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平成19年度公営企業会計決算特別委員会

伊藤ゆう
伊藤ゆう(民主党)

医療行政

伊藤委員
 私からも、冒頭に、八つの病院に断られ、最後に墨東病院で亡くなられました痛ましいこの出来事についての質疑から入らせていただきたいと思います。
 亡くなられた方には心より哀悼の意を表したいというふうに思いますけれども、遺族の方も会見で、せめて二度とこのようなことが起きないようにしてもらいたいんだということをいわれていたところが記憶に新しいかと思います。
 そこで、今質疑にもありましたので、まず最初に、重なるところは省略をしたいと思いますけれども、昨年までの墨東病院への母体搬送依頼数の推移は伺いましたが、受け入れ率というのを推移としてお伺いしたいと思います。

病院経営本部長
 現在精査中であるという前提で申し上げますが、墨東病院の過去三カ年の母体搬送の受け入れ率でございますが、平成十七年度が四九・八%、平成十八年度が五一・九%、平成十九年度が五一・二%という形で、ほぼ毎年同程度で推移しているところでございます。
 なお、この受け入れ率は、都内の周産期センターの中ではトップクラスの位置にございます。


伊藤委員
 聞くところでは、ほかの民間病院を含めて、多くの病院では受け入れ率が五〇%よりも大幅に下回っているところが多いというふうに伺っていますので、墨東病院では半数の受け入れ率ということで、ほかの病院よりはいいということですけど、それにしても二件に一件は受け入れができない状況ということなんだと思います。そういう意味では、まだまだ深刻な状況が今後も続くという認識を持たざるを得ないというふうに思います。
 そこで、医師不足が大きな要因であるということがこれまでの経緯でわかってまいりましたので、今のお医者さんたちにもっと頑張れという精神論で詰めていっても、医師不足に拍車をかけるだけだという思いがいたしているところですが、都議会民主党はこのほど、墨東病院の件を受けて、緊急に実施できる課題として、救急司令室への母子緊急搬送コーディネーターの設置を石原知事あてに求めました。これは、人員不足に悩む病院側にコーディネートの負担を負わせないという点で重要であります。対して、都はこのほど、東京緊急対策Ⅱの中に、医療体制の充実として、総合周産期母子医療センターにおいてハイリスク患者受け入れ、紹介機能の充実を図るため、夜間、土曜、休日に助産師等のコーディネーターを配置します、こういうふうにうたったわけでございます。
 コーディネーターの設置は、自分自身の病院の状況を把握し、調整をする人員が新たに設置されるだけでも、現場の医師の勤務環境の改善につながるという意味で期待できると思いますけれども、しかし、医師同士のやりとりでも、病院をまたがる場合、特に十分な意思疎通が図れない、すれ違ってしまう、あるいは認識の相違が生じるということがあるようであります。
 このコーディネーターを設置することのメリットもありますけれども、同時に、このコーディネーターは大変な重責を担うことになるわけですから、どんな位置づけにするのかによって、そのコーディネーターから電話を受け搬送依頼をされた医師も受けとめ方が違ってくる。正直申し上げれば、お医者さんからの電話であれば丁寧な対応をするけれども、しかし助産師さんから電話を受けても、こっちだって手いっぱいなんだと、こんな認識では、コーディネーターの方も十分な仕事が果たしづらいのではないか、こう思うわけであります。
 そこで、この設置されるコーディネーターはどのような位置づけでどのように活用されるのか、伺いたいと思います。

病院経営本部長
 今回、東京緊急対策Ⅱで発表しました助産師等によるコーディネーターは、総合周産期母子医療センターにおいてハイリスク患者の受け入れ、紹介機能の充実を図るために配置するものでございます。
 具体的には、夜間、土曜、休日に配置し、医師の指示のもとで、搬送依頼元からの受け入れ要請に対して、新生児科など院内関係部門との調整の上、受け入れの可否を検討したり、自院で受け入れられない場合には、他の受け入れ先を確認、調整の上、紹介するなどの業務を想定してございます。
 これにより、産科医師が不足し繁忙の中で、これまでより医師が診療に専念できる環境をつくるとともに、円滑な搬送受け入れの調整が可能となると考えております。


