▼山下委員
それでは、私からは、「十年後の東京」についてお伺いをしていきたいというふうに思います。
この「十年後の東京」を検証する上で、東京構想二〇〇〇の政策指標の照合が必要とされますが、いまだに公表をされていません。
都は、我が党の代表質問において、東京構想二〇〇〇をどう検証し、反映するのかと質問したにもかかわらず、ただ、やってます、やってますからと答弁をし、結局、外部に進捗状況などを示してこなかったのは、開かれた都政に背を向けたものとしか考えられません。
政策指標の経過の公表を求めるものですが、見解を伺います。
▼知事本局長
東京都は、平成十二年に策定いたしました東京構想二〇〇〇において政策指標をお示ししましたが、これは構想策定当時における目指すべき政策の目標数字を具体的に示すため、一つの試みとして設定したものでございます。
その後、構想に示されたさまざまな取り組みなどによりまして、それを戦略的に実施していくため、進捗状況などの検証を踏まえて、現在は重要施策、重点事業による先駆的な政策展開を図っているところでございます。
この重要施策、重点事業を毎年度検証、改定し、これを公表していくことで、政策に対する検証、評価と政策目標の設定をさらに的確に行っております。
▼山下委員
ただいまのご答弁の中で、主に最後の部分ですが、重要施策、重点事業を、毎年とおっしゃったかと思いますが、検証、改定し、これを公表していくことで、政策に対する検証、評価と政策目標の設定をさらに的確に実施するということだったというふうに思います。
これを、私の曲解であれば訂正をしていただきたいと思いますが、都民から見れば、この重点施策、あるいは重点事業を、あれがなくなったからだめだったとか、これは続いているからよかったんだと、都の事業から毎年、翌年に確認をして判断を示さなければいけないのか、そういった作業をしなきゃいけないのかというふうに、今の最後の部分のご答弁は私にはとれたんですが、訂正があれば訂正をしていただきたいと思います。
▼知事本局長
今の重要施策、重点事業につきましては、戦略的に優先順位をつけて、その順位をつけた事業について、現在はそれを三カ年のローリングをかけて、検証で見直しながら、翌年度、翌年度、それをローリングしていく政策になっておりますから、そこで今、副委員長おっしゃったように、これを毎年度検証して、改定して、次の重点事業でやっていくものでございます。
▼山下委員
私が、冒頭に質問をさせていただいたのは、そういったことを公表して、議論の中に入れていただきたいと。要するに今、我々が、都民から--議会だけじゃなくて、我々が、都民が見たときに、しっかりと、東京都がこういうふうに物事を考えているんだよというのをお示しをいただきたいというふうな質問で、その私の質問に対してそういったご答弁で、私の疑問が今、生まれたものですから、質問させていただいた次第でございます。
時間も、関連質疑が入った関係で短くなっておりますので、次の質問、まだしっかりやりますから、じっくり聞いていただければというふうに思います。
政策によっては、地域ごとに適したものが講じられる必要があるため、かつての東京構想二〇〇〇では九つ、多摩の将来像二〇〇一でも四つのエリアを設定し、地域の将来像を描いてこられたと思います。
今回の「十年後の東京」には地域区分がございません。地域区分を行わなかった理由を教えていただければと思います。
▼知事本局長
今回策定いたしました「十年後の東京」は、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていくため、緑化の推進や集中的な耐震化対策など、都全域を視野に八つの目標を掲げまして、都市戦略として策定したものでございまして、エリアの区分は示してございません。
しかし、多摩シリコンバレーの形成、それから都心部における面的な無電柱化など、地域特性を踏まえた特色ある政策を各分野で掲げております。
▼山下委員
今、ご答弁もいただきました、例えば私なんかは北多摩北部地域の清瀬というところに住まっておりますけれども、今の中で私が伺いたかったのは、答弁にもありましたシリコンバレー化する、多摩でいえばですね、そういったことがあるんですが、そういう流れの中で、じゃ、北多摩北部とはいいませんが、多摩の中のこのエリア、一つはわかったです、シリコンバレー化すると、大きな目標はわかったんですが、「十年後の東京」というふうに銘を打たれているわけですから、じゃ、多摩のここのエリアはどうするんだというところが私には見えてこない。そういう気持ちを持ったものですから、こういう質問をさせていただいたというふうに、しっかり申し上げておきたいというふうに思います。
