そなえ邦彦(無(フォーラム)
質問1
通告に従いまして、障害者の就労支援について一般質問したいと思います。
先ほど、野上議員の方からも障害者の就労について、そしてまた初鹿議員の方からも障害者の対応について言及されておりますけれども、私の方からは、別の角度から改めて障害者の就労支援についてお聞きしたいと思います。
近年、ノーマライゼーションが叫ばれて久しくなっております。障害者も健常者も、地域で企業でともに生活できるように、行政も企業も関係団体等それぞれが努力をしつつあります。
先日、都営地下鉄浅草線大門駅で、発達障害がある人たちが働く焼きたてパン店がオープンいたしました。これは都が直接オープンさせたということではありませんが、都と港区、民間が協力して障害者の働く場を広げるということから、都として、店舗スペースを実費を除いて無料で貸し出すということであり、画期的であり、民間鉄道にもその輪が広がりつつあり、一歩前進といえます。
一方、平成十八年に障害者自立支援法が施行され、二年が経過しました。福祉の現場には混乱や不安がありましたが、一昨年に引き続き、昨年十二月に厚生労働省も障害者自立支援法の抜本的な見直しに向けた緊急措置を提示することとなりました。そして、ことしから利用者負担のさらなる軽減や、特別対策による事業者の経営基盤が強化されたところでありますが、それでも、作業所等の施設運営者や障害者自身に対する負担は残っております。
そういう状況のもと、先日、現在、特別支援学校に通われている十六歳の少女の母親が来訪され、親亡き後の問題もさることながら、娘の卒業後の就労について、とても心配だと切々と話されていきました。なかなか東京都だけでは解決できない面もありますが、もっともだと聞いておりました。
現在、障害者雇用促進法によって定められた法定雇用率を上回る数の障害者を雇用しなければならないことになっておりますが、都内における実態はまだまだの状態です。
東京労働局が公表した資料によりますと、都内における民間企業の障害者雇用率の推移は、平成十五年の一・三三%から平成十九年には一・四六%と改善はしているものの、いまだに法定雇用率の一・八%を下回っております。また、百人から二百九十九人規模企業では〇・八六%、五十六から九十九人規模企業では〇・六九%となり、特に中小企業において雇用率が低い状況となっております。
都でもいろいろと施策の展開に努力しており、「十年後の東京」においても、障害者雇用の三万人の増加を目指すこととし、「十年後の東京」への実行プログラム二〇〇八では、平成二十二年までに一万人の増加を目標として定めております。
こうした中で、民間企業に対して、バリアフリー化の促進を含め、障害者の就労促進を働きかける立場の東京都みずからが、障害者の雇用促進に率先して取り組むことが今まさに重要ではないでしょうか。
私の住む府中市役所では法定雇用率は二・三八%と、二・一%をクリアしていますが、平成十九年に一人、二十年に一人の採用とまことに微々たる状況であります。
東京労働局が公表した資料によりますと、平成十九年六月現在の都の機関の障害者雇用率は二・九〇%となっております。しかし、都としてたゆまぬ行財政改革の中で、全体の職員数が減少している中で、形式上、地方公共団体が達成すべき法定雇用率である二・一%を上回るものでありまして、このことをもってよしとするだけでなく、今後も引き続き都みずからが率先して、関係機関を含め、障害者の職員採用に取り組んでいくべきと考えます。
そこで、まず、都における障害者の職員採用に当たっての具体的な取り組み状況について伺います。
答弁1
総務局長
都における障害者の職員採用についてお答え申し上げます。
都では、障害者の雇用の促進等に関する法律の趣旨にのっとり、昭和五十六年から一般の競争試験とは別枠で、身体障害者を対象とした職員採用選考を実施しており、本年四月一日までに累計で五百九十八名を採用しております。
このほか、採用試験の受験方法につきましても、点字受験、拡大文字、ワープロによる受験を認めるなど、各職種の職務内容に照らして、可能と思われる範囲で最大限配慮した対応を行っております。
今後とも、こうした取り組みを通して障害者の計画的な採用を進めてまいります。
質問2
一方、都内の民間企業の方に目を向けますと、大企業では特例子会社を創設するなど障害者雇用の促進が進んでおりますが、先ほど申し上げたように、中小企業において雇用率が低いことから、法定雇用率には達していない状況であります。私が聞いたところでは、雇うより罰金を払った方がよいという企業もあるということです。
