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  3. 平成20年
  4. 第1回定例会 代表質問
  5. 中嶋義雄(公明党)

新銀行東京、都民負担最小限に
感染症危機管理体制の強化を

中嶋義雄
中嶋義雄(公明党)

知事の基本姿勢

質問1
 都議会公明党を代表して質問をいたします。
 知事は施政方針において、二十一世紀型の都市モデルを創造したい、こう述べて、より具体的には、低炭素型の都市の構築を掲げられました。一貫して環境問題を重視する知事の政治理念の表明として、我々は共感性を持って受けとめたところでございます。
 また一方で、施政方針では、三カ年で認知症高齢者グループホーム六千二百人分を確保、あるいは障害者雇用の一万人の創出、そして、待機児の多いゼロ歳児から二歳児を中心とした一万五千人分の保育サービスの提供などの具体策もあわせて提示されました。
 こうした理念と具体性をあわせ持った知事の施政方針を我々は評価させていただきたいと思います。
 ドイツ哲学の命題に、ザインとゾルレン、存在と当為という言葉がございます。土俗性と普遍性といいかえてもいいでしょう。普遍性にのみ偏れば、そのあり方は脆弱となり、逆に土俗性に偏れば、当然のことながら普遍性に欠け、誤りを起こしやすくなります。
 都政においても、この普遍性と土俗性、存在と当為のバランスが重要でございます。新銀行東京問題など、課題は山積しておりますが、当面の課題の克服と、都政の中長期の展望を開くため、さらに一段と力強い都政への取り組みを強く知事に要請したいと思います。
 いささか抽象的な問いかけではありますが、まず、知事の本年の都政にかける思いを伺いたいと思います。

答弁1
知事
 本年にかける思いについてでありますが、極めて厄介な時代に我々は差しかかっているのではないかという実感が強くいたします。知事就任以来、都の財政を立て直すために都議会と協力しながらいろいろ苦労を重ねてまいりました。
 財政再建は一応果たしましたが、その後、国による理不尽な税収の吸い上げが行われたり、アメリカ発の金融市場の混乱などによりまして、都税の収入の先行きも不透明になるなど、また非常に厄介な困難な状況がやってきたという気がいたします。
 しかし、都政を預かる者として、正当な歴史認識や文明観を踏まえて、都民、国民が真に必要とする施策を展開し、東京と日本の未来を切り開いていく決意にいささかも揺るぎはないつもりでございます。
 また、ご指摘のザイン、ゾルレンのバランスは、非常に貴重なご示唆として受けとめたいと思います。これはすべての物事の構成原理だと思っております。
 本年は、「十年後の東京」の実現に向けまして、力強く第一歩を踏み出し、次世代に胸を張って継承できる東京へとさらなる成熟を遂げさせるべく、東京と日本への愛着を持って都政運営に全力を傾けていくつもりでございます。
 本当に厄介な時代だという気がつくづくいたします。環境問題に限っていいましても、特にヨーロッパの専門家の意見を聞きますと、向こう五年間でチッピングポイント、臨界点に差しかかるという予測でありまして、これを覆す論もありませんし、現に起こっている出来事を見ると、その実感が非常に強い気がいたします。
 このまま進みますと、五年以内には世界規模の大きな飢饉が到来するのは必至でありまして、こういった時代に都議会の皆様と徹底して議論し、知恵を出し合いながら、東京から日本を変える挑戦をさらに進めていきたいと思っております。今後の議会のご協力をお願いいたします。

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新銀行東京

質問1
 新銀行東京について質問をいたします。
 この問題に対処するに当たっては、まず原理原則を明確にすることが何よりも重要であります。そして、それは都民の負担を結果的に最小限に抑えることであり、間違っても一時しのぎや先延ばし、あるいは責任転嫁などに終始していては、断じてならないのであります。
 都議会公明党は、新銀行東京への追加出資の提案がなされた当日、直ちに調査特別チームを編成し、ここに至るまでの経緯と、それに伴う経営責任、そして提示された再建計画の妥当性、あるいは実現性、そしてそれに密接に関連するものとして、追加出資の適否について調査を開始し、本会議、予算特別委員会の議論に臨む方針を明らかにしたところであります。
 この新銀行東京は、設立当初の計画によると、平成二十年三月期の決算で黒字化する予定でありましたが、昨年六月にはそれを平成二十二年三月の決算にまで引き延ばしました。そして、その直後、昨年九月の中間決算期では累積損失が九百三十六億円に上り、資本金のおよそ八割が毀損するという事態を招いてしまったのであります。
 知事は施政方針表明で、予想をはるかに超える多額の不良債権が発生した理由として、金融環境の急激な変化とリスク認識の甘い旧経営陣の事業運営にあったと述べております。仮に追加出資を行うとすると、多額の都民の血税を再度投入することになります。したがって、このような事態を招いた原因について、さらに詳細かつ具体的な分析を行い、都民に公表すべきであります。知事の見解を伺いたいと思います。

答弁1
知事
 新銀行東京の経営不振の原因分析と都民への説明でありますが、新銀行東京は、不良債権を処理し、体力を回復した大手銀行などが、貸し渋り、貸しはがしといったそれまでの融資姿勢を一変させまして、中小企業金融に積極的に参入してきたことによりまして、開業直後から非常に厳しい競争環境にさらされました。
 このような経営環境の大幅な変化にもかかわらず、当時の経営陣が融資残高拡大路線に固執しまして、スコアリングモデルに過度に依存した融資を実施したほか、営業担当に融資実績に応じた成果手当を支給するなどの一方で、デフォルトを不問とするなど、質より量を優先した業務運営を行い、多額の不良債権の発生を招いたものと考えております。
 現在、新銀行東京において、経営不振を招いた原因究明のための詳細な調査が進められておりまして、当然、その結果は発表してまいります。


質問2
 また、知事は、新銀行東京の累積赤字について、これも旧経営陣の責任であると断言されておりますが、旧経営陣の責任が大であるにしても、新銀行の設立を提唱し、経営者の人事をトップダウンで決定した知事の責任も問われなくてはなりません。あわせて知事の見解を伺いたいと思います。

答弁2
知事
 新銀行東京の発案者としての責任についてでありますが、かつて経済有事ともいうべき事態に直面し、東京と日本の経済を支え、まさにこの国の宝ともいうべき中小企業が、金融機能の不全による苦境に陥っておりました。こうした事態から中小企業を救うために、新銀行東京を設立いたしました。
 開業に当たっては、産業界に長く身を置き、経営手腕を発揮した人材に、決してトップダウンではなしに、あくまでも取締役会の手続を踏んで、経営のかじ取りをお任せいたしました。これは、既存の金融機関に決定的に欠けた事業者の目線で中小企業を見詰めて、新銀行東京が、真に中小企業の役に立つように業務運営がなされることを期待したからでございます。
 しかしながら、残念ながら、予想をはるかに超える多額の不良債権が発生し、経営は不振をきわめまして、資本金の約八割を失うまでになりました。追加出資が必要な事態に立ち至っております。
 この状況については、都政を預かる知事としてもざんきにたえません。また、発案者として、当然、もろもろの責任を感じておりまして、ゆえにも、渾身の力を振り絞って再建に当たらねばと決意しております。
 追加出資については、さまざまなご意見があることは当然承知しております。しかし、既存の融資先である一万三千の中小企業が、安心して事業に今後も邁進できるように、また、そこに働く都民の生活を守ることにも強く思いをいたさなければならないと思います。
 都民の方々の負担も考え合わせて、追加出資は苦渋の選択でありますが、これしかないものと思っております。ぜひともご理解をいただきたいと思います。


質問3
 同様に、再建のために投入された現経営陣も、まずは当事者として、新銀行東京をここまで追い込んだ責任は一体どこにあるのか、説明責任を果たすべきであります。また、発足当初の経営が乱脈であったというのであれば、その詳細を調べ上げ、都民に提示すべきであります。都の見解を伺います。

答弁3
産業労働局長
 経営悪化の原因究明についてでございますが、新銀行東京の経営がどうしてここまで悪化したか、速やかにその原因が究明されなければならないと考えております。
 新銀行東京では、旧経営陣の経営実態や銀行のチェック体制など、経営悪化の原因とその責任につきまして、現経営陣が弁護士とともに徹底した内部調査を進めております。
 新銀行東京からは、デフォルトを容認するかのような業務執行や対策のおくれ、隠ぺい体質など、旧経営陣の非常識な経営実態があったと聞いております。このような経営実態からすれば、設立当初想定をされましたリスク管理体制が機能したとは考えられません。
 現在、新銀行東京では、調査の最終結果の取りまとめを行っております。ご指摘のとおり、現経営陣が徹底して責任の所在を究明するものと考えております。


