1. トップ
  2. 都議会ネットリポート
  3. 平成20年
  4. 第3回定例会 一般質問
  5. 土屋たかゆき(民主党)

知事の訪中は理解できない
市場移転して本当にいいのか

土屋たかゆき
土屋たかゆき(民主党)

東京オリンピック招致

質問1
 石原知事の、北京政府への過去の発言と今回の訪中問題、オリンピック招致に関する皇室の政治利用の問題、豊洲の土壌汚染問題など、オリンピックに関連して、石原知事並びに関係局長にお伺いいたします。
 さて、私は学生時代、昭和五十年の都知事選挙で知事の遊説を担当し、知事の政治理念、国を思い、権力におもねらず、自己の信念の実現に突き進む姿勢に大いに尊敬の念を抱くようになりました。
 時がたち、私は都議会議員の立場で、石原知事と都庁で再会しました。石原知事が当選時、各会派の対応は極めて冷淡で、知事の態度が悪い、知事の中国敵視の思想が悪いなど、さまざまな批判がありましたが、私は早速、産経新聞に、知事の中国観は正しいとの小論を発表、その後も知事の姿勢を絶えず支持してきました。
 その後、知事は、ディーゼル車の規制、不正軽油撲滅作戦、認証保育所設置など、また、私が提案した都立大学改革、公務員制度改革、教育改革など、都政史上に残る斬新あるいは画期的な改革を次々に実施してきました。一部に、知事の手法を批判する声もありますが、私は、石原知事の手法だからこそ実現できたものと評価し、また、都民の多くも知事選を通じて圧倒的な支持を表明しています。
 ところで、そうした石原知事が、日ごろ批判を繰り返していた北京政府の招待で北京に行かれたことに、多くの都民が驚いています。
 ご存じのように北京政府はチベットで人権弾圧を繰り返し行っています。チベットで、すさまじい略奪、暴行、虐殺が展開され、何と人口の二割に当たる百二十万人のチベット人が殺されています。
 また、気功集団、法輪功への弾圧は熾烈をきわめ、理由なき逮捕、拷問により、多くの人の命が奪われています。その上、法輪功を含め年間四千人に達する死刑囚から、まだ生きているうちに臓器が摘出され、移植されているという指摘もあります。
 石原知事は、北京政府の人権弾圧、反日姿勢に対して、あらゆる機会を通じて痛烈に批判を展開してきました。これはご本人がよくご存じのことと思われます。
 さらに、北京オリンピックに関しても、平成十七年六月二日の産経新聞朝刊によれば、英紙タイムズとのインタビューで、北京オリンピックのボイコットを呼びかけるとともに、こう発言されています。北京五輪は、国際政治において一九三六年のヒトラーのベルリン五輪と同様な重要性を持っている、ベルリン五輪は軍事力を背景にした威圧行為だったが、中国も同じような姿勢を示すことを望んでいる。これはまさに正論であります。
 ところが一転、石原知事は、北京政府の招聘で、これまで痛烈に批判していた北京オリンピックに出席することになりました。石原知事は、北京の招聘を受ける前、あるレストランで北京政府の崔天凱特命全権大使と会談し、中国は好きだが共産主義は嫌いだと発言されたと週刊誌は伝えています。これと同趣旨の発言を東京新聞でもしています。私が嫌いなのは北京市じゃない、北京の政府、共産主義が嫌いなんです、この二つの発言で、共産主義と、中国、北京を分けて発言されていますが、中国も、北京も、先ほどの崔大使も、北京市長も、さらには北京政府を形成する人すべては共産党党員であります。となると、中国は好きという発想はどこから出てくるのでしょうか。
 知事の発言は中国文化が好きとの解釈も可能ですが、その文化を破壊したのは北京政府自身であります。知事もご存じのとおり、北京政府は、ありもしない、いわゆる反日展示館を拡大することで、国民の反日意識を扇動しています。その結果、事あるたびに反日デモが繰り返され、治外法権である大使館の窓が割られ、大使館の公用車に被害が生じるという、世界の常識では考えられないことが起きています。
 さらに、李鵬元首相は、日本などという国は二十年後には消えてなくなると発言したことが、一九九五年、テレビ朝日で紹介されています。まさに確信的反日国家です。
 また、オリンピックでの日本選手へのブーイングのひどさは、八月二十五日の産経新聞の伝えるところです。ところが石原知事は、ボランティアの学生は、親切で、礼儀正しくていいねと感想を述べています。ボランティアなどは、動員された政府公認の人々であることをご存じないのでしょうか。大東京マラソンのボランティアとはわけが違います。
 実際、このオリンピックは、巧みにつくられたオリンピックといっても過言ではありません。施設を建設するために人民を強制的に移動、有名な陳情村も撤去、国歌独唱を行った女の子は歌ったふり、テレビに映った花火の映像はコンピューターグラフィックです。この演出を、一二年ロンドン・オリンピックを控える英国各紙は、偽装五輪、ロンドンでは健全な開会式をと痛烈に批判しています。
 石原知事の今回の訪中は、今までの知事の北京への姿勢から考えれば、到底理解ができません。多くの石原知事支持者も同様に考えています。北京に行けば東京にオリンピックが来るとお考えなのでしょうか。とお考えならば、ヒトラーに譲歩したチェンバレンと同様です。チェンバレンの宥和策は和平を生み出さず、ヒトラーのポーランド侵攻とユダヤ人大量虐殺を招来しました。
 共産主義者に対する譲歩は敗北の第一歩だとチャーチルはいっています。石原知事の今までの発言が変わったのか。変わっていないとするのなら、共産主義者とどうしてアジアのために連携ができるのかを石原知事らしく明快にご答弁願います。