伊藤委員
 つまり、今回の墨東病院のケースでいえば、電話が一番最初にかかってきた段階で、この墨東病院の中にコーディネーターがいて、そのコーディネーターが、自分の院でもし受け入れられない場合はほかの院を探してあげますよ、こういうコーディネーターの役割になっていくんだろうと思うんですけれども、その役割において必要なことが幾つかあるのではないかと思いますので、伺いたいというふうに思います。
 コーディネーターに当たっては、当然研修が必要だと思うんですけれども、特に、搬送調整の相手先である地域の病院やほかの周産期のセンターとも、患者の容体を正しく伝える共通言語でのやりとりというものがこれから重要になってくるのではないかなというふうに思います。
 聞くところによりますと、これは、搬送先を探す救急救命士さん及びそれを受け入れるお医者さんから伺いましたけれども、搬送先を探す救急救命士は、受け入れ先を確保しやすいように患者の容体をあえて軽く病院側に伝えて、できるだけ受け入れてもらうということも中にはあるようであります。電話での情報伝達に当然なりますから、受け入れ先を探す側と受け入れる側、そのそれぞれの一言一言が救急患者の命を左右することにもなりかねません。
 そこで、総合周産期の医療センターに設置されるコーディネーターと、かかりつけ医や受け入れ病院との正しい共通言語を確立する必要があると思いますが、搬送先調整業務からかんがみて、どのような準備が必要というふうにお考えでしょうか。

病院経営本部長
 今回設置いたしますコーディネーターは、助産師や看護師などで、医師をサポートできる相当程度の知識、経験を持っている人材を充てることを考えております。その上でさらに、的確に調整するために必要となる事項をあらかじめ明確にしておくことや、業務に必要な研修、訓練を行うことなどが事前準備として必要と考えております。
 今後、地域の医療関係者等とも精力的に協議、調整を行い、早期に実施に移せるよう努めてまいります。
 なお、医療者間の情報の共有については、さきに行われた東京都周産期医療協議会でも課題が提起されていることから、こうした動向も十分に注視してまいりたいと思っております。


伊藤委員
 その東京都周産期医療協議会等をぜひ活用していただいて、東京都の側だけで一方的に決めるルール設定ではなくて、それぞれの皆さんからの意見というのも集約しながら、共通言語の確立というものをぜひ目指していただきたいというふうに思います。
 次いで、病院経営においての未納金について伺いたいというふうに思います。
 病院経営において、医療費の未納金は経営圧迫の大きな要因になる課題であります。都立病院では、平成十九年度に約九億六千万円、平成十八年度も九億二千万、その以前も大体十億円以上の未納金が発生をしており、看過できない金額になっています。
 とりわけ出産費用は、十日前後の入院が必要となり、都立病院でもおよそ三十五万円程度になっています。出産の場合、健康に退院をした母子は必ずしも通院をする必要がありませんので、その治療費を残したまま行方をくらましてしまうというケースも多いのではないかというふうに思います。
 そこで、未納金に占める産科医療費の割合は一体幾らぐらいになるのか伺いたいと思います。

病院経営本部長
 現在の未収金管理は、収納状況を個人別に把握する必要があることから患者別の管理となっており、診療科別内訳等を即座に把握できる状況になっておりませんが、昨年十月に、国の検討会である医療機関の未収金問題に関する検討会の依頼により、都立ER三病院のみを調査対象としたものがございますが、それでは、入院の未収金全体に占める産婦人科の割合は一二・四%となっております。


伊藤委員
 全体の一二・四%という答弁でありました。恐らくは外科とか内科の方がもっと多いんですよということになると思いますけれども、しかし、例の産科医不足からすれば、今、出産の受け入れ数は年々減少傾向にあって、ほかの科に比べてかかっている患者さんの数もうんと少ないというふうに思いますので、このパーセンテージ以上の、恐らく一件当たりがどうしても三十五万円程度になってきますから、大きいんだというふうに思います。
 そして、もう一つ、今の答弁の中で着目したいと思いますのは、診療科別の内訳を即座に把握できる状況になっていないという点であります。未納金を回収するということは当然大事なことであって、当然、その未納金を回収するために、どういうところで未納金というのが発生しやすいのかということを正確に把握する必要があるというふうに思うんです。こうした分析をすることが未納金発生を防ぐ上で重要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