質問4
 我々都議会は、新銀行東京の設立の際、一千億円の出資については、四項目の付帯決議を付し、自民、民主、公明、生活者ネットなどの賛成多数で可決をいたしました。その後、都議会公明党は、昨年の予算特別委員会において、平成十八年九月の累積損失が四百五十六億円に上ったことを受け、四項目の付帯決議に含まれていた経営の健全性について言及し、今後はスコアリングモデルで融資を行うのではなく、保証協会などのノウハウを活用し、目きき機能を強化した融資を行うべきであると主張いたしました。また、監査機能を強化するためには、都は単なる株主としての責任を果たすだけではなく、支配株主として都の幹部職員を派遣し、内部からチェックするべきであると訴えたところであります。
 こうした提案に対して、都は具体的な対応策を講じるべきでありましたが、この一年間、新銀行東京に対して責任を持って指導監督を行ってきたのかどうか、答弁を求めたいと思います。

答弁4
産業労働局長
 都におけるこの一年間の経営監視についてでありますが、ご提案を踏まえまして、都では、平成十九年四月以降、新銀行東京に対して、目きき能力の向上など審査体制の充実強化を働きかけるとともに、職員の派遣を行うなど、積極的な経営の監視に努めてまいりました。
 新銀行東京では、新経営陣のもと、スコアリングモデルのみに頼ることのない審査体制へと抜本的に変えていくため、まず顧客の実態を把握することに注力することとし、顧客の債務者区分の全面的な見直しを実施しますとともに、延滞を防ぐための期中管理の徹底を図ったところであります。
 目きき能力の向上に当たりましては、信用保証協会の審査ノウハウの吸収が効果的であることから、今年度から制度融資の取り扱いを大幅にふやしたところであります。
 次に、都におきましては、平成十九年三月期決算時に表面化をいたしました深刻な経営悪化を受けまして、執行体制の強化を図るため、同年六月に、社外取締役に元副知事を充てるとともに、執行役以下四名を派遣したところでございます。
 これによりまして、執行体制の強化が図られるとともに、銀行内部からの監視機能が強化され、経営実態がつまびらかになったところであります。
 引き続き、新銀行東京の再建に向けまして、職員の派遣などを行ってまいります。また、金融庁とも十分に連携を図りつつ、銀行から必要な情報を入手し、積極的な経営の監視に努めてまいります。


質問5
 一般に、経営状況を悪化させた場合、民事再生手続や破産手続、さらには清算による譲渡など、幾つかの選択肢があります。現に、我が党内にも破綻処理すべきであると強い意見が存在します。また、ある金融財政担当大臣経験者も、やめるなら今やめた方がいいとまで発言しておりました。
 複数の選択肢の中で、最も批判が集中しやすい追加出資による再建策を提示した理由は何か、これも明らかにすべきであります。見解を求めます。

答弁5
産業労働局長
 追加出資を選択した理由についてでありますが、新銀行東京は、民間金融機関等との連携によります再生や出資先の確保などを目指しまして、多くの金融機関等と交渉を進めてまいりましたが、現段階では調うまでに至っておりません。その結果、とり得る選択肢は三つに絞られております。
 第一は、今回提案を申し上げております追加出資による経営再建であります。第二は、事業清算でありますが、これは既存融資先への継続支援が難しくなるとともに、追加出資に比べ多額の資金が必要となります。第三は、預金保険法に基づく破綻処理でありますが、これは預金者や既存融資先に甚大な影響を与えるおそれがあります。
 このため、追加出資以外の手法は、既存融資先一万三千社を初めとし、その取引先、従業員、家族、また預金者などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないとともに、都民に膨大なコスト負担をお願いすることとなります。
 このような都民への影響の大きさにかんがみまして、今回、追加出資による再建を選択したものであります。ぜひともご理解をいただきたいと思います。


質問6
 繰り返しになりますが、新銀行東京は昨年六月に再建計画を発表し、我々議会に対して、平成二十一年度には黒字基調に転換すると説明を続けておりました。ところが、そのわずか八カ月後、追加出資による再建計画の提案という事態になりました。まさに朝令暮改、これでは再建計画を信頼しろといわれても、簡単に受け入れるわけにはいきません。
 改めて確認をいたします。昨年六月の再建計画が行き詰まった原因は何か。また、以前の再建計画と今回の再建計画では内容が全く異なっていなくてはなりません。両者の根本的な違いは何か、これもあわせて明らかにすべきであります。所見を伺います。

答弁6
産業労働局長
 新中期経営計画と再建計画との違いについてでありますが、昨年六月の新中期経営計画は、これは旧経営陣が策定した計画でございますが、これが行き詰まった最大の原因は、計画の前提となる指標が実態とかけ離れていたことにあると考えております。
 その最たるものは、計画を大幅に上回るデフォルトの発生であります。これによりまして、不良債権処理額が増加をいたしまして、今年度の累積損失は、計画を大きく上回る一千億円程度となる見込みとなっております。
 こうした実態を踏まえまして、今回、新たな再建計画では、実績を踏まえたデフォルト経費を十分に計上した上で、収益性が確保される事業への重点化を図ることとしたことが大きな特徴でございます。
 また、スコアリングモデルに依存した審査方法を改めまして、顧客実態に基づいた審査を徹底するとともに、他の金融機関等のノウハウを活用することで、審査、目きき力の向上を図っていくこととしております。
 加えて、新中期経営計画に比べまして、さらなる経費削減に取り組むことで、中小企業融資での収支均衡を実現するものでございます。


質問7
 いずれにせよ、現状のままでは追加出資を安易に認めるわけにはまいりません。認めるための最低限の条件は、今回の再建計画の信頼性であり、再建までの手順とスキーム、そして中長期の展望を都民が納得できる形で提示することであります。見解を伺いたいと思います。

答弁7
産業労働局長
 新銀行東京の再建への手順及び中長期の展望についてでございますが、新銀行東京の再建計画は、これまで三カ年間で蓄積をいたしました営業ノウハウや反省点を踏まえまして、抜本的な執行体制の見直しのもと、事業の重点化を柱に策定されたものでございます。
 執行体制につきましては、店舗の集約や人員体制の見直しなど、経営資源の選択と集中を徹底するとともに、事業面では、これまでの実績を踏まえまして、事業継続意欲が高く、新銀行東京の継続支援を希望する事業者に対する融資を行うなど、着実に収益が見込める事業への重点化を図ることとしております。
 これらによりまして、平成二十一年度の赤字額は十九億円、平成二十二年度に収支均衡、平成二十三年度に単年度黒字化を達成すると計画をしております。
 この再建計画によりまして、中小企業支援の継続という都の施策に沿った取り組みが確実に実施されるものと考えております。
 また、計画では、中小企業支援を継続的に実施していく上からも、より安定した経営基盤を確立する必要があることから、将来的には、最新の金融ノウハウを有する銀行等との連携も視野に入れまして、事業内容の充実を図っていくこととしております。
 都といたしましては、都や関連団体との連携も図ることによりまして、不退転の決意で新銀行東京を再建してまいります。

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都財政

質問1
 続いて、都財政について質問いたします。知事が就任した平成十一年、都財政は瀕死の状態でありました。そうした状況の中、知事は、日本の首都である東京都が財政再建団体へ転落することは断じて避けなくてはならないと、議会と二人三脚で内部努力や施策の見直しなど、厳しい財政再建を進めてまいりました。
 公明党もそれを全面的にバックアップし、行財政改革に精力的に取り組んだ結果、平成十五年度末には一兆円規模に上っていた隠れ借金も、平成十九年度中にほぼ解消いたしました。また、平成十年度以降、毎年赤字であった実質収支についても、平成十七年度決算で五百二十九億円の黒字、平成十八年度決算で千三百七十億円の黒字に転換をいたしました。
 今後とも、都民の目線に立った施策を充実させるとともに、都財政の健全な運営を心がけていくべきであります。
 今回編成された二十年度予算の特徴の一つは、PDCAサイクルによる事務事業評価を予算に反映させた点であります。この事務事業評価においては、我が党が提案してきた複式簿記・発生主義会計による新たな会計制度が活用されており、評価いたします。
 さらに、二十年度予算では、「十年後の東京」実行プログラムの対象事業はすべて予算化され、我が党が主張した子育て支援や環境対策、中小企業への支援などに的確に予算が配分されております。特に福祉と保健の分野は八千百九十九億円、一般歳出に占める割合も一八・六%とこれまでで最高となっております。
 この四月から始まる後期高齢者医療制度についても、広域連合の負担を軽くするために、市町村の法定検診などに約十七億円の助成措置を行うことにしております。
 一方、十九年度補正予算では、今後の法人事業税の減収に備えて、新たに基金を創設するなど、都民生活を守り、財政の長期にわたる健全性を確保するという観点からも、十分に評価できる予算案であります。
 しかしながら、都政を取り巻く経済財政状況は、国による法人二税の吸い上げ、原油高、またサブプライムローン問題に端を発した世界的な株安、あるいは建築基準法改正による住宅着工件数の減少など、決して楽観できるものではありません。
 今後とも、知事を先頭に荒波を乗り切る覚悟と決意で財政運営に当たっていくべきでありますが、まず知事の所見を伺いたいと思います。