答弁1
知事
 北京オリンピックの開会式出席と、私の過去の発言との関係についてでありますが、可能ならば二〇一六年の東京オリンピックは、最先端の環境技術などを駆使して二十一世紀の都市のモデルを造形し、東京から世界にそれを示すことを目的としております。
 北京オリンピックは、そうした東京の志を世界に披瀝する格好の場所であるからこそ開会式にも出席して、いろんな人に会って話をしました。開会式出席をチェンバレンのナチスとの宥和政策になぞらえるというのは、これは全く的外れでありまして、私は向こうで何の譲歩などもしておりません。
 ご指摘をまつまでもなく、中国に関するさまざまの問題は、これまでも十分批判をし、いうべきことをいってまいりました。これからもいっていくことは当然でありまして、ならばこそ、敵とはいいませんけれども、非常に厄介な隣人の実情を、みずからの目で、その場で確かめてくる必要が政治家としてはあるんじゃないんでしょうか。
 同時に、地球環境問題のように、国境や体制の違いを越えて連携協力しなければならない不可欠な問題が厳然として存在しております。かつて日本が協力してつくった、あの宝山の中国第一の製錬所も、公害防止の装置を忌避したために、あそこで排出するガスが酸性雨になって日本に下って山陰地方の松を枯らしている、こういった因果関係があるわけでありますけれども、そういった現況の中、CO2を多量に排出している中国には、みずからの責任を世界的に果たしてもらわなければならないと私は思っています。
 ゆえにも、開会式に際して訪中した折、北京市長には環境問題での協力を提案いたしました。そして、来月開催するC40東京会議には、北京市からも参加をする旨の申し出が来ております。
 土屋議員の質問は、いささかファナティックな国粋主義の感がいたしますな。私は、このように中国を複眼的にとらえつつ、常に国益を踏まえて首尾一貫して発言し、行動しております。ご懸念には及びません。