今後、ぜひ地域を示していただいて、この地域はこうなる、十年後こうなるというのも示していただきたいと申し上げておきます。
青島前都知事は、東京が成熟社会を迎えたとして、生活都市東京構想を策定いたしましたが、この過程で、公募都民や区市町村長、財界人、在日外国人などの生活都市東京を考える会を招集し、東京像や政策の方向を検討いたしました。
東京構想二〇〇〇では都民から、多摩の将来像二〇〇一でも市町村や多摩地域の都民から意見を聞いています。
知事が、私に似た姿勢で強い友人であると評したリビングストン市長のロンドンプランでも、何回にもわたり関係団体やロンドン市民との協議を行い、それらの意見を取り入れて計画化を図っています。
では、なぜ、この「十年後の東京」では、外部の有識者や都民の皆さんから意見を聞く機会を設けなかったのか、伺います。
▼知事本局長
今回の「十年後の東京」でございますが、まず、東京の近未来像について、都の基本的な考え方を都市戦略で示したものでございます。
策定に当たりましては、都政モニターアンケートの結果、あるいは予算編成におきます区市町村からの要望を踏まえるだけでなく、これまでの都議会での議論や、学識経験者や民間事業者の意見を聞きながら検討を進めてきております。
今後、「十年後の東京」の実現には、美しい景観の創出や緑化の推進を初め、都民、区市町村、民間事業者、NPOなど東京を支える多様な主体との協働が欠かせません。このため、政策展開を具体化する段階におきましても、さまざまな方からの意見反映に努めてまいります。
▼山下委員
私が、都民の意見を広く聞く機会というのはなかったんですかという問いに対して、今現在はまだそういうことは行っていないと、これから聞くという意思があるということでよろしいですか。(「そんなことはない、聞いているよ、ちゃんと」と呼ぶ者あり)聞く範囲のことを申し上げています。
▼知事本局長
策定に当たりましては、先ほど申しましたように、さまざまな分野のご意見を聞いて、ここまでつくってきたものでありまして、むしろこれから実施するに当たりまして、さまざまな主体、都民、区市町村、民間事業者、NPOなど、行政だけでなく、さまざまな主体と協働でやるものですから、それの実施に当たりましては、その段階でも意見の反映に努めていきますというご答弁でございます。
▼山下委員
そもそも都は、オリンピックをてこに都市を変革する、二〇一六年の東京の将来像を明らかにするとしましたが、これは、私から見れば、今後の十年間の東京の改修計画の一覧を公表したにすぎないのではないかと考えています。
都の、これは知事も何か一部、もしかしたら訂正があったら後で触れていただければと思いますが、どこかの場面で知事もそういった趣旨の発言を、もしかしたら、されたんではないかなと。(石原知事「そういった趣旨とは何だよ、はっきりいってくれ」と呼ぶ)はっきり申し上げますと--ちょっと今の形はおかしいと思いますが、「十年後の東京」の改修計画、こういった部分について、知事がどこかの場面で、マスコミの前でしょうか、私も確証がありませんので申し上げられませんけれども(発言する者あり)そういう発言もあったやに伺っております。
都の「今後の財政運営の指針」では、新規事業や必要に応じて既存事業に終期を設定すると述べていますが、「十年後の東京」では、それぞれ事業の終期が設定をされていませんが、明確な理由をお答えください。
▼知事本局長
たびたびのご答弁ですけれども、「十年後の東京」は、二〇一六年、すなわち十年先の東京の近未来図と、その実現に向けた政策展開の方向性を示す、いわゆる都市戦略として策定したものでありまして、いわゆる事業計画ではございません。
お話しの「今後の財政運営の指針」に示されました終期の設定は、具体的な事業を対象とするものでございまして、「十年後の東京」に対しては当てはまらないと考えております。
▼山下委員
当てはまらないというふうにおっしゃいますが、私が思うにそもそも「十年後の東京」とうたわれてお出しになっているわけですから、十年後の東京はこうなりますよというふうにおっしゃっているというふうに考えます。
その実現のためには、具体的な事業を積み重ねていくという作業があるんだというふうに思います。このままでは、今の答弁、確かに繰り返しの部分が多くありましたが、私が本当に十年後、今描いているものが完成するのか、そういった東京になるのか、現時点においては何も今まだ、質問をまだしますけれども、明確なものが得られていないという段階においては、疑問だとしかいいようがないということだけはあえて申し上げておきます。
