大西さとる(民主党)
大西委員
東京都下水道局では、今年度が計画の最終年度となる再構築クイックプランに基づいて、区部における老朽化した下水道管渠の再構築を進めることにより、道路陥没対策や臭気対策、震災対策などを実施しておられます。既に法定耐用年数を超えている下水道管渠につきましては、引き続き急いで更新していく必要がありますが、問題は、高度経済成長期以降に大量整備したものが耐用年数を超え、老朽下水道管渠が急増する時期が、あと数年と目前に迫っていることです。
そこで、このような老朽下水道管渠の急増に対してどのように対応していこうと考えているのか、所見を伺います。
下水道局長
下水道管渠の再構築は、老朽化対策にあわせ、都市化の進展に伴う雨水排除能力不足の解消や耐震性の向上などを図る機能の高度化、維持管理しやすい下水道システムの構築などを目的に実施しております。
現在、法定耐用年数五十年を経過した下水道管渠は、先ほどの石森理事のご質問にお答えした下水道幹線百二十キロメートルを含めて約一千五百キロメートルございます。
こうした老朽化した下水道管渠の再構築を進めるに当たりましては、まずテレビカメラ等によりまして下水道管渠の状況を把握、評価いたしまして、予防保全を重視した維持管理に取り組んでいるところでございます。その上で、ライフサイクルコストの最小化を図るとともに、既存の下水道管渠の延命化などによる更新時期の平準化を図るなど、計画的かつ効率的な事業を進めております。
今後一斉に更新時期を迎えます下水道管渠の再構築につきましても、同様の手法で事業を進めてまいります。
大西委員
老朽化した下水道管渠を再構築することは、道路陥没対策にもなるわけです。ことしの八月五日、私の地元である足立区千住四丁目付近で大きな道路陥没が発生し、バイクで走行中の男性がそこに落ちてけがをするという事故が起きました。陥没した場所は、縦五メートル、幅四メートル、深さが何と七メートル。これは二階建ての住宅の屋根の高さに相当する深さです。これだけの規模だったにもかかわらず、不幸中の幸いといいましょうか、被害者はこの男性お一人で済みました。
当時、陥没箇所付近では下水道工事が行われていたと聞いていますが、まず、この工事が直接的にあるいは間接的に陥没の原因になっているのかどうかも含め、このときの陥没の原因がどのようなものだったと考えているのか、所見をお伺いいたします。
下水道局長
足立区千住四丁目付近では浸水被害が頻発しておりましたため、この地域の雨水を既設の貯留管に取水する新たな下水管を整備しておりましたが、この下水管を既設の貯留管に接続する箇所の近くで道路陥没が発生したものでございます。
当初の計画では、新たな下水管は、既設の貯留管の近くの道路内に立て坑を設置し、推進工法で施工する予定でございましたが、地元住民の方々からの理解が得られませんでした。このため、約五百四十メートル離れました千住寿町付近で施工中の下水道管の中から推進工法で施工しなければならなくなり、技術的にかなり困難なものでございました。
また、当時の工程では、梅雨前には既設貯留管への接続を完了させる予定でございましたが、新たに整備する下水管のルート上に支障となる障害物があることが新たにわかりまして、その除去に時間を要したため、既設貯留管に到達したのが七月末になってしまいました。
接続します箇所の施工に当たりましては、土を凍らせて補強する凍結工法を採用いたしましたが、凍結による土の膨張などによりまして、地下水の流入を防ぐ目的で接続部に設置いたしましたゴム製のパッキンの上部が変形し、すき間が発生いたしました。
道路陥没が発生いたしました前日の八月四日に集中豪雨がありましたため、浸水被害の発生を防ぐ目的で、この工事の完成前ではございましたが、既設の貯留管に雨水を貯留しております。貯留した雨水によりまして、先ほどの凍結させました地盤の解凍が促進されるとともに、降雨によりまして地下水位が上昇いたしまして土砂の流入圧力が増加したことなどの複合的な要因によりまして、ゴム製のパッキンのすき間が広がりまして、そこから貯留管内に土砂が流入し、道路陥没の原因となったものと考えております。
