かち佳代子(日本共産党)
質問1
日本共産党を代表して、質問します。
今、アメリカ発の金融危機が経済に深刻な影響を及ぼしているもとで、何よりも重要なことは、これまでの外需頼みから内需主導に転換し、労働者の生活を守り、家計を温めることです。
ところが、トヨタ、いすゞなどの自動車を中心とした大企業は、非正規労働者の大量リストラで首を切るという暴挙に出ています。
厚生労働省調査では、企業の非正規労働者の解雇計画は、来年三月末までに三万人に及ぶとされており、その影響は東京にも及んでいます。東京では、日野自動車で五百人の派遣社員が既に工場を追われ、来年夏までに千五百人の期間社員を全員雇いどめにする計画を進めています。
長崎の会社から羽村工場に派遣され、十月で雇いどめとなった二十七歳の男性は、次の仕事や住宅の保障もないまま、契約切れ五日後に寮も明け渡し、必死で都内の正社員の口を探しています。派遣は先の保障もなく、ほうり出されるのが一番つらいと語っています。
都内の大企業によるリストラは、わかっているだけで約五千名に及んでいます。これらの大企業は、巨額の内部留保があり、整理解雇の四要件の一つである、企業維持さえ困難な差し迫った必要性などは認められず、人員削減の根拠などありません。許してはならない違法、無法行為であることは明白です。
さらに重大なことは、来春の卒業予定者の採用内定取り消しが広がっていることです。
日本共産党都議団は、緊急に都内の医学系を除く四年制大学すべてに電話調査を行いました。その結果、百二十校中、内定取り消しの有無を回答いただいたのが九十校で、うち四三%の三十九校に内定取り消しの学生がいると回答、人数まで回答のあったのは三十六校、八十二人でした。人数を明らかにしなかった大学や、一月、二月にはもっとふえそうだという大学があることからも、このままいけば大幅にふえることが推測されます。企業の内定通知は労働契約とみなされ、その一方的な取り消しは明らかな違法行為であり、仕事に意欲を持っている若者の未来を一方的に奪うことは絶対に許されません。
知事、トヨタの奥田相談役はかつて、経営者よ、首を切るなら切腹せよと豪語していましたが、そのトヨタを初め、大企業が非正規労働者を景気の調整弁として物のように使い捨てるということをどう考えますか。
また、若者の未来を奪う残酷な内定取り消しが広がっている事態をどう考えますか。カジノ資本主義の破綻に、何の責任もない労働者、学生に犠牲を押しつけてはならないと考えますが、知事にそれぞれ伺います。
答弁1
知事
景気後退による非正規労働者への影響についてでありますが、我が国の企業は、金融危機から発展した世界規模の経済危機に直面しておりまして、業績の悪化に苦しんでおります。手をこまねいていれば、都民生活に深刻な影響を与え、特に近年、非正規労働者が増大していることから、雇用への影響が大きいと考えます。
非正規労働者の解雇についても、企業があらゆる手だてを講じた後に行うべき措置でありまして、安易に労働者にしわ寄せをすることは好ましいものでは決してありません。
都においても、危機克服に向け緊急対策を策定しておりまして、公的雇用創出など雇用対策に取り組んでまいります。
採用内定取り消しについてでありますが、これは本当に実に若者たちにとって気の毒な人生の悲劇だと思います。採用内定の取り消しは、希望に満ちて社会に出ようとする学生に対して、精神的、経済的な打撃を与える大きな問題でありますが、企業への信頼を失わせるほか、社会全体にとっても大きな損失となることから、企業として軽々に行うべきことではないと思います。
産業労働局長
金融危機の影響についてでありますけれども、アメリカ発の金融危機は、世界規模の不況に発展をし、我が国の実体経済にまで波及をして、企業業績の悪化を招いております。この業績の悪化が労働者や新規学卒者に影響を及ぼしているものと考えております。
しかし、知事が申し上げましたように、非正規労働者の安易な解雇や採用内定取り消しは好ましいことではなく、軽々に行うべきではないというふうに考えております。
大事なことは、こうした経済危機に対して対策を講ずることであり、都は既に緊急対策を取りまとめ、中小企業対策、雇用対策に取り組んでいるところであります。
質問2
ところが、雇用の安定に責任を持つべき政府は、総理が経済団体のトップにリストラを控えるよう要望する程度で、まともな対策をとろうとしていません。先日発表された与党の雇用対策も、若干の対症療法はあるものの、肝心の大企業のリストラに厳しい規制をかける姿勢はありません。
知事、国が大企業に対し、大量解雇、雇いどめを中止するよう強力な指導を行うこと及び失業した労働者の生活と再就職への支援など、実効ある対策をとるよう国に申し入れるべきです。
知事みずから、リストラ、内定取り消しを行っている大企業に対し、雇用破壊の中止、派遣や期間社員の正規採用など、社会的責任を果たすよう強力に要請することを求めるものです。また、被害者の相談窓口を設け、法的な権利擁護や新たな就職活動を援助するなどが急がれます。それぞれ答えてください。
答弁2
産業労働局長
実効ある雇用対策を国に申し入れることについてでありますが、都は、今月五日、国と共同で緊急雇用対策本部を設置いたしました。
国に改めて申し入れるまでもなく、今後、労働者の雇用維持と法令違反防止のための企業指導や離職者への再就職支援などを国と連携して実施をしてまいります。
次に、企業に対する要請についてでありますが、国と共同で、経済団体等に対して雇用の維持や求人の確保等への働きかけを行うことを緊急雇用対策本部において既に決定をしたところでありまして、早急に実施をしてまいります。
次に、相談窓口の設置等についてでありますが、都はこれまでも、労働相談情報センターにおいて、労働相談により労使紛争の解決に努めてきたほか、就職活動に取り組む方々に対しては、しごとセンターにおいてキャリアカウンセリングや職業紹介等を通じて支援をしてきております。
さらに、雇用情勢の悪化に対応するため、緊急に非正規労働者や採用内定取り消し者等に対する特別相談会を開催することとしております。
