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平成19年度公営企業会計決算特別委員会

西崎光子(ネット)
西崎光子(ネット)

交通事業

西崎委員
 まず私からは、交通局関係について、バリアフリー対策関連を中心に幾つか質問いたします。
 高齢化が急速に進むとともに、障害者のノーマライゼーションの考え方が浸透する中で、高齢者や障害者の方が安心して快適に公共交通機関を利用できるように、バリアフリーの取り組みが求められてきています。平成十八年十二月に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律が施行されまして、東京都では、東京都福祉のまちづくり条例等を踏まえまして、さまざまな取り組みが進められてきました。
 交通局が平成十九年に策定しました新チャレンジ二〇〇七によりますと、バス事業において、更新車両のすべてをノンステップバスにする予定です。道路とバスの段差が少ないノンステップバスでは、お年寄りや障害をお持ちの方にはもちろんですけれども、小さなお子さんをお持ちのお母様方にも大変評判です。また、ノンステップバスの効果を最大限に発揮するためには、ソフト面での取り組みも重要だと思います。
 最近、車いすを利用している障害者の方から、これは民間のバスだと思いますけれども、乗車拒否をされたという話を伺いました。車いすの方が、あるいは足の不自由なお年寄りなど、バスの乗客にはいろんな方がいらっしゃると思いますけれども、このようなことがないように、細かい心配りをした対応が求められると思います。
 そこで、都営バスでは、障害者などが利用しやすいようにどのような取り組みを行っているのか、伺います。

交通局長
 都営バスでは、バリアフリーの推進に向けまして、毎年更新するすべての車両をノンステップバスにするとともに、車内における車いすの固定方法の改善や、乗りおりしやすい停留所への改修等を行っております。また、営業所に車いすや高齢者体験器具を配置しまして、車いすの固定方法の訓練や、高齢者疑似体験を含むバリアフリー研修を実施することで、乗務員の接遇能力と意識の向上を図っております。
 今後とも、こうした取り組みを継続、充実させ、障害者や高齢者を初め、だれもが安心して快適にご利用いただける都営バスを目指してまいります。


西崎委員
 ソフトの部分では職員研修を行っているとのことでした。ワンマンバスで運転手さんがすべて対応されるのは大変だと思いますが、ぜひ研修の成果を生かした対応をお願いしたいと思います。
 次に、地下鉄について伺います。
 最近では多くの駅にエレベーターが設置されまして、エレベーターで地上からホームまで移動できる駅がふえてまいりました。また、車いす利用や乳幼児連れの方や、あるいはオストメイトの方にも対応した、だれでもトイレというのが大分多くなってきました。障害者、高齢者の方やベビーカーなどを利用している子育て中の人にとって、移動を確保するためにも、気軽に地下鉄を利用できるハード、ソフトの面での対応が求められてきています。
 そこで、だれもが使いやすい駅への取り組みについて、ハード、ソフト面での対応についてどのように行っているのか、お聞かせください。

交通局長
 都営地下鉄では、だれもが地上とホームの間を容易に移動できるよう、すべての駅でエレベーターによるワンルート確保を目指して整備を進めております。
 また、車いすを利用しておられる方や乳幼児連れなどのお客様にもご利用いただける、だれでもトイレにつきましては、現在、全体で駅が百六ございますが、百四駅に設置しておりまして、来年度末までに全駅で整備が完了する予定でございます。
 さらに、高齢者や障害をお持ちのお客様などが、いつでも快適に安心してご利用いただけるよう、各駅に勤務するすべての助役にサービス介助士の資格を取得させ、お客様の立場に立ったきめ細かなサービスの提供に努めてまいります。


西崎委員
 障害者や高齢者に対して、そういったハードの面で大変対応されているということはわかりましたけれども、次に、都営地下鉄における外国人旅行者対策について伺います。
 東京は、公共交通、特に地下鉄が整備されておりまして、いつも乗りなれている人にとっては大変便利なところだ思います。ところが、初めて訪れた人にとりましては、大変路線図が複雑で、乗り継いでいくのも大変のようです。特に外国人の旅行者の方にとっては、乗りこなすのはなかなか難しいと思います。私も外国に行ったとき、一番戸惑うのは、その国の公共機関、特に地下鉄など、地名が見なれないせいか、スムーズに乗りこなせません。
 最近では、大江戸線で外国人の方を大変よく見かけるようになったんですけれども、外国人の旅行者の方がガイドブック片手に乗車しているのを見かけますが、大変迷っている様子でした。特に都庁前の駅では、乗りかえがわからなく、日本人の方でも迷う部分がすごくあるのではないかと思います。先日も韓国人の方に聞かれました。
 チャレンジ二〇〇七を見ますと、地下鉄の駅や車両においても、外国人旅行者に配慮したさまざまな取り組みをされているようですけれども、だれでも使いやすい都営地下鉄を目指すことは重要な取り組みであると考えます。
 そこで、地下鉄における外国人旅行者に対応するための取り組みについてお聞かせください。

