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  3. 平成20年
  4. 第1回定例会(一般質問1日目)
  5. 村上英子(自民党)

環状7号線内に救助活動拠点を
渋谷駅周辺都市機能向上の取組

村上英子
村上英子(自民党)

震災・防災対策

質問1
 初めに、震災・防災対策について伺います。
 阪神・淡路大震災から早いもので十三年を迎え、多くの貴重な経験が残されました。我が渋谷区では、阪神・淡路大震災の翌年、十二年前の一月十七日を渋谷区防災点検の日と定め、住民一人一人の意識改革を行っております。
 一昨年の予算特別委員会では、世界最大級といわれたハリケーン・カトリーナの被害状況を踏まえ、ハード面について質問をいたしました。今回は、一部ハード面にも触れますが、ソフト面である地域との連携、協力、支援について質問させていただきます。
 初めに、首都東京の直下における地震の発生が切迫性を持って予想される中、住民、地域、行政それぞれの立場で地震への備えを万全に行うことが極めて重要であると考えます。都は、住民みずからが地震災害に備える自助への取り組みを支援するため、昭和五十年から、おおむね五年ごとに、地震に関する地域危険度を公表していますが、改めて地域危険度の測定目的と特徴についてお伺いいたします。

答弁1
都市整備局長
 地域危険度でございますが、地震に関する地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てるとともに、震災対策事業を実施する地域の選択に活用することを目的といたしまして、最新の知見に基づいて、おおむね五年ごとに公表しているものでございます。
 今回の測定結果の特徴でございますが、倒壊のおそれのある建物の面積当たりの棟数が、都内平均で約一七%減少するなどの改善が見られました。また、都市計画道路の整備により、沿道建物の不燃化や耐震化が進んだ地区、市街地再開発事業が完了した地区などで危険度が大幅に低下いたしました。
 一方、荒川や隅田川沿いの地域、あるいは環状七号線沿いなどに広がります木造住宅密集地域では、総体的に危険度の高い地域が依然として残されております。


質問2
 次に、地域危険度が高い木造の建物の多い、いわゆる木密地域では、防災上危険な状況となっていることから、災害に強い都市づくりに向けた一層の取り組みが重要であると考えます。都は、平成十六年に策定した防災都市づくり推進計画に基づき、さまざまな事業や規制誘導策に重層的に取り組んでまいりました。渋谷区においても、本町五丁目など、区北西部に地域危険度の高い地域が見受けられますが、当該地区における防災都市づくりの取り組み状況と、今後の事業展開についてお伺いいたします。

答弁2
都市整備局長
 渋谷区での危険度の高い地域の防災対策についてでございますが、お話にありましたように、区の北西部に位置する本町地区では、平成五年度から木密事業を実施いたしまして、老朽木造住宅の不燃化建てかえ、共同化や公園の整備を行ってまいりました。
 現在、消防活動困難区域の解消や安全な避難路の確保を図る観点から、主要生活道路の整備と沿道建物の不燃化などを重点的に進めております。
 また、建てかえのルール等を定める防災街区整備地区計画の策定に向けまして、区と住民が協議を重ねております。
 都といたしましては、今後とも地元区と連携いたしまして、地域の防災性向上に積極的に取り組んでまいります。


質問3
 こうした取り組みの状況や、今般見直された地域危険度を踏まえ、最新の情報に基づき、防災都市づくり推進計画を早期に見直し、事業を一層展開すべきと考えますが、ご見解を伺います。

答弁3
都市整備局長
 防災都市づくり推進計画の見直しについてでございます。
 現行の計画ですが、平成十四年に公表いたしました地域危険度を踏まえまして、重点的に事業を進める地域を選定し、地区ごとの整備方策を示したものでございます。
 これまで、この計画に基づきまして、東池袋地区等で推進しています沿道一体整備事業のほか、木密事業や防災街区整備事業などによる主要生活道路の整備、建物の耐震化、不燃化などを着実に実施してまいりました。
 「十年後の東京」への実行プログラムや、今回公表いたしました地域危険度を踏まえまして、関係区市と連携して、来年度から推進計画の見直しを進めることといたしまして、今後とも一層効率的な事業の展開を図ってまいります。