答弁1
知事
 今後の財政運営についてでありますが、都財政の役割は、都が担う、東京をさらなる成熟を遂げる都市としていく取り組みや、東京で暮らし働く人々の生活を守る取り組みを、財政面からしっかりと支えていくことにございます。
 今回の予算では、こうした都財政の役割を果たすため、「十年後の東京」への実行プログラムに掲げた施策を初め、都民生活を守る諸施策を積極的に展開するとともに、基金の充実を図るなど、今後生じる税収減や増大する財政需要への中長期的な視点に立った備えを講じております。
 同時に、予算編成過程において、新たな公会計制度を活用した実務事業評価を実施いたしまして、事業の実施結果を踏まえて、施策をより効率的、効果的なものへと継続的に改善する仕組みづくりを進めました。
 都税収入の先行きが不透明さを増し、不合理な税制の見直しがなされるなど、財政環境が一層厳しさを増す中ではありますが、いかなる状況にあっても都民の生活を守り抜く決意に立って、今後とも都財政の運営に当たっていくつもりでございます。


質問2
 都は、これまでの間、一般歳出をほぼ横ばいに抑え、安定かつ堅実な財政運営を続けてまいりました。都債残高を普通会計ベースで十九年度までに一兆円近く減らし、大規模施設等の改築・改修に関する実施方針を新たに策定するなど、基金も大きく増額をいたしました。
 一部には、基金は既に十分、ため込みし過ぎだと批判をする政党、あるいは個人の議員がおります。地方交付税の不交付団体であり、加えて景気動向に左右されやすい税収構造である都財政は極めて不安定であり、基金の活用は死活的に重要であります。
 そうした事実を理解できず、安易な批判を繰り返す勢力あるいは議員は、財政に無知であるだけでなく、余りにも無責任であるといわざるを得ません。どの会派かはおのずから明らかであります。よく聞いてもらいたい。
 過去、数千億円に上る税収の異常な増減によって、都の事業が致命的な影響を受けたという事実を忘れてはなりません。改めて財政運営における基金の活用の重要性について見解を伺いたいと思います。

答弁2
財務局長
 財政運営における基金の活用についてのご質問にお答えをいたします。
 お話のように、都の税収構造は極めて景気動向に左右されやすい特質を持っております。そうした中にあって、都財政には、「十年後の東京」の実現に向け、中長期的視点から、都民生活の充実を目指す積極的な施策展開を支えていくこと、同時に、今後、経済変動がもたらす大幅な税収減などにより財源不足が生じた場合にも、必要な行政サービスの水準を確保すること、この二つの役割が求められております。
 しかも、都は、お話にもありましたとおり、地方交付税の不交付団体であります。したがいまして、都財政に求められるこの二つの役割を、だれかに頼るのではなく、みずからの力と責任において果たしていくほかないという立場にございます。
 こうした考え方に立ちまして、今回の予算では、今後おおむね十年間に見込まれる大規模施設の改築等に必要な経費八千億円に対し、社会資本等整備基金に二千五百億円を積み立てることとしたほか、各種基金を可能な限り充実させましたが、都の特徴的な財政構造や今後の膨大な財政需要を考慮すれば、現状の基金残高はまだまだ十分とはいえないと考えております。
 したがいまして、都民が東京で安心して活力にあふれた暮らしを続けていけるよう、今後ともさまざまに工夫を重ねながら、基金の一層の充実を図り、財政状況に応じてそれらを適切に活用してまいります。

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道路整備

質問1
 次に、道路特定財源について質問いたします。
 昨年末、新宿から板橋の高松まで中央環状線の一部が開通いたしました。私は世田谷ですので、毎日、首都高四号線を利用しますが、昨年末までは連日、永福町から霞が関まで渋滞表示が真っ赤でありました。
 それが、年が明けて今日まで、二回か三回、事故あるいは交通規制でオレンジの表示が出たものの、本格的な渋滞にはまだ一度も遭遇しておりません。これほど劇的に道路整備の効果があらわれた例を、少なくとも私は知りません。東京の宿命と思われていた渋滞問題も解決が可能であることを示す、まさに実例であります。
 また、私の地元、世田谷区の例でありますが、小田急線の連続立体化が実現する以前、成城学園駅西側の踏切は、朝のラッシュ時、一時間のうち五十七分も閉じたままでありました。今から思えば、異常きわまりない状況が日々続いていたわけであります。
 現在、都内には約千百六十カ所の踏切があり、ピーク時で一時間当たり四十分以上閉じられた、いわゆるあかずの踏切は約二百八十カ所に上ります。これをいつまでも放置すべきではありません。道路特定財源の存続について、私たちは全区市町村からも強い要請を受け、また、石原都知事並びに全国知事会も、その存続の必要性を強調しております。
 そこでまず、歳入関連法案が可決されなかった場合の東京の道路整備への影響について具体的に明示すべきであります。都の見解を伺いたいと思います。

答弁1
建設局長
 歳入関連法案が可決されない場合の東京の道路整備への影響でありますが、歳入関連法案が万一可決されず、暫定税率が維持できなかった場合、平成十八年度の決算ベースで試算すると、都及び区市町村合わせて、約二千五百億円の道路特定財源のうち、約千二百億円が減額となります。
 さらに、国の地方道路整備臨時交付金制度は、暫定税率同様、平成二十年三月が期限であることから、その影響額を加えると、合計約千六百億円もの減額となり、道路特定財源はおおむね三分の一となります。
 そのため、都では、環状第六号線、調布保谷線の整備やJR中央線の立体化など、現在施工中の事業が大幅におくれ、また、新規の道路や歩道の整備、連続立体交差事業などに着手することが困難となります。したがいまして、東京の渋滞解消や環境改善、防災性の向上など、都民の安全で快適な生活の実現に極めて大きな影響があると考えております。


質問2
 道路特定財源の確保に向けた知事の決意の表明をお願いしたいと思います。

答弁2
知事
 道路特定財源の確保についてでありますが、首都東京が持てる力を十分に発揮するには、三環状道路を初め、幹線道路のネットワークや連続立体交差などの早期の整備が必要であります。また、成熟した都市東京の実現のために、緑豊かな歩道の整備や無電柱化など、安全で快適な道路空間の形成も重要であります。
 これらを実現し、我が国の国土形成の根幹をなす道路整備を着実に進めていくためには、安定した財源の確保が不可欠であります。
 このため、関連法案を年度内に可決し、道路特定財源諸税の暫定税率を維持した上で、道路特定財源を本来の目的である道路整備や関係施策に集中的に投入するよう、強く訴えていきたいと思っております。


質問3
 道路整備に関連して、道路の環境対策について質問いたします。
 「十年後の東京」実行プログラムでは、改めて緑化に焦点を当てました。大賛成であります。特に道路緑化については、かつて環七、環八沿道で大変な効果を上げた実例があり、再び都市緑化の重要なポイントとして力を注ぐべきであります。
 都内には、いまだ不十分であるとはいえ、大規模な公園が存在いたします。そうした緑地、公園を街路樹の緑が結び、目にも鮮やかな緑のネットワークを都内に形成し、東京の景観を一変させることができたならば、環境先進都市東京の面目は大いに高まるといえます。
 従来のただ植えればよいという道路緑化ではなく、道路とその周辺の空間は貴重で広大な緑化の対象空間であると認識を転換し、百年後の子孫に誇ることのできる街路樹等の整備を行うべきであります。都の見解を伺います。

答弁3
建設局長
 街路樹の整備についてでありますが、街路樹はヒートアイランド現象の緩和やCO2の削減、都市景観の向上などに寄与しております。
 このような機能を十分に発揮させるには、豊かな道路の緑を連続的に創出することが重要であります。このため、街路樹の数をふやすとともに、個々の樹木を豊かで伸び伸びとした本来の姿に育てていく必要があります。
 今後、既存の街路樹の間への植栽や新設道路への植栽を積極的に進め、平成二十二年度までの三年間で七十万本にふやしてまいります。また、土壌の改良や無電柱化など、生育環境の改善を進めるとともに、樹木が本来の姿に育つよう計画的に剪定を行ってまいります。
 これらの取り組みにより、国や区市町村とも連携して、緑豊かな道路空間を創出し、緑の拠点をつなぐグリーンロードネットワークを形成してまいります。


質問4
 また、道路はビルなどと同様、太陽熱などを吸収し、ヒートアイランド現象の原因ともなります。したがって、道路緑化と並行して保水性舗装や遮熱性舗装などに転換し、いわばエコ道路とでもいうべき路線を拡大すべきであります。とりわけ都心部においては早期の普及を図るべきでありますが、所見を伺いたいと思います。

答弁4
建設局長
 環境に配慮した道路の整備についてでありますが、ヒートアイランド対策は大都市特有の課題であり、都は、その緩和策の一つとして、路面温度の上昇を抑制する保水性舗装をこれまで順次実施してまいりました。
 一方、保水性舗装は、騒音低減効果に一定の限界があるため、新たな技術として低騒音機能を損なわずに路面温度の上昇を抑制する遮熱性舗装を平成十九年度から試験的に実施し、効果や耐久性などを検証しております。
 平成二十年度は、都心部を中心に、保水性舗装を江戸通りなど三カ所で実施し、遮熱性舗装は日比谷通り、新大橋通りなど六カ所に規模を拡大して実施いたします。
 今後とも、環境対策型舗装や道路緑化に取り組み、環境に配慮した道路整備を積極的に推進してまいります。