病院経営本部長
 未収金の発生原因の分析やその管理は、堅実な病院経営を行っていく上で重要な課題であると考えております。この認識のもと、平成十九年度に、未収金の発生防止、回収強化策等を検討する本部、病院職員で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、改善策等について検討したところでございます。
 その検討結果を生かし、今年度中に未収金管理システムの改修を行い、診療科別内訳等を把握し、一層の管理の徹底及び状況分析を行っていくこととしております。


伊藤委員
 このぐらいの、どの科がどれぐらいの未納金を発生していたかというのは、もっと早く取り組んでおくというのが、未納金対策を徹底的にやっているという姿勢だというふうに思いますので、遅きに失したということは申しませんが、ぜひ、できるだけ早くこの分析というものをちゃんとやっていただきたいと、こういうふうに思います。
 そして、未納金対策に、都は、税務当局の協力も得て全力を挙げているというふうに伺っていますけれども、退院後の未納金徴収は時間的にも人件費的にも当然高くつくわけでありまして、未納金を未然に防ぐには、退院後よりも治療中あるいは入院中に、支払ってもらうかどうかはともかくとして、支払いの意思を確認するということは非常に大事なことではないかなというふうに思います。
 その上で、退院前の費用徴収を確実にする必要も同時にありますけれども、出産など高額医療行為に及ぶ場合は、医療費の一部を前金で徴収し、支払い能力と、そしてその意思を把握するべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

病院経営本部長
 前金、いわゆる入院時の預かり金制度については、第二次都立病院改革実行プログラムにおいて、国や他の自治体病院の状況を踏まえ、制度導入を検討することとしております。
 また、平成二十年七月に出された国の医療機関の未収金問題に関する検討会報告書では、この預かり金制度に関して言及しているものの、医師法第十九条における応招義務との関係については、なお検討が必要であるとされております。
 こうした中で、預かり金制度の導入について、収納事務が煩雑になることや、公立病院ではまだまだ普及していない現状のもとで患者さんの抵抗感などが懸念されるなど、引き続き検討すべき課題があると考えております。
 なお、未収金となる可能性の高い患者さんについては、現在も、看護師と医療相談員が連携し、早い段階で公的負担制度や医療費助成制度の紹介を行ったり、支払いの相談に応じたりしているところでございます。


伊藤委員
 ぜひ、この前金については積極的に検討していただきたいと思います。入院中に、もし支払いの意思がないことが確認できれば、お見舞いにいらっしゃった家族の方に事情を説明し、そして家族の方にも協力をしてもらって未納金の発生の抑止をしていくということも可能だというふうに思いますので、ぜひとも積極的にご検討いただきたいというふうに思います。

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水行政

伊藤委員
 次いで、八ッ場ダムについてお伺いしたいというふうに思います。
 八ッ場ダムの必要性の根拠となっているのは、水の需要予測でございます。東京都は、平成二十五年の一日最大配水量を六百万と定めたわけですけれども、これに対して、国の予測に基づいた調査結果では、著しく利根川水系の供給能力が落ちるんだということになっているわけですけれども、近年の実績値として、利根川水系の供給能力は計画段階と比べてどれぐらい低下したといえるのか、お伺いしたいと思います。

水道局長
 利根川流域の降雨状況は、ダムなどが計画された当時に比べて、雨の多いときと少ないときの変動幅が拡大してきており、全体としても減少傾向にあります。
 国土交通省は、本年七月、利根川、荒川水系の水資源開発基本計画を改定するに当たり、ダムなどから安定的に供給できる水量の評価を行っております。その結果、当初計画していた供給能力に対し、利根川では二一・四%、荒川では二八・二%の減少とされております。


伊藤委員
 この国の調査、予測に基づけば、利根川では二一・四%ということであるようですけれども、そうしますと、東京都として、この国の出した供給予測についてはどのような検証を加えたのか、伺いたいと思います。