質問1
知事は、緊急経済対策として補正予算を提案しています。
調布保谷線など浪費的な大型道路事業がありますが、公的雇用創出を延べ五十万人の規模で行うことや、離職者への無利子融資、信用保証料の半額助成など、これまで我が党が繰り返し求めてきたものであり、当然です。
また、中小企業向けの道路補修や下水道など、工事の前倒し発注や、連鎖倒産防止対策、福祉施設の耐震化助成や経営支援など、多くの施策は全体として都民の願いにこたえるものであり、一歩前に踏み出すものです。
しかし、ますます深刻となる都民の暮らしや営業の実態から見て、補正予算額もその内容もまだ不十分です。失業対策事業としての公的雇用創出事業も一日当たり千数百人で、既に都内の失業者が約三十万人もいる現状に見合うものではありません。
直接雇用による失業者対策として、IT教育や学校図書館などの分野にも対象を広げ、専門職に見合った待遇も保障すること、中小企業に対しては、雇用を拡大し、非正規社員を正社員化した場合の助成の実施、超低利、無担保で長期の返済猶予期間、保証料全額都負担の緊急融資を追加実施すること、区市町村で手続が滞っている年内の融資実行を支援すること、信用保証協会の保証渋りをやめさせることを求めます。
家を失った失業者に対し、一万戸に上る都営住宅の空き室を初め公的住宅の利用を認めること、民間アパートの借り上げや家賃補助など、緊急の手だてを尽くすこと、失業中や、働いていても生活が著しく困窮している世帯に対し、緊急生活資金の支給を実施すべきです。
以上、補正予算の思い切った拡充、増額を求めるものです。
答弁1
総務局長
失業者対策についてお答えいたします。
今回、都で行います緊急雇用対策は、延べ五十万人分の公的雇用を創出するため、都道等での樹木剪定作業などを通じまして、当面の雇用につなげていくこととしております。
実施方法につきましては、各局におきまして適切に行われるものと認識しております。
産業労働局長
中小企業に対する助成及び融資についてでありますが、都では、非正規社員の正社員登用など、雇用環境整備に取り組む中小企業への支援を実施しているほか、既にネクストジョブ事業や就職チャレンジ支援事業によりまして、非正規労働者等を正社員として採用した企業に対し助成を行っております。
また、十月三十一日に開始されました国の緊急保証制度に対応し、都は制度融資に最優遇金利を適用した融資メニューであります経営緊急を新たに設置をしますとともに、特に小規模企業者には保証料の二分の一を補助する都独自の対応を既に行っております。
次に、緊急保証制度の活用に向けた取り組みについてでありますが、緊急保証制度の利用に必要な区市町村長の認定を円滑に進めるため、都はこれまで、中小企業診断士を要望のあったすべての自治体に配置をしてきたところであります。
また、東京信用保証協会におきましても、増員措置や休日の対応など、審査体制を強化するとともに、緊急保証制度の趣旨にのっとった適切な保証審査を行っているところであります。
都市整備局長
家を失った失業者に都営住宅の空き部屋の利用を認めよとのご質問でございましたが、ご存じかと思いますが、都営住宅の空き家につきましては、適切に公募を行うとともに、建てかえ事業等の移転先として一定数の空き家を確保するなど、真に住宅に困窮する都民の居住の安定確保に努めているところでございます。
また、民間アパートの借り上げや家賃補助などにつきましてですが、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから、都として実施することは考えておりません。
福祉保健局長
失業者や生活困窮者の世帯に対する緊急生活資金の支給についてでありますが、失業者や生活困窮者に対する所得保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるべきものと認識しており、都として独自に実施する考えはございません。
質問1
都民の暮らしと雇用を守り、景気悪化に対処するためには、補正予算にとどまらず、来年度予算も含め、都として自治体本来の役割を発揮して全力で取り組む必要があります。
都は、最近になって盛んに税収が大幅に減る見通しだと強調しますが、景気後退で減るとしても、知事が就任したころより一兆円以上も上回っているのです。しかも、財源対策として使えるため込み金はオリンピック基金の三千億円など、一兆六千億円もあります。
埋蔵金もあります。すなわち、都が首都高や羽田拡張工事などに貸し付けてきた資金は七千億円にも達しており、返済期限が来たものが毎年数百億円規模で返ってくるのです。投資的経費と経常経費に含まれる投資経費は、バブル前の二倍の一兆円を超えており、首都高中央環状品川線を初め、大型道路など浪費的部分を見直せば、バブル前の水準に戻すことは可能です。財源は十分にあります。これを都民のために適正に使えばよいのです。知事、どうですか。
答弁1
知事
財政運営についてでありますが、ご指摘を受けるまでもなく、都民が直面する諸課題の解決のために、私はこの間、福祉、教育、中小企業対策はもとより、環境、治安、インフラ整備などにしかるべく財源を投入し、都民の期待にこたえてきたつもりでございます。
現在、都財政が直面している厳しい状況下においても、なお相変わらず、基金があるからもっと使えという安易な態度は、私の財政運営の考え方と全く相入れないものであります。
質問2
こういうときに外かく環状道路整備を進めるなど、もってのほかです。この工事は、練馬区大泉から湾岸道路まで含めると、総額四兆円もの膨大な財政をつぎ込むことになるものです。工事単価は一メートル一億円という途方もないもので、むだ遣いの典型です。しかも、住宅の立ち退きや環境破壊などが深刻で、地域PIの場でも周辺住民から強い反対の声が上げられ、関係自治体からも現状では事業着手は認められないなどの異議が出されています。計画を凍結すべきではありませんか。知事の答弁を求めます。
答弁2
都市整備局長