続いて伺いますが、知事いわく、「十年後の東京」を東京の可能性を具体的な政策の方向として示した近未来図であると述べていらっしゃいますが、具体的なものであるとするならば、その財政的な裏づけも、これもやはり示していかなければならないというふうに当然私は考えるんですが、その財政的裏づけをここで明確にしていただければと思います。
▼知事本局長
「十年後の東京」でございますけれども、これは先ほどいいましたように、将来の目指す東京の姿と、それに向けました政策の展開の方向を示す都市戦略でございますから、個々の事業の実施計画ではございません。
具体的な事業費につきましては、今後、この実現に向けた重要施策、重点事業の取り組みにおきまして、政策展開の具体化を図る中で明らかになっていくものでございます。
なお、実効性の担保につきましては、地球温暖化対策推進基金など三つの新しい基金の創設や、組織横断型の戦略会議における検討によりまして、実現の確保をしていくつもりでございます。
▼山下委員
要は、私が今の質問で伺いたかったのは、「十年後の東京」に必要な総事業費というものは一体どれぐらいなんだろうかなと、そういう意味合いで質問をさせていただいて、ご答弁に繰り返しの部分もありましたが、そういったご説明がありました。
要は、これから計算というか、これからいろいろやっていくんだということだろうというふうに私は考えています。
現時点において、総事業費が……(発言する者あり)ぜひ聞いていただきたいのですが、総事業費が示されないということで……
それでは十年後に向けた八つの目標というものを掲げている……
もう一回質問の冒頭から参りますけれども、現時点で総事業費が示されないということであれば、それでは十年後に向けて目標を八つ、この中では定められているというふうに思いますが、その中の一つ、水と緑の回廊で包まれた美しい東京を復活させるというふうにあります。この目標は、私も別に何も反対するものではなくて、実現をぜひしていただければ、それが一番ありがたいことだと、すばらしいというふうに思っていますが、これも先ほどの繰り返しになりますが、この目標をも実現するためには一体幾らかかるのか。もちろん細かな数字じゃなくて結構なんですよ。こういう目標で、例えば先ほどの終期の問題でもそうですけれども、いつまでに、幾らかかって、どういう計画でやるのかというものをお示しをいただけてない今の計画に、私は質問しているわけです。
そういった観点から、この目標を実現するために一体幾らかかるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
▼知事本局長
同じ答弁で大変申しわけないんですけれども、これは個々の事業の実施計画ではございませんので、具体的な事業費につきましては、今後、この実現に向けた重要施策、重点事業等の取り組みにおきまして、政策展開の具体化を図る中で明らかとなるものでございます。
▼山下委員
同じご答弁をいただけると、していただいているというふうに思えば、まだ八つ残っている中で一個ずつ、じゃあこれはどうなのかと伺っていきたい気持ちはやまやまですが、これを全部伺っても、答弁は同じ、これからというふうなことでしょうから、これ以上伺いませんが、私がここで明確に申し上げておきたいのは、今、先ほどの総事業費もそうですけれども、事業費、具体的、個別な八つの目標ですよ、目標に掲げている、それよりさらに細かい話をしているのではないのです。目標に八つ掲げていて、それを実現するためにどうするんだという、その事業費を具体的に実際的にどうするんだというものに対してお答えをいただけなかったということに関しては、今現在においてはないんだろうなというふうに推測をさせていただいています。
総事業費も示していただいておりません。そして、具体的な事業費もお示しをしていただけないこの状況の中で、これはまさに私から見れば絵にかいたもちだというふうに思います。知事は以前、この定例会の中でしたが、批判した抽象的なマニフェストと、これでは全く一緒だと私は逆に申し上げたいというふうに思います。
本当に知事のおっしゃるように具体的な近未来図であるとするならば、これらの事業を執行する上でも、具体的な実施計画を示す必要があると思いますが、知事のお考えをお聞かせいただければと思います。
▼知事
これは、十年一昔という言葉がありますけど、英語ではワンディケードといいますが、大体それが一区切りなわけです。ですから、十年先の、要するに近未来どうなるかという想定で、しかも、要するに実現、今の都市力をもってすればできることを何項目か挙げました。現に、例えば国がやっていないC型肝炎対策などは、予算を組んで始まっていますよ。そういったものも、ピラミッドをつくるみたいにいろんなところから一つ一つずつ足をつくっていくわけです。
