平成20年9月25日(木) |
新銀行の損失の責任が不明確
築地市場の現在地再整備検討を
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酒井大史(民主党) |
■新首相の誕生 |
質問1
私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について、知事並びに関係局長に伺います。
まず、新首相の誕生に関連して伺います。
昨日の国会における首相指名選挙では、参議院では小沢一郎民主党代表が、衆議院では麻生太郎自民党総裁が指名されました。その後の両院協議会において衆参の意見が一致しなかったため、憲法六十七条第二項の規定により、財政出動に積極的な麻生氏が新首相に指名されました。
知事は、この麻生首相の誕生をどのように受けとめておられるのか、見解をお伺いします。
答弁1
▼知事
麻生新政権の誕生についてでありますが、大変結構なことだと思います。麻生氏は、前任の首相や野党の党首と大分違いまして、自分の政治理念を自分の言葉、自分のレトリックで明確に語ることのできる資質を備えた、立派な政治家だと思います。
彼の五代前の先祖の大久保利通内務卿は、日本の近代化のために必須の日本の官僚制度というものをつくりました。それはそれでよかったんですけど、その官僚がばっこし過ぎまして、今の日本の政治を壟断しているような事態でありますから、五代後の新しい総理大臣がご先祖の労に報いるために、今日の官僚制度というのを抜本的に改質、改善していただきたいと期待しております。
質問2
さて、この財政出動に積極的な麻生首相のもとでは、石原知事と福田前首相との合意で導入され、暫定措置とされた地方法人特別税の恒久化が危惧されます。
石原知事は、かつて、福田首相と会談し、今回の改正を暫定措置にとめさせ、日本の発展につながる首都東京の重要政策に対して国が最大限の協力をするとの約束を取りつけたとされました。しかし、麻生首相は、知事が望んだ消費税増税は三年間はしないと明言しており、麻生首相のもとでの財政出動では、どう考えても地方法人特別税という財布を手放すようには思えません。
東京都が、法人事業税国税化に対応するために積み立てた基金二千百八十五億円も、昨今の景気後退により吹き飛んでしまいかねません。また、国の最大限の協力を確保する場であります国と東京都の実務者協議会も、なし崩しに消滅しかねません。
今後の都財政に厳しさが予想される中で、福田前首相との約束の履行についてはどのようにお考えか、知事の見解を伺います。
答弁2
▼知事
福田前総理との約束についてでありますが、そもそも日本の税制は、国がもう一方的に勝手に決められるものでありまして、ということで、法人事業税の分割基準を国が勝手に変えて、三千億というものを東京から、ある意味じゃふんだくったわけですけれども、しかし、抵抗するすべもございませんから、それについての会談の申し入れがありましたので、これを逆手にとる意味で、東京にとっては必須の事業というものを優先するように条件をつけて、この約束を取りつけました。
もとより、これは一国の総理大臣と都の代表であります都知事との約束でありまして、政党が変わったらどうなるかわかりませんけれども、同じ政党の総理大臣がかわることで、これが本質的に変わるということはあり得ないと思います。あってもならないことだと思います。
したがって、いわれるまでもなく、この国との約束を確実に履行を求めてまいります。
それにしても、この質問をお聞きする限り、都議会民主党というのは総選挙の後も自民党政権が続くことを前提に考えていらっしゃるようで、これはいささかけげんな感じがいたしますが。
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■補正予算案 |
質問1
次に、補正予算案について伺います。
世界的な景気後退や円高を受け、外需中心の経済成長を続けてきた日本経済について、政府は、去る八月、景気が後退局面に入ったことを認め、日銀も景気判断を停滞に下方修正する状況となりました。
エネルギーや食料品等の価格高騰による国内景気の後退は、経済成長にもかかわらず賃金が上がらなかった都民にとって大打撃となり、購買意欲は冷え込んでいます。都内企業も、石油製品の値上げで九割以上、金属の値上げでは七割が悪影響を受け、価格への転嫁が困難な状況が続いています。企業倒産件数も四カ月連続で増加し、今後も高水準で推移することが予想されています。
そして、今月に入り、米大手証券会社の破綻によって米国の金融不安が再度高まり、国内景気の先行き不透明感がさらに増す事態となりました。
そこで、都は景気後退の現状をどのように認識し、今後の税収を含めた都財政をどう見通しているのか伺います。
答弁1
▼財務局長
景気の現状認識と今後の見通しについてでございますが、物価の高騰や失業率の上昇など、都民生活を取り巻く環境は厳しさを増しております。
米国発の金融危機などにより、景気が一段と減速するリスクが高まっておりまして、こうした景気の影響を受けやすい都税収入の動向や法人事業税の国税化による影響も加わり、都財政をめぐる環境は、一層厳しくなるものと見込んでおります。
質問2
政府・与党は、安心実現のための緊急総合対策の一つとして、今年度中に所得税と住民税の定額減税を行う方向です。与党は二兆円規模を目指すといわれていますが、既に今年度一兆五千億円を超える税収減が見通される中にあって、定額減税の財源をどのように確保していくのでしょうか。
平成十年度にも四兆円規模で減税が実施されましたが、その費用対効果は乏しく、財政悪化の原因にもなりました。国の財政健全化路線の後退を危惧する声も出てきています。さきの所信表明では、国では、破綻に瀕した国家財政などの困難で複雑な課題が山積していると述べている知事に、緊急総合対策や定額減税の評価について見解を伺います。
答弁2
▼知事
国の緊急総合対策や定額減税についてでありますが、今回の国の対策のように、国民の不安を解消するために、厳しい財政状況の中にあって、財政の規律を堅持しつつ、打つべき手を打つのは政治として当然のことであります。
もとより、国家財政の立て直しは、この国のあり方を根本から見直すというドラスチックな取り組みにかかっております。役人や議員の数を思い切って減らすなど、国がみずからの身を切る努力を重ねること、地方への関与や補助金あるいは二重行政を廃止する分権改革を進めること、さらには消費税の見直しを初めとした税制の抜本改革に正面から挑んでいくことが必要であると思っています。
国民のために打つべき手は打つ、同時にこの国の形を本質的に変え、国家財政を立て直す、両方に果敢に取り組んでいくことが真の政治だと思います。
質問3
都は、石原都政としては初めての九月補正予算案を、国の緊急総合対策と同日、八月二十九日に提示しました。
内容は、約六割が新銀行東京の損失処理であり、しかも金融庁の減資認可がおりたタイミングでの発表です。所信表明ではわずかに触れただけで、新銀行問題の処理を意図的に小さく扱っているとしか思えません。
今回提案をされた補正予算案の事項を見ると、太陽光エネルギー対策、新型インフルエンザ対策としてのタミフル、リレンザの備蓄増強、耐震化対策、いずれも早いにこしたことはないですが、購入する薬剤の確保、工事の発注業務などがまず必要な事柄です。補正予算という現金を今必要とする理由は、提案に際し説明されていません。
また、都議会民主党が繰り返し求めてきた、小児科、産科の医師、看護師不足、福祉人材の深刻な不足への対策に比べても、今でなければならない必要性は明らかではありません。
都の財産八百六十一億円が失われた新銀行については、この後伺いますが、報道では、都民施策との抱き合わせ予算との論調も聞かれます。新銀行の失敗に起因する事項だけでは、議会、そして世論の批判に耐え得ないとの判断があったのでしょうか。
今回の補正予算案は、新銀行の損失処理をカモフラージュするための予算が真相と考えますが、知事の見解を伺います。
答弁3
▼知事
補正予算についてでありますが、今回の補正では、都民が抱える不安の高まりに緊急かつ積極的に対応していくための早期に実現すべき諸施策を厳選して計上いたしました。
