1. トップ
  2. 都議会ネットリポート
  3. 平成20年
  4. 第1回定例会(一般質問2日目)
  5. 宇田川聡史(自民党)

自立困難な障害者へ支援を
下水道整備し東京湾水質改善へ

宇田川聡史
宇田川聡史(自民党)

障害者施策

質問1
 障害者支援についてお尋ねをいたします。
 「十年後の東京」への実行プログラムを拝見いたしますと、障害者の自立生活の実現や社会参加の促進、そして雇用の増加といった目標を掲げ、具体的な施策が示されております。総合的な支援体制の強化に期待をするとともに、実現に向けた一層の努力を願うばかりです。
 就労支援などの自立に力を注ぐ一方で、自立が困難である障害者、自立したくとも厳しい状況にある障害者にも目を向けなければなりません。重度重複の方や重症の方々にとっては、家族や地域の支えなくして生活することはできません。これまでも都として取り組みを行ってまいりましたが、残念ながら実行プログラムの中には、こうした方々への支援については触れられておりません。
 今後、自立が困難である障害者、障害児への支援も当然に重要視すべきと考えますが、知事のご認識、ご見解をまずお伺いいたします。

答弁1
知事
 障害者施策についてでありますが、どんなに障害が重くとも、人間としての尊厳を持って生活できるようにすることが障害者施策の目指すところであります。
 都はこれまでも、グループホームの整備促進など、国に先駆けて独自の施策を実施するとともに、重症心身障害児のための東部療育センターを開設するなど、さまざまな障害者施策に取り組んでまいりました。
 今後とも、都の先導的取り組みをさらに前進させまして、区市町村とも協力しながら、障害者が地域の中で安心して暮らせる社会を実現してまいります。


質問2
 加えて、重度かつ重複などの重症障害の方は、在宅における家族たちの介護が必要であり、介護する側の人たちに対する支援もまた重要と考えます。医療ケアなどの福祉施設や地域施設の拡充なども含め、都としてどのような支援を行っていくのか伺います。

答弁2
福祉保健局長
 在宅の重症障害者の介護に対する支援についてでありますが、障害が重くても、可能な限り地域で生活できるようにするためには、介護者に対する支援が不可欠でございます。
 介護者の負担を軽減し、継続的な介護を可能とするには、障害者の通所事業などを充実していくことが必要でございます。
 そのため都は、在宅重症心身障害児者について、従来からの医療型施設に加えまして、地域の福祉施設を活用し、比較的軽度の医療的ケアを要する方を受け入れる通所施設の整備を進めております。
 今後とも、民間も含めた通所施設の整備などによりまして、重症心身障害児者と介護者の方への支援に取り組んでまいります。


質問3
 次に、特別支援教育についてお尋ねいたします。
 特別支援学校の寄宿舎の再編整備については、現在、東京都特別支援教育推進計画に基づき、平成十八年度末の青鳥養護学校の寄宿舎を閉舎したことを初めとして、第二次実施計画期間の平成二十二年度までに計四校の閉舎を計画していると伺っております。
 都立特別支援学校の寄宿舎に関する管理規定が制定されてから既に五十年ほどが経過しており、当時の社会情勢とは大きな変化があり、通学困難の事情が減少していることからも、この再編整備についてはやむを得ないと理解しているところであります。
 しかしながら、障害のある児童生徒たちが身につけてきた身辺自立や、基本的生活習慣を確立するための指導の場や機会が、寄宿舎の閉舎によって減少につながることに対しては大いに危惧を抱いており、また、宿泊を伴う生活訓練は、今まで児童生徒たちにとって大きな成果を生み出していることからも、欠かすことができない学習機会であります。
 したがって、江戸川養護学校においては、寄宿舎を閉舎することにより、これまで行われていた入舎生に対する自立や社会参加に向けた指導を行う場を学校内に確保することが必要不可欠であると考えます。
 指導の場を確保した上で、児童生徒たちのすべてが利用でき、より充実したプログラムなど、ソフト面の整備を行うべきことはいうまでもありません。教育長のご見解をお伺いいたします。