交通局長
 都営地下鉄では、駅構内におきまして、列車運行情報表示装置、主に改札付近に設置しておりますが、この装置による列車遅延などの情報を英語、中国語、韓国語でも提供しているほか、駅構内の案内サインについては、出口などの重要な施設について、英語以外に中国語、韓国語も併記した案内サインの整備を進めております。
 また、浅草線と大江戸線の主要な駅には、英語を話せるコンシェルジュを配置しまして、乗りかえのご案内や駅周辺の観光案内などを行っております。
 さらに、外国人向けの案内パンフレット、「TOEI SUBWAY GUIDE」、あるいは駅ナンバリング路線図を発行し、各駅で配布しているほか、都営地下鉄の車両についても、英語による案内の充実に努めているところでございます。


西崎委員
 さまざまな取り組みをしていることはわかりました。都営交通は、高齢者、障害者の方など、さまざまな方が利用されています。少しでも着実にサービスの向上を目指して取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 都営地下鉄は、これまで赤字だったものが、平成十八年度に黒字を計上し、十九年度については百九億円の黒字になっています。非常に厳しい経営状況を乗り越え、黒字を計上してきたことは評価できますけれども、ぜひ経営状況がよくなったときこそ、きめ細やかなサービスにも投資していくことを要望しておきます。
 そして、この質問の最後に、先ほどもお話がありました、障害者が働く駅構内の店舗について一言意見を申し上げます。
 本年三月に、浅草線の大門駅にトロワが開業しました。先ほども野上副委員長の方からお話がありましたけれども、私もこのお店を先日見てきました。浅草線の大門駅からすぐの、改札口のところにありまして、ヨーロッパから輸入されたパン生地を使った焼きたてのパンを販売していまして、女性客を中心に大変好評だそうです。夏場は売り上げが落ちたそうですけれども、この十月からは順調に売り上げが伸びているという話を聞きました。
 障害者にとって、働く場所の確保は大変困難であり、都営地下鉄駅構内に障害者が働く店舗を設置することは、障害者の自立した社会生活を支援する観点から大変画期的なことだと思います。チャレンジ二〇〇七では、十九年度から二十一年度の三年間に、三店舗の障害者が働く店舗を設置することになっています。ぜひとも目標を確実に実施していただくことを要望しておきます。

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水道事業

西崎委員
 次に、水道事業について伺います。
 現在、食品の分野では、偽装表示や、中国産の冷凍食品からの高濃度の農薬による健康被害などが発生するなど、消費者の食品への不安が高まっている中で、食品と同じように日常的に口にする水道水についても、安全でおいしい水を供給するため、より高度な品質管理が求められています。
 先日の決算委員会の分科会で、TOKYO高度品質プログラムについて、水道局の水質管理への取り組みについて伺っております。その質問を通じまして、水道局は、大変高い技術レベルと管理体制によりまして高度な水質管理を行っていることがわかりました。
 そこで、きょうは、この高度なレベルで技術を維持し、高い評価を得ている水道局の研究開発について伺いたいと思います。
 まず初めに、現在、水道局が安全でおいしい水に関して積極的に取り組んでいる研究開発についてお聞かせください。

水道局長
 水道局では、高い技術レベルを維持し、お客様に満足していただける安全でおいしい水を提供し続けるため、研究開発を積極的に行っております。
 例えば、カルキ臭低減のための塩素注入方法と自動測定装置の研究開発、貯水池における藻類の増殖防止システムの研究開発、有機物を指標とした残留塩素の濃度予測モデルの開発など、水質改善に関するさまざまな研究開発を実施し、安全でおいしい水の供給に係る諸施策に反映しております。
 このほか、浄水処理技術の一層の向上を目的として、高度浄水処理に関する技術や、高度浄水処理の代替として期待されているナノ膜ろ過技術など、さまざまな研究開発も行っております。


