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  4. 第4回定例会 一般質問
  5. 神林茂(自民党)

商店街でLEDランプ活用を
空港跡地周辺地域のまちづくり

神林茂
神林茂(自民党)

商店街振興対策

質問1
 初めに、商店街振興対策について伺います。
 東京都が今年度発表した東京都商店街実態調査によりますと、三年前に実施した前回調査と比べ、都内の商店街数は、全体で約七十商店街減少の二千七百十七商店街となっており、依然として厳しい商店街の状況が浮き彫りになっております。
 その一方で、各地域の商店街では、安全パトロールの実施、リサイクル活動、地域の清掃活動や空き缶回収などのほか、商店街会員みずからが、地元の消防団員、保護司、民生委員、町会役員などとして、地域に根差した取り組みや活動を行っております。
 このように、商店街は、厳しい経済環境の中にありながらも、みずから公共的役割を担い、地域のためにさまざまな取り組みを進めており、地域コミュニティの維持発展に向けて、とても大きな役割を果たしております。
 我が党ではこれまで、スーパーやチェーン店なども含めた地域の事業者が商店街活動に積極的に参加、協力するよう、事業者同士の連携に向けた取り組みを積極的に後押しすべきと提案してまいりました。
 東京都は、今年度から新たに、組織力強化支援事業により、商店街への加入及び協力を促進するための取り組みへの支援を開始しています。

答弁1
産業労働局長
 商店街組織力強化支援事業の現状と今後の取り組みについてでありますが、商店街を活性化させるためには、事業者間の一層の連携や協働が求められており、商店街組織に加入していない事業者の加入促進を図ることが必要であります。
 このため、都では、今年度、組織力強化支援事業を開始いたしましたが、この支援事業によりまして、既に都内各地域におきまして、商店街加入促進マニュアルの作成や加入促進フォーラムの開催など十七の取り組みが進んでおります。
 今後とも、商店街が取り組む組織力強化に資する事業を積極的に支援していくとともに、すぐれた事例を他の商店街に敷衍することで、本事業の実効性を高め、商店街のより一層の活性化を図ってまいります。


質問2
 最近、商店街では、その活性化に向け、ポイントカードシステムの導入や街路灯へのLEDランプの活用など新たな取り組みを始めております。特にLEDランプの活用は、これまでの水銀灯などと比べ、少ない消費電力やランプ自体の寿命が長いことによるランニングコストの削減が期待できるとともに、CO2削減にも貢献するものであり、多くの商店街が関心を寄せていると聞いております。
 このLEDランプについて、東京都は、特定施策推進型商店街事業により、街路灯への活用のみを支援の対象としていますが、都内にはアーケード施設を備える商店街も数多く存在いたします。
 そこで、東京都は、商店街街路灯のみならず、アーケードの歩行者照明などにもLEDランプの活用が進むよう、商店街の要望にも耳を傾けながら、特定施策推進型商店街事業のより一層の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
産業労働局長
 特定施策推進型商店街事業におけるLEDランプの設置に対する支援についてでありますが、商店街街路灯のLED化は、商店街の活性化のみならず、CO2削減による地球温暖化防止を目指す都の施策にも寄与するところから、現在、特定施策推進型商店街事業の対象とし、設置費用の助成を行っております。
 地球温暖化の防止は、今後ますます重要な行政課題となることに加え、商店街からも、アーケードの照明設備など街路灯以外にもLEDランプを活用したいという要望が寄せられておりますことから、LEDランプ設置に対する支援の拡充を検討してまいります。


質問3
 さらに、商店街から離れたガソリンスタンドのような、みずから公的役割を担っている地元商店街なども支援の対象として検討していくことを要望しておきます。
 商店街の推進に向け、我が党は一貫して、新・元気を出せ商店街事業の推進を主張してまいりました。都内商店街では、新・元気を出せ商店街事業を活用したさまざまな取り組みが実施されております。しかし、一方で、実際に事業を行う商店街の現場では、新・元気を出せ商店街事業について、より使い勝手を向上してほしいとの声をよく耳にいたします。
 具体的には、個別の企画、事業に対して柔軟に支援してほしい、殊にイベントなどを実施した際に発生するさまざまな経費について補助対象となるか否かを、地域の特性や事業の性質なども考慮し柔軟に判断してほしいといった要望などであります。
 東京都は、このような要望にも真摯に耳を傾け、新・元気を出せ商店街事業を真に商店街にとって活用しやすい制度となるよう改善を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 都内のさまざまな自治体でプレミアムつき商品券の発行に対する支援が進んでおります。プレミアムつき商品券の発行は、消費者の購買意欲を刺激し、商店街の活性化にも結びつく効果的な取り組みであります。このため、各地域でのプレミアムつき商品券の発行がより積極的に実施されるよう、商品券事業に取り組む自治体への支援について、東京都として何か取り組むことができないのか、ぜひとも検討を進めていただきたいと存じます。
 加えて、このほかにも、防犯カメラの設置、自転車駐車場の整備、自動体外式除細動器、AEDの設置など、商店街の活性化に結びつき、商店街が地域コミュニティの核としての役割を充実させる取り組みを、今後とも商店街と力を合わせて一つずつ着実に進めていくことを強く要望して、商店街に関する質問を終わります。

