田中たけし(自民党)
質問1
初めに、まちづくりについてお伺いいたします。
現在の多くのまちは、鉄道の駅を中心に街並みが形成されております。駅があって、まちが形成され、まちとの協調があって駅も機能すると思います。
そこで、鉄道事業者との連携によるまちづくりについて何点か質問いたします。
まず、連続立体交差事業に関してお伺いをいたします。
現在、都内の各所で連続立体交差事業が行われております。連立事業の目的は、いうまでもなく、あかずの踏切の除却による渋滞や交通事故の解消、線路で分断されていた地域の一体化を図ること、鉄道輸送の安全性の向上などであり、二十三区においては、事業費の八六%を税負担により、一四%を鉄道事業者の負担により行われております。
一方、連立事業で得られたスペースは、その大半を鉄道事業者が利用することとなり、そのスペースは鉄道事業者の費用負担分といわれております。
とはいえ、この取得したスペースに駅ビルをつくり、自社系列のスーパーを入れ、さらには、周辺商店街と競合するようなテナントを平気で入れ、駅構内にもコンビニエンスストアを入れるなど、顧客の囲い込みを行っております。
また、公立中学校の門の向かい側に時間貸し駐車場をつくるなど、周辺地域への配慮をすることなく、露骨な利潤追求の動きをしているように強く感じられます。
周辺商店街など住民感情として、巨額の税金を注入して連立事業を行い、工事中は地元として協力をしていながら、駅前、駅ナカという最良の商業スペースを、鉄道事業者がみずからの利潤追求にのみ使用されることに強い疑問を感じております。
そこで、巨額の税金注入により行う連立事業から生じるスペースの利用に関し、近隣商店街との連携を図るよう求めるなど、一定の指導をすべきと考えますが、都のご所見をお伺いいたします。
答弁1
建設局長
連続立体交差事業により生じる高架下等の利用についてでございますが、高架下等の利用計画策定に当たりましては、都は検討会を設置し、沿線区市及び鉄道事業者と調整を行ってまいりました。
その中で、都は、商業施設の配置を含む沿線区市のまちづくり構想などとの整合を図るとともに、駐輪場や緑道など公共公益施設の設置について、利用計画に反映させてまいりました。
一方、商業施設の具体的な規模などについては、建築する際に適用される法令等の手続を通じて、事業者に対して区などが指導を行っているところでございます。
今後とも、沿線のまちづくりや地元要望等を勘案しながら、連続立体交差事業を積極的に推進してまいります。
質問2
次に、大崎短絡線についてお伺いをいたします。
現在の湘南新宿ラインは、横須賀線を通り、西大井駅と大崎駅の間の蛇窪信号場から、貨物線を利用し、迂回するようにして大崎駅へ入り、新宿方面へと向かいます。蛇窪信号場で、湘南新宿ラインの上り線と横須賀線の下り線が平面交差するため、両線の時間調整の必要から鉄道本数に制限があり、増発のためには平面交差の解消が必要となります。そのため、湘南新宿ラインの上り線を、貨物線による迂回ルートを通さず、直接、大崎駅へつなげる大崎短絡線が計画されております。
しかし、この大崎短絡線は、以前、JR西日本で悲惨な事故があった福知山線の事故現場以上の急カーブであり、安全性に疑問があることや、騒音に懸念があること、既存の街並みが分断されてしまうこと、大崎駅前の道路の位置を大幅に変更されること、都営住宅の敷地を削られてしまうことなどの課題があります。JR東日本には、地域住民の理解を得るよう強く求めます。
この大崎短絡線が開通すると、西大井駅周辺の踏切の遮断時間がさらに長くなるのは確実であります。また、西大井駅には改札口が片側にしかなく、駅利用者の不便が一層増すことになります。
輸送力増強など運行計画の変更は、利用者サービスの改善や事業者の収益増加につながる一方で、踏切遮断時間が延び、歩行者の利便性の阻害になり、地域の分断や踏切事故など、地域住民にとって不利益となります。
こうした観点も踏まえ、巨額の税金投入を行い、あかずの踏切解消のため連立事業を各地で行っている中、鉄道事業者としては、踏切遮断時間の短縮に向けた対策を積極的に行うべきと考えますが、都のご所見をお伺いいたします。
答弁2
都市整備局長
踏切遮断時間の短縮に向けた対策についてでございます。
都では、平成十六年に踏切対策基本方針を策定しまして、鉄道立体化による抜本対策を計画的に実施するとともに、踏切システムの改善や踏切道の拡幅など、早期に実施可能な対策を促進することとしております。
このうち、踏切システムの改善を進めるには、急行列車や各駅停車などの列車の種別に応じまして遮断時間を短縮する、いわゆる「賢い踏切」というような対策でございますが、それが有効でございます。
