平成19年2月23日(金) |
 小沢昌也(民主党) |
■海外出張 |
▼小沢委員
理事者の皆様も連日遅くまで大変お疲れさまでございます。最後でございますので、ご協力お願いいたします。
まず初めに、先日の我が会派田中理事の質問に引き続いて浜渦参与の海外出張について伺います。
昨日の答弁では、ベネチアで開かれる国際建築展のシンポジウムにパネリストとして参加する知事の代理を浜渦参与とすることは知事自身が決められたということであります。そこで、その結果がどうだったか、お伺いいたします。
まず、実際のシンポジウムでパネリストとして発言しているのは技監だけのようですが、知事代理の浜渦参与は何をしていたのか、お伺いいたします。
▼知事本局長
参与の出張でございますけれども、今回のビエンナーレ国際建築展の総監督であります、ロンドン市長の建築部門でのアドバイザー、また、ロンドン都市計画諮問機関の委員も兼任いたしますリチャード・バーデットロンドン大学教授、この方、あるいは各参加都市の代表者らと大都市が抱える課題についての意見交換を行ったほか、シンポジウムに出席することで世界の主要都市が抱える課題等についての情報収集を行ったものと思われます。
▼小沢委員
それでは、当初予定していた石原知事の日程と、実際に参加した浜渦参与の日程は、どこが同じで、どこが違うのか、ご説明ください。
▼知事本局長
当初、知事の出張につきましては、九月五日に東京を出発いたしまして、ベネチアを三泊、フィレンツェを一泊、九月十日に帰国するという六日間の日程でございまして、参与の出張の日程は、九月五日に東京を出発しまして、ベネチアを三泊、土日にかけまして、プラハを一泊、ウィーンを二泊して、九月十二日に帰国する八日間の日程でございます。
双方ともベネチアにおきましては、ビエンナーレ国際建築展のシンポジウムへの参加、世界の大都市についての展示を行っております国際建築展テーマ館や各国パビリオンの視察を行いまして、その後知事はフィレンツェで都市景観及び水辺空間の先進的事例を視察の予定でございましたが、代理として出席しました参与につきましては、既にフィレンツェ訪問の経験があるために、再度訪問先を検討した結果、良好な都市観光と水辺空間を有し、国際的に評価の高いプラハとウィーンを新たに訪問先としたものでございます。
▼小沢委員
当初の知事の予定は、今ご説明がありましたけれども、イタリア国内の事例を調査視察となっており、九月八日金曜日、土曜日にフィレンツェ視察となっていましたが、浜渦参与になりますと、世界的な事例であるベネチア、プラハ、ウィーン三都市に拡大され、しかも九月八日の夕方にプラハに着き、翌土曜日にプラハ市内視察、この日の夜にウィーンに着いて、翌九月十日ウィーン市内視察、そして、火曜日に成田に着いております。
プラハ、ウィーンは土日の視察となっておりますが、現地の行政当局、関係者の説明はお受けになったのでしょうか。
▼知事本局長
プラハとウィーンにつきましては、歴史的建築物や緑豊かな空間が醸し出す美しい都市景観を持つとともに、市民に親しまれる良好な水辺空間を有しておりまして、国際的にも評価が高い都市でございます。このため、両都市が好事例であると判断しまして、調査視察のために出張したものでございます。
視察に当たりましては、現地の事情に詳しい通訳兼ガイドを雇いまして、詳細な説明を受けたほか、また、現地に赴くことによりまして、都市を俯瞰した全体像や市民が憩う様子など、現場でしかわかり得ない貴重な情報が得られたという報告を受けております。
▼小沢委員
これはですね、理屈をどうつけようが、この実態は観光そのものではないでしょうか。
この方の場合は、過去のシティーセールスにおいても同様の視察があります。平成十五年の場合は、シティーセールスの後にプラスアルファという程度でございましたが、なれてきた平成十六年になると、十月のシティーセールスは、移動途中にフィレンツェ国際展示場視察、ローマ市内視察が入り、プラスアルファにはジブラルタルやカサブランカが加わり、さらに翌平成十七年二月には、いきなり頭からソルトレークシティーが入り、移動途中にメキシコシティーが加わり、ラストにはニューオーリンズ市内視察、モントゴメリ視察など加わるなど、何のための海外出張なのか、わからなくなるほどエスカレートしております。
自民党さんのおかげでその後更迭されたため、ストップがかかりましたが、そうでもなければもっともっとエスカレートしたかもしれません。これはまさに公費による観光ではないでしょうか。知事の見解を求めます。
▼知事
基本的に、観光というのは今や大きな産業になっていますね。その産業を東京で振興するために、外国に行ったら、観光する以外ないじゃないですか。私は、常々ね、とにかく現場を見てこいといっているんです、彼に限らず。
