三宅茂樹(自民党)
質問1
平成二十年第四回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。
アメリカ発の金融危機が世界を駆けめぐり、百年に一度といわれる経済不況に陥っております。アメリカの自動車大手ビッグスリーの危機が伝えられ、これまでの金融危機から、実体経済にも影響が及ぶ段階となり、経済不況の影響は、さらに深く広く波及しています。
日本も例外ではなく、原油高は若干の落ちつきを見せていますが、社会経済活動の減速は、企業収益の減少や雇用環境の悪化、金融機関の貸し渋りなど、中小企業経営や都民生活に大きなダメージを与えています。
我が党は、こういうときにこそ、都民に希望と安心感を与える積極的な対応が必要と考え、中小企業への資金繰り対策や受注機会の増加策、雇用創出策など、追加の緊急対策を要望いたしました。これを受けて、都は直ちに東京緊急対策Ⅱを策定しました。
この緊急対策は、我が党の要望どおり、都民の不安を解消し、中小企業の困窮に手を差し伸べるものとなっており、大いに評価できます。都としても、その執行に万全を期していただきたいと思います。
そこで、都民、国民の不安を正面から受けとめ、緊急対策を取りまとめた知事に、今回の緊急対策の基本的考え方について伺います。
答弁1
知事
緊急対策の基本的な考え方についてでありますが、日本経済は、米国発の金融危機に端を発した企業業績の低迷、それによる雇用環境の悪化、消費の落ち込みという負の連鎖に陥っておりまして、都民生活もまた大きな危機に直面しております。
景気対策は一義的には国の責任でありますが、都政を預かる者としては、都民の不安を正面から受けとめ、厳しい状況の中で懸命に努力している都民に、この危機を乗り越えるための具体的な手だてを示し、一刻も早く実行することが必要であると判断いたしました。
このため、中小零細企業の、特に小零細企業の資金繰りへの緊急支援や、受注機会の拡大、雇用確保対策、生活の困難に直面している都民への自立支援など、現場を持つ強みを生かした施策を、第二弾の緊急対策として打ち出しました。国に先駆け、これらの実効性の高い施策を展開することで、都民とともにこの危機を克服し、東京の将来に目を向けた確かな歩みを進めていきたいと思っております。
質問2
この経済状況の悪化は、今後の都政にとっても新たな課題をもたらすことになります。それは、景気のさらなる後退と法人事業税の一部国税化の暫定措置とが相まって、都税収入の大幅な減少が見込まれる中、都民生活や中小企業を守る施策と、将来の東京をつくり上げていく施策の両方に取り組んでいかなければならないということです。
このような状況の中、都は、九月補正に引き続いて、さらに今定例会でも実質五百八億円の補正予算を提案し、現在編成中の二十一年度当初予算とあわせ、緊急対策を積極的に展開することとしています。
そこで、予算編成中の知事に、今後ますます厳しくなるであろう財政環境の中で、都政の課題にどう取り組んでいくのか、決意を伺います。
答弁2
知事
都政運営についてでありますが、景気が悪化する中、都税収入の大幅な減が見込まれておりまして、都財政もまた厳しい局面に直面することになります。しかし、こうした状況の中においてこそ、都政には、現下の都民生活が直面する課題に適切に対応するとともに、将来の東京をつくっていくための歩みを着実に進めることが求められておりまして、これこそが都政が果たすべき役割であると思っております。
そのためには、財政再建で培ってきた財力の対応力を十分に発揮しなければならないのはもとよりでありますが、同時に、改めて気を引き締め、みずからを律する気概を持って今後の財政運営に臨むことが必要であると思います。
平成二十一年度予算は、こうした観点に立ちまして、今年度の二度にわたる補正予算と一体のものとして編成し、これを原動力として都政の諸課題に積極果敢に取り組んでいきたいと思っております。
質問3
現在のように社会経済状況が大きく変化する中にあっては、財政運営のあり方が改めて問われることになります。今回の補正予算の財源は、その多くが都債の発行と財政調整基金の取り崩しであります。そして、これらの財源は財政再建で培ってきたものであります。
知事が述べてきたように、財政再建とは、今日のような社会経済状況の変化に対応し、都民の切なる要望にこたえ、東京独自の先進的な施策を継続的に展開できる基盤を確立するという前向きな取り組みです。これまで、知事と我が党が一体となって財政再建に積極的に取り組んできたからこそ、都民を守る補正予算を迅速に組むことができたわけであります。
これからの財政運営には、税収が減少していく中でどうやって工夫していくのか、また、都民の要望を的確にとらえた効果的な施策をどう展開していくのかという、複合的な経営感覚が求められます。
そこで、これから財政状況が一層厳しくなる中にあって、中長期的な東京の都市づくりを進め、都民の切実な要求に的確にこたえるために、どういう観点で財政運営を進めていくべきか、所見を伺います。
答弁3
財務局長
今後の財政運営についてのご質問にお答えいたします。
都財政は、法人事業税の暫定措置の影響に加えまして、景気後退に伴う都税収入の大幅減により、今後、相当厳しい局面に直面していくものと覚悟いたしております。
こうした財政環境のもとにあっても、いかにして都民が直面する危機に迅速、的確に対応し、同時に、東京の将来を見据えた施策を着実に推進していくか、これに万全を期することが今日の都の財政運営に課せられた役割であると認識いたしております。
そのためには、まず、財政再建の中で培ってきた都債の発行余力や基金など、財政の対応能力を十分に活用することが求められます。同時に、想定される厳しい環境を踏まえれば、みずからをしっかりと律して経費のむだを徹底してなくす努力を行うこと、あるいは、施策の目的を最少のコストで達成できるよう事務事業の不断の見直しを行うこと、さらに、新公会計制度などを活用して中長期的な視点から施策の効率化を図ることなどが、従来にも増して重要になってまいります。
今後、こうした観点に立ちまして、現下の喫緊の課題と東京の将来を築いていく課題、これら二つの課題への都政の取り組みを財政面から支える対応能力を継続的に確保していけますよう全力を挙げてまいります。
質問4
次に、固定資産税などについて伺います。
第三回定例会の我が党の代表質問で、固定資産税、都市計画税額等の著しい上昇に対しては、都民や中小企業に配慮し、何らかの緩和措置を講ずるべきとの問いに対し、主税局長より、適切な負担調整措置を講じることを国に要望するとの答弁がありました。
そこで、平成二十一年度の土地の固定資産税評価額の動向と、国に要望するとした負担調整措置の状況について、改めて伺います。
答弁4
主税局長
固定資産税評価額と負担調整措置についてでございますが、平成二十一年度におけます二十三区内の土地の固定資産税評価額につきましては、現在算定中でございます。しかしながら、都心部等を中心に二十三区のほぼ全域において評価額が上昇する見込みでございます。
都といたしましては、既に、土地の評価額が大幅に上昇する場合には、適切な負担調整措置を講ずるよう国に対して要望しているところでございます。現在、自民党税制調査会において議論されていると聞いており、引き続き税制改正の動向を注視してまいります。
質問5
さきに述べたとおり、特に経営基盤の脆弱な中小企業者は、急速に経営状況が悪化しており、これまで以上に重い税負担感を持っています。そこで、都民の税負担感に配慮し、都独自の固定資産税等の三つの軽減措置については継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
答弁5
知事
固定資産税等の軽減措置についてでありますが、都はこれまで、商業地等の負担水準の不均衡是正、中小企業支援、都民の定住確保などの観点から、固定資産税等について、負担水準の上限引き下げや、小規模非住宅用地に対する減免措置など、都独自の三つの軽減措置を実施してまいりました。
来年度の取り扱いについては、社会経済状況の変化や景気の動向などを踏まえつつ、中小企業者などの税負担を十分に勘案しまして、今後、積極的に検討していきたいと思っております。
質問1
次に、防災対策について伺います。
本年五月には中国四川省で、六月には岩手・宮城内陸部と、大規模な地震が発生しました。首都東京においても直下型地震の切迫性が高まっており、地震による被害を最小限に抑えるための事前対策を強化していくことが喫緊の課題であります。
都は、首都直下地震発生時において事業継続を図るため、このたび、都政の事業継続計画を策定し、発災直後に発生する応急活動業務や、医療や介護など優先すべき通常業務を選定した上で、必要な人員や情報通信手段の確保などの課題とその対策を明らかにしました。
本計画に盛り込まれた対策が確実に実施され、計画の実効性を確保していくために、今後、都はどのように都政の事業継続計画を推進していくのか、伺います。
答弁1
総務局長
震災時におけます都政の事業継続についてお答えいたします。
優先すべき重要業務を震災時において確実に実施するためには、必要な体制づくりを全庁的に推進していくことが重要でございます。このため、現在、都政の事業継続計画、いわゆるBCPでございますが、これに基づきまして、災害時の対処方針を詳細に定める危機管理マニュアルを各局で見直しており、具体的な人員体制や作業手順等を年度内に明らかにしてまいります。
また、事業継続に支障を来す停電時の対応として、先月、石油供給団体と協定を締結し、災害拠点病院など重要施設における非常用発電機への燃料補給体制を整備いたしました。
今後とも、都民の安全確保や都市機能の維持に向けまして、全庁を挙げて計画を推進してまいります。
質問2
気候変動は、地球規模の問題であると同時に、私たちの暮らしに密接にかかわる身近な問題でもあります。
東京においても、妙正寺川や善福寺川に甚大な被害をもたらした平成十七年九月の集中豪雨や、境川などに多数の浸水被害をもたらした平成二十年八月末豪雨を初めとして、近年、大規模な集中豪雨が頻発しています。これらは地球温暖化による気候変動が原因とも考えられており、東京の現在の治水対策ではまだまだ十分とはいえません。
知事はかねてより、治水は政の根幹をなすものであるとの見解を示しています。
都は、東京の中小河川について、一時間五〇ミリの降雨に対応する対策を進めていますが、気候変動の影響も踏まえ、より高い水準の治水対策に移行すべきと考えます。
そこで、中小河川の今後の治水対策のあり方について、都の考えを伺います。
答弁2
建設局長
中小河川における今後の治水対策のあり方についてでありますが、都民の命と暮らしを守るためには、局地的集中豪雨の増加など気候変動の影響も考慮した河川の整備を進めることが重要であります。
具体的には、現在実施中の五〇ミリ対策のスピードアップを図ることはもとより、豪雨対策基本方針に基づき、神田川や古川など対策を促進すべき河川の整備を重点的に進めてまいります。
さらに、C40気候変動東京会議において確認された気候変動に対する治水対策の重要性を踏まえ、東京都技術会議における議論を経て、既往最大の被害をもたらした狩野川台風における七五ミリ降雨も視野に入れ、治水対策のあり方について検討してまいります。
