予算特別委員会 総括質疑

中嶋義雄
中嶋義雄(公明党)
■財政

 ▼中嶋委員
 公明党を代表して、総括質疑をさせていただきたいと思います。予算の審議をきちんとさせていただきます。
 日本経済は、イザナギ景気を超えたといわれている景気拡大が続いておりますし、政府の経済見通しでは、十九年度も持続的な成長が実現する、こういう判断だそうです。したがって、十九年度、再び国、東京ともに大幅な税収増が見込まれておりまして、都の税収は、税源移譲の影響を除いても五兆円を超えて、バブル期並みの税収規模となりました。これは一面、政府・与党一体となった構造改革などの結果として経済の再生が進み、企業収益が回復した結果であるともいわれております。
 ところが、今月号の「日経ビジネス」という雑誌の中で、余り個人名を出して--野村総合研究所のリチャード・クー氏、テレビによく出ていますけれども、彼がこんなことをいっているんですね。七年間までの過去の損失を企業が繰り延べられるように税制上の措置がとられた、企業はその間、利益を出しても税金を払わなくてもよかったと。それで、企業収益が上向き始めても、最初は税収が低迷を続けた。その猶予期間がようやく終わって一気に今の水準に回復した、税収がふえたように見えるのはそのためだ、こういっているんですね。さらに同氏は、こうもいっている。これまで税金を払っていなかった企業が払うようになると、今後の景気にマイナスに働くおそれがある、こうもいっております。これはあくまでもリチャード・クー氏の判断ですから、これが真実かどうかはわかりませんが、しかし、気になる話ではございます。
 そこで重要なのは、やはり引き続き的確な財政運営となると思います。景気回復といわれておりますが、およそ八〇%の中小企業は、いまだに景気拡大の実感がないという調査結果もございます。また、家計部門は依然として回復がおくれている、こうも指摘されております。
 したがって、さきに紹介したリチャード・クー氏も、結論としてこういっているんですね。景気が本格的に回復するまでは、もうしばらくの間、公共投資などを通じ、民間企業へ資金を循環させる必要がある。これはいい指摘だと僕は思います。
 そこで質問です。
 都の財政基盤を確かにするため、これが一点。また、個人や中小企業からもきちんと貴重な税収を確保する。これはとりもなおさず個人と中小企業の活性化を意味するわけですから、そのためにも、適切な公共事業などを通じ、確かな経済成長をこれからも維持する必要がある、こう思いますが、都の見解をまず示していただきたいと思います。

 ▼財務局長
 今後とも安定的、持続的に税収を確保していくためには、お話のとおり、経済を一段と活性化させ、中小企業を含めた企業収益、個人所得あるいは個人消費の腰折れを防ぐという視点が重要であると考えてございます。
 経済を活性化させるためにも、東京への投資は重要な役割を果たしておりまして、十九年度予算でも、投資的経費、とりわけ単独事業に重点的に財源を配分したところでございます。
 このほか、東京の活力源といえる地場産業の発展も重要な課題であり、企業業績の向上に直接結びつくような中小企業への支援策の充実も不可欠であると認識しております。
 こうした取り組みを通じ、東京の活力を維持していきたいと考えております。

 ▼中嶋委員
 ぜひとも、今後とも経済状況をよく見きわめて、的確な財政運営を望みたいと思います。
 さてそこで、十九年度の予算案でありますが、まずその特徴といいますか、最も意を払った点は一体何か、これを都民に明らかに示していただきたいと思います。

 ▼財務局長
 十九年度予算の最大の特徴は、施策の充実と財政基盤の強化の両立を実現したことでございます。
 まず、政策面では、目的別の一般歳出におきまして、福祉と保健が金額、構成比ともに過去最高となっているのを初め、すべての分野で、前年度に比べ予算額を増加させております。
 また、財政基盤の強化につきましては、隠れ借金などの懸案課題の抜本的解決を進めますとともに、基金につきましても、新たに創設した三基金を含め、九千億円を超える水準まで残額をふやしております。
 このように、今回の予算では、都税収入の増加とこれまでの財政再建の成果である新たな財源を、現下の課題に対するさらなる施策の充実、過去からの懸案課題の解消、将来の財政需要に備えた貯蓄の増強の三点にいかにバランスよく配分するかという点に最も留意しながら予算を編成してまいりました。

 ▼中嶋委員
 答弁でありました、現下の課題に対するさらなる対応、過去からの懸案課題の解消、そして、将来の財政需要への備えと、非常にいい視点だと思います。
 このほど、「十年後の東京」という中期プランを発表しましたが、私も、都議会、都に来て十年がたちます。十年前、財政の大変厳しい状況でありました。二千億とか三千億単位で税源不足がずっと続いておりました。都議になった瞬間、新規事業が何もできない、非常に暗たんたる気分になったのは、今でもはっきりと覚えてございます。そういう教訓が我々にはある。
 したがって、今年度の十九年度の予算の中で、こうしたこれまでの都政が経験した教訓がどのように生かされているか、これも明らかにしていただきたいと思います。

