1. トップ
  2. 都議会ネットリポート
  3. 平成20年
  4. 第3回定例会 一般質問
  5. 泉谷つよし(民主党)

マンション住民へ十分な施策を
介護従事者の待遇改善に努めよ

泉谷つよし
泉谷つよし(民主党)

集合住宅

質問1
 平成に入り、東京都ではマンション住民の人口が急速に増加しております。計画道路の着工により拡幅工事が行われれば、必ずその沿道にはマンションが建設されます。
 東京都では、区分所有による共同住宅をマンションと定義し、平成十五年の住宅・土地統計調査によると、全世帯数の五割がマンションに居住しているという調査結果になっています。それから五年が経過し、現在の都内のマンションの総戸数は百四十一万戸であり、この五年間では約三十万八千戸も供給されていす。
 一般的に、一戸建てに比べマンションは高層利用しています。「マンション資産を守りぬけ!」、中央公論新社からの引用によりますと、五年前で、東京都では三二%の固定資産税をマンション住民からいただいているということです。ということは、これまでのような一戸建て政策だけに傾注するのではなく、マンション住民に対し十分なサービスをしなければなりません。
 また、マンション住民が急増したことにより、さまざまなニーズ、問題が生じています。
 そこで、マンション問題を取り扱う専門職員はどのくらい東京都にはいるのでしょうか。また、相談窓口にしても、区分所有法を理解している相談員が少なく、さまざまなトラブルを解決できません。この問題は、弁護士や一級建築士では解決できない問題であり、そこで、担当の中で、マンション管理士など、専門性のある職員を配置すべきと考えておりますが、所見をお伺いいたします。

答弁1
都市整備局長
 マンション施策を担当する職員についてでございます。
 平成十年に出されました東京都住宅政策審議会答申を踏まえまして執行体制を整備いたしまして、管理適正化を初め、耐震化の促進や建てかえ支援などのマンション施策に既に取り組んでおります。担当する職員につきましては、業務に精通した職員の配置に努めております。


質問2
 二十年度予算では、新規事業として、マンションの耐震改修に要する費用に対する助成が一億円計上されています。「十年後の東京」への実行プログラムや民間建築物等の耐震化促進実施計画では、二十年度は、マンションの耐震改修目標は二十件で八百戸と明示されており、本予算額から逆算すれば、一件当たり上限を五百万円としているのだと理解できます。
 そこでまず、対象地域、対象建物、お金の流れなどがどのようなものになるのか、このマンションの耐震化促進事業の基本フレームについてお伺いいたします。
 新しく創設するマンションに対する耐震改修助成制度も、利用の促進を図るためには、木造住宅と同様に、単にお金を出すだけではだめで、耐震診断を行った結果、耐震基準を満たさないマンションがどの程度あり、それらのマンションの管理組合がどのような意向を持っているのか把握しておくことも必要だと考えます。マンションの耐震化促進策について、現状をどのように認識し、今後どのように制度の普及を図っていくのか、所見をお伺いいたします。

答弁2
都市整備局長
 マンション耐震化促進事業についてでございますが、本事業は、旧耐震基準で建築された分譲マンションのうち、改修が必要なものに対しまして、区市等を通じて補助を行うものでございます。 マンション耐震化には、多数の区分所有者の合意形成が必要となるほか、幅広い専門知識が欠かせない等の課題がございます。
 都は、区市等に対しまして助成制度の一層の活用を促すとともに、区分所有者の合意形成に向けた啓発や、民間団体と協力した相談体制の整備等に取り組んでおります。


質問3
 阪神大震災では、神戸にあった千四百五十棟のマンションのうち、全壊したマンションは七十棟であり、そのうち六十九棟が昭和四十六年以前に建てられたマンションでした。都内には、建築基準法で耐震基準が初めて改正された昭和四十六年以前に建てられたマンションが約四万八千五百戸あります。早急に手当てを施さなければなりません。
 また、阪神大震災では、行政とパイプのないマンション住民は、その救済や安否の確認など、すべて最後に回されたという現実があります。特に最近では、個人情報保護のもと、匿名社会に生きるマンション住民が大震災によって被災した場合、マンション住民に対する救済計画をあらかじめ策定しておくことが最優先課題の一つと考えます。
 また、昭和四十六年以前に建てられたマンションは、築三十七年以上を過ぎ、建てかえを余儀なくされる時期を迎えており、区分所有法の改正や容積率緩和法案も通り、建てかえもより現実的になってきています。ある程度敷地があり、幅員の広い公道に面しているマンションでは、容積率の緩和によって自己負担なしで建てかえが可能ですが、それ以外のマンションでは、建てかえる場合には自己負担が必要になってしまいます。四十代でマンションを購入した人でも、三十年たつと七十歳を超え、建てかえに際し新たなローンを組むことは非常に困難になっています。そのまま放置しておけば、マンションはスラム化してしまいます。このような現象を避けるため、都が、マンション建てかえのために区分所有者に対し融資することが大変有効ではないかと考えます。マンションへの融資は回収不能になるわけではありませんし、何より、建てかえを進めることが困難な状況に陥っている管理組合にとって非常にありがたい支援策となると考えます。
 このマンション建てかえのために、都が区分所有者に対して融資あるいは補助するという提案について、所見をお伺いいたします。

