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平成19年度公営企業会計決算特別委員会

松村友昭
松村友昭(日本共産党)

都民サービスのあり方

松村委員
 私からも、墨東病院で亡くなられた妊婦の方に心から哀悼の意を表するとともに、改めて、都立病院における医師不足の深刻な現状、そして都立病院のあり方が問われている問題について伺います。
 まず、平成十一年の財政再建推進プランで、都立病院への一般会計補助についてどのように指摘されたのか。また、当時の衛生局は、これを受けてどう対応したのですか。

病院経営本部長
 財政再建推進プランでは、施策の見直し、再構築を進める中で、経常経費を平成十五年度までに一般財源ベースで十一年度予算額の二〇%削減することを目標として、経費の圧縮に取り組むとしております。この間、病床の効率的運用や経費の節減等の経営努力を行った結果、このプランの最終年度である十五年度の一般会計補助予算額は四百六億円であり、十一年度の五百八億円と比較して百二億円の減少となっております。
 なお、この間、都立病院では、患者相談窓口の設置、東京ERの開設や女性専用外来の設置など、医療サービスのさらなる向上も行ったところであります。


松村委員
 財政再建推進プランを忠実に実行し、四年間で二〇%、百億円以上削減しました。その中でつくられたのが都立病院改革マスタープランであり、それに基づく都立病院改革実行プログラム、これがつくられたわけです。
 平成十五年に策定した都立病院改革実行プログラム、ここに持ってきておりますし、この中での収支計画、ここに書かれておりますけれども、都立病院への一般会計繰入金を、平成十五年度の四百六億円から、本決算年度の平成十九年度には二百七十二億円まで減らしているわけです。どういう根拠で繰入金をこんなに減らすことができると考えていたのですか。

病院経営本部長
 平成十五年一月の計画策定時には、計画期間中に大久保病院、荏原病院、豊島病院の東京都保健医療公社への移管等を予定しており、病院数の減少による規模減を見込んでいたことが繰入金減少の大きな要素となっております。これに加えて、病床利用の効率化などの方策により経営改善努力を行うことで収支改善を図っていくことも、収支推計値の中には含まれております。


松村委員
 都立病院への繰入金は、救急や周産期医療を初めとした行政医療、不採算医療に対するものです。平成十一年度五百八億円だった繰入金を十九年度には二百七十二億円、五割近くまで減らすという、こんなことをしたら、都立病院が担うべき行政医療、不採算医療を大幅に縮小せざるを得ないことは明らかではないでしょうか。このような計画が大失敗だったことは既にはっきりしました。抜本的な再検討が必要です。
 平成十一年度に築地産院が廃止され、都立病院改革マスタープランに基づいて、平成十四年に母子保健院が廃止されました。築地産院と母子保健院には、産科医師、助産師がそれぞれ何人いて、年間の分娩件数、またNICUは何床あったのですか。

病院経営本部長
 まず、築地産院の産科医師数、助産師数、分娩件数、それからNICUの数でございますが、平成十一年に墨東病院へ統合いたしました築地産院は、その前年度の平成十年度の数字が一年間トータルで見られる数字でございまして、産科医師は六名、助産師は四十四名、分娩件数は一千五十一件で、NICUは十二床でございました。
 また、母子保健院、同様に廃院の前年度である平成十三年度の数字を申し上げますが、産科医師は五名、助産師は二十五名、分娩件数九百四十九件、NICUは三床でございました。


松村委員
 平成十年度以降、墨東病院の産科医師とNICU病床数は毎年どう推移してきましたか。また、本決算年度の母体搬送受け入れ状況、直近でいいんですけれども、それについて伺います。

病院経営本部長
 墨東病院の産科医の人員の推移でございますが、いずれも十月一日時点の数字でございますが、十五年度八名、十六、十七年度が七名、十八年度五名、十九年度四名となってございます。
 搬送受け入れ要請件数でございますが、最近、直近三年間のものでございますが、十七年度が二百八十五件、十八年度三百二十件、十九年度三百八十九件でございます。(松村委員「受け入れ率ですよ。それとNICU。委員長、端的に答えるようにいってください」と呼ぶ)
 失礼しました。NICUにつきましては、新病棟開設後の平成十一年度が十二床でございまして、以後、今日までこの十二床で来ております。


