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  3. 平成20年
  4. 第4回定例会 代表質問
  5. 藤井一(公明党)

中小企業支援・雇用創出対策、
周産期医療体制の強化を急げ

藤井一
藤井一(公明党)

税財政問題

質問1
 私は、都議会公明党を代表して、知事並びに関係局長に伺います。
 先月中旬に発表された本年七月から九月までのGDPは二期連続のマイナス成長となり、さらに十月以降については、九月のアメリカ証券大手リーマン・ブラザーズの破綻による金融危機の影響が、実体経済により色濃く反映されるものと見込まれており、景気の先行きは全く予断を許さない状況にあります。
 また、雇用環境の悪化や新車販売の不振に象徴される個人消費の低迷、企業の業績見通しの下方修正などが連日のように新聞紙上をにぎわしています。都の税収構造はこういった景気変動の影響を受けやすく、加えて来年度は、法人事業税の一部国税化の影響もあることから、今後の税収について大きな懸念を抱かないわけにはまいりません。
 そこで、このような景気状況を背景とした二十年度の都税収入の動向及び二十一年度の都税収入の見通しを明らかにしていただきたいと思います。都の見解を求めます。

答弁1
主税局長
 都税収入の見通しについてでございますが、二十年度につきましては、十一月末の法人二税の中間申告等を見きわめる必要があり、確たることを申し上げる状況にはございません。しかしながら、世界経済が一段と減速する中で国内の景気動向も下押し圧力が急速に高まるなど、企業の収益環境は日を追うごとに厳しさを増しており、当初予算を相当程度割り込むことは避けられないと考えております。
 また、来年度につきましても、企業業績の悪化による減収がさらに本格化すること、加えまして、法人事業税の一部国税化による影響などから、二十年度税収をさらに大きく下回る事態も懸念されるなど、より一層厳しい状況にございます。
 今後、このような状況を踏まえて、国の税制改正や景気動向を十分に考慮しながら、的確に算定してまいります。


質問2
 実体経済の悪化は、都税収入の減少という局面を迎えるだけでなく、都民生活や中小企業の環境を一段と厳しい状況に追い込んでいます。こうした厳しい状況を克服し、都民生活や中小企業を守るためには、もう一段の緊急対策を早急に講じるよう、都議会公明党は緊急要望を行ったところであります。
 異例ともいえる今回の二次補正予算において、我が党が要望した雇用創出に向けた対策を初め、社会福祉施設の耐震化や中小企業対策、生活困窮者への融資制度、周産期医療体制の強化など、すべての項目が予算化されております。中身を見ても、単なる補助金ではなく、再就職支援とのセットであったり、閑散期の事業需要創出であるなど、無定見なばらまきではなく、筋の通ったものであると高く評価するものであります。
 そこでまず、今回の補正予算、東京緊急対策Ⅱの実行に向けての知事の決意を伺います。

答弁2
知事
 東京緊急対策Ⅱについてでありますが、今回の経済危機は、かつて経験したことのないほど急速で大きなものであります。その影響は既に実体経済にも波及しておりまして、このまま手をこまねいていれば心理的な不安がさらに高まり、都民生活にも甚大な影響が及ぶことは明白であります。
 景気回復への道筋をつけるのは国の責任でありますが、都政を預かる者たちとしても、都民の不安を正面から受けとめ、活路を開くべく、第二弾の緊急対策を策定し、とりわけ早期の対応が必要な施策を補正予算として編成いたしました。
 これらにより、今、打つべき手を確実に打ち、みずからの力で懸命に危機を乗り越えようとしている都民を可能な限り後押しをするとともに、現場に根差した発想で、国に先駆けて効果的な施策を積極的に展開し、東京から危機克服に向けた確かな歩みを進めていきたいと思っております。

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中小企業・雇用対策

質問1
 次に、今回の補正予算に関連して、中小企業支援、雇用対策、周産期医療体制の強化について質問いたします。
 初めに、中小企業の支援策についてであります。
 都は今回の補正予算の中に、緊急融資制度の拡大や小規模企業者が借りやすい信用保証料補助の新設、さらには連鎖倒産に備える共済掛金補助の新設などを具体的に盛り込みました。問題は、黒字倒産の広がりであります。ことし倒産した上場企業二十八社のうち十五社が黒字倒産といわれており、その危険性は、大企業から次第に中小零細企業へと広がり始めています。
 国は、公明党の要請のもと、先月二十一日より予約保証制度を開始いたしました。当面は資金繰りに支障のない企業であっても、あらかじめ保証を受けておけば、いざというときの資金調達が万全となり、まさに黒字倒産を予防することができます。
 しかしながら、現下の厳しい経済情勢のもとでは、今まさに資金を必要とする中小企業へのサポートが重要であります。都は、緊急保証制度の円滑な運用に加え、当座の運転資金を必要とする企業のため、都独自で実施しているつなぎ融資を大幅に拡大すべきであります。見解を求めます。

答弁1
産業労働局長
 中小企業に対するつなぎ融資の拡大についてであります。
中小企業における当面の運転資金に対する資金需要に適切に対応していくことは極めて重要であると認識しており、都ではこれまで、制度融資におきまして、都内中小企業の緊急な資金需要にこたえるため、保証の審査を原則三営業日以内で行う融資メニューでありますクイックつなぎを実施しております。
 今般の厳しい景況の中、緊急に必要となる決済資金等の資金繰りに窮する中小企業を支援するため、このクイックつなぎの融資限度額を拡大してまいります。


質問2
 加えて、財政基盤の弱い零細企業にとっては、資金調達手段の多種多様化が大切です。公明党はかねてから、不動産担保に過度に依存しない新たな融資手法の創設を主張してまいりました。これにこたえ、平成十三年度には売り掛け債権担保融資、平成十九年度には棚卸資産も対象に加えた流動資産担保融資が創設され、近年では民間金融機関も、車両や機械設備を担保に融資メニューをそろえ始めています。
 金融不安の今、都が独自に機械設備等を担保とする新たな融資制度を創設すれば、都内中小零細企業の資金調達に大きく貢献するものと考えます。見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 不動産担保に依存しない融資制度についてであります。
 特に財政基盤が弱く、不動産資産に乏しい小規模企業者を対象に、保有動産を活用した新たな資金調達手段を提供することは重要でありまして、車両や工作機械などの動産を担保とする融資は、小規模企業者が従来に増して資金調達を可能とする有効な手法であると認識をしております。
 なお、この融資手法は、現在、信用保証協会による保証を受けられず、また、担保物件の評価、管理や処分方法について課題が残されております。
 今後、こうした課題を踏まえまして、機械設備等を担保にした融資制度の可能性について検討を進めてまいります。


質問3
   都内中小企業の資金繰り悪化への対策としては、経営面での支援も欠かせません。経営環境が急激に悪化する中で、経営危機に見舞われる中小企業の増加が懸念されているところであります。このため、資金繰りの支援にとどまらず、経営難に陥った中小企業の経営そのものを再生する手助けをすることも重要であります。
 事業承継、再生支援事業は、中小企業振興公社に公認会計士や弁護士等の専門家を配置し、個々の中小企業の経営状況に応じた対応策を提示するとともに、必要に応じて金融機関の協力も得ながら、中小企業みずからが取り組む事業再生を支援するものと聞いております。現下の厳しい経済状況を見れば、事業再生にかける時間は限られています。このため、事業承継、再生支援事業を着実に推進すべきと考えますが、見解を求めます。

答弁3
産業労働局長
 事業承継、再生支援事業の推進についてでありますが、都は現在、中小企業事業承継、再生支援事業によりまして、経営危機に直面している中小企業に対して相談や事業再生計画の策定支援、フォローを行っております。
 しかしながら、急激に悪化している経済状況のもとで、売り上げが伸びず、また資金調達もままならない中小企業がなお事業を存続させていくためには、一刻も早く再生に取り組むことが必要であります。
 このため都は、再生に取り組む中小企業のさまざまな課題にいち早く対応できるよう金融機関との連携を一層密にするとともに、事業承継、再生支援スタッフを増員するなど、相談機能の強化を図ってまいります。
 今後とも、中小企業の事業承継並びに再生を迅速かつきめ細やかに支援をしてまいります。


