村と連携して、わかりやすい広報の推進に努めてまいります。




コメント
 なお、特定健康診査の実施率などが目標に比べて低い場合、その医療保険者から本制度に、より多くの支援金を負担させる仕組みであることなどについても、今後さらなる検討が必要なことも申し上げておきます。




質問6
 次に、介護保険制度について伺います。
 最近、介護職を志す人は減少しており、介護人材の養成機関においては、定員充足率が五〇%を下回っているところもあります。
 さきの予算特別委員会において、我が党は、東京の実態を反映した介護報酬とすべきとの提案を行いました。これを受け、都は先日、介護報酬のあり方等に関する提言を行いましたが、その具体的内容とねらい、また、今後の国への働きかけについて伺います。


答弁6
 ▼福祉保健局長
 介護報酬等に関する国への提言についてであります。
 昨年、都は、賃金や物価水準等の地域差を適切に反映した介護報酬とするよう提言をいたしましたが、その後の調査結果から、改めて、多くの特別養護老人ホーム等で事業収支が悪化をし、離職者の割合も高いなど、厳しい経営状況が明らかになったところでございます。
 このため、今回は、昨年の内容に加えまして、介護人材の定着、確保を図るため、介護福祉士等の資格の有無や職務経験などを適切に評価できる介護報酬とすることなどを提言いたしました。
 また、地価の高い大都市の実情を踏まえて、特別養護老人ホームについては、施設建物を借り受けて設置できるよう、規制緩和を求めております。
 今後とも、来年度の介護報酬改定に向けて、あらゆる機会を通じて国に働きかけてまいります。




質問7
 次に、新型インフルエンザ対策について伺います。
 新型インフルエンザ対策のかなめとなるのはワクチンです。プレパンデミックワクチンの生産体制は、実際に新型インフルエンザが発生した場合に全国民のワクチンを生産するための基盤でもあり、国は早急に生産体制の増強と備蓄の強化を検討すべきです。また、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄規模を拡充することも求められています。
 都は、あらゆる機会を通じて、国に対し強く要望するとともに、率先して取り組みを進めるべきと考えますが、所見を伺います。


答弁7
 ▼福祉保健局長
 新型インフルエンザ対策についてであります。
 新型インフルエンザによります健康被害と社会的、経済的混乱を最小限に抑えるためには、国が中心となって事前の対策を十分に講じておくことが重要でございます。そのため、都は、国に対して、保健医療体制の整備に関する緊急提案を行うとともに、抗インフルエンザウイルス薬や個人防護具の備蓄等、独自の取り組みを進めてまいりました。
 しかし、国の動きは遅く、現在、プレパンデミックワクチンの備蓄は二千万人にとどまっており、新型流行後のパンデミックワクチンを短期間で生産できる体制もできておりません。今後、パンデミックワクチン及びプレパンデミックワクチンの生産体制の強化を国に対して強く求めてまいります。
 また、ワクチンの接種対象や優先順位もいまだ定まっていないところでありまして、このため、国が具体的な接種計画を明確化し、あらかじめ国民に十分な説明を行うよう提言してまいります。
 なお、本年度、医療従事者等六千四百人を対象としてプレパンデミックワクチンの臨床研究を実施いたしますが、その結果についても、都民、国民に速やかに公表するよう、働きかけてまいります。
 都としても、国内外の情報収集や都民への普及啓発に努めるとともに、現在、約百万人分を備蓄しております抗インフルエンザウイルス薬について、備蓄量の大幅な増大を検討してまいります。




質問8
 また、地域においても着実に準備を進める必要があります。今後、患者が実際に発生した場合を想定して、地域における医療機関の受け入れ体制などを具体的に検討していくべきと考えますが、所見を伺います。