 ▼財務局長
 十年間、近年の財務運営から学びましたことですけれども、都税収入が、景気の動向によって増減どちらの方向にも、三年間で一兆円近くも変動するという現実でございます。巨大であるがゆえに急激な方向転換ができないという歳出構造、そこから導き出される中長期的な視点の重要性ということがいえると思います。
 そのため、十九年度予算では、目先の税収増や財政再建の成果に安住することなく、職員定数の削減や、東京都版市場化テストの実施など、内部努力や施策の見直しにつきましても引き続き厳しく取り組み、一般歳出の増加を都税の伸びよりも低く抑えているところでございます。
 そして、そこから生み出した財源を基金の充実など財政基盤の強化に振り向けておりまして、過去の教訓を十分に生かした予算になっていると認識しております。

 ▼中嶋委員
 おっしゃるとおりで、さまざまな経験を都政は積んできた。財政的にもですね。中長期的な視点が重要である、こういう教訓を生かして予算編成を行ったと。おっしゃるとおりで、景気には、そもそも浮き沈みが避けられない。隠れ借金もありましたし、負の遺産もあった。そうした点も解消した。これは、我々も評価をするところでございます。
 また、十六年ぶりに五%を切ることになった起債依存度も注目すべきである、我々はそう判断しております。国が依然として三〇%という高い起債依存度の水準にある中で、これは都の財政の健全性がようやくあらわれてきた、こういってもいいと思います。
 そこで、これは後でいいますけれども、財政の健全性をはかるために、歴代の知事の起債依存度を比べたい。なぜかといいますと、だれが予算編成したか、これは極めて大事であります、政治的にも。したがって、美濃部知事以降の知事がそれぞれ予算編成を行った年度における起債依存度をお示し願いたいと思います。後の質問につながります。

 ▼財務局長
 お尋ねの、年度における普通会計決算の起債依存度の平均でございますが、美濃部知事が一〇・一%、鈴木知事が七・五%、青島知事が一〇・八%、石原知事が、平成十七年度決算までで六・四%となってございます。

 ▼中嶋委員
 数字は明らかでありまして、美濃部知事、鈴木知事、青島知事に比べて、石原知事の時代は六・四%、圧倒的に起債に依存しない財政が、今、東京都では行われている。
 さて、いいたいことは、ここからであります。であるにもかかわらず、これを素直に認めず、誤った主張を相変わらず繰り返している勢力がある。共産党であります。石原知事になってから都債残高がふえている、こういって、さも知事が大型開発を優先して借金をふやしているかのような印象を、主張を行っております。そこで、この主張が正しいのかどうか、検証しなくてはいけない。毎年やっているから、もういいかげんやめたいんだけども、仕方がない。
 そこで、初めに、石原知事が就任して以降の都債残高の推移を示していただきたい。

 ▼財務局長
 一般会計の都債残高につきましては、知事就任当初の平成十一年度決算で七兆一千七百十一億円、平成十九年度末見込みで六兆七千六百三十四億円と、四千七十七億円の減となっております。

 ▼中嶋委員
 ちょっとおかしいんじゃないのかな。これ、赤旗の記事なんですね。赤旗の記事。二月二日。都予算案の特徴という囲み記事ですね。そこで、四千億円都の借金がふえるなんて書いてある。石原知事は都債を四千億近くもふやしたみたいなことが書いてある。あたかも今の都政が、石原都政が借金を重ね、むだ遣いばかりしているといわんばかりのこの赤旗の記事であります。
 こうした誤った赤旗、共産党の計算の根拠、これは一体何だと思われますか、財務局長。

 ▼財務局長
 平成十一年度決算には、平成十四年度に一般会計から分離した都営住宅等事業会計分の都債が含まれておりまして、この影響を控除いたしますと、平成十一年度末の一般会計の都債残高は六兆三千七百六十八億円となり、これと比べて平成十九年度末見込みは三千八百六十六億円の増となりますので、この数字を使っているのではないかと考えております。

 ▼中嶋委員
 結局、一般会計の合計ということでいえば四千億円の減、都営住宅事業会計分を除くと四千億円の増、こういう数字の、いってみればマジックみたいなことでやっている。
 本当に石原都政が、共産党がいうように、借金をふやして浪費を重ねているかどうか、これが問題であります。
 そこで伺うが、都の財政が全国で最も起債依存度を低く抑えている、これはさっきの答弁で明らかであります。で、都営住宅等会計の影響を除いた都債残高が増加となったと共産党はいっている。こういう要因を、改めて、理解できるように、わかりやすく説明をしていただきたい。

 ▼財務局長
 都債残高が増加となった主な要因は、平成四年度から都債の償還方法を変更したことによるものでございます。すなわち、毎年度少しずつ返済する定時償還方式から、十年後に一括して返済する満期一括償還方式に変更したことによりまして、発行後十年間は都債の残高が減少しない仕組みになったことによるものでございます。