答弁3
教育長
 寄宿舎閉舎後の自立や社会参加に向けた指導の場の確保についてのご質問にお答え申し上げます。
 基本的生活習慣の確立などの自立や社会参加に向けての教育は、寄宿舎の有無にかかわらず、特別支援学校として重要な指導内容の一つでございます。
 寄宿舎を閉舎します江戸川養護学校につきましては、宿泊可能な設備を有します生活訓練室を新たに整備いたしまして、生活指導や宿泊行事等の内容の充実を図りまして、在籍するすべての児童生徒の自立と社会参加に向けた、計画的、継続的な指導を行ってまいります。

ページの先頭へ


工業用水道事業

質問1
 次に、工業用水道についてお伺いいたします。
 工業用水道は、地盤沈下抑止のため、地下水のくみ上げ規制が行われ、その代替として供給する都の施策として始まりました。事業開始以来四十年以上が経過し、施設の老朽化が顕著であり、利用者、使用量も減少の一途をたどり、経営の存続は危機的状況だと聞いております。
 そうした中、地下水の揚水規制のあり方を踏まえ、利用者への影響を調査するなど、工業用水道事業の廃止を含めた検討がなされているとも聞きました。しかし、化学、金属、メッキ、食品、皮革など、今なお五百件を超える事業者が利用しておりまして、中には、月額百万円を超える使用料金を支払っているところもございます。もし、この工業用水道の供給がストップし、上水道への切りかえを余儀なくされると、その影響は年額で数千万円となる事業者もおり、懸念されるところであります。
 こうした懸念を払拭するためには、まず、事業者の意向をしっかりと把握し、その上で、きめ細やかな対応が必要です。事業開始のいきさつから考えても、全庁で横断的に検討を重ね、慎重なる対策をすべきことは当然の責務であると考えます。
 工業用水道の今後の見通しと、利用者に対する対応について伺います。

答弁1
水道局長
 工業用水道事業についてでありますが、東京都の工業用水道事業は、昭和三十九年から地盤沈下防止を目的として供給を開始しておりますが、深刻な地盤沈下はほぼ鎮静化するなど、現在、所期の目的は達成しております。
 しかしながら、工業用としての利用者は、昭和四十九年度の六百二十五件から平成十八年度末では二百四十八件となっており、また基本水量につきましては、日量三十五万立方メートルから日量三万立方メートルとなっております。
 こうした需要の減少に対しまして、雑用用途への需要拡大を図る一方、四カ所あった浄水場を一カ所に集約し、江東地区工業用水道事業、城北地区工業用水道の二事業を一事業に統合するなど、あらゆる合理化努力を行ってまいりましたが、将来的にも需要の減少は続くものと見込まれ、工業用水道事業の経営は極めて厳しい状況にあります。
 一方、事業開始から四十年以上が経過した工業用水道施設は老朽化が進んでおり、数年後には、配水管などの施設の更新に多額の経費を必要とする状況に直面することとなります。
 こうしたことから、工業用水道事業のあり方について、事業者への対応も含め、その意向等も調査しながら、庁内横断的に検討を進めてまいります。

ページの先頭へ


東京湾における水質改善

質問1
 次に、東京湾における水質改善についてお尋ねいたします。
 東京湾に流れ込んでいる河川の流域は、昭和三十年代からの高度成長に伴い、さまざまな産業集中や人口の集中が進み、急速に発展をしてまいりました。昭和四十年代には、生活水準の向上や経済活動の発展は著しく、大量の生活、産業排水が河川流域の広範囲から排出され、東京湾の水質悪化に拍車をかけてきました。
 油などによる汚染、海底へのヘドロの堆積、また、有機物による汚染や赤潮、青潮の発生による魚介類への被害が深刻化する中で、東京湾における生活、産業、レクリエーションといったあらゆる環境に対して負担をかけ続けてきたわけです。
 その後、工場などからの排水規制といった負担削減への取り組みの促進などとともに、下水道の整備も進み、東京湾へと放出されていた汚濁物などは減少し、異臭を漂わせていた当時から考えれば、その水質は大きく改善の途につきました。しかし、現在でも、有機物などの流入が途絶えたわけではなく、環境基準達成は六割程度で横ばいに推移しているのが現状です。
 オリンピックの申請ファイルによると、東京湾において、ボート、カヌー、トライアスロン、セーリングなどの競技を行う計画となっており、水質改善には急を要すると考えます。
 水質改善のためには、総合的な対策、例えば他県における下水道普及や農地などからの有機物の流入抑制、ヘドロのしゅんせつといったさまざまな対応が必要です。河川流域の中でも、東京都が果たすべき責務は大きく、とりわけ下水道局の役割は重要だと考えます。
 なお一層の下水処理水質の向上が求められるところでありますが、水質向上に対しての取り組みについてお伺いいたします。