質問4
 一方、どのような備えをしても、大地震の発生そのものを抑えることはできません。昭和四十七年から都が指定している地震火災時の避難場所について、今般、平成十九年度の改定が行われましたが、避難場所の特徴についてお伺いいたします。

答弁4
都市整備局長
 今回改定いたしました避難場所でございますが、避難場所は、震災時に火災が拡大した場合、住民が一時的に避難する場所として、おおむね五年ごとに見直しまして、指定をしてございます。
 今回の改定の特徴でございますが、十九カ所を新規に指定いたしまして、全体で百八十九カ所とするとともに、面積を約百十ヘクタール拡大いたしました。これらの指定によりまして、三キロメートル以上の遠距離避難を余儀なくされていた地区が、従来の六カ所から三カ所に半減いたしました。また、大規模な延焼火災のおそれのない地区内残留地区は、市街地整備の進捗などに伴いまして、約九千ヘクタールへと倍増いたしました。


質問5
 次に、災害時の救出・救助活動は、まず自助共助が基本となりますが、公助の役割も重要です。倒壊した建物などに閉じ込められた人命を救うには、発災直後の七十二時間が分かれ目であるといわれており、速やかな救出・救助部隊の派遣が不可欠です。全国からも、警察、消防、自衛隊などの応援部隊が駆けつけると考えられますが、これら部隊が活動するためには、都内に資機材などを持ち込み、集結する拠点が必要であり、また、拠点は被災地に近い場所にできるだけ多く確保するべきであります。
 都の地域防災計画では、区部に都立公園など十一カ所を候補地としていますが、地域的に偏在しており、渋谷区のある区部西部には、環状七号線の外側に三カ所あるのみです。環状七号線の内側には木密地域が多く、首都直下地震で大きな被害が予想されます。これらの地域における救出・救助活動を迅速に行うためには、さらに多くの拠点を確保することが必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

答弁5
総務局長
 大規模救出救助活動拠点の確保についてのご質問にお答え申し上げます。
 震災時に救出救助活動を迅速に行うには、警察、消防、自衛隊等の応援部隊が活動するための拠点をあらかじめ確保することが重要でございます。
 このため、昨年見直しをいたしました地域防災計画では、従来の都立公園八カ所に加え、東京ビッグサイトなど三カ所を新たな候補地といたしました。
 さらに、お話のございました区部西部や環状七号線の内側にも所在する清掃工場は、敷地内に広い駐車スペースを有することから、これを新たな拠点とするため、現在、区側と協議を行っているところでございます。
 協定の早期締結に努めますとともに、今後とも、国や民間の施設も含め、活動拠点の拡充に積極的に取り組んでまいります。


質問6
 次に、昨年七月に発生した新潟県の中越沖地震において、十五名のとうとい命が犠牲になりました。このうち六十五歳以上の高齢者の方は十一名で、七〇%を超える割合となっています。高齢者の方など、災害時にみずから避難することができない、支援を要する方、いわゆる災害時要援護者の方が多く犠牲になりました。災害時において人的被害を最小限にするためには、寝たきりの高齢者の方が避難できる支援体制を構築するなどの災害時要援護者対策が喫緊の課題であります。
 私は、要援護者対策として、日ごろから高齢者や障害者などの援助が必要となる方がどこに住んでいるのか把握するとともに、関係者と情報の共有化を図り、実際にだれがだれの避難支援をするのかなど、避難プランを作成することが必要であると考えます。
 私の地元の渋谷区では、昨年十二月、渋谷区震災対策総合条例を改正し、条例に、災害時要援護者に係る個人情報の目的外利用等の明文規定を設け、情報共有の根拠を明確にいたしました。こうした災害時要援護者の避難を支援する取り組みを各区市町村に広げていくことが重要と考えますが、都としてのご見解を伺います。

