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  5. かち佳代子(日本共産党)

城南のものづくり振興の強化を
エコ商店街支援事業の創設を

かち佳代子
かち佳代子(日本共産党)

城南地域のものづくり支援

質問1
 初めに、城南地域のものづくり支援について伺います。
 今月十四日から三日間、大田区の第十二回工業フェアが産業プラザPiOで開かれました。私も見学しましたが、百四十社を超える企業や大学、工業高校、研究機関などが出展参加し、新技術、工法、新製品の展示や、東京マイスターを受賞した金属彫刻職人による実演など、日本を代表するものづくり大田といわれるにふさわしい雰囲気でした。
 展示ブースでは、携帯電話用のプラスチック精密金型を設計、作成する企業と、樹脂部品の試作加工業とのコラボレーションの話や、高度な技術と品質管理が要求されるJISQ九一〇〇を取得し、販路を拡大した航空機産業の企業の社長さんからも話を伺い、力強く感じました。
 現在、大田区は、工場数など後退しているとはいえ、付加価値額では、大規模な工場が立地する日野市や府中市に次いで都内第三位の位置を占め、引き続き東京の経済にとって重要な基盤産業の役割を担っています。それは工業フェアで示されたように、中小企業の皆さんが、かつての一方的な下請構造から脱却して、他にない技術や知識を有した企業として、地道に再生に取り組んできた成果にほかなりません。
 そして大田区や業者の皆さんが切望しているのが、東京都の支援です。しかし、残念ながら、二〇〇六年に東京都が策定した長期計画「十年後の東京」では、城南地域の工業が明確に位置づけられていません。知事もご承知のように、城南地域、とりわけ大田区には世界に誇るものづくりの技術が集積しています。また、今後の産業の動向を考えた場合、羽田空港を抱え、少量多品種、高付加価値のものづくりや基盤技術を有する城南地域の優位性には大きなものがあります。
 知事、城南地域のものづくりの重要性をどう認識していますか。都の政策に城南地域のものづくり振興をしっかりと位置づけ、支援することを強く求めるものですが、見解を伺います。

答弁1
知事
 城南地域のものづくり振興についてでありますが、城南地域、特に大田区は私の昔の選挙区がございまして、世界に誇り得る高度な技術力を持つ中小企業が多数集積し、東京だけでなく、日本のものづくりを支える重要な役割を果たしていることは十分承知しております。これまでもナノテクノロジーセンターを開設するなど、先進性と独自性を持った施策を展開してまいりました。
 「十年後の東京」においても、基盤技術や試作品開発を担う一大集積地として位置づけておりまして、今後とも城南地域のものづくり産業の強化に取り組んでまいります。


質問2
 以下、具体的な取り組みについてお聞きします。
 大田区はかつて羽田空港の整備工場があり、部品の納入なども行っていたことから、巨大な市場である航空機産業への参入に期待を寄せています。こうしたもとで、最近、ボーイング社の新型機開発の動きが明らかになり、その部品供給に参入を模索する動きを強めています。航空機産業はJISQなどの資格が求められるものから、座席や内装などまで多岐にわたっており、参入のチャンスといわれています。
 都は、来年度、JISQの取得の支援を予算化しましたが、五カ所にとどまっています。予算を大幅に拡大するとともに、都として参入対策窓口を設置するなど、東京都のステータスを生かした取り組みが考えられますが、どうですか。
 加えて、小規模業者もチャレンジできるよう、相談から取得のためのアドバイスなど、一貫したサポートシステムを構築することが必要です。答弁を求めます。

答弁2
産業労働局長
 航空機関連産業への参入についてでございますが、航空機関連産業は、今後の需要予測におきましても高い伸びが予想されております。
 このため、都は、既に今年度から、航空機関連産業への参入セミナーを開催し、支援を行っているほか、参入に意欲のある中小企業に対しまして、民間企業のOBを専門家として派遣するなど、相談体制を構築しております。
 次に、一貫したサポートシステムの構築についてでありますが、航空機関連産業への参入に当たりましては、高い技術力だけではなく、品質管理能力が求められます。
 このため、品質管理の国際規格でありますJISQ九一〇〇の認証取得に取り組む中小企業に対しまして、セミナーの開催や専門家の派遣、取得経費の助成を行うこととしております。


質問3
 国は、昨年、京浜地域において、多様な新事業創出、新産業創造分野の市場形成を図るとして、川崎市や横浜市、大田区、品川区などと連携して、京浜クラスターを立ち上げました。これは東京都と神奈川県をまたがった広域的な取り組みであり、広域行政としての都や神奈川県が連携してこそ生きた施策になると思われます。国に対して、都や県を交えて進めるよう要請するとともに、都として、連携事業ややクラスター事業では対象とされていないかつての工業集積地域活性化事業のような、地元の取り組み自体を支援する仕組みを立ち上げることが重要ですが、どうですか。