外環のご質問でございますが、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
都はこれまでも、国や関係区市と連携して、事業に対する地元の理解と協力が得られるよう努めてきております。
今後も、国に対し、平成二十一年度に事業を着手するよう、あらゆる機会をとらえて強く働きかけてまいります。
質問1
以下、この立場から、都民の暮らし、営業を支援する諸課題を提案します。
第一に、中小企業支援について、ものづくりに絞って伺います。
大田区には、宇宙ロケットの部品製造技術、一万分の一の誤差を手の感触で見分けることができる旋盤など、世界に誇るすぐれた技術の集積があります。しかし、実体経済が急速に悪化するもとで、大田区の企業倒産は激増しています。わざのまちの職人は、この年を越せるかどうかの瀬戸際に立たされているのです。
業者の方は、五十年ともにわざをはぐくんできた機械を我が子のようにいとおしみながら、仕事がほとんどない、いつやめるかどうかだと訴えられました。何度も不況のあらしを乗り越えてきた大田区のものづくりが、個々の努力では乗り切れない状況に立たされているのです。
知事はものづくりの技術の重要性を認識していると述べてきました。しかし、実際には中小企業予算を削減し、工業集積活性化支援事業を廃止するなど、ものづくり支援に背を向けてきたではありませんか。
知事、日本が世界に誇る技術の集積が消滅の危機にさらされているという認識をお持ちですか。この技術を守るために知事はどう対応するのか、明確にお答えください。
答弁1
知事
日本が世界に誇る技術に対する支援についてでありますが、東京には高度で多様な技術を有する小零細企業が数多く集積しておりまして、東京のみならず日本の経済を牽引していく原動力となっております。
しかし、現在、世界的な金融危機の影響により、都内の中小零細企業は極めて厳しい状況に陥っております。このまま放置すれば、日本の経済は衰退しかねません。
これまでも、技術、経営支援、人材育成など、さまざまな支援策を都としては展開するとともに、国に先駆け、都独自の緊急対策を講じてきました。
今後とも、現場を熟知する東京が、経済の動向に応じた施策を戦略的に展開し、零細企業の技術を維持、発展させていきたいと思っております。
質問2
業者の方は、これまでの大企業依存の受注関係から自発的、自立的な受注関係を模索し、新しい視点での仕事おこしとして省エネやエコ対策など、新製品や技術を開発し、販路拡大に取り組もうとしています。しかし、この努力が景気悪化の大波に飲み込まれようとしているのです。行政としてあらゆる知恵を結集し、具体的支援を行うべきではありませんか。答弁を求めます。
答弁2
産業労働局長
景気悪化に対応した中小企業への支援についてでありますが、都はこれまでも、新製品、新技術の開発や販路開拓への支援によりまして、中小企業の自立化に向けた施策を多面的に講じてまいりました。
また、現下の急速な経済状況の悪化により、企業の存続自体も危ぶまれる状況の中、都は本年九月の補正予算によりまして、制度融資の充実等の具体的な手だてをいち早く提示し、実行をしてまいりました。
さらに、もう一段の対策として、本定例会におきまして、中小企業に対し資金繰りへの緊急支援や倒産防止対策等を打ち出したところであります。
今後とも、中小企業の製品開発や販路開拓等の取り組みを支援してまいります。
質問3
すぐれた技術やノウハウを存続させるため、都として委託研究を行う制度を創設し、新技術や新製品に結実させ、さらに販売に結びつけることを提案するものです。
また、区市などと連携し、新技術、新製品開発への助成を抜本的に強化すること、都として業種間、異業種間の共同による技術、製品開発を進めるコーディネートの役割を果たすなど、支援を抜本的に強めることが必要です。墨田区では、区の幹部職員を先頭に企業回りをして販路開拓を行い、成果を上げました。こういう努力を、今こそ国内外に向けて行うべきではありませんか。都としてすぐれた技術の販路を拡大するためにどう取り組むのか、それぞれ答弁を求めます。
答弁3
産業労働局長
中小企業の新技術や新製品開発に対する支援についてでありますが、都は、中小企業が行う新技術や新製品の開発に対し、経費の一部を助成する各種の制度を整備するとともに、都立産業技術研究センターや知的財産総合センターにおきましてアドバイスを行うなど、総合的に支援を行っております。
また、新製品の販路開拓につきましても、産業交流展や商社OBの活用などによりまして支援を行っております。
このように、都は各種の制度を通じ、中小企業のすぐれた技術やノウハウを新技術や新製品に結実をさせ、さらに販売に結びつけるための支援を既に行っており、ご提案のような委託研究制度を創設することは考えておりません。
次に、新技術、新製品開発への助成の強化と共同開発の促進についてでありますが、都では新製品・新技術開発助成事業等を既に行っているところでありますけれども、本年度、地域中小企業応援ファンドを創設いたしまして、区市町村の支援団体とも連携をして、地域の魅力向上や課題解決に向けた新事業にチャレンジする中小企業を助成することといたしました。
また、複数の中小企業による共同開発の促進につきましては、都立産業技術研究センターにおいて異業種交流事業を実施いたしまして、さまざまな業種間の技術連携を促進いたしますとともに、国の制度も活用し、複数の企業が参画をする研究開発プロジェクトを推進しております。
次に、販路の拡大についてでありますが、都はこれまでも、中小企業振興公社におきまして、中小企業のすぐれた技術や製品を商社やメーカー等へ積極的に紹介いたしまして、平成十九年度には百六十三件の成約を得るとともに、本年十一月の産業交流展におきまして、五百社を超える企業が参加した、初の八都県市合同商談会を開催するなど、中小企業の販路拡大を支援しております。
また、海外の販路開拓策といたしまして、都職員みずからが現地に赴きまして、海外での展示商談会の場を提供する東京ショーケースを実施しております。