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オリンピック・パラリンピック招致

質問1
 次に、二○一六年オリンピック・パラリンピック東京招致に向けたオリンピックムーブメントの推進について伺います。
 私は、オリンピック招致議連の一員として、二月十五日、そして十八、十九日と京都府、滋賀県、山口県、広島県、福岡県を回ってまいりました。もちろん招致活動への協力の依頼のためであります。印象的だったのは、広島でも福岡でも、北京オリンピックの事前キャンプ地として、世界各国のチームを招くことに極めて意欲的であったことであります。
 そこで、都内に目を転じれば、各区市町村には数多くのすぐれたスポーツ施設が存在いたします。交通、環境、治安等、どれをとっても一級のキャンプ地となります。北京オリンピックを初め、今後、アジアで開かれる国際大会の事前キャンプを都内に誘致できれば、オリンピックムーブメントが大きく盛り上がることが期待できます。都の取り組みを求めたいと思います。

答弁1
東京オリンピック招致本部長
 オリンピックムーブメントを通した国際交流についてであります。
 オリンピックムーブメントは、もともと青少年健全育成にフェアプレー精神などを旨とするスポーツを取り入れようとして提唱され、それが国際交流、平和を求める運動へと発展したものでありまして、オリンピックや国際スポーツ大会を通じた国際交流は、次代を担う子どもたちに大きな財産を残してくれます。
 お話の都内スポーツ施設の事前キャンプへの活用は、一流選手との触れ合いを通じて子どもたちのスポーツに対する関心を高め、また、さまざまな国々の人たちとの友情、連帯感をはぐくみ、国際理解と日本文化の発展に大いに寄与するものと考えます。
 さらには、海外の選手、スポーツ関係者、マスコミ等に東京の魅力をアピールするよい機会にもなります。
 このため、現在、JOCに対し、都のスポーツ施設等を国際スポーツ大会の開催会場、事前キャンプ候補地として登録するための手続を行っており、また、全国レベルにおいても進められております。
 今後、都内区市町村、全国自治体とも連携して、子どもたちの国際交流と東京、日本の魅力をアピールする機会を拡大してまいります。


質問2
 また、申請ファイル提出後の課題はIOCによる世論調査であります。都が行った世論調査以上の数値を出すことが、招致実現のためには不可欠の要件であります。
 我々議会は全国を回りましたが、同時に、都内各区市町村における機運の盛り上げが、より以上に重要であります。そのためにも、新年度予算に計上された区市町村オリンピックムーブメント推進事業を多角的で効果的に展開しなくてはなりません。都の所見を伺います。

答弁2
東京オリンピック招致本部長
 区市町村の招致機運の盛り上げについてであります。
 招致機運の盛り上げには、オリンピック・パラリンピックの開催意義や効果、目標などを理解してもらうことが大事でございます。
 また、オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツの持つすばらしさを多くの人々に体感してもらうことも必要でございます。
 そのため、住民に身近な区市町村と連携して、スポーツのすばらしさを訴えるオリンピックムーブメントを推進することが重要と考え、二十年度から、区市町村が行う事業に対し、都が支援する仕組みを創設いたします。
 この区市町村オリンピックムーブメント推進事業は、例えば地元体育施設における海外選手やスポーツ関係者との交流、オリンピズムの普及と地域活性化イベントとを結びつけた事業展開など、区市町村が地域の実情や特徴を踏まえ、地元住民、企業、スポーツ団体などが参加してオリンピックムーブメント事業を実施するものでございます。
 これら事業を通じて、都内全域におけるオリンピズムの普及啓発を促進してまいります。

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地球温暖化問題

質問1
 次に、地球温暖化問題について質問いたします。
 特にアジアの環境問題に対しては、東京の役割、貢献が極めて重要であります。
 今月八日、東京都と国際協力銀行との間に、気候変動対策に関する相互協定についての覚書が交わされました。これは昨年、第一回定例会において、我が党が代表質問でアジアの環境問題を取り上げ、それに対して知事が都と国際協力銀行との連携について検討していくと答弁した結果、まとめられたものであります。
 今後は、国際協力銀行の持つ融資能力と国際支援のノウハウを都内の中小企業のすぐれた環境技術や東京都の環境政策と連動させることが可能になり、アジアの環境問題への貢献に大きく寄与することができます。
 知事は、覚書の締結に当たって、都の技術を無償で提供し、同時に、資金力のない途上国への援助を国際協力銀行に依頼すると述べております。対象国はアジア全域に広がりますが、当面、環境問題が深刻でその影響が直接日本に及ぶ中国と、経済成長が著しいインドへのアプローチが重要であります。
 この二カ国を初め、アジアにおける省エネ、再生可能エネルギーの普及などに国際協力銀行との連携を積極的に活用すべきであります。都の見解を伺います。

答弁1
環境局長
 国際協力銀行と連携したアジアの環境問題への貢献についてでございますが、アジア諸国におきましては、人口増や経済成長によりエネルギー使用量が大幅に増加している国もあり、地球全体で温暖化ガスを削減していく上で、アジアでの取り組みが重要となっております。
 こうした中、昨年十一月に開催されたアジア大都市ネットワーク21マニラ総会の共同宣言におきまして、アジアの都市が協力して温暖化ガス排出削減に取り組んでいくことが合意されました。
 東京には、省エネや再生可能エネルギーに関してすぐれた技術を有する企業があり、これをアジア諸都市の実情に応じて活用していくことが可能でございます。
 一方、国際協力銀行は、開発途上国での環境プロジェクトに豊富な経験を持ち、アジア諸都市が環境改善事業に取り組む場合の金融面での支援についてもノウハウを有しております。
 こうした技術やノウハウの活用により、アジア諸都市の環境改善に寄与できるよう、都といたしましても、アジア大都市ネットワーク21などを活用して積極的に取り組んでまいります。


質問2
 また、国際協力銀行との協力は融資のみにとどまりません。二十七カ所もある駐在員事務所や同行の日常的な海外での活動の中で、東京の環境政策の先進性をアピールしてもらうことも極めて効果的であります。こうした方面での連携も強化すべきでありますが、所見を求めたいと思います。

答弁2
環境局長
 国際協力銀行と連携した都施策のアピールなどについてでございますが、ご指摘のとおり、連携は金融面のみにとどまらないものと考えており、覚書締結直後に開催されたアジア・エネルギー環境技術ワークショップにおきましても、共催機関として参加いただきました。今後は、国際協力銀行の海外での事業活動の中でも、都の環境政策を紹介していただく予定でございます。
 また、本年五月にドイツのケルンで開催される世界最大級の排出権ビジネスに関する見本市であるカーボンエキスポに国際協力銀行が出展を予定しておりますが、こうした場で都の先駆的な施策を紹介できるよう協議してまいります。さらに、こうした機会を活用してすぐれた環境技術を有する東京の企業の紹介や商談の場の提供などにつきましても検討を進めてまいります。
 このように、このたびの連携は、東京の環境先進性を広く海外にアピールし、ひいてはオリンピック招致にも資するものと考えております。


質問3
 次に、再生可能エネルギーの拡大について質問をいたします。
 知事は、人類の存亡をかけた取り組みとして、温暖化ガスの排出量を二○二○年までに二○○○年対比二五%削減するという意欲的な目標を掲げました。東京都は、これまで水再生センターにおけるメタンガス利用や太陽エネルギー利用拡大会議を開催して、太陽光発電や太陽熱利用を拡大してまいりました。
 しかし、再生可能エネルギーの利用もまだ緒についたばかりであり、低炭素都市を目指すには不十分といわざるを得ません。
 そこで、次に重要なのは、未利用エネルギーの発掘とその活用であります。例えば、地中熱や建築廃材から抽出できるエタノール燃料も活用可能であるといわれております。
 また、ある総合雑誌の見出しに、東京にはてんぷら油という油田があるとありました。なかなかの着眼でありまして、これら未利用エネルギーを集約して活用することによって、環境への一定の効果が期待できます。未利用エネルギーの活用について都の所見を伺いたいと思います。

答弁3
環境局長
 都内での未利用エネルギーの活用についてでございますが、化石燃料の使用によるCO2の排出を抑制するためには、太陽光や太陽熱などの再生可能エネルギーの導入とともに、都市活動に伴って発生する廃棄物や排熱などの未利用エネルギーを活用していくことが必要でございます。
 これまでも、都は、廃棄物最終処分場でのメタンガス発電や、スーパーエコタウンでの食品廃棄物を活用したバイオマス発電などを進めてまいりました。
 今後、木材チップや下水汚泥などのバイオマス資源の利用を一層推進するとともに、地域においてエネルギーの有効利用を推進する新たな制度を構築することにより、オフィスビル等からの排熱や温度変化の少ない地中熱の利用を進めるなど、都内の未利用エネルギーの積極的な活用を図ってまいります。