質問4
   次に、雇用対策について質問します。
 都は国に先駆けて、延べ五十万人分の公的雇用対策を新規施策に取り入れるなど、我が党の主張を受けた迅速な対応を高く評価いたします。
 雇用環境の悪化によって真っ先に影響を受けるのが非正規雇用の方々や障害者、女性といった方々であります。既に我が党にも、契約を打ち切られた、解雇されたなど、悲痛な声が寄せられています。
 今回の成果に続けて、障害者や女性の方も含め、より一層の雇用対策に取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。

答弁4
産業労働局長
 障害者や女性等に対する雇用対策についてでありますが、都はこれまでも、障害者に対する職業訓練や職域開拓の支援、女性に対する再就職支援などのさまざまな就業対策を実施してまいりました。しかしながら、雇用情勢はさらに悪化をしており、ご指摘の障害者や女性を含めまして、大きな影響が出ることが懸念をされております。
 このため、今後、さらなる雇用対策の充実に向け、検討を進めてまいります。


質問5
   また、区市町村との連携による延べ三十万人の雇用創出については、区市町村が新たに財政負担をすることなく、自主的、積極的に取り組めるよう配慮することが重要です。
 一方、緊急対策はあくまでも一時的な支援であることから、安定的な雇用に向けた対策も重要です。
 そこで、事業実施においては、区市町村が取り組みやすい仕組みとし、雇用拡大につなげるとともに、あわせて正規雇用に向けた支援も実施するべきであります。都の見解を求めます。

答弁5
産業労働局長
 雇用創出及び正規化に向けた支援についてでありますが、雇用環境が急激に悪化をしている中、区市町村と連携して早期に雇用の拡大を図ることが重要であります。
 このため、緊急雇用対策事業の実施に当たりましては、区市町村の負担にも十分に配慮しながら、地域の実情に合った雇用創出効果の高い事業を数多く実施できるような仕組みを構築してまいります。
 さらに、正規雇用に向けましては、就職チャレンジ支援事業やネクストジョブ事業などの取り組みによりまして、職業訓練やキャリアカウンセリング、職業紹介を行い、就業を支援してまいります。
 こうした対策を総合的に実施して、雇用環境の悪化に緊急に対応するとともに、安定した雇用の実現を目指してまいります。

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福祉・医療施策

質問1
 次に、周産期医療体制の強化について伺います。
 脳内出血を起こした妊婦が、都内の病院で相次いで受け入れを断られるという事態を受け、周産期医療に対する都民の不安が高まっております。亡くなられた方のご冥福を心からお祈り申し上げます。
 都議会公明党はこの事態を重視し、今後の対策を検討する周産期母子医療問題プロジェクトチームを立ち上げ、現場の医師、看護師や専門家等の意見を聞くとともに、患者を確実に受け入れる方策を検討してまいりました。それを踏まえて、東京都における安全・安心の周産期医療体制の構築について質問いたします。
 都は、今定例会に提出した補正予算案に、都立病院における当面の産科医師確保策を初め、患者を迅速に受け入れる周産期連携病院の指定による医療体制の整備など、周産期医療緊急対策を盛り込みました。
 この中で、最も緊急を要する都立墨東病院等の産科医師の確保策については、地域の開業医や民間病院の協力を求めて、平日夜間や土曜、休日の出産に対応するとしておりますが、地域の医師は、ハイリスク分娩の経験が少ないことや医療手法の違い等もあって、ちゅうちょする声も少なからず聞かれます。
 そこで、地域の医師との実効ある協力体制を築くために、ハイリスク分娩の経験を持つ医師の優先確保や研修体制の整備などが不可欠であると考えます。都の見解を求めます。

答弁1
福祉保健局長
 周産期医療に関しまして、地域の医師との協力体制についてでありますが、周産期母子医療センターにおきましても産科医師の確保が困難である状況を踏まえ、東京緊急対策Ⅱでは、地域の医療機関の医師の協力による診療体制の確保を打ち出すとともに、東京都医師会長に対しまして協力を要請いたしました。
 地域の医師が高度専門的医療を担う周産期母子医療センターの診療に従事していただくためには、幾つかの課題があると認識をしております。
 東京都医師会では、東京産婦人科医会や地域の医師会の代表等から成る協議会を今月中に開催し、医師の確保や研修の実施等の検討を行うこととしておりまして、その結果を踏まえて早急に具体的な対応を図ってまいります。


質問2
 次に、新生児集中治療室、いわゆるNICU病床のあり方について伺います。
 今回の妊婦受け入れ拒否の事例も、NICUが満床で受け入れることができなかったことも要因の一つでありました。都は現在、周産期医療における緊急搬送体制として、都内を八ブロックに分け、重症妊婦や新生児を救う最後のとりでとして、NICUを有する総合周産期母子医療センター九施設、地域周産期母子医療センター十三施設を確保しております。
 しかし、ブロックごとの出生数に対するNICUの病床数には大きな格差があります。特に、二十三区の東部や多摩地域では病床数が少ないなど、NICU病床の不均衡があるために、ブロック単位の対応を原則としている周産期救急医療体制の機能が十分に生かされていない実態があります。
 NICUを必要とする低出生体重児や疾患のある新生児の出生が年々増加傾向にあることから、増床を前提とした病床数の均衡化を急ぐべきであります。特に、NICU病床数の少ないブロックを中心に、周産期母子医療センターや周産期連携病院における増床に向け、予算や人員確保などに都が積極的に支援すべきと考えます。見解を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 NICUの増床についてでありますが、都内におきましては、周産期母子医療センターに百九十五床のNICU病床を確保しておりますが、低出生体重児の増加等から、その増床は急務であると考えております。
 都としましては、NICUの増床を促進するため、施設設備の整備補助を引き続き行っていくことに加えまして、都内のNICUが連携し、有効に機能するよう、それぞれの総合周産期母子医療センターの搬送調整機能の充実などに取り組むことといたしました。  また、周産期母子医療センターのNICUの負担を軽減するために、新たに指定いたします周産期連携病院に対しまして、医師及び病床の確保に対する支援を行います。
 さらに、特に周産期医療体制の充実が課題となっております多摩地域や区の東部地域につきましては、東京都周産期医療協議会において、地域を越えた医療機関の支援の仕組み等について検討を行っております。
 こうした取り組みを通じて、都内各地域における周産期医療体制の充実を図ってまいります。


質問3
 さらに、NICUの常時満床状態を緩和し、受け入れを可能とするためには、医療的ケアが必要な新生児の容体が安定したら、NICUから継続的な医療や看護を行う後方病床に移行し、退院後には療育ができるという全体の流れを見据えた体制整備を行っていくべきであります。都の見解を求めます。

答弁3
福祉保健局長
 NICUから退院後までの医療、療育の体制整備についてでありますが、NICUの受け入れ体制を確保するためには、NICU入院児が症状に応じて後方病床や在宅等へ円滑に移行を進められるようにすることが必要であります。
 そのため都では、今回の緊急対策において周産期母子医療センターの後方病床の看護体制を充実し、急性期を脱した子どもが後方病床において円滑に受け入れられる体制を整備することといたしました。
 今後、NICU入院児の円滑な退院、その後の療養に結びつけるための検討を進めてまいります。