答弁3
産業労働局長
 国のクラスター事業への対応についてでありますが、都は、国や他県との情報交換を定期的に行いまして、クラスター事業も含め、緊密に連携して地域工業の振興に取り組んでおります。
 また、共同研究や共同開発など、工業の振興に資する民間事業者の取り組みにつきましては、中小企業経営・技術活性化支援事業などにより支援をしているところでございます。


質問4
 工場の確保と操業環境の問題は緊急課題です。大田区では、今年三カ所目の工場アパートを開設して製造業を支援していますが、建設費や維持費の負担が障害となっています。工場アパートの建設費、維持費への補助や入居者への家賃補助などが望まれています。また、工場跡地を活用して工場アパートを建設することなど、都が業者と関係自治体の要望にこたえるべきではありませんか、答弁を求めます。

答弁4
産業労働局長
 工場アパートの整備に対する支援についてでありますが、都はこれまでも、基盤的技術産業集積活性化支援事業の国庫補助金の活用などによりまして、区市町村が行う施設整備を支援してまいりました。
 また、来年度から、創業者を対象とする施設の整備について支援することとしております。


質問5
 もう一つの問題が、都市化による住工混在の進行です。このため、大田区では、来年度から工場が区内で移転する場合、六百万円の補助を行う予定です。江東区でも建てかえ期間中の工場の一時貸しを実施しています。このように各自治体では工場確保のための取り組みを強めており、都の支援を切望しているのです。この声に積極的に答えることが必要と思いますが、見解を伺います。

答弁5
産業労働局長
 工場確保の取り組みに対する支援についてでありますが、都はこれまでも、中小企業の組合や区市町村が行う工場の整備に対しまして、高度化資金等によって支援をしてまいりました。
 また、昨年発表されました「十年後の東京」の実現に向けました実行プログラムにおきましても、産業集積の形成に取り組む区市町村を支援することとしております。


質問6
 メッキ関連の研究開発を進める業者の方からも伺いました。それは都も重点事業に位置づけている環境分野で、例えば揮発性の有機化合物、VOCの処理設備など、中小企業が開発した製品への支援で、特許取得後の実用化に当たっての社会的、客観的評価の実施や、企業を回って技術の相談に乗るコーディネーターの派遣です。こうした要望にこたえることが必要と考えますが、答弁を求めます。

答弁6
産業労働局長
 製品の実用化に向けた支援についてでありますが、実用化に当たっての評価に関しては、中小企業の新製品についての事業計画の妥当性や事業化の有望性などについて、専門家が評価、助言を行う事業可能性評価を実施しております。
 また、技術支援に関しましては、産業技術研究センターにおきまして、中小企業の要請に基づき、外部専門家を現地に派遣をしております。


質問7
 高度に蓄積された技術の伝承と人材育成は、ものづくりの現場でこそ生きたものとなります。大田区内の企業では、ものづくりにチャレンジする都立六郷工科高校の生徒を受け入れ、教育する取り組みを進めています。一方、自治体の取り組みとしては、例えば葛飾区では、伝統工芸の職人を受け入れた場合、受け入れ企業に指導料を補助する仕組みを立ち上げています。人材育成に取り組む自治体を都として支援することは大変重要ですが、どうですか。
 また、人材確保を社会的事業として位置づけて、都の広報番組などを使ったPRで人材の確保に努め、企業に橋渡しすることが重要と思いますが、対策を求めるものです。

答弁7
産業労働局長
 人材の育成、確保についてでありますが、区市町村では、それぞれの地域の特性にあわせて、独自の政策として人材の育成、確保に取り組んでおります。
 都は既に、地域の人材育成を行う拠点といたしまして、職業能力開発センターを設置し、区市町村や企業の意見も反映しつつ、きめ細かな対策を講じております。
 また、人材の確保につきましては、中小企業の認知度を高めることが必要であることから、今後、民間企業やNPO等とも連携をしまして、中小企業の魅力の発信に取り組むこととしております。

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商店街支援事業

質問1
 次に、地球温暖化対策と商店街支援についてです。
 地球温暖化対策を地域社会全体に広げていくことが急がれています。その点で、地域経済を支え、地域社会の核としての役割を担っている商店街の位置づけを重視する必要があります。
 そこで伺います。知事、地域経済の主役である商店街が、地球温暖化防止に積極的に取り組むことは、環境負荷の少ない都市をつくる上で大きな意義と効果があると思いますが、どうですか。

答弁1
知事
 地球温暖化防止に向けた取り組みについてでありますが、これまでも繰り返して申してまいりましたけれども、温暖化ガスの大幅な削減を実現するためには、商店街はもとより、都民、企業などすべての主体が、それぞれの役割と責任に応じて温暖化ガスの削減に取り組む必要があります。
 都はこうした考えに立って、カーボンマイナス東京十年プロジェクトを掲げ、さまざまな施策を着実に推進しております。