かつて、何の目的か知りませんけれども、ニューヨークとパリに東京は出張所を設けていました。年間の費用が合わせて二億でした。もちろん有給休暇みたいなものですよ、議員の案内をするだけの仕事ですから。何をしたかわからない。いや、わかりませんよ。いずれにしろ、七人も八人もの人間が、何でそこに張りついていたか私はわからないから、大した情報も来たわけじゃないし、だったら、問題を抱えた、要するに、幹部が、幹部でなくてもとにかく部下を連れてたくさん行ってらっしゃい。とにかく八年間で十六億節約したわけで、そのお金を使ったらよろしい、どんどん。ですから、私は、行政の仕事は座っているだけじゃできない。だから、要するに、海外や国内の現場に直接出向いて知見を得てこそ、新しい政策ができてくるということで、どんどん行かせています。
民主党も、観光ルートといえば、民主党も貴重な知見を得るために、南米のイグアスの滝にまでいらしたじゃないですか。
▼小沢委員
それでは、先日の知事出張費に係る東京高裁の判決は、実際の出張から一年以上がたっているため、提訴の前提となる住民監査請求の時期が遅過ぎたという理由で、実質審理に入らなかったのですが、昨年九月のこの案件はまだ一年未満です。この出張が公費を使った観光旅行ではないかと裁判を起こされる前に返還請求をするご意思はございますでしょうか。
▼知事本局長
参与の海外出張につきましては、出張目的に沿ったものでございまして、今お話のありました返還請求などにつきましては、考えてもおりません。
▼小沢委員
それでは、最後にお伺いしますけれども、今回の当初の知事予定をキャンセルしておりますけれども、キャンセルは時期によってはそれなりのキャンセル料がかかると思われますが、参考のために、キャンセル料を払ったのか、また、払ったのであればお幾らなのか、お聞かせください。
▼知事本局長
今回の出張でございますが、今回は知事が急遽出張できなくなったのは、極めて重要な打ち合わせなどを行う必要があったために行ったものでございまして、そのためのキャンセル料につきましては、契約に基づき、百十三万五千八百九十円を支払ったものでございます。
▼小沢委員
キャンセル料、これはもう、こういう場合、発生するのはやむを得ないと思います。そのことを云々いうことはありませんけれども、やはりそれなりのお立場にある方は、今後こういった出張に対する認識を改めていただきたいと申し上げまして、次の質問に入ります。
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■新銀行東京 |
▼小沢委員
次に、新銀行東京について伺います。
昨日の田中理事の総括質疑に、回収不能になったわけではない、立て直し策はある、立て直しが株主としての責任だと知事より答弁がありました。新銀行が、顧客本位を貫き社会に貢献する。また、株式会社ではあるが、都民や中小企業への成果の還元を行う。そして、業種の枠を越えた横断的な連携による新たな金融サービスを提供するとした設立時の経営理念で、多くの中小企業業者に金融支援を健全な経営のもとで将来に向かって継続されることが可能であれば、それは大いに望むところであります。
しかしながら、現在の経営状況は、設立時の思惑とは大きく乖離しているように思うのは私だけではないかと思います。
そこで、改めて、設立から今日までのいきさつ、現況、そして、今後のあり方について、都民にわかりやすくご説明いただきたいと思います。
まず、東京都と新銀行のかかわりについて伺います。産業労働局は、新銀行の経営管理等では、経営に関し、株主としての立場から、監視、連絡調整、都議会への報告業務を行っているとしています。また、マスタープランには、都は株主の立場から、経営の大枠から逸脱がないか監視するとともに、適宜経営の方向性を示していくと明記されています。そこで、監視、連絡調整とは具体的にどのように行われているのか、お伺いいたします。
▼産業労働局長
新銀行東京に対する経営の大枠監視は、健全な財務体質を背景に、東京の中小企業などの資金需要に対し、十分な資金供給を行うなど、この銀行が担う役割を適切に果たしているかという視点で行っております。具体的には、新銀行東京から事業計画や決算などの経営状況について報告を受け、株主としての意見を機会をとらえて述べてまいりました。
また、連絡調整については、例えば、地球温暖化対策計画書を都に提出する企業等に向けた、商品の導入に当たっての環境局との調整など、各局との施策連携にかかわる連絡調整を行っております。
▼小沢委員
それでは、開業以来、都は株主として、新銀行から事業計画や経営状況その他についてどのような報告を受け、また、株主の権利として何を申し入れてきたのか、何が受け入れられたのか、具体的にお答えください。