 ▼中嶋委員
 つまり、償還方法の違いによって、見かけ上のこういう話になる、こういうことです。共産党のいい分、赤旗の記事は、余りにも意図的であり、悪意すら僕は感じますよ、悪意すら。この間、都債残高が見かけ上減少していないのは、都債発行の制度が変更されたためにすぎず、借金をむやみにふやしたことではないことは明らかであります。にもかかわらず、共産党の赤旗が、知事が大型開発を優先し、四千億円も借金をふやしたなどと報じるのは、もはや悪意に満ちた謀略に近い。この八年間で、投資的経費は二〇%以上減少していることを無視した態度は、やはり都民を欺く行為といわざるを得ないと私は思います。
 ちなみに、さきの本会議場で、共産党の河野百合恵議員が、建設業者を支援すべきであるなどと訴えておりましたけれども、公共事業は悪者だ、投資的経費はとんでもないなんていっていながら、何で建設業者の支援ができるのか、明らかな矛盾であります。
 我々は、税収が減って財政が厳しくなったときには公共事業を減らし、また、税収がふえるのに合わせて投資的経費をふやせる、こういう今の石原都政の姿勢を評価したいと思います。建築業をなりわいとする中小零細企業の方々を支援したいと思うのであるならば、適切な投資的経費を運営する必要があります。
 もう一点。また、財政を共産党が論じたいというのであるならば、減債基金への積立分もきちんとカウントすべきであります。つまり、都債の残高については、普通会計によって議論すべきであります。普通会計とは、総務省の定める基準によって全地方公共団体の会計を統一的に集計したものであり、地方債残高が減債基金の積み立てを差し引いたベースで表現されていることから、都債残高の真の姿を示しているといえます。都営住宅会計分も含んでおり、公正公平な物差しといっても、決して過言ではございません。
 そこで、普通会計での都債残高はどのように推移しているか、明らかに示していただきたいと思います。

 ▼財務局長
 普通会計ベースの都債残高は、平成十一年度決算で七兆六千六百八十三億円でございましたが、平成十九年度末には六兆六千九百九十一億円となる見込みで、九千六百九十二億円の減となっております。

 ▼中嶋委員
 ちょっとパネルを見てください。全く今の答弁どおり、この赤い、わかりやすくしたんだけど、美濃部都政のときの借金増減の比較ですね、普通会計。プラス九千七百三十九億円。石原都政、こっち、九千六百九十二億円。減っているんです。青い線で示した石原都政は、一兆円近くも都債残高を減らしてきた。これが事実であります。あたかも都債を乱発したかのような共産党の主張は、でたらめであります。それに対して赤い線の美濃部都政の都債残高は、一年目に一千四百七十一億円、それが八年後には一兆一千二百十億円、九千七百三十九億円も増加した。何と七倍以上にふえている。
 こうした基本的な事実を知らないのであれば、明らかに勉強不足であり、無知である。また、知った上で、それでも訴えて主張しているのであれば、これはまさに捏造にほかならない。問題である。
 昨年の予算特別委員会でも指摘をいたしました。共産党は、あえて数字の表面づらをとらえて、その時々によって都合よく使い分けている。明らかであります。都民に誤解を与えかねない宣伝は、断じてすべきではありません。
 これまでの財務局長の説明で、いかに今の石原都政が、将来世代の負担をふやさないように配慮しながら財政の健全性の確保に努めてきたか、数字の上からも明らかになりました。これからは、健全化された都財政を維持して、さらに都政の発展が求められます。
 改めて、今後の財政運営に関して、知事の見解をいただきたいと思います。

 ▼知事
 最大の懸案でありました財政再建は、都政のむだを排して歳費を切り詰めるとともに、お話のあった都債発行の抑制にも努めることで目標を達成し、昨年発表しました都のマニフェスト「十年後の東京」を実現する土台を固めることができたと思います。
 相変わらず都合のいい数値のみを取り上げて、全く根拠のない非難を繰り返す共産党のデマゴーグは、もうあきれ果てますが、財政再建の成果は、八年間の取り組みの集大成である十九年度予算を見ていただけば明らかであり、大多数の方のご理解を得ていると思っております。
 今後大切なことは、ようやく手に入れたこの健全な状態を維持しながら、この成果をしっかりと都民に還元していくことでありまして、都政の構造改革を進めつつ、東京の魅力と都民福祉の向上に取り組んでいきたいと思います。
 先ほど、リチャード・クー君の言葉を引用されましたが、まだまだ財布を緩める段階ではないと思いますし、外的な要因としましては、このごろヨーロッパ系の何人かの学者がいい出しましたけれども、いわゆるマルチポラリティー、両極主義の体制が終わって、世界は非常に宗教的な対立が激化し、狂信的な宗教戦争が起こりかねない。そして、国際経済の流通というのが阻まれて、力のある国が、逆にむしろ内に閉じこもるという、そういう時代が来るかもしれぬ。これまた私たちが気をつけなくちゃいけない、日本の経済を左右しかねない新しい条件の到来だと思っております。