質問2
 既に都は、新・元気を出せ商店街事業のうち、特定施策推進型商店街支援事業の中で、二酸化炭素削減の取り組みへの支援を行っていますが、これを抜本的に強化することが重要です。例えば商店街の街路灯は、地域を明るく照らす明かりとして欠かせない都市施設となっています。この街路灯を省エネルギー型に転換することは、光熱費のコストダウンに加え、二酸化炭素の削減に大きく寄与するという点で、一石二鳥の事業になります。
 既に全国では、太陽光発電や風力発電を使ったハイブリッド街路灯設置が始まり、東京の赤坂では、二酸化炭素の固定化効果を持つ古木を使用した環境に優しいユニークな街路灯も生まれています。こうした取り組みで年間八十万円もの電気代の節約が可能になった商店街も生まれています。
 また、新・元気を出せ商店街事業を活用した取り組みとしては、八十本の街路灯をLED、ダイオードに切りかえた上野中央通り商店街や、太陽光発電を使った白鬚商店街などで始まっています。しかし、特定施策の支援事業は、エコ事業には十分活用されておらず、五分の一の地元負担もあります。
 すべての商店街の街路灯を計画を持ってエコ型に転換することは重要です。特定施策推進型商店街支援事業における地元負担のさらなる軽減に努めるとともに、事業の周知徹底を図るべきと考えますが、答弁を求めます。

答弁2
産業労働局長
 商店街における環境に配慮した街路灯の設置についてでありますが、このような街路灯の設置につきましては、特定施策推進型商店街事業により、実施する商店街に対しまして、既に五分の四の高い補助率で特別に支援をしております。
 なお、この事業については、商店街及び区市町村向けの説明会や東京都ホームページなど、さまざまな機会を通じ周知を行っております。


質問3
 エコ商店街の取り組みは、ワインの空き瓶を再利用したワインロードや、二酸化炭素を吸収するVノックス塗装の外壁を使った建物、空き缶などの回収機を備えたエコステーションなど、急速に普及しています。また、イギリスなどで広がっているごみを使ったバイオマス発電を初め、家庭で排出される廃油の再利用、空き地などをミニ庭園にすることなども有効です。
 そこで、エコの街路灯に加え、これらの取り組みも新・元気を出せ商店街事業の対象として事業を支援することで一気に広がることが期待できます。見解を伺います。
 また、都として、東京都版エコバッグを作製し、各地の商店街で活用できるように無償配布するのはどうでしょうか。

答弁3
産業労働局長
 商店街における環境に配慮した取り組みへの支援についてでありますが、商店街の活性化に資する環境に配慮した取り組みは、既に新・元気を出せ商店街事業の支援対象としております。
 最後に、エコ商店街支援事業の創設についてでありますが、商店街の活性化に資するエコ活動に対しては、既存の制度の活用により支援を行うことが可能であることから、新たな事業の創設は考えておりません。

環境局長
 エコバッグの配布についてでございますが、社会全体の環境意識が高まる中、温暖化対策に意欲的な商店街では、独自のエコバッグを作製するなど、既に多くの取り組みが進んでおります。また、消費者も、みずからのニーズに適したエコバッグを購入するなど、エコバッグの利用は着実に広がりつつあります。
 都は、こうした状況を踏まえつつ、環境配慮の意識が都民の間にさらに広がるよう普及啓発を進めてきており、今後とも、その充実に努めてまいります。


質問4
 ロンドンでは、白熱球をなくすために、省エネの蛍光灯を二十二万本用意して無料で配布しています。都は白熱球一掃作戦を掲げていますが、呼びかけだけで実効ある対策は見られません。そこで、都内商店街と連携して、廉価で省エネ型の蛍光灯を提供する事業を実施すべきと考えますが、それぞれ答弁を求めます。

答弁4
環境局長
 電球形蛍光灯の普及についてでございますが、都は昨年から、白熱球一掃作戦を展開し、都内の電気店やコンビニエンスストア等に対し、電球形蛍光灯の売り場拡大や割引セールの実施などを働きかけ、都民が電球形蛍光灯をより身近に購入できるような取り組みを進めております。
 この取り組みを開始して以来、電球形蛍光灯の販売個数が大幅に増加し、コンビニにおいても、メーカー希望小売価格の半額程度で販売されるようになるなど、普及拡大が進んできております。


質問5
 以上の商店街のエコの取り組みを総合的に支援するために、エコ商店街支援事業を創設し、地域商店街による地球温暖化防止の取り組みを推進することを提案するものです。お答えください。
 最後に、新・元気を出せ商店街事業を活用したエコの取り組みについては、地元負担ゼロにするために、環境局として補助することも有効です。見解を伺い、質問を終わります。

答弁5
環境局長
 最後に、商店街の温暖化対策に関する取り組みについてでございますが、商店街における温暖化対策につきましては、新・元気を出せ商店街事業などにおいて、関係局が連携して実効性のある施策を推進しております。
 温暖化ガスの大幅な削減を実現するため、今後とも、全庁横断型の戦略組織であるカーボンマイナス都市づくり推進本部のもと、全庁一丸となって取り組みを進めてまいります。

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