▼産業労働局長
新銀行東京からは、各決算期において、融資・保証、預金残高や経常収益の状況など、経営状況に関する説明を受けております。都は、株主総会での意見表明や取締役会への申し入れ等において、中小企業者支援の一層の充実や、収益面に配慮した業務運営及び積極的かつわかりやすい情報の開示、提供について要望を行ってまいりました。これらを受けまして、新銀行東京では、法人・個人事業者を対象としたカードローンなど、中小企業のニーズにかなった新たな商品の提供や小口融資案件の開拓、決算、業績の公表などの情報開示を行っております。
▼小沢委員
株主として新銀行東京に働きかけるのであれば、まず、新銀行の経営内容のどこに問題があるかを見きわめる必要があります。
例えば融資保証残高は、十七年度決算において中期経営目標に対して約七五%の千九百三十億円、十八年度はまだ期の途中ですが、中小企業向け計画の三千三百五十億円は、達成の見込みが極めて薄いようです。
また、預金口座数については、十八年度計画で従来の百万口座から三十万口座へ大幅修正されましたが、中間決算では、わずか八万七千口座となっております。
経常利益に至っては、中期経営目標値二十一億円の黒字を、十八年六月の年度計画において、中間決算で百億円の赤字、通期で百八十億円の赤字に修正しました。さらに、二カ月後の八月、四半期決算の発表時でも、業績予想に関する情報にて、公表の予想値が変更はないと発表しています。しかしながら、そのわずか二カ月後の決算です、九月三十日の決算で、百億円の赤字予定に対して百五十四億円の赤字を計上しているのです。
営業計画が余りにもずさんではないのでしょうか。また、計画自体に他意があるのではないかと疑いたくもなります。都の見解をお伺いいたします。
▼産業労働局長
新銀行東京を取り巻く経営環境につきましては、大手銀行等が中小企業融資に積極的に取り組み始め、金融機関相互の競争が激化するなど、厳しさを増しております。新銀行東京では、そうした環境の変化を踏まえ、平成十六年二月に都が作成した新銀行マスタープランの趣旨を生かしつつ、平成十七年八月に三カ年の中期経営目標を策定いたしました。
また、新銀行東京では、前年度の業績やその時々の金融環境の変化等を踏まえ、単年度の業務計画を策定していることから、計画は適正に策定されていると考えております。
▼小沢委員
新銀行の計画はこの間何度も書き直され続けております。平成十五年十一月に発表した新銀行基本スキーム、これに基づきまして、平成十六年二月に基本計画である新銀行マスタープランを発表し、翌年、開業直後の平成十七年八月に中期経営目標を、そして、平成十七年度の実績を受けた上で、平成十八年六月に平成十八年度年度計画を発表しています。
そこで、それぞれの営業計画は大幅に変更されていますが、その要因はどこにあると考えているのでしょうか。そしてまた、これらの計画変更に対して都はどのように関与されているのか、お聞かせください。
▼産業労働局長
新銀行東京では、先ほど述べました金融環境の変化等を踏まえつつ、平成十七年八月に三カ年の中期経営目標を、また、毎年度業務計画を策定しております。この中期経営目標につきましては、銀行としての重要な経営方針であり、取締役会の決定事項となっております。このため、都は取締役を通じ、都の意見を反映しております。また、その経営方針を受けて策定される業務計画につきましては、銀行の経営判断により策定しております。
▼小沢委員
局では、新銀行より各決算の報告を受けた場合は、局内で分析の上、知事に報告を行っていると伺っております。まず、今中間決算の報告を受けて局が行った分析と評価の内容をお聞かせください。できれば、損益計算書及び貸借対照表よりその問題点を具体的にご指摘ください。
▼産業労働局長
平成十八年九月の中間決算によりますと、貸借対照表では融資保証残高が二千八百十九億円で、うち中小事業者向けは千六百九十五億円、預金残高は五千四百三十六億円となっております。また、損益計算書では経常収益が四十七億円、経常費用が二百一億円で、このため、経常損失が百五十四億円となっております。
都としては、今回の中間決算を見る限りにおいて、融資残高の積み上げなどによる収益の確保、不良債権の抑制、事務効率の改善等による経費の削減など、改善すべき点があると考えております。
▼小沢委員
そこで、平成十九年三月度の中間決算の内容について、具体的に何点か伺います。
まず、業務粗利益の中の中核となる資金利益は十九億三千九百万円ですが、店舗やATMの設置等の物件費、そして人件費を含めた経費はいまだ七十四億六千万円かかっています。ATMの撤去を含めた経費の圧縮が必要であると考えますが、見解をお聞かせください。
▼産業労働局長