松村委員
 受け入れ件数、先ほどパーセントが示されましたので、繰り返しません。
 廃止された二つの病院を合わせれば、産科医師は十一名の体制、NICUは十五床であるはずが、統合した墨東病院は、定数が九、しかも、先ほど答弁がありました大幅欠員で、本決算年度の十九年度末には三名という事態になっていたと。NICUも三床減らしてしまいました。この結果が、拠点病院でありながら、要請の半数近く受け入れを断るという事態になっているのです。
 限られた資源の有効活用のための拠点づくりだといって統廃合を繰り返してきましたが、拠点病院は機能しない、引き揚げられた地域には何も残らない、こういう結果ではないですか。本部長はどう思いますか。

病院経営本部長
 都立産院のまず廃止の経緯、理由でございますが、都立産院のあり方を検討しておりました平成五年当時、この当時において、少子、少産化などを背景として、分娩件数、助産件数とも、二十年前と比較して大幅に減少しておりました。その一方で、分娩件数に占める低体重児の割合は増加するなど、より質の高い母子医療体制の整備が求められていたところでございます。
 こうしたことから、都立病院においては、分娩を扱う産科だけの体制から、内科や小児科などの総合診療基盤が整備されている総合病院を中心とした周産期医療体制の充実を図ることが必要と考えたものでございます。
 なお、産院の廃止が行われたわけでございますが、それに伴いまして、従前の産院にいた医師、看護師、助産師は他の都立病院に配置がえをするということで、その後もそれぞれの部署で活躍をされておりますし、NICUにつきましても、産院で保有していたNICUは他の都立病院に移すことによって、NICUの都立病院全体の保有数は、産院の廃止によっても変わっておりません。


松村委員
 長期的見通しも持たず、そういう計画をつくってやってきた途端に失敗したということは、今でもはっきりしているというふうに思います。都立病院改革プログラムは、抜本的な見直し、再検討が今求められているというふうに思います。
 都立病院の医師不足の背景に、給与が低い、働く待遇が不十分であることが指摘されています。平成十一年の外部監査で、医師の待遇を初め都立病院の運営についてどういう指摘がなされていたのですか。

病院経営本部長
 平成十一年度の包括外部監査では、自治体病院平均値との比較を行った結果、医師については、常勤医師の人数を削減するための方策について検討されたい、看護要員については、特に一人当たり月額給与単価を適正化するための方策について検討されたい、事務職員については、都立病院の月額給与単価が非常に高いことが判明したため、適正化するための方策について検討されたいなどといった包括外部監査人からの意見がございました。


松村委員
 包括外部監査は、石原知事が目玉として導入したものです。平成十一年度に初めて実施された包括外部監査の対象にされたのがこの都立病院で、その結果、都立病院に補助金が過剰に支出されている、中でも医師の給与が高過ぎるというものでした。当時、石原知事は、病院の院長は医師である必要はないとか、月刊誌で、医師は死ななきゃ治らない、こんなことまでいっていたんですよ。そういう対談までしていました。さらに、都立病院の売却を視野に入れた、検討するなどといってつくられたのが、この都立病院改革マスタープランだったのです。
 この間の都立病院医師の手当を含めた年間給与の推移は、それではどうなっていますか。一九七六年度、八六年度、九六年度、そして二〇〇六年度について、また全国の自治体病院と比較した推移はどうですか。端的に答えてください。

