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平成19年度各会計決算特別委員会

崎山知尚
崎山知尚(自民党)

都立霊園

崎山委員
 初めに、私の方からは都立霊園について伺います。
 人は死ねば、当然亡きがらを埋葬します。葬送、葬礼は人類だけの規範でありまして、今回、この質問、墓地、埋葬等について何点かお伺いさせていただきたいというふうに思います。
 少子化、高齢化など、社会情勢の変化により、都民のお墓に対する意識と需要に大きな変化が生じてきています。例えば、お墓を持っている世帯であっても、承継する人がいないケースがあり、また、子どもがいても、お墓の承継による負担をかけたくないと考える人もいます。
 こうした状況の中で、都立霊園では、一般墓地だけでなく、合葬式墓地や立体式墓地など、さまざまなタイプの墓地を供給しています。これらの取り組みは、お墓に対する都民の多様化するニーズに的確にこたえるものとして一定の評価をいたします。
 しかしながら、今後、団塊世代の高齢化がさらに進むことを考慮するならば、依然として、お墓の絶対数が足りず、お墓を求める都民の需要に十分こたえているとはいえません。私の知人も、お亡くなりになった身内の方がいらっしゃいまして、お宅に訪問すると、まだお骨が仏壇に置いてありまして、なかなか都立霊園が当たらないと。当せんしないということで、コストもかかるということで、なかなか需要は大きいようであります。
 そこで、都立霊園の最近五年間の申し込みの状況について、まず初めに伺います。

建設局長
 都立霊園の申込状況についてでございますが、平成十六年度から平成二十年度までの五年間では、平均して約一万四千件の申し込みがあり、倍率は八・三倍であります。
 墓地の種類別では、一般墓地や芝生墓地といった平面墓地につきましては、平均して約八千五百件の申し込みがあり、倍率は十四・七倍であります。また、合葬式墓地や立体式墓地といった集合墓地につきましては、平均して約五千六百件の申し込みがあり、倍率は五・一倍となっております。


崎山委員
 ただいま答弁にありましたように、墓地を取得したいという都民の切実な思いが都立霊園の申し込みの状況に反映されていると思います。
 集合墓地の中でも、とりわけ合葬式墓地は、先ほど伺った申し込みの状況から見て、都民に受け入れられてきていると思います。今後、できる限り多くの墓地を都民に提供していくためには、この合葬式墓地を継続して供給することが重要であると考えます。
 都は、合葬式墓地の整備に向けて、どう取り組んでいくのか、所見を伺います。いかがでしょうか。

建設局長
 合葬式墓地は、限られた敷地を有効に活用して、大きな一つのお墓に多数の遺骨を一緒に埋蔵するもので、将来の管理や承継の心配のないタイプの墓地でございます。
 都は、都民の墓地需要にこたえるため、小平霊園と多磨霊園に三基、約二万体分の施設を整備してまいりました。このうち、これまでに約九千四百体分を供給し、残りの約一万体分を平成二十一年度から二十四年度にかけ募集する予定であります。
 引き続き都民の需要が見込まれることから、平成二十年二月の公園審議会答申では、この合葬式墓地をさらに一基増設することが提言されております。
 今後、平成二十五年度からの安定的な供給に向けて、規模や場所など、合葬式墓地の整備について検討してまいります。


崎山委員
 今後も合葬式墓地の供給を積極的に進めていただきたいと思います。
 私が平成十八年第一回都議会定例会でも質問をいたしました、自然に返りたいという都民の思いにこたえることができる新たな形式の墓地の供給も必要であると考えます。新聞で報道された世論調査では、三割の人が自然葬を望み、八割が是認しているとなっております。そして、先ほどの答弁にもありました公園審議会の答申を見ますと、樹林墓地や樹木墓地という新たな形式の墓地が提案されています。提案された樹林墓地や樹木墓地とはどのような墓地なのか、また、都は現在どのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。