新銀行東京におきましては、融資残高等の積み上げによる収入の増加や不良債権の抑制とあわせ、事業の効率化など、経費の削減などの改善が課題であると考えております。
▼小沢委員
それでは、次に融資についてですが、融資保証残高が二千八百十九億円と伸び悩んでいます。うち中小事業者向け残高は千六百九十五億円と全体の約六〇%で、本来の中小企業融資を充実させるという設立の趣旨からも逸脱しているといえます。
融資のメニューの中でも特に実績が上がっていないのは技術力・将来性重視型融資です。新銀行マスタープランでの十九年度の目標が一千二百億円、中期経営目標でも九百八十億円を掲げているにもかかわらず、その実績は、十七年度決算では十二億、十八年度中間決算でも十億でしかありません。
石原知事は、新銀行設立に向けて、よく、夫婦二人でやっているような、技術力もある零細企業が機械の更新で七千万円を借りた途端に債務超過に陥ってしまう。このことを例に出し、新銀行東京設立の必要性を述べていました。もちろんこのことで救われた企業もたくさんあるでしょうが、これについては融資の目標の規模を完全に見誤ったのではないでしょうか。見解を伺います。
▼産業労働局長
技術力・将来性重視型融資につきましては、新銀行東京の主力商品であるポートフォリオ型融資と商品性の差別化が必ずしも明確でなかったことや、融資実行までの期間がポートフォリオ型融資に比べ長くかかることから、利用が進まない面があったと思われます。そのため、新銀行東京では、中小事業者の利便性を高めるため、申し込み方法の見直しや技術力等評価委員会の随時開催など、迅速な案件処理に向けた体制を整備することで改善を図っております。
▼小沢委員
また、融資メニューの中にある信金協調保証は比較的好調ですが、信用金庫からすれば、優良なお客さんは自分たちのところで抱え、新銀行に紹介する--本当にリスクの高いところだけを紹介するんだという指摘もあります。また、信用金庫と新銀行東京とのリスクのとり方、二対八と新銀行分が過分になっていることからも、今後のリスクといった視点では懸念材料でもあります。知事も同じような懸念をテレビ番組で語っていましたが、信金協調保証についての認識を伺います。
▼産業労働局長
新銀行東京が提携信用金庫に対して保証した残高は、平成十八年九月末現在、四百七十億円で、年間計画額の九四%に達しており、順調に推移しております。地域金融の担い手であります信用金庫は、新銀行東京にとって大事なパートナーでございます。
今後とも、新銀行東京が信用金庫のリスク負担能力を補うなど、協調した取り組みを進めながら、中小企業支援の一層の充実を図っていくことが重要であると考えております。
▼小沢委員
今いろいろと質問してまいりましたけれども、新銀行東京の立て直しは、経費の削減や融資の着実な実行、リスクの適正な管理が求められています。しかし、昨日の大塚副知事の答弁にもあったように、劇的な環境の変化が新銀行東京の経営悪化を招いたというのであれば、それこそ新銀行東京がこれからの経済の変化に対して機敏にかつ柔軟に対応していけるような体制を構築していく必要があるのではないでしょうか。その意味からも、公がいつまでも出資するという体制、体質そのものが問われているのであり、当初の設立目的で事業が立ち行かないのであれば、民間への売却も含めた抜本的な見直しの必要があると改めて述べ、次の質問に移らせていただきます。
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■環境問題 |
▼小沢委員
次に、環境問題について伺います。
東京都でのCO2削減が進まない最大の原因は業務部門であります。CO2排出量は一九九〇年以降二八%もふえており、事業所ビルの床面積の増大などが大きく影響しています。都議会民主党の代表質問では、個々の建築物にとどまらず、一定の広がりを持った地域を対象とした温暖化対策を求め、東京都も前向きな姿勢を示しています。また、個々の建築物について、東京都は、建築物環境計画書制度によって、延べ床面積一万平方メートルを超える新築などの建築物を対象に温暖化対策を実施しています。しかし、マンションでいえばおおむね百戸を超えるものに限定されることから、都議会民主党はこの間再三その対象範囲を拡大するよう求めてきました。
そこで、建築物環境計画書制度の対象拡大に向けて、東京都の取り組みについて伺います。
▼環境局長
建築物環境計画書制度につきましては、平成十六年の東京都環境審議会答申におきまして、中小規模の新築建築物についても環境性能が市場で評価されるよう、対象規模の拡大を検討すべきものと提言されました。これに基づきまして、先ほどの答弁の中でも申し上げましたが、制度実施の中で、本制度が市場に及ぼす影響が高まっている実績を踏まえまして、平成十九年度の重点事業において、対象拡大に向けた調査を行うこととしたものでございます。