ですから、これは国会の問題になるかもしれないけど、あなた方の取り次いで、やっぱり、オリンピックが果たしてIOCで勝てるかどうかわかりませんが、一応それを想定して、東京の一番ネックである三環状を完成しよう。だったら、要するに中央環状、これは変な形で凍結されたわけですから、計画路線にのせなくちゃいけない。この努力というのは、これは国会の仕事なんですよね。これはやっぱり民主党に協力してもらいたいし、しかも、その一つ、前提になるオリンピックも、これはやっぱり私たちも北京のオリンピックに協力しようと思っていますが(資料を示す)これ、おたくの民主党の議員さんも入っていて、きょうどこか経済団体の前で、北京オリンピックを--心情はわかりますよ、この人たち。わからないではないけど、あなた方はやっぱり、オリンピックについても民主党というのは一体どういう足並みなのか。これだってやっぱり東京に響いてくる一つの前提なんですよ。だから、民主党のオリンピックに対する足並みというのは一体どうなのかも、それがわからぬと、私たち、三環状をオリンピックを名目に進める迫力にならないじゃないですか。しかし、いろんなものを地ならししながら、どっちから石を一段二段積んでいくか知らぬけど、戦略というのはやっぱり、いきなりばかっとできるものじゃない。行政というのはそんな簡単なものじゃない。それをひとつ考えて質問していただきたい。
▼山下委員
私、なるほど、今の知事のご答弁を伺って、私が伺いたかったのは--まあ最後の部分、若干答弁いただいたというふうに思いますが、具体的な実施計画を示す必要があるんじゃないですか、ご答弁をお願いしますと伺っているんです。それに対して今知事は、いろいろもろもろありましたが、民主党の議員がこんなことをやって、オリンピックどうなんだ、そんなこと聞いてないんですよ、知事。そんなこと聞いてないんです。私が質問をさせていただいていることに対して、知事はぜひその質問に対してのご答弁をいただきたいと思います。
もう一回、いいですか、もう一度申し上げます。もう一度申し上げますが、具体的な実施計画を示す必要があるのではないんでしょうか。どう思いますか。
▼知事
それは当然、当たり前のことじゃないですか。大きなスキーム、戦略をつくって、それを実現していくには、いろんな戦術というものが構築されて戦略が完結していくわけです。だから、今申し上げたように、要するにあの中の一つの項目である、これからの要するに住みやすい東京、健康も含めて、C型肝炎なんていうのも着手しているじゃないですか。これから先、例えば緑の回廊をどこから先につくっていくかという問題はやっぱり区市町村と話し合いでしょうよ。これは戦術ですよ。しかし、それは大きな戦略がなかったら、どこの区市町村も物をいわないし、話も聞かないじゃないですか。物はやっぱりそういうふうに構造的にできているんですから、それを考えて質問してください、あなた。
▼山下委員
いいですか、知事、もちろん知事だけじゃないと思いますが、いろんな方の力があって、十年後の東京はこうなりますよという絵をかかれたわけですよね、知事が。で、おっしゃるとおり、これからやらなきゃいけない作業もいっぱいあると思うんです。それは私もよく理解できています。理解しているつもりです。でも、明らかにここにオープンにしたもののレベルが、現段階において我々にとって何のチェックのしようもないものじゃないんでしょうかと、そういう観点で、裏づけはどこにあるんですかというふうに伺っているわけであります。
では--いや、待ってください、待ってください。答弁されますか。じゃあお願いします。
▼知事本局長
先ほどのお話ですけれども、要は実効性をどう担保するかでございますけれども、それはさまざまなやり方があると思います。今回、十年後の都市戦略を示したのは、その戦略に基づいて、先ほどご答弁しましたように、予算サイドからすれば、地球温暖化対策基金を初め、新たに三つの基金を創設することによって、財政の実効性を担保しようとする考え方。もう一つは、組織については、今までの都庁の、組織横断的に戦略会議をつくって、その改革でやっていきましょうと。それから、毎年度組みます重点、重要事業につきまして、ローリングして具体化を図っていこうということでございます。
▼山下委員
最後に一言だけ申し上げます。
今後この計画がどうなっていくのか、我々は厳しくチェックしていくことを申し上げ、私の質問を終わります。
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