山口拓(民主党)
山口委員
それでは、私からは、新銀行東京についてお伺いをさせていただきたいと思います。
平成十九年度決算において一千十六億円の累積赤字を出したことは、これは都民にとっても大きな衝撃を与えているわけであります。このような事態に陥った原因というものをしっかりと検証して、また、その責任の所在を明確にしていかなければいけない。この点を私たちは再三質問をし、申し上げてきているわけでありますが、そのことを前提にして幾つか質問をさせていただきたいと思います。
この決算において大きな影響を与えた、この新銀行の経営のあり方というものに対して、国会でも非常に関心が高まっているところであります。
そこで、まず伺いたいのは、あす開かれる参議院財政金融委員会に佐藤局長への参考人としての招致要請があったと聞いていますが、事実でしょうか。
産業労働局長
参考人招致が決定されたということではなく、本日、参議院の事務局から、私のあしたの日程の確認の連絡があったものであります。
山口委員
それでは、お伺いをしたいんですが、正式な要請ということとしてそれは受けとめられているのか。また、そうであれば、それに対してどのように局長として対応されるのか、お伺いをしたいと思います。
産業労働局長
先ほど申し上げましたとおり、参議院事務局から、私のあしたの日程の確認の連絡がありましたので、きょうのあしたということで、私、公務予定が入っているというふうにお答えをいたしました。
山口委員
それに優先をし得る公務というのは一体何があるのでしょうか、ぜひお聞かせをいただきたいと思います。
これは、決算を私たちも再三質問をしてきた上において、どの場面で、どのようなことが明確になっていくのか。この新銀行の経営そのもの、この十九年度における決算においても、どのようなことが原因であったのか、どのようなことが理由であったのかということを再三私たちも詰めてお話しをし、質問をしてきているわけでありますが、それがどういう場面で皆さんが明らかにされるかというのは、都議会においても当然大変深刻なことでありますから、それを踏まえての質問でございます。
それに優先をし得る--この新銀行東京の問題は大切な問題です。都民の税金にとって決算という大切な問題です。それに優先し得るような公務は一体あるのかどうかということを私は伺いたかったわけでありますが、ご答弁いただけないでしょうか。
それでは、質問を変えたいと思います。--変えなくてよろしいんであれば、聞きたいところでありますが、売り言葉に買い言葉はよくないと思いますので。
当然これは東京都として重く受けとめるべきであると思いますが、東京都としての対応はいかがされるおつもりでしょうか、伺いたいと思います。
産業労働局長
私どもといたしましては、参議院から正式に連絡があれば、その時点で日程等の確認をした上で、お答えをするつもりでございます。
山口委員
どうしても公務で行けないということであれば、もしくはそれにかわり得る責任者でもというふうにいわれているはずでありますが、都としてほかにだれかが出席をする予定等はありませんでしょうか。今後も当然そういう話があり得る可能性もありますし、どのような話が東京都にあったのかというところを私たちは正確に知りたいわけでありますし、この場でお答えをいただけなかった、先日も私が伺いましたが、それがどこの場で話されるのかというのが、もし欠席をされるというのであれば、どのように--国会においてまず先に説明されるようなことがあればと思い、私は質問をしているわけでありますが、(発言する者あり)こういうことであれば、さまざま伺いたいところでありますが、続けてこのことにもかかわる質問をさせていただきたいと思います。
新銀行東京の詐偽事件について、さまざま報道されているわけでありますが、新銀行が十月二十七日に警視庁へ告訴状を提出しました。容疑者がブローカーと共謀し新銀行をだましたとされるのは十八年九月のことであり、この会社が六カ月間もったかどうかはさておき、こうしたずさんな融資の結果によって十九年度決算においても大きな赤字を招いたのではないでしょうか。
この間、果たして東京都はどれほどの監視機能を果たしていたのでしょうか。このような視点から質問をさせていただきたいと思います。
まず、新銀行が十月二十七日に警視庁へ告訴状を提出したことについてプレスリリースをしていますが、金融監理室は新銀行東京をしっかり監理しているのか、どれほど前に告訴をすることを知っていたのか、伺いたいと思います。
産業労働局長
新銀行東京は、本年の三月十日の記者会見におきまして、旧経営陣のもとで行われた融資のうち、内容に疑義のある案件三十五件について調査をしていること、このことを公表しております。
新銀行東京が調査を進めていたことは、私どもも承知をしておりました。
新銀行東京は、十月二十七日に告訴を決断し、直ちに都はその連絡を受けたものであります。
山口委員
つまり、東京都は、新銀行東京から連絡を受けるまで、告訴をすることを全く知らなかったということになるわけでしょうか。
産業労働局長
新銀行東京が警視庁に捜査を依頼している案件があることは聞いておりましたが、具体的な告訴の時期につきましては、十月二十七日に新銀行東京から連絡を受けて知ったところであります。
山口委員
十月二十八日、石原知事は、視察先の大田区内で報道陣に対し、薄々聞いていた、こんなことが起こるんじゃないかという感じはしていたと述べられていたそうでありますが、産業労働局長としては、このようなことが起こることを予感をされていたでしょうか。いつごろから、だれから、何を聞いて予感をされていたのか、お伺いをしたいと思います。
産業労働局長
先ほどもお答え申し上げましたとおり、新銀行東京が警視庁に捜査を依頼していた案件があるということは承知をしておりました。問題のある案件については、新銀行東京が法的対応を含めて厳正に対処すべきものというふうに考えております。
山口委員