答弁3
都市整備局長
 マンション建てかえのための融資、補助についてでございますが、都は、建てかえを支援するために、一定の要件を満たす場合は、共同施設の整備費、これは廊下とかエレベーターでございますが、それなど、建てかえ費用の一部を、区市等を通じまして管理組合に対して補助をしております。
 融資につきましては、住宅金融支援機構が実施しておりまして、都みずから行うことにつきましては考えておりません。


質問4
 老朽化したマンションには多くの高齢者が住んでいます。しかし、古いマンションには高齢者の居住を想定した設備が整えられておらず、ふろも廊下もすべて健常者向けにつくられています。中でも、昭和三十八年から昭和四十八年までの十年間は、七〇%以上がエレベーターのない五階建て以下のマンションでした。
 エレベーター未設置のマンションは都内で何戸あると把握しているのでしょうか。また、これらの古いマンションに対するエレベーター設置費補助を制度化すべきだと考えていますが、あわせて所見をお伺いいたします。

答弁4
都市整備局長
 エレベーター未設置のマンションについてでございますが、平成十五年の住宅・土地統計調査によりますと、三階建てから五階建てのマンションでエレベーターのない住戸は、都内に十四万四千戸ございます。
 都は、先ほど申し上げましたとおり、マンションの共用部分の改良工事に対しましては利子補給による助成制度を実施しておりまして、エレベーターの設置につきましても助成対象としております。

ページの先頭へ

福祉施策

質問1
 次に、介護保険についてお伺いいたします。
 前回の質問では、改正介護保険法が施行されて間がありませんでしたが、二年弱たち、主に次のような課題が浮かび上がってまいりました。
 一つとして、要介護認定者、特に要支援、要介護一の者の増加が著しい。
 二つ目として、要支援者への予防給付が状態の改善につながっていない。
 三番目として、特養の入所希望者が急増している。グループホーム、特定施設利用が急増。在宅生活を希望する高齢者が在宅生活を続けられない。
 四、介護以外の問題を抱える高齢者については、ケアマネだけでは問題解決が難しい。
 五、要介護高齢者のほぼ半数は認知症高齢者自立度Ⅱ以上であり、認知症高齢者ケアは発展途上で、尊厳の保持を図る視点からも高齢者介護の中心的課題である。
 六つ目として、事業者選択のための情報提供が不十分。サービスの質に関する苦情が多い。従業員の資質の向上、人材育成が課題。
 このような問題を念頭に置き、質問していきたいと思います。
 高齢化社会が現実となり、そのスピードが加速していく中、平成二十一年には、第四期東京都高齢者保健福祉計画の策定、その取り組みの推進を図ることになっています。特に問題が顕在化していることは、施設にあきがないため、あきを待っている間に亡くなられる方がふえてきていることです。
 そのような状況のもと、東京都の用地費補助制度の廃止は、地価が高い都市部にとって施設整備に大きな影響を及ぼすと考えられます。特養の施設整備促進のためにも用地費補助制度の継続が望まれていますが、所見をお伺いします。

答弁1
福祉保健局長
 特別養護老人ホームの用地取得費助成事業についてですが、本事業は、約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備でありました昭和六十年度に開始をしたものであります。当時は、施設用地の自己所有が原則であり、用地取得費の資金調達も困難であったことなど、用地確保が大きな課題となっておりました。
 その後、国の規制緩和により、民有地の貸し付けによる特別養護老人ホームの整備が可能となり、現在は、定期借地権制度を活用することによって、長期的に安定した用地確保が可能となったほか、用地取得費に対する融資制度の充実が図られるなど、状況が大きく変化をいたしました。
 こうしたことから、用地取得費助成事業は平成二十年度着工分をもって終了することといたしました。


質問2
 また、認知症高齢者グループホームの整備に対する補助制度もあわせて充実を図るべきだと思いますが、所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 認知症高齢者グループホームの整備費補助制度についてでありますが、都はこれまでに、独自の補助制度によりグループホームの整備促進を図ってまいりましたが、平成二十年度からは、事業者の参入をさらに促進するため、民間企業や土地所有者に対する補助額を増額するとともに、従来補助対象としておりませんでした増築についても新たに補助対象といたしました。
 これに加えて、高齢者人口に比べまして整備状況が十分でない地域を重点的緊急整備地域と位置づけまして、補助単価を一・五倍に加算するなど、整備の促進に努めているところであります。


