鈴木章浩(自民党)
質問1
初めに、地方分権改革について伺います。
地方分権については、平成五年の衆参両院による地方分権の推進に関する決議以来、十五年にわたって議論が続けられているところでありますが、本来目指す姿とは、全国一律の基準で行う従来型の行政システムの転換であり、行政のむだを省き、地域の活性化に向けて、国から地方へ権限と財源を移し、自立した地方が、みずからの判断と責任で住民の必要とする行政サービスを的確に提供できるようにすることであります。
都はこれまでも、知事のリーダーシップのもと、首都圏の課題に対して先進的な取り組みを進めてきておりますが、地方分権の推進により、さらに大都市の実情に即した迅速かつ効果的な施策展開が可能となります。
現在、かつての第一次分権改革において積み残した課題の対応のため、国の地方分権改革推進委員会を中心に議論が行われており、本年五月の第一次勧告では、国と地方の役割分担の考え方など示され、さらに、年内に予定されている第二次勧告に向けて、国の出先機関の見直しが争点となっているところであります。
全国知事会と国土交通省との間で、夏から道路、河川の移管協議が始められましたが、すぐに膠着状態に陥り、その後、意見書が提出され、ここに来て、財源等の考え方が国から示されたことで、ようやく再開のめどがついたようであります。
このように遅々として進まない協議を前に、またもや地方の真の自立を実現する根本議論が置き去りにされるのではないかと危機感を覚えます。
ドイツにおいては、昨年、国と地方の役割分担を見直す連邦制度改革が首相のリーダーシップのもと行われ、戦後五十三回目の憲法改正が過去最大規模でなされたわけですが、危機的状況にある日本を将来世代に責任を持ってバトンタッチするためにも不退転の取り組みが重要であり、骨抜きや先送りは絶対許されません。
また、ことし三月、東京への一極集中の打破や地域間格差の解消をうたった道州制担当相の私的懇談会において、地域主権型道州制を理念に据えた中間報告が出されましたが、この議論が不合理な東京たたきではなく、真のあるべき広域自治体の形態を問うものにするためにも、その前提となる分権改革を前進させなくてはなりません。少なくとも分権を先送りする口実にさせないためにも、もっと世論を喚起すべき取り組みが重要であります。
そこで、現下の状況において、改めて地方分権について知事のご所見をお伺いいたします。
答弁1
知事
地方分権についてでありますが、明治以来の中央集権体制は、戦後の復興期から高度成長期における我が国の発展に一定の役割を果たしましたが、情報時代という文明の成熟期を迎えた今日の日本社会においては、もはやその有効性を失っていると思います。
そもそも地方分権は、地方が自立し、みずからの才覚と責任で地域を主宰できるようにすることであります。現在の政治の閉塞感を打破し、地方を真に自立させ、国全体に活力を与えるためにも、地方が持てる力を十二分に発揮できるようにしなければならないと思います。
とりわけ、この首都東京は、我が国を牽引する役割を担っておりまして、まさに国力の源泉であります。人材や企業の集積の優位性を生かし、大都市特有の諸課題を的確に解決していくためにも、現場を熟知する東京に権限と財源をゆだねるべきであると思います。
しかし、今、霞が関は、分権の意義を全く理解せず、例えば政府の地方出張所、地方機関を依然として継続、存続しようとしているようですが、財政再建のために、みずからの身を切ることもせずに、国のツケを地方に回すばかりであります。
今後、第二次勧告に向け、国家官僚の抵抗がさらに激しさを増すのは必至であると思います。
引き続き、国の動向などを見据えながら、都議会の皆さんと力を合わせ、地方分権の実現に向けて強く働きかけていくつもりであります。
質問1
次に、羽田空港跡地整備について伺います。
羽田空港の跡地については、さまざまな経過を経てきましたが、本年三月にようやく、羽田空港移転問題協議会、いわゆる三者協において跡地利用基本計画を策定しました。この計画の中で、特に大田区市街地に隣接する第一ゾーンについては、公共的な空間形成として文化・交流ゾーンや産業支援ゾーンに位置づけられ、この基本計画を踏まえ、大田区において、より具体的なOTAプラン素案が作成され、パブリックコメントを実施したところであり、来月末をめどにプランを取りまとめる予定であります。
羽田空港の再拡張事業の供用開始を二年後に控え、跡地利用の事業化に向けて、まさにスピードアップしていく時期に来ており、懸案事項である道路や護岸、及び跡地処分後のライフライン、とりわけ上下水道の整備、管理、また跡地の処分、事業手法等の課題を早期に解決することが重要です。