質問4
 次に、中小企業、家庭における温暖化対策について伺います。
 CO2の削減に当たっては、大企業、中小企業、家庭のそれぞれが、それぞれの立場で取り組むことが重要であります。都は現在、都内においてCO2を大量に排出している大規模事業所等に対して、総量削減義務を課す制度の検討を行っております。
 しかし、CO2は、日常の生活のあらゆる側面から排出され、東京に住み、働き、活動するすべての主体がそうした認識を持ち、日々の行動の中で省エネを実践することが重要であります。
 我が党は、こうした認識に立ち、昨年十二月の第四回定例会において温暖化防止の啓発、広報活動などを行う地球温暖化防止活動推進センターの設置を訴え、本年四月には開設される運びとなりました。
 このセンターにおいては、ただ単に啓発活動を行うだけではなく、インターネット環境家計簿を提供するなど、工夫を凝らした取り組みを行うべきであります。今後のセンターの運営について都の見解を求めたいと思います。

答弁4
環境局長
 東京都地球温暖化防止活動推進センターの事業展開についてでございますが、CO2の排出量を確実に削減していくためには、これまで取り組みが十分ではなかった家庭や中小企業における対策を強化していくことが必要であります。
 このため、新たに設置するセンターにおきましては、お話のインターネット環境家計簿の提供を行うとともに、省エネ・節電に関する相談窓口の開設、企業や地域で省エネ対策を進める人材の育成など、工夫を凝らした取り組みを進めてまいります。
 また、中小企業を対象といたしまして、来年度、年間五百件の省エネ診断を、事業者の負担を求めることなく実施するなど、省エネの実践的なノウハウの提供にも力を尽くしてまいります。


質問5
 また、都は、これまで家庭からのCO2削減に向けて、白熱球一掃作戦を展開してまいりました。今後も、さらに日常生活の中で省エネ努力を浸透させていく必要があります。
 そのためには、活動推進センターのみではなく、区市町村やNPO、消費者団体などと幅広く連携すべきであります。具体的には、省エネ診断機器などを貸し出して、都民やNPO、自治体独自に省エネの実証実験を行い、省エネ効果、とりわけ省エネによる家計などへの経済効果を実証し、地域における節電、省エネ運動を盛り上げていく必要があります。見解を伺いたいと思います。

答弁5
環境局長
 区市町村等と連携した省エネ・節電活動についてでございますが、都内の区市町村は、今年度から、地域住民の意識啓発等を目的とするみどり東京・温暖化防止プロジェクトを開始しております。また、NPOなども省エネ家電の普及や自転車利用の促進など、CO2削減に向け多様な活動を行っております。
 今後、これらの団体等の活動が一層活発で効果的なものとなるよう、地球温暖化防止活動推進センターにおきまして、すぐれた省エネ・節電活動の紹介や、経験交流の場の提供を行ってまいります。また、家庭での節電効果を実感できる省エネナビなど、お話しの機器の貸し出しを行うなど、地域における温暖化防止活動をサポートする役割も果たしてまいります。
 都は、このように地球温暖化防止活動推進センターを十分に活用することにより、区市町村やNPO等との連携を強め、省エネ・節電活動を盛り上げてまいります。

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震災対策

質問1
 続いて、震災対策について質問いたしたいと思います。
 先日、都は、地震に関する地域危険度測定調査を発表いたしました。これによると、地盤や建物の構造から測定した建物倒壊危険度は、墨田区や台東区、足立区などが高く、建物の耐火性から判定した火災危険度では、足立区や荒川区、品川区西部や中野区の一部が危険との結果が公表されております。
 そこで質問の第一は、新たに危険地域を公表したのであれば、すかさずその地域への対策を講じるべきであり、集中的に耐震助成を実施すべきであると考えますが、都の所見はいかがでありましょうか。

答弁1
都市整備局長
 地域危険度を踏まえた耐震助成の実施についてでございます。
 地震に関する地域危険度測定調査は、都民の防災意識の高揚に役立てるとともに、震災対策事業を実施する地域の選択に活用することを目的としておりまして、先般、最新のデータに基づく調査結果を公表いたしました。
 都はこれまでも、地域危険度が高く、かつ老朽化した木造住宅が集積するなど、震災時の甚大な被害が想定される地域を整備地域に指定し、重点的に耐震助成を行っております。
 今後とも、最新の調査結果などを踏まえながら、耐震助成を効果的に実施し、木造住宅の耐震化を図ってまいります。


質問2
 第二に、制度をつくってもなかなか耐震改修が進まないと指摘され、既に数年が経ました。助成額の増額や対象地域の拡大が不可欠でありますが、まずは住宅所有者の意向を改めて確認する意味で、耐震化に対する意向調査を実施すべきであります。
 そして、その結果をもとに、これまでの助成制度の見直しを行うべきでありますが、所見を伺いたいと思います。

答弁2
都市整備局長
 住宅所有者の意向調査と施策への反映でございます。
 住宅の耐震化施策の実効性を高めるためには、所有者の意向を的確にとらえることが必要であり、都はこれまでも、防災に関する世論調査等により、その把握に努めてまいりました。
 また、今年度中には、旧耐震基準の木造住宅の所有者を対象に、耐震化への取り組み状況や今後の意向等について、より詳細なアンケート調査を行う予定でございます。
 今後とも、区市町村と連携して所有者の意向の把握に努め、耐震化施策に反映させてまいります。


質問3
 過日、我が党は、阪神・淡路大震災の復興状況を確認するために神戸を訪れました。現地で印象的だったのは、阪神・淡路大震災の記憶を風化させないため、映像で当時の状況を疑似体験できる施設が存在したことであります。
 耐震化が進まない理由の一つが、切迫感がなく、しょせん人ごととしか思えない意識の問題があります。この映像での疑似体験を活用して、一層の防災意識の向上を図るべきであります。所見を伺いたいと思います。

答弁3
都市整備局長
 所有者の防災意識の向上についてでございます。
 住宅の耐震化を促進するためには、自助の観点から、所有者の自覚と行動を強く促していくことが不可欠でございます。
 お話のように、震災の悲惨さなどをリアルな映像で伝えることは効果的であると考えられるため、耐震化への取り組みを促すDVDを九月初めの防災週間までに制作し、広く広報事業に活用してまいります。
 これに加えまして、来月には、住宅の耐震化に関する展示会、見学会等を総合的に行う住まいの耐震フェアを開催し、さらに来年度からは、区市町村と連携して、直接、所有者への働きかけなどを行ってまいります。
 こうした取り組みを重層的かつ波状的に行うことにより、防災意識の向上を促し、耐震化を促進してまいります。


質問4
 また、一方で耐震改修への動機づけとして税制面での誘導策も重要であります。国税では所得税において、また地方税では固定資産税において、耐震改修に伴う税の軽減措置が創設されました。都においても耐震化の一層の促進に向けて、税制を活用した都独自の取り組みを行うべきであります。都の所見を求めたいと思います。

答弁4
主税局長
 耐震化促進のための税制の活用についてでございますが、政策目的を達成するためには、税制を活用していくことも有効な手段の一つとして考えられます。
 活用に当たりましては、その必要性や効果などを十分に検証する必要はございますが、住宅の耐震化促進は「十年後の東京」の実現に向けた都政の喫緊の課題であることから、今後、都独自の税制の活用につきまして、積極的に検討してまいります。

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テロ対策

質問1
 次に、テロ対策について伺います。
 本年七月にG8、洞爺湖サミットが開催されますが、これに先んじて今月既に東京でG7、財務省・中央銀行総裁会議が開催されました。今後も、四月に、開発大臣会合、六月には、内務・司法大臣会合が東京で開催されるほか、千葉や横浜で開催される国際会議を含めると、首都圏では七月のサミットまでに毎月、何らかの国際会議が開催されることになります。
 首都東京は、我が国の政治経済の中枢であり、テロの標的となることも懸念されております。三年前、英国北部のグレンイーグルズでのサミット開催中、首都ロンドンで地下鉄やバスに対する同時テロが発生し、多くの犠牲者を出しました。
 くしくも、これは二〇一二年ロンドン・オリンピックの開催が決定したその翌日のことでありました。七月の洞爺湖サミットまでの間、万一東京でテロが発生したら、世界都市東京の国際的な評価は低下し、また、オリンピック招致に大きなダメージを受け、何よりも多数の犠牲者を出してしまいます。そのような事態は断じて避けねばなりません。
 そして、そのためには、国内、国外の情報を広く集めて、すべての対策で後手に回らないよう体制の整備を図ることが重要であります。まず、テロとの戦いに対する東京都知事の決意と所見を伺いたいと思います。

答弁1
知事
 テロ対策についてでありますが、非常に卑劣なテロ行為を封じ込め、オリンピック開催都市にふさわしいセキュリティーを、国を挙げて確保することが重要だと思います。本年開催されるサミットにおけるテロ対策は、我が国の治安のよさをアピールする絶好の機会ともいえます。
 このため、都としても、都庁舎など都施設の警戒強化を図るとともに、国や関係機関、大規模集客施設を有する民間事業者とも連携しまして、ターミナル駅周辺での警戒対応訓練を四月に実施いたします。
 さらに、サミット直前には、行政や民間事業者などで構成する警戒推進本部を設置しまして、官民を挙げたテロ防止対策を実施するなど、東京の安心・安全の確保に全力を尽くしてまいります。