今後とも、安全で安心なまち東京の実現を目指し、気候変動にも対応できる治水対策の推進に全力で取り組んでまいります。
質問3
次に、周産期医療について伺います。
本年九月と十月に多摩や区東部で起きた妊婦の出産をめぐる痛ましい事態は、医師や医療機関が多い東京都で、幾つもの病院が受け入れできなかった点において、都民に大きな不安を与えました。
産科や小児科の医師が減り、現場の医師たちが限界ぎりぎりの激務に耐えながら頑張っている中、現場の工夫だけでは解決策を見出し得ない問題であります。
この問題の根本は医師の不足であり、医師が診療科によって偏在していることです。国がこのことを放置してきた責任は大きいといわざるを得ません。まず、国が有効な方策を早期に打ち出すべきと考えますが、人材を育成し、安定的に供給するには、ある程度の時間がかかります。
今回の事態は、産科医不足などの影響が周産期母子医療センターにも及び、最後のとりでとしての機能を十分に発揮できない状況が招いたものと思います。このような事態が発生したことを重く受けとめ、知事は、東京都周産期医療協議会を緊急開催するとともに、東京都医師会長にも緊急の取り組み要請を行いました。
そこでまず、都内でこのような事態が発生したことについて、知事の所見を伺います。
答弁3
知事
妊婦の出産をめぐる痛ましい事態についてでありますが、このたびのような不幸な結果となったことは極めて残念でありまして、亡くなられた方のご冥福を心からお祈りを申し上げます。
現場の医師は、骨身を削りながら日夜頑張っておりますが、問題の根底にあるのは医師の不足でありまして、ようやく国は医師の養成定員をふやすこととしましたが、現下の課題に対して即効性のある対応が必要であると思います。
都としては、独自の緊急対策を講じるとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会に、早速現場の実情を踏まえた対策の取りまとめをお願いしてまいりました。
また、庁内でこの問題に関して庁内横断の組織を設置しまして、都民の視点からの検証を行っております。
都立病院においては、産科医確保に向けた処遇改善に取り組むとともに、NICUの増床など周産期医療体制の強化を図ってまいります。
こうした重層的な取り組みを通じて、一刻も早く都民が安心できる周産期医療体制を確保していくつもりでございます。
質問4
また、東京緊急対策Ⅱで周産期医療の強化を図ることとし、その事業が補正予算にも盛り込まれています。こうした事業の意義や効果について所見を伺います。
答弁4
福祉保健局長
周産期医療対策に関しまして、東京緊急対策Ⅱに示した事業の意義や効果についてでありますけれども、周産期医療緊急対策は、地域の中核である周産期母子医療センターの機能強化を図るとともに、地域でセンターを支援する仕組みを構築するものでございます。具体的には、センターにおける搬送調整の円滑な実施に向けた看護師等の増配置や、二十四時間緊急手術等に対応できる体制の整備、さらにはミドルリスクの妊婦に対して緊急診療を行う周産期連携病院の確保などを行ってまいります。
都としては、これらの緊急対策に着手するとともに、東京都周産期医療協議会や東京都医師会の検討を踏まえて、周産期医療体制の強化に全力を挙げて取り組んでまいります。
質問5
周産期医療は、行政的医療として重要な分野ですが、とりわけ今回は、そうした役割を担うべき都立病院で起きた事例であります。都立病院としてみずからの責任と役割を確実に果たすためには、都立病院医師の一層の処遇改善を検討し、根本的課題である医師確保に当たらなければなりません。
こうした取り組みとあわせて、今回打ち出されている緊急対策を含め、今後、都立病院として周産期医療をどのように充実させていくのか、所見を伺います。
答弁5
病院経営本部長
都立病院での周産期医療の充実に向けた取り組みについてお答えいたします。
今回の墨東病院の母体搬送事案は、行政的医療を担う都立病院として大変重く受けとめており、改めてその使命の重大さを痛感しております。
このため、緊急対策として、産科診療協力医師登録制度や助産師等コーディネーターを創設し、都立病院でのハイリスク患者の搬送、受け入れ体制を強化するとともに、産科への医療クラークの配置や院内保育室の充実等により、医師の勤務環境の改善を図ることといたしました。
また、墨東病院においては、来年一月から新生児集中治療管理室、いわゆるNICUの稼働を三床増床することといたしました。
一方、根本的には、ご指摘のとおり、産科医師の確保が課題であり、その解決のためには、今年度行った給与面の大幅な改善などに加え、さらなる処遇改善を図る必要があると考えており、早急に検討を行ってまいります。
こうした取り組みを通じて産科医師の確保に全力を挙げるとともに、都議会を初め関係者の皆様のご協力も得て、都立病院として周産期医療の充実に精力的に取り組んでまいります。
コメント
今、東京都周産期医療協議会では、妊産婦の救命が必要な場合に必ず受け入れる、いわばスーパー総合周産期母子医療センターの整備が議論されていると聞いています。妊婦さんの不安を解消するには、ぜひとも必要な取り組みであると考えています。都としても、これを含め、周産期医療施設の整備及び医療人材の確保に向けて積極的に取り組むことを強く要望しておきます。
質問6
次に、医師の確保対策について伺います。
医師の不足により、今や多くの病院では運営が困難な事態に陥っており、中でも多摩・島しょ地域は深刻な状況であります。
我が党は第三回定例会において、都が大学医局にかわって公立病院に医師を派遣することを提案しました。それを受け、都は、東京都地域医療支援ドクター事業を創設し、公立病院などへの医師派遣制度を打ち出しました。
ところで、この新たなシステムが十全に機能するためには、地域医療支援ドクターに派遣する人材の確保がかぎとなります。そこで、手を挙げる医師にとってどのような魅力がある事業なのか、伺います。
答弁6
福祉保健局長
東京都地域医療支援ドクター事業についてでありますが、この事業は、多摩・島しょの公立病院等を支援し、地域医療を確保するものであります。医師を常勤の都職員として採用し、医師不足が深刻な多摩・島しょの公立病院等に一定期間派遣するものでありまして、地域医療への貢献に意欲を有する、医師歴五年以上の医師を対象とし、募集を行っております。
お尋ねの、医師にとってのこの事業の魅力は、派遣勤務以外の期間に、医師本人の希望する都立病院等において、専門医、指導医等へキャリアアップできる研修が受けられることなどでございます。
質問7
次に、福祉施設の運営安定化対策について伺います。
福祉施設は、介護保険や障害者自立支援法などの公的に定められた報酬などにより運営されており、福祉サービスの対価を施設みずからが決めることはできず、努力による収入の増加や経費の圧縮には限界があるのが実態です。
さきの物価高騰により運営費がかさみ、経営の圧迫に拍車をかけていると聞いています。
そこで、今回の補正予算に盛り込まれた福祉施設経営改善のための特別融資制度の創設の意義について伺います。
答弁7
福祉保健局長
福祉施設への特別融資についてでありますが、福祉サービスに対する国の報酬等が大都市の実情を反映していないことや、昨今の物価高騰などもあり、福祉施設は厳しい経営環境にあります。
加えて、米国の金融市場の混乱に端を発しました世界的な経済危機は、国内にも深刻な影響を与え始めております。こうした経済情勢の急変を踏まえて、福祉施設の当面の経営不安を解消するとともに、あわせて経営基盤の強化を図るという観点から、緊急に都独自の融資制度を創設するものであります。
質問8
次に、繁華街などの防犯対策について伺います。
第三回定例会におきまして、我が党の代表質問に対し、知事からは、有識者会議を設置し、その検討結果を踏まえ、対策の充実強化を図るとの答弁がありました。
繁華街などの防犯対策の充実強化のためには、都、区市町村と地域住民、事業者など、それぞれの役割を明確にし、連携して取り組んでいくことが重要であります。そのためにも、実効性を担保する方策を都民に示すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁8
青少年・治安対策本部長
繁華街等の防犯対策についてでありますが、繁華街等を、人々が安心して集い、憩うことができる安全な場所とすることは、世界一安全で安心な首都東京を実現していく上で不可欠であります。現在、有識者会議におきまして、繁華街等の防犯対策に関し、取り組み体制や防犯設備等の整備のあり方、関係機関、団体等の連携の重要性などとともに、その根拠を明確化することの必要性について議論されております。
都といたしましては、有識者会議の審議の結果を踏まえ、繁華街等の防犯対策をより実効性のあるものとするため、東京都安全・安心まちづくり条例に、新たに繁華街等における安全・安心の確保に関する規定を設けることも検討してまいります。
質問1
次に、中小企業対策について伺います。
現下の厳しい経済情勢に対応するため、政府は、第一弾として、安心実現のための緊急総合対策に基づく補正予算を編成し、原材料価格の高騰に苦しむ中小企業を支援する緊急保証制度を十月三十一日から開始しました。
我が党は、この新たな保証制度創設を検討する政府の動きにいち早く対応し、より多くの東京の中小企業が利用できる内容とするよう、国に対する中小企業支援に関する緊急要望書を提出しました。また、私も幹事長とともに中小企業庁長官に直接面会し、印刷業、小売業、飲食業などの業種を幅広く指定するよう申し入れました。これを受けて、緊急保証制度を利用できる指定業種が、それまでの百八十五業種から、六百九十八業種へと大幅に拡大されました。
都も、この間、より多くの中小企業が緊急保証制度を十分に活用できるよう努力をしてきたと思います。そこで改めて伺いますが、都の独自の取り組みとしてどのようなことを実行してきたのか、また、今後どのように対応していくのか、所見を伺います。
答弁1
産業労働局長
緊急保証制度の活用に向けた取り組みについてでありますが、十月三十一日に開始されました国の緊急保証制度に対応して、都は、制度融資に最優遇金利を適用いたしました融資メニューであります経営緊急を新たに設置いたしますとともに、特に小規模企業者には保証料の二分の一を補助する、都独自の対応を行っております。
また、緊急保証制度において、東京の産業集積を幅広くカバーする業種指定が行われるよう、電気メッキ業や印刷業、ビルメンテナンス業等のサービス業など、幅広い業種の追加指定を求め、国に緊急提案要求を行ってきておりまして、この間、大幅な指定業種の拡大を実現いたしました。
さらに、本定例会に補正予算を提案いたしまして、経営緊急融資の目標額の拡大に対応するなど、中小企業の資金調達の一層の円滑化を図ってまいります。
質問2
緊急保証制度の受け付け開始後、認定業務を担当する区市町村の窓口には中小企業者からの申し込みが殺到し、認定事務のおくれが生じました。待ち時間が数時間に及んだなどとする不満の声が我が党にも多数寄せられました。一方、自治体の窓口では、昼間何とか受け付けをこなした後、夜間、休日の作業で認定事務を処理する状態が続いたとも聞いています。
