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  4. 第2回定例会 一般質問
  5. 高橋信博(自民党)

横田基地の軍民共用化実現を
緑化用植木生産拡大と農地保全

高橋信博
高橋信博(自民党)

横田基地の軍民共用化

質問1
 初めに、横田基地の軍民共用化について質問をいたします。
 先日、国土交通省が首都圏空港における国際航空機能拡充プランを発表いたしました。その中で、増大する航空需要に対応するため、成田空港と羽田空港を首都圏空港として一体的に運用、活用していくことが打ち出されております。
 このプランを裏づけるデータとして、昨年六月に発表されました国土交通省の報告書によれば、二〇〇五年から二〇一二年までの航空需要の年平均伸び率は、国内旅客が一・一%、国際旅客が三・六%、国際貨物が三・九%となっております。
 このような航空需要の増大に対して、国土交通省は当面、二〇一〇年の羽田再拡張等による発着枠の増枠で対応するようですが、その後おおむね十年後には、再び空港容量が満杯になると予想しております。
 つまり、羽田と成田の二空港だけでは首都圏の航空需要を受けとめ切れないため、横田基地の軍民共用化を実現し、首都圏の空港機能を補完する必要があるわけでございます。
 また、両空港の位置は首都圏の東部に偏っており、首都圏の適正な空港配置という観点からも、首都圏西部に位置する横田基地の活用は不可欠でございます。
 これについては、山梨県からも、横田は羽田や成田に比べ格段に近く、県民だけでなく、本県を訪れる多くの観光客にも大きなメリットがあるとして、横内山梨県知事みずからが先頭に立ち、軍民共用化の実現を強く要望されております。
 このように、横田基地もあわせて首都圏空港と位置づけ、軍民共用化を実現することによりまして、世界じゅうから、もっとたくさんのお客様を迎えることができ、東京や山梨、埼玉、神奈川などの航空利用者の利便性が飛躍的に向上いたします。したがって、軍民共用化の実現は喫緊の課題です。
 一方、軍民共用化に関する日米協議については、引き続き継続されるとはいえ、米側の態度はかたくなで、進展が見られない状況です。
 この困難な状況のもとで、改めて横田基地の軍民共用化に向けた石原知事の決意を伺います。

答弁1
知事
 横田基地の軍民共用化についてでありますが、軍民共用化は、我が国の国際競争力を強化し、国力を維持するために不可欠な国家プロジェクトだと思います。
 横田基地においても、平時は余裕のある滑走路を民間利用することは、日米関係の強化につながる極めて象徴的な取り組みでありまして、日米双方の国益にもかなうものであると思います。
 にもかかわらず、交渉の土壇場まで来まして、米側は、特に軍でありますけれども、基地の軍事運用上の課題を指摘して、軍民共用化に積極的に対応しようとしませんが、これはいずれも、分析してみますと、解決可能な事項ばかりであります。
 ことし三月末、杉山委員会が主催した横田基地軍民共用化推進セミナーでも、米国の国防総省のOB、これは元の将軍であります。また、国務省のOB、これはヨーロッパの有力な国の大使を務めた人ですが、これらのスタッフが、こうした課題に的確に対応していけば、軍民共用化は実現可能であると示唆してもくれました。
 日本側としても、今までの交渉の基本的姿勢をちょっと変えまして、ウィン・ウィン、つまり相手側の取り分も考えるという姿勢で、今後交渉を推進していきたいと思っております。
 国とともに、基地周辺の活用も視野に入れまして、米側からの指摘にも適応できる、対応できる説得力のある具体案を検討し、米側に早急に提示していきますが、何分、向こうの政権も終えんの寸前でありまして、これはやはり、具体的な交渉は新しい政権が誕生してからのことと思っております。
 先日、外務省の新旧事務次官と意見の交換を行いました。日米協議を前進させることの必要性を再確認いたしました。
 今後とも、国と都が一枚岩となって米側に働きかけ、軍民共用化の早期実現を図っていきたいと思っております。


