初鹿明博(民主党)
質問1
先月、私の地元江戸川区の閑静な住宅街に知的障害者グループホームが新しく開設されました。このグループホームの運営母体は、障害者の親が中心となって設立されたNPO法人で、チャリティーコンサートを開催して資金を集めるなど、約二年にわたって準備を進めてきました。グループホームの開設に当たっての最大の課題は場所の確保であって、このNPOも場所を見つけるのに大変苦労したそうです。
このNPOは、区や都の福祉保健局、都市整備局などの協力で、一時は、都営住宅の空き家を活用する制度により、区内の都営住宅で開設する準備を進めていました。しかし、残念なことに同じ棟の住民の反対に遭い、結果として、民間の一軒家を借りて開設することになりました。
今回の事例でも明らかなように、都営住宅の空き家が利用できるからといって、簡単にグループホームの開設ができるものではありません。現在の都民の障害者に対する理解や意識を考えると、既に居住者がいるところで住民の理解を得ていくことは容易でないことが想像できます。
現在、都営住宅の建てかえが各地で行われておりますが、建てかえ時に、最初からグループホームが整備されていれば、事前にわかった上で入居してくることになるのですから、居住者からの反対の声も上がりにくくなり、住民の反対により開設が見送られるということがなくなると考えられます。
また、グループホームとして整備することで、複数の他人が共同生活するグループホームにふさわしいような個人の個室と共用スペースとがうまく配置された間取りにすることができ、使い勝手もよくなるのではないかと感じます。
このような観点から、都営住宅の建てかえ時にグループホームをあわせて整備すべきだと考えますが、所見を伺います。
答弁1
都市整備局長
都営住宅建てかえ時のグループホームの整備についてのご質問でございます。
建てかえに際しましては、必要な住宅を整備することを基本とした上で、福祉サービスの充実など、地域のさまざまな課題に配慮することとしております。
グループホームにつきましては、都営住宅建設に関連する地域開発要綱に基づきまして、地元区市と協議し、知的障害者グループホームなど、地域の特性に応じた整備を支援しております。
今後とも、都営住宅敷地の状況などを勘案しながら、地元区市や関係局と連携し、適切に対応してまいります。
質問2
先ほど例に挙げたグループホームの件でも明らかなように、現在でも、障害者に関連する施設の計画が持ち上がると、心ない近隣住民から反対の声が上がることがしばしばあります。車の出入りが多くなり危険だとか、人の出入りが多くなるなどともっともらしい反対理由を前に出しますが、根底にあるのは障害者に対する差別や偏見だと感じます。
私はこれまで、一昨年の第二回定例会の代表質問、昨年の第一回定例会の一般質問で、障害者に対する差別や偏見をなくす取り組みについて知事に質問してきました。
知事は、障害者の差別をなくすため、都は、あらゆる機会をとらえて、障害のある方とない方との交流を広げ、障害に対する都民の理解を深めてきた、また、我が国には元来、人間の存在を慈しみ、とうとぶという独自の価値観があり、障害のある人もない人も、社会の一員として互いに尊重し支え合いながら、ともに生きる社会を実現するための土壌が、文化的にも伝統的にも、日本人の情念としてありますと答弁をしていますが、残念ながら都の取り組みが届いていない都民が多くいるのが現実ですし、また、知事がいう日本人の情念が備わっていない方も多いのが事実です。
障害者に対する差別や偏見が心の中に生まれてしまうのはどうしてなのか。また、このような感情を持っている人の考え方を変えるためには何が必要だと思うか、知事のお考えをお聞かせください。
答弁2
知事
障害者に対する差別や偏見についてでありますが、人間は、どんなハンディキャップを負っていようと、それぞれ異なる個性、能力を持って、はかり知れない可能性を持っておるものでありまして、それを相互に認め合えば、差別や偏見は生まれてこないと思います。そのためにも、積極的に障害者と話し合うということが私は大事じゃないかと思います。
繰り返して申しますけれども、あらゆる機会をとらえて、障害のある方と、ない方との交流を広げ、障害者に対する理解を広めていくことが大切であると思います。
都は、障害者を支える人々、さらに区市町村などと力を合わせながら、障害のある方々が地域の中で自立し、安心して暮らせる社会を実現していきたいと思っております。
