松葉多美子(公明党)
質問1
初めに、東京オリンピック招致に大変に重要な位置づけとなる文化プロジェクトに関連し、都の文化施策について伺います。
都は、「十年後の東京」実行プログラム二〇〇八の初年度で、東京の新たな文化の創造、発信とし、大規模な文化プロジェクトの展開を計画し、幅広い分野でのイベント開催を予定しております。
こうした取り組みは、世界の主要都市と競い合える芸術文化の創造、発信、そして芸術文化を通じた子どもたちの育成にも大きく寄与するものであり、文化先進都市東京への大きな第一歩として、高く評価いたします。
公明党は、昨年の第二回定例会の代表質問で、二十世紀最高峰のバイオリニストであるユーディー・メニューイン氏が提唱し、国際音楽評議会が制定した国際音楽の日が十月一日であり、同日を都民の日と制定している東京の音楽の祭典の日と定めて、音楽で世界の人々をつなぐ日としてはどうかと提案いたしました。
その際の石原知事の答弁も極めて前向きなものでしたが、東京の芸術文化振興の取り組みを世界に大きく発信し、理解を得るためにも、大規模な音楽フェスティバルを国際音楽の日に合わせて開催するべきと考えます。
その後の検討状況もあわせ、まず、改めて所見を伺います。
答弁1
生活文化スポーツ局長
文化施策に関する質問にお答えいたします。
まず、国際音楽の日と大規模文化プロジェクトについてでありますが、東京からの芸術文化の創造、発信を積極的に行っていくため、来年度から大規模文化プロジェクトを立ち上げることとし、このうち音楽分野については、ミュージック・ウィークス・イン・トーキョー事業を開始いたします。
来年度は、プロやアマチュア音楽家の幅広い参加によるジャンルを超えたコンサートを連続的に実施する予定でございます。
さらに、国際的なクラシック音楽のフェスティバルの開催に向けて、今後、準備を進めてまいります。
開催期間につきましては、ご提案の十月一日の国際音楽の日が含まれるよう、引き続き検討してまいります。
質問2
次に、芸術文化を通じた子どもたちの育成について伺います。
都が平成十六年度から実施している、こども能チャレンジ事業は、プロの能楽師から直接けいこを受けた子どもたちが、本格的な能舞台で成果を発表するプログラムであります。
先日、江戸東京博物館で行われた発表会を拝見してまいりました。子どもたちは狂言や舞、おはやしを見事に演じ、そして、その後は、プロの舞台を食い入るように鑑賞しておりました。みずからが体験し、挑戦したものを、実際にプロはどう演じるのかを確認できるプログラムになっているわけです。
子どものころに本物の芸術に触れることは、健全育成に大きな効果があるだけではなく、その子どもたちがやがて将来の芸術文化振興に貢献していく契機となります。
こうした取り組みは、オリンピック招致に向けて、東京の文化面でのプレゼンスを確立するためにも、極めて重要であると思います。子どもたちが身近な地域で芸術文化を実体験できる機会を、これまで以上にふやしていくことが必要と考えます。
知事の所見を伺います。
答弁2
知事
芸術文化を通じた子どもたちの育成についてでありますが、子どもたちは大人の常識に縛られない柔軟な感受性、奔放な創造力を有しております。
その子どもたちが本物の芸術文化に触れることで、創造力を伸ばし、豊かな心をはぐくむことは、その子どもだけではなく、社会全体にとって、人間の可能性を広めていく上でも非常に重要だと考えます。
来年度から展開する大規模文化プロジェクトでは、能や狂言、演劇、音楽などの分野で規模を大幅に拡大しまして、子どもたちを対象とした体験型文化プログラムを実施いたしてまいります。
今後とも、将来の文化の創造、発信を担う子どもたちに向けた文化施策の充実に努めていきたいと思っております。
質問3
次に、東京文化会館の音楽資料室についてであります。
東京文化会館には、全国でも数少ない音楽専門の資料室があります。図書類やCD、DVDなどだけではなく、個人では購入困難な楽譜類など、音楽に関する資料を幅広く所蔵しており、都民の音楽活動を支援していく上で大変重要な施設となっております。
オリンピック招致に向けて文化プログラムの策定を進める東京都にとっても、ここは、海外の音楽に関するさまざまな情報を得られる貴重な施設であると思います。
例えば、オリンピック参加国の国歌を日本の子どもたちが友好交流のために演奏しようとしても、その楽譜やパート譜などが簡単に入手できないという実情があります。
現在、音楽資料室には約二十カ国程度の国歌のパート譜を所有していると聞きますが、それでは不十分であります。音楽資料室みずからコレクションを収集するとともに、関係機関と連携するなどして、各国の国歌などの楽譜を初め、国内外の質の高いコレクションを形成し、オリンピックの文化プログラムに役立つ音楽資料室として充実を図るべきと考えます。所見を伺います。