質問2
 首都圏の航空需要が増大傾向にある中、横田基地の軍民共用化の意義はますます高まるばかりです。最近、周辺の武蔵村山市が、軍民共用化の効果について調査結果を発表したところです。その報告書によれば、空港関連産業の立地や新規雇用の増加に加え、民間ターミナルビルの整備や交通インフラの整備による経済波及効果などが期待されております。
 軍民共用化は、多摩に空の玄関を開き、人と物の流れを活発化させていくだけでなく、地域産業の活性化や雇用の促進にもつながるものです。軍民共用化が実現すれば、基地周辺の道路などの交通インフラ整備が加速されることに私自身も大きな期待を寄せております。
 このように、本プロジェクトが地域の振興にもたらす多大なメリットを発信して、広範な理解を得ながら、軍民共用化の実現を図っていくことが重要と考えますが、所見を伺います。

答弁2
知事本局長
 横田基地の軍民共用化が地域にもたらす効果について申し上げます。
 軍民共用化の実現は、首都圏西部地域の航空利便性の向上はもとより、横田基地周辺の産業活性化や雇用の増大などにつながるだけでなく、多摩地域が首都圏の中核拠点として発展していくことにも大きく寄与いたします。
 また、空港アクセスなど交通網の整備や周辺のまちづくりが促進されまして、これらの効果は、多摩地域のみならず、横田に近接いたします埼玉、神奈川、山梨にも波及してまいります。
 ご指摘のとおり、軍民共用化は、こうした点で地域振興に大きな効果をもたらすものと考えられます。
 都といたしましては、騒音対策等の課題への対応に配慮しつつ、今後とも、積極的な広報や意見交換などを通じまして、地域にもたらす効果を広く訴え、地元を初め広範な理解と協力を得ながら、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。

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緑の創出と農地の保全

質問1
 次に、緑の創出と農地保全についてお聞きいたします。
 都では、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八で緑の創出に取り組んでいますが、その際、東京産の緑化用植木を積極的に活用する取り組みを進めていくと聞いております。いわゆる緑の地産地消でございます。
 緑化用植木は、都市に潤いを与えることは当然です。加えて、緑化用植木を都内で生産し、公共事業などで使用することは、生産地からの輸送距離が短く、温暖化ガスの排出が少ないことや、植木が二酸化炭素を吸収、固定することなど、地球温暖化防止に効果のある取り組みとして評価に値するものと考えます。都内のすべての公共事業で必要な緑化用植木を都内の生産量で賄うことは難しい状況ではありますが、少しでも多く都内産で賄うことが大切です。
 そこで、今後、都は、都内の緑化用植木の生産をどのように拡大していくのか、伺います。

答弁1
産業労働局長
 緑化用植木の生産拡大についてですが、都内で緑化用植木の生産をふやすことは、地球温暖化防止や農業振興の観点から大変重要であるというふうに考えております。
 都では、苗木の生産供給事業におきまして、緑化用植木の公共事業への供給量を、現在の二十五万本から来年度は三十万本へ拡大をしてまいります。また、今年度からは、都内産緑化用植木の利用を促進するため、都内産の種類や数量等の情報を関係する事業者に積極的に提供してまいります。
 現在、都市の狭い空間への植栽が可能な植木の研究を行っておりまして、今後、この普及にも努めてまいります。
 都は、これらの施策に加えまして、引き続き栽培施設の整備支援を行いますとともに、生産者に対する技術指導を強化し、都内産緑化用植木の生産拡大を図ってまいります。


質問2
 また、東京の緑化を推進するためには、農地を保全することも極めて重要であります。
 現在、十分に利用されていない農地、いわゆる遊休農地は、そのままにしておくと、農地でなくなる可能性が高くなります。このような遊休農地を活用し、農地を保全するためには、地域住民の協力を得ることも一つの方法だと思います。
 例えば私の地元小平市では、菜の花プロジェクトとして、市と市民と農家の三者で協力し、人手不足の農地で、花が楽しめ、菜種油も搾れる菜の花の栽培をしており、このような取り組みも参考にしていただければと思います。
 都内には、四百ヘクタールを超える遊休農地が存在しております。農地の保全の観点から、都では遊休農地対策にどのように取り組んでいるのか、伺います。