答弁8
 ▼福祉保健局長
 新型インフルエンザ発生時の医療体制についてであります。
 都は、本年五月に、新型インフルエンザ発生時の医療提供体制ガイドラインを策定いたしました。この指針は、平成十九年三月に策定をいたしました新型インフルエンザ対応マニュアルをより具体化し、保健所、区市町村、医療機関等の関係機関が発生段階に応じて担う役割と連携のあり方などを明確に示したものであります。現在、指針をもとに、地域医療体制の確保に向けまして、都内十のブロックで協議会を順次立ち上げ、検討を進めております。
 今後、協議会では、医療機関ごとの具体的な役割分担や資機材の備蓄方法等を協議するとともに、実践的な訓練や研修会等を実施する予定でございまして、こうした取り組みを通じて、地域における新型インフルエンザ対策の強化に努めてまいります。
■食の安全・安心対策

質問1
 次に、豊洲新市場予定地の計画について伺います。
 豊洲新市場予定地の土壌汚染問題は、専門家会議での冷静かつ客観的な検討にもかかわらず、過熱する報道ぶりに、都民や市場関係者は、一体何を信じればいいのか、困惑しています。
 本来、築地市場の移転は、市場関係業界、市場流通を利用する方々、ひいては都民のためのものです。五十年先、百年先まで活用される新市場は、将来の世代に引き継いでいくべき都の大きな社会的資産であり、移転に係る諸課題について、未来への投資という長期的な視点で総合的に議論していくことが必要です。
 我が党としては、科学的に安全な土壌汚染対策について議論することはもちろん、今こそ都民や市場関係者が安心できるようにしていくことが最も重要であると考えています。
 そこでまず、今回の調査結果について、都としてどうとらえ、また、調査結果を踏まえた土壌汚染対策の方向性についてどのように考えているか、見解を伺います。


答弁1
 ▼中央卸売市場長
 豊洲地区における詳細調査の結果と対策の方向性についてでございます。
 敷地全域にわたる四千百二十二カ所の詳細調査の結果、土壌から環境基準の四万三千倍、地下水から一万倍のベンゼンが、それぞれ一カ所で検出をされました。しかし、敷地全域がこのような高濃度の物質で汚染されているわけではなく、その範囲は、都市ガス製造時の旧空き地区域の極めて限定された場所でございます。
 この調査結果に基づき、専門家会議では、土壌について、環境基準を超える汚染物質をすべて除去いたしますとともに、深さ四・五メートルまでの土壌の入れかえと盛り土を行い、地下水についても、最終的に環境基準以下に浄化することとし、あわせて、施設開場後も水位、水質を監視していくなど、これまで予定していた対策をより強化する内容で検討が進められております。
 これらの対策により、仮に人が生涯にわたってこの土地に住み続けたといたしましても、健康への影響はなく、まして、生鮮食料品を扱う市場の安全・安心は十分確保されるとしております。
 現在、詳細調査により、土壌から環境基準を超える汚染物質が検出された箇所などで、深さ方向に、より詳しい土壌ボーリング調査を実施しており、専門家会議では、この調査結果を確認の上、七月には提言をまとめる予定でございます。




質問2
 今日の卸売市場は、何よりも食の安全・安心が重視されなければなりません。また、多様な顧客ニーズへの対応が求められており、老朽、狭隘化のため、高度な品質管理が可能な施設が絶対的に不足し、十分な物流環境を整えられない築地市場は、一刻も早く抜本的な方策を講じなければなりません。
 先日、我が党に対し、築地市場業界団体の代表の方々から、豊洲新市場建設計画の推進について要望をいただきました。その趣旨は、かつて着手した現在地再整備が市場業者の営業に大きな支障となり、結局、とんざせざるを得なかった苦い経験を踏まえ、豊洲移転を推進していること、また、都が風評被害の防止も視野に入れた最善、最強の改善方策を講じ、全国に先駆けた食の安全・安心が確立された豊洲新市場を実現することを強く要望するものでありました。
 そこで、都は、移転に向けた市場業者の思いをどうとらえているのか、また、現時点でも、現在地での再整備は本当に不可能なのか、財源面も含め、見解を伺います。