答弁1
下水道局長
 下水処理水質向上のための取り組み内容といたしましては、東京湾においては、現在でも年間百日程度赤潮が発生しており、窒素や燐がその発生原因の一つとされております。
 このため、下水道局では、窒素や燐を除去できる高度処理施設の導入を進めており、平成二十年度からは、区部、多摩合わせまして十二カ所の水再生センターで、日量約七十万立方メートルの処理が可能となります。
 今後も、砂町や浮間、八王子などの各水再生センターにおきまして高度処理施設の導入を進め、下水処理水質の一層の向上に取り組んでまいります。


質問2
 区部における下水道の約八割は、雨水と汚水を同一管にて収容する、いわゆる合流式下水道として整備されております。したがって、一定規模の大雨の際には、雨水とともに、希釈された汚水をも放流されており、水質悪化の一因となっています。降雨後に、夢の島マリーナがある砂町運河を視察いたしましたが、水面上に浮遊物が漂い、水質はもちろんのこと、美観、臭気といったものを含め、改善の必要性を痛感いたしました。
 また、「十年後の東京」実行プログラムの中にも、水と緑に包まれた美しいまち東京を復活させるため、合流式下水道の改善のための下水道施設の整備が重要であるとしています。合流式下水道の改善に向けた具体的な取り組みについてお伺いいたします。

答弁2
下水道局長
 合流式下水道改善に向けた具体的な取り組みについてでございますが、下水道局では、川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、これまでも、幹線管渠の増強や、降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を積極的に進めてまいりました。
 さらに、三年後には、幹線管渠の増強をおおむね完成させるとともに、貯留池を二十六カ所の施設で約百万立方メートル確保することとしております。また、雨水の吐け口対策といたしまして、全吐け口の九割に当たる約六百四十カ所に、ごみやオイルボールの流出を抑制する施設を設置する予定でございます。
 今後とも、高度処理施設の導入や合流式下水道の改善対策を進め、水と緑に包まれた美しいまち東京の復活に貢献してまいります。

ページの先頭へ


国際コンベンション誘致

質問1
 次に、コンベンション誘致についてお尋ねいたします。
 世界各国からコンベンションを誘致することは、イベント施設やホテルなどの開催場所だけでなく、関連する業種に至るまで大きな経済波及効果が期待できます。また、国際会議という舞台において東京をアピールすることにより、東京の都市としての格が向上し、オリンピック・パラリンピック東京招致に向けても、意義ある重要な取り組みだと認識しております。
 しかしながら、アジアにおける誘致状況は、国際観光振興機構の平成十八年データのまとめでは、一定規模の国際会議開催件数が、シンガポールで二百九十八件、ソウルで八十九件、北京で八十件、それぞれ世界の三位、十一位、十八位となっているのに対し、東京では五十八件、二十四位と、アジアの激化する競争の中で取り残されたように伸び悩みの状況にあるのが実情です。
 コンベンション誘致に対するこれまでの都の取り組みはどうなっていたのか、伺います。

答弁1
産業労働局長
 コンベンション誘致に対するこれまでの都の取り組みについてでございます。
 国際コンベンション誘致は、大きな経済波及効果があり、また、東京の名を冠した大規模な国際会議の開催や世界に向けた宣言などは、東京の国際的な存在感をさらに向上させ、オリンピック・パラリンピック招致に向けた東京のPRにも資するものと考えております。
 都はこれまで、国際会議の誘致を支援するため、知事の招請状の発行や資金助成、開催資金の貸し付けを実施するなど、国際コンベンション誘致に取り組んでまいりました。
 具体的には、この結果、二〇一一年には、参加者が一万人規模の国際建築家連合東京大会の開催が決定するなど、大規模な国際会議の誘致に成功しております。