答弁2
産業労働局長
 遊休農地対策についてですが、農地保全のためには、農地の遊休化防止と遊休農地の再生利用を図ることが極めて重要であります。
 このため、都は、高齢や労働力不足などで耕作が困難になった農家に対しまして、農作業を受託する団体などをあっせんをし、農業が継続できるよう支援するとともに、農業体験を希望する都民には遊休農地を紹介しております。
 こうした取り組みによりまして、ソバや小麦の栽培、また市民農園の開設などの成果があらわれてきております。
 今後とも、区市町村や農業団体との連携を深めるとともに、農家や都民への情報提供、助言など、遊休農地対策の取り組みを強化してまいります。

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多摩地域の緑の保全

質問1
 次に、玉川上水の周辺など、多摩地域の平地部に残された緑の保全について伺います。
 私の地元小平市などを流れる玉川上水は、江戸時代初期に江戸市中への給水を目的としてつくられた延長四十三キロメートルに及ぶ上水で、平成十五年に、江戸、東京の発展を支えた歴史的価値を有する土木施設、遺構として、国の史跡に指定されております。そして、史跡であると同時に、水と緑の空間として都民に親しまれ、学校教材にも取り上げられるなど、非常に貴重な都民の財産であります。
 しかし、残念ながら近年、玉川上水の周辺の雑木林が宅地開発などにより失われつつあります。かつて上水沿いには、短冊状に雑木林や農地が広がっていました。緑が減少しているのは、何も玉川上水だけの問題ではありません。特に多摩地域の平地部の緑が減少しているのではということを実感しております。
 一度失われた雑木林などの緑を回復させることは不可能といっても過言ではありません。しかし、私は、今ならまだ手の打ちようがあると思います。
 都は、このように多摩地域の平地部に残された、貴重な面的にまとまりのある雑木林などを後世に残していくために、積極的に保全していくべきと考えますが、ご所見を伺います。

答弁1
環境局長
 多摩地域の緑についてでございますが、ご指摘のとおり、東京の緑は減少傾向にあり、多摩地域などの平地部に残された緑は特に貴重であると認識しております。
 このため、都は、緑あふれる東京の再生を目指し、現在、緑の東京十年プロジェクトを全庁横断的に推進しており、今ある緑の保全と新たな緑の創出に積極的に取り組んでおります。
 今後とも、武蔵野の面影を残す玉川上水沿いの雑木林など、多摩地域の平地部の貴重な緑を保全するため、関係局と連携しながら多角的な取り組みを進めてまいります。


質問2
 多摩地域には、やはり減少傾向にあるとはいえ、丘陵地や斜面地などに、まだ相当の広さの雑木林などが残されております。私は、こうした雑木林などを守るために、幾つかの制度について調べてみました。
 一例を挙げますと、都内のほとんどの自治体が持っている保存樹木、保存樹林制度があります。これは、一定以上の大きさの樹木や一定面積以上の樹林地について、所有者の申請に基づいて自治体が指定し、その維持管理費相当分を補助するというものです。
 ところが、この制度では、指定の解除が所有者の意思に任されているのが実態であり、相続などの際に指定解除され、樹林地が売却されるケースが多くあります。
 そのほかにも市民緑地制度がありますが、これも強制力の弱い、最終的には開発から守ることが難しいものです。
 そうした中にあって、都の自然保護条例に基づく保全地域制度は、一度指定されると永久的に開発から守られ、最終的には土地所有者の申し出に基づいて都が土地を公有化するという、樹林地を守る上で極めて強い制度であります。
 もちろん、都の財政負担などの問題はありますが、私は、東京に残された緑を守るために、保全地域制度を積極的に活用すべきと考えますが、ご所見を伺います。

答弁2
環境局長
 保全地域制度の活用についてでございますが、東京の緑を守るためには、都がさまざまな施策を重層的に展開する必要があるのはもとより、あわせて、地元自治体や住民の参画が大切でございます。
 お話の保全地域制度は、指定区域内の開発行為を原則として認めず、自然の保護と回復を図り、最終的に地権者の意向により都が公有化する、緑を守る上で非常に強力な制度でございます。
 今後とも、都は、地域の緑の実態と価値を熟知する地元自治体に、用地取得や維持管理などについて一定の役割を担っていただくことにより、保全地域制度を有効に活用し、多摩地域などにおける緑の保全に一層積極的に取り組んでまいります。