質問4
 万全な周産期医療体制の構築には、産科医師、新生児科医師、看護師等の十分な確保がすべての前提であることはいうまでもありません。とりわけ周産期医療の中核を担う都立病院等の産科、新生児科医師の不足には、本腰を入れて対策を講じる必要があります。
 中でも、産婦人科、小児科診療分野を担う割合の高い女性医師は、結婚、出産等を機に離職するケースが多いことから、院内保育室の拡充、定時勤務制度の導入など、仕事と家庭の両立が可能となる働きやすい職場環境を整備すべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁4
病院経営本部長
 都立病院の女性医師が働きやすい職場環境の整備についてお答えいたします。
 産科医を初め医師不足が深刻化する中で、女性医師が出産後も安心して働くことができる勤務環境を整備することは、医師の確保、定着を図る上で大変重要なことであると認識しております。
 このため、本年四月から墨東病院及び府中病院で、また十月からは大塚病院において、院内保育室の二十四時間化をそれぞれ実施いたしました。
 さらに、墨東、大塚病院では、対象年齢をこれまでの三歳児までから未就学児までに拡大するために必要な整備を早急に行ってまいります。
 また、勤務と育児の両立を図りやすくする育児短時間勤務制度を七月から導入いたしましたが、既に六名の女性医師が利用し、好評を得ているところでございます。
 なお、制度を利用している女性医師が担っていた宿日直勤務等の代替については、非常勤医師等の活用により対応をしております。
 今後とも、各病院の需要等を踏まえつつ、院内保育室の充実を図るなど、女性医師が働きやすい職場環境の整備に鋭意取り組んでまいります。


質問5
 さらに、周産期医療を担う医師を積極的に養成していくことも必要です。都は、小児や周産期医療に従事する医師を確保するため、医師奨学金制度を創設しましたが、この制度をさらに拡充して、産科や新生児科等の医師を確保する体制を整えるべきと考えます。見解を求めます。

答弁5
福祉保健局長
 医師奨学金制度の拡充についてであります。
 小児、周産期などの医療を担う医師を養成するため、都が指定した大学医学部の定員枠を拡大するとともに、奨学金貸与制度を創設し、平成二十一年度からの九年間で四十五名の医師を養成することといたしました。
 これに加えまして、小児や周産期医療に携わる医師をさらに確保するため、医学生が医師としての将来の進路を見定める時期であります五年生、六年生を対象とする新たな奨学金制度について検討しております。
 今後、各大学医学部の意見を踏まえながら、実施に向けて鋭意調整をしてまいります。


質問6
 次に、都政の主要課題の一つであります新型インフルエンザ対策と療養病床の充実について質問いたします。
 まず、新型インフルエンザ対策についてであります。
 新型インフルエンザが発生した場合、過密都市東京では、大流行期への突入を避けることは至難のわざといわれています。都議会公明党はこれまでも、パンデミックを前提にした医療体制の確立に取り組む必要性を訴え続けてまいりました。都においてすべての医療機関の参加を前提とした地域医療体制確保のための協議を進めるとともに、本年五月には医療提供体制のガイドラインを策定するなど、全国に先駆けた取り組みを進めてきたことを高く評価いたします。
 あわせて、治療薬として四百万人分のタミフル、リレンザの大幅な追加備蓄等を本年度中に行うなど、都の積極的な取り組みを高く評価するものであります。重要なのは、こういった医療体制とともに、パンデミック時における感染拡大防止策を整備しておくことであります。
 先ごろ、国は、一人でも発症が確認された時点で学校閉鎖を実行するとした、感染拡大防止に関するガイドライン案を発表いたしました。そこで、通勤ラッシュに象徴的な過密都市東京ならではの感染拡大防止策を強化する必要があり、危機管理体制の司令塔となる都は、新型インフルエンザ発生時の具体的な取り組みを定めた東京都の対応マニュアルの見直しを図るべきであります。都の見解を求めます。

答弁6
総務局長
 新型インフルエンザ対策についてお答えいたします。
 パンデミック期の被害を最小限に抑えるためには、学校の休校などの社会活動の規制が極めて重要でございます。このため、都は本年十月、副知事を座長とします新型インフルエンザ対策会議を設置し、そのもとで、区市町村や学校、集客施設等の関係団体とともに、社会活動の規制のあり方などにつきまして協議を行っております。
 今後、感染拡大防止に関する国のガイドラインの改定状況等を踏まえまして、対策会議での検討を精力的に進め、新型インフルエンザ対応マニュアルの見直しを行ってまいります。


質問7
 次に、療養病床の充実について質問いたします。
 超高齢化社会を迎える都において、長期にわたり療養を必要とする患者が入院する療養病床は、急性期を脱した患者の受け皿として、なくてはならない存在であり、その確保は重大な課題であります。
 しかし、都内には、急性期の医療機関は多いものの、療養病床などの医療施設や、特別養護老人ホームも極めて限られています。実際、都における人口十万人当たりの療養病床数は全国四十一番目と低調になっています。
 こうした中、都は、国の療養病床削減方針を事実上撤回させ、平成二十四年度末までに二万八千七十七床の療養病床確保を目標に掲げ、一般病床からの転換や新設のための施設整備費補助を今年度からスタートさせました。
 しかし、現場の声を聞くと、施設整備費補助だけでは、目標達成はかなり厳しいというのが現実であります。療養病床数を具体的にふやすには、病院経営にも十分配慮し、都内全域を視野に入れた取り組みが重要であります。
 具体的にいえば、例えば増改築の際の容積、建ぺい率の緩和や耐震工事に対する補助金交付などの支援が欠かせません。一般病床から療養病床に転換するには、一ベッド当たり約二・一平米拡大する必要があり、現状のまま再整備すれば、必然的にベッド数の減少につながります。このことは病院の収入を減少させ、固定費を考えると病院経営を圧迫することになります。
 また、耐震工事を実施する場合も、工賃に加えて、工事期間中は一定程度ベッドを閉鎖しなければならず、このことも減収につながります。
 そこで、こういった状況を踏まえ、都が積極的に支援を検討すべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁7
福祉保健局長
 療養病床の確保に向けた支援についてであります。
 都は今年度から、一般病床から医療療養病床への転換などを促進するため、施設整備補助を実施しており、引き続き療養病床の増床を図ることとしております。
 なお、東京都医師会から、療養病床に関し、お話の内容も含め、各種支援の要望をいただいております。
 都は、急性期を脱した後も医学的管理を必要とする患者がその状態に応じた適切な医療を受けられるよう、国に対し、医療療養病床の安定的な確保と診療報酬上の評価の充実を引き続き提案要求してまいります。


質問8
 東京都はこれまで、新銀行に対する日銀考査や金融庁検査について、金融庁の定める金融検査に関する基本指針などを踏まえ、情報提供を求めないという立場をとってきましたが、しかし、一義的責任を負うという立場の変更になれば、これらの情報提供を求めるのは当然のことではないでしょうか。そうでなければ、金を出して口出さずという立場にみずからを追い込むことになるものと考えます。
 新銀行の経営状況を把握する上で、その情報の入手について、これまでと違った取り組みをするつもりがあるのかないのか、お伺いいたします。

答弁8
福祉保健局長
 看護師の人材育成、確保策についてであります。
 都はこれまでも、看護師修学資金貸与や離職防止、再就業の促進を図ってきており、平成十九年度からは、新人看護職員研修体制整備事業及び看護職員地域確保支援事業を実施しております。
 これに加えまして、今後、看護職員が妊娠、出産、育児を迎えても離職することなく引き続き働き続けられるよう、短時間正職員制度を導入する三百床未満の中小病院に対する支援策について検討してまいります。


質問9
 次に、中学三年生までの医療費助成について伺います。
 我が党は、将来、この国の礎となる子どもたちが健やかに育つことができるよう、東京におけるチャイルドファースト社会の実現の第一歩として、子どもの医療費助成の拡充を求めてまいりました。
 都は、現在の助成制度を拡充する案を実施主体である市町村と協議中ですが、市町村としては、約二十億円と見込まれる財政負担をどう確保するかが大きな課題となっています。
 我が党は十月の二十四日、市町村の財政に支障を来すことがないよう必要な措置を講ずることを求め、石原知事に緊急要望いたしましたが、さらに市長会や町村会もそれぞれ都の財政措置を要望していると聞いております。
 そこで、都として必要な財政支援を行うべきと考えます。知事の所見を伺います。

答弁9
知事
 中学三年生までの医療助成についてでありますが、事業内容の拡大に当たっては、都議会公明党や市長会、町村会などからの緊急な要望も踏まえまして、都としても市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置をとってまいります。