質問2
 また、テロとの戦いの先頭に知事とともに立つのは、まさに警視総監であります。総監に対しても、警視庁のテロ対策について所見を伺いたいと思います。

答弁2
警視総監
 サミットに向けた警視庁のテロ対策についてお答えいたします。
 警視庁では、昨年六月、サミットに向けた警備対策委員会を設置し、全庁を挙げた体制を確立するとともに、各種警備対策を鋭意推進しているところであります。とりわけ、東京が主戦場であるとの共通認識のもと、テロ関連情報の収集、分析を初め、政府関連施設、公共交通機関、繁華街等に対する警戒警備を強化しているところであります。
 また、民間事業者、地域住民等と連携したテロ対処訓練や連絡会議を随時開催し、危機管理体制の強化を図るなど、テロを許さない社会づくりにも努めているところであります。
 引き続き、一般市民を巻き込む無差別テロから都民を守り、首都の安全を確保するため、警視庁の総力を挙げて諸対策を強力に推進し、警戒警備の万全を図ってまいります。


コメント
 ところで、先日、知事は知事公館の売却方針を明らかにしました。さまざまな意味でそれも一つの判断であります。ただ、テロや大規模災害の際、知事公館は知事自身の安全の確保、情報連絡手段の確保を図り、都として機能的な対応を図る、つまり危機管理上欠かせない施設でもあります。その意味で、知事公館のあり方については引き続き検討するよう要望したいと思います。

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感染症対策

質問1
 次に、感染症対策について質問します。
 大型航空機による大量高速輸送時代の到来とともに、感染症には国境がなくなりました。国境を越えて移動する手段が多様化し、その数が飛躍的に増大するとともに、水際での防御は不可能になりつつあります。そうした状況から現在、特に新型インフルエンザのパンデミック、いわゆる感染爆発が世界じゅうで懸念されております。
 日本において感染爆発が発生という事態となったら、政府の予測によれば、死者数が全国で六十四万人、また、都においては、これまで行動計画を策定し、都民の三〇%、三百七十八万五千人が感染し、死者数が一万四千人以上に上る事態を想定して、抗インフルエンザウイルス薬、いわゆるタミフルを百二万八千人分、リレンザを二万人分備蓄し、さらに、区市町村発熱センター設置計画の推進等に積極的に取り組んでまいりました。しかし、多くの人々が集中する首都東京では、ウイルスによっては、さらに被害が増大することも予想されます。
 こうした事態に対処するためには、まず東京独自の感染症危機管理体制の強化や、感染症専門家の育成を図ることが重要であります。都の見解を求めます。

答弁1
福祉保健局長
 感染症危機管理体制の強化等についてでありますが、多くの人や物が集積し、交流する首都東京においては、感染症の発生リスクが高いことから、感染症危機管理体制の整備は極めて重要な課題でございます。
 都は、健康安全研究センターにおきまして、国内外の新興感染症等の情報を収集分析し、流行の兆候を察知した場合には直ちに警報を発するとともに、迅速な病原体検査によって早期の確定診断を実現するなど、感染拡大を防止しております。
 今後、同センターを平成二十四年度までに健康危機管理センター(仮称)として整備をし、関係機関の総合調整機能を付与するなど、さらなる感染症危機管理体制の強化を図ってまいります。
 また、アジア大都市ネットワーク21の感染症プロジェクトを活用し、感染症専門家の人的、技術的交流を進め、各都市とのネットワークを強化することにより、都民の安全・安心の確保に万全を期してまいります。


質問2
 感染症対策については、いうまでもなく未然防止が原則でありますが、不幸にして感染爆発が発生した場合に備え、万全の体制を整備する必要がございます。
 都は、昨年三月、新型インフルエンザのパンデミック対策として、発生地域の拡大を抑制するための外出の自粛、公共交通機関の運行抑制、自衛隊の出動要請、ワクチン接種体制の確保などから成る危機管理マニュアルを作成しました。そして、その次に重要となるのが十分な医療体制の確保であります。
 都は、新型インフルエンザ感染の発生を前提とした医療体制の確立に今こそ全力で取り組むべきであります。見解を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 次に、新型インフルエンザ発生時の医療体制についてであります。
 都は、重大な健康被害をもたらす感染症を封じ込めるために、発生時に患者を入院させる感染症指定医療機関を整備するとともに、こうした感染症が疑われる患者を、診断が確定するまで受け入れる協力医療機関の確保に努めております。
 今後とも、指定医療機関の感染症病床の陰圧化に向けた支援を行うなどにより、封じ込め体制の一層の強化を図ってまいります。
 さらに、新型インフルエンザの大流行時には、すべての医療機関が診療に参加することが必要でございます。
 このため、平成二十年度から新たに都内を十のブロックに分けて、区市町村や医師会、地域の医療機関等から成る協議体を設置し、医療機能に応じた役割分担や連携体制の強化を図ることなどにより、感染症医療体制の確保に全力で取り組んでまいります。


質問3
 また、パニックを起こさないためには、平時から東京の医療体制や危機管理体制、また対応策などを都民に周知しておくことが必要であります。
 都は、感染症対策での啓発活動を進め、パニックを回避する観点から、都民に最も身近な自治体であり、広報、啓発活動を行う区市町村に対して積極的に支援策を講じるべきであります。都の見解を求めます。

答弁3
福祉保健局長
 感染症対策の広報啓発活動に関する区市町村への支援策についてでありますが、感染症発生時の都民一人一人の自衛策として、不要不急の外出の自粛やマスクの着用、患者の看護方法、汚染された物件の適切な処理などの基本的な知識についての啓発活動を行うことが重要であります。
 これまで、都は、感染症の流行防止のため、保健所と協力しながら普及啓発に努めてまいりましたが、地域の実情に即し、より効果的に行うため、平成二十年度からは、新たに包括補助事業により、区市町村がみずから行う感染症対策の普及啓発事業を支援することといたしました。
 今後とも、区市町村と連携し、都民への啓発を充実させてまいります。

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食の安全

質問1
 次に、食の安全について質問いたします。
 現在、中国産冷凍ギョーザの薬物中毒事件に端を発した輸入食品の安全性が大きな関心事となっております。食品の安全確保については、一義的には事業者がその責任を負うべきでありますが、事業者の自主的な取り組みを支援する仕組みとして、都は、東京都食品衛生自主管理認証制度を立ち上げました。しかし、高く評価できる制度ではありますが、現在この認証を受けている施設は、十三万施設中わずか二百三十七施設にとどまっております。制度を普及させるためには、都が事業者の認証取得を積極的に支援する必要があります。まず、認証取得支援に向けた都の取り組みについて見解を求めたいと思います。

答弁1
福祉保健局長
 食品の自主管理認証取得への支援についてであります。
 食品衛生自主管理認証制度は、衛生管理について積極的に取り組み、一定の基準を満たした事業者を都が指定した第三者機関が認証することにより、食の安全性の向上を図ることを目的とした都独自の制度でございます。
 都は、順次、認証施設の拡大に努めてまいりましたが、引き続き対象業種の拡充を図ってまいるとともに、区市町村包括補助事業を活用し、地域において認証制度を普及する取り組みを支援いたします。
 さらに、保健所や区市町村と連携し、事業者向けセミナーを開催するとともに、認証施設であることを都民にアピールすることのできる認証シールの普及などに鋭意取り組んでまいります。
 今後、事業者団体との連携を強化し、制度を広く周知することにより、積極的に認証施設の増加を図ってまいります。


質問2
 一方、事業者の食品安全に対する取り組みを推進させるためには、自主管理だけでなく、行政による監視、指導体制や検査体制も重要であります。違反食品が流通している実態に即して、監視、指導体制や検査体制を強化すべきでありますが、都の見解を求めたいと思います。

答弁2
福祉保健局長
 食品の監視検査体制の強化についてであります。
 都は、毎年度、食品衛生監視指導計画を策定し、食品の安全確保にかかわる課題を踏まえて重点事項を定め、その中で監視指導を実施しております。
 また、今回の冷凍ギョーザ問題のような突発的な事態が発生した際には、食品監視機動班や保健所などが連携し、緊急的な監視体制を整え、迅速な検査により被害の拡大防止に努めております。
 平成二十年度は、最近の事件や都民の不安を踏まえ、農薬検査の拡充など輸入食品対策を強化するとともに、食品表示に関する重点的な監視を行ってまいります。
 今後とも、残留農薬の分析機能にすぐれた検査機器の整備を一層進めるなど、監視指導や検査体制を強化し、食品の安全確保と都民の不安解消に努めてまいります。


質問3
 輸入食品の安全性については、水際でのチェックが重要でありますが、すべての輸入食品をチェックするには、おのずと限界があります。
 したがって、消費者にとっては、食品を購入する際の基準となる表示が極めて重要になってまいります。しかし、加工品については、すべての製品に原料の原産地が表示されているわけではありません。したがって、すべての原料を明記するのは困難であるかもしれませんが、大量に使用されている原料に関しては、可能な限り原産地を表示すべきであります。
 表示の方法についても、QRコードを利用するなど、消費者にわかりやすい表示制度にするべきであります。都の見解を伺いたいと思います。