水道局長
 今回、国土交通省が行いました安定供給可能量の評価は、近年二十年間の日々の河川の流況をもとに、ダムの貯水量を活用し、年間を通じて取水できるかどうか、また不足する場合には、当初計画された開発水量をどの程度切り下げる必要があるかについて、それぞれのダムの流入量や放流量、基準地点における河川の流量、複数のダムにおける運用ルールなどの設定条件に基づき、コンピューターによるシミュレーション計算を繰り返し行って算出したものでございます。
 その評価結果については、当局では、評価の考え方や前提条件及び評価方法等について、具体的かつ詳細な説明を受けて確認しており、妥当なものと考えております。


伊藤委員
 国の出してきたものに対して、その計算方法等を聞いたところ、妥当だったということですけれども、私もこの説明を、延べで大体四時間ぐらい受けましたけれども、まあそれはもう、本当に複雑怪奇な話でありまして、十数個のダムのそれぞれの貯水率等のシミュレーションを、一つのダムがこうなればこっちのダムがこう影響を受けてということで、普通、人間の頭で整理がついて、これはなるほどなといえる代物ではありませんで、現に東京都としても独自の検証を行いにくいのは、スーパーコンピューターによる計算であって、東京都にはそのようなコンピューターがないということでありますから、説明を受けて、何となくそうかなというふうに思われたんだと思いますけれども、果たしてこれが本当にその二一%の供給能力の減少になるかどうかというのは、東京都としては独自に確認のしようがないというのが私は実態だというふうに思っています。
 そこで、特にこの供給能力、つまり、ダムの供給能力が当初想定したよりも少なくなっている一番の理由は、ダムが壊れちゃったとか、あるいは改修工事が必要だという意味ではなくて、降雨量が基本的に変わったんだ、気象状況が変わったから二〇%の供給能力が減っちゃったんですと、こういう話だというふうに思います。そして、その変わっちゃった年数を見ますと、昭和三十五年から昭和六十二年ですから、二十七年間において、基本的には日本の、東京の気象環境が二〇%も供給能力が落ちるほど変わっちゃったんですという話なんですけれども、私が生まれたのは昭和五十一年ですから、昭和三十五年当時のことを存じ上げませんけれども、ほとんどの住民の方々の中で、二〇%の供給量が変わるほど気象状況が変わったのかというのは、甚だ疑問だというふうに思うわけであります。
 そこで、東京都は、降雨量だけではなくて、水がめからあふれてしまうときもあるし調整することもあるから、必ずしも降雨量だけでははかれないといいますけれども、都民の理解を得ることが極めて大事なダム建設であるとするならば、やはり降雨量というものがこれぐらい変わったんですよと、こういうことを改めて東京都としてちゃんと都民に対しては知らしめてもらいたい、周知をしてもらいたい。我々もわかるように説明をしていただきたいと思いますが、現状、その納得がいく説明を私は受けていませんし、質疑の内容をほかのものを読んでも納得できるものはありませんでした。
 しかし、この二割の話を突き詰めても、スーパーコンピューターの話になりますから前に進みませんので、改めて申し上げますが、今、八ッ場ダムが完成した場合の水源量は六百八十万トンということになっています。そして、この利根川水系が二割減ったとすると六百万トン、まさに今東京都が目指している一日最大配水量、平成二十五年当時の六百万トン、こういう計算になるんですけれども、そもそもこの六百万トンというのは本当に必要なんでしょうかと、こういうことを伺いたいというふうに思います。
 特に、この十年間程度で見れば、一日の最大配水量六百万トンを超えたことは一回もありません。そして、平成二十五年当時の人口統計というのは、これを東京都は一千二百三十八万人と見ていたわけでありますけれども、現状は、東京の人口というのは、平成二十年ですけれども、一千二百七十五万人です。
 そこで伺いたいんですが、都の水需要を予測する上で、人口予測というのは重要な要素だと私は思うんですけれども、どのようなご見解でしょうか。

水道局長
 水道事業は、給水人口だけでなく、平均世帯人員や経済成長率などさまざまな要因により変動するものでございます。当局では、需要の予測を、過去の実績及び関連するさまざまな社会経済指標を用いて、統計的手法により行っております。
 その結果、予測の基礎となる一日平均使用水量において、現時点では実績との間に大きな乖離は生じていないことから、需要予測は妥当なものと考えております。