質問10
 次に、子どもの社会的養護について質問します。
 日本の社会的養護の中核的な役割を果たしているのが児童養護施設です。この施設では、制度発足当初、主に戦災で親を亡くした孤児が養護されていましたが、最近は、家庭内で虐待を受け、保護された子どもが入所児童の五割以上になっており、その数は年々増加しています。
 こういった状況を踏まえ、都議会公明党は、このほど都内の児童養護施設を視察、調査いたしました。いずれの施設でも、児童養護の最前線で、職員の方たちの懸命な尽力のおかげで、安心した子どもたちの姿を見ることができました。
 他方、職員の方々に過重な負担を強いていることも事実であります。特に、虐待を受けた子どもには専門的、治療的なケアが求められていますが、国の職員配置基準が三十年間も変わっていないため、必要な職員が配置されていません。都は国に対し、これまでにも配置基準の抜本的な見直しを要求していますが、なかなか改善されておりません。
 そこで、被虐待児童のために都が独自に職員配置を手厚くするべきであります。都の見解を求めます。

答弁10
福祉保健局長
 児童養護施設の職員配置についてであります。
 虐待を受けました子どもたちは、対人関係の不調やパニックを起こすなど、情緒面や行動面に深刻な問題を抱えている場合が多く、一人一人の状況に応じたきめ細かな対応が必要となっております。
 このため都は、精神科医や心理療法担当職員などを配置しました専門機能強化型児童養護施設を設置し、専門的ケアの機能強化を図ってまいりました。
 今後、日常生活についてもよりきめ細かなケアが行えるよう、専門機能強化型施設に手厚い職員配置を行い、虐待を受けた子どもへのケアを充実する体制づくりを積極的に検討してまいります。


質問11
 視察の中で、居室とリビングのある家庭的な環境の中できめ細かく面倒を見る小規模グループケアが着実な効果を上げ、これをふやしていきたいとの声を伺いました。子どもたちにとって、家庭的な雰囲気の中できめ細かいケアが重要なのはいうまでもありません。現在、国と都が各施設への導入を進めていますが、施設の構造や財政面に課題があり、すべての施設では実施できていません。
 そこで、都は支援をさらに強化し、どのような施設でも小規模グループケアが実施できるようにするべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁11
福祉保健局長
 小規模グループケアの設置促進についてであります。
 都はこれまでも、グループホームの設置など施設のケア体制の小規模化や家庭的養護を積極的に推進してまいりました。
 その重要な取り組みの一つとして、施設内に小規模な家庭的養育環境を整備し、虐待を受けました子どもにきめ細かなケアを行います小規模グループケアを実施しております。
 平成二十年十一月現在、児童養護施設の約八割に当たる四十四施設で実施をしておりますが、建物の構造上、施設内での実施が困難な場合には、近隣の建物を活用できるよう、新たな支援策を検討しているところであります。これにより、どのような施設でも対応が可能となるように取り組んでまいります。


質問12
 次に、盲ろう者に対する支援について伺います。
 視覚と聴覚の重複した障害を持つ盲ろう者は、全国に二万人以上、都内にも約二千人いるといわれています。都議会公明党は、まだ盲ろうという障害の存在自体がほとんど知られていなかった平成六年に、いち早くこの問題を議会で取り上げ、全国に先駆けて、東京都による通訳介助者の派遣養成事業を実現するとともに、その後も支援を続けてまいりました。
 本年の第二回定例会の我が党の一般質問では、盲ろう者に対する支援について知事の考えを伺ったところ、知事からは、一人一人が我が身になぞらえて思いを至らせ、支援の手を差し伸べていくことが大切だ、都としてもコミュニケーションの確保を支援し、社会参加を一層促進していくと答弁されました。
 その後、知事は、盲ろう者の福祉向上活動の草分け的存在であり、自身も盲ろうという障害を抱えながらも東京大学教授になられた福島智さんと会われました。
 そこで、まず、福島さんと会われた知事の率直な思いを伺います。

答弁12
知事
 盲ろう者支援についてでありますが、先般、公明党の議員さんの紹介で、私、初めて盲ろう者である福島智さんにお目にかかって、本当にショックを受けました。ヘレン・ケラーという人の存在は前から聞いておりましたが、あの人は幼時に熱病にかかって突然知覚を失ったんですけれども、福島さんの場合には、だんだんだんだん目が見えなくなり、片方が見えなくなり、両方見えなくなって、また、青春期の十六、十七歳のときに、これまた片方ずつ耳が聞こえなくなって、そのときの苦痛といいましょうか、恐怖は大変なものだったと思います。まさにあの人は、これでとうとう自分は大きなつぼの中に閉じ込められたといういい方をされていましたけれども、そういう方が、お母さんが指を使っての点字というものを開発されて、とにかく立ち直り、やがては東大の教授にまで先般なられた。人間というのはこんなに本質的に強いものかという、非常に、感銘どころか強いショックを受けました。
 しかし、さらにお聞きしますと、こういった気の毒な方々がかなりの人数、日本にいる、東京におられるということ――失明された方は、盲導犬のような手だてもありますけど、この方々に至っては、とてもそんな手だてが及びません。やっぱり同じハンディキャップを背負った方々が、時々は一堂に会して、そこで、同病をかこち合いながらといいましょうか、交流して、互いに啓発し合って、人生の活力を得直していくということが必要だと思いますし、そんなにお金のかかる、そんなに広大な施設が要るわけではございませんから、やっぱり新しい福祉政策としてのモデルビルディングをやってみたいなと思っております。そういう支援が絶対に今、必要だということを痛感いたしました。


質問13
 盲ろう者は、自分の近くにだれがいるのかさえわからず、また、自分に必要な情報の内容はおろか、そもそも必要な情報があるのかないのかさえも、みずから知るすべもありません。まさに想像を絶する孤独感の中で不安にさいなまれながら、多くの盲ろう者の方々が自宅に引きこもり、社会との接触の極めて乏しい状況に置かれています。
 こういった状況を変えていくためには、盲ろうという障害の存在を社会全体に理解していただくとともに、盲ろう者への一貫性のある支援体制を確立していくための拠点整備が必要であります。
 そこで、厳しい状況に的確に対応できるよう、都は盲ろう者に対する支援拠点を全国に先駆けて設けていくべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁13
福祉保健局長
 都における盲ろう者支援についてであります。
 都は平成八年度から全国に先駆け、盲ろう者に対する通訳介助者派遣事業を実施してまいりました。しかし、指点字などのコミュニケーション手段が普及していないことや、日常生活の支援の手法が確立していない状況にあります。
 したがいまして、盲ろう者の指点字などの習得や日常生活のための訓練手法の確立、普及、さらには孤独感を解消するための交流機会の確保が重要であります。
 今後、盲ろう者の特性や置かれた状況に応じた的確な支援を重点的に行う必要があると考えておりまして、お話の都における支援の拠点の設置について、早急に検討してまいります。


質問14
 次に、大麻汚染について伺います。
 警察庁によると、大麻による摘発がことし過去最悪になると見込まれております。特に三十代未満の若者への拡大は深刻であり、昨年の検挙数千五百七十人は、十年前の二・三倍となっております。中でも二十代への浸透が特に際立っており、ことしに入って大学生は七十四人が検挙され、昨年同時期よりも十人も多いことが判明しております。
 大麻汚染がここまで拡大した背景には、種屋と呼ばれる業者の存在があり、海外から不正に発芽能力がある大麻の種子を輸入し、ネットにアクセスすれば、だれもが鑑賞用と称して容易に種子を入手できるという実態があるからであります。
 警察庁では、インターネット上の監視を行っておりますが、大麻の種子の所持や譲渡自体は法規制の対象から除外されているため、取り締まりに限界があります。種子の所持や譲渡を規制の対象とするよう、大麻取締法の改正を国に働きかけるべきであります。
 若者を大麻汚染から守るためには、普及啓発から取り締まりまで、関係機関が連携した取り組みが必要です。知事の見解を伺います。