質問1
健康ブームを象徴してなのか、ストレスの多い社会になっていることが原因なのか、ちまたには、クイックマッサージ、足裏、タイ式、英国式などあまたのマッサージ店が存在します。これらマッサージ店の多くは、国家資格であるあんまマッサージ指圧師の資格を有する従業員が全くおらず、素人が簡単な研修を受けただけでマッサージを行っているのが現実です。
そもそも、あんまマッサージ指圧を業とするためには、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律、いわゆる、あはき法に基づき、三年間の養成学校などを卒業し、国家資格に合格しなければなりません。
無資格者が行う法定外医業類似行為については、最高裁の判決により、健康に害を及ぼすおそれがない場合は禁止処罰の対象とはならないとされています。しかし、国は、人の健康に害を及ぼすおそれの基準は明確にしていません。
さらに、あはき法では、国家資格であるあんまマッサージ指圧師が行うマッサージの定義もなく、マッサージという名称の独占使用も規定していないために、このような無資格者のはんらんを招いています。また、資格者には法律で広告の規制がされていますが、法の対象外の無資格者は広告宣伝が自由にできることも、公平性を欠いているといわざるを得ません。
あんまマッサージ指圧師は、はり、きゅうと並んで、視覚障害者のつく職業として長い伝統があり、多くの視覚障害者の暮らしを支えてきた仕事であります。都内のあんまマッサージ指圧師約二万六千人のうち、約一八%の四千七百人が視覚障害者です。現在でも、文京盲学校の専攻科には、国家資格取得を目指して多くの視覚障害者が通っており、十八年は二十一名、十九年は二十九名というように、毎年、資格を取得して卒業生が巣立っています。
無資格者のはんらんが視覚障害者の職を奪うことにつながっていることを考えても、早急に対策が必要です。
厚生労働省はホームページ上で、無資格者によるあんまマッサージ指圧業等の防止のため、有資格者による施術を受けるようにと呼びかけていますが、法整備については重い腰を上げていません。
国家資格を有するあんまマッサージ指圧師が無資格者の増加により職域を侵されることがないように、無資格者の取り締まりの強化並びに医業類似行為の範囲の明確化などの法改正を国は早期に行う必要があります。
都は、国に対して早期に法整備するよう働きかけていく必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁1
福祉保健局長
あんまマッサージ指圧業の法整備についてであります。
都は、適切な指導取り締まりを行うことができるよう、国に対しまして、次の三点を明らかにすることを繰り返し求めてまいりました。
第一に、法定の医業類似行為と、それ以外の行為の判断基準、第二に、法定外の医業類似行為が人の健康に害を及ぼすおそれがある場合の判断基準、第三に、行政として、法定外医業類似行為を行う施設に対しとり得る対応とその根拠についてであります。
しかしながら、国は、いまだ何らの対応もしておらず、都としては、引き続き、国に要求することといたしております。
質問2
無資格マッサージを防止するために、多くの自治体がホームページで、有資格者からの施術を受けるように呼びかけを行っていますが、残念ながら、無資格マッサージが最も多いと考えられる東京都のホームページには、このようなページはありません。都は、都民が重大な健康被害に遭わないようにするためにも、法の内容を周知し、有資格者の施術を受けるよう、普及啓発を行うことが必要です。
また、ホテルや旅館などに派遣されるマッサージ師は有資格者とするように、業界団体に要請することも必要だと考えますが、東京都の取り組みについて、所見を伺います。
答弁2
福祉保健局長
無資格者によるあんまマッサージ指圧業の防止についてでありますが、都では、ホテル、旅館の業界団体に対しまして、あんま、マッサージ、指圧に従事する者を雇用する際には、免許証の提示を求めるなど、無資格者がこれらの行為を行うことのないよう、依頼をしております。
また、法令を所管する厚生労働省が、ホームページにより注意喚起を行っているところでありますが、都としてもこれを活用しながら、都民に対して、ホームページ上で周知をしてまいります。。
質問1
