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平成19年度各会計決算特別委員会

斉藤あつし
斉藤あつし(民主党)

都政運営

斉藤委員
 それでは、本日は全局質疑でございますので、多くの局にかかわる質問を前半させていただきます。また、一般都民の皆さんからいただく意見をもとにやる質問ということでご理解ください。
 平成十九年度、この決算を通して、収支等、疑問がありましたので、ここで伺います。
 考えてみますと、東京都は十八年度末から、既に報道で、景気回復でバブル期を上回る過去最高の税収といわれておりました。また、年度途中でも、来年度、過去最高の法人税収入になると随分早い時期から報道されておりました。
 これについて、主税局は、地道な徴税努力というふうに反論していましたし、私も実際、その努力はしていたというふうに感じておりますが、巨額の税収の数字を前にして、ちょっとこのような反論もかき消されてしまったような感じを受けます。
 現在、サブプライムローン問題に端を発して、リーマンブラザーズショックや株価低迷などという話題があるわけですが、これを考えてみると、まさにバブル期以来、バブル期を上回る税収などというのは遠い昔の話のような気がいたします。
 私も先般、分科会で主税局に伺ったところ、まだ詳細不明ながらも、今後の税収について減収が予想されるということでした。そのような未来を想像できずに浮かれていたとはいいませんけれども、平成十九年度の一年を通して、若干わきが甘くなっていたのかなというふうな気がいたします。
 この平成十九年の冬には、国税収の困窮状態から、大都市を中心に、法人事業税の一部国有化という、税のあり方からすれば理屈に合わないような方法で、二年にわたり、六千億円出すことになりました。ただ、世論としては、あんなにこれからも収入があって、ひとり勝ちの東京都だから仕方がないねというような雰囲気があったんじゃないかと思います。
 ならば、前述の税収の報道の際に、東京都の緊迫した具体的な問題を、だれもが認める事業を行う、そのためにこの税収を有効に使うというような提言をして、地方の反感を買わないような、先般の東京緊急対策のような、しっかりとしたものを打ち出す必要があったんじゃないのか。
 実際に、私どもが、ちょうど新銀行東京の追加出資、十九年度末の追加出資で話題になったころに、この後、話にも出ますが、大都市での介護報酬単価引き上げ要望をしに国会に行きましたところ、地方の県の選出国会議員から、東京都はお金があるんだから自分たちでやったらどうかとまじめな顔でいわれてしまいました。正直、乱暴な話ではありますが、地方の感想としては率直なものだったんじゃないかなという気もいたします。
 財務局を初め知事本局や生活文化スポーツ局などの広報などが、まさに全員野球のような形で一体になって、全体のバランスを考えて、東京都のイメージ戦略を考案してもよかったんじゃないかと思います。そういうことを通じて、法人事業税の一部国有化についても、東京都の国への抵抗に対して、周辺からの賛同が若干でも得られたかもしれません。
 このような策については、東京ひとり勝ちの印象を緩和する対策として、ある程度意味があったんじゃないかと思いますが、今回は決算ということで、これに関して、この後の質問についてもなんですが、代表して、財務局に意見を伺います。