なお、二次災害の発生に留意しつつ復旧に努めました結果、十月中旬には復旧を完了し、貯留管流入を再開しております。
大西委員
この足立区での事故の発生は午後二時十五分、これに対する水道やガスなどライフラインの復旧と土砂による埋め戻し作業は翌日の午後九時四十分ごろに完了と、陥没の規模から見ても、相当迅速に対処されたことは、率直に評価したいと思います。
この埋め戻しに関連してといいますか、下水道工事の掘削で発生する土、いわゆる建設発生土を改良して埋め戻し用の土をつくるという事業が、昭和六十三年から中川水再生センターの建設発生土改良プラントで行われており、平成十五年の一月からは土づくりの里として更新されています。この土づくりの里に関して、分科会でも質疑が行われたようですが、それとは別の観点から何点か伺ってまいりたいと思います。
まず、土の改良を行うに当たっては、土づくりの里に持ち込まれる建設発生土そのものの性状を把握した上で実施する必要があると思いますが、改良前に建設発生土に含まれる有害物質の検査は行っているのかどうか、その方法や内容、検査結果の取り扱いも含め、伺います。
下水道局長
土づくりの里では、コンクリートなどが混入していないこと、有害物質が含まれていないことなどの条件を満足する建設発生土を受け入れております。
有害物質の試験につきましては、五百立方メートル以上の建設発生土を搬入する工事を対象に実施しております。
試験の方法ですが、土壌汚染対策法などに基づく六価クロム等三十五項目の有害物質などの試験を行いまして、基準値以下であることを確認しておりますが、これまで、基準値を超える有害物質が検出され、土づくりの里への建設発生土の搬入ができなかった工事はございません。
また、土壌調査の結果につきましては、地元自治会、足立区、下水道局で構成いたします中川処理場連絡協議会に昨年度から報告をしております。
大西委員
中川水再生センター用地は、都市計画で下水道施設と公園施設以外の利用はできないことになっていると理解しておりますが、現在、用地内には、土づくりの里の管理運営業務を委託している下水道局の所管する監理団体である東京都下水道サービス株式会社が賃貸用の駐車場として使用している部分があります。これが都市計画法上、整合しているのかどうか、このような利用に問題はないのか、所見を伺います。
下水道局長
当該の駐車場として使用しております用地は、下水道施設を建設するまでの間、公共用地の有効利用の観点から駐車場用地として貸し付けているものでございます。
都市計画事業の事業地内におきましては、都市計画事業の施行の障害となるおそれがある建築物等の建築などに制限がございますが、当局が公用または公共に供するための必要があるとき、駐車場の土地貸付契約を解除できることとしておりますので、都市計画上の施行の障害とはなりません。
大西委員
土づくりの里のプラントの生産能力は、建設発生土が年間で約十二万立方メートルの改良土を生産できると聞いておりますが、昨年度実績ベースで、土づくりの里に搬入して生産した改良土の生産量、改良土の搬出量がそれぞれどのようになっているのか、伺います。
下水道局長
平成十九年度に土づくりの里におきまして生産した改良土は約十二万三千立方メートル、搬出いたしました改良土は約十二万立方メートルでございます。
大西委員
ちなみに、先ほどの足立の道路陥没では、土づくりの里で生産された改良土が埋め戻しに使われたのでしょうか。もし使われていれば、その使用量もあわせてお伺いします。
下水道局長
足立区千住四丁目付近で発生いたしました道路陥没箇所の埋め戻しには、全体で約百三十立方メートルの土を投入いたしましたが、このうち三十五立方メートルが土づくりの里で生産した改良土でございます。
大西委員
土づくりの里に搬入される土が発生した工事現場の場所や搬入量、現場からの輸送方法や搬入時刻、また、逆に、搬出する改良土が使われる工事現場の場所や量、現場への輸送方法や納入時刻などについて、下水道局としてはどのように把握をしているのか、お伺いいたします。
下水道局長
土づくりの里におきましては、工事の請負者に建設発生土の搬入や改良土の搬出に使用する運搬車両を事前に登録させるとともに、伝票などによりまして、建設発生土の搬入、改良土の搬出を適切に管理しております。