空港に近接した跡地を含めたまちづくりは、地域の活性化だけでなく、首都圏全体の活力向上にとっても、羽田空港の機能強化にとっても重要な意味合いを持つものであり、都が積極的に大田区と連携しながら取り組んでいくことが必要であると考えますが、今後の基本的な考え方についてお伺いいたします。
答弁1
都市整備局長
羽田空港の跡地利用についてでございますが、都はこれまでも、国や地方自治体と構成するいわゆる三者協の事務局として、共同調査の実施など検討作業を推進するとともに、有識者の助言や大田区の意見等を跡地利用基本計画に反映するよう努めてまいりました。
跡地整備を進めるためには、関係者間の連携を一層強化しながら、道路や護岸などのインフラ整備や跡地の処分、事業手法等の課題を解決し、計画の早期具体化を図ることが重要でございます。
これら課題の解決に向けて、都は、再拡張事業の進捗を見据えつつ、主体的に国や大田区など関係機関と調整を進めていくとともに、特に土地所有者である国に対しては、基本計画で示した方向性に沿った積極的な取り組みを強く求めてまいります。
質問2
次に、国道三五七号の整備について伺います。
現在、羽田空港では、平成二十二年十月に国際線ターミナルとD滑走路を供用させることを目指して整備が進められ、完成すると、昼夜合わせて年間約六万回の国際便が就航することとなり、さらには国際貨物ターミナルも整備され、国際空港としての機能が強化されることになります。
このように、羽田空港の国際化は確実に進展することから、空港アクセス道路を強化することが不可欠であります。
また、東京湾岸部では、東京港、川崎港、横浜港の三港が連携を深めていくこととしており、これらの港湾に発生、集中する物資の円滑な流動を確保し、日本の国際競争力を高めるためにも、道路ネットワークの充実が求められています。
ことし七月に開催された、国と都の実務者協議会では、東京港トンネルの整備が取り上げられており、一定の前進が見られました。しかしながら、羽田空港から川崎方面に計画されている多摩川トンネルについては事業化のめどが立っていません。
東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成は、空港の国際化を一層進展させるだけでなく、港湾機能の拡充のためにも欠かせないことでありますが、多摩川トンネルを初めとする国道三五七号の整備に対する都の取り組みについてお伺いいたします。
答弁2
都市整備局長
国道三五七号の整備についてでございますが、この路線は、東京臨海部における広域的な道路ネットワークの形成のみならず、羽田空港へのアクセスや物流の円滑化にも寄与する重要な路線でございます。
しかしながら、東京港トンネル部と多摩川トンネル部が未整備であり、道路交通上の隘路となっていることから、都は、さまざまな機会をとらえ、これらの整備促進を国に要望してまいりました。
このうち、東京港トンネル部につきましては、先ほどお話もございましたが、本年七月に開催された、国と都の実務者協議会におきまして、国から、今年度末に工事用道路に着手することなどが示され、具体化に向けて一定の前進が図られております。
今後も引き続き、関係自治体と連携を図り、早期整備に向けて積極的に取り組んでまいります。
質問3
次に、下水道管渠の耐震対策について伺います。
新潟県中越沖地震、岩手・宮城内陸地震など、ここ一年近くの間に大規模地震が頻発しており、新潟県中越沖地震ではライフラインの多くが被害を受け、住民生活に大きな影響が生じました。こうした被害を目の当たりにし、東京のライフラインの地震対策は大丈夫なのかと改めて心配になったところであります。
首都直下型地震の被害想定によれば、発生一カ月後においても、約百九十万人もの都民が避難所生活を強いられるとされておりますが、こうした状況を考えますと、都民が不便さを感じずに安心して生活できる避難所の整備が必要であります。
中でも、避難所のトイレ機能の確保は重要であります。これまでの地震では、トイレを我慢するため水分を控え、エコノミークラス症候群で倒れる人も発生するなど、震災時のトイレ機能の確保が生命や健康に大きく影響することを知らされました。
下水道局では、こうした地震被害を踏まえ、被災者の生活の拠点となる避難所や災害拠点病院などのトイレ機能を確保するため、施設の排水を受け入れる管渠の耐震化を進めており、さらに、地盤の液状化により、道路に埋設されたマンホールが浮上し、車両交通の障害となり、消防救助活動や応急復旧活動に支障が生じないような対策を進めているとのことでありますが、これらに対する取り組みの内容と進捗状況についてお伺いいたします。