また、所信表明で既に説明したとおり、減債基金への積み立てについては、必要なものは早く実施することが財政的にメリットがあると判断しました。
このように、今回の補正予算は、直ちに手を打つべき必要な施策をそれぞれ計上したものでありまして、ご批判は当たらないと思います。
質問4
東京都は、ことしの予算議会の中で、新銀行が経営を悪化した場合でも、都債の発行条件に影響は生じないと説明していました。しかし今回、新銀行の減資が迅速に行われなければ、市場、投資家から都債の信用性を失うと述べており、その理由はにわかに納得できません。
また、石原知事がいうように、財政的なメリットだけが減債基金への前倒し積み立ての理由であるならば、むしろだれも責任をとらない中で都が財政的なしりぬぐいをすることこそ、監理団体や第三セクターなどの財政規律を緩め、結果として都財政に大きな影響を与えていくのではないでしょうか。
都財政に八百六十一億円の大きな損失を負わせた新銀行や都の責任がいまだに明確ではありません。ましてや金融庁の検査の結果、新銀行の決算や再建計画が妥当なものと判断されるのかさえわからない中で、なぜ減債基金への積み立てを急ぐ必要があるのでしょうか。
認可がおりたからすぐ減資では、今後ますます都の財政規律は無責任なものになると考えますが、石原知事の見解を伺います。
答弁4
▼財務局長
今回の減債基金への積み立てについてでございますが、新銀行東京への当初出資に係る出資債分について、今般減資の決定に伴い、所要額を減債基金に積み立てるものでございます。
これは地方財政法の趣旨に基づく義務的経費であり、早期の積み立てにより安定的な財政運営に資することが、財政規律の観点から適切でございます。また、早期の積み立ては、都債発行条件の改善や運用益の増加などの財政効果を生むことともなります。したがって、ご指摘は当たらないと考えております。
質問5
補正予算案が可決され、新銀行の損失処理が行われた場合、昨年度の決算剰余金のほとんどが残らないことになります。今年度末、景気後退により都税の減収幅が予想を超えた場合、都は、義務的経費の歳出に財政調整基金の取り崩しなどの臨時的な対応を行わざるを得なくなりますが、その見通しはいかがか、見解を伺います。
答弁5
▼財務局長
補正予算についてでございますが、決算剰余金は、都民のために有効かつ適切に活用すべきものであり、都民の抱える不安の解消に必要な施策を実施する今回の補正予算の財源として適切なものと考えております。
また、決算剰余金の二分の一以上は、法律に基づき基金積み立て等に充当することが義務づけられておりまして、今回の減債基金への義務的積み立ては、これに該当するものでございます。
今後の財政運営に当たりましても、適切に対応してまいります。
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■新銀行東京 |
質問1
次に、新銀行東京について伺います。
原油価格の乱高下、また原材料価格の高騰や株価の下落など、日本経済の先行きは混迷度を増し、中小企業の経営にも大きな不安を与えています。
しかしながら、そもそも中小企業を支援するために設立された新銀行が、このような景気状況の中で、何ら用を足すことなく、むしろ減資に伴い五百四十億円もの積み立てを余儀なくされるのであっては、その存在意義は完全に失われたという以上に、もはやお荷物といえるのではないでしょうか。
また一部では、新銀行東京について、みずからの責任に飛び火することを恐れる金融庁も、現実に民主党政権になれば真剣に取り組まざるを得ず、新たな局面を迎えるのではないかともいわれています。そうした意味からも、石原知事は、みずからの責任を早急に示すことが必要であると考えます。
私たちは、さきの定例会においても、責任の所在を明確にしなければ減資に応じるべきではないと主張してきましたが、石原知事は、減資と旧経営陣の責任追及とは切り離すべきだと答弁しています。
今回の減資に伴う五百四十億円の積み立てについても、石原知事は、義務的積み立てだと強弁していますが、そもそも新銀行が減資をするような事態に陥ってしまったのは、だれの責任なのでしょうか。石原知事に政治的、道義的責任はないのでしょうか。
だれもが責任をとらずに都民の財産が毀損してしまうことに対して、石原知事の見解を伺います。
答弁1
▼知事
新銀行東京の減資に対する責任についてでありますけれども、新銀行東京が、この経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことについては重く受けとめております。
今回の減資は、過去の繰越損失を解消し、財務体質の改善を図るために必要な措置と考えております。新銀行東京を再建し、都民のお役に立つ銀行とすることが私自身の責任であると心得ております。
質問2
旧経営陣に対する責任追及について、六月議会で、東京都は、年内を目途に調査結果を得た上で法的対応について検討と答弁していました。調査結果が年内では極めて遅いと思っていましたが、先日、八月二十九日の定例会見で、石原知事は、いろいろな事例が出ていることは確かだと述べられました。
この間、石原知事は、あたかも旧経営陣に重大な粉飾や背任があるかのような発言をしてきましたが、このような思わせぶりな発言を繰り返すのであれば、旧経営陣についてどのようにいろいろな事例が出てきているのか、具体的に説明をすべきです。
訴訟する、しないの判断及びその判断の時期も含めて、旧経営陣についてどのようにいろいろな事例が出てきているのか、答弁を求めます。
答弁2
▼産業労働局長
新銀行東京の旧経営陣に対する責任追及についてでございます。
現在、新銀行東京は、今後の法的対応などを検討するため、外部の弁護士に委託して調査を進めているところでございます。調査は、年内を目途に結果を得る予定と聞いており、その内容について申し上げる段階ではございません。
質問3
一方で、新銀行が、情報漏えいの禁止と千三百二十万円の損害賠償を求めて、元行員を提訴したことが報じられています。
これは、そもそも石原知事が三月二十八日の定例会見で、都側がマスタープランを押しつけたことが記録されたメモがあるという指摘に対して、どんなメモで、だれが書いたか出してもらいたいと息巻いていたことに端を発します。
これを受けて、勇気を出して実名告白した元行員が、今度は新銀行から訴えられるのであっては、不当な言論弾圧でしかありません。新銀行はそもそも旧経営陣を訴えることに全力を尽くすべきであり、元行員に対する訴訟は取り下げるべきです。
石原知事は、求めに応じて名乗りを上げた元行員が新銀行から訴えられたことに対して、どのように考えているのか、見解をお伺いいたします。
答弁3
▼知事
新銀行東京の提起した訴訟についてでありますが、この訴訟は、新銀行東京が元行員の機密保持義務違反に対して提起したものであります。現在係争中であり、司法の判断にゆだねられるべき問題であります。
なお、私の発言はメモの信憑性について述べたものでありまして、また、新銀行東京が機密保持義務に違反した元行員を提訴したことをもって言論弾圧などというご指摘は、全く筋違いと思います。
質問4
新銀行に入っていた金融庁の立入検査が七月二十五日に終わり、現在は、金融庁内において資料の分析、調査などが行われているのではないかと思われます。
石原知事は、五月十六日の定例会見において、分析を尽くした上で再建計画を立てているので、金融庁の検査の結果、見直しを迫られることはないと思う旨答えています。
しかしながら、万が一、金融庁の検査結果によって、追加出資を前に示されていた決算見込みや再建計画の内容に大きな変更が生じた場合、石原知事は、間違った報告や甘い見通しで、私たち都議会に四百億円もの追加出資を求めたことになるのではないでしょうか。
東京都は、新銀行の経営監視に努めているわけですから、当然にして、金融庁の立入検査についても十分に注意を払っていたはずであり、その動向も承知をしているはずです。
石原知事は、金融庁の検査結果によって、決算や再建計画の見直しがあるものと認識しているのか、改めて見解を伺います。
答弁4
▼知事
新銀行東京に対する金融庁検査についてでありますが、金融機関は、その監督官庁であります金融庁の検査結果に従う必要があります。新銀行東京に対する検査は現在も継続中でありまして、今の時点で私が検査について見解を申し上げることは適切でないと思います。今大事なことは、新銀行東京の再建に向けた取り組みを着実に進めることであると心得ております。