また、貴重な資料を展示の手法で企画展として開催するなど、積極的に都民に紹介すべきであります。あわせて所見を伺います。
答弁3
生活文化スポーツ局長
次に、東京文化会館についてでありますが、その音楽資料室はクラシック音楽を中心に十万点を超える豊富な資料を有する国内でも数少ない施設でございます。所蔵している資料は、音楽関係の図書や楽譜、CD、DVDに加え、過去の演奏会のプログラムなど、東京文化会館ならではの貴重なものもございまして、今後も充実を図ってまいります。
お話の世界の国歌の楽譜につきましては、収集を進めておりますが、現在、収蔵していないものの入手先につきましても、大使館や音楽大学などの協力を得て、情報提供に努めてまいります。
また、文化会館で開催中の演奏会の曲目や音楽家などに関係する資料の企画展示等も検討してまいります。
質問1
次に、環境学習について伺います。
持続可能な都市を構築し、地球温暖化解決に向けた方策の一つとして、子どもたちにも環境問題の現状や課題を理解させ、その解決に向けて、みずから気づき、考え、行動する大人に育てていかなくてはなりません。
企業や地域、家庭といった社会のあらゆる分野で、地球環境や地域の環境に配慮した行動がとることができる社会人に、そして、シンクグローバリー、アクトローカリー、すなわち、地球規模で考え、足元から行動できる子どもたちに育てていくことが重要です。
まずは、学校での環境学習のさらなる充実を進めるべきでありますが、所見を伺います。
答弁1
環境局長
環境学習のさらなる充実についてでございますが、地球温暖化問題の解決には、都民一人一人の主体的な取り組みが不可欠であり、とりわけ次代を担う子どもたちの意識をはぐくむことが重要でございます。
環境問題を深く理解し、主体的に行動できる子どもたちを育てていくためには、学校現場において、教員が幅広い知識を改めて習得した上で環境教育を展開していくことが求められます。
都では、関係各局が連携し、全公立小学校の教員が研修できる機会を来年度から五年間継続的に提供するとともに、私学にも積極的な参加を呼びかけ、実践的な環境プログラムを習得したリーダーを育成することにより、学校における環境学習の充実を図ってまいります。
質問2
都議会公明党は、先日、中央防波堤埋立処分場を視察いたしました。この処分場には、毎年五万人を超える小中学生が社会科見学に訪れています。昭和五十年代から埋め立て続けられてきた巨大なごみの島を目の当たりにし、人間の営みの中から日々排出される膨大な量のごみが処理される様子を学んでいます。
見学した子どもたちからは、ごみを処理するのはとても大変だということがわかりました、なるべくごみを出さないようにしようと思いますといった感想が多く寄せられていると伺い、埋立処分場の見学会は資源の大切さを学ぶ、絶好の機会になっていると改めて実感いたしました。
都は、この環境局庁舎などを平成二十年度に環境学習拠点として再整備するとしていますが、その際には、地球規模の深刻な環境問題をも学び、実感できる環境学習の拠点とすべきであると考えます。所見を伺います。
答弁2
環境局長
埋立処分場見学会の今後の展開についてでございますが、平成二十年度から中央防波堤埋立地の環境局庁舎内に、さまざまな環境問題を展示する新たな環境学習拠点を整備するとともに、見学コースにつきましても、風力発電施設や海の森などを盛り込んだものに再構築する予定でございます。
これにより、見学に訪れる子どもたちが、温暖化問題など地球が直面するさまざまな環境の危機について学ぶとともに、緑に囲まれ、再生可能エネルギーの利用が進んだ未来の東京を思い描き、そのような東京の実現に向けて、一人一人の都民が行動を起こすきっかけをつくってまいります。
質問3
また、同じ臨海部にある水道局の水の科学館でも、展示物の更新時期を迎えているようですが、リニューアルの際には、環境の視点を取り入れ、展示の充実を図るべきです。所見を伺います。
答弁3
水道局長
環境の視点を取り入れた水の科学館の充実についてでございますが、水の科学館は、水について楽しみながら学習することを通じて、水道事業への理解を深めていただくことを目的とする体験型の展示施設でございます。
平成九年の開館以来、多くの方においでいただき、これまでの来客数は百四十万人に達しております。
水道事業は、地球がはぐくんだ貴重な水資源を飲み水にするという、環境と深くかかわる事業でございます。
水の科学館の展示、企画については、子どもたちが水について学ぶ中で、地球環境の大切さも認識し、実感できるものとなるよう検討してまいります。
質問4