答弁14
知事
 若者を大麻汚染から守るための対策についてでありますが、日本の将来を担う若者たちに大麻の汚染が広がり、多くの大学生が検挙されている現実は、極めて憂慮すべき事態であると思います。
 こうした事件の背景には、大麻の害はたばこよりも少ないなどといった誤った情報や、インターネットなどを通じて大麻の種子を海外から容易に入手できる状況がございます。
 都としては、今後、国に対して大麻に関する法規制の強化を強く求めていくとともに、学校や警察などの関係機関と連携しながら、大麻の有害性、危険性を訴え、薬物乱用の根絶に全力を尽くしていきたいと思います。
 ただ、今日のように非常に世界が狭くなりまして、いろいろな情報がどんどん入ってきますが、大麻を日本で普及させている一つの要因は、アメリカという世界一の先進国、大国で、州によって法律が違って、大麻の吸引が許されている州があるということでありますけれども、こういった不均衡というものが非常にこの問題をゆがめて拡大しているんじゃないかと思いまして、これはやっぱり、日本の政府がよほどしっかりしまして、アメリカならアメリカに、こういった問題をどう調整するか、アメリカもひとつ青少年の将来を考えて、州ばらばらじゃなしに、フェデラルガバメントがこういったものを統一の規格の中で規制するという必要があるんじゃないか、そういう交渉というものを外交的にすべきじゃないかと私は思っております。

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環境政策

質問1
 次に、環境政策について質問いたします。
 我が党はこれまでも、環境確保条例の改正に伴い、地球温暖化対策推進制度の中に組み込まれることとなる中小規模事業所の負担に配慮し、税制面での優遇措置を検討すべきと繰り返し主張してまいりました。
 先月、知事に提出された東京都税制調査会の答申も、省エネ推進へのインセンティブの観点から、都の環境施策と連携した政策減税を検討すべきとしております。
 都は、政策減税を導入するのであれば、特に中小規模事業所に対する税の優遇措置を検討すべきと考えます。見解を求めます。

答弁1
  主税局長
 都の環境減税についてでございます。
 地球温暖化対策は喫緊の課題であり、厳しい経済状況下においても着実に進めていかなければならないと考えております。
 今後、お話の中小規模事業所における省エネ推進を含め、都の環境施策を推進するための政策減税につきまして、関係局とも連携を図りながら積極的に検討を行い、できるところから実施していきたいと思います。


質問2
 社会全体のCO2排出を減らすための仕組みとして注目されているのがエコポイントであります。エコポイントとは、環境配慮型の商品やサービスの購入など、消費者の環境に配慮する行動に対して何らかのメリットをもたらすような仕組みのことで、一人一人の生活の中に環境配慮行動を内在化させていくための一つの手段であります。
 こうした認識のもと、公明党は本年八月に、知事あてにエコポイント制度の活用に関しての要望を行いました。
 都内においては、既に港区や足立区がエコポイントに取り組んでいるほか、早稲田、高田馬場周辺の地域で、使用済みレジ袋の持参やマイはしを持参した際に、地域通貨と交換する取り組みを推進している例があるなど、さまざまな取り組みが行われております。
 都は、区市町村や地域レベルでのエコポイントの活用をさらに促すとともに、エコポイントを都の施策と組み合わせて、施策推進のインセンティブとして活用していく具体策を検討すべきであります。見解を求めます。

答弁2
環境局長
 エコポイントの活用についてでございますが、CO2削減を初めとした環境配慮を進めるためには、身近でわかりやすい形で都民の環境配慮の努力が報われ、さらなる行動を促すインセンティブを付与することも効果的であり、エコポイントは、そうしたインセンティブ付与の一つの手法として有効でございます。
 都は現在、環境に配慮した消費行動を促進するため、国内最大のグリーン購入推進団体であるグリーン購入ネットワークとともに、商品への環境配慮情報の表示を促進することについて検討しております。
 こうした環境配慮の情報が表示された商品が消費者に選択され、広く使われるよう、普及促進策の一つとしてエコポイントを導入し、活用していくことを検討してまいります。


質問3
 さて、本年度の洞爺湖サミットでは、気候変動問題に取り組み、長期的に化石燃料への依存を減らす上で、再生可能エネルギーの重要な役割が示されました。バイオ燃料の活用もその一つであります。
 既に都内の一部の区市では、てんぷら廃油を活用して車の走行を行うなど、廃食用油の活用が図られております。食料と競合しないバイオ燃料の原料として廃食用油の活用は有効なものと考えます。
 そこで、都は、さまざまな課題を整理しながら、廃食用油を活用したバイオ燃料の導入について積極的に進めるべきと考えますが、見解を求めます。

答弁3
環境局長
 廃食用油を活用したバイオ燃料の導入についてでありますが、区市における廃食用油の活用などのバイオ燃料の使用は、温暖化対策に加え、循環型社会づくりの形成においても意義がございます。
 都としては、こうした地域の取り組みに加え、さらなるバイオ燃料の普及拡大を図るため、廃食用油などさまざまな油脂を水素化処理して軽油と同等の性状にできるバイオディーゼル燃料の導入について検討しております。
 しかしながら、この燃料の供給を安定的に行うには、大量生産によるコストの低下を図るために相当量の油脂が必要であるほか、製造上の技術的な問題の解消など、さまざまな課題がございます。
 都は、こうした課題の解決に向けて、今後とも、廃食用油の活用を初めバイオ燃料の利用促進について幅広く検討してまいります。

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都市整備

質問1
 次に、今後の市街地整備について伺います。
 東京のまちづくりの骨格を担う市街地整備については、急速に進む少子高齢化などへ社会経済構造の大きな変化に対応した整備を進めていく必要があります。
 「十年後の東京」には、二十一世紀の都市モデルを実現するとして、八つの目標を掲げています。その中に、水と緑の回廊に包まれた美しいまち東京を復活させる、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、また、災害に強い都市をつくる、さらには、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するとあります。
 都は、こうした新たな時代の要請にこたえるために、木密地域の解消と建築物の耐震化など都市づくりの基本的な方向を示すとともに、今後の市街地整備の方針を策定すべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁1
都市整備局長
 今後の市街地整備についてでございますが、都は、平成十三年に都市づくりビジョンを策定し、首都東京の再生を目指した取り組みを積極的に進めてまいりました。
 今後、「十年後の東京」に示されました都市像を踏まえ、環境負荷の少ない都市づくりなど、重点的に取り組むべき課題への対応を盛り込みまして、来年前半に都市づくりビジョンの改定案を作成し、公表してまいります。
 この改定と連携いたしまして、ビジョンに示す地域の将来像などを具体化するため、環境、防災等の視点を重視するとともに、公有地をまちづくりに戦略的に活用するなど、効果的な市街地の整備に取り組んでいく必要がございます。
 都がみずから行う事業につきましては、リスクの低減などを図りながら、効率的に実施するとともに、区市や民間事業者等に対しても地域への貢献を適切に誘導するなど、公民協働によるまちづくりを進めてまいります。
 都は、こうした市街地整備の方向を基本方針として取りまとめ、「十年後の東京」に掲げた都市像の実現に積極的に取り組んでまいります。


質問2
 市街地整備において大きな課題となっているのが老朽化マンションの耐震化であります。現在、都内にはマンションが百四十万戸、そのうち昭和五十六年以前の旧耐震基準のマンションは約二十二万戸あるといわれております。
 しかしながら、耐震改修の実績はなかなか進んでいません。都は今年度から、耐震改修助成制度を創設し、取り組みを始めていますが、いまだ十二区二市でしか整備されておりません。実績を上げていくためには、全区市に広がるよう働きかけていくべきであります。都の見解を求めます。

答弁2
都市整備局長
 マンション耐震化についてでございます。
 分譲マンションの耐震化を進めるためには、都の耐震改修助成制度を活用した、区市における制度の整備充実等の取り組みが重要でございます。そのため、都は、補助の窓口となるすべての区市と制度活用に向けた協議を進め、来年度には大半の区で助成制度が整備される見通しでございます。
 今後とも、マンション耐震化に向けて、対象となる区市に対しまして強力に働きかけを行うとともに、区市と連携して管理組合への支援を一層充実するよう取り組んでまいります。