質問4
今年度、下請の苦情紛争処理が既に昨年度一年間の二・七倍と大幅にふえており、大企業の不当な単価切り下げ押しつけをやめさせることが急務になっています。都の指導監督体制を抜本的に強化し、下請いじめや不公正取引を行った大企業の名前を公表し、被害を補償させることなど、厳しい対応を図ることを求めます。
答弁4
産業労働局長
下請取引への取り組みについてでありますが、都はこれまでも、下請中小企業振興法に基づきまして、下請取引に関する調停、あっせんを行いますとともに、下請取引改善講習会を初めとする、さまざまな下請取引の適正化策を講じてまいりました。
加えまして、本年四月に開設いたしました下請センター東京では、七月に、自治体では全国初となります裁判外紛争解決機関としての認証を取得いたしまして、下請苦情紛争処理の早期解決に努めております。
また、本年十一月には、下請取引適正化推進員協議会や、親事業者で構成いたします主要業種団体協議会を開催いたしまして、取引の適正化について要請を行ったところであります。
今後とも、下請取引の適正化に努めてまいります。
質問1
次に、都民の福祉を拡充し、暮らしを支える手だてを尽くすことです。
都民の不安が増大し、消費が冷え込んでいる原因の一つは、政府による社会保障改悪と負担増に加えて、石原都政が経済給付的事業の切り捨てなどにより追い打ちをかけてきたことです。それだけに、今都政に求められていることは、国の社会保障改悪に反対するとともに、経済的給付事業はばらまきだといって廃止縮小してきた都の路線を転換させることです。
第一は、後期高齢者医療制度です。
我が党の調査では、ことし三月以降、保険料が高過ぎる、年金天引きは許せないなど、区市町村に寄せられた怒りの声や問い合わせは五十八万件に及んでおります。かつてない事態となっています。そして、保険料の未納者は約十万人に及びます。
知事、国に対し後期高齢者医療制度の廃止を求めるとともに、都として、保険料引き下げのために広域連合への支援を拡充することを求めます。
高齢者に重い負担となっている医療費の軽減も急務です。日の出町は、来年度から七十五歳以上の高齢者の医療費無料化に踏み出すことを決断し、注目を集めています。都としても、高齢者への医療費助成を検討すべきではありませんか。
答弁1
知事
長寿医療制度についてでありますが、この制度は、国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものと認識しております。
本制度については、国の責任において議論を尽くすべきであります。
なお、さらなる保険料の軽減については、支援をする考えはございません。
福祉保健局長
高齢者の医療費助成についてでありますが、現在、国において、高齢者の医療制度のあり方について検討しております。
都としては、これを見守っていくこととしており、新たな医療費助成を実施する考えはございません。
なお、お話の中で、日の出町の医療費無料化の取り組みについて注目されているとのことですが、長寿医療制度が社会全体で高齢者を支える仕組みであることや、制度の運営は都内の全区市町村が参加する広域連合で行っていることなどから、違和感を覚えざるを得ないところであります。
質問1
すべての市町村での中学三年生までの医療費無料化も急がれます。市町村の新たな負担なしに、知事の公約どおり、入院、通院とも無料にすることを求めます。お答えください。
答弁1
福祉保健局長
中学三年生までの医療費助成についてでありますが、助成内容の拡大に当たりましては、医療保険制度の相互扶助の考えや、小児医療現場の厳しい状況などを総合的に勘案し、通院については一部負担を設けることといたしました。
なお、市町村財政に配慮し、先ほど知事がお答えしたとおり、必要な措置をとってまいります。
質問1
石原知事は、福祉、医療に対する自治体の役割を小さくしていく都政版構造改革を進めてきました。その失敗が今、明らかになっています。
まず、都立病院改革の失敗です。
墨東病院などで出産をめぐる痛ましい問題が相次いでいます。総合周産期母子医療センターを掲げる都立墨東病院の産科医師が定数の半分以下になっており、その役割を果たせなくなっていたのです。
墨東病院だけではありません。都立病院や、都立から公社に移管された病院で、医師、看護師不足による診療の休止縮小や病棟閉鎖が相次いでいます。深刻な医師不足を招いた最大の原因は、政府が医師がふえれば医療費が膨らむと宣伝し、四半世紀にわたって医学部定員を削減してきたことにあります。
石原知事は国に責任を押しつけていますが、知事自身の責任も免れません。知事はこの間、医者はダブっているとか、既得権を守るだけでサボろうとしているなどという暴言を重ね、国と同じ立場に立ってきたのです。
さらに重大なことは、知事が都立病院に係る費用の削減を最大の目的とした都立病院改革マスタープランで、都立病院を半分に減らす計画を進めたことです。真っ先に廃止したのが小児科、産科とNICUを持っていた母子保健院でした。
また、都立病院の医師の給与水準は、石原知事のもとで、二○○六年度には全国六十一自治体の中で最下位にまで落ち込みました。知事、コスト削減政策のもとで、都立病院の現場が激務と人手不足で疲弊し、本来の役割を果たせない事態を招いた責任をどう考えているのですか。 墨東病院を初め、都立病院の医師確保や待遇改善を緊急に進めることが必要です。今後、どう進めていくのですか。また、七対一看護基準をすべての都立病院で実施し、看護の体制を充実させることも重要です。それぞれ答弁を求めます。
答弁1
知事
都立病院改革に関するこれまでの取り組みについてでありますが、私は就任以来、全国に先駆けて、東京ERの導入や病院の再編整備など、さまざまな都立病院の改革を進めてまいりました。
一方で、東京医師アカデミーの創設や医師の大幅な処遇改善など、都立病院の人材確保、育成についても手を尽くしてきたつもりでございます。