答弁3
福祉保健局長
 食品の原料原産地表示についてでありますが、このような表示は、消費者にとってわかりやすいものであることが重要であります。
 都では、現在、原料原産地表示のあり方について、関係各局による食品安全対策推進調整会議におきまして検討を進めており、この中で都民にとってわかりやすい表示となるよう鋭意検討してまいります。

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福祉保健・医療

質問1
 次に、高齢者と家族を支える介護問題について質問いたします。
 今後、高齢者人口が急激に伸びる中、東京都における要介護認定者は、現在の三十七万人から七年後には五十四万六千人と、一・五倍にふえると予測されています。これに伴い、増大する介護サービスの需要に対応し、介護制度を担う介護従事者の確保や事業所の安定経営が急務となります。
 しかし、現在、介護の現場では、賃金を初め待遇の悪さから人材が定着せず、離職に歯どめがかからない状態が続いております。
 その背景には、介護に携わる人々の労働条件が余りにも悪く、給与は低賃金、疲れても休暇もとれないといった実態がございます。また、その多くが非正規職員である介護従事者は、技術や経験の積み重ねが収入増につながる保証がなく、扶養家族を抱えて生活を営む一生涯の仕事としては、選択が困難な状況にあります。こうした実情に対する都の認識と今後の対応について見解を求めたいと思います。

答弁1
福祉保健局長
 介護保険制度に関して、まず、介護現場の実情についてでありますが、近年、民間企業の求人が活発化する中で、介護の現場における人材の確保は厳しい状況にあると認識をしております。
 このため、都は、昨年五月、国に対しまして、東京の介護保険事業が将来にわたって安定的に運営できるよう、介護報酬における人件費の割合や地域差に着目した介護報酬のあり方について提言を行いました。
 また、平成二十年度から、介護福祉士等修学資金の償還免除に必要な就労期間を七年から五年に短縮するほか、民間会社を活用した再就職の促進や、区市町村における有資格者の資質向上に向けた研修への支援を行ってまいります。
 今後とも、大都市にふさわしい介護報酬のあり方について国に提案要求を行うとともに、関係機関と連携した人材の育成確保策を展開してまいります。


質問2
 東京都は、公明党の提案を受けて、介護現場の実態を把握するための第一歩として、アンケート調査を実施いたしました。
 そこで、将来を見通した施策を展開するために、このアンケート調査の内容をさらに発展させ、より詳細な実態を把握すべきであります。都の所見を伺います。

答弁2
福祉保健局長
 介護現場の実態把握についてでありますが、都は、昨年十二月から本年二月まで、事業所の指定更新手続の機会をとらえ、約四千の介護サービス事業所の管理者等を対象に開催いたしました指定更新事業者研修会においてアンケートを実施いたしました。
 その結果、約三千名の事業者から、利用者の状況や経営状況などの率直な声をいただきました。
 今後は、このアンケートで明らかになったさまざまな問題点や課題について、より詳細に実態を調査することで、介護保険制度の円滑な運営に資するよう努めてまいります。


質問3
 また、介護保険の書類等事務作業の簡素化についても質問したいと思います。現在、介護にかかわる煩雑な事務作業が問題とされております。例えば、一つの車いすを貸与するためには書類が十九枚必要であり、その作業のために四時間から五時間かかってしまったという話も聞いております。介護従事者を煩雑な書類の作成業務から解放し、事務所の効率的な経営や労働時間の短縮につながるよう、事務手続や作成書類の簡素化を図るべきであります。都の所見を伺いたいと思います。

答弁3
福祉保健局長
 介護事業者の事務負担についてでありますが、ご指摘のありました書類作成業務などの負担軽減は、事業所の効率的な経営と介護サービス従事者の労働時間の短縮につながるものと考えます。
 現在、国において、事務負担の軽減について検討を行っており、書類作成の簡素化など、来年度から実施可能なものについて、順次取り組むと聞いております。
 都としても、今後、国の動向を踏まえ、迅速かつ適切に対応してまいります。


質問4
 次に、介護サービス情報の公表における費用負担の低減について質問したいと思います。介護保険法では、介護サービスの質の確保や利用者保護を目的として、事業者に対して、インターネットなどでのサービス情報の公表を義務づけております。このため、事業者は十二のメニューに対して、調査、公表の手数料としてそれぞれ約五万円程度を毎年負担しなくてはなりません。事業者からは、ぎりぎりの経営で負担が極めて重い、また、それぞれのサービスごとに三回も調査があり、むだであるなどの声が上がっております。
 都は、手数料の適正な引き下げを図るとともに、調査方法の改善、また、ネットでの情報提供の有効性などを改めて検証すべきであります。都の所見を求めたいと思います。

答弁4
福祉保健局長
 介護サービスの情報の公表についてでありますが、本制度は、介護保険サービスの利用者が、より適切に事業者を選択できるよう、平成十八年四月の介護保険法の改正により導入されたものであります。
 ご指摘の事業者負担の軽減については、都は、これまでも国に対して、毎年行うこととされております事業者への実地調査について、調査周期や確認方法のあり方などを改善するよう提案をしております。
 さらに、事業者が負担いたします公表や調査に要する手数料につきましては、制度導入後二年を経過することから、その運用実態を踏まえ、適切に見直しをしてまいります。


質問5
 次に、がん対策について質問をいたします。
 がん治療に関しては、日本は手術が主流でありますが、欧米は、化学療法や放射線療法と組み合わせて大きな効果を上げていると聞いてございます。
 特に、放射線療法については、手術や抗がん剤との組み合わせで、より高い治療効果が得られることや、がん治療の中で最も副作用が少なく、また経済的であるという特徴があるそうであります。
 近年、放射線治療の技術進歩は著しく、がん組織のみに照射する強度変調放射線治療の技術あるいはCT撮影と連動した放射線の照射が可能な医療機器の開発、また最近では国内メーカーによって世界最先端の放射線医療装置が開発されております。
 先日、東大病院放射線科の中川恵一准教授から話を聞く機会がございました。我々は、放射線ががん細胞を攻撃すると思っておりましたが、これは間違いであります。ピンポイントでがん細胞に放射線を照射するとがん細胞の表面温度が二千分の一度上昇し、体内の免疫細胞がその変化を察知して、がん細胞を攻撃する、こういう仕組みだそうでございます。したがって、患者への負担が極めて低い、こういう事実を知ることができました。
 がんと闘う多くの都民のために、都立病院への最新鋭の放射線治療装置の導入を急ぐべきであり、まずは、がん治療の拠点である駒込病院に導入すべきであります。所見を伺いたいと思います。

答弁5
病院経営本部長
 都立病院における放射線治療についてでありますが、都では、現在の駒込病院を全面改修いたしまして、仮称ではございますけれども、がん・感染症医療センターとして、平成二十三年度の全面供用開始に向けた整備を進めているところでございます。
 整備に当たりましては、手術室や化学療法のための外来治療センターの拡充を図りますとともに、がん細胞に対し、効果的に放射線を集中照射できる最新鋭の放射線治療機器などを導入する予定でございます。
 ご指摘のとおり、がん治療におきましては、手術や化学療法に加え、放射線治療を充実させることがより高い治療効果につながるものと認識しておりまして、こうした治療方法を効果的に組み合わせます、いわゆる集学的治療を行い、今後とも都民の皆様に高度で専門性の高いがん医療を提供してまいります。


質問6
 がん登録について質問をしたいと思います。がん登録の取り組みは拠点病院における院内がん登録から開始し、その後、拠点病院以外の病院での院内がん登録へと拡大させ、最終的に都内全域で地域がん登録を広げる、こうなっておりますが、その実現時期については明記をされておりません。
 一方でまた、こうしたステップごとのアプローチとは別に、地域を特定して、モデル的に先行実施することも、早期実現のためには極めて効果的であります。
 都は、これらの課題や提案を整理し、がん登録を計画的かつ着実に推進するため、検討組織を立ち上げるべきであります。見解を伺いたいと思います。

答弁6
福祉保健局長
 次に、がん対策に関して、まず、がん登録に関する検討組織についてであります。
 がん登録は、個々の患者の診断、治療及びその結果等に関するデータを収集し、統計的に分析、評価するものでありまして、がん罹患率の把握や治療結果の検証等により、予防対策の充実や医療水準の向上に資するものでございます。
 平成二十年度から、がん診療連携拠点病院と東京都認定がん診療病院において院内がん登録を開始いたしますが、都全域を対象とした地域がん登録の実施に向けましては、協力する医療機関の拡大、患者の生存状況を調査する仕組みづくり、さらには都民の理解などの課題があります。
 このため、医療機関や学識経験者などから成る検討組織を新たに設け、こうした課題について検討し、地域がん登録の実施に向けて、計画的かつ着実に取り組んでまいります。


