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  4. 第1回定例会 (一般質問1日目)
  5. 立石晴康(自民党)

銀座・三原橋問題の早期解決を
食の安全・安心は最大の課題

立石晴康
立石晴康(自民党)

三原橋周辺の課題

質問1
 「ニューズウイーク」日本版、二月二十日号の最終ページにある「TOKYO EYE」というコラム欄に目が行きました。「北京五輪を救うため東京は力を貸してほしい」という中国人在京の作家の李小牧氏の一文であります。
 本年八月八日に開幕が迫った北京オリンピックを前に、氏は、日本人が中国に抱くイメージは過去最悪であろうと懸念しています。中国製冷凍ギョーザ事件や北京の大気汚染の状況など、大都市問題解決に東京の知恵で応援してほしい趣旨のことが書かれていました。
 かつて昭和三十九年、東京オリンピックの状況を思い出しながら読むと、当時、東京も公害に苦しんでおりました。今こそ北京オリンピックを応援して、八年後の東京オリンピック招致を実現しなければならない思いがいたしました。
 さて、終戦のとき、焼け野原となった東京の当時の復旧のため、まず第一の課題は瓦れきの処理でありました。銀座にある旧三十間堀川の埋め立ては、この瓦れきの処理場として使われました。川は埋められ、三原橋周辺の橋は残されたまま現在に至っています。現在、この橋の安全性はどうか、また、終戦当時の橋付近のいわゆる三原橋問題は、終戦から今日に至るまで、長く地元商店街や町会の悩みでありました。
 銀座通連合会事務局長で、半世紀近くこの状況を見続けてきた銀座案内人の故石丸雄司氏の口癖でありました。一日も早く解決して、銀座らしい今日にふさわしい状況にしなければならないと繰り返しいっていました。
 さて、昨年八月、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで、ミシシッピ川にかかる高速道路の橋が崩落、夕方六時のラッシュアワー時に現場を走行していた約六十台の車両が川に転落し、十三人が死亡、百人以上が負傷したという事故を思い出します。
 社会基盤施設の適切な維持管理は、いうまでもなく我が国においても重要な課題であります。中でも、幹線道路にかかる橋梁は特に重要な施設であります。都は既に、予防保全型管理の重要性を認識して、道路アセットマネジメントを導入しています。都の進めている道路アセットマネジメントによる、橋梁を中心とした予防保全型管理の今後の取り組みについて所見を伺います。

答弁1
建設局長
 橋梁の予防保全型管理の取り組みについてでありますが、高度経済成長期に集中的に整備した橋梁が、近い将来、一斉に更新期を迎えることから、更新時期の平準化と総事業費の縮減を図るため、資産管理の手法であるアセットマネジメントを活用し、橋梁の予防保全型管理を進めております。
 これまで実施してきた定期点検結果から、将来の損傷や劣化を予測し、最新の長寿命化技術によって、橋梁の安全性、耐久性を向上させる対策などを盛り込んだ橋梁の管理に関する中長期計画を策定いたします。この計画には、管理に関する基本的な方針、長寿命化の方策やその施工時期などを盛り込み、今後、計画に基づき、橋梁の効率的、効果的な管理に努め、都民の貴重な財産を次世代に継承してまいります。


質問2
 次に、私の地元中央区には古くから橋が多く存在しますが、その中の一つに、先ほどの三原橋があります。この三原橋は、架橋から八十年近くたっており、現在、一日約四万台の交通量を抱えていますが、この橋の安全性について改めて伺います。

答弁2
建設局長
 三原橋の安全性についてでありますが、昭和四年に建設された三原橋は、都心と臨海部を結ぶ幹線道路の晴海通りにある、長さ約三十メートルの橋梁であります。これまで五年に一度の定期点検結果に基づき、適時、床版の補強、鋼げたの取りかえや塗りかえ、舗装の打ちかえなどの工事を行ってまいりました。
 今後とも、必要に応じて効果的な補強と適切な維持管理を図り、引き続き安全の確保に努めてまいります。


質問3
 また、現在この三原橋のたもとの両側には、二棟の契約切れの建物が存在しています。銀座の街並みが時代の最先端へとリニューアルしていく中、古色蒼然としたこの二棟の建物は、沿道の他の建物の景観から乖離し、周辺の街並みと比べた場合、さきに述べたように明らかに異質な存在となっています。
 都として今後どのように対応していくのか、所見をお伺いします。