答弁2
 ▼中央卸売市場長
 移転に向けた市場業者の思いと、現在地再整備の可能性についてでございます。
 去る五月二十七日、築地市場の業界から、知事と都議会に出された豊洲新市場建設推進の要望書は、厳しい経営環境を踏まえ、市場の将来を真剣に考え、移転を進めようとする現場からの切実な思いであると認識をしており、この要望書が築地市場の大多数の団体の連名で提出されたことを重く受けとめております。
 現在地再整備につきましては、敷地のほぼすべてが利用されており、再整備工事に不可欠な種地が確保できないこと、敷地が狭隘なため、品質管理の高度化や新たな顧客ニーズに対応する各種施設を整備する余地がないこと、アスベスト対策を含め、営業しながらの長期間で困難な工事となるため、顧客離れなど、市場業者の経営に深刻な影響を与えることなどから、築地市場の再整備は不可能でございます。
 また、財政面においても、中央卸売市場会計が保有する資金では、現在地再整備に要する事業費を賄えず、跡地の売却収入という補てん財源がないことから、実現性のある計画を策定することはできません。




質問3
 平成十一年、都と市場関係団体の代表とで構成する築地市場再整備推進協議会において、現在地再整備から移転整備へと方向転換したと聞いています。移転地の決定に当たっては、卸売市場として備えるべき条件を満たす複数の候補地を選び、最終的に豊洲が最適と判断したとのことですが、判断した具体的な条件は何なのか、また、現在でも豊洲の代替地はないのか、見解を伺います。


答弁3
 ▼中央卸売市場長
 豊洲地区が最適と判断した具体的な条件と代替地についてでございます。
 移転を決定した当時の検討におきまして移転先の条件としたのは、一つには、広い駐車場や荷さばきスペースを配置できる約四十ヘクタールのまとまった用地が確保できること、二つに、大消費地である都心部の周辺で、交通条件の良好な位置にあること、三つ目に、築地がこれまで築き上げてきた商圏に近く、機能、経営面で継続性が保てる位置にあることなどでございます。
 この条件で晴海、有明北地区など五地区を候補地として比較検討を行った結果、すべての条件を満たす豊洲地区に決定したものでございます。
 現在、この決定から七年を経過し、取扱量や流通環境に変化が見られることから、条件を再度確認いたしましたが、新たな顧客ニーズにこたえる施設や、緑化など環境に配慮した整備の必要性、消費地からの交通アクセス及び買い出し人などの利便性確保の観点から、当時の条件は今日においても妥当でございまして、移転先としてふさわしい四十ヘクタールのまとまった用地は、豊洲以外に見出し得ない状況にございます。




質問4
 現在、豊洲の土壌汚染問題については、四万三千倍という汚染の最高濃度のみをもって計画を白紙に戻すべきというような意見もありますが、重要なのは、今後示される専門家会議の提言、都の土壌汚染対策の具体的な計画を踏まえ、冷静かつ長期的視点から議論し、その結果について都民の理解を得ていくことであります。
 今後の進め方を含め、豊洲移転について知事の所見を伺います。


答弁4
 ▼知事
 豊洲移転の今後の進め方についてでありますが、豊洲新市場予定地における約四千百カ所の詳細調査で、四万三千倍のベンゼンが、ただ一カ所でありますけれども、一カ所から検出されました。これは決して敷地全体がこうした高濃度の物質で汚染されているわけではございません。その範囲は極めて限られております。一カ所です。
 一部の数字のみが喧伝されており、風評被害が広がることが懸念されておりますが、事実を正確に把握して冷静に対処していくことが必要であります。
 築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなく、衛生面での課題やアスベストの問題もありまして、一刻も早い対応が必要であります。
 対応に当たっては、この先数十年にわたって使い続ける首都圏の基幹市場をどう整備するかという長期的な視点に立って考えていかなければなりません。
 豊洲地区の土壌汚染については、専門家会議の提言が七月に予定されておりまして、都としては、各分野の方々からの提言を幅広く受けとめ、既存の枠にとらわれずに、さまざまな新技術や工法の可能性も、これは、既に幾つか思いがけない提案がございます。そうした可能性を探りながら、早期に具体的な計画を取りまとめていくつもりでございます。