緊急保証制度の入り口である認定事務がおくれては、年末、年度末に向けて高まる中小企業の資金需要にこたえることができません。
こうした事態を避けるため、我が党は、十一月七日、認定と融資の実行を着実かつ迅速に進める措置を講じるよう、知事に対し、緊急要望いたしました。これを受けて、都は、融資相談や認定実務に当たる専門家として中小企業診断士を区市町村に配置する支援策を、要望のわずか一週間後から開始しました。
そこで伺いますが、この支援策の進捗状況、並びに資金需要の高まる年末に向け、東京信用保証協会の審査体制を含め、今後の対応について伺います。
答弁2
産業労働局長
緊急保証制度の年末に向けた対応についてでありますが、緊急保証制度の利用には区市町村長の認定が必要であります。多数の申請が一時期に集中をいたしまして、多くの自治体に事務処理のおくれなどが生じたところでございます。このため、都の経費負担で、中小企業診断士を自治体に配置いたします緊急対策を開始いたしまして、これまで要望のありました三十二の自治体に配置をしたところであります。
また、東京信用保証協会におきましても、増員配置や休日の対応など、審査体制の強化を図っているところであります。
資金需要の高まる年末に向けまして、中小企業診断協会東京支部や信用保証協会といった関係機関としっかりと連携をしながら、引き続き適切に対応をしてまいります。
質問3
さて、一方、数次にわたる指定拡大によって、緊急保証制度の対象業種は拡大していますが、その一方で、企業体力の弱い小規模企業は、業種を問わず、景気後退の影響をまともに受けて苦しんでいます。緊急保証制度の不況業種を手厚く支援することも重要ですが、小規模企業者については、業種を限定することなく、苦しい資金繰りを支援する特段の配慮を行うべきですが、所見を伺います。
答弁3
産業労働局長
小規模企業者の資金繰りへの支援についてであります。
景気後退によりまして、多くの中小企業が資金繰りに苦しむ中、企業体力が弱い小規模企業者は特に大きな影響を受けております。都は、小規模企業者を対象に、業種を問わず全部保証を行う小口資金融資による支援を行ってまいりましたが、今般の厳しい情勢を踏まえまして、本定例会に補正予算を提案いたしまして、小口資金融資の利用者に対する信用保証料の二分の一を補助する支援策を新たに導入することによりまして、小規模企業者に対する資金調達支援を一層強化してまいります。
質問4
今回の金融危機は、金融機関にも大きな影響を及ぼしています。中でも、大手金融機関と比べて体力の弱い信金、信組といった地域金融機関が、より大きなダメージを受けているといわれています。
こうした地域金融機関は、顔の見える融資で企業を支えており、その役割は今後一層重要性を増していくものです。目の前の事業資金の調達に苦しみ、多くの中小企業が倒産の危機に瀕している中で、血液ともいえる資金を供給する地域金融機関がしっかりとすることが、まさに喫緊の課題となっています。
都は、こうした現状を踏まえ、東京の中小企業を守るため、都の制度融資でも重要な地位を占めている地域金融機関との連携を強化し、資金調達の円滑化を図っていくべきだと考えますが、所見を伺います。
答弁4
産業労働局長
中小企業の資金調達の円滑化に向けた地域金融機関との連携についてであります。
信金、信組などの地域金融機関は、都制度融資における貸出金額の半分を占めるなど、中小企業金融において重要な役割を果たしていると認識をしておりまして、厳しさを増す金融環境の中で、地域金融機関が持つ中小企業への資金供給機能の安定とさらなる強化が求められていることはご指摘のとおりであります。都といたしましては、今後とも、各種融資制度の充実と円滑な運営を図るとともに、地域金融機関との連携を強化いたしまして、中小企業の資金調達の円滑化に万全を期していく所存であります。
質問5
また、こうした支援策だけでなく、都内中小企業が確固たる経営基盤を維持していくためには、その経営力の一層の強化と生産性の向上を図っていくことが不可欠です。
都内には、商工会議所や商工会を初め、日ごろから各地域において個々の中小企業経営者を熟知し、きめ細かに支援する中小企業支援機関があります。まさに国難ともいえる状況に直面している都内中小企業を救うには、これらの支援機関が持てる力を結集し、一刻も早く中小企業全体の経営力の底上げに当たるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁5
産業労働局長
中小企業の経営力の向上についてであります。
極めて厳しい経営環境にある都内中小企業が、収益を確保して存続、成長を図っていくためには、制度融資の拡充等に加えまして、企業の現場に精通した都内中小企業支援団体が連携を強化して、中小企業の経営改善に一丸となって取り組むことが必要であります。このため、都は、新たに、中小企業振興公社や商工会議所、商工会などとともに、中小企業の経営力向上に向けた推進委員会を立ち上げ、中小企業が抱えるさまざまな課題に応じて、収益向上に資する経営改善指導や各種経営支援策を複合的に展開するなど、中小企業の経営力の向上をきめ細かく支援をしてまいります。
あわせまして、共同設備の導入等、単体では取り組むことが困難な経営改善活動を実施しようとする中小企業のグループに対しましても、専門家を派遣して経営改善計画の策定を支援してまいります。
これらの施策を展開することで、都内中小企業の経営力を着実に向上させてまいります。
質問6
一月から十月までの都内の企業倒産件数は、昨年同期比一三%増の約二千四百件となり、従業員約三万人が働く場所を失いました。現下の経済状況を勘案すると、倒産件数がさらに増加するのではないかと懸念されます。
とりわけ中小企業は、取引先の倒産によって甚大な影響を受け、最悪の場合には、共倒れにとどまらず、さらなる倒産を誘発する、いわゆる連鎖倒産という悪循環に陥るおそれがあります。
そこで、今回提案された中小企業倒産防止共済制度への加入促進策の意義について所見を伺います。
答弁6
産業労働局長
中小企業倒産防止共済制度への加入促進策の意義についてでございます。
取引先の倒産による影響を受けた中小企業に対しまして、資金繰りが逼迫しないよう手だてを講じて連鎖倒産を防止することは、中小企業のセーフティーネット策として喫緊の課題と認識をしております。中小企業倒産防止共済制度は、加入をしている中小企業の取引先が倒産した場合、無担保、無保証で共済金の貸し付けを受けられるため、連鎖倒産の防止策として大変有効でありますとともに、企業の信用力向上にもつながるものであります。
このため、都は緊急対策として、都道府県では初めて、原則、同共済に新規加入する都内中小企業に対し、六カ月分の掛金の四分の三、最大三十六万円を助成し、加入を促進することといたしました。本事業を通じて、中小企業が安心して取引できる環境の整備に努めてまいります。
質問7
中小企業の緊急支援には、資金繰りの確保とあわせて、仕事量の確保も重要です。特に公共工事を担う建設業などにおいては、資材価格の高騰などにより、経営環境は急激に悪化しております。中小企業の受注確保は喫緊の課題であり、我が党も、工事発注量の確保について業界団体から強い要望を受けております。
東京緊急対策Ⅱにおいては、中小企業向け公共工事の年度内発注量の増大などが示され、補正予算案には、道路や公園における維持工事の追加発注などが計上されています。
中小企業の受注拡大を図るため、どのように取り組まれるのか、伺います。
答弁7
建設局長
補正予算案における道路などの維持工事への取り組みについてでありますが、都市基盤施設を適切に維持管理して、より良好な状態に保ち、その機能を十全に発揮させていくことは、円滑な都市活動と都民生活を支える上で極めて重要であります。その際、維持管理の工事を施工するに当たっては、地域の状況を熟知し、現場条件に的確に対応できる中小企業を活用し、支援、育成を図っていくことが肝要であると考えております。
今回の補正予算案では、地元に密着した中小企業の施工に適した道路、河川、公園の維持工事を計上し、当初予算に追加して実施することといたしました。
あわせて、債務負担行為を活用し、工事の発注を前倒しして行い、年度末から翌年度初めにかけての工事量を確保することで、工事の平準化と事業効果の早期発現を目指してまいります。
このような取り組みを通じて、地域や都民のニーズにこたえられる維持工事が確保され、技術力を持った中小企業の活用が図られていくものと考えております。
質問8
次に、雇用対策について伺います。
厚生労働省の調べによれば、本年十月から来年三月までに失業し、あるいは失業する見通しの非正規労働者が全国で三万人にも上るとのことであり、都内においても、有効求人倍率が低下を続けるなど、日増しに雇用情勢が悪化しております。
そこで、こうした厳しい雇用情勢に対する都の認識とその対策を伺います。
答弁8
産業労働局長
厳しい雇用情勢への対応についてでありますが、都内の有効求人倍率や失業率は急激に悪化をしておりまして、特に非正規労働者については、厚生労働省の調査によりますと、都内でも一千人に上る影響が出るとされておりまして、早急な対応が必要となっております。
このため、都では、東京緊急対策Ⅱに雇用対策を盛り込み、都が直接実施する事業と区市町村が地域の実情に応じて実施する事業を合わせ、延べ五十万人分の公的雇用の創出に取り組むことといたしました。
また、こうした厳しい雇用情勢に対応するには、関係機関が密接に連携する必要があり、今月五日、都と国が共同で緊急雇用対策本部を設置したところであります。
今後、経済団体に雇用の維持や求人を働きかけてまいりますとともに、非正規労働者や内定取り消し者に対する特別相談会の開催など、効果的な雇用対策を実施してまいります。
質問9
次に、商店街における屋外広告物についてお尋ねします。
商店街は、地域住民の消費生活を支えるとともに、地域コミュニティの核として重要かつ公的な役割を担っています。一方で、その商店街は、空き店舗の増加や後継者不足などの課題を抱えています。
商店街がこのような課題の克服に意欲的に取り組んでいくためには、商店街を活性化し、その財政基盤を強化することが重要です。その方法の一つとして、商店街の街路灯に企業広告を出すことで得た収入を、商店街の活性化の取り組みに充てることが考えられます。
そこで、お尋ねいたします。商店街の自主的な活性化の取り組みを支援するため、屋外広告物を活用した仕組みを整備すべきと考えますが、所見を伺います。
答弁9
都市整備局長
屋外広告物を活用した商店街活性化についてでございます。
屋外広告物は、まちの案内や商品に関する情報を提供するだけでなく、地域の活性化やにぎわいの創出とともに、街並み景観を形成する重要な要素でもございます。一方、地域コミュニティの核となる商店街は、防犯や美化など、地域における公益的な役割を担っております。こうした商店街が街路灯広告により得た収入を活用することは、商店街の活性化やその財政基盤の強化とともに、商店街による公益的活動や景観向上の取り組みにも寄与するものと考えております。都といたしましては、商店街の取り組みを支援するため、関係部局との連携のもと、広告物を活用した新たな商店街活性化の仕組みづくりを進めるとともに、屋外広告物規制の弾力的な運用を検討いたします。