このほか、臨海部には日本科学未来館や虹の下水道館など、環境問題にかかわりの深い見学施設が多数立地していますが、例えば、処分場に見学に来た小中学生に、臨海部のさまざまな施設の紹介や家庭でできる省エネ、省資源の取り組み方などをエコマップとして作成、配布すれば、家庭でもっと省エネに取り組もう、家族で環境施設の見学に行こうという意識啓発にもつながると思います。
このような取り組みにより、都は、日本科学未来館など、臨海部における環境関連の見学施設をネットワーク化し、子どもから大人まで、環境学習ができる場として充実させていってはどうかと提案いたします。見解を伺います。
答弁4
環境局長
家族で環境学習ができる機会の提供についてでございますが、家族で環境問題を学ぶことは、子どもたちだけではなく、大人にとっても貴重な経験になるものと考えております。
そのためには、お話のように、日本科学未来館など、環境関連の展示を行っている臨海部の他の施設を紹介する地図などを載せたリーフレットを作成し、処分場見学会に訪れた子どもたちに配布することによって、家族でこれらの施設を訪れるきっかけとすることが有効であり、関係機関と連携して、速やかに取り組んでまいります。
また、夏休みの親子向け処分場見学会の際にも、臨海部の他の施設を紹介するなど、家族で一緒に環境問題をより深く学習できる機会を提供してまいります。
質問1
次に、女性の健康支援策について伺います。
近年、男女間で発症のしやすさなどに差がある病気に着目して、性別によって異なる医療を行う性差医療の有効性にも注目が集まっております。
厚生労働省は、昨年十二月に発足させた民間有識者らによる、女性の健康づくり推進懇談会で議論を重ね、その上で、四月から研究施設や医療現場の意見を聴取し、性差医療の具体策をまとめると聞いております。
女性が一生を通じて、健康的に明るく充実した人生を過ごせるよう、女性の健康づくり施策を総合的に展開していく重要性が増しております。都の認識を伺います。
答弁1
福祉保健局長
女性の健康づくり施策についてでありますが、女性は思春期から高齢期までのライフステージごとに体の変化や疾病など、さまざまな健康上の問題に直面するため、生涯を通じて健康づくりを支援していくことが重要でございます。
都はこれまで、区市町村や関係機関と連携いたしまして、国に先駆けました骨粗鬆症検診や女性のための健康ホットラインなどの健康相談、ピンクリボン運動を通じた乳がん予防など、女性の健康課題に対する取り組みの充実に努めてまいりました。
今後も生涯を通じて、健康で生き生きと暮らせるよう、女性の健康づくりに関する施策を総合的に展開をしてまいります。
質問2
国では、本年を初年度として、毎年三月一日からの一週間を女性の健康週間とすることになりました。この新たにスタートする女性の健康週間について、都は、区市町村や関係団体等と一体となって取り組むことが必要と考えます。所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
女性の健康週間における取り組みについてでありますが、女性の生涯にわたる健康づくりを支援するためには、健康に関する知識を高め、女性の健康課題に対する社会の関心を喚起していく必要があります。
都は、子宮がんや乳がん、骨粗鬆症に関し、予防方法等の知識の普及や検診事業などを区市町村等と連携して推進しておりますが、今後、女性の健康週間に関連して実施する普及啓発や健康相談など、女性の健康に関する区市町村の取り組みを積極的に支援してまいります。
質問3
また、医療研究の分野においても、女性の健康問題にさらに積極的に取り組むべきであります。
女性の健康については、乳がんや子宮がん、あるいは更年期障害など、女性特有の疾病はもちろんのこと、男女共通の疾病であっても、骨粗鬆症などを初め、男性に比べて女性の発症率が極めて高いと指摘される疾病があります。
東京都老人医療センターには、全国的にも珍しい骨粗鬆症外来がありますが、一年後には、老人総合研究所と一体化されて、地方独立行政法人健康長寿医療センターに生まれ変わると聞いております。
健康長寿医療センターとなっても、骨粗鬆症などの長年の研究や治療成果を都民に還元できるよう、積極的な取り組みを行うべきと考えます。所見を伺います。
答弁3
福祉保健局長
骨粗鬆症に関する取り組みについてでありますが、お話の老人医療センターにおきましては、全国に先駆け、骨粗鬆症専門の外来を設置し、年間延べ四千人を超える患者の治療を行うとともに、老人総合研究所で開発した指導プログラムを活用し、転倒予防や栄養指導などを実施してきております。
さらに、平成十八年度から、我が国で初めて、遺伝子情報を活用して個人の体質に応じた骨粗鬆症のオーダーメード医療を提供するなど、積極的に取り組んでおります。
平成二十一年に開設予定の、仮称でございますが、健康長寿医療センターにおきましても、これまでの医療と研究の成果を活用し、骨粗鬆症を初めとした老年病について、高度先端医療を都民に提供してまいります。