■福祉・医療費助成

 ▼中嶋委員
 次に、保健福祉に関連して質問したいと思います。
 選挙が近いせいか、再び、さっきもいいましたが、共産党の悪意と虚飾に満ちたチラシが目立ちます。中には、我々公党を侮辱するようなものまであるので、看過できない。いっぱいあります。いっぱいあります。もう数限りない。
 それで、先ほど、大型開発優先という共産党の主張は誤りであると、予算の内容から明確にいたしました。同様に、福祉切り捨てというステロタイプの決まり切った批判も、同じく間違いであるということをはっきりさせたいと思います。
 予算の分野別配分で、福祉と保健が七千九百三十一億円、過去最高であることは、何度も指摘をいたしました。では、一人当たりの保健と福祉の予算の額を、全国との比較で示していただきたいと思います。

 ▼財務局長
 普通会計決算の民生費をもとに東京都と全国平均を比較いたしますと、比較可能な最も直近のデータでございます平成十六年度決算では、全国平均で一人当たり三万二千円であるのに対しまして、東京都は一人当たり四万二千円となっており、額にして一万円、率にして三割以上も高くなってございます。

 ▼中嶋委員
 平均が三万二千で、都は四万二千円、三割も高い。東京都の人口が分母が圧倒的に多いことを考えれば、この一人当たりの予算額の示す意味は大変に重いと私は思います。予算、とりわけ一般歳出は、その自治体の意思の具体化であり、決算は結果であります。比較に用いるべきは、こうした予算の数値であると私は思います。
 そこで、さらに、平成十一年から十九年度に至る一般歳出の変化、また増減の理由、これを説明していただきたいと思います。

 ▼財務局長
 一般歳出の総額は、平成十一年度予算が四兆八千九百三十三億円であるのに対しまして、十九年度予算は四兆三千三百六十六億円となっておりまして、十一年度と比べ五千五百六十七億円減少しております。
 その理由といたしましては、この間、清掃事業を特別区へ移管いたしましたこと、また、都営住宅事業を特別会計化したことなどもございますが、何よりも、財政再建の取り組みによって内部努力や施策の見直しを進め、都財政のスリム化を図ったことが一番の要因と考えております。

 ▼中嶋委員
 わかっていないようだから、重ねていうが、一般歳出の予算、それが自治体の意思。決算は結果にすぎない。したがって、比較に用いるべきは予算だ。自治体の意思を判断するのは予算です。で、申し上げている。まだわかっていない。しようがない、先に進みます。
 結局、この一般歳出は、いろんな努力で縮減をした。努力を積み重ねて、もちろん清掃事業、あるいは都営住宅の事業が特別会計に移ったような制度の変更もありますが、さまざまな努力を積み重ねて五千五百億円以上も一般歳出を圧縮してきた。この行革の努力は、大変に評価できる努力であると、僕は思います。
 では、次に、この八年の間、石原都政、そして我々議会がどの分野に力を入れてきたか、予算の面から検証したいと思います。
 福祉と保健、都市の整備、生活の環境などの各分野において、つまり、一般歳出総額が圧縮されてきた中で、増額した分野は一体何か、各名目別内訳の十一年度と十九年度の対比をお示しいただきたいと思います。

 ▼財務局長
 十九年度予算の分類に基づきました形で整理して比較いたしますと、例えば、都市の整備や生活環境などが大きく減少しております。その一方で、福祉と保健が三百一億円の増、警察と消防が七十六億円の増となっております。

 ▼中嶋委員
 近視眼的というのは否定的な形容詞で、やっぱり近視眼的はよくない、それがよくわかります。
 体感治安が悪化した。この十年間、治安対策が非常に強調された。で、警察と消防は大事だ。それで警察と消防は増額した。でも、わずか八十億です。一方、福祉と保健は三百億円も増加しているのが、今の財務局長答弁で明らかになりました。全体で圧縮している中で、福祉と保健はこれだけ増額されている。福祉切り捨てなどと決まり文句のようにいう共産党、知事や我々議会を侮辱するだけではなく、都民をも欺くものである、こういわざるを得ません。
 さて、当然、単純に数字の増減だけで東京の福祉保健を語るつもりはありません。内容がより重要だ。予算増とあわせて、この間、福祉保健施策の内容がどのように変化したか、明らかにする必要がございます。
 そこで、東京都の福祉政策の特徴、あるいはその先進性を明らかにし、三百億円増、ふやしてきたことの意味も含め、十一年当時と比較した十九年度予算案の評価、福祉保健の面における評価を、局長、はっきり示していただきたい。