答弁3
建設局長
 三原橋における二棟の建物についてでありますが、この建物は、三十間堀川埋立事業に伴い、昭和二十九年に観光案内所などを目的として建てられたものでございます。その後、当初の目的である観光案内所としての機能が終了したため、都は、道路区域に編入し、道路として活用することといたしました。
 二棟の建物所有者とは、これまで話し合いを行ってまいりましたが、本年二月に至り、双方、解決に向けて協議していくことを確認いたしました。
 今後は、地元区等関係機関と十分な調整を図りながら、解決に向けた協議を進めてまいります。


質問4
 さらに、晴海通りの良好な環境の確保のためにも、いろいろな手法を駆使して解決すべきであります。例えば、先ごろ決定した、銀座四丁目にある三越が都市再生特別地区としてビルの改修及び増築工事を行う予定であります。この事業の中で、銀座地区の課題である駐車場の整備や国際観光案内所の開設、地域に開かれたオープンスペースの提供などとともに、地下歩道の拡幅、エレベーターの設置などのバリアフリー工事など、さまざまな公共貢献による整備を予定しています。
 特に、地区の一方の軸となる中央通りは、沿道の整備も進み、街並みの完成度が極めて高いことから国際的にも評価されており、まさに銀座の顔となっています。
 しかし、一方晴海通りは、有楽町、銀座から築地、勝どき、晴海に至る都心と臨海副都心を結んでおり、東京の代表的メーン通りであります。二〇一六年晴海メーンスタジアムに通じる道であります。
 しかしながら、三原橋周辺においては、街並みの統一感がありません。また、地下の歩行者道路も高低差が生じており、歩きにくい空間となっています。そこで、人々が安心してショッピングやまち歩きを楽しみ、憩える、安全性、防災性、快適性にすぐれたまちであり続けるためには、これらの手法を用いて地域の課題解決を図っていくことが重要であると考えます。
 公共と民間の協力により、銀座の将来を見据えた都市の再生を推進すべきと考えますが、都の見解を伺います。

答弁4
都市整備局長
 銀座地区のまちづくりについてでございますが、銀座は、お話にもございましたように商業機能などが集積しておりまして、東京の活力を担う国際的な商業・観光拠点として、その機能をさらに高めていくことが期待されております。その一方で、銀座では、戦後の早い段階から市街地が形成されたことから、建物の多くが建てかえの時期を迎えております。こうした建物の更新とともに、官民が協力して地下道の拡幅など公共施設の整備を行うことにより、より一層都市の再生が促進されるものと考えております。
 今後とも、都といたしましては、地元区とともに、魅力とにぎわいにあふれた地域のまちづくりへの支援を進めてまいります。

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食の安心・安全

質問1
 次に、食の安心・安全について何点か質問いたします。
 昨年来、例のミートホープ社事件から、薬物入り冷凍ギョーザの事件など、食の安全に対する心配は、都民のみならず、全国的な大問題として、改めて社会的課題として人々の脳裏をかすめています。市場行政の中では、いうまでもなく食の安全は最も重要な課題であります。
 豊洲新市場予定地における土壌汚染問題と、現築地市場の老朽、狭隘、移転までのアスベスト対策や、原爆マグロ塚の問題など、どちらにしても、食の安全・安心は生鮮食料品を扱う最大の課題であります。
 そこで、幾つか質問いたします。
 豊洲新市場予定地における四千二百カ所の土壌、地下水の調査を実施していますが、今後どのようなスケジュールで調査結果を公表し、提言しようとしているのか、具体的にお伺いいたします。

答弁1
中央卸売市場長
 豊洲新市場予定地における土壌・地下水調査及び提言等のスケジュールについてでございますが、約四千二百カ所の土壌、地下水の詳細調査は、今月の十三日から実施をしておりまして、四月初めには、昨年の調査で高濃度の有害物質が検出された六街区の、四月末には残りの五街区、七街区の調査を終える予定でございます。また、この調査で基準を超えた箇所では、土壌のボーリングによる汚染箇所の絞り込み調査を並行して実施してまいります。
 これらの調査結果を踏まえ、順次専門家会議で対策を検討した上で、五月末には提言案を策定して公表し、広く意見を聞いた上で、七月までに最終的な提言を取りまとめる予定でございます。来年度中にこの提言に基づく土壌汚染対策工事に着手をし、平成二十二年度には完了させることにしてございます。
 今後、豊洲新市場予定地の土壌汚染に関するこうした検討状況や対策内容について、都民や市場関係業界に十分に理解が得られるよう努めるとともに、専門家会議の提言を確実に実施することにより、平成二十五年三月に安心できる市場として開場させてまいります。