質問1
次に、地域の子育て支援の拠点整備について伺います。
就学前の子どもを持つ子育て世帯に占める核家族の割合は、東京では実に九割以上にも上っております。こうした核家族の子育て家庭では、祖父母から育児の支援やアドバイスを受けることがなかなかできません。
子育ての不安感から母親がうつ状態になったり、児童虐待につながる危険性すらあると指摘されています。育児不安などを感じたときに相談できる場や、身近なところでいつでも気軽に親子で集える機会が求められています。
こうしたニーズにこたえられる地域の拠点として、子育てひろば事業への都独自の財政支援も必要であります。所見を伺います。
答弁1
福祉保健局長
地域の子育て支援の拠点についてであります。
核家族化の進行や近隣関係の希薄化により、地域の中で子育て家庭の孤立化が進み、育児に対して不安を感じている親も多くなっております。
このため都は、身近な地域での子育て家庭の支援に向けまして、親同士が気軽に交流し、相談等が受けられる子育てひろばの拡大に努めております。これまでに都内に六百カ所以上を整備してまいりました。
さらに、来年度から、より一層の拡充を図るため、子育てひろばの職員が保育所や幼稚園等を訪問し、育児に悩む親についての情報交換や子育て支援サービスに関する助言を行うなどの区市町村の取り組みに対しまして、都独自に支援を行ってまいります。
質問1
次に、水害対策について伺います。
杉並区内の善福寺川では、平成十七年九月四日に発生した水害以降も、都内で局所的集中豪雨が発生するたびに、川の水位が大きく上昇し、周辺住民の方々の安全を脅かしております。
現在、河川激甚災害対策特別緊急事業として、緊急の整備が進められておりますが、現在の進捗状況と今後の予定について伺います。
答弁1
建設局長
善福寺川における河川激甚災害対策特別緊急事業についてでありますが、この事業は、環状七号線より上流の約二キロメートルの区間で、増水時に水の流れを阻害する二カ所の橋梁のかけかえ、三百九十メートルの護岸整備及び和田堀公園内にある調節池の改修を平成十七年度から五カ年で行い、再度の災害を防止するものであります。
このうち、和田堀調節池については、十八年度末に掘削工事を完了し、既に貯留能力を倍増させており、この三月には野球場の復旧や緑化などの修景工事も完成いたします。
また、本村橋や済美橋付近の護岸及び橋梁の整備については、十九年六月に着工し、現在、護岸本体となる鋼管ぐいの施工などを予定どおり進めております。
下流部の本村橋を含む百五十メートルの区間については二十年度に、また、上流部の済美橋を含む二百四十メートルの区間は二十一年度にそれぞれ完成させてまいります。
質問2
また、この上流域についても、着実な整備を進めるべきです。整備の考え方について所見を伺います。
答弁2
建設局長
激特事業区間より上流域の整備についてでありますが、上流域においても、平成十七年九月の豪雨で浸水被害が発生しており、水害対策を実施していく必要がございます。
整備に当たっては、下流から順次、川幅を広げることを基本としておりますが、完成までに長期間を要することから、川沿いに調節池を設置するなど、事業効果を早期に発現できる手法を検討してまいります。
調節池については、地元区など関係機関の協力を得て公共空間等の活用を図るとともに、護岸についても、和田堀公園や善福寺川緑地の地域特性を踏まえ、環境に配慮した構造を工夫してまいります。
今後、激特事業を予定どおり完成させ、引き続き上流域の水害軽減に向け整備を進めてまいります。
質問3
最後に、都立和田堀公園の整備について伺います。
善福寺川沿いに位置し、都民の憩いとスポーツの場であり、災害時には防災機能を果たす和田堀公園の計画地には、民間企業が所有する済美山運動場があります。この企業の運動場は五ヘクタールあり、一体化して公園化を進めれば、まとまった面積の公園を速やかに広く都民に提供することが可能になります。
和田堀公園の整備を進めるに当たり、この運動場を早期に公園化すべきと考えます。所見を伺い、質問を終わります。
答弁3
建設局長
和田堀公園の整備についてでありますが、善福寺川沿いにある和田堀公園は、水と緑のネットワーク形成の上で重要な公園であるとともに、震災時の大規模救出救助活動拠点としての役割を担っております。
平成十八年三月策定の都市計画公園・緑地の整備方針においては、和田堀公園では約九・五ヘクタールを平成二十七年までに優先的に整備に着手する区域としており、このうち、これまでに○・三ヘクタールを開園してまいりました。現在、公園全体の開園面積は約十九・四ヘクタールとなっております。
お尋ねの民間企業の約五ヘクタールの運動場を含む優先整備区域については、今後の財政状況を踏まえ、地権者の理解と協力を得て、計画的な整備に努めてまいります。