伊藤委員
 ところが、現に平成二十年のことしで既に当時の人口予測を超えて、先ほどいいましたけれども、一千二百七十五万人です。一千二百三十八万人のときに六百万トンの一日最大配水量が必要だといっていたんですが、もう既に東京都民の人口は一千二百七十五万人を超えていますから、ある意味では、この平成二十五年のときの将来設計よりも都民の人口がふえているわけです。しかし、六百万トンの必要性はありません。
 ですから、今後のことを考えるならば、さらにここから人口がふえていくということであれば、渇水時のことを考えて六百万トン必要だと、こういうことになると思いますけれども、しかし、人口がどう推移するのかというのを正確に把握していく必要があるというふうに私は思っております。
 そこで、この人口を予測し、それをもとにした需要予測を立てる必要があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

水道局長
 先ほどもお答えいたしましたが、水道需要は、給水人口だけでなく、平均世帯人員や経済成長率などさまざまな要因により変動するものであります。当局では、需要の予測を、過去の実績及び関連するさまざまな経済指標を用いて、統計的手法により行っております。
 その結果、予測の基礎となる一日平均使用水量において、現時点では実績との間に大きな乖離は生じていないことから、需要予測は妥当なものと考えております。


伊藤委員
 わかりました。
 ちょっとお伺いしたいんですけれども、二〇〇〇年に国勢調査が最近では行われましたけれども、これは通告していませんので、局長が聞いたときにこうだと思われることを教えていただければいいんですが、二〇五〇年ごろの日本の人口が大体どれぐらいになるか把握されていますか。聞いたことはありますか。

水道局長
 具体的な数字は覚えておりませんが、減少するのではないかと思います。


伊藤委員
 ダムというのは、国家百年の計なんじゃないですか。つまり、今、別に正確な数字をいっていただかなくてもいいんですけれども、しかし、大体どれぐらいの日本の人口になっていって、都民の人口がどれぐらい減っていくのかということを、やっぱり五十年ぐらい先を見通して計画を立てていく必要が私はあるというふうに思います。
 この件でいえば、二〇五〇年の日本の人口は八千万人、今の出生率と今のペースでいけば八千万人に落ち込む。これは一九四五年当時の日本の人口であります。その人口に対して、まさに東京都として何人ぐらいの人口を見込んでダムが必要かどうかということを予想するのが、これが東京都の仕事なんじゃないかということを私は申し上げておきたいと思います。

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まちづくり

伊藤委員
 次いで、都市整備関係に移らせていただきたいと思います。
 大橋地区の整備についてでありますけれども、大橋地区の一-一棟の件については、先ほど別の委員からも指摘がありました。まだこれが売れていないということで、第三回の公募が今まさにかかっているところであります。
 しかしながら、この第一回の公募が出たのはことしの四月でありまして、そのときの予定価格は百九十億円という高額なものでありました。二回の公募を経ていまだに買い手がつかない状況が続いていますが、当時、不動産市況というのは、もう既に悪化傾向が出ていたわけでありますけれども、これを担当の局として、悪化を認識し始めたのはいつで、どのようなものなのかということを伺いたいと思います。

都市整備局長
 不動産市況でございますが、いろんな指標がございますけれども、首都圏の新築マンションの契約率で見ますと、昨年夏ごろまでは堅調でございましたけれども、昨年末あたりから下降傾向を示すなど、不動産市況は厳しくなりつつあると認識しておりました。


伊藤委員
 認識していただいたんだと思いますけれども、そうすると、市況悪化を考えれば、不動産鑑定士に対しては、市況悪化を十分に反映した価格設定というものをもともと求めるべきではなかったのかと思うんですけれども、見解はいかがでしょうか。

都市整備局長
 第一回目の特定建築者の公募に当たりましては、不動産市況の動向などを踏まえまして、平成二十年四月一日を評価時点とした不動産の鑑定評価を行っております。
 敷地処分予定価格は、この評価をもとに設定したものでございまして、当時としては適正と考えておりました。


伊藤委員
 当時としては適正だったかもしれませんけれども、しかし、現に一回出してみて、その二カ月後には、第二回の予定価格で七十九億円というところまで局は引き下げて公募を出しているわけでありますので、当時、本当に適正だと局として思われていたのかも私は疑問だというふうに思うわけでございます。
 それでは、第三回の公募ですけれども、これは予定価格が設定されておりません。そうすると、どんな安値となった場合でも、特定建築者として不適格でなければ売却をすることと、こういうことになるんでしょうか。