質問1
次に、環境対策について伺います。
本年十月に世界三十二都市の実務者を集めて開催されたC40気候変動東京会議は、大都市の国際会議として初めて適応策について議論をし、さらに十三の共同行動を立ち上げました。地球環境の危機に対し、都市が国に先駆け具体的な行動を開始したことは、真に意義深く、会議を主宰された知事に敬意を表します。
知事は記者会見で、来年のコペンハーゲン会議で、C40が国家を動かすアピールをすべきと主張されました。そこで、今回の会議の意義をどのようにとらえ、地球温暖化阻止に向け、今後どのように国家を動かしていくのか、知事に決意を伺います。
答弁1
知事
C40気候変動東京会議の意義と今後の対策についてでありますが、地球温暖化は、今後数年のうちに徹底した対策を講じなければポイント・オブ・ノーリターンを過ぎるにもかかわらず、各国政府はその責任を一向に果たしておりません。我が国でも、京都議定書の目標達成には、今後九・三%の温室効果ガスの排出削減を要するとの事態になっていながら、政府の腰は余りにも重い現状であります。
今回の東京会議では、国家の動きが緩慢な中、現場を預かる大都市が立ち上がりまして、十三項目の具体的な共同行動に踏み出したことに大きな意義があると思います。先般の総会のように、首長が集まって危機感ばかりを披瀝するだけでは何にもなりませんので、こうした専門家の会議をあえて東京で招致しました。
私は、C40議長のトロント市長に対して、京都議定書に続く新たな枠組みを決めるCOP15・コペンハーゲン会議において、我々参加都市の実績と行動を強力にアピールし、国家を動かすべきと提案し、賛意を得ました。今後は、東京会議の成果を来年五月のC40・ソウルサミットにつなげ、環境先進都市東京としてリーダーシップを発揮していきたいと思っております。
質問2
都は、第二回定例会における環境確保条例の改正において、大規模事業所対策にとどまらず、中小規模事業所対策として地球温暖化対策報告書制度を盛り込みました。
都内の中小規模事業所においては、一部に省エネ対策の進んだ事業所もありますが、全体としては、やはり取り組みがおくれている状況にあり、最新事例を含む適切な省エネ対策を広めていくことが重要だと考えます。
都は、本年十月、小売、飲食業の店舗などの省エネ対策を強化する目的で、省エネ型営業スタイル推進協議会を設置したと聞きました。今後、この協議会での検討を中小規模事業所対策全体に広く生かしていくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2
環境局長
中小規模事業所の省エネ対策についてでございますが、東京におけるCO2排出量の大幅な削減を実現するためには、大規模事業所対策に加えまして、中小規模事業所対策の本格的な推進が必要でございます。このため、都は、排出量の増加率が特に高く、削減対策の強化が重要な小売、飲食業において、先進的な企業を中心に省エネ型営業スタイル推進協議会を設置いたしました。本協議会では、LED照明の活用や空調のきめ細やかな運用など、先駆的な取り組み事例を参加企業が共有するとともに、すぐれた省エネ対策のノウハウを小売、飲食業全体に普及拡大してまいります。
また、こうした取り組み事例を環境確保条例に基づく地球温暖化対策指針の策定にも反映し、中小規模事業所全体の対策を強化してまいります。
質問3
また、地球温暖化対策を進めるには、自動車からのCO2排出削減も重要です。そのためには、自動車の使用抑制を図るとともに、自動車を使用する場合には、低公害かつ低燃費な自動車を広く社会に定着させていくことが必要です。
自動車メーカーの積極的な技術開発により、来年度以降、電気自動車やプラグインハイブリッドなどの低環境負荷の次世代車が次々と発売される予定と聞いております。自動車からのCO2削減には、こうした次世代車の普及策を集中的に講じ、社会の大きなうねりとしていくことが求められています。
そこで、都として、幅広く民間事業者などと連携し、環境に優しい次世代車の普及に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
答弁3
環境局長
次世代自動車の普及促進についてでございます。
自動車から排出されるCO2を削減するためには、自動車交通量を減らすなど、車への過度な依存からの脱却を進めるとともに、自動車を使用する場合にあっては、より低環境負荷の車を使用することが不可欠でございます。特に電気自動車やプラグインハイブリッド車など、より低公害かつ低燃費な次世代の乗用自動車が来年度発売されるのを機に、その需要を早期に喚起し、利用促進を図っていくことが求められております。
都は、こうした次世代自動車の普及を社会全体のムーブメントとしていくため、自動車メーカー、電力会社、ユーザー企業、駐車場事業者など、さまざまな民間事業者や関係自治体等との連携組織を立ち上げまして、その活用や普及の方策などを検討し、次世代自動車の普及促進に積極的に取り組んでまいります。
質問4
また、温暖化対策を着実に進めていくためには、中小企業や家庭における省エネ促進が不可欠であり、補助制度や金融面の支援はもとより、税制を活用するなど、施策を総合的に講じていく必要があります。
東京都税制調査会も、先月、都の環境施策を支援するため、独自の政策減税を積極的に検討すべき旨の答申を行いました。
昨今の経済環境の中で、とりわけ中小企業は厳しい経営を迫られており、我が党が従来から要望してきた中小企業の省エネ促進税制を含め、都は環境減税を積極的に検討すべきと考えますが、所見を伺います。
答弁4
主税局長
都独自の環境税制についてでございますが、低炭素型都市の実現に向け、温暖化対策の強化は待ったなしの極めて重要な課題であり、税制の活用も有効な手法の一つであると考えております。
今後、お話の中小企業の省エネ促進税制を含め、都の環境施策を支援するための政策減税につきまして、関係局とも連携しながら積極的に検討し、できるところから速やかに実施してまいります。
質問5
次に、緑の保全と創出について伺います。
先般、自然環境保全審議会計画部会から、自然保護条例における緑化計画書制度及び開発許可制度の強化についての中間のまとめが発表されました。
我が党は、常日ごろより、東京を緑豊かな都市として再生することが、東京をさらに魅力的で快適な環境都市へと発展させていくことにつながると訴えてまいりました。
開発に際しても、都民、事業者、区市町村などと協働して、緑の保全と創出がさらに図られるよう取り組みを強化すべきであり、都民、事業者などの意見を聞きながら、自然保護条例における制度の充実強化などを図る必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁5
環境局長
緑の保全と創出についてでございます。
東京を緑あふれる都市として再生するためには、都民、事業者、区市町村等と協働し、緑の保全と創出に向けた取り組みをさらに推進していく必要がございます。
そこで、都は昨年十月、開発に際して、より一層既存の緑を保全し、新たな緑をさらにふやしていくため、開発許可制度及び緑化計画書制度の見直しについて自然環境保全審議会に諮問し、今般、中間のまとめをいただきました。
今後、都民や事業者等の意見を聞きながら、審議会の最終答申などを踏まえまして、緑化基準の強化や、既存樹木等の保全検討の義務化などの新たな仕組みを検討するとともに、事業者の積極的な取り組みを引き出し、制度の実効性を高めるための方策についてもあわせて検討してまいります。
質問6
次に、自然環境の再生を目指す取り組みである海の森について伺います。
海の森は、広大な土地に苗木を植樹し、ごみと残土の島を緑あふれる森林に生まれ変わらせ、水と緑の回廊の起点として整備する壮大な事業です。
五月以降、ノーベル平和賞受賞のマータイ氏らを招いた植樹会を開催し、さらに、先月には公募の都民による七千本の植樹を行い、都民の参加意欲はますます高まっています。一方、民間企業において、海の森植樹活動などを社会貢献の一環として取り組んでいるところがふえていると聞いています。
こうした中、海の森の整備に当たり、都民や企業、NPOとの協働を都としてどのように進めていくのか、伺います。
答弁6
港湾局長
海の森におけます都民等との協働についてのご質問にお答え申し上げます。
海の森では、この十一月に公募都民によります大植樹会を実施するなど、これまで、約一ヘクタールに、小学生がドングリから育てた苗木などを植樹してまいりました。
来年度からは、毎年四ヘクタール以上を植樹するなど、整備を加速させ、オリンピック・パラリンピック開催の平成二十八年には、海の森を代々木公園規模の森に育ててまいります。
また、今後は、樹木の成長に合わせた手入れや下草刈りなど、きめ細かな森の管理が重要となってまいります。このため、海の森づくりに強い意欲を持ちます都民や企業、NPOから成る海の森友の会を発足させ、これを核といたしまして広範な都民等への参加の輪を広げてまいります。
都は、海の森を、都民等と力を合わせて緑豊かな森に育てていくことで、環境都市東京を象徴いたします貴重な財産として次世代に引き継いでまいります。
質問7
次に、土壌汚染対策について伺います。
都民の健康と安全の確保はもとより、都市づくりや経済発展の面からも、土壌汚染対策が円滑に進められることは重要です。
都は土壌汚染対策を着実に進めてきましたが、中小事業者にとっては、土壌汚染対策の負担などが大きな課題となっています。このため、我が党は、合理的な土壌汚染対策を促進するために、土壌汚染現場の実態調査や汚染土壌に対する処理技術の低コスト化などが必要であると提案してきました。
先ごろ、こうした提案を踏まえて議論してきた都の総合支援対策検討委員会から報告が出されたと聞いていますが、都は、この報告を受け、今後どのように中小事業者の土壌汚染対策に取り組むのか、所見を伺います。
答弁7
環境局長
中小事業者の土壌汚染対策についてでございます。
中小事業者による土壌汚染対策を円滑に推進するためには、土壌汚染の調査や対策に係るコストを低減しつつ、確実に環境リスクを回避することが必要でございます。
このため、土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会では、対策手法や費用負担など、都内中小事業者における現状分析が行われ、都が取り組むべき施策の方向性が示されました。
今後、都は、この提言を踏まえまして、事業者による効率的な調査、対策が行われるよう、法や条例に基づく届け出情報の活用に向けた整備に努めるとともに、土壌汚染処理のガイドラインづくりに向けて検討し、現場の汚染状況等に即した合理的な対策を誘導してまいります。
質問8
次に、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策について伺います。