▼小沢委員
ようやく一歩踏み込んで調査を実施することになりましたが、東京都はこれまで行政コストの課題などを挙げて対象拡大には消極的でした。十九年度の予算案ではどのような調査をする予定か、お伺いいたします。
▼環境局長
十九年度予算案におきましては、建築物環境計画書制度の市場での波及効果等を検証するとともに、最も効果的な対象範囲について、調査を行うこととしております。
なお、対象を拡大いたしますと、当然対象件数は大幅に増大いたしますので、コストの増加に見合った効果的な対象範囲を検討することとなるのは当然のことでございます。
▼小沢委員
私たちは、省エネ法における建築物の対象面積が延べ床面積で二千平米以上となっていることや、地球温暖化対策計画書制度で対象以外から任意提出を求めていることなどからも、建築物環境計画書制度の対象の拡大を求めてきました。その意味からも、温暖化対策としてより効果の大きい制度となるよう早急な取り組みを要望いたします。
次に、建築物の省エネ対策について伺います。
省エネ法では、二千平米以上の建物を新築、増改築する場合には都道府県等に届け出をすることとなっています。一昨年の予算特別委員会において、我が党の相川博議員が、この提出率が低いのではないかとして東京都の積極的な取り組みを求めてきたところです。しかし、提出していただいた資料第82号、省エネ法に基づく建築物の省エネルギー計画書の提出状況によれば、質問した翌年度、平成十七年度には提出率が一二%も落ちております。この理由をお聞かせください。
▼都市整備局長
都内で行政庁が建築確認を受理する場合には、あわせて省エネルギー計画書の提出を建築主に求めております。一方、民間の確認検査機関が確認申請を受理する場合には、建築主は別途、行政庁に提出することになり、計画書の提出が徹底されないものと考えられます。
最近の建築確認件数の動向を見ますと、民間確認検査機関が行政庁を大きく上回っており、このような状況が計画書の提出率に影響しているものと推察しております。
▼小沢委員
二年前の予特の質疑で、計画率の向上を図るため、民間の検査機関との協議の場などを通して協力を要請していくと答弁していたわけですから、より積極的な取り組みが必要です。
改正省エネ法が十八年四月一日から施行され、二千平米を超える建物は住宅であっても省エネルギー計画書制度の届け出が義務化されました。私は、提出率や達成率での高い目標を掲げるとともに、建築確認の機会などを通じて建築物の省エネルギー対策をより一層推進すべきと考えますが、ご見解をお願いいたします。
▼都市整備局長
都はこれまで民間確認機関に対しまして、行政庁への省エネルギー計画書の提出を建築主に促すよう機会あるごとに要請してまいりました。今後はこれに加え、計画書の提出を求めるリーフレットを作成し、確認申請の受け付け時に配布するよう要請してまいります。また、民間確認機関からの報告をもとに、行政庁が直接建築主に計画書の提出を促すための方策についても現在検討しております。こうした取り組みにより、提出率や達成率の向上を図り、建築物の省エネルギー対策を推進してまいります。
▼小沢委員
東京都は、「十年後の東京」で、百万キロワット相当の太陽エネルギーを都内に導入するという高い目標を掲げていますが、百万キロワット相当というのは、今の性能の太陽光パネルを並べると千代田区が丸ごと必要になるそうです。
パッシブソーラーについては、通常は太陽エネルギーの導入量には算入されないそうですが、パッシブソーラーも太陽エネルギー活用策と位置づけ、その利用推進策を確立していくべきと考えますが、所見を伺います。
▼環境局長
来月設置されます、「十年後の東京」で掲げた百万キロワットの太陽エネルギーの導入に向けた太陽エネルギー利用拡大会議におきましては、パッシブソーラーの活用も当然のことながらこの会議の検討課題の一つになっております。また、本年一月に開催したシンポジウム、新エネルギーフォーラム・イン・東京でも、その仕組みや開発事例の紹介を行うなど、太陽エネルギーの利用拡大の手法の一つとして普及に努めております。
▼小沢委員
パッシブソーラーを初め、太陽光パネルや外断熱工法など、今後環境に配慮した住宅の普及がますます進むものと思います。東京都として、民間における環境配慮の取り組みがさらに進むよう、適切な評価基準の作成や評価結果の公表、あるいは指導、支援などを積極的に講じていくべきだと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
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