具体的には、事前登録されました運搬車が建設発生土を搬入するごとに、日付、入庫時間、車両番号、積載量などを記載した伝票が、土づくりの里から建設発生土を搬入した工事の請負者に発行されます。当局の監督員は、請負者からの伝票の提出を受けまして、土づくりの里への建設発生土の搬入量を集計し、設計数量と照合することで、建設発生土が適切に土づくりの里に搬入されたことを確認しております。
土づくりの里から搬出されます改良土につきましても、同様の方法で、事前登録された運搬車が改良土を搬出するごとに、日付、出庫時間、車両番号、積載量などを記載した伝票が、土づくりの里から改良土を利用する工事の請負者に発行され、当局の監督員は、改良土が適切に下水道局の工事に利用されたことを確認しております。
大西委員
なぜこのような質問をしたかと申しますと、実は先日、土づくりの里で改良土を積み込み、下水道工事現場に向かうトラックを、地元の人たちがちょっと追跡調査をしてみたわけですね。ここにその写真がたくさんあるわけですが(写真を示す)、たくさんの車を、本当に下水道の工事に使っているのかというところで、追いかけてみたわけです。そうしたら、調査した数台のトラックが、都内や都外にある民間の残土、資材センターに持ち込まれているという事実を確認したからであります。そのうちは埼玉に行った車もございます。これらはそのトラックの写真でございますが。
そこで、下水道局としては、土づくりの里の改良土が下水道の工事現場以外に搬入されているということを把握しておられるのか。また、その理由は何かをお伺いいたします。
下水道局長
下水道局では、建設発生土の改良土が下水道工事現場以外に仮に搬入された事例を確認しておりますが、これらはすべて、請負者が確保しております仮置き場所に搬入された事例でございます。
仮置き場所に搬入する理由ですが、ますや取りつけ管の工事などの少量の改良土の埋め戻しを行う場合、道路幅員が狭い現場などは、小さな車両で搬入しなければならないケースもあります。こうした場合、仮置き場所に改良土を仮置きした上で、小さな車両に積みかえまして工事現場に搬入する必要がございます。
また、土づくりの里に建設発生土を搬入した運搬車両が、帰りに改良土を運搬することで効率的な運搬を行っているケースがあるわけですが、この場合、改良土の埋め戻し工程との調整が必要となることから、一時仮置きをした上で工事現場に搬入することもございます。
大西委員
小さな車両の必要性で仮置きをしているとのご答弁ですが、その場合、土づくりの里から小さなトラックを直接使えばいいと思います。
また、八月二十九日の調査では、十四台中十二台が仮置き場の運搬車両でもあります。こんなにたくさんの量が小分け用に使われるとは、なかなか思えないとも思います。
さらに、仮置きした改良土がそのまま小分けに下水道工事現場へ搬出されていれば問題ありませんが、改良土に品質の粗悪な土を業者が意図的に混入して下水道工事現場へ搬出する可能性もあると考えられます。
例えば、この写真などは、産業廃棄物名が瓦れき類になって保管をしているというところもございます。仮置きされた改良土が、間違いなくそのまま下水道工事現場へ搬出されているということをどのように確認しているのか、伺います。
下水道局長
土づくりの里におきましては、工事の請負者に改良土の搬出に使用する運搬車両を事前に登録させるとともに、伝票などにより改良土の搬出を適切に管理しているところです。
具体的には、土づくりの里から搬出される改良土につきましては、事前登録されました運搬車両が改良土を搬出するごとに、日付、出庫時間、車両番号、積載量を記載した伝票が発行されております。
一方、請負者は、土木工事標準仕様書に基づきまして、材質がわかるように埋め戻し状況の写真撮影を行うとともに、一定の頻度で埋め戻し現場におきます貫入試験を実施し、埋め戻し土の強度の確認を行っております。
また、工事現場に改良土が搬入される都度、色やにおい、粒子の大きさ等の材質などの確認によりまして、土づくりの里の改良土であることを確認しております。