質問3
 また、分譲マンションの管理組合には、その維持管理から修繕、大規模改修、さらには建てかえと、さまざまな課題があります。それぞれにガイドブックや管理ガイドラインがありますが、総合的に相談する窓口など、都としてマンション住民にわかりやすい情報提供を行っていくことが重要です。今後の取り組みについて、都の説明を求めます。

答弁3
都市整備局長
 マンション住民に対する情報提供についてでございますが、都はこれまで、普及啓発のためのガイドブック等の発行や、アドバイザー制度の活用促進に努めるほか、マンション管理センターやマンション管理士会等関連機関と連携して、多様な相談等に適切に対応してまいりました。
 今後、都のマンション施策の紹介とあわせて、維持管理や建てかえ等に係るさまざまな相談先を一覧で掲載したパンフレットを年度内に発行し、相談内容に応じた窓口をわかりやすく案内するなど、的確な情報提供に努めてまいります。
 また、身近な相談先である区市の職員に対する研修に加え、職員向けの相談マニュアルの改定を行うなど、区市への支援を充実させ、窓口相談機能の強化を図ってまいります。


質問4
 特に、老朽化したマンションは、建てかえという大きな課題が迫っています。都は、本年の第二回定例会における我が党の代表質問に対して、初のマンション白書の作成を明らかにいたしました。管理組合等の実態を調査し、新たなマンション施策の展開に資することとしております。この白書において有効な建てかえ事例を取り上げ、老朽化したマンションの建てかえ対策を進めていくべきと考えます。都の見解を求めます。

答弁4
都市整備局長
 マンションの建てかえについてでございますが、今後、築三十年以上のマンションが大幅に増加し、建てかえの検討を必要とする管理組合がふえるものと見込まれております。
 マンションを良好なストックとして維持、更新していくことが重要であることから、都は、マンションや管理組合等の実態を調査し、維持管理や建てかえに係る課題等を明らかにするため、マンション白書の作成に取り組んでおります。
 マンション建てかえの検討に当たりましては、先行する事例を参考にすることが有益でありまして、都内の建てかえ事例等をマンション白書で紹介するなど、円滑な建てかえに向けて支援をしてまいります。

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公営住宅法施行令の改正に伴う都独自の措置

質問1
 次に、都営住宅について質問いたします。
 来年四月から施行が予定される公営住宅の入居収入基準の改定を前に、都議会公明党は、太田昭宏代表とともに国土交通省に対し、平成十九年十一月十六日に公営住宅管理制度の見直しに関する申し入れを行いました。その結果、すべての現入居世帯の家賃が上昇する内容であった当初案が見直され、現入居者の約四分の三の世帯の家賃を据え置きとしたほか、現入居者全体に対し、新たな収入基準に基づく収入超過、高額所得の適用は五年間これを行わないなど、数々の激変緩和措置を講じることになったのであります。
 さらに、都議会においては、本年の第二回、第三回の定例会の代表質問で取り上げ、公明党は二K住宅の間取りの廃止を実現させるとともに、入居収入基準の改定に関する都独自のさらなる激変緩和措置を講じて、現在のすべての都営住宅の入居世帯に対し、低迷する経済状況に見合った対策を講じるよう求めました。都も、一定期間の家賃の据え置きなど積極的な対応方針を答弁しているところであります。
 しかるに、日本共産党は、最近、都内各地において、この入居収入基準の改定に相まって、直ちに現入居者の追い出しが始まるかのような印象を与えるビラを大量に配布し、不安をあおっているのであります。都営住宅は、都民共有の大切な住宅政策上のセーフティーネットとして、都議会と執行機関がともに努力して、内容、制度の上でも充実を図ってきたのであります。そうした努力を踏みにじり、都民の不安をいたずらにあおる行為を断じてこれ以上放置するべきではありません。
 そこで、今回の入居収入基準の改定を機に、都が都民のために講じる独自の激変緩和策の詳細を明らかにするべきであります。(発言する者多し)静かに聞きなさい。
 また、現在、母子、心身障害者、難病患者、寝たきり老人などに該当する世帯に、都独自で講じている現行五〇%の特別減額措置についても、制度上は、明年四月の入居収入基準の改定を機に、対象世帯の収入上限が月額二十万円から十五万八千円に切り下げられることになります。このままでは、明年四月から家賃負担が一気に倍増してしまう世帯も出てくる可能性があります。この点についても、都は家賃負担の激変緩和対策を積極的に講じるべきであります。あわせて都の見解を求めます。

答弁1
都市整備局長
 都営住宅の家賃に係る公営住宅法施行令の改正に伴う都としての経過措置についてでございます。
 家賃改定による引き上げを一年間延ばすことといたします。
 また、五年間で段階的に引き上げを実施する国の経過措置を講じてもなお負担の変化が大きい、収入区分が二段階上昇する世帯につきましては、この期間を七年間に延長するとともに、建てかえが伴う場合は、最長十一年間の経過措置を講じる考えでございます。
 また、母子世帯等を対象とする特別減額につきましても、収入基準ごとに減額率を五年間かけて段階的に引き下げていく経過措置を考えてまいります。

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新銀行東京

質問1
 次に、新銀行東京について質問いたします。
 去る十一月二十一日、新銀行東京は、平成二十一年三月期の中間決算を発表いたしました。この中間決算について、知事は、今定例会の所信表明で、ほぼ再建計画どおりの業績となっていると評価をし、引き続き再建計画の着実な達成に向け、経営の監視と支援を行うと決意を述べられました。
 他方、さかのぼること約一カ月前の十月二十二日、日刊の経済紙の一面のトップにおいて、新銀行東京、都の追加出資毀損へ、金融庁検査結果を通知、引き当て不足百億円という記事が躍り出ました。経済の専門紙でもある日刊紙の記事であるならば、綿密な調査の上書いているのではないかと、大きな反響を及ぼしました。
 事実、共産党などはこの記事を使って、鬼の首でも取ったかのように、経済・港湾委員会で都の追加出資毀損の責任を追及していました。しかしながら、中間決算発表の翌日、その日刊紙においても、金融庁の検査結果に基づく不良債権の引き当て不足百億円と都の追加出資毀損の件について、一言も触れていませんでした。したがって、中間決算が発表になった今でも、新銀行東京の百億円の引き当て不足と追加出資の毀損についてはどうなったのかという問い合わせがあります。
 そこで、都として、新銀行東京の中間決算が金融庁の検査結果をすべて反映した数字であるのかどうか、その上で四百億円の追加出資は毀損されたのかどうかを、都民に対してわかりやすく説明すべきであります。都の見解を求めます。

答弁1
産業労働局長
 新銀行東京の中間決算についてでありますが、新銀行東京は、再建に向けて全力で取り組んでいるところであり、今回の中間決算は、最初の半年の事業実績を示すものであります。
 純損失額は、計画の七十三億円に対しまして七十億円と、ほぼ計画どおりとなっており、これは金融庁の検査結果については、この中にすべて反映をされております。
 また、純資産におきましても、計画を上回る四百七十九億円が確保されており、四百億円の追加出資は明らかに毀損をされておりません。


質問2
 サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融危機は、日本経済にも多大な影響を及ぼし、この十月、十一月と、日本の景気も急激な後退局面を迎えています。
 特に中小企業の経営環境は悪化の一途をたどっています。こうした中間決算期日である九月三十日以降に起きている事態は、新銀行東京の再建計画に重大な影響を及ぼすことになります。新銀行東京は、今回の中間決算において、こうした重大な後発事象を盛り込んでいるのか、明らかにすべきであります。都の見解を求めます。

答弁2
産業労働局長
 最近の経済環境の悪化と新銀行東京の中間決算についてでありますけれども、新銀行東京では、今回の中間決算におきましては、ご指摘のありました現下の中小企業の経営環境の悪化を踏まえまして、貸倒引当金の積み増しを行っております。その上で通期の純損失は百二十六億円と、計画どおりを見込んでいるところであります。
 一方で、世界的な金融危機の影響は現在もとどまるところなく拡大しておりますので、新銀行東京においても計画が着実に達せられるよう、今後の慎重な運営が求められているところであります。都は、引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。