病院経営本部長
 総務省の地方公営企業年鑑から都立病院医師の給与を他の自治体と比較いたしますと、一九七六年度は五十六自治体中三十一位、八六年度は五十七自治体中五十位、九六年度は五十九自治体中五十七位、二〇〇六年は六十一自治体中六十一位でございます。このように、東京都の給与水準は、かなり以前から他の自治体に比べて非常に低い状況にあったわけでございます。
 しかしながら、多くの医師は、勤務先を選ぶに当たりまして、給与以外に、給与よりも、むしろみずからのスキルをアップできる条件がどこが整っているのか、具体的には、豊富な症例を経験できるとか、出身医局と近接しているとか、医療界の多様な人材との交流ができるとか、そういったことに重きを置く傾向がございまして、現に都立病院においてはそのような条件が非常にそろっていたことから、自治体の中での給与は低くても、医師の充足率は九八%というような高い数字が、十年前、二十年前の状況でございます。


松村委員
 今の数字は、七六年というのは美濃部都政ですよね、真ん中ちょっと下でした。八六年は鈴木都政、下から七番目。九六年は青島都政で、下から二番目。そして石原都政で最下位となったのです。
 この物価の高い東京で、ほかのいろんな要素があるから給与は低くてもいいんだと、そんな今のいい分、本当にあきれてしまいますけれども、こういう事態に置かれたのは、まさに包括外部監査の指摘とは全く違って、一貫して全国最低水準に落ちてきたんですよ。にもかかわらず、石原知事がいい出した包括外部監査による指摘や財政再建推進プランに縛られて、全く改善が進まなかった、そういうことじゃないでしょうか。
 人事院勧告に責任があるというが、手当を改善したいときは、都が方針を決めて予算をつけ、それを受けて人勧の勧告があります。要は東京都の姿勢の問題であることが明らかじゃありませんか。ですから、行き過ぎちゃったから、知事もようやく本決算年度に少し手当を上げ、そしてまた今年度、皆さん方が大幅にやったんだという、それでも中位ぐらいですけれども、だから、これはやる気になればできるわけです。それをやってこなかったというのが、まさにこれまでの都の実態ではないでしょうか。
 都立病院の医師の一層の待遇改善が必要だと思いますが、どうでしょうか。

病院経営本部長
 医師の処遇につきましては、先ほども申し上げましたとおり、給与だけを見るのではなく、医師が働きやすい勤務環境、そして、医師はみずからの成長、スキルのアップができるのかどうかということを非常に重要なファクターとして考えるものでございます。そういう中で、都立病院はそういった要素が非常に多くそろっておりましたので、医師の充足については、給与を他の自治体よりもそれほど気にしなくても十分に確保できたという歴史的な事実がございます。
 そういうことではございますが、十六年度から医師臨床研修制度が導入され、大学の医局の医師引き揚げなどにより、このころから医師不足が大きな社会的な問題として顕著化してきたわけでございます。
 これをとらえ、東京都におきましても、十七年度に医師の確保、定着を促進するための給与の引き上げを検討し、十八年度は初任給調整手当の引き上げ、十九年度は宿日直手当の支給総額の増額を図りました。さらに、東京医師アカデミー開講に伴い、指導医層の確保、定着を促進するとともに、産科医師を初めとする医師不足がさらに深刻化する中で、都立病院における医師の確保、定着のため、今年度、年収で三百万を超える大幅な給与の引き上げを行ったところでございます。
 このように、東京都といたしましては適時適切に処遇改善を行ってきておりまして、都の、処遇改善を行っていない、あるいはおくれているという指摘は当たらないと考えております。


松村委員
 今まで指摘した事実をきちっと見なさいよ。本当に見苦しいというか、そういういいわけ、そんなことをやっているから、今後とも都立病院が信頼の置ける病院になるかどうか、本当に危惧されますね。
 産科、周産期医療の分野では、女性医師の確保が特に大事となってきています。大阪厚生年金病院を初め、都立病院以外の病院における女性医師の確保、働く環境の改善に向けた先進的な取り組みを把握していますか。また、それらの取り組みをどう評価しているのですか。