建設局長
 樹林墓地と樹木墓地は、都民の自然に返りたいという思いにこたえるため、公園審議会答申で提言されたものであり、遺骨を直接地中に埋蔵することで遺骨が土に返る形式の墓地であります。
 答申では、樹林墓地は、緑豊かな樹林の下に設けられた納骨施設に多くの遺骨を一緒に埋蔵するタイプであり、また、樹木墓地は、シンボルとなる樹木の周辺の地中に遺骨を個別に埋蔵するタイプの墓地としております。
 答申を受け、現在、この新たな形式の墓地について、形態や規模等に関する基礎的調査を行っており、その結果を踏まえ、導入について検討してまいります。
 今後とも、都民ニーズを的確に把握し、多様な形式の墓地の整備に取り組んでまいります。


崎山委員
 死後は自然に返りたい、土に返りたいという都民の思いにこたえられるよう、樹林墓地や樹木墓地の実現に向けてご努力をいただきたいと思います。ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。

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産業振興

崎山委員
 次に、中小企業の販路拡大についてお伺いいたします。
 世界の金融市場は未曾有の混乱に陥っており、それが実体経済に大きな影響を及ぼしております。この影響は、都内中小企業にも到達しており、今まで地道に努力してきた中小企業の経営も脅かされつつあります。
 都内中小企業の売上高の状況を示す指数である前年同月比売上高DIはマイナス五〇近辺まで悪化し、これは六年ぶりの低水準であります。昨年までの景気回復で都税収入の見込みがバブル期以上になり、明るい兆しが見えてきた矢先に、原油高を初めとする原料の高騰によって、中小企業、ましてや零細企業はその恩恵を実感するには至りませんでした。
 その上、最近では、中小企業の経営者の方々から売り上げが急速に落ち込んだという声を多く聞くようになりました。中小企業は製品開発力や技術力を備えていても、営業力が弱いため、販路の確保や拡大が難しい面があります。昨今の厳しい経済状況のもとで、中小企業が経営を維持発展させていくためには、売り上げ拡大に向けた販路開拓が重要であると考えます。
 そこで、中小企業に対する販路開拓支援策について何点かお尋ねいたします。
 まず、中小企業の販路開拓支援に関する主な事業の内容と平成十九年度の実績について伺います。

産業労働局長
 販路開拓は中小企業の大きな課題の一つでありまして、都は、中小企業に対し、さまざまな販路開拓支援策を実施してきております。
 まず、下請企業振興対策といたしまして、中小企業振興公社において発注開拓や取引あっせんを実施しております。平成十九年度は、発注企業延べ千四百七十六社を訪問いたしまして、下請企業等に対する発注を依頼いたしまして、受発注情報の収集、提供を通じ、二百三十七件の取引が成立いたしました。
 また、市場開拓支援事業では、新たに開発した新製品の市場開拓に乗り出す中小企業に対しまして、見本市出展経費等の一部を助成し、平成十九年度には二十五件を支援したところでございます。
 さらに、営業経験豊富な大企業のOB等が中小企業の製品や技術を商社やメーカーに紹介いたします中小企業ニューマーケット開拓支援事業では、平成十九年度は百六十三件が成約いたしました。
 そのほか、東京ビッグサイトにおける産業交流展を開催するなど、中小企業の販路開拓を積極的かつ多面的に支援しているところでございます。


崎山委員
 都は中小企業に対して、さまざまな販路開拓支援を実施し、実際に取引が成立するなどの実績も上がっていることがわかりました。私は、現在のような厳しい経済状況のときには、中小企業の売り上げ拡大に向けた販路開拓支援のさらなる強化が重要であると考えます。
 そこで、中小企業の販路開拓支援策の今後の展開の方向性についてお伺いいたします。

産業労働局長
 景気の下振れが鮮明となっております状況の中で、中小企業は受注の確保に苦戦しております。販路開拓支援はますます重要になるものと認識しております。
 この認識のもと、まず今月二十五日、二十六日に開催いたします産業交流展におきまして、中小企業の広域的な取引のきっかけづくりやビジネスチャンスの創出に向けまして、首都圏の八都県市による日本最大級の合同商談会を初めて実施いたします。受注企業、発注企業合わせて五百社を超える企業が参加をする予定でございます。
 また、各種の販路開拓支援策に加えまして、重点戦略プロジェクト支援事業や地域中小企業応援ファンド等、中小企業の新事業への取り組みに対しまして、企画、開発から販路開拓までを一貫して支援する事業も順次立ち上げております。
 今後とも、これらの広域性や一貫性を持った取り組みを強化するなど、中小企業の販路開拓支援の充実を図ってまいります。