財務局長
 昨年、国が東京都から財源を奪おうとする動きを強めた際に、東京都は昨年の十月に、「都市と地方の共倒れを招く『法人二税の格差是正策』に反論する」という文書を公表したわけでございます。この反論書は、国がみずからの責任を棚に上げて、都市と地方を対立させることによって直面する矛盾を何とか糊塗しようとする動きを批判するとともに、都市と地方がともに連携して国に対抗していこうということで、全国の自治体に向けて訴えを行うという趣旨の文書でございます。
 そこで、東京都が訴えたことを改めて申し上げさせていただければ、まず第一に、現在の地方財政の困窮の根本原因は、国がバブル経済崩壊後の景気対策として、地方債を財源とする公共事業を地方に押しつけたことにあるという、この点でございます。
 第二に、今日の地方の困窮をより深刻にさせているのは、この公共事業の借金返済のために地方の自治体財政が非常に逼迫している中にあって、三年間で五・一兆円の地方交付税削減を三位一体改革の名をかりて行ったということにあります。これも国の責任でございます。
 第三に、仮に都市から地方へと税源を再配分したとしても、それだけでは、その分地方交付税が削減されるだけで、国が得をするにすぎないということを明らかにしたわけでございます。
 第四に、日本の牽引役である東京への投資がいかに重要であるのか。また、現実に大都市特有の膨大な財政需要がいかに多いのかということを具体的に示した上で、それらを放置すれば、東京の活力が失われ、ひいては国全体が疲弊するということを実証的、分析的に明らかにいたしました。
 さらに反論書においては、東京都は、志と意欲を持っている自治体と手を携え、地域の活性化のために、ともに知恵と努力を傾けていこうという姿勢を表明いたしまして、これに基づき、例えば、都庁舎内に全国観光PRコーナーを開設いたしました。また、産業交流展においては、地方向けのブースを新たに確保するなど、施策を行い、地方の自治体から大変喜ばれ、相互理解に大いに寄与しているところでございます。
 このように、東京都といたしましては、都市と地方がいかにして共同して直面する困難に向かうのか、税財政の抜本改革を通じて真の地方の自立を目指していくべきだというメッセージを送る努力を、この間一貫して、してきております。
 なお、先ほどのお話の中で、都のわきが甘くなったから東京富裕団体論を招いたんだというふうに受け取れるご指摘がございました。これは、私どもの認識とは、率直にいって、いささか異なるご主張でございます。むしろ事態は逆でございまして、バブル崩壊後、国がいつまでも公共投資の追加による景気再浮揚にこだわり、大量の国債発行を継続して、地方にもそれに対する同調を押しつけてまいりました。
 これに対して、都は全く逆に、早期に経常経費、投資的経費の大幅な見直し削減を行いまして、都債を圧縮し、財政再建に努め、これを達成したわけでございます。
 一方、地方の多くの自治体は、残念ながら交付団体ということもあり、国に同調した結果、地方債残高を急増させ、その償還費で一般財源がいわば食われる形で今日財政が圧迫されているという困難に直面しているわけでございます。
 いわゆる東京富裕論は、先ほど申し上げたように、国がこうした状況をみずから招いたにもかかわらず、その責任を回避して、地方同士の対立に持ち込むためにする論理でございます。にもかかわらず、この間、堅実な財政運営に大胆に努めてきた東京都の方にあたかも富裕論の責任があるごときご議論は、結局、理不尽な帳じり合わせを今なお策している国を利することにほかなるものではございません。この間の事実に照らしても、ご指摘は当たらないと考えております。