病院経営本部長
 昨年度、都立病院で実際に勤務している女性医師や大学医局、日本産婦人科学会等と精力的に意見交換を行い、都立病院の勤務実態に即した、育児と勤務が両立できる勤務環境改善に向けた検討を重ね、その過程において、当然のことながら、ご指摘の大阪厚生年金病院等の取り組みについても把握をしているところでございます。
 この病院につきましては、女性医師の働きやすい職場づくりに熱心であるというふうに私どもも考えておりますが、それぞれの病院の事情、考え方もありまして、違うところはあるわけでございますが、育児休業、都立も三年、こちらの病院も三年でございます。最大三年でございます。それから、短時間勤務を入れているというのも、両方とも同じでございます。また、院内保育をそれぞれ実施しているということで、大まかにいって、やっていることは、多少違いはありますが、全体としては同じような状況にあろうかというふうに考えております。
 ちなみに、二十四時間保育につきましては、既に東京都の方ではやっておりますが、こちらの病院ではまだやっていないという状況でございます。


松村委員
 ちゃんと見てくださいよ。大阪厚生年金病院では、女性医師の場合、育児休業は三年間であり、そのうち一年六カ月は雇用保険から月給の四割の有給保障があります。もしその三年間に就業したい場合には、週一日以上あれば、希望の日数の就業も可能です。お子さんが三歳以上になっても、小学校卒業までは、週三時間以上働けば正式職員として就業可能です。これらの就業時間短縮があっても、賞与は全額支給され、昇進に影響ありません。看護師やその他の職員もすべて同様というものです。
 この結果、この病院では、産婦人科をとってみても、平成十九年度までの四年間で、医師の人件費も増加していますが、分娩件数は二倍、医業収入も五億から七億近くまで伸ばしています。また、産婦人科医師の超勤時間が、平成十六年度が一人平均二百三十・二時間から平成十九年度には九十三・一時間に短縮されています。こういう先進的な取り組みをもし把握しているというんだったら、やはり都立病院においても実践すべきではないでしょうか。
 当面、私は、夜間の出産が多い産科については、当直勤務ではなく夜勤にして、看護師と同じように交代勤務を実施することを求めて、次の質問に移ります。

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築地市場移転問題

松村委員
 次に、築地市場の豊洲移転問題について伺います。
 これまでの質疑で、豊洲の土壌汚染については、東京ガスが一九九八年から二〇〇七年にかけて行った調査と対策が、当時の基準、条例に基づくもので、内容についても手厚いものだと市場は繰り返し答弁していますが、それで移転予定地に決めた中央卸売市場の責任が本当に逃れられるものなのかということなんです。同じ東京ガスの田町工場跡地では、この間の法改正で、新たな基準での調査でより深刻な汚染状態が判明していたにもかかわらず、それを承知の上で、法を盾に豊洲への移転を強行しようとしたからです。
 しかし、世論と都民運動がそれを許さず、石原知事も追い詰められて再調査した結果、今日の事態に至っていることからも明確です。
 食の安全というのは、なぜ市場として万全な調査と対策をとることで臨まなかったんですか。市場の責任を問うているのです。見解を求めます。

中央卸売市場長
 東京ガス株式会社は、平成十年から十一年にかけて、国の土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針に基づき、土壌と地下水の調査を実施いたしました。また、平成十四年には、前年に施行された環境確保条例に対応し、市場用地という特性も踏まえ、ベンゼンの表層土壌ガス調査を追加実施してございます。
 これらの調査結果を受け、東京ガス株式会社は、環境確保条例に基づき、環境基準の十倍を超える汚染物質を深さにかかわらず除去するとともに、工場操業時の地盤面から深さ二メートルの範囲の環境基準を超える物質を除去し、平成十九年に対策を完了しております。
 これら東京ガス株式会社が行った調査及び対策は、当時の国の指針や都の条例に基づいたものでございます。