今後とも、鉄道事業者に対しまして、こうした踏切システムを採用いたしまして踏切遮断時間の短縮が図られるよう、さまざまな機会を活用して働きかけてまいります。
質問3
次に、鉄道事業者と周辺商店街の連携についてお伺いいたします。
先ほども申し上げましたように、鉄道の駅を中心に商業地域が発達し、街並みが形成されております。つまり、商店街への入り口は、それぞれの駅であるともいえます。新しい駅ができるときや、駅の改良工事などが行われる際、その駅の改札口の位置がどこになるかは、商店街にとって大変重要な問題であります。また、改札口のあいている時間帯も大きな影響を与えます。
以前、同僚の高木けい議員より、王子駅の改札時間に関する質問がありましたが、私の地元のJR京浜東北線大井町駅においても、東口は、現在、午後九時には閉められてしまい、地元商店街への影響が大変大きく、JR東日本に対しての不信感が増大しております。私も、乗降客の利便性や、災害発生時の乗客誘導ルートの確保の視点からも疑問を感じます。
経費削減の措置からとはいえ、公共交通機関を運営する鉄道事業者としての社会的責務として、また、周辺商店街との連携の観点からも、改札時間をもとに戻すべきだと考えます。
鉄道事業者の管理監督は国土交通省が行っているため、都による直接的対応を求めていくのは難しいとは思いますが、鉄道事業者が地域において果たす役割、影響は大変大きく、周辺商店街など地域に影響を与える鉄道事業者の輸送サービスの変更などに際しては、地域への配慮を十分に行うべきと考えますが、都のご所見をお伺いいたします。
答弁3
都市整備局長
鉄道事業者の役割についてでございます。
鉄道事業における輸送サービスの内容につきましては、基本的には各鉄道事業者の判断により決められております。
一方、鉄道は、お話にもございましたように、都民の日常生活や経済活動に不可欠な都市基盤でございまして、沿線の商店街など、まちの活性化にも深くかかわるものと、私ども認識をしております。
都といたしましては、今後とも、鉄道事業者に対しまして、輸送サービスの変更などに際しましては、地元や利用者への適切な情報提供を行うよう働きかけてまいります。
質問4
次に、道路特定財源の一般財源化による影響についてお伺いをいたします。
政府は、道路特定財源の一般財源化を閣議決定いたしました。これまでも、機会あるごとに東京においての道路整備の必要性を訴え、その財源確保に向け運動を展開してまいりましたが、今後も、一般財源化の影響を受けることなく、引き続き都内の道路整備等のための財源確保に向けご尽力をいただくよう求めます。
中央環状品川線は、石原知事が強く建設促進を主張されている三環状道路の一つであり、その建設に向けては一般財源化の影響はないものと思いますが、沿線上に建設される換気所の性能に影響を与えることがあっては決してならないと考えます。
中でも五反田地区では、建設予定の換気所に関し、これまでの環境被害を受けてきた経験から、環境確保に向け、並々ならぬ努力を積み重ねてきております。一般財源化が換気所の性能に影響することなく、地域環境の維持を最優先にした対応を強く望むものでありますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁4
建設局長
中央環状品川線についてでございますが、品川線は中央環状線の最後の整備区間であり、渋滞緩和や環境改善を図る上で効果が極めて大きく、都は、首都高速道路株式会社と共同で事業を進めております。
整備に当たりましては、沿道環境への影響が小さい地下構造を採用しており、換気所の設置が不可欠であります。
これらの換気所におきましては、大気浄化施設として除じん装置を設置するとともに、低濃度脱硝装置の導入が必要となった場合でも、設置が可能となるスペースを確保しております。
今後、道路特定財源の一般財源化が行われようとも、中央環状品川線の整備に必要な財源の確保を国に強く求め、引き続き、住民の理解と協力を得ながら、平成二十五年度開通に向けて着実に事業を推進してまいります。
質問5
次に、国有地の活用についてお伺いをいたします。
国家公務員宿舎等の国有地の払い下げについては、国の財政健全化に資するとともに、その有効活用を掲げ、財務省において、平成十八年一月より、学識経験者等の有識者会議において検討が開始されております。検討内容は、宿舎及び庁舎の移転、再配置計画や売却方針であります。
平成十九年十一月には、この有識者会議において、宿舎・庁舎の跡地の有効活用の基本方針を打ち出し、その跡地の類型ごとに処分方針などを取りまとめております。