質問7
 また、緩和ケアについても質問をいたします。我々は緩和ケア、治療の初期段階からの緩和ケアの実施を強く主張してまいりました。この緩和ケアを推進していくためには、拠点病院の整備指針にも定められている医師、看護師、医療心理に携わる専門家などによる緩和ケアチームの設置と、緩和ケアに精通した医療人材の育成が重要でございます。
 都内において、早期からの緩和ケアの実施に向けて積極的に取り組むべきでありますが、都の見解を求めたいと思います。

答弁7
福祉保健局長
 緩和ケアの推進についてであります。
 がん患者やその家族が抱える身体的、精神的な苦痛を軽減し、患者の生活の質を向上させていくためには、治療の初期段階から切れ目なく緩和ケアを提供していくことが重要でございます。
 都では、平成二十年四月から、拠点病院と認定病院を合わせまして二十四カ所に、医師、看護師や患者の精神面のケアを行う医療心理職等で構成いたします緩和ケアチームを設置し、治療の早期から緩和ケアを提供してまいります。
 さらに、五年間のがん対策推進計画期間内に、がん診療に携わる都内すべての医師が緩和ケアに関する知識を習得できるよう、拠点病院において研修を実施してまいります。

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教育問題

質問1
 次に、特別支援教育について質問いたします。
 東京都特別支援教育推進計画の第二次実施計画の着実な実施が重要でございます。しかし、現場には課題が少なくありません。
 まず第一は、都立の高等学校における特別支援教育体制の整備であります。一日も早く、すべての都立の高校にコーディネーターを初め、人材を配置して、特別支援教育の体制を確立すべきであります。所見を求めたいと思います。

答弁1
教育長
 都立高校における特別支援教育の体制整備についてであります。
 都立高校において、発達障害のある生徒への支援を行うため、特別支援教育の体制整備を進めることは極めて重要でございます。
 現在、都立高校六校におきまして、特別支援教育体制の整備や生徒への支援のあり方などにつきまして、研究に取り組んでいるところでございます。
 ご指摘の点を踏まえまして、平成二十年度中に、すべての都立高校において、特別支援教育コーディネーターを指名し、その資質や専門性の向上を図る研修を実施するとともに、校内に組織的な取り組みを進めるための委員会を設置するなど、特別支援教育の体制を早急に整備してまいります。


質問2
 第二は、区立の小中学校における特別支援体制の充実でございます。小中学校における特別支援教育の体制整備はもちろん区市町村の責任でありますが、しかし、格差が出ないように都は支援策を講じるべきであります。小中学校における特別支援教育の充実を図るための支援について都の見解を求めたいと思います。

答弁2
教育長
 小中学校の特別支援教育の支援についてであります。
 都教育委員会では、小中学校を支援するため、特別支援学校のセンター的機能の充実に努めております。
 平成十九年度は、特別支援学校の特別支援教育コーディネーター等が小中学校への巡回指導を行うために、必要な非常勤講師を配置したところであります。
 平成二十年度は、支援体制をさらに強化するため、特別支援学校への教員の加配措置を行うとともに、非常勤講師の配置を拡大するなど、小中学校への支援の充実を図ってまいります。


質問3
 第三は、幼児期における対応の強化であります。都教委は先月、幼稚園の教員や保育所を対象に講習会を開催いたしました。しかし、全体の約九割を占める私立幼稚園、私立保育所からの参加はわずかであり、また、講習の内容も初歩的であったと聞いております。
 そこで、改めて、幼児期の対策を強化するために、私立幼稚園、私立保育所を対象にした本格的な研修の機会を設けるべきであります。見解を伺いたいと思います。

答弁3
教育長
 私立幼稚園や保育所への支援策についてであります。
 障害のある幼児に対しましては、障害の早期発見及び早期対応による効果が大きく、私立幼稚園や保育所での指導や支援の充実は重要だと考えております。
 今年度、就学支援シートについて説明を行うため、個別の教育支援計画講習会を実施した際に、私立幼稚園や保育所にも参加を呼びかけましたが、残念ながら結果として参加者は少数でございました。
 今後、就学支援にかかわる研修会などの開催におきましては、すべての私立幼稚園や保育所にも広く周知し、就学支援や個別の教育支援計画の策定にかかわる資料や情報を積極的に提供してまいります。


質問4
 続いて、教員の大量退職に伴う課題について質問をいたします。
 今後十年間で、毎年二千人以上の教員が退職を迎えるといわれております。校長や副校長の人材も不足し、校長を再任用し必要数を確保する事態となっております。
 小学校に限ってみても、平成二十年度は小学校で約千五百人、中学校で約六百人、合わせて約二千百人もの大量採用が予定されております。一方で、教育庁の教育人口推計によると、今後五年間で小学校の児童数は約五千人、中学校の生徒は約一万人ふえるとされております。
 つまり、ベテラン教員の大量退職、新人教員の大量採用、そして児童生徒の増加、こうした要因により教育の質の低下が心配をされております。
 そうした中、国は平成二十年度から、約七千人規模の退職教員や経験豊かな社会人を教育現場で活用する補助制度を計画しております。
 都教委としても、退職するベテラン教員等の人材を積極的に活用し、新人教員などの育成や教員の負担軽減、あるいは教育現場での課題の解決のため、この新たな補助制度の活用を行うべきであります。都の見解を求めたいと思います。

答弁4
教育長
 退職教員等の人材活用についてでありますが、都教育委員会では、平成二十年度から、退職教員の豊富な知識と経験の活用を図るため、学習教科指導のほか、校務分掌、教育相談、初任者対応、小一問題対応など、多様な職務を担う非常勤教員制度を都独自に導入いたします。
 非常勤教員制度は、国の外部人材活用事業補助金の趣旨に合致するものでありまして、今後、国庫補助事業に位置づけた上で、区市町村教育委員会等とも連携し、各学校において非常勤教員の有効活用が図られるよう努めてまいります。

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住宅問題

質問1
 続いて、都営住宅の使用継承について質問をいたします。
 都は、昨年八月、都営住宅の入居者が死亡した場合などに使用を継承できる同居者の範囲を、原則配偶者に限定する制度変更を行いました。
 これに対して、公明党は、二月五日、石原知事に対して、都の制度運用を改め、高齢者や障害者に一層配慮した現実的な制度に改善するよう申し入れを行いました。具体的には、継承しようとする人が六十歳以上であり世帯の収入が入居基準以下であれば、同居者の年齢を問わない。第二に、承継しようとする人または同居者が身体障害者手帳三級、精神障害者保健福祉手帳二級、三級、愛の手帳三度、四度の人まで、それぞれ対象を拡大すること。また、病弱者に関しては、都立病院あるいは公社病院の診断書を踏まえて、居住の必要性がある場合には承継を認めること。以上の三点でありました。
 これを受けて、都は早速見直しを行いましたが、まず、確認の意味で、その見直しの内容を明らかにしていただきたいと思います。これは、四月一日からの施行でありますが、既に事由が発生している居住者にも経過措置を行うという内容であります。したがって、こうした内容を迅速に居住者の方に伝える必要がございます。変更後の内容、経過措置による対応について、都の周知徹底策について答弁を求めたいと思います。

答弁1
都市整備局長
 都営住宅の使用承継についでございます。
 入居者と非入居者間の公平性を確保する上で、使用承継を配偶者に限定するという原則は堅持してまいります。他県の状況や制度施行後の実情を踏まえるとともに、東京都議会自由民主党及び都議会公明党からの申し入れも契機といたしまして、制度の手直しを図り、高齢者等への一層の配慮を行うことといたしました。
 具体的には、特別の事情により承継が許可される場合の条件につきまして、まず、承継しようとする人が六十歳以上の場合、同居者の年齢要件を撤廃いたしました。また、障害者の基準を身体、精神は三級まで、知的は四度までに拡大し、病弱者につきましては都立病院などの診断書を踏まえ、居住継続の必要性を判断することといたしました。
 制度や経過措置の内容の周知につきましては、対象となる方には個別に通知するとともに、居住者全体に対しまして、広報紙臨時号の配布、ポスターの掲示等を行っております。
 都営住宅につきましては、今後ともセーフティーネット機能の充実に努め、真に住宅に困窮する都民に公平かつ的確に供給してまいります。


質問2
 少子化対策にせよ、介護にせよ、すべての保健福祉サービスは住宅を抜きに語れません。東京都の住宅政策は、今後ますます重要度を増してまいります。したがって、都は、都民の住宅セーフティーネットを守るために、都営を含めた住宅政策の事業体制を強化すべきであります。
 住宅政策の拡充について所見を伺い、代表質問を終わります。

答弁2
都市整備局長
 住宅政策の充実についてでございます。
 豊かな住生活の実現を図るためには、都民の居住の安定を確保していくことが重要な課題であると認識しております。
 都といたしましては、これまでも、都営住宅において、高齢者や子育て世帯等に対する優先入居などを実施するとともに、入居制限を行わない民間賃貸住宅の供給促進などに取り組んでまいりました。
 今後とも、公共住宅に加え、民間住宅も含めた重層的な住宅セーフティーネット機能を強化するとともに、まちづくりなど住生活に深くかかわる政策分野との緊密な連携を図りつつ、都民の居住の安定の確保に強力に取り組んでまいります。

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