古館和憲(日本共産党)
質問1
暮らしの基本となる住まいの問題について伺います。
今、都民の多くは、小泉構造改革で進められた庶民増税、社会保障の負担増、そして急増する大企業を中心とした雇用破壊のもとで、住まいを確保することすら困難になろうとしています。また、家賃が払えず、ネットカフェに寝泊りする若者や、食費を削って家賃に充てている年金生活者など、住宅難民を増大させ、公共住宅、とりわけ低所得者のため都営住宅の必要を増大させております。
ところが、東京都はこうした現実を直視するのではなく、既に都内の住宅数は世帯数を一割以上上回っているといって、都営住宅の新規建設をストップし、管理戸数も減らしたのです。
しかし、住宅が余っているといっても、年金暮らしの高齢者やひとり親家庭、障害者、若年ファミリーなど、所得の低い人たちが入ることのできる家賃の安い住宅は、この東京では限られており、大幅に不足しているのです。ですから、都営住宅の応募者はウナギ登りにふえ続けて、五月募集には五万六千人の人が殺到しました。三十七倍という宝くじ並みの狭き門になっているのであります。
知事、この現状をどうとらえているのですか。認識を伺います。また、この現実を打開する方向と政策を明らかにすることが自治体の責務だと思いますが、答弁を求めます。
答弁1
知事
住宅に関する現状認識についてでありますが、既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、居住水準も着実に改善しております。また、民間住宅の家賃も近年横ばいで推移しております。
住宅に困窮する都民に対しては、既存の都営住宅などの公共住宅のストックを有効に活用し、居住の安定の確保に努めております。
引き続き、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能の構築に取り組んでまいります。
質問2
住宅セーフティーネット法は、低所得者、高齢者、障害者、子どもを育成する家庭などを住宅確保要配慮者として定め、地方自治体にこの方々のための公的賃貸住宅を新規に供給する責務があることを明記しています。このことを東京都はどう受けとめていますか。破綻した民間市場任せと都営住宅の総戸数抑制策を改め、都営住宅の総戸数を都民要求に即して見直すべき、そういう時期に来たと思いませんか。地域住宅交付金の制度を活用し、若者向け住宅などの建設を提案するものですが、それぞれ答弁を求めます。
答弁2
都市整備局長
いわゆる住宅セーフティーネット法における公的賃貸住宅の供給についてでございますが、公的賃貸住宅につきましては、既存の住宅ストックの有効活用を図りつつ、必要な施策を講ずるという住宅セーフティーネット法の趣旨を踏まえ、真に住宅に困窮する都民に対して、公平かつ的確に供給しております。
また、都営住宅や若者向け住宅につきましては、既に都内の住宅の数が世帯数を一割以上上回っておりまして、さらに将来の人口減少社会の到来が見込まれていることなどを踏まえまして、都として新たに住宅を建設する考えはございません。
質問3
高齢者を孤立させず、地域で支えていくために、若年者や子育てファミリーなどとのソーシャルミックスを進めることが不可欠です。この点で、東京都は、少子高齢化社会の到来を踏まえ、比較的高齢者世帯の多い都営住宅において、周辺地域の活力の維持、向上を図ることを目的にして、都営住宅の若年ファミリー向き募集を実施しており、その必要性は明らかであります。ファミリー世帯向けの三DK、四DKの都営住宅をふやしていくとともに、子育て世帯の募集枠を大幅に拡大するよう求めるものですが、答弁を伺います
答弁3
都市整備局長
都営住宅の建てかえで供給する住宅及び子育て世帯への対応についてでございますが、建てかえに当たりましては、従前居住者の世帯人員に応じた居室構成や面積規模の住宅を供給しておりまして、適切なものと考えております。
また、子育て世帯に対しましては、現在、期限つき入居の募集枠の拡大を図るとともに、優遇抽せんや収入基準の緩和等により入居促進を図っております。
質問4
都営住宅居住者の要求にこたえることも大切です。