質問2
 次に、皇室の政治利用に関して質問いたします。
 都議会民主党は、七月二十二日、石原知事による皇室を利用した五輪誘致活動に反対の声明を出しました。至極当然のことです。皇室外交は、現憲法の規定上、できないことになっているのは周知の事実です。
 つまり、皇室の方々が外国をご訪問される場合、親善を目的としたものに絞られています。したがって、今回の知事発言のように、皇太子がコペンハーゲンにいらして日本のために一席弁じていただくということは、到底実現できる問題ではありません。
 この知事発言を批判した東宮大夫に対して、宮内庁ごときが決めることじゃない、宮内庁のこっぱ役人と痛烈な批判を行っています。日本国の象徴たる天皇家を輔弼する宮内庁の常識的な見解を、みずからの意思に合わないからといって、宮内庁ごときと批判し、さらに東宮大夫をこっぱ役人と罵倒することは、極めて不遜であるといわざるを得ません。
 外国では、オリンピック招致活動への王室などの協力は常識だという論もありますが、外国の王室は巨額な私有財産をお持ちです。しかし、我が皇室にはそれがありませんから、当然、行動は国家が決定したものに限定されるのです。
 さらに問題は、知事発言の中で、皇太子と敬称をつけずに呼びつけていることです。皇室典範では皇太子殿下という敬称が規定されています。したがって、公人たる知事が公式の場で発言される場合、皇太子殿下とお呼びするのが常識であり、単に皇太子とするのは礼を逸した行為です。
 ちなみに、常に皇太子と書く新聞は、共産党機関紙「赤旗」のみであります。知事と共産党が同じ皇室観であるとは到底考えられませんが、皇室の政治的利用、敬称の問題について、石原知事に責任あるご答弁を求めます。

答弁2
知事
 オリンピック招致に当たり、皇太子殿下にお力添えいただくことについてでありますが、オリンピックの招致は国家的事業でありまして、国を挙げて取り組まなければならない、そういった事業であります。ロンドン大会の招致成功でも、エリザベス女王やアン王女が大きな役割を果たされました。
 いろいろ法的な制約はあるかもしれませんけれども、国民が敬愛する皇室の方々が、この国家的な悲願というものを達成するためにとにかく力を振るわれるということは、私は国民挙げて賛成すると思いますし、歓迎するところだと思いますね。まさに国を代表して日本への招致の先頭に立っていただくという大きな仕事は、皇太子こそ相ふさわしいと思います。多くの都民、国民も同じような考えだと思います。もとより皇室の政治利用には、これは決して当たりません。
 また、私の皇室観が共産党と対極にあることはよくご存じのはずの土屋議員から、礼を失する云々の質問が出るというのはちょっと驚きましたが、もとより私の発言が敬意を欠いているはずはなく、真意をご理解いただけないのはまことに残念であります。
 私は、公的な立場の発言で天皇陛下を天皇と申し上げ、皇太子殿下を皇太子と申し上げたんですが、私、年に一度ずつ皇居に赴き、また東宮に赴いて、東京問題の説明をいたしております。そのときは、まさに敬愛を込めて陛下と呼び、殿下と呼んでおりますが、ただ、土屋議員の主張も、あなたの情念としてはよくわかりますから、この発言の形については今後、考えてみたいと思います。

ページの先頭へ

築地市場の移転問題

質問1
 築地市場の移転問題、豊洲の土壌汚染問題について伺います。
 中国産毒ギョーザ事件を初め、残留農薬やカビ毒が混入した事故米の偽装転売事件など、食べ物が毒に汚染されるという事件に私たちは辟易しています。そして、築地市場の移転予定地である豊洲地区も、環境基準の四万三千倍のベンゼンや、八百六十倍のシアン化合物など、毒によって汚染されています。
 ベンゼンは発がん性があり、シアン化合物も青酸カリのもととなる極めて毒性の高い物質であるといわれています。幾ら対策を講じたと強調しても、天洋食品や三笠フーズから食べ物を購入しようとは思わないように、毒にまみれた地域に生鮮食料品を扱う市場を移転して本当にいいのでしょうか。
 石原知事は、六月に出演したテレビ番組の中で、何も海に隣接していなくてもいいんだ、環状線ができたらほかに持っていってもいいんだ、クール宅急便で運んでいるんだからと述べられました。また、昨年六月の私たちの代表質問に対しても、築地移転は鈴木、青島時代から検討されていて、自分は調印しただけだなどと答弁しています。
 このようなことを踏まえると、石原知事も本当は豊洲への移転が最善の方策だと心から思っていないように感じます。築地にアスベストがあるからといって、現在地で解決できる方法はないのでしょうか。本当に豊洲への移転しか問題を解決できないのでしょうか。築地市場の移転問題に対する石原知事の本心からなる責任のあるご答弁を求めるものです。