また、今回の墨東病院の事態発生後は、速やかに産科診療協力医師登録制度の創設や助産師コーディネーターの都立病院への設置など、周産期医療体制の強化に着手しております。
今回の事態の根底にある産科医などの深刻な医師不足の根本原因は、国の失政にほかならないと思います。
都としては、国に対して抜本的な改善策を求めていくとともに、行政的医療を行う都立病院が今後とも都民の期待にこたえられるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
病院経営本部長
都立病院の医師確保及び待遇改善についてですが、医師確保については、これまでも、大学医局や地元医師会など関係機関を精力的に訪問して要請を重ね、常勤、非常勤を問わず、その確保に全力で取り組んでまいりました。
さらに、都独自の取り組みとして、東京医師アカデミーを今年度開講し、若手医師の確保、育成にも努めております。
また、医師の待遇改善については、知事の指導のもと、既に平成十八年度から手当などの改善を実施してきており、さらに十九年度、そして二十年度も行い、産科及び中堅医師を中心に大幅な処遇改善を実施したところであります。
加えて、増加する女性医師対策として、育児短時間勤務制度を導入するなど、働きやすい職場環境づくりにも取り組んでおります。
今後も、こうしたこれまでの取り組みの成果などを踏まえながら、適切に対応してまいります。
次に、都立病院における七対一看護基準の導入についてでありますが、現在、既に清瀬小児病院など一部の都立病院では、七対一看護基準を導入しております。
しかしながら、全都立病院に導入するには、病院ごとの看護の必要度などを十分に精査するとともに、今後の看護師の確保状況を踏まえた上で、新規事業への配置など、他の事業との優先度の比較などについて十分検討していく必要がございます。
いずれにしても、看護師の確保、定着については、引き続き努力してまいります。
質問2
今、大問題になっている周産期医療で大事なことは搬送調整機能です。
私は、大阪府立母子保健総合医療センターの取り組みを調査してきました。夜間、休日は、基幹病院のOBや部長クラスの医師が輪番で搬送調整のための当直体制をとり、これまで調整に五十分かかっていたのが三十分に短縮しています。ベテランの医師が担当することで、重症度、緊急度に応じ適切な対応ができるといいます。こうした先進例をどう把握し、評価しているのですか。
このような経験に学び、都立病院を初めとした周産期センターに医師による搬送調整コーディネーターを配置することを提案します。どうですか。
NICUの増設も急務です。都として整備目標を百床ふやし、緊急整備を進めるよう求めます。お答えください。
答弁2
福祉保健局長
周産期医療における搬送調整の取り組みについてでありますが、現在、東京都周産期医療協議会において、大阪府も含め、他の自治体の取り組みも参考にしながら、東京の現状に即した搬送調整について検討しております。
都といたしましては、協議会の検討を踏まえて適切に対応してまいります。
次に、医師による搬送調整コーディネーターについてでありますが、ただいま申し上げたとおり、周産期医療協議会で検討中であり、都としては、その結果を踏まえて対応してまいります。
NICUの増床についてでありますが、先ほども答弁したとおり、都内におきましては、周産期母子医療センターに百九十五床のNICU病床を確保しておりますが、低出生体重児の増加等から、その増床は急務であると考えております。
都としましては、NICUの増床を促進するため、施設、設備の整備補助を引き続き行っていくことに加え、都内のNICUが連携し、有効に機能するよう、それぞれの総合周産期母子医療センターの搬送調整機能の充実などに取り組むことといたしました。
また、周産期母子医療センターのNICUの負担を軽減するため、新たに指定する周産期連携病院に対し、医師及び病床の確保に対する支援を行います。
こうした取り組みを通じて、都内各地域における周産期医療体制の充実を図ってまいります。
質問1
福祉に市場原理を持ち込んだ営利企業による認証保育所の失敗もはっきりしました。
我が党の調査により、株式会社日本保育支援協会のじゃんぐる保育園、小田急グループの小田急ムック成城園、株式会社エムケイグループのハッピースマイル東中野駅前園の虚偽申請疑惑が相次いでいます。給食の食材費を一食当たり数十円に抑えていた問題も明らかになりました。その上、開設からわずか二カ月で突然閉鎖する事態まで起きました。この中で二園の認証が取り消されています。知事は認証保育所を推進し、こうした問題を招いた責任をどう考えているのですか。
答弁1
知事
認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおります。
民間企業を初めとする多様な事業者の参入と、駅前設置など大都市の保育ニーズに対応したサービスを提供することで、多くの都民の支持を得ております。
今般、開設時の虚偽申請や突然の施設閉鎖などの事態が生じたことは、認証保育所に対する都民の期待と信頼を裏切る行為でありまして、極めて遺憾でありますが、ごく一部の事業者の不正をもって制度の根幹が揺らぐものではございません。
今後とも、認証審査を厳格に行い、営利、非営利を問わず、不適正なところがあれば厳正に対処していく方針に変わりはありません。
引き続き、認証保育所の設置促進や、認可保育所制度の改革など、都民の期待にこたえていくことが都の責任であると存じております。
質問2
都は、多様な事業者の参入による競い合いがサービス向上につながるといってきましたが、現実に起きているのは、虚偽申請の横行や、突然閉鎖して園児をほうり出すような事態です。不正があれば、認可、認証を問わず厳正に対処するといういいわけも、もはや通用しないのです。私は、保育所への営利企業の参入は中止し、非営利原則を明確にすべきと考えます。
一連の事態は、営利企業を中心とした認証保育所制度の構造的欠陥が表面化した氷山の一角にすぎません。認証保育所について、利益を上げるのは一向に構わないという立場を改めるべきではありませんか。
