泉谷つよし(民主党)
泉谷委員
まず、児童虐待についてお伺いします。
核家族化が進行するに伴い、相談する相手がおらず、子育てに苦悩する親が増加しています。そんな中、親に危害を加えられる子どもたちも増加し続けていますが、都内では、虐待を受けている子どもたちを受け入れる施設が既に飽和状態であると聞いております。こうした子どもたちが安心して過ごせる場所の整備が急がれます。
都は、これまでも、児童のためのグループホームや養育家庭など、社会的養護の受け皿の拡大を図ってきました。
そこで、まず、十九年度における社会的養護を必要とする子どもたちのための施設等の整備状況についてお伺いいたします。
福祉保健局長
近年、児童虐待など、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもたちが増加する傾向にあり、児童養護施設など、子どもの生活の場を整備することが必要でございます。
このため、都は、児童養護施設の新設やグループホーム等の整備による定員の拡大に努めており、平成十九年度の児童養護施設の定員は三千百四十七人で、前年度に比べ、九十五人増加をしております。
泉谷委員
虐待を受けた子どもたちは、その過酷な体験から心に深いダメージを受けており、目に見えない内面の痛みを乱暴な行動や人間関係の不全などさまざまな形であらわすことがあると聞いています。こうした子どもたちは施設で専門的な手当てを受けることが必要です。
これまで、都は、虐待を受けた子どもたちのケアを児童養護施設内においてどのように取り組んできたか、お伺いいたします。
福祉保健局長
お話のように、虐待を受けた子どもたちは、虐待の体験から情緒的な問題を抱えることも多いことから、職員がよりきめ細かな支援をしていくことが重要であります。
このため、都は、児童養護施設において、少人数のグループ制とし、職員の配置を厚くしてケアを行います小規模グループケアを進めており、平成十九年度では、児童養護施設の約八〇%に当たる四十二カ所で実施しております。
また、平成十九年度から、精神科医師や心理療法担当職員等を配置する専門機能強化型児童養護施設制度を創設いたしまして、子どもへの専門的ケアの充実を図っているところであります。
泉谷委員
次に、保育所待機児童についてお伺いします。
女性の社会進出や雇用形態の多様化が進む中で、働いている人が安心して子育てするためには保育サービスの充実が必要です。ところが、都内の状況を見ると、平成十九年四月に四千六百一人であった待機児童数が、平成二十年四月には八百七十八人もふえて五千四百七十九人となるなど、むしろ子育てする人には環境が厳しくなっているのではないかと思われる現実があります。
待機児童数は全国的にもふえたようですが、まずは都として、待機児童数が昨年より増加した要因をどのようにとらえているのか、お伺いいたします。
福祉保健局長
都内では、認可保育所や認証保育所などの整備によりまして、保育サービス定員が昨年より三千六百五十二人分増加をいたしました。
一方、人口流入などによりまして、就学前児童人口の増加や入所申込率の上昇により認可保育所入所申込者数が増加したことなどから、保育所待機児童数は四年ぶりに増加することとなったところであります。
泉谷委員
ここのところ減少傾向にあった待機児童が今年度また増加に転じたとのことでありますが、五千人を超える待機児童の解消に向けて、具体的にどのように取り組んでいるのか、お伺いいたします。
福祉保健局長
都では、昨年十二月に、子育て応援都市東京・重点戦略を策定いたしまして、今年度から、認可保育所や認証保育所、認定こども園など多様な保育サービスを組み合わせまして、これまでの一・五倍のスピードで定員一万五千人分の整備を行います保育サービス拡充緊急三カ年事業をスタートさせております。
この目標を着実に達成するため、認証保育所等の開設資金無利子貸付やマンション等併設型保育所の設置促進、都有地の活用などにより、区市町村への支援を強化し、待機児童解消に努めているところであります。
泉谷委員
先ほどもお話がありましたが、先日、豊島区に本社がありますハッピースマイル-エムケイですね、が経営破綻をし、中野区では、オープン二カ月で認証保育所を突然廃止しました。
都では、認証保育所の質を守り、向上させていくために、立入調査を行っていると聞いております。
そこで、まず、平成十九年度における認証保育所に対する立入調査の実績と結果についてお伺いいたします。
福祉保健局長
平成十九年度は、四月一日現在の全認証保育所三百六十七カ所のうち、百六十四カ所に対して立入調査を行い、四十三カ所の施設に対して七十八件の文書指摘を行いました。
指摘の主な内容は、毎月の避難、消火訓練を実施していない、調理、調乳担当者の検便を実施していないなどであります。
泉谷委員
立入調査の実績に関する答弁を聞いていますと、立入調査は、おおむね二年に一回になるようです。しかし、昨今、経済が不安定のため、さまざまな要素で保育所を取り巻く環境も激変しており、今回の一件のように、保育の現場では、さまざまな問題が起きているのではないかと思われます。
そのような中、本当に二年に一度の立入調査で大丈夫なのでしょうか。お伺いいたします。
福祉保健局長
認証保育所に対します立入調査については、一年に一回の実施を原則としております。ただし、調査の重点化を図るために、前回の調査で特に大きな指摘等のない良好な運営を行っていると認められた施設については、平成十七年度から二年に一回の実施としております。
なお、問題のある施設につきましては、必要の都度、立入調査を行うなど、指導の強化を図っているところであります。
泉谷委員
次に、子育て推進交付金についてお伺いいたします。
子育て推進交付金は、保育、学童、子育てなどに関する従来の都加算補助十三項目を再構築し、平成十八年度に創設されたものです。
従来の補助制度は、対象事業や補助金の使途などを細かく規定し、市町村が一律に事業を実施する仕組みであったため、市町村の裁量の余地が少ないものでした。しかし、交付金化したことにより、基礎的自治体である市町村の判断にゆだねるところが多くなったと思いますが、改めて子育て推進交付金制度の趣旨、目的についてお伺いいたします。
福祉保健局長
地域の子育て環境を整備するためには、地域の実情に応じた市町村の主体的な取り組みを幅広く支援することが重要でございます。
都は、こうした考え方に基づきまして、市町村が創意工夫により施策を展開できるよう、それまでの補助制度を再構築し、子育て推進交付金を創設したものであります。
泉谷委員
各市町村が地域の実情に応じて柔軟に施策が展開できる仕組みになったことは評価するところであります。しかしながら、公の施設の耐震化のように、各自治体の財政力によって、保育園の運営などに大きな違いが出てきてはまずいと思います。
各市町村から提出されました平成十八年度の充当事業報告書によれば、交付金の九九%が従来の都加算補助十三事業に充当されており、交付金化の前後で各市町村の取り組みに大きな変化は見られないとのことですが、今後、一定のサービス水準を確保した上で、交付金化の趣旨を生かして、地域の実情に応じた取り組みが進むよう、都として、各市町村に対してどのように働きかけていくのか、見解をお伺いいたします。
福祉保健局長
従来の補助制度は、その使途や補助条件が細かく限定されておりまして、市町村に裁量の余地が少ないものでありましたが、子育て推進交付金を活用することにより、子育て支援の実施主体であります市町村が、地域のニーズを敏感にとらえて、柔軟な施策展開を行うことが可能となったと考えております。
都は、市町村がより効果的、効率的に施策を展開できるよう、交付金を活用した市町村独自の取り組み事例を紹介するなど、働きかけを行ってまいります。
泉谷委員
十一月の「広報東京都」の一面には、東京から示そう、子育て環境日本一という記事が掲載されていました。今後とも子育て支援策をより一層充実させることを期待いたしまして、私の質問を終わります。