質問5
また、新銀行の監査法人が六月三十日の株主総会で変更になりましたが、この監査法人は、例えば平成十八年の中間決算の際に、一般貸倒引当金の算定方法をめぐって、新銀行との衝突が報じられていましたし、また、さきの予算議会で突然四百億円の追加出資を提案せざるを得なかったのも、同法人からの指摘があったからだといわれています。
もちろん、監査法人をかえるなというつもりはありませんが、少なくとも、従業員が五千人を超える日本最大級の監査法人から従業員二十数人の会計事務所に変更したことについては、事業規模見合いとはいえ、落差が大き過ぎるようにも思います。
そこで、監査法人を変更したことの経緯、理由、その期待するところについて見解を伺います。
答弁5
▼産業労働局長
新銀行東京の会計監査人についてでございますが、会社法では、会計監査人について資格要件は規定されておりますが、従業員数など、その規模は要件とされておりません。
新銀行東京の会計監査人が交代をいたしましたのは、契約期間の満了によるものでありまして、本年六月の監査委員会において、適正な手続を経て選任されたものでございます。
新たな会計監査人においても、法令の規定にのっとりまして、適正な監査が行われるものと考えております。
質問6
八月二十九日に新銀行の第一・四半期決算が発表され、ことし四月から六月の三カ月で三十七億円余の最終赤字を出しました。これら新銀行の四半期情報は、私たちが再三求めてきたものですが、さきの六月議会では、あわせて、予算議会で提出していた月ごとの融資状況や不良債権額などについても、議会からの請求を待たずして自主的に公開すべきであると主張してきました。
そこで、例えば、新銀行の象徴でもあった無担保・無保証の実績は、昨年の同時期と比べてどうなっているのか。月ごとの融資状況や不良債権額の自主的な情報公開についてはどうなっているのか。見解を伺います。
答弁6
▼産業労働局長
新銀行東京の情報公開についてでございます。
新銀行東京は、経営情報につきまして、これまでの中間、期末決算に加え、今年度からは四半期決算についても公表したところでございます。都は、今後においても、新銀行東京から報告を受けた経営情報につきまして、原則として四半期ごとに銀行の経営に影響を及ぼさない範囲で、可能な限り開示してまいります。
なお、商品構成が異なるため単純な比較はできませんけれども、第一・四半期の無担保・無保証融資の実績は、前年同期の二百九十五件、約三十八億円に対し、今期は十七件、約二十七億円となっております。
質問7
最後に、新銀行の事業連携について伺います。
石原知事は、八月二十九日の定例会見において、新銀行の現状について問われ、うまくいっていると思う、相手のこともあるので、次の定例議会、九月にはある形の報告をして、年内にもさらに進んだ段階の展開の報告をしたいと述べていました。
既に九月も下旬ですので、改めて、新銀行の事業連携の進捗状況について石原知事の見解を伺います。
答弁7
▼知事
新銀行東京の事業連携についてでありますが、新銀行東京は、再建に向けてさまざまな努力を今重ねております。事業連携の進捗状況につきましては、その性格上、相手の立場もあることですから、今この段階で答えることは差し控えさせていただきます。明らかにできる段階になれば、きちんと報告をいたします。
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■入札契約制度 |
質問1
次に、入札、契約制度について伺います。
この間、入札に際して、最低制限価格での応札に伴うくじ引きが横行しています。中小企業者などからは、これでは企業努力が報われないため、企業の活力を高めるような入札制度に改めてほしいなどといった切実な声が届いています。
都の発注工事では、全体の一割強、一部の種類の工事では二割から三割がくじ引きになっています。予定価格の事前公表によって最低制限価格付近に入札価格が集中し、くじ引きによって落札者が決定する事態が常態化することは、好ましいものではないと私たちも考えます。
これを改善するためには、従来の予定価格を基準としてその何%を最低制限価格とする方法から、実際に入札された価格の平均額を基準として最低制限価格を定める方法に転換することが考えられます。予定価格が事前に公表されても、応札業者は最低制限価格を予想することができなくなるため、市場価格からかけ離れた安値で入札すれば失格となる可能性があり、きちんと積算をして入札をすることが必要になるからです。
このような変動型最低制限価格制度は、既に長野県や横須賀市などで実施されています。この制度には、くじ引きが減少すること、最低制限価格が需給関係を反映し、市場価格に近いところで決められるようになることなどのメリットがあると報告されています。都においても変動型最低制限価格制度の導入をぜひ検討すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼財務局長
入札における最低制限価格についてでございますが、この制度は、工事品質を確保するための仕組みであり、その価格は適切な算定基準に基づき、発注する工事の内容に応じてあらかじめ定めておくべきものでございます。
したがいまして、ご提案のような工事内容ではなく入札金額の平均によって最低制限価格を決めるという仕組みは、工事品質の確保を目的とする本制度の趣旨からして適切ではないと考えております。
質問2
過度な低価格競争、いわゆるダンピングによるたたき合いに苦しんでいるという声も聞きます。これを防ぐために、総合評価方式を適用する工事件数を拡大する動きもあります。しかし、北海道開発局による官製談合事件において、総合評価方式が、さじかげんで決定を左右できるため、談合に加わらず低価格で入札する業者をはじくために使われたとの報道もあります。このように、評価項目や配点の設定などから恣意性を排除する点に大きな課題があり、これが適切な対応とはいい切れない面があります。
現在、入札結果は入札金額だけが公開されていますが、不当な安値で入札する業者を排除するためには、入札金額の内訳も公開することが必要です。この公開により、都の担当者では不当な安値かどうか判断できないものでも、業務内容を熟知している業界からの指摘を受けることができるからです。入札金額の内訳の公開について、見解を伺います。
答弁2
▼財務局長
入札金額の積算内訳についてでございますが、都の工事契約では、入札参加者全員に積算内訳書の作成を義務づけ、積算能力のない事業者の落札や工事品質の低下を未然に防ぐ仕組みを設けております。
また、過度の低価格入札については、低入札価格審査委員会を設置し、積算内訳書の内容につきまして詳細な調査を行い、入札の適否を判断しております。
ご提案の入札金額の内訳の公開は、事業者がこれまでに培ってきた積算ノウハウまでが公開されることになりまして、公正な競争を阻害するおそれが強く、適切ではないと考えております。
質問3
建設コストの高騰が建設業者の経営を圧迫し続ける状況を受け、ことし六月十三日、国の発注する公共工事請負契約に、工事請負契約書第二十四条第五項のいわゆる単品スライド条項が、二十八年ぶりに、鋼材と燃料油に限って適用されることとなりました。都も六月十六日、同条項の適用を発表しまた。
この九月には、国や都は対象資材の拡大を決めました。これに伴い、都における工事が中小企業者に多く発注されている状況を勘案し、都が受注者負担を当初の対象工事金額の一%から〇・五%に軽減した点については、一定の評価をします。
一方、単品スライド条項が適用された工事は、国の直轄工事では、請求件数は八月末で百九件、うち協議済みが七件、スライド額は最高二百三十八万円、最低八万四千円となっていることからも、協議の請求手続に係る手間の割に認められる金額は少ない印象を受けます。
また、我が国の建設工事は、土木工事が多くを占める公共工事が総額の約四分の一、建築工事の多い民間工事が四分の三であるため、この措置による恩恵は直接的には土木工事請負を主体とする業者にしか及びません。民間建築工事で価格の高騰が認められる動きが出てこない限り、建設業界全体に対する救済措置にはなり得ないように思います。単品スライド条項の適用は何をねらいとし、どのような効果が得られることを期待しているのか、見解を伺います。