一部の派遣会社の法令違反に端を発して派遣労働が社会問題化し、派遣労働自体が格差の元凶であるかのような誇張した報道が多く見受けられるようになっていますが、私は、派遣労働を希望している方の雇用の機会を奪い、多様な働き方が制限されることのないようにしなくてはならないと思います。
実際に、都が昨年行った派遣労働に関する実態調査によると、派遣の仕事を選んだ理由として、約四三%の方が、自分の都合に合わせて働けることを理由に挙げています。しかし、その一方で、正社員として適当な仕事がなかったと回答した方は約三八%で、このように、正社員で働くことを望みながらも、正社員になれずにとりあえず派遣で働いているという方に対しては、その道を開くための支援制度の整備が必要だと考えます。
派遣先による直接雇用を促進する紹介予定派遣も増加していますが、正社員になることが確約されたものではありません。
都は、正社員として働くことを希望している派遣社員などが働きながら就職支援を受けられるような取り組みを進めるべきと考えますが、所見を伺います。
答弁1
産業労働局長
派遣社員などへの就職支援についてですが、都では、派遣社員などの方々が働きながら支援を受けられるよう、しごとセンターにおきまして、夜間や土曜日にも、キャリアカウンセリングや職業紹介を行っているほか、セミナーや合同就職面接会等を実施をしております。
また、能力開発への支援につきましては、職業能力開発センターにおきまして、夜間や土日にも職業訓練を実施しております。
これらの支援策は、就職情報誌や都のホームページ等によりまして、離転職者に広く行き渡るよう周知に努めております。
今後とも、こうした取り組みによりまして、派遣社員などとして働く方々を支援してまいります。
質問2
また、派遣労働をめぐっては、契約時に派遣元が十分に契約内容を明示していなかったり、労働者の側の知識不足により契約内容を理解していなかったりということにより、契約内容、契約の中途解除、契約更新などのトラブルが後を絶ちません。最近では、派遣社員も加入できる労働組合も組織されていますが、派遣労働者は勤務先が雇用主ではなく、雇用主である派遣元が職場でないために、労働組合への加入も難しく、どこにも相談できず、ひとり泣き寝入りしてしまっている労働者が多くいると考えられます。
そこで、派遣労働の契約上のトラブルや契約内容の可否について相談のできる窓口の周知を図るべきだと考えます。特に、契約の更新時期となる春や秋には、派遣労働一一〇番と銘打って、電話相談キャンペーンを張るなどして、労働者がひとりで思い悩むことのないような充実した相談体制をとるべきだと考えます。
派遣労働に関する相談体制について、都としてどのように取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
答弁2
産業労働局長
派遣労働に関する相談体制についてですが、都では、都内六カ所の労働相談情報センターにおきまして、さまざまな労働相談を受け付けております。
センターの相談窓口は、働いている方々が利用しやすいよう、夜間や土曜日にも開いておりまして、ホームページ等で広く周知を図っております。
また、毎年五月と十月に、新宿駅を初めとする街頭で労働相談を行っているほか、十一月を強化月間として派遣労働等の非正規労働に関する相談会などを集中的に実施をしております。
今後とも、こうした取り組みによりまして、相談体制の充実に努めてまいります。
質問1
地球温暖化の防止が喫緊の課題であることはいうまでもありません。東京都が今定例会に環境確保条例の改正を提案したことは、時宜にかなったことと思います。
CO2の削減をより進めるために、この改正案で示された取り組みに加えて、何点か提案させていただきます。
まちを歩くと自動販売機を目にしないことがないように、我が国は自動販売機大国であります。飲料用だけでも全国で二百六十八万台、都内では推計で二十二万台もの飲料用自動販売機が設置されているといいます。
海外では、世界最大の台数を設置しているアメリカを除き、自動販売機を町中で目にすることはほとんどありません。
自動販売機は、ここ数年の技術革新の結果、十五年間で一台当たりの消費電力は半減していることも承知していますが、住宅街の奥の奥まで数メートル間隔で何台も設置されていたり、二十四時間のコンビニの隣にまで設置され、深夜までこうこうと照明がついている状況を目の当たりにすると、エネルギーのむだ遣いだといわざるを得ません。