現在、技術会議において、民間事業者などから公募した二百二十一件に上る多数の技術提案についての評価、検証を進めていると聞いております。一口に土壌汚染対策といっても、土壌及び地下水の汚染物質の処理、市場施設開場後の地下水管理システムまで、求められる内容が多岐にわたっており、技術会議において、どのようにすぐれた対策を選定し、取りまとめられるかが大変注目されるところであります。
我が国は、環境分野においても、かつての公害問題を克服し、工場ばい煙の脱硫脱硝技術や水処理技術などは世界有数の技術力を有し、土壌汚染対策についても、さまざまな研究や技術開発が進められています。こうした中で、技術会議に寄せられた多数の技術提案については、我が国の最先端の環境対策技術が集結し、先駆的な事例になり得るものと期待するものであります。
今や、国内のみならず世界各地でも、工場跡地など、土壌、地下水汚染のため、手つかずに放置され、対策経費も重荷となり、開発が進まない未利用地が多く存在しています。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策は、我が国最大の規模であり、市場用地として食の安全が十分に確保され、実効性や経費の面でもすぐれた対策を講じることができれば、日本の環境技術の高さや信頼性を世界に広く発信することができるものと考えます。
今後、技術会議では、すぐれた対策を絞り込み、豊洲新市場予定地だけに限らず、国内外に広く紹介していくことも視野に入れながら、活用について検討していくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁8
中央卸売市場長
提案された土壌汚染対策の活用についてお答えいたします。
豊洲新市場予定地における土壌汚染対策を具体化するため、広く新技術、新工法の公募を行った結果、百二十事業者から二百二十一件に上る提案が寄せられました。その内容は、汚染土壌処理や地下水浄化、地下水管理システムなど、すべての分野にわたっておりまして、この中には、日本の高度な技術を駆使した提案も含まれてございます。
技術会議では、これらの提案のうちから、豊洲新市場予定地の土壌特性や汚染状況などにより、最適な技術、工法を選定するよう、現在、鋭意検討を進めております。
今回寄せられた提案の中には、汚染物質の種類や工事施工の条件などが異なる他の土壌汚染用地において活用が可能な技術、工法が数多くあるとされておりまして、これらは貴重な技術の集積であることから、国内外で深刻な影響を及ぼしている土壌汚染問題解決に広く活用されることが望ましいと考えております。
今後、提案者の技術資産の保護に配慮しながら、有用な技術、工法を広く紹介するよう、技術会議において具体的な内容、方法を検討してまいります。
質問1
次に、「十年後の東京」の実現に向けた都市づくりの取り組みについて伺います。
都は、平成十三年、都市づくりの基本的な方針である都市づくりビジョンを策定し、国を先導して、首都東京の再生を迅速、確実に推進してきました。しかし、近年、都市の温暖化対策など、都市づくりにおいて対応しなければならない新たな課題が生じております。さらに、区市町村や民間事業者が行う都市づくりについても、「十年後の東京」の実現に即したものとなるよう、適切に誘導していくことも重要です。
二〇一六年東京オリンピック・パラリンピックの招致を契機に、東京を整備し、二十一世紀の範となる首都東京を形成していくことが私たちの世代に求められております。こうした時代の要請を踏まえ、今後の都市づくりの方向を示すビジョンを改めて示す必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁1
都市整備局長
今後の都市づくりの取り組みについてでございます。
都は、平成十三年に都市づくりビジョンを策定し、三環状道路の整備や都心部の機能更新、空港機能の強化など、首都東京の再生を目指した取り組みを進めてまいりました。
今後は、低炭素型都市の構築、美しい景観の創出、建物の耐震化など、新たな時代の要請に対応した施策を強化するとともに、「十年後の東京」を踏まえ、地域の将来像や重点的に取り組むべきまちづくりの戦略を明らかにしていく必要がございます。このため、来年前半に都市づくりビジョンの改定案を作成し、公表してまいります。これをもとに、都民や区市町村、民間事業者とも連携し、オリンピック開催にふさわしい、さらに機能的で魅力ある東京の実現に取り組んでまいります。
質問2
景気が低迷する中、東京を再生していくためには、都心部の大規模な機能更新だけではなく、生活に密着した地域のまちづくりを進め、地域経済の活性化を図ることも必要です。区市町村からまちづくりの具体的な提案があった場合には、これにあわせて用途地域を迅速に見直すなど、地域の取り組みを速やかに受けとめ、支援することが重要であると考えます。
今後、都として、地域の多様なまちづくりの取り組みをどのように促進していく考えか、所見を伺います。
答弁2
都市整備局長
地域の多様なまちづくりの促進についてでございます。
お話のように、東京の再生を進めるためには、大規模な開発に加えて、商店街や住宅密集地域など、身近な地域のまちづくりを進めることが重要でございます。このため、都は、あらかじめ定めた街並み再生の方針を踏まえ、地権者等が共同建てかえなどを行う場合には容積率の緩和が可能となる街区再編まちづくり制度に基づき、地域が主体となる計画の事業化を支援してまいりました。来年度当初からは、小規模な街区単位の計画であっても、地域の意欲的なまちづくりが促されるよう、制度の規模要件を緩和することといたします。
今後とも、こうした取り組みを通じて区市町村と連携を図りつつ、地域の実情に合った魅力あるまちづくりを進めてまいります。
質問3
次に、道路整備や高速道路の料金施策の実施に向けた財源の確保について伺います。
道路整備の財源については、新たな経済対策に盛り込まれた一兆円の地方配分の具体策として、公共事業に幅広く使える交付金とする方針が打ち出されました。一方で、道路特定財源を、三位一体の改革に際し削減された地方交付税の穴埋めとして使うような動きもありますが、こうした道路財源をめぐる動きに対する知事の所見を伺います。
答弁3
知事
道路整備の財源についてでありますが、道路特定財源は、東京の最大の弱点である渋滞を解消するため、外環など三環状道路を初め幹線道路ネットワークの形成、あかずの踏切を解消する連続立体交差化など、日本の屋台骨を支える都市インフラ整備に投入されてきました。
道路特定財源が地方交付税化されたりしますと、不交付団体であります東京の道路整備は当然とんざしまして、致命的な影響が生じます。一般財源化にかこつけて、これまで無定見な削減を続けた地方交付税の穴埋めに使うようなことは筋違いでありまして、断固反対であります。
地方の道路整備に必要な財源は、恒久的な税源移譲、または税源移譲を前提とする交付金とすべきものでありまして、このことについて、先月二十七日、麻生首相にも直接会いまして、高速道路の料金施策の財源確保とあわせて要請し、今般、一兆円を新たな交付金とする方針が政府・与党で合意されました。
今後、さらに、道路整備に不可欠な財源を従前以上に確保し、あわせて東京への安定的かつ重点的な配分をするように、あらゆる機会をとらえて国に強く求めてまいります。
質問4
一方、今般の経済対策での高速道路料金の引き下げについては、首都高の料金引き下げの検討も盛り込まれましたが、その内容は明らかになっておりません。高速道路料金については、経済対策としての一時的な引き下げにとどまることなく、首都圏の高速道路がネットワークとして最大限に利活用される合理的な料金体系の導入が必要であると考えますが、これらの料金施策の実施に必要な財源確保に向けた都の取り組みについて伺います。
答弁4
建設局長
高速道路の料金施策の実施に必要な財源確保についてでありますが、首都圏の高速道路ネットワークの機能を十全に発揮させるためには、環状道路の利用促進、長距離利用車や大型車の負担軽減、運営主体や料金圏が異なることで生じる割高感の解消など、一体的で利用しやすい合理的な高速道路料金体系の導入が不可欠であります。
このため、昨年末に政府・与党で合意された既存高速道路ネットワークの有効活用、機能強化のための財源二兆五千億円とともに、十月に政府が発表した新たな経済対策における高速道路料金引き下げの財源五千億円を確実に確保し、首都高を初めとする首都圏の高速道路の料金施策に重点的に配分するよう、あらゆる機会をとらえて、国に対して強く求めてまいります。
質問5
次に、東京外かく環状道路について伺います。
外環の早期着工は、三千億円の税移譲に伴い、国が協力を約束した都の重要施策の一つであります。私が幹事長を務める東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟では、十月に金子国土交通大臣を訪ね、外環の平成二十一年度事業着手を強く申し入れてまいりました。外環こそ必要な道路であり、国は、今年度中に国幹会議を開催し、整備計画を決定すべきであります。
外環の沿線では、国、都、地元区市が共同で住民との話し合いの場を設け、事業受け入れの準備も着実に進んでいると聞いています。そこで出された意見や要望に対して都はどのように対応していくのか、所見を伺います。
答弁5
都市整備局長
外環沿線地域で出された意見や要望への対応についてでございます。
都は、国や沿線区市と連携し、世田谷区東名ジャンクション地区を初め沿線の各地で、ワークショップなどをこの一年間で約八十回開催し、住民の意見や要望を積極的に聞いてまいりました。これらの地元意見に加え、これまでに沿線の区、市長より提出された意見や要望に対しまして、近々具体的な対応方針を明らかにして、今後の事業実施に反映させてまいります。
質問6
外環の早期整備を図る上で、ジャンクション部などにおける用地買収を円滑に進める必要があります。地権者の協力を得る上で、地域のまちづくりなどと連携して移転先の確保に努めることも必要と考えます。都はこの課題に対しどのように取り組んでいくのか、伺います。
答弁6
都市整備局長
外環の用地取得にかかわる移転先の確保についてでございます。
外環事業では、四カ所のインターチェンジ等におきまして、合わせて約千棟の家屋移転が必要であり、地権者の移転先の確保が重要な課題と考えております。事業用地の取得は事業者の責任において行うべきものではございますが、移転を円滑に進める上では、情報提供やまちづくりなど、地元区市の協力を得て、地権者の意向に的確にこたえていくことが必要でございます。都は、外環の用地取得と地元区市が行う周辺まちづくりとの連携が図られるよう、関係者間の調整を積極的に行ってまいります。
今後とも、地元の理解と協力を得て、平成二十一年度の事業着手が可能となるよう、全力で取り組んでまいります。
質問7
次に、橋梁の管理について伺います。
昨年は、米国ミネアポリスで衝撃的な橋梁の崩落事故が起きるとともに、国内でも、重大事故につながりかねない橋梁の損傷が幾つか発生しました。最近でも、十月に千葉県君津市でアーチ橋のつり鋼材の破断が発生し、いまだ全面通行どめが続くなど、橋梁の安全性が危惧される事例が発生しています。