答弁3
▼財務局長
単品スライド条項についてでございますが、ご質問で、この制度の効果について疑問が示されましたが、都は申請する受注者の事務負担を軽減するため、請求手続の簡素化などを行っており、また、都における工事契約は、年間約五千百件、金額にして土木工事が約三千二百億円、建築・設備工事が約二千億円、合わせて約五千二百億円という大規模なものでございまして、今回の都の措置は、受注者負担の軽減や公共工事の円滑な執行に多大な効果をもたらすものと考えております。
質問4
今回の運用方針では、工事材料価格が著しく上昇した品目だけが対象となっていますが、これは合理性を欠くように思われます。今のところ影響額は小さいかもしれませんが、主要建設材料の中には、価格が下がっているものもあります。例えばコンクリート型枠用合板などは値下がりしていますし、急騰を続けていた原油価格は一転して下降局面に入り、石油関連資材については、今後値下がりの可能性もあります。また、鋼材類や燃料油以外の資材については、価格上昇要因が明確であるものとされていますが、その因果関係をだれがどのように確認するのかが明確になっていません。
私たちは、これらの要素も加味し、公共調達を適正な価格で行うという観点からも、スライド条項の適用は単品スライド方式よりも総額スライド方式とする方がより合理的と考えます。昭和五十五年までの特約条項で運用されていたように、対象材料の価格増減の大小を問わず、主要材料の多くを対象とし、これらの増減分の総額が工事の規模に応じて定められる一定額を超過した場合に請負代金額の変更を行う総額スライド方式の適用について、見解を伺います。
答弁4
▼財務局長
スライド条項についてでございますが、今回の対応は、鋼材類や燃料油など、特定の資材が短期間に急激な価格高騰を示したことに対する受注者リスクの軽減を目的としておりまして、単品スライド条項の適用が最も適切でございます。なお、対象資材の拡大については、既に実施済みでございます。
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■多摩シリコンバレーの形成に向けたインセンティブの創設 |
質問1
次に、多摩振興、中でもシリコンバレーの創設について伺います。
私は昨年十二月の一般質問において、ストックホルム市では土地を十年間無償で貸し付けているとともに、企業等が立地しやすいように、不動産が投機対象にならないような配慮をしていることなどを例に、多摩シリコンバレーに立地する高付加価値産業を担う企業に対して、東京都のインセンティブの付与を求めてきました。
東京都は、多摩産業支援拠点に設置する産学公の交流センターでのコーディネート機能の拡充や中小企業に対する技術、経営両面からの支援強化を答弁していますが、他の府県では、関係市町と連携して、産業集積に向けた基本計画を策定し、企業立地促進法を活用するなどして、企業が具体的に税や補助金の恩恵が受けられるよう取り組んでいるところもあります。
そこで、私は、東京都としても、多摩シリコンバレーの創設に向けて、国の制度も活用しながら、具体的なインセンティブの創設に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼産業労働局長
多摩シリコンバレーの形成に向けたインセンティブの創設についてでございます。
多摩シリコンバレーの形成に当たりましては、圏央道等の整備を契機といたしまして、多様な交流機能の強化を図るとともに、地域特性を踏まえた企業集積の促進も重要でございます。
このため都は、区市町村の企業立地促進法活用への支援はもとより、今年度、創造的都市型産業集積創出助成事業を創設いたしまして、みずから積極的に企業誘致等に取り組む区市町村を、最長三年間にわたり支援することといたしました。
また、都内で工場等を新設、拡張する中小企業を資金面で支援する長期の融資制度も創設をしたところでございます。
多摩産業支援拠点の整備とともに、これらの施策をあわせて展開することで、多摩シリコンバレーを着実に形成をしてまいります。
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■消費者行政 |
質問1
次に、消費者行政について伺います。
消費生活基本計画は、今回十一年ぶりの計画改定となります。この間、核家族化やひとり暮らし高齢者の増加による社会の個人化が進行するとともに、ブロードバンド環境の普及など、情報化が進んでいます。
その一方では、立川にあった多摩消費生活センターが飯田橋へと統合されて、小規模な出先機関のみとなってしまい、多摩地域における都のセンター機能は縮小しています。また、農薬やカビ毒に汚染された事故米が学校給食や和菓子などに使われていた事件、中国の牛乳へのメラミン混入事件などが続発しており、消費者に不安が広がっています。
都議会民主党は、複雑化、グローバル化する消費の実態には、事故対応、事後罰則では対応し切れないことから、未然防止のためのリスク分析の考え方を取り入れた取り組みが必要と考えます。その過程では、都民とのリスクコミュニケーションも大切です。
今回の改定計画では、毎年度当初に東京都が消費生活対策審議会へ施策を報告し、確認、評価を受けるとされています。施策の効果を検証し、着実に前進させるためには、こうした取り組みが重要です。さらに加えて、基本計画のもとに年次計画を策定し、その策定、評価の過程に都民の参加を位置づけた実行体制が必要と考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼生活文化スポーツ局長
消費生活基本計画についてでございますが、深刻な消費者被害から都民を守るためには、消費者行政を機動的に展開することが重要でございます。
このため、今回の基本計画では、ご質問の年次計画は策定しないものの、毎年度、消費者団体や事業者団体の代表などで構成する消費生活対策審議会に、具体的な施策の推進状況等を報告し、その意見を反映しながら、計画の着実な推進を図ることとしております。
また、都は、これまでも都民公募による消費生活調査員の活用など、多くの場面で都民の参画を得ながら消費者行政を進めてきておりまして、今回の基本計画においても、都民の意見を吸収するさまざまな施策を定めているところでございます。
質問2
続いて、具体的な取り組みについて伺ってまいります。
民主党が消費生活総合センターの相談体制強化を求めたのは平成十七年九月ですが、消費者被害が鎮静化する様子はありません。にもかかわらず、今なお平日九時から四時までと、昼間家にいない人は相談しづらい体制となっており、ずっと話し中でなかなか電話がつながらないという声もなくなりません。
都の消費生活総合センターは、能力も高く、国の国民生活センターをも牽引しているといわれていますが、これを担っている相談員は非常勤という不安定な身分に置かれています。しかも、こうした専門的なノウハウを必要とする業務に対応した報酬もなく、月十六日しか勤務できないことから、相談業務を拡張するといっても、極めて限られたものとならざるを得ないのではないかと懸念します。
複雑、巧妙化する悪徳商法の被害に苦しむ都民への対応を進めるために、こうした課題をクリアし、先ほどの自民党さんに対する答弁では、土曜日に関しては来年度早期に対応するとありましたが、平日夕方、日曜日、休日も相談できるように、体制を拡充強化することが必要と考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼生活文化スポーツ局長
消費生活総合センターの体制強化についてでございますけれども、その相談機能の強化に関しましては、何よりもまず専門人材の需給の状況を見きわめることが必要でございまして、同時に、都の消費生活総合センターが、都内のセンター・オブ・センターズとしての役割を担っている点を十分に踏まえるなど、総合的、多角的に検討した上でなければ、相談業務の質を確保したまま実効性ある対策を講ずることは大変困難だというふうに考えております。