昨年の公営住宅法施行令の改定で、家賃の値上げと入居収入基準の改定が行われましたが、これは住民追い出しを行うものであり、反対です。国に撤回を求めるとともに、都として負担軽減に万全を尽くす必要がありますが、いかがですか。
答弁4
都市整備局長
公営住宅法施行令改正についてでございますが、今回の改正は、公営住宅を住宅困窮者に公平、的確に供給するためのもので、東京都住宅マスタープランの内容とも整合することから、改正の趣旨に沿って適切に実施してまいります。
なお、昨日の代表質問でもお答えをいたしましたが、家賃改定による引き上げを一年間延ばすとともに、収入区分が二段階上昇する世帯につきましては七年間、建てかえが伴う場合につきましては最長十一年間の経過措置を講じる考えでございます。
質問5
都が建てかえを急ぐ余り、乱暴に短期間に引っ越しを迫る事例がふえています。少なくとも住民が納得できるまで質問にも丁寧に答え、日程などについても住民と相談しながら進めることが重要であります。対応が困難な高齢者の現状を踏まえ、居住者にはせめて一年前程度には知らせるなど、人道的に十分な時間的余裕を持てるように改善すべきであります。
答弁5
都市整備局長
都営住宅の建てかえにおける居住者への説明についてでございますが、都営住宅の建てかえにつきましては、都民の住宅セーフティーネットとしての機能を保持するため、老朽化の度合い、居住者の移転先の確保の状況、地域のまちづくりとの連携などを勘案しながら、計画的に実施をしております。建てかえに当たりましては、居住者に対し、事業の説明会などにより丁寧な対応に努めるとともに、居住者の要望などについて適切に把握しております。
質問6
高齢者の見守り機能の強化のため、都は、東京における高齢者の住まい方検討会を設置し、見守り機能の検討を進めております。シルバーピアのような高齢者住宅だけではなく、高齢化が進んだ共同住宅が多くなっております。このような共同住宅における見守り機能の強化は重要だと思いますが、認識を伺います。今後、検討し、一刻も早く具体化することが求められていますが、どうでしょうか。
答弁6
福祉保健局長
共同住宅における見守り機能についてでありますが、共同住宅に住んでいるひとり暮らしの高齢者などが安心して生活し続けるためには、居住者で組織する管理組合や自治会などが日ごろから見守りや声かけを行うなど、居住者同士の支え合いが重要であります。
そのため、都は既に平成十九年度から高齢者住宅支援員研修事業を実施し、管理組合の代表者や管理人等に対し、高齢者支援に求められる基礎的な知識を付与することにより、共同住宅における高齢者の見守り等を普及させております。
質問7
公共住宅の居住者の要望も切実であります。
市場家賃に連動し、高額化している住宅供給公社一般賃貸住宅の家賃の値上げはやめ、減額制度をつくること。UR住宅の居住者も高齢化が進んでおります。地域コミュニティ活性化のさまざまな手だての一つとして、あいている住戸を都が借り上げ、若者や子育て世帯などに低廉な家賃で貸せるようにするなど、検討するときではないでしょうか。それぞれ答弁を求めます。
答弁7
都市整備局長
公社一般賃貸住宅の家賃についてでございますが、現下の厳しい経済状況も踏まえまして、公社一般賃貸住宅の家賃改定について適切に対応するよう、一昨日、公社に対し要請をいたしました。なお、既にある減額制度を含め、公社の家賃に関する制度の見直しを求めることは、都としては考えておりません。UR、都市再生機構の住宅についてでございます。UR住宅居住者の高齢化等への対応につきましては、URみずから検討すべきものでございまして、都として借り上げ等を行う考えはございません。
質問8
マンション対策です。都は、マンションの実態について調査しておりますが、調査結果について、いつまでに都民に公表するのでしょうか。また、一刻も早く白書としてまとめ、課題を明らかにして積極的に施策化していくことが求められますが、どうでしょうか。
答弁8
都市整備局長
マンションの実態調査についてでございますが、都はこれまでも答弁しているとおり、マンションや管理組合等の実態を調査し、維持管理や建てかえに係る課題等を明らかにするため、マンション白書の作成に取り組んでおります。なお、公表時期につきましては、現時点では未定でございます。