 ▼福祉保健局長
 都では、これまで、知事のもと、利用者本位の福祉改革、患者中心の医療改革に積極的に取り組んでまいりました。これら改革の一環として、時代にそぐわなくなった経済給付的事業の見直しや、負の遺産の解消などを進めてまいりました。一方で、都民が真に必要とするサービスの拡充には重点的に財源を投入し、国に先駆け、認証保育所やグループホームの整備促進、小児救急医療体制の充実などに努めてまいりました。
 平成十九年度予算案は、これらの施策をさらに進めるとともに、区市町村包括補助など、他の自治体にない制度を創設し、都民福祉の一層の向上を図る観点から編成されております。
 改革前の平成十一年度と平成十九年度とでは、介護保険制度の導入や三位一体改革などにより、比較の前提となる制度が大きく変わっております。予算内容も大きく異なります。予算は、ご指摘のとおり、都の意思である政策を数字で示したものであり、一方、決算は予算を執行した結果でありますから、予算の比較でこそ議論すべきものと考えております。この観点から、平成十九年度予算案を平成十一年度予算と比べると、一つ一つの施策の積み重ねの結果として約三百億円ふえ、過去最大の予算額となっております。

 ▼中嶋委員
 繰り返しになりますが、これまで議論してきたとおり、都政の意思である一般歳出は、福祉と保健の分野は三百億円の増、共産党を初め批判勢力が敵視する都市の整備関連予算は大幅なマイナス。目先の議論に終始して、このおよそ十年間にわたる事実を無視してはなりません。つまり、共産党の福祉切り捨て、大型開発優先との批判は明らかに的外れであり、それこそ逆立ちした議論である、こう断ぜざるを得ません。
 今、やいのやいのいっておりますけれども、結局、どうしようもない。東京発医療改革、福祉改革推進プラン、都立病院改革マスタープラン、TOKYO福祉改革STEP2、福祉・健康都市東京ビジョンなど、総論的には取り組んできた。具体的には、認証保育所、五年間で三百五十もの新しい保育所をふやした。また、認知症高齢者グループホーム、定員が平成十二年にはわずか四十四人、十八年には三千三百六十五人にふえた。障害者地域生活支援緊急三か年プラン、グループホーム、三年間で三百カ所、約三千人の定員を確保、こういうことを現にやってきている。
 これらを一切無視した議論、こうした事実、実績を無視し、あるいは忘れ去り、政治的な目的、政略的な意図、さらには選挙目当てで、根拠のない、無責任な場当たり的な批判を繰り返す、これは政治の貧困に拍車をかける結果しかもたらしません。共産党に猛省を促したいと思います。
 さらに猛省を促すために、まあ、聞きなさい。さらに猛省を促すために、あと一つ聞きたい。さっきいった共産党のチラシ、それがこれ。驚くべき内容です。医療費助成は自分たちがやった。医療費助成は自分たちがやったという内容です。(発言する者あり)今、質問中だ。
 福祉保健局長、これは事実ですか。僕は、議事録等を見ても、これは明らかにデマ宣伝だと思います。改めて、義務教育就学期の児童に対する医療費助成を実施することになった経緯を明らかにしていただきたいと思います。

 ▼福祉保健局長
 昨年の第三回定例会に共産党から提案のあった東京都子どもの医療費の助成に関する条例案については、所得制限を設けないことや、条例化により区市町村の政策展開の自由度を奪いかねないなど、課題が多いものであったと認識しております。
 一方、今回の義務教育就学児医療費助成事業は、国の医療制度改革での子どもの医療費負担軽減の方向性などを踏まえ、所得制限を設けた上で、区市町村が実施主体として、医療費の自己負担分の三分の一を助成する場合に、都が要綱に基づき事業費の一部を補助するものでございます。
 これは、昨年六月十九日の東京都議会自由民主党、都議会公明党による子どもの医療費助成の対象年齢拡大の申し入れなどを契機に検討に着手し、平成十九年度予算案に盛り込んだものでございます。

 ▼中嶋委員
 今の答弁で明らかなように、自分たちがやったなどという共産党のチラシの中身は事実ではなく、デマ宣伝というしかありません。また、共産党のチラシは、自民、民主、公明、生活者ネットは共産党の議案に反対し、邪魔したなんていう記述を、書いておりますが、それも今の局長の答弁で明らかであります。共産党の提案には課題が多過ぎてとても実現不可能だと。その後の我々の議会での提案によって初めて医療費助成が実現に向かった。今の答弁で明らかであります。こういうとんでもない中身のデマ宣伝を堂々とチラシで全国でばらまく。どう考えても通常の神経とは思えません。
 そもそも、子どもの医療費の助成は、区市町村が地域の実情に合わせて独自に取り組んでいたものであり、都がそれをバックアップする意味がございます。都内には六十二の区市町村が存在し、それぞれ異なった判断と課題を抱えてございます。そうした自治体の独自の判断を勝手に縛るような条例は、都は避けるべきであります。
 特に、財政的には大変厳しい多摩の市町村への支援策を講じずに、一方的にこうした要素を無視して政略的に条例案を頻発する共産党の手法は、選挙目当てのパフォーマンスといわざるを得ません。これは断じて今後はやめてもらいたい。これこそが節操がなく欺瞞に満ちた態度にほかなりません。まあ共産党の遺伝子かもしれませんが、いいかげんにしろと強く警告したいと思います。