質問5
 次に、BSE対策についてです。
 平成十三年、我が国で初めてBSE感染牛が確認されて以来、都は、食の安全を守るため、都内でと畜するすべての国内産の牛を対象としたBSE検査を実施してきました。国は、本年七月末をもって生後二十カ月以下のBSE検査を終了するよう、各自治体に協力を求めておりますが、逆に多くの自治体は全頭検査の継続を表明しております。
 都としても、全頭検査を引き続き維持していくべきと考えますが、所見を伺います。


答弁5
 ▼福祉保健局長
 BSEの全頭検査についてであります。
 国は、食品安全委員会の科学的評価を踏まえて、平成十七年に生後二十カ月以下の牛を検査対象から除外いたしましたが、自治体がそれらの検査を自主的に行う場合の費用補助につきましては、最長三年間の経過措置を設けました。
 本年七月末にこの経過措置が終了するに当たり、国は、生産流通現場での混乱を回避するため、全自治体が一斉にこの自主検査を終了すべきと通知をいたしましたが、多くの自治体は全頭検査の継続を表明しております。
 都は、都民の安心を確保する観点や、流通現場の要望などを総合的に勘案し、八月以降もこれまでと同様に全頭検査を実施してまいります。
■東京都教育ビジョン

質問1
 次に、教育関係について簡潔に伺います。
 今般、都は、第二次の東京都教育ビジョンを策定し、日本の伝統・文化理解教育の推進を特に重点的に取り組む事項の中に掲げています。我が党は、引き続き、家庭、地域社会、学校の三者が連携を深め、一丸となって教育再生を目指していくことが重要と考えます。
 今後の東京都の教育行政を進める上での基本的な理念、それを実現する手だてについて伺います。


答弁1
 ▼教育長
 教育行政を進める上での理念と手だてについてであります。
 都教育委員会では、教育は、平和的な国家及び社会の形成者として、自主的精神に満ちた健全な人間の育成と、我が国の歴史や文化を尊重し、国際社会に生きる日本人の育成とを期して行われなければならないことを教育目標で定めております。
 こうした教育の普遍的な使命を踏まえ、東京都教育ビジョン(第二次)では、社会全体で子どもの教育に取り組み、一人一人に生きる力をはぐくむ教育を推進することを東京都が目指すこれからの教育の柱とし、それを実現するために、新たに二十七の重点施策と八十の推進計画を五カ年の年次計画として示しております。
 今後、本ビジョンの推進計画を着実に推進し、国、区市町村、民間も含めた関係機関の協力を得ながら、家庭、学校、地域の社会総がかりで東京の教育改革に取り組み、確かな学力の育成を初め、子どもたちの生きる力をはぐくんでまいります。




質問2
 次に、児童生徒の学力向上について、都はどのように進めようとしているのか、また、学習内容の増加に伴い、指導する時間の確保が課題となりますが、既に土曜スクールや夏休み短縮などを行っている区市町村の独自の取り組みをどのように支援しようとしているのか、所見を伺います。


答弁2
 ▼教育長
 児童生徒の学力向上策についてであります。
 児童生徒の学力向上につきましては、学校教育において着実に行うことが基本であり、各学校では授業改善に真摯に取り組むことが重要であります。
 都教育委員会では、こうした学校教育の役割を認識し、習熟の程度に応じた少人数指導を行うための教員の配置、東京教師道場や教職大学院を活用した現職教員の指導力向上の取り組みなど、区市町村が授業改善に主体的に取り組めるよう支援してまいりました。
 また、教員が週休日である土曜日に授業等で勤務する場合には、半日単位で週休日を変更できるよう条例を改正するなど、授業時間をより確保していくための条件整備も行ってきたところでございます。
 今後とも、区市町村教育委員会が進めていく授業改善のための取り組みを積極的に支援していくとともに、授業時間を確保するための取り組みにつきましては、学校週五日制のもとで、土曜日や長期休業日を活用する先進的な事例を紹介するほか、個別の相談に応ずるなどして、区市町村教育委員会を支援してまいります。