質問2
 一方、国内ではイベント開催が減少傾向であり、国内需要の縮小から、海外に目を向けた新たな取り組みが課題となっています。経済は国際化が進行し、グローバル企業による世界各地のグループ企業を集めた会議の開催や、海外企業の優秀社員に対する報奨旅行などの増加が予想されているようです。
 こうした企業系の会議などでは、同時に開催するレセプションや観光旅行などを通じて、参加者による多大な消費が行われてもおります。また、企業系会議については、新たな開催地の開拓が行われ、アジア地域はその候補地として注目されつつあり、大きなビジネスチャンスが到来しているといえます。
 したがって、従来の学会、協会といった主催者による国際会議だけではなく、東京も、こうした企業系会議について積極的な誘致を行っていくべきだと考えます。誘致成功の可否を握っているのは、決定権を持つキーパーソンであり、ここに対する的確なアクションが勝敗を大きく左右するともいわれています。
 今後、海外との誘致競争に勝ち抜き、東京の魅力を全世界に発信するためにも、国際会議本部や企業系会議のプランナーなどに対して積極的かつ的確に働きかけを行うことができる人材の育成が不可欠です。この人材育成に対して都は支援を行っていくべきだと考えますが、ご見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 コンベンション誘致のための人材育成についてでございますが、国際コンベンションの誘致を成功に導くためには、誘致のための専門知識やスキルを備えた人材を育成することが重要であります。
 このため、来年度から、会議施設やホテルなどの実務担当者を対象といたしまして、成功事例を通じた誘致戦略や実践的な交渉のノウハウを付与する講座を開催する予定でございます。
 都は、従来の学会や協会などの国際会議のみならず、海外企業の会議や報奨旅行などの誘致が活発に行われるよう、今後とも、人材育成に積極的に取り組んでまいります。

ページの先頭へ


東京湾における客船の誘致

質問1
 続いて、東京港における客船の誘致についてお尋ねいたします。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支えるメーンポートとして大きな発展を遂げてまいりました。私も、東京港の各施設を視察し、物流拠点としての重要性をこの目で見、肌で感じてまいりました。今後も、世界の物流変化の動向に決して乗りおくれることなく、東京港の国際競争強化に向けた取り組みが必要だと考えます。
 さて、東京港では、こうした物流機能という一面のほか、国内外の客船が寄港し、華やかな雰囲気とともに人の交流が行われているという一面もございます。
 晴海の客船ターミナルは、レインボーブリッジをくぐった先にありますが、橋げた設計に当たっては、羽田空港の管制による制約を受けつつも、当時最大級だった「クイーンエリザベスⅡ世号」の通過を可能にしたとのことです。
 しかし、近年建造された超大型の豪華客船はレインボーブリッジの下を通過できないという報道がありましたが、晴海への客船誘致を進める上で支障となっているのではないかという疑問があります。ご所見を伺います。

答弁1
港湾局長
 レインボーブリッジの高さによる客船誘致への影響についてでございますが、近年建造され、主にカリブ海や地中海航路に就航しております客船の中には、レインボーブリッジを通過できない超大型船もございます。
 しかしながら、設備、サービスとも最高級の格付を受け、世界のベストシップと呼ばれておりますドイツの豪華客船「オイローパ」や、日本最大の客船であります「飛鳥Ⅱ」「ぱしふぃっくびいなす」は晴海客船ターミナルに着岸しておりまして、国内外の客船の東京港への誘致を進める上でレインボーブリッジは支障にならないものと考えておりまして、引き続き積極的に客船誘致に取り組んでまいります。


質問2
 平成二十年度予算には、客船誘致が新規事業として掲げられました。以前から取り組みは行われてきたこととは思いますが、一層の本格的な取り組みを、東京港の利点を最大限に生かしつつ進めてほしいと願っております。
 多くの客船が東京港に寄港し、国内外、特に海外からの観光客に東京を実感してもらうことは、オリンピック・パラリンピック招致を進める上でも効果が見込めると考えます。都として今後どのように客船誘致に取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。

答弁2
港湾局長
 東京港への客船誘致の取り組みについてでございますが、客船は港の花ともいわれ、港に潤いとにぎわいを与えるとともに、国内外からの観光客の増加にもつながることから、東京オリンピック・パラリンピックを招致する上で大きな効果があるものと認識しております。
 このため、都は、海外でのポートセールスにおきまして、クルーズ会社を訪問し、銀座や浅草などの観光スポットへのアクセスのよさを初め、東京港の利点をアピールしてまいりました。
 また、都民の方が低廉な料金でクルーズに親しめる機会を提供することで、クルーズの人口のすそ野を広げていく都民クルーズ事業を実施してまいりました。
 これらの取り組みに加えまして、来年度には、近年脚光を浴びておりますアジア航路を中心とする最新のクルーズ動向や、羽田空港の国際化を見据えまして、空と海の観光を結びます、いわゆるフライ・アンド・クルーズの需要の見通し、さらに、客船を温かく迎える仕組みづくりなどにつきまして、専門家の意見を聞き、調査、分析を行った上で、より効果的な東京港の客船誘致プランを策定してまいります。