斉藤委員
 私ども、国の方の、特に政府に対しては厳しく民主党も頑張っておりますので、その部分では一致する方向を向いているのかなというふうに思います。
 重ねて伺うんですけれども、私ども都議会民主党は、新銀行東京の支援の見直しについても、十九年度の中で代表質問などで一貫して求めておりました。残念ながら、年度末予算審議で四百億円追加出資となってしまいましたが、そのほかにも、内容のよしあしの議論は別といたしまして、新銀行問題に連続する形で、オリンピックの基金や、そしてまた豊洲の土壌汚染対策など、これは年度をまたぎますけれども、こういったものが報道されて、私ども議員は都民の意見や肌感覚みたいなものをお伝えするというふうな仕事もありますので、若干これもお話しさせていただくわけですが、お金がかかること、大きなことばかりを打ち出している東京都の印象が、都民にも、また都内の市区町村の方にも伝わってしまったような感じがいたします。
 さらには、大企業の収益が当時伸びていたものの、平成十九年度の中の正月あたりに地域の方に参りますと、やはり中小企業、個人事業主、大変厳しい状態でありました。
 結果、東京都の方は、先ほどのようなことがたまたま報道の中で、一連の流れでありましたので、若干都民から、やや浮世離れした金銭感覚を持っているんじゃないかというようなことも私は意見をいただきました。このようなことが、オリンピックの支持に関しても、世論調査が四候補都市の中で最下位というふうな部分に反映をすることもあったんじゃないかと思います。
 また、先日、東京緊急対策Ⅱが発表され、今年度の大きな課題の経済対策、中小企業対策が掲載されておりますけれども、今話題となっている周産期医療センターの整備も大きな項目になっております。
 平成十九年度は私ども都議会民主党も産科医療の危機を代表質問で訴えておりますけれども、こちらの方の周産期の提言の前に、十九年度末発表された「東京都における周産期医療体制について」でも、既に過剰な現場への負担というものについて現状が示されております。都立のみならず、東京都全体の周産期医療が疲弊して、ここに来て残念な結果が幾つも報道されているわけですが、今考えると、平成十九年度中、少なからず現状が把握されていたんじゃないかと思います。
 そして、その一方で、同じ時期に、十九年度、一連の新銀行を中心とした議会の質疑、答弁があったわけですが、これらを通じて、都民が東京都全体に対して期待をするお金のかけ方というものに対して、もっと考える点があったんじゃないかというふうに思ったのではないでしょうか。
 地方では考えられないほどの税収がある東京、都民のだれもが願う医療、特に産科、小児の医療体制は不十分、一方で中小企業を十分に助けられない銀行に追加出資、また基金についても大変な額ということで、そういったものが、それぞれ所管局は違うわけなのは確かですけれども、都民から見れば、同じ東京都の姿として映ったんじゃないでしょうか。この都民の目に映る姿、私ども議会を含めて、全局の共通の課題としてよく認識すべきではないかと考えます。
 来年度は、法人事業税の一部国有化も相まって、予算組みは大変きつそうでありますが、この平成十九年度、どのように反省しているんでしょうか。バブル期ほどではなかったにせよ、近い感覚がなかったかということを都民からいわれるわけです。こういったことで、今後、こういった余波が確実に出てくるというふうに私は思うのですが、いかがでしょうか。

財務局長
 我々、この間、財政運営において肝に銘じてきたことは、都財政の体質というのは、本質的に激しい税収変動の荒波にさらされることを前提とした上で、必要な行政サービスをいかにしっかりと継続的に、確実に確保していくかという点でございました。
 だからこそ、バブル経済崩壊後、先ほども申し上げましたけれども、いち早く歳出の大幅な見直し、とりわけ投資的経費について、最大で前年度比で三割削減などという思い切った対策を継続的にとるとともに、これをてことして、都債発行を低いレベルに抑制できる財政体質を確立する一方、税収が拡大する局面にあっても、やるべきことはやった上で、しかし安易に歳出拡大に走ることなく、基金の充実に努めるなど、堅実な財政運営を行ってきたわけでございます。
 そのことは、十九年度、二十年度の財政運営でも明確に示されておりまして、例えば十九年度決算では、活用可能な基金を約六千億円積み増す一方、都債残高を約四千七百億円、七%減少させております。
 他方、一般歳出については、わずかながら減少となっております。これは都税収入が遠からず減少に転ずるという認識に基づきまして、必要な施策はしっかり実行するとともに、財政の体力の維持、増強に力を注いだ結果でございます。
 このスタンスは、二十年度予算編成に当たりましても同様でございまして、攻めと、それを支える備えを行う予算として、十九年度最終補正予算と一体的に編成を行いました。すなわち「十年後の東京」の実現に向けた施策など、やるべきことについては、これをしっかり積極的に推進すると同時に、都市インフラの更新のための基金や法人事業税の暫定措置の影響に備えた基金に、合計で四千七百億円を積み立てました。これはまさに今日の経済状況の変動というような事態に備えるための措置でございました。
 このように、これまで堅実な財政運営を行い、財政の対応能力を蓄えてきたからこそ、九月補正予算における対策及び先日公表させていただきました東京緊急対策Ⅱを実施することが可能となったものでございます。
 経済状況が急激に変化が生じておりまして、今年度の法人二税も減少に転じ、来年度以降については、さらに厳しい状況が想定されるに至った今日、これまで都が行ってきた堅実な財政運営の正しさが改めて確認されたものと私どもとしては考えております。
 今後とも、都民に必要な施策については、これをしっかりと実施するとともに、こうした観点に立って、しっかりとした財政運営に取り組んでまいります。