こうした検討を行った上で、具体的には、先ほどご答弁をいたしましたとおり、来年度早期に、土曜日にも相談窓口を開設するとともに、相談体制の充実強化を図っていくこととしたものでございます。
質問3
子どもとの二人乗り、三人乗りでの自転車転倒事故では、脳挫傷などの重傷を負う例が多いという救急医からの指摘をきっかけとして、都は子ども用ヘルメットキャンペーンを実施しました。その効果もあってか、まちでは多くの子どもがヘルメットを着用して自転車に乗るようになっています。このように、個々の不注意やアクシデントと思われがちな事故やけがの事例も、集約することで一般的な危険性を浮き彫りにでき、対策へと結びつければ、効果的な施策となります。
改定計画では、待ちから攻めへ、情報を収集し発信しますとして、「ひやり・ハッと体験」の一万人調査を緊急対策の一つとして位置づけています。これ自体は大いに歓迎しますが、さらに進めて、防げる事故を見逃さないためのシステムづくりを視野に入れた取り組みを求めるものです。
予防に役立つ情報とは、事故が起こる前から起こった後までのシナリオ全体を網羅するような詳細なデータであるといわれます。子どもの重大事故ゼロを目指して、情報を継続的に収集する仕組みづくりへと取り組みを強化すべきであると考えますが、見解を伺います。
答弁3
▼生活文化スポーツ局長
子どもの事故防止に向けた取り組みについてでございますが、都は、身近な商品等による事故を防止するため、都内の消費生活センターに寄せられる相談情報のみならず、東京消防庁等との定期的な情報交換で得られる危害危険情報を収集分析し、安全対策を検討の上、都民等へ情報発信してきております。
子どもの事故防止対策につきましては、国内のみならず、広く海外の事例を分析することも含め、調査検討を行っておりまして、これまでも国に先駆けまして、子ども用の衣類やアクセサリー、化粧品等の危険性について検証し、その成果をもとに、国や事業者団体等へ提案、要望を行うとともに、リーフレットやホームページにより、広く消費者への注意喚起を実施してきております。
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■自殺防止対策 |
質問1
次に、自殺防止対策について伺います。
九月十日は世界自殺予防デーで、この日からの一週間が自殺予防週間とされ、全国でさまざまな取り組みが行われました。九八年の企業決算期に前年比三五%増加した九八年三月ショック以降、毎年約三万人の方が自殺をしております。こうした中で、自殺を個人の問題としてではなく、一度つまずくと立ち上がるために支えてくれるシステムがない、滑り台のような今の日本社会の問題としてとらえ、支援策を構築する必要があります。
しかし、これまでの都の事業は、うつ対策、すなわち精神保健福祉が中心であり、その原因となったさまざまな問題解決への具体的支援策は余り進んでいません。NPO法人ライフリンクが作成した自殺実態白書における自死遺族千人への聞き取り調査によれば、自殺で亡くなった方のうち、相談機関に行っていた人が七二%で、そのうち精神科など医療機関に行っていた人が八三%を占めていたということです。うつの治療をしていながらも、仕事や借金、家庭不和などの問題を抱えたまま、何とかしたい、だれかに助けてほしいともがきながら、死へと追い込まれていったと推察されます。
例えば鹿児島県奄美市では、気軽に相談でき、解決の期待が持てる相談窓口を設置し、弁護士、司法書士とも連携して、多重債務者が自殺に追い込まれないネットワークが構築されており、今では東京都を含む全国から相談が寄せられています。
私はこうした実態から、うつ対策に加えて、経済的問題による自殺をなくすという観点からの支援をもっと強化すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼福祉保健局長
自殺防止対策についてでありますが、自殺には多様かつ複合的な背景がありますが、中でも経済、生活問題が重要な要因となっていることは十分承知をしております。
このため、都は既に、多重債務問題を抱える都民に対して、債務整理に向けて法律専門家に確実につなぐなどの相談支援を行っております。
また、生活の安定と正規雇用への意欲がありながら、低所得の状況から抜け出せない都民に対して、生活費の貸し付けや就職への支援などを新たに開始をいたしました。
今後とも、経済的な問題の解決に向けた施策を初めとして、幅広い分野の取り組みを進めることにより、自殺の未然防止を図ってまいります。
質問2
自殺実態白書には、自殺対策の重要性、緊急性にかんがみ、初めて警察庁の自殺統計原票が提供され、解析結果が掲載されました。これによって、地域ごとの自殺者数と年齢、男女、職業、動機別の数もわかりました。
この地域特性を見てみると、同じ東京都でも、ある市では女性の無職者が各年齢にわたって多く自殺しているとか、また、ある区では男性の有職者の自殺が多いといった地域特性がある程度見えてきます。区市町村において早急に地域特性に対応した施策が進むよう、都としても支援する必要があると考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
区市町村への支援についてであります。
自殺防止対策を効果的に進めるためには、区市町村が地域の特性に応じた取り組みを行うことが必要であります。
都はこれまでも、保健所を中心とした自殺防止対策を行ってきましたが、さらに今年度は、地域での取り組みを促進するため、足立区においてモデル事業を実施することとしております。
具体的には、地域の実情を踏まえて、区内の行政機関や民間団体等による自殺防止のためのネットワーク構築と、自殺の危険の早期発見、早期対応のための人材育成などを行うものであります。このモデル事業における取り組み状況等も踏まえながら、区市町村への支援のあり方について検討してまいります。
質問3
さきの調査からもわかるように、多くのトラブルを抱え、疲れ切った方ほど、どこに行けば支援が受けられるのか、みずから探してアプローチできるような状況にはなく、行政に対するアクセスは行われていません。こうした中では、既存のサービスをコーディネートするだけでも、態勢を立て直すまでの力を回復することができる場合も多くあると考えられます。
例えば、腰を痛めて失職し、妻とも別れ、うつを発症、家はごみだらけといった方の場合、うつ対策、家事援助などを利用して体と心をいやす、仕事につくためには低所得者のための生活安定化総合対策事業を利用することも可能です。しかし、問い合わせが少ないとの指摘があるなど、そもそも必要とする人はその存在すら知らずに、苦しみ続けているのではないでしょうか。
都は近く自殺総合対策東京会議での議論を踏まえ、取り組み方針を策定することとしていますが、総合的な支援のメニューをつくることに加えて、対象を絞り込んで、必要な人に情報が届く仕組みをつくることが必要です。都や区市町村には支援を必要とする人が接触する機会のある多様な機関があります。自殺対策の担当セクションではない、こうした機関からも効果的に情報を伝え、必要とする人が支援を受けられるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、若い世代に多いといわれる非定型うつについて申し上げます。
非定型うつは、うつ病に特有な無気力、集中力の低下などはあるものの、楽しいことやいいことに対応して元気になるため、本当は元気なのではないかなどと周囲の誤解を受けやすいようです。夕方や夜になると不安やいらいらが高まるサンセットデプレッションにより、泣きわめいたりリストカットをしてしまう人もおり、深刻な結果につながりかねません。
うつ病の場合、プレッシャーをかけずにゆっくりと休むことが必要だといわれますが、非定型うつの場合には、仕事や学校を続け、生活のリズムを保ちながらの治療が有効とされます。職場の中で相談できる体制や働きながら治療を継続できる環境づくりなど、しっかりと取り組まれるよう特に求めておきます。
答弁3
▼福祉保健局長
自殺防止のための情報提供と支援についてでありますが、さまざまな問題や悩みを抱える人に的確な情報を提供し、必要な支援を行う仕組みをつくることが重要でございます。