都が管理する約千二百の橋梁の多くは、東京オリンピックを契機とした高度経済成長期に建設されたもので、十年後には、建設後五十年以上経過する橋梁が過半数を超えると聞いております。
このままでは、かけかえ時期が集中し、多大な経費を要するとともに、工事が集中し、交通渋滞が長時間にわたって起きるなど、都民生活上も支障が生ずるおそれがあります。また、今後、より安全性を保つために、これまでの対症療法型の管理から予防保全型の管理への転換を進めていくことが必要です。
都は、現在、橋梁の管理に関する新たな計画を策定中とのことですが、その計画の内容と今後の取り組みについて伺います。
答弁7
建設局長
橋梁の管理についてでありますが、都はこれまで、管理するすべての橋梁を対象に、五年に一度の定期点検や日常点検などを行い、その都度適切な補修、補強を実施することで、損傷による事故を未然に防いでまいりました。しかし、都が管理する橋梁の多くは高度成長期に集中して建設されたため、近い将来一斉に更新時期を迎えることから、かけかえの時期の平準化と総事業費の縮減を図る必要がございます。
そこで都は、橋梁の予防保全型管理を推進していくため、橋梁の管理に関する中長期計画を策定いたします。この計画では、管理するすべての橋梁を長寿命化対象やかけかえ対象などに区分し、かけかえ工事などの集中に伴う交通渋滞による都市機能や都民生活への影響、工事に投じる費用などを評価し最適化するアセットマネジメントの手法を我が国で初めて採用し、個別の橋梁ごとに適切な時期を定めて、最新の技術により耐久性を向上させる対策を盛り込んでまいります。
また、計画期間は、かけかえピークを平準化するために必要な三十カ年とし、中期的な十カ年の計画も定めた上で、当面の対策を示すスタート時三カ年のアクションプランについても明らかにする予定であります。
今後、この計画に基づき、長寿命化対策などを着実に進めることにより、橋梁の安全性と耐久性を確保するとともに、将来のコスト増を大幅に抑制し、都民の財産を良好な状態で次世代に継承してまいります。
質問8
次に、羽田空港の再拡張、国際化及びアクセス道路について伺います。
国は、再拡張事業の供用開始時において、国際線発着枠を昼夜合わせて六万回とし、そのうち深夜早朝には欧米まで就航させるとしています。順次、各国と航空交渉を開始し、既に、ソウルを初めパリやロンドンとの定期便の就航について合意するなど、国際化が着々と具体化しつつあり、再拡張事業の完成が待たれるところであります。
また、羽田空港の機能を最大限生かすためには、再拡張事業や国際化の進展を見据えて、アクセス道路の機能を強化する必要があります。現在、空港周辺では、首都高速道路、国道三五七号線、環状八号線などの幹線道路が一定程度整備されているものの、必ずしも十分とはいえません。
そこで、平成二十二年に予定されている供用開始までいよいよ二年を切った現在、再拡張事業とアクセス道路整備はどのように進められているのか、伺います。
答弁8
都市整備局長
羽田空港についてでございます。
羽田空港再拡張、国際化は、空港容量の拡大とともに、逼迫した首都圏の航空事情の改善に資するものであり、既に新滑走路のうち桟橋部は約四割の構造物が据えつけられ、埋立部は外周護岸整備がおおむね完了しております。
また、空港周辺のアクセス道路につきましては、国道三五七号東京港トンネル部の工事用道路の着工準備、国道の立体交差化、京急線の踏切の解消などが進められております。さらに、空港内の環状八号線については、道路線形の改良により交通の円滑化を図るため、来年前半の都市計画変更を目指し、近々手続を開始いたします。
都は、今後とも、平成二十二年十月の新滑走路等の供用開始が確実に行えるよう国に求めるとともに、空港アクセス道路の整備促進に積極的に取り組んでまいります。
質問9
次に、都営住宅について伺います。
都は、昨年の第四回定例会で我が党の代表質問に答え、都営住宅の建てかえ事業について、昭和四十年代建設の住宅まで対象を広げるとともに、財政状況を勘案しながら、規模を年間約四千戸程度まで段階的に拡大する考えを表明しました。
対象範囲と規模の拡大は、老朽化した都営住宅の更新を促進するだけでなく、敷地を高度利用することで用地を創出し、都市の再生に向けた地域のまちづくりとの連携を一層推進するものと考えます。また、用地が創出されてから活用できるまで時間がかかる場合は、その用地をスポーツ広場や緑地などに暫定利用することができると考えます。
まちづくりと連携した建てかえの推進と用地の暫定利用について、あわせて所見を伺います。
答弁9
都市整備局長
まちづくりと連携した都営住宅の建てかえの推進についてでございます。
建てかえに当たりましては、敷地の有効利用により生み出した用地を活用し、地域のまちづくりの課題に的確にこたえていくことが重要であると考えております。保育園など、地域に必要な公共施設の整備、木造住宅密集地域整備のための民活プロジェクトなど、まちづくりとの連携をより重視した建てかえ事業を積極的に推進してまいります。
また、用地の暫定利用につきましては、都の施策との関連などを考慮しつつ、地域スポーツ振興を支援するための運動場や、既存樹木の一時移植場所等、緑化に配慮した取り組みなどに生かせるよう、地元区市等の意見を聞きながら進めてまいります。
質問10
来年四月に施行される公営住宅法施行令の改正に関して、都は、さきの第二回定例会において我が党の代表質問に答え、入居を希望しながら入れない方々との均衡も考慮しながら、都独自の激変緩和策の検討を行うとしました。
改正後の制度の適用を円滑に進める上からも、その具体的な内容を早急に示すべきと考えますが、所見を伺います。
なお、住宅供給公社の一般賃貸住宅における家賃改定の当面の延期、及び施行令改正に伴う減額措置適用世帯への負担上昇緩和措置の実施についてご配慮いただきたく、昨日、緊急要望したところであります。
答弁10
都市整備局長
公営住宅法施行令の改正に伴う都独自の措置についてでございますが、都といたしましては、家賃改定による引き上げを一年間延ばすことといたします。
また、五年間で段階的に引き上げを実施する国の経過措置を講じてもなお負担の変化が大きい、収入区分が二段階上昇する世帯におきましては、この期間を七年間とすることを考えております。
建てかえが伴う場合につきましては、現行の経過措置期間を延長し、最長十一年間の経過措置を講じることで建てかえを推進してまいります。
質問11
次に、多摩地域の下水道について伺います。
多摩地域の下水道普及率は平成十九年度末で九七%となり、その普及に当たっては、都と市町村が連携して整備に取り組む流域下水道事業が大きな役割を果たしました。しかし、八王子市、立川市及び三鷹市では、流域下水道事業の制度化に先駆けて、昭和三十年代から単独で下水処理場を整備し、運営してきています。
これらの市は、下水処理場が稼働してから四十年以上たつことや小規模であることから、水質環境基準を達成するための施設整備や維持管理など、さまざまな面で苦慮しています。市長会も、スケールメリットを生かした効率的な処理を行うために、これらの単独で下水を処理している区域を都の流域下水道に編入することを以前から要望しています。
都は現在、多摩川や荒川などの水質環境基準を達成するため、下水道整備の基本方針である多摩川・荒川等流域別下水道整備総合計画の見直しを行っていると聞いています。
そこで、今回の総合計画における八王子市、立川市、三鷹市の位置づけと計画の策定予定について伺います。
答弁11
都市整備局長
流域別下水道整備総合計画についてでございます。
お話の八王子市、立川市、三鷹市の、単独で下水処理を行っている地区では、施設の更新時期を迎えている一方で、窒素、燐をさらに除去するための高度処理に必要な処理場用地の確保が非常に困難となっております。このため、今回改定する予定の総合計画では、これらの地区を流域下水道の区域に編入するなど、処理区の再編を行い、多摩川等の公共用水域の水質改善を行ってまいります。現在、関係市町村に意見照会を行っており、年度内の改定を目指しております。
今後、関係市などと調整を図りつつ、都市計画変更などの手続を進めてまいります。
質問1
次に、中学三年生までの医療費助成について伺います。
都は、助成内容の拡大に向けた見直し案を取りまとめ、市町村と協議を開始しました。住民の皆さんの身近な福祉施策を担っている市町村長としてはぜひ実現したい施策ですが、この案を実現する場合の最大の問題は、約二十億円と見込まれる市町村の財政負担であります。そこで、去る十月二十四日、我が党は石原知事に対して緊急要望を行いましたが、東京都市長会、東京都町村会も、十一月七日、事業の実施に伴う財政負担について緊急要望したと聞いております。
多摩・島しょ地域で事業を円滑に実施できるようにするため、我が党の緊急要望にあるように、市町村の財政に支障を来すことがないよう必要な措置を講ずるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
答弁1
知事
中学三年生までの医療費助成についてでありますが、事業内容の拡大に当たっては、東京都議会自民党や市長会、町村会などからの緊急要望を踏まえ、都として、市町村財政に支障を来すことのないよう必要な措置をとっていくつもりでございます。
質問2
次に、病児、病後児保育について伺います。
都は、保育所の待機児童解消に向け精力的に取り組んでいるところですが、仕事と子育ての両立を支援していくには、保育サービスの定員をふやすとともに、多様な保育サービスの充実が必要です。
本年四月に都が発表した平成十九年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子どもと家庭」の速報結果では、保育所などに子どもを預けていて困ることとして、子どもが病気のときに利用できないとの回答が最も多く、全体の三割以上を占めています。
入院の必要はないものの、発熱などで保育所に通えない子どもたちに対し、看護師や保育士がケアを行う病児、病後児保育は、地域の子育て支援策として欠かせないものであります。今後、病児、病後児保育事業への支援をさらに充実していくべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
病児、病後児保育事業への支援についてであります。
現在、都では、国の補助制度に加えて、独自に区市町村への支援を行っておりますが、来年度から本格実施となります国の制度については、高額な利用者負担を前提としていることや、施設定員にかかわらず補助基準額に上限を設けていることなど、大きな課題があります。このため、都は国に対しまして、制度を抜本的に改善するよう提案要求しておりますが、都独自に利用者負担の軽減や施設定員に応じた補助基準を設定することなどを検討しております。
また、子どもの症状等に応じて、保育施設での対応や自宅での保育サービスの提供など、利用者のニーズに対応した病児、病後児保育を提供する仕組みづくりについても検討を進めております。
こうした都独自の取り組みにより、多様な保育サービスを充実し、仕事と子育てが両立できる環境の整備に努めてまいります。
質問3
次に、介護保険制度について伺います。