質問3
  知事は、所信表明の中で、旧経営陣の時代に行員みずからがやみ勢力と結託をして行った不正融資事件を取り上げ、遺憾の意をあらわすとともに、過去のうみをすべて出し切るよう株主として求めていくことを明らかにしました。その上で、今、最大の関心事は、年内目途に明らかにするとした旧経営陣の責任問題であります。年内といってもあと二週間余りとなりました。一部には、新銀行東京は本気になって旧経営陣の責任追及をしないのではないかという声も上がっています。
 そこで、石原知事の旧経営陣に対する責任追及の決意を改めてお聞きするとともに、責任問題が明らかになった場合の議会への報告、責任追及の具体的な手順について、都に見解を求めます。

答弁3
知事
 新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及でありますが、新銀行東京がその経営の失敗により多額の損失を計上して、都の出資を含む資本を毀損したことは重大でありまして、旧経営陣の責任は免れないと思います。
 また、先般明らかになった不正融資事件は、旧経営陣のもとで新銀行東京の内部管理体制が極めて不十分であったことをあらわしていると思います。
 旧経営陣の責任については、現在、有力な外部の弁護士に委託して銀行が調査を進めているところでありまして、その一端がこの間、披瀝されたわけでありますが、都民の理解が得られるよう厳正に対応してまいります。  
産業労働局長
 新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでありますが、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣における経営判断などにつきましては、現在、新銀行東京が外部の弁護士に委託をして詳細な調査を進めておりまして、年内を目途に調査結果を得る予定であります。この調査結果を踏まえ、新銀行東京が法的措置を含め対応していくこととなります。
 いずれにいたしましても、責任追及に当たっては、都民の理解が得られるよう、都としても必要な説明責任を果たしてまいります。

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補助金の適正な執行管理に係る認識と取組

質問1
 次に、補助金の適正な執行管理について質問します。
 会計検査院の調査で、全国十二道府県で国庫補助金の不正経理が発覚し、今後、他の都府県と政令市も調査する方針であると報じられております。補助金が適正に執行されることは当然であり、自治体においても補助金経理の透明化に向けた、より一層厳格な取り組みが求められていると思います。
 そこで、今回の会計検査院の調査で浮き彫りになった不正経理に対する都の認識と取り組みについて、見解を求めます。
 一方、今回の補助金不正経理問題の背景には、現行の補助金制度における使い切りの慣行といった問題点も指摘されております。補助金の適正な執行にかかわるこうした制度上、運用上の改善に向け、都が他の自治体をリードするような取り組みを実行すべきと、強く要望いたします。

答弁1
会計管理局長
 補助金の適正な執行管理についてでございますが、報道にあるような裏金づくりなど、悪質な不正経理はあってはならないものと認識をしております。  都では従来から、経理事務の適正な執行を確認するため、会計管理局による定例、随時の検査、各事業局における自己検査、監査委員による監査などを実施しているところでありますが、これまで、そのような事実は確認されておりません。  しかしながら、今回、国庫補助金をめぐる不正経理が社会問題化したことを契機に、会計検査院の検査が行われる前に、念のため、全庁的に自主点検を行うことといたしました。現在、各局において鋭意点検、確認に取り組んでいるところであります。  今後、この点検結果や監査、会計検査院検査の結果などを踏まえまして、関係局と連携し、適切に対処してまいります。

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道路整備

質問1
 次に、道路整備の財源確保について伺います。
 東京の道路整備などは、国庫補助金や地方道路整備臨時交付金によって事業が展開されておりますが、道路特定財源の一般財源化の方針のもと、去る十月三十日、麻生総理は、一兆円を道路に限らず、地方の実情に応じて使用する新たな仕組みをつくると発表しました。
 東京の道路整備を推進するためには、安定的な財源確保が不可欠であります。都議会公明党は、この地方財源となる一兆円について、地方道路整備臨時交付金と同等で地方への恒久的な新たな交付金として、東京への道路整備に必要な額を確実に配分するよう、十二月四日に国土交通大臣に対して要請したところであります。
 この一兆円の配分の具体策として、公共事業に幅広く使える交付金とする方針が出される一方、道路特定財源を地方交付税として使うような動きもあります。このような場合の東京の道路整備に及ぼす影響について、見解を求めます。

答弁1
建設局長
 道路特定財源が地方交付税として使われた場合の東京の道路整備への影響についてお答えいたします。
 道路特定財源は、三環状道路を初め、幹線道路ネットワークの整備や連続立体交差事業、ボトルネックとなっている交差点の改良、歩道の整備、無電柱化などに投入されております。
 平成二十年度予算においては、国は、道路特定財源から総額約一兆四千億円を地方へ配分しており、このうち、都や都内の区市町村に入る額は約八百八十五億円であります。
 今般、政府・与党で合意された新たな交付金として一兆円が地方に配分されたとしても、不足する四千億円の扱いが決まっておらず、仮にこの四千億円が地方交付税化されると、不交付団体である都や区市町の道路整備に深刻な影響が生じることになります。
 今後、さらに道路整備に不可欠な財源を従前以上に確保し、あわせて東京へ安定的かつ重点的に配分するよう、あらゆる機会をとらえ、国に強く求めてまいります。


質問2
 道路特定財源の地方交付税化は、一般財源化に乗じて意図的に地方間の財源調整を行おうとするものであります。こうした不合理な動きの再燃阻止に向けた知事の力強い決意を伺います。

答弁2
知事
 道路特定財源についてでありますが、道路特定財源の一般財源化にかこつけて、これをもって地方交付税の不足分を穴埋めするということは筋違いでありまして、決して容認できるものではございません。これまで無定見に削減されてきた地方交付税は、国の責任において復元されるべきものであります。
 道路特定財源の一般財源化に当たって最も肝心なことは、東京など不交付団体を含めて、すべての団体に必要な財源がしっかりと確保されることであります。
 こうした観点に立ち、不合理な地方交付税化の動きに対しては、これを阻止すべく、今後とも国に対して強く主張してまいります。

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羽田空港問題

質問1
 次に、羽田空港の国際化について伺います。
 羽田空港は、平成二十二年秋に四本目の滑走路と新国際線ターミナルが完成する予定であり、国際線の発着数が大幅にふえることになります。
 国は、羽田空港の国際線については、当初の昼間三万回から夜間も合わせて年間六万回に倍増するとともに、昼間の距離制限を廃止することを骨太方針で決めたところであります。しかしながら、都心に近接した羽田空港の持つポテンシャルを考えれば、国際化に向けての国の方針はまだまだ十分ではなく、利用者の利便性をさらに向上させる必要があります。
 そこで、羽田空港の国際化に向けて、今後の都の方針及び具体的な取り組みについて、知事の見解を伺います。

答弁1
知事
 羽田空港の国際化についてでありますが、我が国の国際競争力の強化を図るためには、都心と近接性を誇る羽田空港と世界の主要都市との間に幅広く国際線を就航させることが重要であります。
 国は本年六月の骨太の方針において、供用開始時点の国際線発着回数を従来の昼間三万回から昼夜合わせて六万回に倍増するとともに、昼間は千九百四十七キロメートル以内としてきた――これは実に愚かな話ですけれども――距離制限を撤廃して、北京や台北、香港までも就航させる方針を示しました。
 しかしながら、国際都市東京の活発な経済活動や巨大な後背人口、さらには多様な文化的魅力あるいはビッグビジネスなどを考慮しますと、いまだに十分とはいえません。
 都としては、再拡張事業により年間四十万七千回に達するとされる昼間の空港容量を可能な限り拡大するとともに、国際線に比べて低い国内線の需要の伸びからも、昼間の国際線をできるだけ増加させ、アジアの主要都市へのさらなる就航拡大を進めるように国に強く求めてまいりましたが、大体、国交省の内々の合意で、さらに、ごく近い将来、ヨーロッパの比較的日本に近い地域、それからアメリカの西海岸までは、飛行機は飛ばすことになると思います。