質問9
東京都耐震改修促進計画では、二〇一五年度までに九〇%以上の住宅の耐震化が掲げられております。マンションの耐震診断と耐震補強工事には補助制度が開始されましたが、耐震診断等が必要な二十二万戸のマンションのうち、昨年度と今年度で耐震診断補助を受けたのはわずか七千戸にとどまっており、このスピードでは到底目標を達成することは困難であります。到達状況をどう認識し、どう対応するのですか。
マンションの耐震補強工事補助は、国の助成に上乗せをし、居住者が耐震補強工事に踏み出せるよう補助を拡充することが必要です。マンションの耐震化を進めるためには、技術的、専門的なことや合意形成を得るための相談が重要ですが、現在はマンション耐震化促進協議会を紹介して済ませており、不十分であります。耐震化の目標を達成するためには、都として区市町村の協力も得て、公的に総合的な相談ができる体制をつくることが必要なのではないでしょうか。
答弁9
都市整備局長
マンション耐震化の促進についてでございますが、マンションには多数の区分所有者が居住しておりまして、耐震化の合意形成に向けては課題があると認識しております。都は、マンションの耐震診断や耐震改修を促進するため、既に区市に対して働きかけを行っているほか、普及啓発などに努めておりまして、引き続きマンションの耐震化に努めてまいります。
次に、マンションの耐震化助成についてでございますが、都は、今年度からマンションの耐震補強への助成制度を開始したところでございまして、制度の改正は考えておりません。
マンションの耐震化の相談体制についてでございます。マンションの耐震化には、幅広い分野の専門的な知識や技術が不可欠であり、関係分野が協力して管理組合を支援することが必要でございます。
このため、都は、本年三月に関係団体とともに設立をいたしましたマンション耐震化促進協議会を通じまして、耐震化に関する相談に対応しているほか、区市と協力して管理組合への啓発を行うなど、既に必要な支援に努めております。
質問10
最後に、住宅行政拡充、強化のための組織的な保障として、住宅局を独立させるなど組織再編を検討すべきことを求めるものです。答弁を求めます。
答弁10
総務局長
組織再編についてお答えいたします。
地方公共団体におけます必要な内部組織の設置につきましては、地方自治法におきまして長の権限とされております。都では、その時々の行政課題に応じて適宜適切な見直しを行い、常に効果的、効率的な執行体制の確保に努めているところでございます。
質問1
次に、豊島病院と老人医療センターについて伺います。
知事は、二〇〇一年の都立病院改革マスタープランで、両病院の統合、民営化を打ち出しました。しかし、区民、区議会挙げて反対で破綻をいたしました。その後、豊島病院の区移管の協議が始まりましたが、これも破綻しました。今度は、豊島病院は公社に移管し、老人医療センターは老人総合研究所と一緒に独立行政法人の運営に移すという、そういう方針を唐突に打ち出し、強引に進めております。
その中で、豊島病院は分娩もNICUも休止、整形外科の受け入れ休止など深刻な事態に陥りましたが、関係者の努力で分娩が再開されるなど改善に向かいつつあります。
豊島病院の運営を軌道に乗せるため都の後押しが必要なときに、都の補助も看護師の配置も少ない公社病院に移すのは、逆行というほかありません。しかも、都として全面開設するという立場をほごにし、六床のNICUは廃止するというのであります。余りにも無責任です。
知事、豊島病院の公社移管は立ちどまって、これまでの方針を総括し、都立病院に求められる役割にこたえるため、拡充する方向で検討することこそ必要ではありませんか。
豊島病院は、周産期医療や小児救急、がん患者の緩和ケア、新型インフルエンザなどに対応する感染症医療を初め、なくてはならない行政的医療の役割を果たしております。その水準を維持し、全面開設して、脳卒中、糖尿病、リハビリテーションなど、さらに充実させるべきです。NICUはふやすことこそ必要であります。板橋区議会も全面開設とともにNICUの存続を求める意見書を全会一致で採択しており、豊島病院のNICUを存続することこそ必要であります。答弁を求めます。