ページの先頭へ


東京マラソン二〇〇八

質問1
 最後に、東京マラソン二〇〇八について伺います。
 一万二千人のボランティアと二百二十六万人もの沿道応援に支えられ、三万二千四百人がランナーとして都内を駆けめぐり、昨年を上回る規模で開催されたことしの東京マラソンは、まさに東京が一つになった日となりました。何より絶好の天気に恵まれたこともありましたが、第一回開催の不備な点は見事に改善をされ、東京が有するポテンシャルの高さを内外にアピールできたことは、オリンピック招致に大きく前進をした思いです。
 また、昨年の予算特別委員会における私の提案を受け、出場者に対して早速にアンケートを実施するなど、来年に向けた意気込みも伝わってまいります。
 我が自民党からは三名がフルマラソンに完走し、私も、昨年とはまた違った大きな感動のゴールを味わうことができました。ボランティアや応援してくれた皆さんに心より感謝と御礼を申し上げます。
 さて、今大会は、環境に配慮した新たな提案を持った都市マラソンという一面があったわけですが、世界で名立たるマラソンにおいては、例えば、がん撲滅などのテーマを掲げ、メッセージを配信することが昨今では当たり前のように行われており、世界じゅうの理解と共感を得ております。来年の東京マラソンにおいては、オリンピック招致機運の向上といった側面とともに、メッセージを前面に押し出した大会となれば、よりグレードが高く、より世界の共感が得られる大会になるものと考えます。
 知事は、今後、このマラソンを通じて、どんなメッセージを世界に向けて発信をされるのか、また、さらなる改善と、五万人規模へと定数の拡大など、今後の飛躍を語っておられましたが、この先、東京マラソンは何を目指して実施していかれるのか、ご所見をお伺いいたしまして、私からの質問を終わります。

答弁1
知事
 東京マラソンについてでありますが、さきに開催されたマラソンでは、三万人を超えるランナーと二百二十六万人の観衆が、頑張れ、ありがとうと声をかけ合って、この一体感、連帯感が実に表出した、すばらしい大会だったと思います。
 同時に、マラソンが自然を相手にするスポーツであることから、太陽光発電などのグリーン電力や再生素材一〇〇%のコートや帽子の利用など、地球温暖化対策について積極的な取り組みを行ってまいりました。
 今後は、東京マラソンを通じて、国や民族、世代などを超えた人と人とのつながりの大切さと、我々人類が大きな負荷をかけている地球環境の問題について、世界に向けてメッセージを送っていきたいと思っております。
 今も、来年のマラソンのテーマをいかにするかというご質問でしたが、これはみんなで考えていきたいと思いますが、環境問題というのは、ことしに入ってにわかに、何といいましょうか、非常にブームになった感じがいたしますけれども、口で唱えるだけではなくて、やはり私たち、深刻にこれを受けとめませんと、東大の山本教授の編さんした「1秒の世界」という非常にショッキングな、要するにデータが盛り込まれた本でありますが、わずか一秒の間に世界で今何が起こっているかということが羅列されてありますけれども、例えば、人間が二人ずつふえていく。同時に、一秒間に〇・四人の人が餓死する。ということは、二・五秒の間に一人が餓死する。それからまた、体育館といいますといろんな大きさがあるでしょうけど、いずれにしろ、排出されるCO2が循環し切れずに、一秒間に体育館三十棟分のCO2が堆積していると。その他この他、あるいは自動車は一秒間に一・三台生産されているようでありますけれども、こういった現況というものを私たち相当深刻にとらえませんと、このままでいくと、恐らく五、六年の間に、大干ばつ、大飢饉が世界じゅうにやってくると思います。
 こういった現実のデータというものをしっかりとらえて、私たちはやっぱり、環境問題というのは抽象的に過ぎますが、地球の存在についての危機感というものを持ち合わす、そういう適切で非常に強い印象の残るロゴといいましょうか、そういったものを皆さんにも考えていただいて、次のマラソンには掲げて進みたいと思っております。

ページの先頭へ