このため都は、本年二月に都内のさまざまな相談機関の協力を得まして、こころといのちの相談・支援東京ネットワークを立ち上げ、都民がどの窓口を訪ねても、悩みに応じた相談、支援に円滑につながる体制の整備を図っているところであります。
今後とも、さまざまなチャンネルを活用し、支援を必要とする人に確実に情報が提供できるよう努めるとともに、関係機関の連携をより強化し、自殺防止対策に積極的に取り組んでまいります。
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■オリンピック・パラリンピック招致 |
質問1
次に、オリンピックについて伺います。
先月八日から今月の十七日まで、北京オリンピック・パラリンピックが開催されました。史上最多の二百四カ国の国と地域が参加したこの大会に、東京都からは、石原知事を初めとして、総勢百名を超す大視察団が訪れました。知事にとっては就任以来初の中国訪問です。都は、JOCが設置したジャパンハウスの費用の一部、一億円を負担し、PRエリアを確保、招致委員会やJOCとともに国際招致にも取り組みました。
知事は、八日の開会式直後の印象を、十三億人の人口のすごさを感じたと語りながらも、帰国直後、東京招致の参考になったかと聞かれ、ないねと述べ、十五日には、マスゲームなど同じことを繰り返されるとうんざりするなと話されています。
一方、河野一郎招致委員会事務総長は、実際に体験することの収穫は多かったと述べるなど、肯定的な感想を述べられています。
そこで、知事に、初の中国訪問について、そして、オリンピック招致に係る北京オリンピックでの成果についてお伺いをいたします。
答弁1
▼知事
オリンピック・パラリンピックについてでありますが、北京では、ジャパンハウスを中心にPR活動を行いまして、海外メディアやIOC関係者など多くの方々に東京の魅力を十分伝えることができたと思います。
記者団から、招致の参考になったかと聞かれ、ないと答えたのは、日本は発展途上国型のものではなくて、全く違う先進国としての洗練性というものを誇示するような、そういう開会式をやりたいと思っているということで申し上げました。
二〇一六年東京大会では、成熟した都市の中心において、ハイテクを駆使し、地球環境問題の解決に資する世界一コンパクトで、しかも日本人独特の鋭い感性と日本の美意識を表現した、日本ならではの大会を開催することを改めて決意いたしました。
質問2
来年二月の立候補ファイル提出に向けて、日本、東京での二度目の開催意義を考えるならば、まずは二十世紀の歴史を振り返り、日本が平和国家の立場で、平和を世界に喚起していく姿勢を招致理念の中心に据える必要があります。
核兵器の使用や戦争被害を踏まえ、戦争を憎み、平和を求める世論を国内外に高めるために、広島、長崎など平和都市との連携を高め、オリンピックの平和運動としての位置づけを大いに高めていく計画でなければなりません。
しかし、現実の北京オリンピックにおいては、ジャック・ロゲIOC会長が、オリンピックは競技することにとどまらず、民族、性別、宗教、政治を超えた平和の集いであることを忘れないでほしいと訴えたにもかかわらず、開会式当日、ロシアによるグルジア侵攻が勃発し、オリンピック休戦が破られてしまいました。
また、招致委員会会長である知事自身の平和や核に対する発言は、平和と唱えれば実現するものではない、核兵器のある世界について、そういう現実なんだと、リアリズムに徹するのみで、世界平和の実現に向けた強烈なメッセージ、平和を求める理想は一向に聞こえてきません。計画にもその熱意が感じられません。我が党が重要視する、戦争を憎み、平和を世界に喚起する東京オリンピックについて、知事の見解を伺います。
答弁2
▼知事
オリンピックにおける平和の理念についてでありますが、いうまでもなく、オリンピックは世界最高峰のスポーツ大会であると同時に、人種や国境の壁を取り払い、世界を一つに結ぶ文化と平和の祭典であります。六十年以上にわたり平和を堅持してきている日本が、オリンピック・パラリンピックにおいて平和を世界に喚起することは当然のことであります。
質問3
立候補都市東京の課題の一つに、招致支持率の低さがあります。都議会オリンピック・パラリンピック招致特別委員会による北京パラリンピック視察団も、北京オリンピック関係者から、招致への情熱が高まれば支持率が上がってくるといわれています。
しかし、都に寄せられた六月の「都民の声」月例報告でもオリンピックへの支持は少なく、マスコミに問われた石原知事が、そんな数字は当てにならないと述べた後、なぜか名称が変更されてしまいました。北京大会中に行われた報道の世論調査でも、五割の支持にとどまっています。
世論結果等が示すことは、理念を初めとした東京計画、「日本だから、できる。あたらしいオリンピック!」について、都民、国民にまだ十分理解されていないということではないでしょうか。町中にもエンブレムやポスターなどの新アイテムが飾られ始めましたが、一部には税金のばらまきとの声もあり、果たしてどれだけの効果があるのでしょうか。今後、大会理念などが浸透していかねば支持率は上がらないと考えます。知事の見解を伺います。
答弁3
▼東京オリンピック・パラリンピック招致本部長
世論の支持についてでありますが、現在、都民、国民の九割が二〇一六年オリンピック・パラリンピックの東京への招致を認知しておりますが、これは都議会や都内区市町村を初め、各方面とのこれまでの連携強化の成果でもあります。
こうした結果を踏まえまして、今後は、東京オリンピックの開催理念や目指す目標、計画の内容、都民、国民にとってのメリットなどを各界のオピニオンリーダーやメディアの協力も得ながら強く訴え、その浸透を図ってまいります。
さらに、小中学生や高校生に対し、オリンピック学習読本を活用して理解を促進するなど、世代に応じたさまざまな工夫により、招致への賛同を広げ、オリンピック・パラリンピックに対する理解と支持を高めてまいります。
質問4
また、世論調査から、巨額の経費がかかる、むだな施設がふえるなど、オリンピックによって東京に再重点投資を許すような状況にない結果も出ています。実際、開催都市は、夏季、冬季を問わず、大型競技施設の後利用に苦しんでいます。東京では、当初国立で整備するとしたメーンスタジアムも、その後、都立スタジアム整備となり、千二百十四億円を支出する計画となりました。
しかし、果たしてこの都立スタジアム整備計画、そして大会後の後利用の負担などが、招致決議を行ってきた都内の区長会、市長会、町村長会、区議会議長会、市議会議長会、町村議会議長会、そして各区市町村議会や、町中でエンブレムを掲げ、のぼりやポスターを見る各都民に本当に周知、理解されているかどうかが不明です。いや、都立での整備計画になったと知らない人が多いのではないでしょうか。また、現時点で、関連施設を含め二兆円規模となった東京オリンピック計画の概要についても同様です。
そこで、首都東京におけるメーンスタジアムはやはりナショナルスタジアムこそふさわしく、スポーツのための重要なオリンピックレガシーの活用を掲げ、国と再協議していくべきと考えます。改めて知事の見解を伺います。
答弁4
▼東京オリンピック・パラリンピック招致本部長
オリンピックスタジアムについてでありますが、神宮の国立霞ヶ丘競技場では、IOCの求めるメーンスタジアム及び補助競技場を設置することが物理的に困難であることから、これまで立地条件のよい晴海に国立で整備するよう、国に対して要望してまいりました。
しかし、国は、東京に二つの大規模競技場を建設できないとの立場でございます。そのため都は、開催都市としての責任を果たすとともに、大会後に都民のスポーツ、文化の拠点を残す観点から、晴海に都立で整備することといたしたものでございます。
国に対しては、今後とも、スタジアムの整備やオリンピックレガシーとしての活用について、最大限の協力を求めてまいります。
また、都民、国民に対しまして、今後とも、オリンピックスタジアムを含め、開催計画の内容をわかりやすく説明して、さらなる理解を得てまいります 。
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■築地市場移転 |
質問1
次に、築地市場の移転問題について伺います。