答弁6
福祉保健局長
 災害時要援護者対策についてでございますが、高齢者等の災害時要援護者が迅速な避難を行うためには、住民に身近な区市町村が中心となって防災知識の普及啓発に努めるとともに、地域住民の協力、連携によります情報の共有化や救出体制の充実を図っていくことが重要でございます。
 このため、これまで、要援護者の情報の把握、地域住民によります支援体制づくり等の手法を示しました指針を策定するなど、区市町村における体制整備を働きかけてまいりました。
 さらに今後は、区市町村職員向けの研修を実施いたしますとともに、区市町村みずからが要援護者の名簿や避難支援プラン等を作成する際に、包括補助事業を活用し、支援するなど、災害時要援護者対策の一層の推進を図ってまいります。


質問7
 地域の課題を解決する力の再生を目指して、地域の担い手である町会、自治会が行うさまざまな事業に対して支援する地域の底力再生事業助成を、十九年度の重点事業として実施してまいりました。この事業は、我が党が地域力向上の必要性について提言し、町会、自治会の活性化につながる方策として取り組んだ結果、実現した事業です。
 地震など大規模災害の発生が懸念される現在、地域住民の自発的な活動に基づいて行われる自主防災活動の取り組みは非常に大きな意義があり、今後、その活発化がますます期待されるところです。町会、自治会の防災意識は高まっており、主体的な事業への助成などのきっかけがあれば、地域の防災活動は今後一層活発になっていくものと思われます。
 そこで、まず、今年度、地域の底力再生事業助成が、このような防災の取り組みに助成している事業についてお伺いいたします。

答弁7
生活文化スポーツ局長
 地域の底力再生事業助成に関する質問にお答えいたします。
 まず、平成十九年度の実績についてでありますが、今年度、地域の底力再生事業助成は、二回募集し、八十三団体への助成を決定いたしました。そのうち、町会、自治会が取り組む地域防災に関する事業への助成は二十団体であります。
 実施事業の内容は、町会ごとの防災地図や災害ハンドブックの作成、実践的な防災訓練などでございます。


質問8
 私は、地域における防災には、消防署、消防団などの活動が重要であり、今後とも役割を果たしてもらいたいと考えます。加えて、地域の防災活動を活性化させるためには、町会、自治会の活動はもちろんのこと、地域活動を支えている町会、自治会の婦人部、女性部の方々が行う防災訓練での情報伝達や要援護者支援など、地域に密着した活動を推進することが重要と考えております。
 平成二十年度の予算案においても、我が党の強い復活要求の結果、二千万を増額し、七千万円にすることができました。
 そこで、町会、自治会の地域防災の取り組みを活性化させ、地域防災事業を支援するために、今後、都は地域の底力再生事業助成にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

答弁8
生活文化スポーツ局長
 地域の底力再生事業助成の今後の取り組みについてでありますが、平成二十年度においては、これまでの地域の新たな課題へのチャレンジ事業、他団体との協働事業に加え、婦人部、女性部の活動を中心とする地域触れ合い・助け合い強化事業を新たな助成対象事業とすることといたしました。
 防災の面では、例えば災害時要援護者を支援するための講習会や、防災意識を高める啓発事業など、婦人部、女性部が中心となって活動する事業が対象となります。
 今後、新たな助成対象も含め、本事業の周知に努め、住民が主体となって行う活動を支援し、町会、自治会での防災活動の活性化など、地域力の向上を図ってまいります。


質問9
 都においても、被害想定の大規模な見直し、地域防災計画の改定など、さまざまな対策を講じておりますが、どんなに準備をしていても、地震の規模や被害の状況は、いざ地震が発生してみないとわかりません。被害を軽減するためには、行政や地域住民の連携など、都民一人一人が防災をみずからの問題ととらえ、それぞれの立場で対策を講じ続けていくことが非常に重要であると考えます。
 いざ震災や大規模災害が発生したときに私たちが頼れるのは、精鋭な隊員と最新鋭の機械を保有する東京消防庁の皆さんであったり、地域の防災リーダーとして、生業の傍ら日々災害現場へ出場している消防団員の方々であったり、町会、自治会で構成される市民消火組織の方々だと思います。
 被害想定の大規模な見直し、地域防災計画の改定も地震に対する大きな備えだと思いますが、もう一つ大事なことは、防火、防災の精神を私たち一人一人が持ち続け、後世に引き継いでいくことだと考えます。
 今、団塊の世代の方々から若い人へ世代交代の時期を迎え、社会全体が継承者の育成に力を入れている時期であります。防災に関しても同じであり、今こそ若い世代の方々の防災意識を高め、災害の恐ろしさや防災の大切さを伝承することこそが、未来の防災を支える礎となるのではないでしょうか。
 そこで、地域における防災活動の担い手を確保するため、どのような取り組みを実施しているのか、消防総監にお伺いいたします。