西崎委員
 現在、水質改善や浄化処理技術など、水道局として、絶え間なくさまざまな研究開発に力を入れていらっしゃるということはよくわかりました。
 水道局では、平成十七年度に、研究開発の拠点としまして、浄水処理実習プラントやさまざまな実験室が整備されました研修・開発センターを世田谷区玉川田園調布に開設したと聞いています。
 水道局ではこれまで、研究開発に関してどのような体制で取り組んできているのか、伺います。

水道局長
 水道事業百十年という長い歴史の中で、例えば、浄水場における急速ろ過方式の導入や水道管の管材料の改善など、さまざまな水道技術の研究開発を重ねてまいりました。
 近年では、昭和六十三年に、水道技術の研究開発体制を充実させるため、技術開発室を設置し、時代の要請に応じた研究開発に取り組む体制づくりを行い、例えば、都市騒音の状況にかかわりなく漏水位置を特定できる、電磁波やヘリウムガスを用いた漏水検知機器や、相関式漏水発見装置の開発など、数々の成果を上げてまいりました。
 また、その後、さらなる技術力の維持向上を目指すとともに、研修と開発との連携による相乗効果を最大限に発揮するため、平成十七年に開発フィールドを備えた研修・開発センターを開設し、管内面の状況を断水することなく調査できる管内調査ロボットの開発など、幅広い分野における水道技術の研究開発に取り組んでおります。


西崎委員
 水道事業の大変長い歴史を通じて、組織的にもさまざまな技術に関する研究開発に取り組んでいることはわかりました。
 水道水を取り巻く社会的な変化によりまして、都民ニーズの多様化、高度化など、直面している技術的課題は多種多様化しています。水道事業の技術的課題を幅広い視野から解決して、効果的、効率的な研究開発を展開していく必要があると思います。
 日本の水道界を牽引していく東京都水道局として、今後どのように研究開発へ取り組んでいくのか、お聞かせください。

水道局長
 水道局ではこれまで、主として局単独での研究開発を行ってまいりましたが、より効果的な研究開発を実施するため、首都大学と共同して、水道送配水管網システムの合理的水運用計画に関する共同研究などを実施いたしております。また、民間の発想や技術力と大学のシンクタンク機能を積極的に活用した、産学公連携によるナノ膜による浄水処理についての共同研究などを実施しております。
 さらに、水道事業の技術的課題を幅広い視点から解決するため、公募による研究開発も開始いたしました。
 今後は、研究開発テーマに応じた適切な手法を用いて、より高度で効率的な研究開発を推進してまいります。こうした研究開発の成果は、水道局内での活用はもとより、我が国最大規模の水道事業体として、全国の水道事業の技術向上にも役立てていきたいと思っております。


西崎委員
 先日、ある雑誌の記事に、あなたのまちの水道が危ないというタイトルで、赤字経営に悩む地方都市の水道事業がフランス系の民間会社に委託されているという内容の記事が出ていました。東京の水道事業は、安全で高いレベルの技術を持つ意味では、ぜひこれからも水道事業の研究開発に取り組み、全国の水道事業の技術向上に役立てていただきたいと思います。
 最後に、資産の有効活用について伺います。
 水道局は、資産の活用について、経営プラン二〇〇七に基づき、柔軟で効果的な利活用を推進していくこととしています。平成十九年度の決算書を見ますと、事務所用地、浄水場などの施設用地、水源林用地など、実にさまざまな種類の用地を保存していることがわかります。また、土地や建物などの資産を活用することで得た土地、物件収益は、決算書から計算しますと、収益的収入のおよそ二・四%あり、金額も八十億円になることから、資産の有効活用を積極的に進めているということはわかります。
 しかし、資産の有効活用に当たっては、公営企業とはいえ、単に収益の確保だけではなく、環境や地域の活性化に配慮して進めていく必要があると思います。水道局では、経営努力の一環として施設の統廃合などを進めていると聞いていますので、今後も事業上の利益が見込めない資産が発生してくると思います。
 そこで、今後の資産の有効活用を進めるに当たって、水道局の基本的な考えを伺います。

水道局長
 水道事業は独立採算により事業運営を行っており、常に経済性や企業性の発揮が求められております。このため、当面事業用として利用計画がない土地などの資産は貴重な経営資源としてとらえ、積極的に有効活用を図っております。有効活用に当たっては、局財政に寄与するため、中長期的に安定した収益を得ることを基本として進めており、また、具体的な活用においては、地域の活性化などにも配慮しております。
 今後とも、公営企業としての経済性を発揮するため、積極的に資産の有効活用を進めてまいります。

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