■金融支援策

 ▼中嶋委員
 それからもう一点、共産党は、都は中小企業関連の予算を削減し、融資制度を後退させるなどとチラシでも書き、本会議でもいっておりました。産業労働局長、これ、事実ですか。しっかりと答弁を。

 ▼産業労働局長
 お答えいたします。
 産業労働局の金融支援策の実施に当たりまして、多様な資金調達の手法を構築いたしまして、中小企業に対して円滑な資金供給を行っております。
 都は、制度融資を初めといたしまして、CLО、CBО、ベンチャーファンド、新銀行東京の創設など多様な金融施策を展開し、むしろ拡充してきております。制度融資についても、常に制度の見直しを行い、平成十七年度におきましては、融資目標額を上回る約一兆八千三百億の融資実績を上げ、平成十八年度におきましても、現時点で前年同月比一三%を超える増加を示しております。
 今後とも、中小企業金融の多様化及び充実に向け、積極的に取り組んでまいります。

 ▼中嶋委員
 これもでたらめじゃないか。とんでもない。
 それからもう一点、これは共産党の知事候補の吉田万三さんの都政改革プランだそうでございます。こんなことが書いてある。福祉後進都市への道を歩み始めましたと。中小企業予算は四割も削ったと。こんな都政を自民、公明、民主、ネットなどが支えていると。いいたい放題。いいたい放題。すべてうそと虚飾でしかない。
 さて、知事、いつもながら大変困ったことであります。困っても対処せねばならぬ。大型開発優先、ゼネコン・大企業優先、福祉切り捨て、庶民いじめ、こんなゆがんだ批判、そして今回の医療費助成の実績横取り、こんな共産党のやり口に対していかにお考えか。
 またあわせて、さきに発表した「十年後の東京」構想実現の第一歩となる本年度の予算案であります。世界に先駆けて超高齢社会における新たな福祉都市モデルを東京が発信すべきであります。
 二点にわたって知事の決意を伺いたいと思います。

 ▼知事
 都は、これまでの八年間、いわゆるばらまきの経済給付的事業など、時代にそぐわない見直すべき事業は見直すことで、破綻しかけていた財政を何とか土俵中央にまで押し戻すとともに、真に必要とする人へ効率的、効果的にサービスが行き渡るよう、福祉改革、医療改革に取り組んでまいりました。
 昨年末に策定しました「十年後の東京」では、これまでの取り組みを発展させ、アルツハイマー病の研究開発、障害者雇用の創出、待機児童の解消など、お年寄りも子どもも、だれもが生き生き暮らせる、世界に先駆けた超高齢社会の都市モデルを創造したいと思っております。
 平成十九年度予算は、ウイルス肝炎対策や多重債務者支援など先駆的な取り組みを開始するとともに、戦略的な施策展開を可能とする福祉・健康安心基金の創設など、十年後の東京へ向けたキックオフの年にふさわしいものができたと自負しております。
 今後とも、東京から日本を変えるという理念のもとに、福祉改革、医療改革をさらに加速させ、大都市東京の持つポテンシャルを存分に引き出していきたいと思っております。
 今回の医療費助成制度創設の経緯など、事実を覆い隠し、自分たちに都合のいい理屈ばかりをあげつらう共産党さんの、福祉切り捨てや庶民いじめなどとの批判を繰り返すことは、まことに遺憾なものであります。

 ▼中嶋委員
 まさに懲りない面々ではございます。共産党主導の美濃部都政において、職員を十七万六千人から二十二万人にふやし、予算の四二・五%が人件費となり、赤字団体転落の危機に見舞われました。その結果、下水道料金は二八〇%の値上げ、水道は一六〇%、さらに都バス、都電、分娩費用、火葬費用なども軒並み値上げされた。こうしたおろかなまねは二度と繰り返してはならない。共産党はぜひよく学習していただきたいと思います。
 また、これは読売新聞の経営者であり主筆である渡辺恒雄氏が日本経済新聞に書いた昨年十二月六日の「私の履歴書」であります。こう書いてある。「左翼の力が頂点に達した昭和二十二年の二・一ストのとき、私たち学生党員はある劇場の楽屋に集められた。そこで党の中央委員が『君たちの任務は電源爆破だ。電源が爆破されれば、この先五年は暗黒になり人民が飢える。人民が飢えれば革命が起きる』と演説した。」。また、キャサリン台風が甚大な被害をもたらした直後、徳田球一書記長がこういった。徳球は、しめたと手を打ち、これは天与の革命のチャンスだという。人民が飢えると革命が起きるから飢えをつくれ、飢えを喜べという論理の粗末さに唖然としたと書いてらっしゃいます。
 人々の不満と不安をあおる共産党のやり口は、今も昔も変わらないと思わざるを得ません。こんなことを続けていれば、人々の信任は断じて得られないと強く申し上げたいと思います。