答弁3
下水道局長
耐震対策の取り組み内容と進捗状況についてでございますが、下水道局では、震災時のトイレ機能を確保するため、二十三区内の避難所や災害拠点病院など約二千五百カ所を対象にいたしまして、その排水が流入する下水道管渠について、マンホールとの接続部を柔軟性のある構造に改良し、耐震性の向上を図っております。平成十九年度末までに、約千百カ所の耐震化が完了しております。
また、震災時の車両通行機能を確保し、救助や応急復旧活動などに支障が生じないよう、液状化の危険性の高い地域にございます緊急輸送道路や避難道路に埋設されている約二千カ所のマンホールを対象に、早急に浮上抑制対策を実施することとし、昨年度より着手しているところです。
質問4
一方、私の地元、大田区における下水道の耐震対策は、都心部に比べ、おくれているとも聞いております。低地や埋立地などの液状化の危険性の高い地域を多く抱えていることを考えますと、対策のスピードアップが必要であります。
そこで、大田区における耐震対策の促進に向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。
答弁4
下水道局長
大田区におきます耐震対策の促進に向けた今後の取り組みについてでございますが、下水道局では、法定耐用年数を経過した管渠が多い都心区から、大田区など比較的整備年代の新しい区へと順次、耐震対策を進めてきております。
大田区におきましては、今年度、池上小学校など十カ所の避難所の排水が流入する管渠の耐震化や、第一京浜国道に埋設されておりますマンホールの浮上抑制対策を実施する予定でございます。
今後とも、地元区や道路管理者などと連携し、耐震対策の促進を図ってまいります。
質問5
次に、河川の整備について伺います。
近年、地球温暖化による気候変動に起因するともいわれる、集中豪雨による被害が全国各地で頻発しています。都においても同様であり、本年八月末の多摩地域を中心とした集中豪雨では、時間最大雨量一一五ミリという猛烈な降雨を記録し、各地で河川からの溢水や土砂災害をこうむりました。これまでの常識を超えるような、最近の異常とも思える豪雨が、東京のどこで発生しても不思議ではないといわざるを得ません。
昨日の我が党の代表質問では、気候変動も踏まえた今後の河川整備について質問し、警鐘を鳴らしたところであります。河川整備は、水害から都民を守る治水対策のかなめであり、着実な推進をお願いいたします。
私の地元、大田区を流れる呑川においても、現在、豪雨による洪水から地域を守る中小河川整備事業が続けられており、一日も早い事業の完了が待たれております。
そこで、呑川の中小河川整備事業の現状と今後の予定についてお伺いいたします。
答弁5
建設局長
河川整備事業の現状と今後の予定についてでありますが、呑川は、世田谷区新町から大田区大森南までの市街地を流れており、豪雨対策基本方針における対策促進流域の一つとして整備が急がれる河川であります。
現在実施しているJR東海道線付近から九品仏川合流点までの中小河川整備事業区間六・一キロメートルについては、一時間五〇ミリの降雨に対する整備を進めており、このうち五・六キロメートルが完成しております。
残る〇・五キロメートルのうち、平成二十年度は、八幡橋下流及び本村橋下流の合わせて百三十メートルの区間において、護岸及び河床の整備を行ってまいります。
引き続き、残る区間の整備を着実に進め、二十二年度の完成を目指してまいります。
質問6
一方、都は、「十年後の東京」で、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させることを第一の目標に掲げています。市街化の進んだ都市部では、河川は貴重なオープンスペースであり、豊かな水辺環境に親しみたいとの都民の期待は大きいものがあります。
呑川についても、地元の方々の思いは同様で、現在、緑が少なく、コンクリートに囲まれた印象の強い呑川に、もっと緑がふえ、自然の生き物が生息することとなれば、どんなにかすばらしいことと思います。
そこで、呑川の緑化の基本的な考え方についてお伺いいたします。
答弁6
建設局長
呑川の緑化の基本的考え方についてでありますが、都市の貴重な水辺空間である河川の緑化は、緑の東京十年プロジェクトに位置づけており、風格のある美しい都市景観を創出する上で重要であります。
密集した市街地を流れる呑川においては、早期に治水効果を発現させるため、掘り割り構造の直立護岸としており、緑化空間を確保することが困難な状況にあります。