答弁9
消防総監
 防災活動の担い手を確保するための取り組みについてでございますが、幼少年期から、防火防災に関する知識、技術を身につけておくことは非常に重要なことであります。
 東京消防庁では、児童等に対し、各種災害や事故から身を守るための知識や行動力の習得、さらに、中学生、高校生を対象とした軽可搬消防ポンプ等による消火訓練、AEDを活用した応急救護訓練を行うなど、若い世代の防災活動力を高める取り組みを行っております。
 今後とも、幼児期からの各年代に応じた防災に関する指導マニュアルの充実を図るとともに、教育関係機関や町会、自治会等とさらに連携を図り、地域防災の担い手の育成に努めてまいります。


質問10
 災害時には、災害救援ボランティア活動は大きな力を発揮いたします。特に災害発生直後は、その場にいる方々がともに助け合い、互いの安全を守ることとなります。しかし、昼間、地域にいらっしゃるのは、子どもやお年寄りが中心です。どうしても力の要る仕事など困難な活動を行うことに限界があります。
 そこで、地域の学校にいる中学生や高校生に大きく期待したいところです。実際に渋谷区では、区立中学校で全校生徒に、消防署や消防団のご指導をいただき、D級可搬ポンプ操法の実技を受けたり、救急救命講習を実施し、卒業式には、卒業証書とともに消防総監名の講習修了証をお渡しし、災害時に地域の安全活動に進んで参加できるよう、生徒への指導を進めています。
 昨年、昭島市で行われたような広域の総合防災訓練があった場合には、学校を挙げて参加するなどの活動が広がっております。災害時に救援活動の担い手になってもらいたいという思いは、その地域の方々の共通の願いではないでしょうか。
 そこで、都立の高校生がより地元と密着し、町会などが実施する防災訓練にも積極的に参加すべきと考えますが、都教育委員会の見解をお伺いいたします。

答弁10
教育長
 都立高校生の防災訓練への参加についてであります。
 高校生がみずからの安全確保はもとより、家族や友人、地域社会の人々の安全に貢献できる態度を育てることは大変重要でございます。
 都立高校の中には、学校が避難所となる場合を想定した取り組みといたしまして、教科「奉仕」や総合的な学習の時間におきまして、仮設休憩場所の設営や負傷者の搬送など、災害時のボランティア活動として地域の住民を受け入れる訓練が実施されております。
 今後は、広域の防災訓練に加えまして、ご指摘の学校近隣の町会主催の防災訓練等に積極的に参加し、地域の救援活動の担い手として活躍できるよう、実践事例を紹介する啓発資料を作成、配布するなどして、地域に密着した取り組みが普及するよう努めてまいります。


質問11
 次に、帰宅困難者の支援についてお伺いいたします。
 昨年五月に東京都地域防災計画が改定され、いわゆる帰宅困難者の早期解消が重要課題として再認識されました。私の地元渋谷区でも相当数の帰宅困難者が見込まれますが、その状態が長引くようでは、帰宅困難者及び区民の双方にとって不幸であり、ひいては大都市東京の国際的信用にもかかわります。帰宅困難者の早期帰宅を支援する受け皿の整備充実が極めて重要と考えます。
 都では、この観点から、平成十二年に都立高校を帰宅支援ステーションとして位置づけ、来年度に一層の整備を行うと伺っておりますが、その内容と、都民周知の方策について、お考えをあわせてお伺いいたします。