■オリンピック

 ▼中嶋委員
 さて、続いて大東京マラソンとオリンピックについて質問いたしたいと思います。
 東京マラソンは、自民党さんも質問されてございました、大成功であったと思います。三万人のマラソン、本当にうまくいくのかと、実は若干心配をしておりましたが、IT技術は大したものでございます。
 うちの党の高倉議員も十キロコースを走らせていただきました。彼がいうには、広い道路を走っていると本当に感きわまってきた、非常に感動的であった。また、都の道路とはこんなに広いのかと改めて驚いたそうでございます。走っているすべての人々が本当に感動しながら走ったと。また、走らずに安逸に応援に回った小磯議員がおりましたけれども、見ていて、来年は走りたいといってございました。うちの議員がこう思ったほどですから、一般都民も恐らく感動して参加してくれたものだと思います。
 また、ある若手の作家のコメンテーター、テレビのコメンテーターがいっておりました。ふだんは経済活動や車に占拠されている都心の道路が、人間が主役になったと、確かにおっしゃるとおりであります。都心の道路が開放されて人間が主役となり、広い道路を大勢の人たちが走る光景、東京の新たな角度の魅力の発信、あるいは今まで我々が気がつくことのなかった東京の魅力的な表情を改めて見せていただくことができたと思っております。
 推進役となった知事はもちろんのこと、現場で苦労された担当の部局の皆さんに心から敬意を表したいと思ってございます。これも恐らく、オリンピックの誘致あるいは観光振興のためのシティーセールス、これらを行う上でも大変効果的なセールスポイントになると考えられます。
 マラソンは質問が出ましたから、これ以上は質問は続けませんが、オリンピック、前回の六四年東京大会を振り返りますと、招致実現の推進力として、多数の外交官あるいは海外在住の日系人実業家など多士済々の人材が動いたと聞いてございます。PR活動を戦略的に展開して、世界の世論に大きな影響を与えたそうでございます。そうした人々を突き動かしたのは、敗戦で打ちひしがれた祖国を世界の一等国に押し上げたいとの共通の思いであったと聞いてございます。
 当時と現在では状況は大きく変わりました。また、働きかけの方法も変わっていると思いますけれども、時代は変わっても、積極的なプロモーションが招致実現に大きく影響するのは変わりがございません。
 そこで質問です。先日、IOC理事会で、国際プロモーションの期間が六カ月延長されると決定されたそうでございます。実際に活動をスタートさせることができるのは一年半後でありますが、これはチャンスだと東京は受けとめるべきだろうと思います。今からプロモーション体制の整備に万全で取り組むべきであります。
 今後、招致活動の顔ぶれ、これは招致委員会が決めるのでありましょうが、まずは招致委員会の会長である知事が先頭に立って、海外にも積極的に出向き、率先してプロモーションを展開していただきたいと思います。知事を先頭に世界を舞台に相手にして戦っていただきたい。決意を伺いたいと思います。

 ▼知事
 IOCにおける競争のルールが大分変わりまして、前よりも厳しくなったのは結構なんですが、どこに隠れた道があるかなかなかわからない節もありまして、情報を収集するに苦労しておりますが、いずれにしろこれは、おっしゃられたように、一種の全力総合戦でありまして、そういう意味では、つてのあるところを全部確かめ、それぞれの人に微にわたり細にわたり働いていただいて、初めて結果が出ると思います。
 いろいろ案もございますけれども、この月末に正式に招致委員会がNPOとして出発いたしますので、その時点で政府にも幾つかの項目について了解をしていただき、かつ、そのうちに決定もしていただき、特に外交官のOBで社交性のある、そういうカップルがかなりいるようでありますから、ヨーロッパの専門、アフリカの専門、中近東の専門、アジアの専門、それぞれチームを組んで、もちろん私も先頭を切ってやりますが、余り出過ぎるとまた怒られますので、外国に行き過ぎと。はい。いずれにしろ、総力戦でIOCの競争に勝ちたいと思っております。

 ▼中嶋委員
 あと二問予定していましたけれども、今の知事の答弁で全部答えてありますので、二問は省きます。
 ぜひ積極的に、知事を先頭に多くの人材を糾合して、世界で戦いを挑んでいただきたいと思います。戦いに名乗りを上げたからには断じて負けないと、この決意が大事であります。これは右翼でも何でもない、人間の当たり前の覚悟の問題でございますので、釈迦に説法かもしれませんが、よろしくお願いしたいと思います。
 関連いたしまして、大東京マラソン、繰り返しになりますが、私も感動したので繰り返すのですからね。東京のスポーツ文化の発信はできたと思います。今後展開されるオリンピックの招致活動も、東京のスポーツ文化にかける意欲の発信とも重なってくると思われる。スポーツはできた。また、さっき話題になったトーキョーワンダーサイト、それから議会と第一庁舎を結ぶワンダーウォール、時々理解不能の絵もかかることがありますけれども、若手アーチストの人材育成も緒についた。スポーツと美術はいった。スポーツ、美術ときたら、次は音楽です。次は音楽です。