このため、管理用通路の植栽に加え、護岸の壁面にツタをはわせるなど、さまざまな工夫を行い、二・二キロメートルの緑化を進めてまいりました。
平成二十年度は、地元区などと調整を進め、池上橋付近で緑化工事に着手する予定であります。
今後とも、治水機能の向上を図るとともに、緑豊かな河川を目指して、呑川の整備に努めてまいります
。
質問7
次に、臨海新交通「ゆりかもめ」について伺います。
東京湾大華火、お台場冒険王、コミックマーケットなど、この夏も臨海部はさまざまなイベントでにぎわい、臨海副都心は、今や年間四千五百万人という、東京ディズニーランドを超える集客力あるエンターテインメントゾーンになりました。
来訪者のうちの四割は、環境に優しい乗り物である「ゆりかもめ」を利用しているとのことです。そして、その乗客数は、近年着実に増加しており、昨年度は三千六百万人に達したと聞いております。
現在、臨海副都心開発は、平成二十七年度のまちの概成に向けた総仕上げの十年のただ中にありますが、まちの成熟とともに「ゆりかもめ」の今後を考えたときに、安全第一はもとよりでありますが、特にサービスの向上が重要と考えます。
そこで、今後の取り組みについてどのようにお考えか、お伺いいたします。
答弁7
港湾局長
「ゆりかもめ」の利用者サービス向上についてのご質問にお答え申し上げます。
「ゆりかもめ」は、臨海副都心への主要な交通手段であるとともに、台場地区の観光スポットや有明南地区のコンベンションゾーンなど、域内をきめ細かく回遊する乗り物として多くの人々に親しまれてございます。
臨海副都心では、台場地区の開発が終了し、青海地区、有明地区でも開発が着実に進んでございまして、今後、平成二十四年度までに、ホテルや大学など十四の施設が次々に開業する中で、「ゆりかもめ」の利用者の大幅な増加が見込まれております。
こうしたことから、「ゆりかもめ」では、利用者の利便性や快適性をより一層高めるため、車両増による運転間隔の短縮や新型車両への更新、駅施設の改修、沿線施設とのタイアップなど、さらなるサービスの向上に取り組んでいくこととしております。
また、ご指摘のように、利用者の安全対策の充実は何よりも重要でございまして、安全推進室を設置し、点検の強化や設備の改良などに最優先で取り組んでおります。
都といたしましては、臨海ホールディングスと連携いたしまして、「ゆりかもめ」のこれまで以上の安全性の確保と利用者サービスの向上を支援するとともに、平成二十七年度のまちの概成に向けまして、臨海副都心の交通の柱となるよう育成してまいります。
質問1
次に、看護師の人材育成について伺います。
今日の医療は高度化、複雑化し、さらに、高齢化の進展や生活習慣の変化などから患者の医療ニーズが増加するなど、医療を取り巻く環境が大きく変化しています。また、年間約三万人の都民の命を奪っているがんを克服する取り組みや、脳卒中、急性心筋梗塞の医療、糖尿病の予防、治療など、いわゆる生活習慣病への対策も急務となっています。
このような中、都民に適切な医療を提供していくためには、医師や看護師を初めとする専門職種が一体となって行うチーム医療が必要です。しかし、医師、看護婦が不足しているという厳しい実態の中では、役割分担を明確にするとともに、チーム医療を担う医療従事者が、それぞれ専門性を最大限に生かしていくことが重要であります。
こうした専門性の発揮という観点から、医療現場において、医師をサポートし、計画的なケアを主体的に行える、より専門性の高い看護師の役割が期待されています。そうした中、がんや救急、糖尿病などの分野における看護については、専門的な教育を受けた看護師に対する認定看護師制度があると聞いております。
都は、看護師の質の向上の観点から、この制度についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。
答弁1
福祉保健局長
認定看護師制度についてお答えをいたします。
認定看護師制度とは、がん等の特定の看護分野について専門的な知識、技術を修得した者を、日本看護協会が審査の上、認定するものであります。
認定看護師は、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践するとともに、看護職に対する指導や相談を行うこととされております。
高度化、専門分化が進む今日の医療におきましては、認定看護師の果たす役割は大きく、その育成は医療全体の質の向上に寄与するものと考えております。
質問2