質問3
 さらに、教員の大量退職期を迎えるに当たり、新規に採用した教員を組織的に育成する仕組みを整えることが極めて重要と考えます。経験年数や職責に応じて教員が身につけるべき力を明確にして、資質向上を図るべきと考えますが、見解を伺います。


答弁3
 ▼教育長
 教員の資質向上についてであります。
 教員の大量退職、大量採用が続く状況の中で、教員の育成はこれまで以上に意図的、計画的に行い、教員一人一人に役割と責任を自覚させ、確実に職責を果たせるよう育成していくことが重要であると考えております。
 そのため、東京都の教育に求められる教師像や、経験、職責に応じて身につけるべき力を明らかにしまして、配置管理、昇任、OJT、研修、人事考課などを人材育成の視点から体系的に示す教員人材育成基本方針を策定してまいります。
 とりわけ、日常の職務遂行を通じた計画的な人材育成が重要であることから、新たにOJTガイドラインを策定いたしまして、各学校の取り組みを支援するとともに、研修体系を人材育成基本方針を踏まえて見直すなど、人材育成の取り組みを総合的に向上させてまいります。




質問4
 また、特別支援学校の教員は、豊富な経験と、医療や福祉の専門的な知識が求められています。とりわけ介助や医療的なケアを必要とする肢体不自由特別支援学校において、研修の充実に加え、外部人材の活用も含めた早急な対応が必要ではないでしょうか。見解を伺います。


答弁4
 ▼教育長
 肢体不自由特別支援学校における外部人材の活用についてでございます。
 肢体不自由特別支援学校において、児童生徒の障害の状況に適切に対応した質の高い教育を行うためには、個別の支援計画を活用し、学習と生活の両面から、より専門性の高い指導を行っていく必要がございます。
 このため、都教育委員会では、現在、肢体不自由特別支援学校における自立活動の指導に当たりまして、理学療法士や心理職等の外部からの専門家を活用し、指導内容や方法の充実と教員の専門性の向上を図っているところでございます。
 今後は、介護の専門家等の外部人材と教員がチームで対応する都独自の指導体制を創出いたしまして、介助の専門性を確保するとともに、教員が教科指導や生活指導の一層の充実に取り組むことにより、質の高い教育を目指してまいります。
■副知事のあり方