松村委員
 東京ガスが行った当時の調査、対策について聞いているんじゃないんですよ。それで、よしと安全宣言まで行って移転をやろうとしたんですよ、市場が。そして、世論がそれをストップさせ、今日の事態となって再調査したという結果で、さらに今、技術会議で抜本的な対策を、さっき、市場会計じゃないからということだと、恐らく一般会計からの莫大な対策費用を持ち出してやらざるを得なくなった。そういうことになるに至った、その認識はどうなのかということを問うているんです。
 もしそういう都民の世論や、石原知事が都知事選挙で追い詰められて、そういう公約と約束をしなければ、市場はそのままで、東京ガスがやった対策のままで、当時の法制度では十分なんだということでやってしまったでしょう。それと、今のこの時点に立ったその認識、反省はあるのかというふうに聞いているんです。

中央卸売市場長
 東京ガス株式会社が行いました調査、対策については、ただいまご答弁申し上げたとおりでございますけれども、それに加えまして、東京都といたしましても、東京ガス株式会社の行った対策に加えて、さらに手厚い対策を講じるということを予定してございました。


松村委員
 この間の結果から、都民は、市場のそういう反省もない、責任を感じていない態度そのものに、食の安全に対する不信感を募らせているということを肝に銘じるべきだと思います。
 技術会議で検討しているといいますが、それは専門家会議の調査を前提にしています。ところが、その専門家会議の調査に重大な欠陥があります。科学的に重大な疑義が提起されています。
 いろいろ問題はありますが、きょうは二つの問題に絞って伺うんですけれども、まず、四千百二十二カ所の詳細調査の結果、環境基準を超過した割合は三六%でありながら、千倍以上を超えたのが土壌の二カ所、地下水で十三カ所で限定的などと、一千倍以上でなければ、環境基準を十倍または百倍なら安全と、どうしていい切れるんですか。やはり環境基準という法があるんですから、法を守る立場に立つべきではないでしょうか。

中央卸売市場長
 豊洲新市場予定地の土壌汚染の状況でございますが、敷地全域に高濃度の汚染が広がっているわけではなく、その範囲は限定的でございます。この点を正確に理解していただくために、本年十月に策定したパンフレットにおいて、豊洲新市場予定地の汚染状況を、環境基準の千倍を一つの基準として、土壌と地下水の高濃度の汚染の分布を具体的にお示ししたものでございます。
 したがって、これはあくまで汚染状況を示したものでございまして、安全であるか否かを述べたものではございません。
 なお、このパンフレットの中には、環境基準を超えた箇所数、それから、環境基準が健康にどういう影響を及ぼすかということもきちんと明記してございます。


松村委員
 ここにパネルを、お許しをいただきまして、ありますけれども、今、この高濃度、四万三千倍だとか出たのがこの二カ所。これは限定的だというんですけれども、これを見てください。十倍、百倍、つまり環境基準を超えている。これはだから、グリーン以外はその表示なんですよね。限定的どころか、全体へ広がっているじゃないですか。こういう汚染が現実に調査結果で明らかになっているんですよ。
 今、その答弁は、環境基準が人体にどういう影響を与えているかパンフレットの中にも書いてありますといいますけれども、市場として、そういうことで安全だということがいえるんですかというふうに質問しているんですよ。いかがですか。

中央卸売市場長
 ただいまご答弁申し上げましたとおり、一千倍というのは、豊洲の新市場予定地が高濃度の汚染で全面が汚染されているわけではないということを、一つの一千倍ということを基準にお示ししたものでございまして、安全性の問題について、そこで云々しているわけではございません。