答弁1
病院経営本部長
まず、豊島病院の東京都保健医療公社への運営移管についてでありますが、これまで豊島病院は、地元板橋区を中心に周辺地域の患者さんが多く、地域の中核的病院としての役割を担ってきております。公社移管は、こうした豊島病院の特色や機能をさらに伸ばすとともに、弾力的な運営を可能にすることにより、医療サービスの向上などを目指すものであります。来年四月の移管に向け、今後とも着実に準備を進めてまいります。
次に、豊島病院の医療機能についてでありますが、公社への運営移管後も、現行の診療科及び診療機能は継続することとしております。その上で、今後、重点医療として、救急医療や脳血管疾患医療、がん医療に対応していくことにしており、特に脳血管疾患医療では、脳卒中治療を重点的に行う病床を確保するため、脳卒中専門病床の整備を行っております。
また、リハビリテーション医療では、脳血管疾患医療と一体となった早期のリハビリ訓練を実施するとともに、糖尿病医療については専門外来を実施するなど、特色ある医療の提供に引き続き努めてまいります。
こうした医療を提供しながら、当面必要な病床を確保し、地域の医療ニーズにこたえてまいります。
次に、豊島病院のNICUについてでありますが、現在、豊島病院のNICUは休止しておりますが、その機能については、大塚病院と墨東病院にそれぞれ移転し、機能補てんすることとしております。
さらに、平成二十二年三月には、清瀬、八王子、梅ケ丘の小児三病院の移転統合により、多摩メディカルキャンパスに総合周産期母子医療センターが開設され、従前より九床多い二十四床のNICUが整備されることになっております。
これらにより、豊島病院のNICU休止以前より、都立病院全体のNICUは増加することになり、周産期医療機能は確実に向上することになります。
質問2
地方独立行政法人は、国立病院などの運営交付金が一律削減されていることなどを理由に、都立病院への導入を見送りました。にもかかわらず、老人医療センターは来年四月から独立行政法人に移すなどというのは、道理がありません。違いますか。
老人医療センターと老人総合研究所は、旧養育院以来百三十五年の歴史を重ね、福祉、医療、研究が三位一体で連携した世界に誇る成果を上げてまいりました。今回の計画はそれを大後退させて、都政に汚点を残すものであることを厳しく指摘をし、再質問を留保して質問を終わります。
答弁2
福祉保健局長
東京都老人医療センターの地方独立行政法人への移行についてであります。
急速な高齢化の進展に対応するため、高齢者の心身の特性に配慮した医療を効果的、効率的に提供する体制づくりを早急に行う必要がございます。このことから、高齢者の医療課題に先導的に取り組むという行政的役割を果たすとともに、予算執行や人事配置などがより柔軟で機動的に対応できるよう、運営形態を地方独立行政法人とし、東京都健康長寿医療センターを設立するものでございます。
質問1
本当に冷たい答弁だと思います。問題は、所得の低い高齢者、狭いアパートで家族四人で暮らしている子育て世帯などが入れる住宅が決定的に不足しているということです。知事、このことに胸が痛まないのかということを聞いているんですよ。まともに答えていただきたいと思います。
住宅が余っているというのであれば、他県でやっているように、民間住宅やUR住宅を借り上げて、住宅に困っている人に提供したらいいではありませんか。
以上二問にわたって、知事、きちんと答えていただきたいと思います。
答弁1
都市整備局長
民間賃貸住宅につきましてのご質問でございますが、家賃でございますが、最近十年間、ほぼ横ばいで推移をしてございます。また、居住水準の着実な改善が見られてございます。立地や規模等に応じまして、家賃も含め多様な供給がなされていると認識をしてございます。
次に、若者等あるいは住宅の建設ということでございますが、いろいろ事例はございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたとおり、戸数も非常に多いということもございますので、都として新たに住宅を建設するつもりはございません。