答弁1
知事
 築地市場の移転問題についてでありますが、これ、内陸部での市場建設はパリのランジス市場などの例もありまして、三環状道路などの東京の道路網が整備された場合の可能性の一つとして述べたものでありますが、しかし、これがまさに百年河清を待つ感がありまして、築地市場が七十年以上によって築いてきた商圏との関係や、業界からの海上輸送を望む声を考えれば、現実の問題として内陸部への移転はかなり難しいものと思っております。
 ただ、今、あの豊洲を活用するために、今まで相談しなかったジャンルの科学技術界に相談して、これを駆使する方法というものについて、皆さんの想定外の技術の専門家たちに合議いただいて、案を出していただいております。これについて、さらにそういったものを審査する会議をつくりまして、やはり私たち同胞が開発してきた世界に誇る先端技術というものがここで活用されればなと思いますし、私は、日本人の技術に関する英知を信じたいと思いますが、必ず豊洲を活用する方法が出てくると思っております。


質問2
 六月都議会では、自民党の代表質問で、築地市場業界団体の方々から豊洲新市場建設計画の推進について要望をいただいたとの発言がありました。しかし、業界団体を連れ回っていたのは、それら団体に天下りしている元東京都の管理職なのです。これが実態です。
 石原知事は五月三十日、定例会見で、八百人の仲卸業者のうち、移転に反対しているのは二百人ぐらいで、マイノリティーだという旨の発言をしていますが、二百人は会費を払って考える会に参加している人たちの数で、多くの仲卸業者は、本心では移転反対です。
 石原知事は、例えば最低限、仲卸業者の意向調査を実施するなどして、本当の世論というものを見きわめるべきではないでしょうか。今後、移転に当たっては、仲卸業者を含め、市場業者や都民の理解を求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 このように、東京オリンピックに関連した問題は続出しています。晴海に建設予定のオリンピックスタジアムの後利用も同様です。特に、都民の食の安全にかかわる豊洲の土壌汚染は重要な問題です。
 オリンピックは、クーベルタン男爵や、かつてのIOCブランデージ会長の理念とはかけ離れ、商業オリンピック、利権オリンピックに変質しています。オリンピック憲章には、国や民族に対する差別は、いかなる形であれオリンピックとは相入れないとありますが、台湾は、北京政府の反対で正式国名で参加ができない状態です。
 石原知事が東京らしい新しいオリンピックをお考えなら、指摘した問題に加えて、財政問題など都民が納得できる対策と合理的説明が必要と考えます。その説明なしに、巨額の費用のかかるオリンピックには安直には賛成ができないというのが都民の偽らざる声だと思います。

答弁2
中央卸売市場長
 築地市場の移転に関する世論についてでございますが、都はこれまで、長い年月をかけて、移転や現在地再整備について業界団体と協議を尽くし、豊洲地区への移転を決定いたしました。また、新市場の整備内容につきましても、基本構想から実施計画、基本設計に至る各段階において業界団体と協議を重ね、その意向を反映させた上で取りまとめてまいりました。あわせて、土壌汚染対策についても、市場業者との間で説明や意見交換の場を設けてまいりました。
 築地市場の移転を進めるに当たって、食の安全を含め、都民や市場業者の理解は議員ご指摘のとおり重要であり、今後も引き続きさまざまな工夫を行い、積極的な情報提供などにより、都民の十分な理解が得られるよう努めてまいります。

ページの先頭へ