いきなり台数制限を課すことは、営業上の問題もあり、早急には難しいでしょう。しかし、日本全体が省エネに取り組んでいる中で、自販機だけはこれまでどおり何台も並んで、こうこうと明かりをともし続けるというわけにはいかないと思います。
そこで、自販機に対して何らかの対策が必要であると考えますが、所見を伺います。
答弁1
環境局長
自動販売機の省エネ対策についてでございますが、CO2削減の観点から、利便性のみを追い求めてきたライフスタイルの見直しが必要となっております。
このため、都におきましては、ビジネススタイルやライフスタイルの転換に向け、深夜にこうこうとともる広告用照明や百貨店等の深夜営業時間の短縮などとともに、自動販売機の消灯についても、省エネ実践行動に向けた協議を関係事業者と進めております。
質問2
次に、都庁内、都庁職員の取り組みについて伺います。
今回提案されている環境確保条例改正案では、CO2の大規模排出事業所に削減義務を課すという、国際的にもトップレベルの取り組みを求めています。このような民間に厳しい努力を求める以上は、東京都並びに都の職員の皆さんもより一層の努力を行うべきだと考えます。
これまでも、東京都は温暖化防止への取り組みを行ってきていることは承知していますが、都民の目に明らかに対策を講じているとわかり、民間の模範となるような取り組みがこれからは必要だと思います。
特に、都の職員全員が、都庁の中だけでなく日常的に行動していくことが、都民全体への啓発にもつながると感じます。
例えば、私は毎日マイはしを持ち歩き、割りばしを使わないようにしています。マイはしです。(実物を示す)
割りばしは間伐材を利用しているから環境破壊にはつながらないとの反論をする方もいますが、間伐材なら別の用途での使用促進を図るべきで、少なくとも、使い捨ての割りばしは物を大切にする心には反しますし、ごみとなり焼却されることによりCO2を排出するのですから、使用量を減らしていくことは必須だと考えます。
また、マイはしやマイバックを持つことで、環境に対する意識が大きく変わります。公共広告機構のCMでも、知っているを、しているへ、といっているように、一人一人が身近なところからこつこつと取り組んでいく必要があるのです。
都庁を初め都の施設には多くのテナントが入っています。こうした店舗に対して、飲食店では割りばしの使用を禁じ、塗りばしを使うようにする、物品を販売する店舗は、原則レジ袋は渡さないことなどを義務づけるべきだと考えます。
また、自動販売機に関しても、台数の整理を行い、少しでも電力使用量を削減するべきです。
加えて、都の職員全員でマイはし、マイバック運動を行えば、世論に対する大きなアピールになるはずです。
仮に、都の職員約十七万人のうち、毎日一割がランチで割りばしを使うとすると、一週間で八万五千ぜん、一年間の勤務日数を二百日とすると、三百四十万ぜんもの割りばしが一年間でごみとして焼却されていることになります。
都庁舎で働く一万二千人の職員で同様に考えても、一週間で六千ぜん、一年間で二十四万ぜんものごみが出されていることになります。
このような現実も踏まえ、都庁みずから、都職員全員で積極的な取り組みを進めていくべきだと考えますが、知事の所見を伺います。
世論に大きな影響力を持つ石原知事、ぜひ、きょう、マイはしを進呈いたしますので、知事もお使いいただきますようにお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
答弁2
知事
省エネ、節電の都庁みずからの取り組みについてでありますが、東京における大幅なCO2削減を実現するためには、都民、事業者などあらゆる主体に、その役割と責任に応じた積極的な取り組みを行うことが求められると思います。
都庁や都職員みずからの行動においても、都民、事業者の模範となるよう、省エネ、節電を率先垂範すべきであることはいうまでもありません。
まさに、そうした努力がちりも積もれば山となるわけでありまして、都は、平成十九年にカーボンマイナス都市づくり本部を設置し、大幅なCO2削減に向けた十年プロジェクトの取り組みを開始しましたが、その中で、都有施設における省エネ、節電、再生可能エネルギーの導入などの取り組みを全庁的に推進しております。
今後とも、積極的に都庁の率先行動を進めてまいりたいと思います。