答弁11
教育長
 帰宅困難者対策についてであります。
 都立学校は、ご指摘のとおり平成十二年に全校が帰宅支援ステーションに指定され、災害時に保護を必要とする帰宅困難者に対して、水、トイレ、情報の提供を行うこととされております。
 来年度は、自家発電機や投光機、排水ポンプや保存水等の整備を行いまして、停電、断水への対応や情報伝達手段の向上に努めてまいります。
 これにあわせて、都立学校の帰宅支援ステーションとしての指定につきまして、都や区市町村の広報紙や関連行事等あらゆる媒体、機会を活用するとともに、一般報道機関の協力も得ながら、周知に努めてまいります。


質問12
 渋谷区では、本年六月に地下鉄副都心線の開業を控え、文化会館の建てかえ、桜丘地区の再開発など、地元のまちづくりの機運が高まってきており、今後、渋谷駅周辺のまちはドラスチックに変わっていくと思われます。
 しかしながら、渋谷駅は、鉄道七路線と都内最大規模を誇るバス路線が集中し、多くの人々が集まるところであるにもかかわらず、一九六四年の東京オリンピックのころに建設された駅ビルなどの様相は現在も変わっておらず、防災性の観点からも、駅周辺の再編整備が重要な課題と考えられます。
 「十年後の東京」実行プログラムにおいては、渋谷駅周辺を、民間開発と一体となって、東京のダイナミックな変貌を加速する拠点としていますが、都は、今後、渋谷駅周辺の都市機能の向上にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

答弁12
都市整備局長
 渋谷駅周辺の都市機能向上への取り組みについてでございます。
 本年六月に地下鉄副都心線の開業、平成二十四年度には東急東横線との相互直通運転が予定されていることから、渋谷駅周辺地区では再開発の機運が高まっております。
 しかしながら、渋谷駅は、お話にもありましたけれども、施設の老朽化や交通混雑などの課題を抱えておりまして、交通結節機能の強化、乗りかえ利便性の向上、歩行者空間の拡充などが急務となっております。
 そこで、都は、国や地元区、鉄道事業者などと渋谷駅街区基盤整備検討委員会を設置いたしまして、駅施設や駅前広場などの一体的な再編整備に関する計画を検討しておりまして、来年度には結果を取りまとめることとしております。
 今後とも、地元区を初め関係者との連携を図りまして、渋谷駅周辺の都市機能の向上に積極的に取り組んでまいります。


質問13
 震災対策にはさまざまな施策が必要となりますが、これらの施策を都が一丸となって推進しなければ、来るべき首都直下型地震に備えることはできません。
 首都東京を地震から守るために、都は地震に備えたあらゆる対策を積極的に講じていくべきと考えます。都の震災対策の推進に当たり、最後に知事の決意をお伺いいたします。

答弁13
知事
 震災対策についてでありますが、この日本は、アラスカに発しまして、アリューシャンを経て、日本で分岐して、南のマリアナ、西のフィリピンにつながる世界最大の火山脈の上にある、有数の地震国であります。この東京においては、首都直下地震がいつ起きてもおかしくございません。
 そのため、自助、共助、公助に基づく十分な備えが必要でありまして、これまで都は、建物の耐震化や不燃化の促進、地域防災力の向上に努めてまいりました。
 さらには、自衛隊や在日米軍も参加する実践的な訓練の積み重ねによりまして、災害対応力の強化を図っております。
 今後とも、震災対策を強力に推進するとともに、都民や区市町村、防災機関等と連携を強め、災害に強い東京の実現に全力を尽くしてまいります。

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オリンピック・パラリンピック

質問1
 次に、オリンピック招致についてお伺いいたします。
 去る一月十日、都と東京オリンピック招致委員会は、申請ファイルをIOCに提出し、正式に二〇一六年オリンピックの申請都市となりました。東京が提出した申請ファイルにおいては、東京オリンピック競技大会のコンセプトとして、成熟した大都市の中心で開催するオリンピックの新たな姿を提示するとしています。
 今回の申請ファイルにおける会場計画においても、地震時の安全対策について十分に配慮されているものと思いますが、オリンピック競技大会の中心となるオリンピックスタジアムの地震に対する安全対策はどのようであるか、改めて知事のご所見を伺います。