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福祉保健行政

斉藤委員
 では、時間も制限がございますので、ちょっと一点、別のテーマで伺って、最後に意見を述べさせていただきます。
 医療福祉に関してなんですけれども、自立支援法について伺います。
 東京都は平成十七年五月に国へ要望書を提出し、自立支援法の利用者負担について一定の結果が出ていることを私どもは評価しています。
 その一方で、事業者報酬については、過去にも私たち都議会民主党は、非常に低過ぎるんじゃないかというご指摘をさせていただきました。
 例えば、都内某所の訪問の障害者の生活支援では、一時間に千六百円程度、百五十単位で、係数十・七倍するんですが、これをやっても、移動時間も含めて考えれば、一時間半で千六百円、事務経費などが含まれてこの金額というふうになります。介護時間が長くなりそうな重度身体障害者の方については、多少時間単価が安くても、長時間介護をすることによって、ある程度収入効率がよくなるということはあるんですけれども、知的や精神障害の場合は、家事援助等を長時間行うことは余りありません。
 結果、疾患や障害に対する知識のある人材を派遣するためには、現在、東京で行う事業としては、この金額は非現実的じゃないかというふうに考えております。東京都が何か事業を企画したとき、この程度の金額では多分企画はしないでしょうし、人も募集をしないと思います。恐らく、私も含めて皆さん、この金額ではなかなか働けない、働いた上に事務費を出すというのは難しいかもしれない。
 私どもは、結局そういった難しいことを現場の関係者の皆さんに任せているという形になるわけですが、実際に何人も知っていますけれども、続けられない若い人たちが、こういった仕事をしたくてもやめてしまうということがたくさんございます。
 今回、平成十九年度において、決算ということで総括伺うんですけれども、自立支援法よりも報酬が高い介護保険事業者のホームヘルパー不足も大変深刻化した年度でありますが、自立支援法は人材不足で、なお同じように厳しいものです。
 以前、私が文書質問したところ、福祉保健局は、報酬単価の見直しについては、利用者負担への影響を考慮した上で、国で検討すべき課題としておりましたが、実際に十九年度、自立支援法について、国への要望をどのように行って、どのような対応をやられているのか伺います。

福祉保健局長
 障害者自立支援法における事業者報酬につきましては、平成十八年度に引き続き十九年度も、大都市の実情を適切に反映した報酬単価を設定するよう、国への提案要求を行ったところであります。
 これに対しまして国は、平成十九、二十年度の二カ年間、お話の訪問系サービスのうち、重度訪問介護事業所に対して、介護者の資質向上及び職場定着の取り組みへの補助や従前収入の九割を保障する対策を実施しております。
 なお、都は国に対し、来年度予定されております法施行三年後の見直しに向けて、障害者を支える人材を確保し、良質なサービスを提供するため、サービス全般にわたり基本的な報酬の改善を行うよう求めているところであります。


斉藤委員
 引き続き、国への要望を強くお願いいたします。
 また、先ほど話に出ました重度訪問介護、補助があるわけなんですが、一方でこういった知的、精神、そしてまた軽度障害については、別にスキルがなくても大丈夫というようなわけではありません。ですから、そのような障害者が本当に親亡き後も自立できるようにするには、単身生活ができるように、実際に訪問して指導、支援をしていくような相応の知識を持った人を派遣する必要がありますので、ぜひ重ねて国への要望をお願いしたいと思います。
 若干質問が残ってはいるんですが、時間の方の都合がありますので、最後に意見を述べさせていただきます。
 現行制度については、報酬を上げると一割分の利用者の自己負担も上がるということで、報酬増が難しいというような考え方もあるようですが、実際には、それだからといって下げたままでいいというふうにはなりませんので、ぜひとも介護保険も含めた、全体を見た国への要望をお願いしたいと思います。
 また、同時に、やはり都民の生活の中で、東京都の都政に対する期待というものは、防災、防犯であったり、また医療や教育の提供であったり、セーフティーネットであったりいたします。そういったものについては、すべてが要望の度合いは均等ではありませんので、ぜひ全体を見て、都民の肌感覚で行政へ信頼が置けるように、財政の運営を含めて、バランスよい行政の事業の計画を練っていただきたいと思っておりますし、またその部分でしっかりと来年度予算に向けての準備を進めていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

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