質問2
 第二に、羽田空港跡地利用対策についてであります。
 本年三月、羽田空港移転問題協議会は、羽田空港跡地利用基本計画を策定しました。その中で、今後は跡地の基盤整備等の課題を整理し、この計画の具体化を目指すことを明らかにしています。
 現在、空港の跡地には、上下水道や電気、ガス等のライフラインが埋設されていますが、これらの取り扱いは羽田空港移転問題協議会での協議事項となっています。とりわけ上下水道については、現在、国が管理していますが、将来的には空港跡地が市街地となることから、その基盤整備や管理について検討する必要があります。
 また、関連事業としての周辺河川の整備については、跡地利用のため、高潮対策と親水護岸を兼ね備えた護岸とするべきと考えます。
 空港跡地利用にかかわる基盤整備について、都の見解を伺います。

答弁2
都市整備局長
 羽田空港跡地の基盤整備についてでございますが、本年三月、都は国や地元区とともに、三者協として跡地利用の基本計画を決定し、土地利用の方向性を定めました。
 その方向性に沿って跡地利用を進めるためには、跡地を高潮から守るための護岸を整備するとともに、地域内交通を処理する区画道路や上下水道などライフラインを新たに整備することが不可欠でございます。
 都としては、今後、三者協におきまして、事業手法とともに、これら基盤施設の整備のあり方についても検討を進めてまいります。
 その際、土地所有者である国に対しましては、基盤施設の整備に対する積極的な取り組みを強く求めてまいります。


質問3
 第三に、空港跡地の土地処分についてであります。
 羽田空港の再拡張事業の完成があと二年後に迫った現在、空港跡地利用計画の具体化の道筋が明らかになっていません。早急に利用計画を具体化するためには、だれが跡地を取得するのか、明確にすることが重要であります。
 都は、昭和五十六年に都知事と運輸大臣とで取り交わした確認書を踏まえて都が跡地を取得するのかどうか、明らかにする時期に来ています。
 そこで、都はこの確認書をどのようにとらえているのか、明確な意思表示をすべきと考えます。知事の明快な答弁を伺います。

答弁3
知事
 羽田空港跡地に係る確認書についてでありますが、跡地は国際線ターミナルなど国際化の拠点施設に隣接するとともに、周辺市街へとつながる重要な空間でありまして、羽田の空港機能と十分に連携しながら、土地利用を進めていくことが必要であります。
 昭和五十六年の確認書は、沖合展開事業の事業費に充てるため、都が跡地を取得する前提に立ち締結されたものと聞いておりますが、その後は首都圏の空港容量の逼迫に対応して、沖合展開事業に続いて再拡張、国際化を推進することとなりまして、その事業費を賄うために、都は国に対して一千億の無利子貸し付けも行うことにいたしました。
 さらに、従前とは全く違う、次元の異なる羽田空港の飛躍的な機能強化に対応すべく、跡地の面積が二百ヘクタールから五十三ヘクタールへと大幅に減少するなど、状況は非常に大きく変化いたしました。
 本来、私も運輸事業にかかわってきた人間の一人ですけれども、大田区があの空港の跡地の中に土地を獲得するということの是非というのは、もうちょっと、機能論からいっても考えられたらいいんじゃないでしょうか。昔の東急ホテルとかプリンスホテルの跡地がありました。あそこならば川に面していて立派なリゾートになると思うので、これはやっぱり、もっと若い人を使った新しい発想が必要じゃないかと私は思います。
 本年三月、国、都及び地元区から成る三者協により跡地利用基本計画が定められましたが、そこで示された土地利用を実現する上で、都が跡地を一括取得する必然はなく、基本的にそれぞれの施設の整備主体が土地の譲渡または貸与を受けることが合理的と考えられます。
 今後、計画的な土地利用を進めるための事業手法を三者協で協議しまして、地元区の意向に配慮しながらも、土地利用の早期具体化を図っていきたいと思っております。

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オリンピック・パラリンピック招致

質問1
 最後に、二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピックの招致について質問いたします。
 国際オリンピック委員会の東京視察の日程も来年四月に決まり、十月の開催都市決定へ招致レースはいよいよ佳境に入りました。オバマ新大統領の誕生に沸くシカゴを初め、マドリード、リオデジャネイロはいずれも強敵ですが、都は大都市問題の解決を目指し、二十一世紀の新たな都市モデルをアピールする、どこよりもすぐれた立候補ファイルを提出すべきであります。
 その上で、今求められているのは、何よりも国内世論を盛り上げることであります。国際オリンピック委員会がこの点を重視していることは、申し上げるまでもありません。
 特に、オリンピック・パラリンピックはお金のむだ遣いだという考え方の人たちに対して、経済効果を理解してもらう必要があります。今回、都は、都内で一兆六千億円、全国で二兆八千億円の経済効果が生まれると試算をし、日本全体の経済を活性化できることを明らかにいたしました。
 そこで、国民に対し、この経済効果の根拠を明らかにし、説得力をもってアピールをしていくべきであります。都の見解を求めます。

答弁1
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長
 経済波及効果についてでございます。
 二○一六年の東京オリンピック・パラリンピックの開催は、大きな経済波及効果を持つとともに、平和でよりよい社会の構築、次世代を担う子どもたちの育成、地球環境問題の解決、快適な都市づくりなどを加速させ、東京をさらに機能的で魅力的な都市に生まれ変わらせる大きな契機となるものでございます。
 経済波及効果の試算について申し上げますと、まず、インフラ整備を除く需要の増加として、第一に、競技施設や選手村などオリンピック施設に係る民間資金を含めた資本投資が四千九百億円、第二に、大会運営費及びテレビや記念グッズの購入、観客の宿泊などの消費支出が約七千八百億円、これらを合わせて合計一兆二千七百億円を見込み、東京都産業連関表を使って試算したものでございます。
 これらの需要増加は、開催地の東京都内にとどまらず、日本全国の個人や中小企業にも波及して、生産を誘発し、雇用の創出をもたらします。
 試算の結果を生産誘発額で見ますと、東京都内では約一兆六千億円、東京以外の地方では約一兆二千億円、合わせて全国で最低約二兆八千億円となり、これは、ただいま申し上げました需要増加額の二・二倍の効果となります。
 こうしたさまざまな効果をわかりやすく都民、国民に伝えていくことは、ご指摘のように、招致に向けた機運を盛り上げていく上で極めて重要なことと認識しております。
 これまでも、開催意義や効果などを特集した「広報東京都」の発行、リーフレットの作成、さらにはさまざまなイベントや講演会でアピールをしてまいりました。今後も、わかりやすく説得力のあるPR活動を展開し、支持の拡大を図ってまいります。


質問2
 最後に、東京招致実現に向けてさまざまな手を打たれている石原知事の今後の戦いに向けての力強い決意を伺い、私の質問を終わります。ありがとうございました。

答弁2
知事
 オリンピック・パラリンピックについてでありますが、来年の十月の開催都市決定までいよいよ十カ月を切りました。ライバル都市もそれぞれ、みずからの強みをアピールしてこれからの戦いに臨んでまいりますが、東京は、人類を脅かす地球環境問題の解決と平和な社会づくりに貢献するとともに、成熟した大都市の中心において、世界一コンパクトで、かつ日本の最先端技術と豊かな文化を体現した、今までに比類のないオリンピックを実現する自信もございますし、そのつもりでおります。それをこれからも積極的に訴えてまいりますが、今までの過程でも、多くのIOCの委員からも、東京は非常にいい、安全で安心だという評価も得ております。これは外交の上のリップサービスかもわかりません。どうも日本の外交は、その裏のことを察知したり想定することが下手でありますが、とにかくいずれにしろ、そういった評価も踏まえて、これからの招致活動では我が国の総力を挙げてIOC委員への働きかけを強めていくとともに、世論の一層の盛り上げを図っていきたいと思っております。ぜひ共産党にもオリンピックには賛成していただきたいと。
 そして、希薄になった人々の絆を取り戻し、自信を失いかけているこの日本に元気を取り戻したいと思っております。都議会初め都民、国民の皆さんに、より一層力強いご支援、ご協力をお願いする次第であります。

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