答弁1
知事
 オリンピックスタジアムの震災対策についてでありますが、オリンピックスタジアムは、世界から多くの選手、観客が集まります大会の中心的な施設であります。大会期間中だけではなく、大会後の利用までを視野に入れまして、ご指摘の地震はもとより、火災、風水害、テロ攻撃など、想定されるさまざまな危機に対して対策を講じていくことは極めて重要であります。
 スタジアムの整備に当たっては、最先端の技術を活用した施設本体の耐震性強化と、周辺地盤の安定性向上、さらに、避難誘導体制の確立による観客や大会関係者の安全性の確保など、総合的な安全対策に万全を期してまいります。


質問2
 また、オリンピックスタジアムの観客席は十万人とされており、国内でも最大級の集客施設となります。オリンピックスタジアムの立地が三方海であることについて、万一避難をしなければならない緊急事態が生じた場合に、十万人の観客や選手などを安全に避難させるための方策について、現在どのような検討がなされているのか、お伺いいたします。

答弁2
東京オリンピック招致本部長
 オリンピックスタジアムにおける避難についてでございます。
 万一避難しなければならない緊急事態が生じた場合、災害時のリスクマネジメントの観点から、観客を一方向に集中させることなく、複数の避難ルートを確保することが重要でございます。
 このため、晴海地区の南の豊洲方向と北の勝どき方向へは、現在、環状二号線の橋梁を整備しておりまして、これに加えまして、勝どき・豊海方向につきましては、大会までに新たな橋梁を整備いたします。
 さらに、避難時の混乱を防ぐため、きめ細かい避難標示や誘導員の配備、多言語による誘導放送を実施するほか、船舶などでの避難も取り入れまして、効果的な避難誘導体制を確立いたします。
 このようにして、ハード、ソフトの両面から総合的に安全性の確保を図ってまいります。


質問3
 また、オリンピック・パラリンピックの招致をかち取るためには、その都市の住民が心からオリンピック・パラリンピックの開催を願い、その熱意がムーブメントとなって広がることが必要不可欠です。
 これまでも、都と招致委員会は区市町村と連携し、機運盛り上げのための活動を行ってまいりました。このようなムーブメントをつくり出すためには、商店街でフラッグを掲げるなどの広報、PRの展開と同時に、一人一人の住民がスポーツや文化に親しみ、環境、平和について考えるなど、オリンピズムのすばらしさに直接触れるような、さまざまな機会を設けることが大変有効であり、そのような取り組みには、住民に身近な自治体の着想を生かし、連携していくことが必要不可欠です。
 二十年度予算には、都と区市町村が共同したオリンピックムーブメント推進事業が計上されています。これらの新規事業を活用し、今後どのように区市町村と連携していくのか、具体的な取り組み方策についてお伺いいたします。
 ぜひ区市町村が地域の実情に合わせ創意工夫できるよう、柔軟な仕組みにしていただきますよう要望し、質問を終わります。

答弁3
東京オリンピック招致本部長
 区市町村と連携したムーブメントの推進についてでございます。
 昨年十二月、都・区市町村連絡協議会におきまして、区市町村オリンピックムーブメント推進事業を提案いたしました。
 この事業のねらいは、スポーツ、文化の振興、国際交流の促進などを通じまして、オリンピズムを普及啓発し、よりよい地域づくりを進めること並びに二〇一六年オリンピック・パラリンピックの招致機運を醸成していくことでございます。
 具体的には、区市町村みずからが地域の実情や固有の資源を踏まえて提案した、海外選手やスポーツ関係者との交流事業、オリンピズムの普及と地域活性化イベントとを結びつけた事業などに対しまして、都が委託料として一自治体一千万円を限度に支出するものでございます。
 事業実施に当たりましては、この支出に加え、オリンピックに関する映像や展示物など、知的財産を使用する際のアドバイス、都の広報媒体の活用など、都が積極的に支援することによりまして、効果的な事業となりますよう区市町村との連携を図り、都内全域でオリンピックムーブメントを展開してまいります。

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