質問1
 最後に、副知事のあり方について質問いたします。
 昨年の第二回定例会に提案された猪瀬氏の副知事選任同意に当たって、我が党は、知事に対して二点の申し入れを行いました。
 まず、猪瀬氏が以前、都や知事の主張と相入れない発言を行ってきた点についてです。就任後、猪瀬氏の発言が都の意向に反することのないよう、知事に十分なる調整をお願いしました。
 次に、国を含め対外的な対応は、知事の代理を同氏が担当され、内政面については他の三副知事にゆだねるべきであると申し上げました。
 知事は、この懸念に対して、猪瀬氏としっかりと話し合うと述べられ、その後、知事みずから我が党に対し、猪瀬氏には、国などとの問題について都のために活躍してもらう旨を述べられ、そのようなお互いの理解のもとに、我が党は猪瀬氏の副知事起用に賛成いたしました。
 私たちは、猪瀬氏の持つ発信力、見識については一定の評価をするものでありますが、しかし、一年前の懸念は現実のものとなっています。幾つかの実例を挙げた上で、最後に質問をいたします。
 まず、第一点目は、調布飛行場の問題についてであります。
 猪瀬副知事は、この四月、調布飛行場の視察をし、その際、空港が有効利用されていない、地元との協定に縛られ、今どきジェットがだめなどはないなどと発言をしました。
 調布飛行場については、平成九年に地元三市との間で、年間離着陸回数、飛行方式などを定めた協定、覚書を締結し、十三年に開港いたしました。十八年十一月には、計器飛行の導入に向けて、都と地元市が検討を開始いたしました。同時に、総合スポーツ施設整備計画の凍結解除についても協議を進め、この第一回定例会で、我が党の吉野幹事長の代表質問で知事の答弁を引き出したように、味の素スタジアムに隣接する都有地に総合スポーツ施設を整備することが決まり、今後、計器飛行に向けて本格的な検討を開始しようとしたやささきに猪瀬副知事の発言がありました。
 この発言に対しては、地元の方々から、地元との合意を一方的にないがしろにするものだ、このようなことでは、もう計器飛行は認められないと、抗議の声が我が党に寄せられています。島しょにとって悲願である計器飛行導入にマイナスとなる発言をされた副知事としての責任は、極めて重い問題であります。
 次に、千代田区紀尾井町の参議院議員宿舎の移転建てかえ問題についてであります。
 猪瀬副知事は、昨年八月、テレビクルーを連れて、反対されている住民の方と現地を視察し、その模様を映した番組にみずから出演して反対の論陣を張るなど、副知事として著しく公平性を欠いた言動をしています。
 本件については、地元の千代田区も、地域での長い合意形成の努力や、都知事の同意を経て決定された地区計画は尊重されなければなりませんと述べています。地域のまちづくりは、まず地元において判断がなされるべきであります。
 石原知事は、四月十一日の定例の記者会見で、参議院側と協議の再開に合意したことを表明されました。しかし、猪瀬副知事は、五月の反対派の住民からの陳情の際に、参議院側と公開討論をしたいとか、計画決定に至る議論の議事録を参議院は公開すべきなどと発言をしています。猪瀬副知事のこの発言は、石原知事の意向を踏まえたものなのか、自身のパフォーマンスなのか、極めて疑問であります。
 第三点目ですが、茨城空港等に関する猪瀬副知事の発言であります。
 猪瀬副知事は、茨城空港がむだな投資であるがごとくの発言を行いました。茨城空港は、茨城県がみずから必要と認め、進めている事業であります。他の自治体の行政関係者が判断するものではありません。他の自治体の首長、議員を公然と批判するのは甚だ失礼であります。互いの自治を尊重することは地方分権の基本であります。
 このほかにも、昨年十二月に、法人事業税の一部国税化に当たって、知事が福田首相と約束された十三項目の協議事項について、羽田空港の国際化だけに力点を置き、それだけをやるといっているように聞こえる発言を行うなど、副知事としての自覚に欠けた言動は枚挙にいとまがありません。
 こうした猪瀬氏の一連の行動は、作家、評論家としての言動であるかもしれません。しかし、副知事の職にある以上は、責任ある立場をわきまえた発言と行動が求められていることは当然のことであります。
 副知事は、選挙で選ばれた政治家ではありません。議会の同意を得た上で選任された公務員であります。我々は、選任に同意した都議会の第一党として、都民に無用な不安や誤解を与え、都政への信頼を揺るがしかねない猪瀬氏の一連の行動は、もはや見過ごすことができません。
 論語に、巧みな言葉、巧言は徳を乱るとありますが、政治も行政も、そして社会も、常にお互いの信頼関係を第一に心がけるべきであります。
 石原知事は、猪瀬副知事のこのような言動を踏まえ、東京都における副知事のあり方についてどのようにお考えになり、今後どのように指導していこうとしているのか、知事のお考えをお伺いし、質問を終わります。


答弁1
 ▼知事
 猪瀬副知事に関するご指摘についてでありますが、まさに博覧強記ですぐれた理論家の猪瀬氏は、緻密な分析をもとに、道路公団の改革などに成果を上げてこられました。そうした手腕を見込んで副知事を引き受けてもらいまして、以後、期待にたがわず、私を十分に補佐してくれております。
 しかし、ご指摘はご指摘として、しかと承ります。賢明な猪瀬氏のことでありますので、今後、適切に判断、発言し、行動していただけることと思っております。

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