松村委員
 先に進みます。全くひどい話ですよね。一千倍以上じゃなければ問題ないと。
 もう一つは、有楽町層というふうにいわれているものですけれども、専門家会議の提言を受け、技術会議で検討して対策をとるといいますけれども、有楽町層の下の地下水は汚染されていないことを前提にしていますよね。しかし、有楽町層の下が汚染されていないという科学的な根拠は、調査をしていないんですから、示されていないんです。地質の専門家は、そもそも有楽町層は不透水層でないと指摘しているんですよ。違いますか。
 しかも、六月二十日の委員会で我が党は指摘しました。「ゆりかもめ」や水道管のボーリング、または「ゆりかもめ」の橋脚についてただす中で、どういうことを答えているんですか。調査時の記録がないとか、汚染が広がっている可能性は少ないとか、くいの周辺から水が漏れていることはないなどと答弁していますけれども、こんな無責任な科学的根拠もない答弁で、調査もしないで有楽町層下の地下水汚染はないなどというふうに私はいい切れないと思います。
 大体、専門家会議がそういっているといいますけれども、日本環境学会は八月九日に声明を出し、埋め立て以前の軟弱な自然地層である有楽町層は、移転予定地の浅層部に広く分布し、問題となっている東京ガスの過去の工場操業に伴う地層汚染は、この層にまで及んでいる懸念が極めて濃いのに、専門家会議は、有楽町層は不透水層であるから汚染が及んだ可能性は低いなどという、全く、そういう判断に立っているということを厳しく指摘しています。
 そこで、もう一つの問題は、現地再整備の問題です。知事は、現地再整備ができない理由にアスベスト対策問題を挙げていました。築地市場のアスベスト問題は、この間の我が党の質疑によって、飛散性でないし、安定していることからも、工事期間が長くなる問題があるが、現地再整備上、支障にならないことが明らかになっています。
 問題は種地ですけれども、都は現市場内に種地がないといいますが、なぜ市場内に限るのですか。

中央卸売市場長
 築地市場は、卸、仲卸業者を初め物販業者、輸送業者などの関連事業者が一体となって機能していることから、売り場や荷さばき場、駐車場などが分断されないようにすることが必要でございます。
 このため、種地の場所は、ターレットやフォークリフトなどの構内搬送車両による荷の搬送が可能な距離にあること、買い出し人が水産、青果の仲卸店舗や関連店舗などの買い回りのため容易に移動できる位置にあること、仮移転に伴い店舗間に格差が生じ、営業活動に深刻な影響を与えない位置にあることなどが必要でございます。
 こうしたことから、種地の場所は、場内または隣接した場所に確保することが不可欠でございます。


松村委員
 市場がいっている、種地が四・二ヘクタール必要だというのは、豊洲につくろうとしている新市場の規模と面積をこちらの市場でやるようなことを想定して、現在地再整備はできないということを盛んに根拠としておりますけれども、それは、今やはり市場に求められている耐震化とか老朽化、そういうものを即刻やっていく、そして、新たに今そういう規模の市場が必要だったら、改めて考えるというやり方もあるではありませんか。
 大体、今、市場が、現に最盛期の六割以下になっている。これからの人口増もわからない。いろいろな経済不安がある中、なぜそもそもそういう大規模なその市場でなければならないというふうに、そこにしがみつくのか。だから、新市場の豊洲の規模を考えなければ--地元区もはっきりいっております。また、関係業者も、改めていろいろ、現地再整備ができるんだという提案をしているんです。そのことにしっかり耳を傾けなければならないと思います。
 中央区長は、十一月十日、中央区の築地市場等街づくり対策特別委員会で、現在地再整備なら、種地の協力などに全力を尽くすと断言しております。やはり、直ちにそういう地元区と私は協議を開始するべきだというふうに思います。
 もう一つは、この十一月七日に、東卸、水産協同組合の総代会選挙が行われ、百名の総代の七割を反対派の方が占めた。それからあと、三人に一人選ばれる理事についても、恐らく六割が理事を占めるだろうと出ております。やはり反対という声が、そういう関係者の中から高まってきているわけであります。やはりそういうところとしっかり話し合って意見を求めて、この再整備問題は考えるべきではないでしょうか。
 これまでにも求めてまいりましたけれども、話し合うんですか。こういう団体と、または地元区と話し合うのかどうか、お聞きします。

中央卸売市場長
 築地市場の移転の問題、これは長い経緯を持っておりまして、この長い経緯の間、業界団体、それから地元区である中央区、さらには移転候補先である江東区、緊密な話し合いをしてきております。特に、特に業界団体は、これは営業がかかっておりますので、プランを作成するに当たってのさまざまな場面で検討を行い、協議を行い、やってきた経緯がございます。

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