改良土の仮置きを必要とする工事につきましては、工事請負者は仮置き場所の住所や運搬経路などを施工計画書として提出するとともに、仮置き場所において、改良土と他の土との混入が防止できるよう、適切に管理されていることを定期的に確認しております。
これらの品質管理の実施結果や写真などにつきましては、請負者から工事監督員に提出されますが、工事監督員は、土づくりの里が発行しました伝票と設計数量との照合、埋め戻し状況の写真による改良土の材質の確認、貫入試験結果による埋め戻し土の強度の確認などによりまして、土づくりの里の改良土が適切に工事現場に搬入されたことを確認しております。
下水道局といたしましては、このような品質管理の方法によりまして、土づくりの里から搬出された改良土が仮置きされる場合でも、最終的には下水道工事の現場に適切に搬入されているものと考えております。悪意で意図的にというふうなことが発生するということは、基本的には考えておりません。
大西委員
指摘した事例は想定していないというご答弁でございましたが、この写真でもわかるように、資材置き場に使われているところは外壁に囲まれている場合が多うございます。これは中を隠すというよりも、粉じんが外に飛ばないように外壁がつくられているわけですが、しかし、中が見えないのもまた事実でございます。疑ってかかる必要もないとは思いますが、十二分に確認されることを望みます。
また、民間の残土、資材センターに持ち込みということは、費用面で疑問も残ります。先ほどの調査の事例では埼玉に運ばれているわけでございますから、トラックの運送費用や土の保管経費などが余分にかかったり、さらに余分なCO2排出など、問題もあることを指摘しておきます。
これまでの答弁で、土づくりの重要性、このことはある程度理解しているつもりではおります。しかしながら、この施設は水処理施設の整備までの暫定施設と聞いており、地元住民の立場からいえば、水再生センターの施設が整備され、その上部が公園に開放されることを強く望む声があるのもまた事実です。
そこで、この土づくりの里は、いつまで建設発生土の改良プラントとして使い続けるおつもりなのか、お伺いいたします。
下水道局長
建設発生土の改良は、埋立処分量の削減や建設資源の有効利用を図ることなどを目的に整備されたものでございまして、下水道工事の建設発生土を改良して埋め戻しに再利用する大変重要な施設と、土づくりの里は位置づけております。
改良プラント用地として使用するために必要な規模、先ほど先生もおっしゃいました車のむだな排気ガスを出さないために、下水道工事現場からの運搬費用等を考慮いたしまして、暫定的に中川水再生センターの拡張用地に整備したものでございます。
今後とも、地元住民の代表、足立区、局で構成いたします中川処理場連絡協議会におきまして、建設発生土の再利用の重要性などにつきましてご理解を得ながら、本施設などを活用いたしまして、下水道局における建設発生土の有効利用を引き続き図ってまいります。
大西委員
今のご答弁の中で、暫定的に整備したとございました。これは昭和六十一年十二月に、当初の都市計画法上の目的になかった残土プラント施設の基本計画が示され、期間は十年だから認めてくれと設置したわけでございます。その後、昭和六十二年の第十三回の中川地区下水道整備連絡協議会にて、多少前後することもあろうかという前置きつきで、一九九四年までに終了するとの約束もしております。昭和六十一年からは既に二十二年、一九九四年からは既に十四年が過ぎています。いまだに暫定的というのは少しおかしいのではないかと思います。
また、この場所は都が指定した避難場所にもなっています。今、大震災が起これば、避難所として機能しづらいのは明白です。何よりも、近隣住民は一刻も早いこの施設の移転と公園化を強く望んでいます。二十年以上も我慢しているんだというのも本音であります。住民の声に真摯に耳を傾け、そして、この施設の存在意義をもう一度考え直す必要もあります。
この中川の例を一例と挙げましたが、このような施設はほかにもあると思います。本当に必要な施設であるのかどうなのか、その効果や意義、また運用の仕方、近隣への影響などを定期的に深く調査する必要性をあえて指摘させていただき、質問を終わります。