国は今後、資産、債務改革を推進するために、この方針に沿って跡地処分を進めていくとしておりますが、大量に国有地の払い下げが行われようとしている中、都は、まちづくりに資する跡地の有効活用についてどのように検討を進めてきたのか、お伺いをいたします。
答弁5
都市整備局長
国家公務員宿舎等の跡地の払い下げについてでございます。
宿舎等の跡地の国有財産は、東京の都市再生やまちづくりを進める上で貴重な空間でありまして、その有効活用が重要というふうに認識してございます。
このため、都は、国の有識者会議の動きに合わせまして、関係局による検討部会を設置するとともに、関係二十区との連絡調整会議を設け、都市基盤の整備やまちづくりへの利活用の方法について検討を行いまして、成果を昨年九月、国に提示をいたしました。その内容は、有識者会議が十一月に出しました宿舎・庁舎の跡地の有効活用の基本方針に反映されております。
現在、関係機関におきまして、この基本方針を踏まえ、具体的な跡地の利活用について検討が進められております。
質問6
六月十四日、岩手・宮城内陸地震が発生し、多くの犠牲者が出てしまいました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、行方不明者の一刻も早い救出、負傷された方々の回復と、被災地の早期復興を願うものであります。
改めて地震の恐ろしさを感じ、いつ起こるかわからない地震に対する備えの必要性を痛感するところであります。
今回の移転、再配置計画によって示された国有地は、都市再生に大きく貢献されることが期待されます。例えば木造住宅密集地域などでは、防災公園など安全なまちづくりに活用していくことが極めて重要であると考えます。
地元品川区においても、都市計画目黒公園、開園名、林試の森公園と一体となって、約八万人もの地域住民を受け入れる避難場所となっている小山台住宅の宿舎が移転対象となっております。こうした宿舎の移転用地を生かして、避難機能の強化のために、機を逸することなく、目黒公園の計画の変更を行うなどの検討を進めるべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁6
都市整備局長
目黒公園の計画変更に係る検討についてでございます。
公園に隣接する国家公務員宿舎は、国が設置した有識者会議の報告におきまして、平成二十二年度に廃止する計画としておりますが、廃止後の具体的な処分年度は確定しておりません。
都といたしましては、目黒公園及び隣の国家公務員の宿舎跡地を、お話にありましたように震災時の避難場所として指定をしておりますことから、跡地の利活用に当たりましては、避難場所としての機能を継続させることが重要というふうに考えております。
このため、宿舎移転の動向等を見定めつつ、目黒公園の都市計画の見直しなどについて、地元区を初め関係者と連携しながら検討を進めてまいります。
質問1
次に、下水道事業についてお伺いをいたします。
都では、高度成長期に深刻な水不足を経験したことから、水源の確保はもとより、水資源の有効活用に積極的に取り組んでまいりました。中でも下水道局では、安定的に大量の下水を処理していますが、この処理水を高度処理した再生水を都市の貴重な水資源として活用してきております。
地元品川区でも、再生水は目黒川の清流復活用水として活用されているほか、トイレ用水としても、大崎地区に加えて、今年度からは東品川地区にも再生水の供給が開始する予定だと伺っております。
今後も利用拡大すべきと考えますが、再生水の利用状況と今後の取り組みについてお伺いをいたします。
答弁1
下水道局長
再生水の利用状況と今後の取り組みについてでございますが、再生水は、ビルなどのトイレ用水や河川などの清流復活用水のほか、ヒートアイランド対策の道路散水用水としても利用しております。これに水再生センター内で使用している冷却用水などを加えますと、一日当たり平均五十万立方メートルを再利用しております。
トイレ用水といたしましては、これまでの西新宿、汐留、霞が関地区など六地区に加えまして、この九月からは新たに東品川地区で、ショッピングセンターやオフィスビル等を対象に再生水の供給を開始する予定でございます。
また、隣接いたします八潮地区につきましても、清掃工場などに供給するための整備を進めております。
今後とも、大規模な開発地域などを対象に供給地区の拡大を図るとともに、機会をとらえまして、既存供給地区のビル所有者に対しても利用を働きかけ、都市の貴重な水資源である下水再生水の利用拡大に取り組んでまいります。
質問2
世界に目を向けると、アジア、アフリカなどの新興国の都市では、経済発展により水需要が増大する一方で、地球温暖化の影響により水資源の減少が予想され、渇水被害の増大が懸念されております。