高齢者の介護を国民全体で支え合う介護保険制度は、平成十二年度の創設以来、利用者が着実に増加し、サービスの種類もふえるなど、多くの都民の間に浸透してきました。一方、制度の定着とともに介護給付に要する費用は増大し、このままでは保険料の大幅な上昇が見込まれるなど、制度の持続可能性が大きな課題となってきました。
このため、平成十八年度には、介護予防の推進や、住みなれた地域で住み続けることを目指した地域密着型サービスの創設など、将来の高齢化を念頭に置いた大幅な改正が行われています。
今年度は、平成十八年度を初年度とした第三期介護保険事業計画の三年目であり、来年度から二十三年度までを期間とする第四期の計画策定に向けた準備の年でもあります。
そこで、第三期計画における新たなサービスを含めた介護給付の状況及び介護保険財政、さらに、第四期計画における課題について伺います。
答弁3
福祉保健局長
介護給付の状況等についてであります。
第三期につきましては、地域密着型サービスや介護予防サービスなど、新たなサービスの給付量が当初見込みを下回りましたことから、全体の給付費実績は計画に対しまして約九割程度と見込まれております。このため、六十五歳以上の第一号被保険者から徴収した保険料に剰余金が生じておりまして、区市町村は介護給付費準備基金として保有しております。
また、第四期計画における課題といたしましては、高齢者が住みなれた地域で住み続けられるよう、医療と連携した介護サービスの提供体制の整備に努めるとともに、介護人材の確保、定着を図ることが重要であると認識をしております。
質問4
ところで、昨今、東京を初めとする大都市においては、介護サービスを担う人材の不足が非常に深刻なものとなっています。都は国に対し、地域差を反映した介護報酬のあり方について要望していますが、一方で、介護報酬のアップは保険料の上昇につながるとの懸念もあります。
去る十月三十日、政府・与党は生活対策を示し、介護従事者の処遇改善のための緊急対策として、平成二十一年度の介護報酬を三%引き上げることとしましたが、同時に、それに伴う介護保険料の急激な上昇にも配慮し、一千二百億円程度の財政措置を講じることも明らかにしております。都民も、第四期の各区市町村の保険料額がどうなるのかについて高い関心を持っています。
そこで、第四期計画における介護サービス量やそれに伴う介護保険料額の見通し、並びに、税制改正に伴い平成十八年度から実施されている、高齢者の保険料を急激に上昇しないこととした激変緩和措置の扱いについて伺います。
答弁4
福祉保健局長
第四期計画における介護サービス量や介護保険料等についてでありますが、保険者であります区市町村の推計におきましては、高齢化の進展に伴う要介護者の増加や介護保険施設等の整備に伴い、サービス量がふえる見込みであります。
一方、第四期の介護保険料は区市町村ごとに異なりますが、現時点における都内の平均は第三期と同程度となるものと試算をされております。これは、保険料の上昇を抑制するために、介護給付費準備基金を取り崩す区市町村があることによるものであります。
また、平成十八年度から講じられてきました税制改正に伴う激変緩和措置につきましては、平成二十年度をもって終了いたしますが、第四期においても、区市町村の判断により軽減することができるものとされております。
質問5
次に、障害者施策について伺います。
都は先ごろ、障害者の雇用拡大と就労支援の促進に向けた首都TOKYO障害者就労支援行動宣言を発表しました。経済団体や国などを含む関係機関が、障害者就労支援に向けてそれぞれ取り組むことを宣言したもので、全国初の画期的なものと評価できます。
都は、「十年後の東京」において、多様な企業が集積する東京の強みを生かし、平成十八年度からの十年間で三万人の障害者雇用の増加を目標としています。
今後、宣言の内容を具体的な行動に移していくことが重要ですが、都としてどのように取り組むのか、伺います。
答弁5
福祉保健局長
障害者就労支援行動宣言についてであります。
今般の行動宣言に当たりましては、これを実現するため、福祉施設、経済団体など、各団体の具体的な行動を示しました障害者雇用・就労推進TOKYOプランをあわせて策定をいたしました。今後、このプランに沿って、福祉施設における先駆的な就労支援のノウハウの普及や人材育成、企業ニーズに対応した職業訓練科目の見直し、障害者雇用の好事例の紹介による企業の意識改革などを実行に移してまいります。
さらに、ハローワーク、就労支援機関、特別支援学校、企業などによる地域の就労支援ネットワークの構築、通勤寮の活用などにより、関係機関の連携強化を図り、障害者の就労を一層促進してまいります。
質問6
ところで、障害者が就労し、自立して生活するためには、就労に向けた訓練と住まいの確保が重要です。訓練などを行う通所施設やグループホームなどの整備について、都は特別助成を行う三カ年プランを実施してきました。今年度で計画期間が終了しますが、地域では、まだまだ十分なサービスが整ったとはいえないという声が強くあります。
障害者の就労支援に向けて、社会全体の機運を盛り上げ、関係者がそれぞれの立場から具体的な行動を起こそうとしている今、都としても、新たな整備目標を掲げて特別助成を継続すべきと考えますが、都の所見を伺います。
答弁6
福祉保健局長
障害者施設整備に関する特別助成の実施についてであります。
障害者が地域で自立した生活を送るためには、グループホームなど居住の場と、経済的自立に向けた就労のための訓練等の場の整備が重要であります。このため、都は、これまで三カ年プランを策定し、整備費の事業者負担を半分に軽減する特別助成を実施してきました。今後、関係機関との連携等を一層図るとともに、グループホームや訓練等の場の整備について新たな目標を定め、お話の特別助成についても鋭意検討してまいります。
質問1
次に、教育問題について伺います。
次世代を担う若者を育てる教育の重要性はますます高まっており、地域や保護者からの学校への期待も大きくなっています。
近年、社会状況や児童生徒の変化などを背景に、学校教育の抱える課題は一層多様化、深刻化しています。児童生徒の学力向上、規範意識の確立、地域との連携、保護者などへの対応など、いずれの課題についても、学校が組織一丸となって取り組まなければ解決できません。
今定例会には、主任教諭の導入に対応した給与条例の一部改正が提案されております。そこで、都教育委員会は、今回の主任教諭制度の導入を契機として、学校が抱える教育課題の解決に向け、学校の組織体制をどのように強化していこうと考えているのか、所見を伺います。
答弁1
教育長
主任教諭導入による学校の組織体制強化についてでございます。
学校が抱えるさまざまな教育課題を解決するためには、学校の組織的取り組みの強化と、教員一人一人の資質能力の向上が重要でございます。このため、今回、主任教諭制度を導入いたしまして、その職責を明確化し、校務分掌上の重要な役割と、若手教員の育成を担わせることといたしました。
校務分掌におきましては、主任教諭が、校長、副校長の指揮監督のもと、主幹教諭を補佐し、児童生徒の生活指導などの職務を着実に遂行させることといたします。
また、人材育成面につきましては、主任教諭が若手教員に対して、授業力向上に向けた指導方法の工夫、改善を助言いたしますとともに、保護者との対応や地域との連携の進め方などについても指導をして、教員に求められる多様な力を育成することといたします。
質問2
日本の子どもたちの学力については、近年実施された国際的な学力調査で、読解力が八位から十五位に低下したり、数学的リテラシーが一位から十位に低下したりするなど、学力低下が大きな社会問題になっています。
我が党は、東京都の児童生徒の学力向上に関するさまざまな取り組みの必要性を以前から訴えてきましたが、特に、基礎的な内容につまずいている児童生徒への指導の充実を主張してきました。
今回、都教育委員会は、各種学力調査結果をもとに、東京の児童生徒の学習状況を分析し、児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)を作成し、公表したと聞いています。そこで、まず、東京ミニマムの内容について伺います。
答弁2
教育長
児童・生徒の学習のつまずきを防ぐ指導基準(東京ミニマム)の内容についてでございます。
都教育委員会では、平成十五年度から独自に実施してまいりました学力調査の結果をもとに、学習におくれがちな児童生徒の実態を分析してまいりました。その結果、学習のつまずきの原因は、そのときの学習内容に関することばかりでなく、例えば、掛け算と引き算の理解が不十分であると割り算の計算ができないですとか、主語と述語の関係など文のつくりがわからないと文章の内容の読み取りができないなど、以前に学習をした、より基礎的な事項が十分身についていないことにもあるということがわかってまいりました。
そこで、東京ミニマムでは、当該学年で確実に身につけておきませんと、その後の学年での学習を行う際につまずく事項を明らかにいたしますとともに、それを防ぐ指導のポイントや段階的な指導内容、方法等をお示しいたしました。
こうした取り組みは、全国でも初めてのことでございまして、各学校の教員が東京ミニマムで示したポイントなどを踏まえて指導することで、児童生徒の学習のつまずきを防ぐことができると考えております。
質問3
東京ミニマムを活用した取り組みを推進していくためには、まず、教員が趣旨を十分理解して積極的に活用するとともに、家庭にも協力してもらえるようにすることが重要です。また、東京ミニマムについて、導入後の児童生徒の学習状況を検証しながら、さらに改善していく必要があると考えます。
そこで、都教育委員会は、東京ミニマムを活用した取り組みをどのように推進していくのかを伺います。
答弁3
教育長
東京ミニマムの活用に係る取り組みについてでございます。
都教育委員会では、これまで、東京ミニマムの周知を図りますために、区市町村教育委員会及び直接学校を対象とした説明会を、計七回実施してまいりました。今後は、東京ミニマムを活用した授業改善の実践的な研究を行います確かな学力向上実践研究推進校を指定いたしまして、その研究成果を全都の公立小中学校に提供いたしますとともに、東京ミニマムに基づいた指導事例集を作成、配布いたしまして、一層の活用を図ってまいります。
さらに、来年度から一部先行実施されます新しい学習指導要領の内容を踏まえますとともに、児童生徒の実態を把握しながら東京ミニマムを改定していく予定でございます。
一方、基礎的、基本的な学習内容の定着を図りますためには、保護者の協力が必要不可欠でございます。来年度は、保護者向けのパンフレットを作成、配布し、東京ミニマムの趣旨の理解を求めますとともに、学校と保護者が連携して児童生徒の学力向上に取り組めますように、積極的に働きかけてまいります。
質問4
次に、スポーツ施設の整備について伺います。
駒沢オリンピック公園には、かつて東京オリンピックのバレーボールなどの競技会場として使用された体育館があり、今も年間百万人以上の方々に利用されています。オリンピックレガシーを次の世代に引き継いでいくことは、オリンピックやスポーツを身近なものとして伝えるとともに、歴史と文化の継承にもつながります。