質問2
 一方、築地市場は開場から七十年という長い歴史を持ち、首都圏の基幹市場としての役割を果たし続けています。現代の築地市場が移転までの間、放射能の半減期から考えれば、昭和二十九年に現築地市場に埋められたと報道された被曝マグロの放射能問題など、不安は山積みされています。
 私は、地元である中央区で、築地市場の維持発展にさまざまな面からかかわってきており、築地市場や、築地が長年にわたって築き上げてきた築地ブランドに並々ならぬ愛情を持っています。築地市場が、現在地を再整備するのであれ、移転整備するのであれ、都民にとって一番重要なことは、食の安全・安心であります。
 私は、これまで築地の持つ歴史やその愛着から、できれば現在地での再整備が望ましいと考えてきました。築地市場施設の一部にはアスベストが含有されており、施設の解体、改築に当たっては、相当慎重なアスベスト対策が必要になると考えられますが、現在地再整備の経緯も含め、所見をお伺いいたします。

答弁2
中央卸売市場長
 築地市場の現在地再整備の経緯などについてでございますが、現在地再整備は、平成三年から工事に着手をいたしましたが、敷地が狭隘な中で市場業者の営業を継続しながらの工事のため、業界調整が難航をきわめ、断念をした経緯がございます。今日、再度現在地再整備を行うとした場合、かつてのローリング工事の用地は既に売り場や駐車場として活用されており、必要な種地の確保ができません。また、これからの市場に求められる品質管理の高度化や物流の効率化に対応した施設を整備する余地がなく、首都圏の基幹市場としての役割を将来にわたって果たすことは難しい状況にございます。
 加えて、アスベスト対策の基準が当時以上に厳しくなっており、工事中、売り場を相当範囲で密閉する必要があるなど、市場活動に一層深刻な影響を与えることから、現在地再整備は現実的な対応策ではないと考えております。

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環境対策

質問1
 次に、温暖化対策についてお伺いいたします。
 本定例会における知事の所信表明にもありましたように、世界人口の五割が都市に居住しており、都市のあり方が地球の未来を規定する、都市の世紀といわれる時代です。こうした世界において、大都市東京は、高度成長期に建てられた古い建築物が建てかえ時期にあり、まさに都市の更新期を迎えているといえます。そのため、再開発等により東京の都市としての魅力と活力を維持向上していくことが重要であります。
 一方、地球温暖化の問題は、我々の世代だけの問題ではなく、子や孫の次代を担う世代に大きな影響を与える問題であり、早急な対策が求められているものであります。
 このため、この都市の更新期を逃すことなく、環境への負荷の少ない良好なストックを形成することが重要であり、都市づくりの中で温暖化対策を推進していかなければならないと考えますが、知事の所見を伺います。

答弁1
知事
 都市づくりの中での温暖化対策についてでありますが、現代文明は、化石燃料がもたらすエネルギーを前提に、極めて便利で豊かな生活を実現してまいりました。この現代文明が高度に集積する先進国の大都市こそ、早期にCO2排出量を減少に転じていく必要があります。その責任もあります。
 都市の更新期を迎えている東京では、今、都心部を中心とした都市再生が進んでおりまして、こうした機会を生かし、最先端の省エネ技術や再生可能エネルギーの導入を積極的に促進していかなくてはならないと思います。
 こうしたことによりまして、世界有数の大都市である東京をいち早く低炭素型都市に転換し、新たな都市モデルとして世界に発信していきたいと思っております。


質問2
 さて、都は、平成十七年度に導入したマンション環境性能表示により、マンションの販売広告に環境性能を星の数で示すラベルの表示を義務づけていますが、これはいわゆるミシュランの三つ星のように、わかりやすくマンションの環境性能を示すものです。三つ星をとるマンションが着実にふえています。だれにでもわかりやすく建築物の環境性能を示していくことは、温暖化対策を推進する上で大変有効な手段の一つといえます。
 そこで、CO2排出量の増加の著しいオフィスビルについても、マンション環境性能表示のように、建築物の売買や賃貸借等の取引の機会をうまく使って、投資家や建築物の使用者にビルの環境性能をわかりやすく伝えることが重要であると考えますが、所見を伺います。