新銀行東京は、三月十日の記者会見で、内容に疑義のある案件三十五件について調査をしていることを公表しているということでありましたが、今回の一件は氷山の一角にすぎないともいわれているわけであります。ほかにも三十五件の同様の不正融資があるということでありますが、東京都は今回の詐偽と同様な不正融資がほかにあると認識をされているでしょうか。
産業労働局長
不正融資があるということではなくて、内容に疑義のある案件については、新銀行東京が徹底した調査を行っておりまして、不正行為があれば厳正に対処することとしております。
山口委員
認識があるのかどうかということを、あるのかないのかということを聞いているわけでありまして、東京都は今回の詐偽と同様な不正の融資がほかにあると認識をしているのかどうか、もう一度お答えを聞きたいと思います。
産業労働局長
先ほどご答弁申し上げたとおりでございますが、内容に疑義のある案件については、新銀行東京が徹底した調査を行っておりまして、不正行為があれば厳正に対処することというふうにしております。
山口委員
今回の詐偽事件同様の不正融資がまだまだあるというのであれば、それは行員個人の資質の問題もさることながら、銀行のシステムそのもの、すなわち甘いスコアリングモデルと三営業日でのスピード融資ということに問題があったのではないかといわざるを得ないわけでありますが、不正融資が多い原因は何であると考えられていますか。
産業労働局長
また繰り返しになりますけれども、内容に疑義のある案件につきましては、新銀行東京が徹底した調査を行っているところでございます。新銀行東京からは、本件以外に捜査依頼をしているとは現時点では聞いておりません。
今回の件は、旧経営陣のもとで起きた元行員の個人的な行為でありますけれども、銀行業務でこのようなことが起こることがあってはならないということであり、私どもとしてもまことに遺憾であります。
山口委員
それでは、少し視点を変えてお伺いをしたいと思います。
三月十日に公表された新銀行東京調査委員会調査報告書の全文を東京都が持っているのか否かは別にして、少なくとも産業労働局長はこれに目を通しているはずだと思いますが、内容に疑義のある案件が三十五件あることについては調査報告書の全文には記載をされているのでしょうか、お伺いをしたいと思います。
産業労働局長
お尋ねの調査報告書全文は、旧経営陣の責任を追及する場合に極めて重要な資料でありまして、個人が特定される可能性がある情報が含まれていることから、その内容については明らかにすることはできません。
なお、新銀行東京の三月十日の記者会見では、内容に疑義のある案件三十五件について調査をしていると、こういうことを公表をしております。
山口委員
また、東京都は調査報告書をその日に返したということでありましたが、なぜ返したのか。持っていてはいけない理由があったのか。
調査報告書は、また金融庁及び日銀は持っているのかどうか、お伺いしたいと思います。
産業労働局長
先ほどもご答弁申し上げましたけれども、調査報告書全文は旧経営陣の責任を追及する場合に極めて重要な資料でありまして、個人が特定される可能性がある情報が含まれていることから、速やかに返却をしたところでございます。
なお、金融庁と日本銀行が持っているかは、私どもは承知しておりません。
山口委員
調査報告書の全文について、旧経営陣の責任を追及する場合に重要な資料である。個人が特定される可能性がある情報が含まれていることから、速やかに返却をしたと、たびたび答弁をいただいているわけでありますが、銀行から求められて返却をしたのか、それともみずから率先をして返却をしたのか、お伺いしたいと思います。
産業労働局長
お尋ねの調査報告書全文につきましては、新銀行東京から一時的に預かったものでありまして、閲覧後、私から速やかに返却をいたしました。
山口委員
それでは、もう一点伺いたいんですが、また、その調査報告書の全文が示されたときは、新銀行が率先をして示したのかどうか、これも確認をしておきたいと思います。
産業労働局長
調査報告書の全文は、新銀行東京の経営悪化を招いた原因を調査したものでありまして、本年の第一回都議会定例会に提案をいたしました新銀行東京への四百億円の追加出資に係る議会答弁の参考とするため、新銀行東京が私どもに預けたものであります。
山口委員
さまざま伺っているところなんでありますが、十月二十二日の日経の記事で、融資先のリストが大株主の東京都などに漏えいしていたことが明らかになったとありますが、東京都はこれを知っているのかどうか、事実関係を確認したいと思います。
産業労働局長
およそ銀行は、顧客情報の秘密を守らなければならない存在であります。お尋ねの記事は、金融庁と新銀行東京しか知り得ない検査の結果に関連して触れたものと思われます。都がお答えすることは適当でないというふうに考えます。
山口委員
最後に伺いたいんですが、融資先のリスト等がインターネット上でも流れているわけでありまして、東京都議会議員や国会議員、知事側近などの名前とその口ききをしたとされる企業名もあわせて公開をされているのが現状であります。金融監理室として、このことを把握されているのか。また、それに対する対応というのはどのようにとられているのか、お伺いをしたいと思います。
産業労働局長
都は、インターネット上に口ききリストと称するものが掲載されている事実については認識をしております。都といたしましては、早急な対応を新銀行東京に求めているところでございまして、現在銀行におきまして対応策を検討しているところでございます。
山口委員
この間の答弁を聞く限りでは、東京都が引き続き新銀行東京の経営監視の役割を十分に果たしているとは到底いえないわけであります。
私たち都議会民主党は、石原知事のメンツのために新銀行を維持、存続をしようとするのではなく、都民に一番負担の少ない形で新銀行から撤退すべきと改めて主張を申し上げて、質問を終わりたいと思います。