我が国において、死亡原因の第一位はがんであり、高齢化の進行を考えれば、がん患者は今後さらに増加することが予想されます。がんの治療に際しては、手術療法、放射線治療、化学療法など、さまざまな手段を適切に組み合わせていく方法がとられており、専門的な知識を持った看護師が必要となります。
しかし、私が調べたところでは、東京都内では認定看護師は、総数としては六百五十人の登録があるものの、がんの関連の認定看護師の数はまだ少なく、例えば、がん化学療法認定看護師は、平成二十年九月一日現在、二十九人にとどまります。
そこで、多くの質の高い看護師を輩出している首都大学東京において、より専門性の高い看護を実践できる看護師を育成していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁2
総務局長
首都大学東京におきます看護師の育成についてお答えいたします。
がん治療におきます業務内容は高度化、専門化しており、医師のみではなく、看護師も専門性を持ち、協力してチームとして医療を進めることが一層重要となっております。
首都大学東京におきましては、これまでも看護師等の人材養成を行ってまいりましたが、こうした状況を踏まえまして、一定の実務経験を持った看護師を対象として、平成二十一年度から、がん化学療法看護の認定看護師教育課程を開設し、より高い専門性を有した看護師を育成してまいります。
質問1
最後に、教育現場における副校長の支援について伺います。
最近、教育管理職への応募が少ないとのことでありますが、これは、副校長の処理する校務等が多く残業がふえるなど、多忙であり、副校長本来の職務に十分時間をかけることができず、副校長の職に対する魅力が低下していることが原因ではないかと考えておりますが、副校長への支援の必要性について、都教委の見解をお伺いいたします。
答弁1
教育長
副校長への支援の必要性についてでございます。
東京都の公立学校では、教育改革への積極的な取り組みや、複雑化、多様化した教育課題への組織的な対応の強化が求められておりまして、校長を補佐する副校長は、それらの実務を推進する役割を担っており、多くの学校では、副校長に業務が集中し、負担感が生じております。
こうした状況を踏まえまして、都教育委員会は、学校の組織的課題解決能力向上のために、主幹教諭制度の一層の充実を図りますとともに、非常勤教員を副校長の補佐に積極的に活用するなど、副校長の職務のあり方等の改善に向けた具体的な対応方針をまとめたところでございます。
今後は、この方針に基づき、副校長を支える施策を着実に実施してまいります。
質問2
中でも、都教委が設置した検討委員会の報告によりますと、副校長の多忙の原因の中で最も負担として感じているのは、特に調査、報告等の事務量の多さを指摘しております。
そこでまず、都立学校について、今後、具体的にどのように調査、報告事務の縮減を図っていくおつもりか、お伺いいたします。
答弁2
教育長
都立学校の調査、報告事務の縮減についてでございます。
本年六月、庁内に常設の調査・報告事務縮減推進委員会を設置いたしまして、教育庁全体で縮減の取り組みを進める体制を整えました。モデル校を抽出いたしまして、年間を通じた実態調査を行い、その分析を踏まえた改善策の検討を開始したところでございます。
あわせまして、全都立学校から縮減に向けた改善提案を随時受け付けまして、対応する仕組みを設けたところであります。
今後は、これらをもとに、重複している調査、報告事務の整理や、調査方法の改善を具体的に進めますとともに、都立学校ICT計画に基づき資料のデータベース化を図るなど、効率化を一層推進してまいります。
質問3
また、小中学校では、国や都に加え、区市町村教委独自の調査、報告事務も多いと思われますが、小中学校において、ぜひ実効性のある取り組みを高めていただき、かなめである副校長本来の職務に専念でき、学校運営の改善につながりますよう、都教委としてどのように支援していくおつもりかお伺いして、質問を終わります。
答弁3
教育長
小中学校への支援についてでございますが、本年六月から、二区二市と共同で、都立学校と同様に、調査、報告事務の実態把握と事務縮減の取り組みを開始いたしました。
この中で、都教育委員会が実施いたします調査、報告事務については、都の推進委員会で改善を図りますとともに、区市の教育委員会が独自に行うものにつきましては、区市で改善に取り組むことといたしました。
都教育委員会としては、今後、これらの取り組みの成果を他の区市町村教育委員会へ周知いたしますとともに、都立学校ICT計画や、区市町村における先進的事例を情報提供することによりまして、小中学校における調査、報告事務の縮減や効率化の取り組みが推進されますよう支援をしてまいります。