少なくとも、補助金と保育料による運営費を株式配当などに充てることは禁止すべきです。都は、そういうことは想定していないといいますが、エムケイグループの場合、自治体の補助金や委託料を借金の担保にしていたという想定外の事態が現に起きているのです。認可保育所と同様、保育運営費は、その保育所の運営に使う原則を明記した使途基準を定めるべきです。どうですか。
答弁2
福祉保健局長
認証保育所制度についてでありますが、平成二十年十二月現在、認証保育所の施設数は四百二十五カ所、定員は約一万三千人となっております。ここまで設置数がふえましたのは、民間企業の参入が図られ、大都市の保育ニーズにマッチしたサービス内容が都民に受け入れられた結果であります。
こうした中、一部の事業者による不正が生じました。都は、これを受け、設置申請手続において、職員の雇用関係を確認できる書類の提出を求めること、審査会のメンバーに公認会計士を加え、財務内容の審査を強化するなど、認証審査の厳格化を図っております。
また、申請どおりに開設、運営されているか確認するために、開設後早期の段階での実地調査にも取り組んでおります。
さらに、今後は、既存の運営事業者の財務状況を把握し、調査が必要な場合には機動的に対応していくこととしております。
その上で、利益ということについて申し上げますが、都は、認証保育所制度創設当初より、営利だけを目的として保育事業を行うことはあってはならないことと申し上げております。
したがいまして、当然のことながら、認証保育所制度では、その運営を事業者任せにはしておらず、認証保育所事業実施要綱等において、設置と運営については厳格な基準を定めており、基本的には認可保育所と同水準の基準としております。
また、補助金は、実施要綱等により、運営費に対して補助することが明確に定められておりまして、他の用途に使用することは認めておりません。
その上で、設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら利益が生じるということは、問題はないとの考えであります。
最後に、認証保育所運営費の使途基準についてでありますが、まず、認可保育所と認証保育所の仕組みの違いについてご説明させていただきますと、認可保育所においては、利用者は区市町村と契約を結び、区市町村は保育所に対して保育に要する経費の全額を委託費として支払っており、この委託費が保育所運営費と呼ばれるものであります。
認証保育所におきましては、利用者は保育所と直接契約を結び、保育料も園へ直接支払っており、認証保育所はこの保育料と補助金で運営されておりますが、この補助金は、ただいま申し上げた認可保育所運営費の二分の一相当額で制度設計をされております。この補助金をその運営費以外の用途に使用することができないことは先ほど申し上げたとおりであります。
このように、制度、仕組みの面で大きく違いがあるものでありますが、改めて認証保育所制度の根本的な考え方を申し上げますと、それは、民間企業の参入を促し、事業者の創意工夫が生かせる仕組みとすることで、利用者本位の質の高いサービスを効率的に提供することがねらいであります。
ここに使途基準を持ち込むことは、弾力的な事業運営を阻む大きな要因の一つとなりかねず、したがいまして、都として、認証保育所に使途基準を持ち込むことは考えておりません。
なお、先ほど、補助金を担保にしてとのお話がございましたが、一般的に、補助金が未交付の交付決定段階でこれを担保としたのであれば、その事業者が自治体にその旨を通知していなければ対抗要件は成立しませんが、自治体がそのような通知を受け取った話は、私は聞いたことがございません。
なお、この問題は、補助金全般に係る問題でもあります。
いずれにしましても、利用者が安心してサービスを受けられるよう、認証保育所制度を確固としたものとし、サービスのさらなる充実を図るために全力で取り組んでまいりたいと思います。
質問1
都政が真剣に見詰め直すべきもう一つの課題が、石原知事のトップダウン事業です。
まず、二○一六年オリンピック招致では、これまでに日本共産党の調査で、競技施設などに三環状道路を含めたインフラ整備費が九兆円に及び、招致経費も当初の五十五億円から百五十億円に膨れ上がるなど、都民の苦しみをよそに、都民の税金が湯水のようにつぎ込まれようとしていることが明らかになっています。
このため、北京オリンピック開催後に行われた日本経済新聞の調査では、招致に賛成が四六%と過半数割れし、産経新聞のインターネット意見募集では、財政的にむだとするものが六割に達しました。
都民の支持が盛り上がらないために、知事は招致機運盛り上げに躍起になっています。テレビ広告に三億円、のぼり旗に三億二千万円、オリンピックの名前がつけば、名目がつけば何にでも使える区市町村への一千万円ずつのばらまき、そして昨年は、札幌で開かれたスキーのジャンプ世界大会にTOKYOとだけロゴが入った横断幕を掲出し、三千万円もつぎ込む。こういうばらまきは枚挙にいとまがありません。
およそ、ある事業を進めるかどうかの判断は、都民がその事業をどう考えているかどうかが最大の基準です。多くの都民は、この不況の中で、膨大なお金をかけてまでオリンピックを招致すべきではないと考えているのです。
知事、こうした都民の声をどう受けとめているのですか。オリンピック招致のためのやりたい放題のばらまきはやめるべきです。お答えください。
東京都がオリンピック招致推進のために持ち出してきたのが経済波及効果です。知事自身、オリンピックはもうかる、都内で一兆六千億円、全国で二兆八千億円に上る経済効果も期待できると発言しています。しかし、これはすりかえです。
第一に、経済波及効果そのものは、費用対効果を比較する目的で考え出されたものにすぎず、単独で測定しても意味のないものです。例えば一兆円の資金があった場合、公共事業に使うと効果があるのか、中小企業支援に使う方が効果があるのか、福祉に使う方が効果があるのかなど、比較することに意味があるのです。