答弁2
環境局長
 建築物の環境性能に関する情報の提供についてでございますが、平成十七年度に導入したマンション環境性能表示制度は、大規模な新築マンションの販売広告に環境性能を星の数で表示するものであり、制度導入後、マンションの環境性能が着実に向上しております。
 この成果を踏まえ、オフィスビル等の省エネ性能の向上を図るため、建築主が省エネ性能の評価をわかりやすく記載した書面を作成し、建築物の売買や賃貸借の際に相手方へ提示することを義務づける省エネルギー性能評価書制度の創設を今後検討してまいります。
 この制度の創設により、環境に配慮したオフィスビル等が不動産取引で高く評価される状況をつくり出し、CO2排出量の少ない建築物の建設を一層促進してまいります。


質問3
 都は、CO2排出量を二〇二〇年に二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を掲げていますが、これを達成していくためには、建物自身の省エネ性能の向上を推進していくとともに、CO2を排出しない太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入を積極的に推進していく必要があります。
 都市再生事業において計画されているすぐれた建築物では、屋上だけでなく、壁面にも太陽光パネルを設置するものがあり、積極的な取り組みが見られるようになってきました。しかし、全体的には再生可能エネルギーの導入実績は十分なものとはいえない状況にあります。
 都は、大規模な新築建築物に環境配慮を求める建築物環境計画書制度の対象拡大を打ち出していますが、この対象拡大にあわせて、建築物の新築時に再生可能エネルギーの積極的な導入を促すべきだと思いますが、所見を伺います。

答弁3
環境局長
 再生可能エネルギーの導入についてでございますが、建築物環境計画書制度の対象となる大規模な新築建築物では、再生可能エネルギー導入のすぐれた取り組みが一部で見られるようになったものの、多くの場合、導入に向けた検討自体が十分に行われていない状況にあり、再生可能エネルギーを導入した建築物は、制度の対象全体の約六%にとどまっております。
 そこで、建築物環境計画書制度におきまして、再生可能エネルギーの導入に向けた取り組みが進むよう、今後建築主に対し、都が示すプロセスに従った検討を義務づけ、その結果を都が公表する新たな仕組みの構築を目指してまいります。

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災害時の燃料供給

質問1
 次に、震災後の復旧について、特に燃料供給体制の整備についてお伺いいたします。
 都が発表した被害想定では、首都直下地震が発生すると、死者六千四百人、負傷者十六万人に及ぶ甚大な被害が予想されています。こうした状況に対処するには、発災直後から迅速な救出、救助活動が必要であり、一刻もとめることはできません。このため、拠点となる都や区の庁舎、病院などは、停電に備えて非常用発電装置を設置しており、また、警察や消防は独自に車両燃料の備蓄をしています。
 しかし、停電が長引いた場合や、全国からの応援部隊を含めて、昼夜を問わない活動の継続には、備蓄だけで対応することは困難になります。瓦れきの処理にも多くの車両が必要となり、その燃料を確保することも危ぶまれます。
 救出、救助や早期復旧を図るには、燃料の安定した補給が不可欠であり、早急に供給体制を整備すべきと考えますが、見解をお伺いして質問を終わります。

答弁1
総務局長
 災害時の燃料供給についてのご質問にお答え申し上げます。
 大地震など緊急事態に、都や警察、消防など防災機関が応急活動を迅速に開始し、継続して行うためには、燃料の安定的な確保が重要でございます。
 このため、各防災機関は、みずから停電時の非常用発電装置や車両の燃料を備蓄いたしますとともに、近隣のガソリンスタンドなどと個別に災害時の燃料供給に関する取り決めを行い、その確保に努めているところでございます。
 さらに都では、応急、復旧活動に支障を来さないよう、広域的な燃料の輸送体制を確立するため、現在石油関係団体と協議を進めております。
 今後、できる限り早い時期にこうした団体との間で協定を締結いたしまして、災害時における安定した燃料の供給体制を整備してまいります。

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