そこで、民間企業における障害者雇用の促進、特に中小企業には特別の対策が重要であると考えますが、都の取り組みについてお伺いします。
答弁2
産業労働局長
民間企業における障害者雇用の促進に向けた取り組みについてお答え申し上げます。
都では、これまで障害者雇用促進ハンドブックの作成や企業向け普及啓発セミナーの開催などによりまして、企業に対して障害者雇用の理解促進に努めてまいりました。
また、障害者雇用を目的とする特例子会社を設立した企業に対する助成制度を創設するとともに、特に中小企業に向けた支援策といたしましては、障害者を雇用した企業に対する賃金助成を創設したところであります。
今後とも、これらの取り組みを通じまして障害者雇用の促進を図ってまいります。
質問3
また、障害者雇用の促進に当たっては、特別支援学校の存在も重要です。先ほど申し上げた特別支援学校に通われている十六歳の少女のお母さんの例を初めとして、現在、特別支援学校高等部に在籍する生徒の保護者には、自分の子どもの将来の一般就労について心配されている方が多くいる一方で、都立永福学園の設置などの取り組みの成果に期待されている方も大勢いらっしゃいます。
そこで、都教育委員会として、軽度の知的障害者の一般就労の促進を図るため、東京都特別支援教育推進計画において、このような職業学科の整備を今後どのように計画しているのか、見解をお伺いします。
答弁3
教育長
特別支援学校における職業学科の整備計画についてであります。
都教育委員会は、東京都特別支援教育推進計画に基づきまして、知的障害が軽い生徒を対象に、将来の職業的自立に向け、専門的な教育を行うことを目的としました高等部職業学科設置校といたしまして、平成十九年度に永福学園を開設いたしました。
今後、地域バランスを考慮いたしまして、青梅地区、南多摩地区、板橋地区、飾地区に、平成二十七年度までに四校設置することとしております。
これらの学校では、流通、サービスや家政等の系列を設け、就業体験の導入等を行うことによりまして実践的な職業技術の習得を図り、生徒全員の一般就労を目指した教育を行ってまいります。
質問4
次に、区市町村が実施している就労支援についてお伺いします。
現在、区市町村でも独自の就労支援に乗り出しつつありますが、東京都も区市町村と連携して障害者の就労支援を進めているとお聞きしております。
障害者の就労支援は、就職がゴールではなくて、就職してから安定して働き続けるために生活全般をサポートしていくことが大事であります。現場の方々の声を聞いてみると、働く職種が偏っていたり、長続きしないでやめていくことが多いということであります。
そこで、障害者が住んでおられる身近な区市町村において支援が受けられることは、大変意義があると思いますが、障害者の就労支援の窓口である障害者就労支援センターの役割はどのようなものなのか、また、都がどのように支援をしているのか、お伺いします。
最後に、今話題になることも多くなってきております、脳卒中や事故等で記憶障害や人格が変わるなどの後遺症を負った、いわゆる高次機能障害の方々について触れておきます。(「高次脳機能障害だよ」と呼ぶ者あり)高次脳機能障害の方々について触れておきます。
都の調査によれば、高次脳機能障害の方が都内に五万人いると推計され(発言する者あり)うるさいよ、ちょっと。現在、手帳の関係で就労していない方のうち、半数の方が就労を希望しております。この高次脳機能障害の方の就労支援についても、今後、都としても真剣に取り組んでいかなければならない課題であるということを指摘しておきます。
障害を持つ家族、障害を見守る関係団体の方々は、どんなに障害が重くても、生まれ育った地域の中で安心して働き、豊かに暮らしたいという思いでいっぱいです。ぜひ東京都としても、この思いにこたえるべく、全力で障害者の就労支援にさらに取り組んでいただくよう要望し、私の質問を終わります。
若干早目ですけれども、皆さんお疲れですから、これで私の質問を終わります。答弁、よろしくお願いします。
答弁2
福祉保健局長
区市町村障害者就労支援センターについてお答えをいたします。
このセンターは、身近な地域において、就労面と生活面の支援を一体的に提供することにより、障害者の企業等への就労を促進することを目的としております。また、地域開拓促進コーディネーターを配置し、就労先企業の開拓などにも取り組んでおります。
都は、このセンターが平成二十三年度までにすべての区市町村で設置されることを目指しており、区市町村に対して運営費の補助を行うなどの支援をしているところでございます。