十月にはC40気候変動東京会議が開催されますが、下水道局は、再生水利用の豊富な経験を生かし、こうした場で先進的な技術や施策などについて情報発信するなど、積極的に国際貢献すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁2
下水道局長
再生水利用の経験を生かした国際貢献についてでございますが、下水道局ではこれまでも、さまざまな用途に再生水を供給するとともに、水質向上やコスト縮減を目指したろ過技術の開発など先駆的な取り組みを進め、こうした技術情報につきまして、国際協力機構やアジア大都市ネットワーク21などを通じて、海外からの研修生や視察者等に提供してきております。
今後も、海外における再生水利用の一層の促進に向け、当局の持つ最先端の技術や豊富な経験を、C40気候変動東京会議等を通じまして積極的に発信してまいります。
質問1
次に、水道事業についてお伺いいたします。
六月五日に、二〇一六年のオリンピック開催候補都市が四都市に絞られ、東京都は最高の評価で選ばれました。今後、国内におけるオリンピックやパラリンピックの招致機運の盛り上げや、国際的なプロモーション活動が重要だと思います。
石原知事は評価に関して、記者会見などで、技術的には最高の点がついた、首都圏全体がやっている環境の行政でも評価を受けた、地道にやってきた成果が評価を受けている、空気、再生水、東京の水道は世界一だ、世界的に見てもこんなきれいな水はないと、水道にも触れております。
また、昨日の我が党のC40気候変動東京会議に関する代表質問で、知事は、東京は世界一安全でおいしい水道水の供給のノウハウを、あるいは世界最高水準の技術による漏水防止など、高度な先進技術を世界に伝えていくと述べたところであります。
世界一安全・安心な東京の水道水は、まさにオリンピック・パラリンピックの開催都市にふさわしいものであり、東京の魅力の一つとして改めて積極的にアピールしていくべきと考えます。この点について石原知事の率直なお考えをお伺いいたします。
答弁1
知事
東京の水道を東京の魅力の一つとしてアピールすることについてでありますが、都市の発展に水が欠かせないことは歴史が証明しております。しかし、世界の主要都市においても、直接蛇口から水を飲める都市は極めて少ないと思います。
昨年、ニューヨークで行われました大都市の首長によります環境問題の会議で、私も招かれて出席しましたが、技術的な点では参考になることは一つもありませんでした。席上、私のアドレスの後に、同伴しました東京の水道局長のブリーフィングは、一番みんなの高い関心で傾聴されたと思います。
東京がオリンピックの開催候補都市に選ばれたのは、なすべきことを地道にやってきた成果でありまして、すばらしい水道水も採点に大きく寄与しているものと思います。
国際的な東京の評価を効果的に高めていくため、世界に誇れる安全でおいしい水を東京の魅力の一つとして、あらゆる機会を通じて積極的にアピールしていくつもりであります。
質問2
ところで、世界では、約十一億人の人々が安全な飲料水を利用できない状況にあります。国連ミレニアム開発目標では、安全な飲料水及び衛生施設を継続的に利用することのできない人を二〇一五年までに半減させるとしております。私も、さきの予算特別委員会では、気候変動が水道事業へ与える影響について取り上げたところであります。
気候変動に対しては、国内外の専門家と交流を図り、情報の収集や影響の分析に努めることが重要であると考えます。
また、東京水道が持つ高度な技術の中には、世界各国における水問題の解決に役立つものも多いと考えます。
そこで、気候変動を初めとした諸課題について、国内外の水道専門家等と連携した取り組みが重要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。
答弁2
水道局長
国内外の水道専門家等と連携した取り組みについてでございますが、水道局では本年二月に、国際水協会、いわゆるIWAなどと協力して、気候変動が水道事業に与える影響について会議を開催し、各国の専門家とともに、乾燥地域や低地などのそれぞれの地域の状況等について、情報や意見の交換を行ったところであります。
気候変動がもたらす水問題につきましては、国内外の水道関係者や研究者と広く連携して、情報や技術、経験を分かち合っていくことが重要であると考えております。
今後、水の専門家が集まる国際水協会世界大会や、各国の閣僚級が参加する世界水フォーラムなどの国際会議が予定されておりますが、こうした機会をとらえて、当局が有する安全でおいしい水の供給や漏水防止などの技術や施策を伝えるとともに、海外の諸都市とも、知識や経験、取り組みなどについての情報を共有し、連携を図ってまいります。