質問3
 ただいまは、開発からいかにして緑を守るかということを述べてきましたが、次の段階として、開発が行われる場合の対応についてです。
 当然のことながら、すべての開発がよくないということではありません。我々の社会生活をよりよいものにしていくためには、再開発事業や区画整理事業などは有効な都市開発手法であり、今日の東京の発展は、こうした開発の上に成り立っております。しかし、私は、こうした開発の際にも、可能な限り多くの緑を残していくべきであると思います。
 開発に際して緑を守る制度としては、自然保護条例に基づく開発許可制度があります。いわば緑を守る最後のとりでともいうべき制度ですが、この制度の強化も視野に入れた見直しを行うべきと考えますが、ご所見を伺います。

答弁3
環境局長
 開発許可制度の見直しについてでございますが、緑あふれる東京を実現するためには、都民、企業等、さまざまな主体と協働して、あらゆる工夫により緑を創出するとともに、今ある緑の減少をできるだけ食いとめ、保全していくことが重要でございます。
 都はこれまで、自然保護条例に基づく開発許可制度により、開発により損なわれる自然を最小限にとどめるなど、緑の確保に努めてまいりました。
 現在、開発に際し、できるだけ多くの緑を確保していくため、東京都自然環境保全審議会において、開発時に緑地として確保すべき面積の基準の引き上げを含め、開発許可制度の見直しについての検討が進められておりまして、今後、その結果を踏まえ、制度の充実強化を図ってまいります。


コメント
 緑の重要性については、議論の余地はありません。ぜひとも東京都の積極的な対応をお願いいたします。

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伝統文化・郷土芸能に対する支援

質問1
 次に、伝統文化、郷土芸能に対する支援について伺います。
 都内各地域には、国の重要無形民俗文化財に指定されている江戸の里神楽を初めとして、神田ばやしや武蔵御嶽神社太々神楽など、長い歴史の中で生まれ、保存、継承されてきたさまざまなおはやしや神楽、和太鼓などが存在しております。
 郷土芸能は、親から子へ、子から孫へというように、地域社会の中で受け継がれてきたものであります。地域のお祭りなどは、生活の一部となっています。
 ところが、社会の少子高齢化や生活様式の変化などに伴い、近所づき合いも希薄化している今日では、その継承が難しくなってきております。
 一つは、後継者問題であります。お祭りに積極的に参加し、太鼓やおはやしをやってみようという子どもたちが減ってきています。子どもの絶対数が少なくなっている状況の中において、都としての取り組みが必要と考えます。
 二つ目は、それを教える指導者の高齢化という問題もあります。きちんと教える人がいなくなれば、伝統は途絶えてしまいます。
 初めに、こうした郷土芸能の保存、継承について都の認識を伺います。

答弁1
生活文化スポーツ局長
 郷土芸能の保存、継承についてでありますが、おはやしや神楽、和太鼓などの郷土芸能は、各地域で受け継がれ、はぐくまれてきた貴重な伝統文化であり、地域のきずなを深める上でも重要な役割を果たしてきたところでございます。
 しかしながら、ご指摘のとおり、生活様式等の変化に伴い、子どもたちがこうした郷土芸能に触れる機会も減少し、指導者など地域の担い手も不足するなど、その保存、継承が難しくなってきております。
 郷土芸能は、それぞれの地域に根差した特色ある貴重な伝統文化であることから、都としても、東京に残された多彩で豊かなこれらの文化を保存、継承していくことは重要であると認識しております。


質問2
 次に、今後、こうした貴重な郷土芸能を継承していくためには、後継者や指導者の確保、育成が重要であると思いますが、都として支援する考えはないか、見解を伺い、質問を終わります。

答弁2
生活文化スポーツ局長
 郷土芸能の後継者や指導者の確保、育成に向けた支援についてでありますが、伝統文化の継承、発展は、東京の文化の魅力を高める上でも重要であり、都は、後継者を育成するため、次代を担う子どもたちが伝統文化に触れ、身近に感じることを目的とした参加体験プログラムを実施しております。
 一方、郷土芸能は地域に根差したものであり、その保存、継承については、区市町村を中心とする各地域の取り組みが重要であります。
 今後、郷土芸能の後継者や指導者の確保、育成などについて、地元区市町村と連携しながら検討してまいります。

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