答弁3
産業労働局長
 新・元気を出せ商店街事業についてでありますが、都はこれまで、新たな支援メニューを順次追加するなど同事業の拡充を図ってまいりました。こうしたことに加え、同事業を使い勝手のよい制度としていくことは、商店街の活性化を図る上で有効と考えております。
 都では現在、新・元気を出せ商店街事業のイベント、活性化事業につきまして各区市町村がそれぞれの地域の実情に応じて補助対象のいかんを判断できるよう、各自治体と協議を進めているところであります。
 今後とも、同事業が商店街にとってより一層使いやすい制度となるよう努めてまいります。

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羽田空港跡地利用

質問1
 次に、羽田空港跡地利用について伺います。
 本年三月に、羽田空港移転問題協議会は基本計画を策定しましたが、基盤整備などの課題が残されております。平成二十二年十月に羽田空港の再拡張事業が終了し、国際化の進展が目に見える時期になった今、首都東京の表玄関である空港跡地の早期具体化が求められております。
 そこでまず、空港跡地活用に向けた今後のスケジュールと東京都の基本的な考え方を伺います。

答弁1
都市整備局長
 羽田空港跡地利用の基本的考え方とスケジュールについてでございます。
 空港跡地は、国際化の拠点施設に隣接するとともに、周辺市街地へとつながる重要な空間でございまして、空港との十分な連携や市街地との調和を図ることが求められております。
 このため、国、都及び地元区から成る三者協は、本年三月、跡地利用基本計画を策定し、市街地近接ゾーンには文化・交流機能、産業支援機能を、国際線地区隣接ゾーンには国際交流機能、商業機能を、B滑走路隣接ゾーンには空港連携機能をそれぞれ誘導することといたしました。
 都といたしましては、今後、三者協において、再拡張事業の進捗を見据えながら、事業手法や基盤施設の整備のあり方などについて精力的に検討を進め、跡地利用の早期具体化を図ってまいります。


質問2
 空港跡地の具体的な利用を目指す上で、東京都が果たすべき役割は大変重要であります。大田区では、土地利用の考え方を示した羽田空港跡地利用OTA基本プランの素案を示しましたが、その中で、空港隣接地の立地を生かし、大田区の発展につなげるとともに、国際都市東京の価値向上に貢献する考え方を示しています。空港跡地は、広域的な視点での活用も考えていく必要があると考えます。
 基盤整備や具体的な利用について、東京都は積極的に役割を果たし、地元区と協力して魅力ある活用を目指すべきと考えますが、見解を伺います。

答弁2
都市整備局長
 跡地利用についての都の役割についてでございますが、都はこれまでも、三者協の事務局として、共同調査の実施など検討作業を推進するとともに、有識者の助言や大田区の意見等を跡地利用基本計画に反映するよう努めてまいりました。
 跡地整備を進めるためには、関係者間の連携を一層強化しながら、道路や護岸、ライフラインなどの基盤施設の整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
 これら課題の解決に向けて、都は、主体的に国や大田区など関係機関と密に調整を進めていくとともに、特に土地所有者である国に対しましては、基本計画で示した方向性に沿った積極的な取り組みを強く求めてまいります。


質問3
 空港跡地の具体的な利用に向けて、やはり国有地である跡地をどの主体が取得するのか、これをはっきりさせないとなかなか前には進みません。この点については、昭和五十六年に都知事と運輸大臣とで取り交わした確認書の中で、その第三項には、(1)、沖合展開により空港用地外とする範囲とその土地の利用計画、(3)、沖合展開により空港用地外となる土地を東京都が取得する方法と時期について、関係機関との調整を踏まえ、別途協議する。第四項には、この空港用地外とする範囲とその土地の利用計画に際しては、地元区の要望を十分配慮すること。第六項には、これらの事項を適宜協議するため、羽田空港移転問題協議会を存続させることなどが確認されております。
 時代は大きく変動し、それに即した柔軟な対応が必要なことはもちろん理解いたしますが、この確認書は跡地利用に関する取り決めの基本となるものであり、この確認書の懸案事項は、羽田空港移転問題協議会で決定すべきものです。
 この確認書の扱いをどうするのか、土地処分などについての東京都の態度を明確にする時期が来ていると考えます。
 この件につきましては、昨日、同趣旨の質問が出されましたが、もし東京都が取得しない場合でも、可能な範囲で購入意欲を示している大田区に対して、財政的支援を初めとするさまざまな支援が必要と考えますので、この点も含めての見解を伺います。