しかし、過日、私も視察してまいりましたが、現在、駒沢のこのスポーツ施設などが大変老朽化が進んでいる上、バリアフリー化など、時代に合った改修が必要である、それを求める声が私に多く寄せられています。
この際、都民により親しまれる公園として、スポーツ施設を中心とした大胆な改修を検討するべきと考えますが、所見を伺います。
答弁4
生活文化スポーツ局長
駒沢オリンピック公園の施設改修についてでございますが、昭和三十九年に開催されました東京オリンピックの主要な競技会場でございました駒沢の施設は、いわばオリンピックレガシーとして都民の皆様に親しまれてまいりました。
都はこれまでも、施設の機能維持のため、陸上競技場等のスポーツ施設やサイクリングコース等の改修を行い、さらに今年度は、硬式野球場の改築や公園内の橋梁の耐震補強工事等を行っております。
しかしながら、ご指摘がございましたとおり、スポーツ施設などの老朽化は著しく、今後とも都民のスポーツ振興の拠点として活用していくためには、抜本的な改善が必要であるというふうに認識をしております。
このため、今年度行うスポーツ施設の劣化度調査などにより現状を把握した上で、今後、大規模改修の基本計画を策定し、関係局とも連携しながら、必要な改修、改築等を実施していく考えでございます。
質問5
次に、武蔵野の森総合スポーツ施設の整備について伺います。
長らく凍結状態にあった同施設について、知事は、第一回都議会定例会の我が党代表質問に対し、計画を見直した上で整備を進める旨の答弁を行いました。
先月には、三鷹、府中、調布の三市長から、施設整備に関する要望書が知事に出されました。また、多摩振興を重点課題とする我が党としても、同施設の整備促進を求め、知事に対して先ごろ要望書を提出したところです。
多摩地域は、産業の集積や都市インフラの整備により首都圏を牽引する存在となりつつありますが、いまだに五千席の観覧席を有する屋内体育館さえありません。
東京国体を五年後に控えた今、スポーツムーブメントを多摩から高め、オリンピック・パラリンピックの招致につなげるためにも、多摩四百万都民のスポーツ振興拠点となる総合スポーツ施設を都が責任を持って整備すべきと考えますが、知事の所見を伺います。あわせて、今後の具体的な展開について当局の見解を求めます。
答弁5
知事
武蔵野の森総合スポーツ施設についてでありますが、先端技術産業や数多くの大学、研究機関が集積し、豊かな自然環境に恵まれた多摩地域は、首都圏の中核拠点として一層の発展が期待されております。
この多摩地域に新たなスポーツ振興拠点を整備することは、世代を超えた多くの人々の交流を促すとともに、地域の活性化にもつながりまして、多摩地域の潜在力を開花させる上で大きな意義があると思っております。
また、スポーツ振興拠点の整備は、東京国体や東京オリンピック・パラリンピックに向けてスポーツのすそ野を拡大し、計画的に競技力の向上を図る上でも重要であります。東京全体のスポーツムーブメントの高揚を図り、今後の多摩振興の起爆剤とするため、総合的なスポーツ施設の整備に着手してまいります。
生活文化スポーツ局長
武蔵野の森総合スポーツ施設整備の具体的展開についてでございます。
都は本年五月、地元三市との調布基地跡地関連事業推進協議会におきまして、これまでの建設基本計画の見直しに合意したことを受けまして、味の素スタジアム西側都有地に新たな総合スポーツ施設を整備するため、基本構想の策定を進めております。
この構想の策定に当たりましては、地元三市の意向を踏まえつつ、東京国体の開催や、東京オリンピック・パラリンピック招致を視野に入れ、多摩のスポーツ振興の観点から、現在、必要な施設内容等について検討を行っているところでございます。
今後、地元三市の理解を得て、早期に基本構想を取りまとめた上で、平成二十一年度には基本計画の策定に着手していく所存でございます。
質問6
東京国体については、既に七月に、日本体育協会及び文部科学省からの開催の内定があり、都においても開催基本構想を策定しています。
これからますます準備を加速させていかなければなりませんが、国体の開催は、都だけではなく、競技会の主催者となる地元区市町村も大きな役割を担います。しかし、区市町村においては、具体的にどのような準備を進めていけばよいのか、苦慮しているところもあると聞いております。
そこで、今後は、区市町村の取り組みを積極的に促進、支援していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。
答弁6
知事
東京国体への取り組みについてでありますが、東京国体は、多摩・島しょの豊かな自然や歴史、文化など、東京の多様な魅力を全国に発信する絶好の機会であります。前回の東京での国体は、およそ五十年以前のことでありまして、それから東京自身が非常に変貌し、さらに魅力的なまちになったと思いますが、全国民は、そうたびたび東京へ来るわけでもありませんので、国体を通じて関係者が多く東京というものを見直して、東京を満喫していただく絶好の機会でもあると思っています。
都においては、七月に策定した開催基本構想に基づきまして、国内最高のスポーツ大会、スポーツイベントを実施することを目標に、開催準備を進めております。区市町村においても、競技施設の整備に加え、国体の準備組織の設置など、地域を挙げた取り組みが必要でありまして、都としても、これを積極的に促進、支援してまいります。
こうした取り組みによって、都と区市町村が一体となって東京国体を成功させ、その成果を東京オリンピックへとつなげていきたいと思っております。
質問7
最後に、二〇一六年、平成二十八年東京オリンピック・パラリンピック招致についてお伺いします。
ライバル都市であるシカゴでは、地元選出のオバマ氏が大統領選挙に勝利したことを受け、オリンピック招致はシカゴに追い風と盛り上がっています。来年十月の最終プレゼンテーションにオバマ氏が登場すれば、多くのIOC委員の心をつかむのではないかとも報道されています。
また一方で、アメリカ発の金融経済危機は世界同時不況へと発展しかねません。イギリスのロンドン五輪担当大臣は、今回の景気後退がわかっていたら、オリンピックは誘致しなかっただろうと発言しています。しかし、オリンピック開催に備えて基金を着実に積み立て、かつての金融危機を乗り越えてきた経験を持つ東京都には、そのような心配は無用だと思います。
こうした中、石原知事は、先日のアジア大都市ネットワーク21総会でも、すべての出席都市の支援賛同を得たと聞いております。みずから招致活動の先頭に立ってきた知事の招致実現に向けた決意を伺います。
答弁7
知事
オリンピック・パラリンピックについてでありますが、IOC総会における開催都市決定まで、残すところ十カ月を切りました。来年は、立候補ファイルの提出、IOC評価委員会の来訪、各立候補都市のプレゼンテーションと、重要なスケジュールが続いております。
東京は、オリンピック・パラリンピックを通じて、人類を脅かす地球環境問題の解決と平和な社会づくりを訴えていくつもりでございます。そして、発展途上国における開発型のオリンピックではなくて、成熟した大都市の中心において、世界一コンパクトで、かつ日本の先端技術と豊かな文化を体現した、日本でこそできる新しいオリンピック・パラリンピックを開催するつもりでございます。
シカゴ出身のオバマ大統領が黒人として初めてアメリカの大統領に当選しまして、世界じゅう動揺しておりますが、しかし、アメリカ発の今日の世界経済恐慌というのは、あくまでもアメリカが引き金を引いたわけでありまして、その責において、十月までの要するにわずか残された期間でありますが、アメリカがこの問題に対して世界的にどういう責任を果たしていくかも、これは一つのキーポイントだと思いますし、またIOCが、絶対とは申しません、かなり重要な条件としております、政府がオリンピックの財務保証を最後の最後にはするという一札は、アメリカは法律の上でできないようでありますから、シカゴは保険を掛けてこれに臨むと聞いておりますけれど、これがまたIOCでどういう評価を受けるか、これは初めてのことでわかりません。
いずれにしろ、今大事なことは、一国の大統領の動向に惑わされずに、かつての金融経済危機を克服して自信を持ちました日本が、東京が、国を挙げて招致運動に邁進することであると思います。そして、国民のオリンピックに対する熱い思いをIOCに強く訴えることであります。都議会を初め都民、国民の皆さんに、なお一層のご支援、ご協力をお願いいたします。
質問8
この夏、北京で開催された大会は、IOC関係者を初め、国際スポーツ関係者が一堂に会する場であり、各国際競技団体とさまざまな意見交換や現場の視点からの情報収集を行う絶好のチャンスであったと考えます。
精力的な活動の結果、二十六の国際競技団体からは、東京の開催計画の有効性、優位性が改めて確認されるとともに、よりよい計画とするためのさまざまな建設的意見が出されていると聞いております。IOC委員から、より高い評価を得るためには、こうした声や北京大会の実施状況を踏まえて、これまでの計画をさらに磨き上げていくことが必要だと考えます。
そこで、改めて、今回の北京オリンピック・パラリンピック大会の現地調査などを契機に、どのような開催計画の見直しを行ったのかお伺いします。
答弁8
東京オリンピック・パラリンピック招致本部長
開催計画の見直しについてお答えいたします。
この夏の北京大会や各大陸ごとのオリンピック委員会の総会におきまして、東京の計画をアピールし、意見交換を行ってまいりました。
特に、八キロ圏内におさめましたコンパクトな会場計画は、選手や大会運営の視点に立った計画であるとして、極めて高い評価を得ることができまして、改めて東京の最大のアピールポイントとして自信を深めることができました。
その上で、このたび、北京での現地調査や国際競技団体の意見などを踏まえまして、次のような見直しを行いました。
まず、メディアセンターにつきましては、大空間を有し、立地条件にもすぐれている東京ビッグサイトに会場を変更し、既存の施設を最大限活用することといたしました。
次に、皇居外苑を発着点とする自転車ロードレースにつきましては、十分な高低差を確保して競技性を高めるために、コースを多摩地域まで延ばすことといたしました。これにより、多摩地域の皆様にもオリンピックを身近で楽しんでいただけるものと考えます。
さらに、体操、バスケットボール、ハンドボール、レスリングにつきましても、それぞれ、効率的な大会運営の観点から、分散していた会場の集約等を行いました。
これらの見直しによりまして、東京の開催計画は、国際的にも高い評価を得られる内容まで高められたものと確信しております。
コメント
来年十月の開催都市決定まで、いよいよ三百日を切りました。招致実現に向け、都民、国民の開催を切望する熱い思いをIOC委員に伝えるためには、国内の招致機運をさらに高めていく必要があります。
来る十二日には、一万人規模のいわば決起大会が行われると聞いております。今後、あらゆる機会をとらえて、都民、国民の思いを一つに結集し、機運を盛り上げ、我が党も積極的に取り組んでまいることを申し上げ、私の代表質問を終わります。