石原知事は所信表明で、豊洲新市場予定地について、市場用地として安全・安心を十分に確保できる旨、専門家会議から提言をいただいたと述べていますが、全くもって問題の本質がわかっていないといわざるを得ません。東京都が市場の移転を前提として検討している以上、どのような専門家、どのような技術者が判を押したとしても、いつまでたっても都民の理解を得ることはできません。過去、市場審議会や再整備推進協議会などにおいて、極めて少数の人間によって既成事実を積み重ねてきたのと全くもって同じです。
私たちは、もうここに至っては築地市場の豊洲移転計画を見直して、公平、公正な形で現在地再整備をもう一度検討すべきだと考えます。
石原知事はこの間、アスベストの問題などを掲げて、築地での現在地再整備が困難であると主張していますが、石原知事が専門家会議や技術会議を設置してまで豊洲移転を図ろうとする、その熱意や情熱と同様に、現在地再整備が本当に可能なのか不可能なのか、アスベストの対策なども含めて、技術者や専門家の英知を集め、改めて検討すべきではないでしょうか。東京都が主導する審議会や協議会でない、第三者的な立場の技術者や専門家によって、現在地再整備を改めて検討すべきと考えますが、石原知事の見解を伺います。
答弁1
▼知事
築地市場の現在地再整備についてでありますが、築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ております。衛生面での課題やアスベストの問題もあり、一刻も早い対応が必要であります。
豊洲地区への移転については、長い年月をかけて、関係者間で再整備も含めさまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものであります。
現在地再整備は、種地がなく、営業を続けながら工事が困難なことや、市場に求められる新たなニーズに対応できないことなどから不可能であります。このことは、本年五月に出された業界団体の大多数からの要望書においても明確に述べられております。
現在、専門家会議からの提言を踏まえ、技術会議において、確実でコスト面でもすぐれた土壌汚染対策を検討しておりまして、この研究に基づき、都として早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、都民や市場関係者が安心できる万全な対策を講じていきます。
どうか、ひとつ、日本の先進技術というものの水準を信じて、この問題に取り組んでいきたいと思っております。
質問2
この間の築地市場の流通量は大きく減っています。年間取扱量は、ピークの昭和六十二年の百三十万トンから平成十九年の八十九万トンと約三〇%減少しています。市場関係者の中にも、昔と比べて混雑しなくなったと感じている人もおり、こうしたことから、現在地での再整備が今では可能になったのではないかと考えている人たちも多いのです。
一方で、市場における流通実態を調査する生鮮食料品等流通実態調査は、過去三年ごとに実施されてきましたが、平成十六年以降実施されておらず、改めて調査をすることが必要です。また、築地市場の搬出入の実態についても、最新のデータを得るために、引き続き調査をしていくべきではないでしょうか。私は、改めて築地を含めた市場の流通実態調査を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼中央卸売市場長
築地市場の移転に関して、流通実態調査等の実施についてでありますが、築地市場の流通実態を把握し、新市場の整備計画を策定するためには、市場で取引される生鮮品の産地、種類、取扱数量、搬出先や販売先、輸送に係る車両の種類、台数などが基本データとして必要でございます。 このうち、市場で取引される生鮮品の産地、種類、取扱数量につきましては、卸売業者からの報告により把握しており、毎年、年報として取りまとめております。
また、生鮮品の搬出先や販売先については、五年ごとに改定する卸売市場整備計画の策定に合わせて、来年度調査を実施する予定でございます。
築地市場へ出入りする車両の種類や台数、路上駐車の数等については、これまで平成十年、十四年、十七年の三回にわたって調査を実施しておりますが、入場車両数等の状況に大きな変化が見られないことから、現時点で改めて調査を実施する予定はございません。
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■集中豪雨対策 |
質問1
次に、集中豪雨対策について伺います。
ことしの夏は、突然の局地的、短時間の集中豪雨、いわゆるゲリラ豪雨によって、川や下水道が急激に増水し、人が流されてしまうという痛ましい事故が相次ぎました。
大都市における局地的集中豪雨の発生要因として、前線や寒気の影響で不安定になった大気が都市部のヒートアイランド現象で一層不安定さを増し、豪雨が起きやすくなること、高層ビル群に湿気を含んだ海風がぶつかって上昇し、積乱雲が急成長しやすいことなどがいわれています。
私たちは、局地的集中豪雨の発生を抑制する対策として、平成十七年の都議会議員選挙におけるマニフェストで掲げた、ヒートアイランド対策としての風の道の確保が極めて有効であると考えます。都は、「十年後の東京」の重点政策の一つとして、風の道を位置づけました。しかし、その主な施策は、街路樹による緑の充実にとどまっており、まだまだ不十分であるといわざるを得ません。
都は、平成十八年策定の品川駅周辺整備に関する基本計画で、建築物の形状や配置の工夫により風の道を確保するよう誘導を図っていくことを盛り込みました。こうした取り組みを私たちは評価していますが、品川駅周辺の一部地域だけにとどめず、都内各地域へと広げていくことが重要と考えます。風の道の確保など、都市づくりにおける地球温暖化対策への取り組みについて、見解を伺います。
答弁1
▼都市整備局長
都市づくりにおける地球温暖化対策についてでございますが、都は、これまでも都心部等での保水性舗装や屋上緑化、都市開発を進める中での風の道の確保など、ヒートアイランド対策に取り組んでまいりました。
また、既に、都市再生特別地区など大規模開発を対象に、最高水準の省エネ技術の導入を図る取り組みを開始し、環境負荷の低減に努めております。
今後とも、都市の更新を適切に進め、環境に十分配慮した高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。
質問2
都は現在、一時間五〇ミリの雨に耐えられるように、河川の拡幅や下水道の整備を進めていますが、この計画レベルでの河川の治水安全度達成率は、平成十九年度末で約七四%、下水道の浸水対策整備率では約五二%にとどまっており、少なくとも現在の計画の一〇〇%達成を急がなければなりません。
下水道でいえば、ポンプ所や幹線、枝線と、下流から上流にわたる膨大な施設の整備が必要であり、都内全域で整備が完了するのは三十年後の見通しと聞いております。下水道局では、くぼ地や坂下など、繰り返し浸水被害が発生している地域を重点化し、できるところからできるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるという整備方針で、貯留施設の整備など緊急的な対応を図る、雨水整備クイックプランを策定し、被害の軽減に努めてきていますが、最近では、頻発している局地的な集中豪雨によって、新たに浸水被害が発生している地域があると聞いています。
そこで、下水道局では、今後どのように豪雨対策に取り組んでいくのか、見解を伺います。
答弁2
▼下水道局長
下水道の豪雨対策についてお答えいたします。
昨年策定いたしました東京都豪雨対策基本方針では、浸水予想区域図などをもとに、浸水の危険性が高い二十地区を重点化し、対策促進地区として一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できるよう、ポンプ所や幹線などの基幹施設を整備することといたしております。
また、東京駅周辺など大規模な地下街等があり、浸水被害の危険性が高い六地区を選定して、一時間七〇ミリメートルの降雨に対応できるよう、貯留施設などを整備していくことといたしております。
これらの対策を今後十年間で完了させるなど、着実に浸水被害の軽減に取り組んでまいります。