答弁3
都市整備局長
 羽田空港跡地に係る確認書についてでございます。
 この問題につきましては、昨日も知事からお答えしたとおりでございますが、当時と状況が大きく変化したことに加えまして、三者協が策定した跡地利用基本計画を実現する上でも、都が跡地を一括取得する必然性はなく、基本的に、それぞれの施設の整備主体が土地の譲渡または貸与を受けることが合理的と考えられます。
 大田区は、本年十月に公表したOTA基本プランで、市街地近接ゾーンについては区主導で整備するとしておりますが、今後、計画的な土地利用を進めるための事業手法を三者協で協議し、跡地利用の早期具体化を図るとともに、必要となる基盤施設の整備等について、都として地元区に対し、技術的支援など必要な協力を行ってまいります。


質問4
   ことしの二月に、東京都もメンバーとなっている京浜臨海部基盤施設検討会は、いわゆる多摩川連絡道路についての三つのルートと構造案を公表しました。この案では、羽田側の取りつけ位置が空港跡地となっていることからも、もし実現されるということになれば、空港跡地活用が大きな制約を受けることとなるため、その後の検討状況がどうなっているのか、大変気になるところであります。
 羽田空港と川崎方面を結ぶ交通ルートは、東京湾岸を結ぶ大動脈である国道三五七号の延伸が当然優先されるものと確信しております。
 そこで、東京都は、多摩川連絡道路について、羽田空港跡地の土地利用との関係をどのように考えているのか、また、既に都市計画決定されている国道三五七号整備の重要性についてどのように認識しているのか、あわせて伺います。

答弁4
都市整備局長
 羽田空港に関連する道路についてでございます。
 空港と神奈川県を結ぶ連絡道路につきましては、先ほどお話にもございましたように、本年二月に開催された京浜臨海部基盤施設検討会において、連絡道路の役割や効果、整備の候補地である三つのゾーンごとの概略ルートや構造などが報告されました。
 これによりますと、本路線は、跡地の土地利用に関係することから、今後、地元区を初め関係機関との調整が必要であると考えております。
 また、国道三五七号は、東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成のみならず、羽田空港へのアクセスや物流の円滑化にも寄与する重要な路線でございます。しかしながら、空港に隣接する多摩川トンネル部など未整備区間があることから、都はさまざまな機会をとらえ、整備促進を国に強く要請してきております。


質問5
   最後に、私が空港の質問をするときに欠かさず取り上げてきた地元の思いについて伺います。
 とかく首都圏の将来の航空需要にこたえるという重要課題のもとで忘れられがちなのが、四十八時間の強制退去や航空機騒音の歴史であります。当初の沖合展開事業の第一の目的は、航空機騒音の解消であります。とはいえ、地元の方々は、今さら土地を返せとか国際化に反対だとかいっているのではございません。空港がよくなるのと一緒に地元もよくしたいという思いでございます。
 左旋回飛行の廃止を初めとする環境問題の解消、水と緑と安全のまちづくり、交通アクセスの整備、地元産業の活性化など地元の課題を、空港の沖合展開事業や再拡張事業とともに進めたいのでございます。
 そのためには、空港跡地だけの開発ではなく、周辺地域も含めた総合的、一体的まちづくりがぜひとも必要であります。
 この時期にこそ忘れてはならない地元の思いについて改めて見解をお聞きして、私の質問を終わります。

答弁5
都市整備局長
 空港の周辺地域のまちづくりについてでございます。
 跡地利用の基本的な視点のうち、空港を生かすこと、空港と連携することの二点につきましては、周辺地域のまちづくりにおいても共通する重要な考え方でございます。
 周辺地域のまちづくりを進めるに当たりましては、人、物、情報の交流機能を十二分に発揮させるとともに、空港に密接な関連がある施設等を充実させることにより、さらなる発展を図ることが求められます。
 都といたしましては、こうした認識に基づきまして、地元大田区とも連携して、必要な支援を行うなど、跡地とともに周辺地域のまちづくりも促進してまいります。

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