一九九五年に東京の産業連関表を使って試算されたものによれば、一千億円の投資に対して、公共事業が千六百七十億円の波及効果であるのに対し、社会保障が千八百八十九億円、教育も千八百九十三億円、医療・保健も千六百八十九億円で、いずれも公共事業を上回っています。社会保障の雇用創出は公共事業の三倍です。道路や建築などの公共事業に比べ、社会保障や医療、保健、教育などの方がはるかに経済波及効果が高いのです。
第二に、本当に試算どおりに波及効果が生まれているのかということです。六兆円を超える効果が宣伝された長野冬季オリンピックはさんざんな結果となり、実際にどれだけ効果があったのか、いまだに明らかにされることさえできません。しかも、オリンピックの後には、一兆円の県の借金と、使われない巨大施設が残されたのです。
経済波及効果論は、根拠が乏しい上、すりかえの議論であり、オリンピック招致の理由にはなりません。オリンピックに名をかりた浪費的計画は直ちに中止すべきです。オリンピックよりも、都民が強く要求し、経済効果も高い福祉や医療、教育の充実などを優先すべきと考えますが、それぞれ知事の見解を伺います。
答弁1
知事
オリンピック招致についてでありますが、現在我が国は、新しい目標を見出せずに自信を失い、夢や希望を抱きにくくなっております。オリンピック開催は、大きな経済効果などさまざまな効果を持っておりまして、こうした状況に風穴をあけるてことなると思います。
現在進めている招致運動は、都議会の議決をいただいた予算の範囲内で行っており、ばらまきという指摘は当たらないと思います。
オリンピック開催を中止するつもりはございません。
次いで、経済波及効果についてでありますが、これはオリンピックの開催が、都内はもとより日本全国のさまざまな投資や消費部門を喚起し、どれだけの経済効果が生じるかを明らかにするものでありまして、社会保障など他の施策と比較することを目的としたものではございません。
積算に当たっては、産業連関表を用いるなど科学的に行っておりまして、根拠が乏しいとの批判は当たらないと思います。
財務局長
財政運営についてのご質問にお答えいたします。
都は、福祉、医療、教育はもとより、中小企業対策や東京の都市機能の充実など、都民にとって必要な施策は、これまで的確にそれに財源を振り向けておりまして、都民の期待に十分こたえているものと考えております。
なお、オリンピック・パラリンピックの開催は、こうした都の諸施策の充実にも大きく寄与するものであり、また、高い経済効果が期待できるものでございます。その実現は、現下の都政における最重要課題の一つでございます。
質問1
新銀行東京について伺います。
所信表明で知事は、零細企業の支援を継続するため再建策を進めていると発言しました。それでは、新銀行は今、零細企業にどれだけ融資しているのですか。また、四月以降、零細企業からどれだけ申し込みがあり、どれだけ融資したのか明らかにすべきです。それぞれお答えください。
答弁1
知事
新銀行東京の零細企業への融資についてでありますが、東京には、夫婦や家族数人などで行っている、零細でありますが、他にまねのできないすぐれた技術で日本の経済を支えている事業者が少なからず存在しております。
新銀行東京は、こうした事業者の可能性に目を向け、手を差し伸べるために設立され、これまでもこうした事業者を含む中小零細企業約一万七千社に対して融資を行ってきました。
現在、新銀行東京は経営再建を優先しておりまして、新規融資の拡大は制約を受けざるを得ませんが、着実に再建を進め、力を蓄え直し、本来の役割を再び十分に果たしていきたいと思っております。
質問2
不正融資逮捕事件を初め、乱脈融資の問題について、知事は旧経営陣の責任で終わらせようとしています。しかし、それは断じて許されません。新銀行をめぐる不正乱脈融資の大もとには、我が党が指摘してきたように、都の押しつけによる過大な融資計画とコンピューターによる甘い自動審査があります。
今やこのことは、マスコミも一斉に指摘しているにもかかわらず、知事はしらを切っています。最近は、ついに金融庁の検査で、過大な融資目標の設定について、都の関与があったと指摘されたと報道されました。都は、これについても、検査に関することは、金融庁と銀行の間のことで、知り得る立場にないなどとして済まそうとしています。余りにも無責任です。
ブリーフィングメモがないといいますが、都自身の問題です。知らないわけがありません。都の関与と責任について、知事が潔くすべてを明らかにし、謝罪すべきです。お答えください。
答弁2
産業労働局長
新銀行東京の融資拡大路線に関する都の関与と責任についてでありますが、先ほども知事がお答えしたとおり、都は、新銀行東京の設立に当たりまして、マスタープランを示して、都議会から一千億円の出資の議決をいただいたところであります。
新銀行東京においても、それを踏まえて、経営陣みずからが判断し、経営計画を策定いたしました。
銀行みずからの決定に際し、都として強制や強要をしたことはございません。
質問3
もう一つの問題は、融資口ききが乱脈融資を拡大した責任です。
我が党は、マスコミで報道されている口ききリストというものを手に入れ、独自の調査を進めてきました。その結果、このリストに名指しされている議員が、融資を受けたとされる会社から政治献金を受け取ったケースが九件あることが判明しました。
また、融資を受けたことを認めているが、会社の実体がなくなってしまっているケース、融資実行直後に破産になってしまっているケース、役員に欠格事項があったためだとして、十一月で廃業してしまったケースなどがありました。
我が党の限られた調査からも、口ききと政治献金の関係が浮かび上がり、企業としての実体がない会社が融資を受けていると思われる事態があったのです。知事は、これまで口ききは当然だなどといい張るだけで、口ききにかかわってどのようなことがあったのか、事実を明らかにすることもしませんでした。