崎山委員
 青息吐息の厳しい経営環境下にある中小企業、また零細企業もそうですけれども、に対して、この販路開拓支援を含めさまざまな支援策を着実に実施していただくことを要望して、次の質問に移ります。

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環境対策

崎山委員
 次に、大気環境対策について質問いたします。
 昭和四十年代は、晴れていても富士山が見えないほど、東京の大気汚染は深刻な状況にありましたが、工場などの固定発生源対策によって大幅に改善されました。また、自動車の排出ガスを原因とした大気汚染についても、ディーゼル車規制により、着実に成果を上げています。
 本年八月に発表された平成十九年度の東京の大気汚染状況の測定結果を見ると、二酸化窒素については、すべての一般環境大気測定局で環境基準を達成し、自動車排ガス測定局でも三十四局中二十五局で達成したとあります。
 また、浮遊粒子状物質については、八十すべての観測局で環境基準を達成しています。十年前、浮遊粒子状物資は五局でしか達成していないことから比べると、東京の大気環境はかなりきれいになっているといえます。
 「十年後の東京」への実行プランと環境基本計画を見ると、都は世界の大都市で最もきれいな大気環境を目指すとしており、新たな課題として、PM二・五が挙げられています。さきの各決算特別委員会第三分科会で、都は、平成十九年度から環境科学研究所でPM二・五に関する研究を実施していると聞きました。
 この物質は、髪の毛の三十分の一ほどの粒径二・五ミクロン以下の大気中に浮遊する粒子状物質です。工場や自動車などから直接排出されるだけでなく、発生源から排出されたガスが大気中で化学反応して生成されるものもあると聞いております。また、呼吸時に気管を通り抜けて気管支や肺まで達するため、肺がんなどの健康影響が懸念されてもいます。海外の状況を調べてみると、米国やEUでは、既に環境基準を設定しております。
 ついては、新たな課題であるPM二・五に対する都の取り組みの現状と課題についてお伺いいたします。

環境局長
 大気中の微小粒子状物質、いわゆるPM二・五は、循環器系の疾患や肺がんなどの健康影響が懸念されておりまして、お話のように欧米や世界保健機構では既に大気環境の基準が設定されております。しかしながら、我が国においては、国レベルでの取り組みが立ちおくれておりまして、環境基準はいまだ設定されておりません。
 このような状況の中で、東京都は、平成十三年度から大気環境中のPM二・五の測定を実施するなど、先駆的に実態把握に努めてまいりました。
 PM二・五には、燃焼に伴い発生するすすなどのように、もともと粒子であるものと、VOC、すなわち揮発性の有機化合物のように、排出されたときはガスであっても、大気中で粒子に変化するものなどがございます。このように、生成のメカニズムが複雑であり、また発生源との関係など、未解明の部分が多いため、それらを解明していくことが大きな課題となっております。


崎山委員
 PM二・五を新たな課題として認識し、先進的に測定や研究を実施してきたことは評価できます。
 国はおくればせながら、PM二・五の健康影響やリスクの評価委員会を設置し、環境基準の設定も含めた対応について検討していると聞いています。世界に誇れる大気環境を東京に実現するには、都はPM二・五という新たな困難な課題に積極的に挑戦し、国に先駆けて克服していく必要があります。
 ついては、PM二・五の対策について、今後、都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

環境局長
 大気環境中のPM二・五の低減を図るため、都は、本年四月、専門家による微小粒子状物質検討会を設置いたしました。
 また、従前の調査に加えまして、より詳細な大気中の濃度や成分の測定などの調査を実施しております。
 今後は、これらの検討や調査の結果に基づき、PM二・五の発生源や生成の仕組みなどを明らかにしてまいります。
 これらを踏まえまして、東京の実態に即した効果的な対策の構築を図り、より一層質の高い大気環境の実現を目指してまいります。


崎山委員
 今の答弁にあったように、PM二・五対策は、まだまだ緒についたばかりであろうというふうに思っております。大気汚染による都民の健康リスクを少しでも減らすために、PM二・五の実態解明などの対応を進めることを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございました。

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