都市整備局長
 特定建築者の選定でございますが、単に敷地に対する応募価格だけではございませんで、応募者が提案した建築計画や環境への配慮、資金計画などにつきまして、特定建築者等選考委員会におきまして総合的に評価して決定いたします。


伊藤委員
 その場合、不当に安く売ったということで、もし安い値段で特定建築者が決まってしまった場合というのは、これは住民監査請求の対象になるのではないか。そのおそれがあるのではなかろうかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

都市整備局長
 特定建築者の選定でございますが、先ほど申し上げましたように、公平な競争条件を整えた上で行うことから、私どもとしましては、適正な手続に基づく敷地の処分に当たると考えております。


伊藤委員
 この第三回公募に当たっては、権利床の整備費として二十三億円の上積みが発表されました。もともと権利床整備費は、等価交換となる地権者が負担する仕組みでありますけれども、この二十三億円の上積み分というのは、地権者にとってみれば寝耳に水のことでありまして、それがまさに自分たちの負担増につながる。つまりは、分譲される延べ床面積の削減になるんじゃないだろうかと、こう心配されているわけであります。
 この二十三億円分の負担は、東京都が負うのか、それとも権利者が負うことになるのか、伺いたいと思います。

都市整備局長
 権利床等整備費でございますが、先ほど申し上げましたように、急激な建設コストの高騰を踏まえまして、実勢の工事費に合わせて見直したものでございます。
 今後、再開発ビル完成後に、建物整備に要した費用を確定した後、事業にかかわる収支につきまして総合的に判断いたします。


伊藤委員
 その総合的に判断するということでは、権利者の方も不安を払拭することができないのではないかと思っています。
 ことしの四月の時点では、まだリーマン・ブラザーズは破綻しておりませんでした。もっとも、ここまでひどい不動産市況の落ち込みになるとは、多くのアナリストも分析できなかったと思いますが、しかし、もう去年の十一月の時点で、同年前月比で見れば、マンションの売れ行きというのはマイナス四〇%ぐらいになっていたわけでありますから、相当な市況の落ち込みということがもう既に実績値として出ていたわけでありまして、権利者からすれば、四月の時点で、あの百九十億という、とてつもなく高い金額で予定公募価格をかけるのではなくて、むしろ市況に照らした金額で第一回目に出してくれていれば、少なくとも今回の金額よりはよっぽど高く売れたんじゃないかと、こういうふうに思われている方も少なくない。私もそういうふうに思います。
 そういう意味では、不動産鑑定士が出された金額というのも、それはそれで平時においては妥当な金額だと思いますけれども、日々刻々変わる経済環境であったことしの春先においては、必ずしも妥当な金額とはいえなかったんじゃないかと。民間の会社の社長であれば、まさに経営判断をそこに働かせて、この百九十億というものじゃなく、より市況に照らした金額を不動産鑑定士に求めるのが普通だったんじゃないかと、こう思うわけでございます。
 そこで、入札、今回の二回に続く不調と権利床整備費の増額によって、都税一般財源からこの地区整備のための費用に投入がなされるのではないかというふうに懸念をされますけれども、都税一般財源からの懸念の向きというのに対する所見はいかがでしょうか。

都市整備局長
 現在、先ほど申し上げましたように、特定建築者の募集を行っている段階でございまして、事業の収支について確たることを申し上げる段階ではございません。
 今後とも、不動産、建築、建設、金融など市街地再開発事業を取り巻く市況の動向をより的確に把握し、事業収支やスケジュールなども総合的に勘案しながら事業を推進してまいります。


伊藤委員
 今、収支を勘案しながらということでございましたけれども、この後には環二の方の再開発も待っていますし、北新宿の再開発というのも、また同じように特定建築者の募集というものがかけられるわけでありますから、やはり今回の件を反省材料に、特に不動産市況等が大きく変動しているときには、まさにその業界の方々を含めて情報収集をよくしていただいて、そして市況に照らした予定価格の設定というものをしていただきたいと思います。
 現に、今回一カ月延びるごとに、この大橋地区では、権利床等あるいは営業補償をするために、一カ月当たり四千万円ずつ負担がふえていっているということをこの場で申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

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