質問3
一時間五〇ミリを超える雨水への対応力を少しでも高めるためには、河川や下水道への雨水の流出を抑制することが有効であり、保水力のある都市づくりを目指すべきと考えます。雨水貯留槽や雨水浸透ますの設置、浸透性舗装などを促進する必要がありますが、都内では民間の開発などで雨水流出抑制施設の設置を行ったり、個人住宅に雨水浸透ますを設置する際に助成を行っている区市もあります。例えば小金井市は、約二十年前から、全国に先駆けて雨水浸透ますの設置普及に取り組み、普及率が五一%となっているほか、墨田区では個人住宅向けの小型雨水タンクの設置に助成しています。
このような区市の取り組みに対して、保水力のある都市づくりの観点から、都としても積極的にバックアップしていくべきと考えますが、雨水流出抑制策に対する都の基本的な考え方と具体的取り組みについて、見解を伺います。
答弁3
▼都市整備局長
雨水流出抑制策に対する都の基本的考え方と具体的取り組みについてでございます。
昨年八月に策定した東京都豪雨対策基本方針では、流域の特性や土地利用の状況などを踏まえて、貯留施設や浸透施設の設置などの流域対策を重点的に行い、時間五ミリ相当分の雨水流出抑制効果を発揮させることとしております。
このため都は、これまで行ってきた開発行為に対する指導に加えまして、昨年度から浸水被害が頻発している流域を対象にしまして、区市が行う個人住宅への浸透ます設置費用の助成に対しまして、補助を行っております。
今後とも、区市と連携して効率性などにも配慮しつつ、雨水の流出抑制に取り組んでまいります。
質問4
九月十一日、熊本県の蒲島知事が国の川辺川ダム計画に反対を表明しました。現時点では、事業が本当に中止になるかどうか、結論は出ていませんが、むだな公共事業の横綱として、東の八ッ場、西の川辺川ともいわれてきた川辺川ダムが大きな節目を迎えたことになります。関係者の意見を広く聞き、賛否両論あることを十分に理解した上での決断には、敬意を表したいと思います。
一方、八ッ場ダムについては、国や都は今も計画推進の立場をとっていますが、ことしの第一回定例会でも申し上げたとおり、まず、これまで何度も見直してきた水需要予測の見直しをなぜ今やらないのか、私たちは極めて疑問に思っています。
また、八ッ場ダムは、先ほど述べたような都市型の局地的集中豪雨には何の役にも立たない上、利根川上流での大雨に対しては、堤防整備率五五%と、利根川水系の河川整備が滞っている限り、ダムだけが完成しても、治水上大きな役には立ちません。
八ッ場ダム本体着工直前の今だからこそ、半世紀以上に及ぶダム計画の歴史を振り返り、一度立ちどまって事業を精査し、ダムの必要性を再検証するとともに、ダム計画に翻弄されてきた建設予定地住民の生活再建を第一に考え、一刻も早く安心して暮らせる、落ちついた生活を取り戻してもらうべきと考えます。
そこで、蒲島熊本県知事の川辺川ダム計画反対の決断に対する評価並びに八ッ場ダム計画の再検証実施の必要性について、石原知事の見解を伺います。
答弁4
▼知事
八ッ場ダム計画の見直しについてでありますが、川辺川ダム計画に関する熊本県知事の見解は、球磨川の治水のあり方、ダム建設予定地や流域の事情などを熟慮した上で、重い決断をされたものと認識しております。
一方、人口や都市機能が高度に集中する首都圏においては、治水、利水の安全度を向上させる上で、八ッ場ダムは必要不可欠な施設であり、一都五県が合意のもと、国により建設が進められているものであります。
具体的には、川辺川ダムでは、流域の人口は十四万人であるのに対し、八ッ場ダムでは、人口がその百倍近くもありまして、ダムの受益は広く大きく及ぶものであります。
また、川辺川ダムの地元では、建設の賛否が分かれるのに対し、八ッ場ダム建設地の二つの町では、そろってダムの早期完成を要望しており、地元の状況もかなり大きく異なっております。二つのこのダムのケースを同一視して事を論ずるのは、いささか軽率ではないでしょうか。
八ッ場ダム計画を再検証せよとのご指摘でありますが、今なすべきことは、地元の地域振興、生活再建を十分支援した上で、ダムを一刻も早く完成させることであります。都としては計画の見直しは全く考えておりません。
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■再質問 |
質問1
それでは、再質問させていただきます。
まず、新銀行の一問目。
私は、だれもが責任をとらずに都民の財産が毀損してしまうことに対して、知事の見解を求めたものでございます。知事からは、重く受けとめているという話もありましたが、知事が旧経営陣の責任だと強弁するならば、訴えるなどしてその責任を問うていただきたいと思います。
知事は、新銀行を再建し、都民のお役に立つ銀行とすることが私の責任と答えましたが、そもそも中小企業を支援するために設立された新銀行が、このような景気状況の中で何ら用を足していないのが現状なのです。
新銀行の設立に使われた都民の税金一千億円はどうなったのでしょうか。せっかくの都民の税金が、だれも責任をとらずに毀損してしまうことに対しての石原知事の見解を求めたものであります。改めて見解を伺います。
答弁1
▼産業労働局長
第一番目に出資金の毀損に対する責任についてでありますが……。
先ほど知事がお答えしたとおりであります。新銀行東京がその経営の失敗により多額の損失を計上し、都の出資を含む資本を毀損したことについては重く受けとめております。
旧経営陣に対する責任追及については、現在、新銀行東京が今後の法的対応などを視野に入れ、調査を進めているところでございます。
質問2
次に、石原知事がいろいろな事例が出ていると発言していることに対して、石原知事は答弁さえしていません。
東京都に聞いても知らぬ存ぜぬで、例えば捜査当局からの協力要請があったのかを確認しても、東京都がその監視機能を果たしているようには思えません。石原知事は、単なるブラフなのか、だれから何を聞いて、どのような事例があると発言しているのか、見解を伺います。
答弁2
▼産業労働局長
経営上問題のある事例についてのご質問ですが、これも先ほどお答えいたしましたが、新銀行東京の調査は年内を目途に結果を得る予定と聞いており、その内容について申し上げる段階ではございません。
質問3
次に、金融庁の検査について、石原知事は、見解を申し上げることは適切でないと答弁をされました。しかし、石原知事は三月二十五日の予算特別委員会で、日銀考査の報告を受けたが、都の幹部に伝わっていないと聞いて驚いたと答弁した前例があります。
もし仮に、金融庁の検査について本当に知らないのであっても、新銀行の再建を着実に進めていこうと考えるのであるならば、少なくとも新銀行には早急に金融庁の検査結果を公表するように求めてしかるべきではないでしょうか。金融庁の検査結果に対する石原知事の姿勢について見解を伺います。
答弁3
▼産業労働局長
早急に金融庁の検査結果を公表するよう求めるべきであるとのご質問ですが、新銀行東京に対する金融庁の検査は現在も継続中であります。なお、個別の金融機関に対する検査等の内容は不開示とされております。
質問4
新銀行の事業連携について、私は、八月二十九日の定例会見で石原知事が九月には報告をすると述べていたので、質問したものであります。明らかにできる段階になれば報告するとの答弁でしたが、それでは九月に報告をするといったのは何なのでしょうか。事業連携がうまくいっていないのか、失敗したのか、あるいはめどもないのに口走ってしまったのか。事業連携の進捗状況について見解を伺います。
ほかにも伺いたいことはありますが、時間の関係もありますので、以上四点について伺いますが、私も知事に対して、再度このような答弁を求めざるを得ないのは残念無念であります。どうか石原知事の誠意ある答弁を求め、質問を終わります。
答弁4
▼産業労働局長
事業連携の進捗状況についてでございますが、先ほど知事がお答えしたとおり、事業連携の進捗状況につきましては、その性格上、答えることは差し控えさせていただくとしております。明らかにできる段階になれば、ご報告申し上げます。
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