東京都がつくった銀行に都議会議員や知事側近が口ききを行えば、無理な融資につながる危険が強いことをなぜ認めないのですか。事実をきちんと調査し、公表すべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。
都議会として、口ききは自粛すること、企業献金を受け取らないという申し合わせをすることを強く呼びかけるものです。そして、中小零細企業に役立たない新銀行から速やかに撤退し、都民の暮らしへの支援に回すべきことを申し述べ、再質問を留保し、質問を終わります。
答弁3
産業労働局長
融資に係るご質問についてでありますが、新銀行東京は、融資に当たっては、適正な審査プロセスにのっとって行っており、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはありません。
融資の申し込みに関連して違法な行為があった場合には、監督官庁など権限を有する機関が厳正に対処すべき問題でありまして、新銀行東京は、既に疑義のある融資について調査を進め、その一部は捜査当局により立件されております。
都として調査する考えはございません。
質問1
再質問を行います。
まず、新銀行東京についてです。
私は知事に答えを求めています。逃げないで知事自身がお答えください。
マスタープランの押しつけについて、都として強制や強要をしたことはないと開き直りました。しかし、津島本部長以下の都の幹部が新銀行東京の経営陣にプランどおりにやることを執拗に求めた事実を示すブリーフィングメモについては、新銀行東京が起こした裁判の中で、銀行自身がその存在を認めているのです。これを否定するのだったら、その証拠を示すべきです。できるのですか。お答えください。
二番目は、口きき問題について。
産業労働局長は、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはないといいましたが、銀行の具体的な問題については知り得る立場にないと、さんざんいっているではありませんか。なぜ口ききの問題だけ、そんないい方ができるのですか。おかしいですよ。お答えください。
知事は、疑惑が具体的に指摘されているのですから、口きき問題くらい都として調査し、公開すべきです。都合の悪いことは知らぬ存ぜぬは通用しません。どうですか。知事の答弁を求めます。
答弁1
産業労働局長
新銀行東京に関する二問の質問についてお答えいたします。
まず第一問目ですけれども、マスタープランの押しつけ、強制の問題についてでありますけれども、先ほども知事が答弁をいたしましたとおり、都は、新銀行東京の設立に当たりまして、マスタープランを示して、都議会から一千億円の出資の議決をいただいたわけであります。
お話もありましたブリーフィング等々の内容につきましても、設立当初の銀行の事業計画なり経営計画の策定に当たりましては、都といたしましては、出資の議決をいただいたときのベースとなったマスタープランを尊重する立場で都が意見を申し述べるということは当然のことであります。
知事が答弁したとおり、新銀行においては、経営陣がみずからの判断と責任で経営計画を策定したものであり、都が強制や強要をしたということはございません。
事実、マスタープランに示された融資残高の額と、当初に中期経営計画で銀行側がつくりました融資残高の額は、九千三百億円から七千三百億円ぐらいまでかなり減っております。それは当然、東京都として持ちましたマスタープランの数字よりも、経営陣がみずからの判断と責任で策定した計画だからこそ、数字が大幅に下がったということであります。
二つ目の、紹介の有無で恣意的な扱いをしたことがないという点について、先ほどもお答えしたとおりでありますけれども、紹介をいただいた方、または銀行の名誉のためにも改めて申し上げますけれども、新銀行東京は、融資に当たって、適正な審査プロセスにのっとって行っておりまして、紹介の有無によって恣意的な扱いをしたことはないと。このことは、銀行から明確に私が聞いております。
質問2
次に、認証保育の問題です。
知事は、認証保育所で相次いでいる不正行為について、ごく一部だといいました。驚くべき認識です。この数カ月に認証取り消しが二件相次ぎ、ほかにも虚偽申請、補助金不正受給が明らかになっているんです。
そもそも、保育から利益を上げることを認めているから、人件費削減のための職員の水増し申請や配置基準違反、給食の食材費を数十円まで削るなどの問題が次々起きているんです。被害者は子どもたちです。
営利企業が人件費などを削減することなしに、どうやって保育所運営から株式配当などの利益を生むことができるのですか。だから、制度そのものに構造的欠陥があるといっているんです。知事、違うというなら説明してください。
中野区は、ことし三月に補助要綱を改定し、補助金の使途を保育所の人件費、管理費、事業費に限定する基準を明記しました。これが当然です。
知事、保育が利益を上げて株式配当などに回すことは禁止すべきではありませんか。
答弁2
福祉保健局長
二点についてお答えいたします。
一つは、構造的欠陥ではないかということでございますが、先ほど知事の方から、本質的な点を突いた答弁をさせていただきました。民間企業を初めとする多様な事業者の参入と、駅前設置など大都市の保育ニーズに対応したサービスを提供することで、多くの都民の皆さんの支持を得ております。
今般、虚偽申請や突然の閉鎖などの事態が生じたことは、都民の信頼を裏切る行為であり、極めて遺憾であるが、これはやはり、ごく一部の事業者の不正であると。したがいまして、制度の根幹が揺らぐものではないとの認識でございます。
今後とも、認証審査を厳格に行い、先ほどるる述べさせていただきましたけれども、営利、非営利を問わず、不適正なところがあれば厳正に対処していく方針に変わりはございません。
また、二点目の件でございますけれども、設置運営基準に沿った適正な運営を行いながら、決算処理において利益が生じるということは、何ら問題はなく、その生じた利益について、関係諸法令、その会社の会計規程等に基づく適正な手続を経て処分を行うことは可能であるという立場でございます。