質問3
 昭島市では、長年にわたり、婦人保護施設から住所不定者を養護老人ホームへ措置してきていますが、従来、この費用は国と都が負担してきました。しかし、三位一体改革により費用負担が市区町村負担となったため、住所不定者を多く抱える自治体の負担は大きく増加しました。広域行政を担う東京都の責任においてこれを処置すべきだと考えますが、所見をお伺いします。

答弁3
福祉保健局長
 住所不定者の養護老人ホーム入所措置にかかわります措置費についてでありますが、平成十六年度までは国と都道府県が措置費の二分の一ずつを負担することとされておりましたが、平成十七年度の国の三位一体改革により、措置費の全額を区市町村が負担するものとされ、その財源については税源移譲と交付税により措置をされております。


質問4
 昨今、テレビなどにより、介護従事者の過酷な労働環境の実態を特集する放映が数多くなされています。それに伴い、介護従事者を希望する人が激減し、また、離職者も顕著になっています。
 この状況を打破するためにも、介護職員の待遇改善に努めなければなりません。また、今のままでは福祉業界のイメージが悪くなる一方であります。東京都では、この悪いイメージを改善するため、宣伝、PRを実施する計画はあるのか、お伺いいたします。

答弁4
福祉保健局長
 福祉の仕事のイメージアップについてですが、都は本年五月、福祉の就活応援キャンペーンを実施し、福祉、介護の仕事の魅力をPRするとともに、七月には、国と連携し、「福祉の仕事 就職フォーラム」を開催するなど、福祉職場への就職を効果的にサポートしてまいりました。
 今後とも、こうした取り組みを進めてまいります。


質問5
 次に、新予防給付について定額制が導入されました。これでは、事業者は、軽度の介護者を扱うと利益が計上できず、どんなに事業者が努力してよいサービスを提供しても、入ってくる収入は同じ。結局、新予防給付や定額制の導入は、介護事業者を赤字に追い込み、大量の介護従事者の流出を招いています。二〇〇三年、介護者の求職数は二十万強で、二〇〇五年には、介護保険のスタート当時の十五万人を下回ってしまいました。これを是正するため、人材育成に係る事業のさらなる充実をすべきと考えますが、都はどのように考えているか、見解を伺います。

答弁5
福祉保健局長
 人材育成に係ります事業のさらなる充実についてでありますが、都は、本年度から新たに、福祉人材センターを活用いたしましたキャリアカウンセリングにより、就職支援を強化しております。また、経営者やリーダー層を対象にしたマネジメント研修テキストの開発や、区市町村における有資格者の資質向上に向けた研修への支援を行っております。
 引き続き、効果的な事業展開を図っております。


質問6
 私、豊島区に住んでおるんですが、豊島区では、区報やホームページの介護保険のお知らせにより、関連サイトにアクセスができるようになりました。また、二〇〇七年度には、介護保険の窓口に、区民、利用者が自由に利用、検索できる、介護サービス情報の公表専用ノートパソコンを設置しました。しかし、実際には、介護サービス情報の公表制度や公表情報の検索に関する、利用者、区民からの問い合わせはほとんどなく、パソコンの利用もほとんどないのが実態です。
 そのことをしっかり認識し、公表制度がいかにむだで、反対に、そのことで時間をとられ、介護の質を落としているということを認識すべきときが来たと思いますが、所見をお伺いします。

答弁6
福祉保健局長
 介護サービス情報の公表制度についてでありますが、この制度は、高齢者が情報を入手して事業者と対等な立場で介護サービスを選択することが困難であるために、事業者の情報を適切に提供する仕組みとして創設されたものであります。
 その目的は、介護保険制度の理念である利用者本位の選択を実現するとともに、よりよい事業者が利用者から適切に選択されることを通じて介護サービスの質の向上を図ることでございます。
 なお、都としては、本制度が幅広く活用されるよう普及啓発に努めていくとともに、利用者にとってより一層利用しやすいものとなるよう、既に国に対しシステムの改善を求めているところであります。


質問7
 最後に、要介護から要支援と認定された人の予防プランについてです。
 利用者のケアプランを作成する事業者でも、長年、要介護と認定されてつき合ってきた利用者が要支援の認定に変更になることによって、自動的に地域包括に流れてしまうことがあります。それは、平成十八年四月の制度改正により、ケアマネの予防プランの受託件数について最大件数八件という規制が介護の現場に大きな混乱を生じさせているからであり、継続してケアプランを担当できない状況を生んでいます。
 この制度について、広域行政の都としての見解をお伺いいたしまして、泉谷つよしの一般質問を終わらせていただきます。

答弁7
福祉保健局長
 介護予防ケアプランについてでありますが、居宅介護支援事業所の介護支援専門員一人当たりの取扱件数に上限が設けられているのは、ケアマネジメントの質の向上を図るためであります。
 お話の要介護から要支援へ変更となる場合には、ケアプランの担当者が、事業所の介護支援専門員から地域包括支援センターにかわることになりますが、必要な情報を提供するなど、連携を図ることとなっているところでございます。

ページの先頭へ