■音楽振興

 ▼中嶋委員
 そこで、ワンダーサイトでも音楽表現を扱っていると聞いたんですが、ぜひ説明を願いたいと思います。

 ▼生活文化局長
 トーキョーワンダーサイトでは、開館以来、美術だけでなく、音楽の分野でも、演奏家や作曲家を招いた企画を毎年六回から七回程度開催をしております。
 さらに、昨年度は、現代音楽で世界有数の演奏集団であるドイツのアンサンブル・モデルンによるレッスンに三十名を超える日本の若手音楽家が参加をいたしまして、その成果を合同のコンサートで披露するという画期的なプログラムを実施いたしました。
 また、現代音楽の演奏方法を国内外の演奏家から学ぶワークショップだとか、日本を代表する作曲家の間宮芳生氏や湯浅譲二氏によるレクチャーコンサートなどのプログラムもスタートさせたところでございます。
 これからも、若手音楽家に対してさまざまな支援を行っていきたいと存じます。

 ▼中嶋委員
 いいことをやっているのに余り広く知られていないのは残念だから、ぜひ宣伝に努めていただきたい。斬新で意欲的な取り組みを期待したいと思います。
 ところで、音楽といえば、上野の音楽のメッカ、都饗の拠点でもある東京文化会館、ここで小澤征爾氏が中心となってオペラの森、大変に好評だと。今後も毎年継続するそうで楽しみであります。こういうすばらしいイベントには都饗も全面的に協力すべきだろうと僕は思っております。
 さて、東の音楽の拠点が上野の東京文化会館であるならば、西の池袋には東京芸術劇場があります。あそこの三階まで吹き抜けの……五階か。五階まで吹き抜けの長いエスカレーター、あればかりが有名だなんていうのじゃ恥ずかしい。もったいない。内容を大事にしたい。ここにはコンサート専用の大ホールがあります。
 また、ルネッサンス、バロック、モダン、三つの時代の音楽を一台で演奏できる世界で唯一のパイプオルガンがあります。僕も最近知って驚きました。世界で唯一だそうでございます。残念ながら、こういうオルガンの存在が都民に広く周知されているとはいいがたいと思います。現在でも定期的にオルガンコンサートを開催していますが、もっと広がりのある活用を検討すべきであります。
 この世界で唯一のパイプオルガンを活用して東京芸術劇場の個性をさらに磨いていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

 ▼生活文化局長
 東京芸術劇場におきましては、広く都民にパイプオルガンの響きを鑑賞していただくために、パイプオルガンによるコンサートを月一回実施を既にしております。若干PR不足の点があったのかと反省をしておりますが、また、これまでプロの演奏家しかさわることのできなかったパイプオルガンを一般の都民の方にも直接触れて弾いていただくことのできるオルガン講座も定期的に実施をしております。このほかにも、ホールの音響を生かしたシアターオペラや、古楽器によるモーツァルトのフルート演奏会なども行っておるところでございます。
 今後とも、多くの都民が音楽に接する機会をふやし、充実した時間を楽しめるように、PRも積極的に行いまして、芸術劇場の特性を踏まえた事業を発展させていきたいと存じます。

 ▼中嶋委員
 そこで、抽象的なことをいっていても、なかなか話は、事態は進まない。上野でオペラの森をやっているんだったら、知事、西の芸術劇場はバロックの館とかなんとかいって、いやいや、笑っているけれども、なかなかいい名前だと思いますよ。いいよな。ぜひこういうシンボリックなイベントを東京芸術劇場で考えてもらいたい。
 東京マラソンで新たな東京の魅力が発見できた。日常とは別な角度の表情が見えた。東京芸術劇場も、一時期、バブルの象徴なんていわれていましたけれども、何かやればまた表情は変わってくる。池袋の文化的な表情も変わってくると思いますので、ぜひ考えてください。答弁を。

 ▼生活文化局長
 バブルの象徴ではなくて、バロックの館というネーミングというのはまことに斬新なものでございまして、傾聴すべきご提言として参考にさせていただきたいと存じます。
 東京芸術劇場は大小さまざまなホールがございまして、都の文化施策を実現する創造・発信拠点としての大変重要な役割を担っていると思っております。
 今後、東京芸術劇場が東京文化会館とともに存在感を示し、東京の文化的魅力を国内外に発信する文化施設になるよう、東京芸術文化評議会のご議論もいただきながら、事業の充実を図っていきたいと存じます。

 ▼中嶋委員
 バラックの館ではなくて、バロックの館だからね。地元議員が間違っては困るよ。
 クラシックは食わず嫌いが多いんですね。私の友人でポルシェのセールスマンをやっている人がいまして、学生時代は音楽鑑賞の時間は昼寝の時間と決めていた男が、ポルシェを売った六十歳代ぐらいの非常に上品な方から、君、ポルシェにはクラシックが似合うといわれた瞬間、クラシックを買い込んで聞いたら、「パッフェルベルのカノン」に狂っちゃって、ずっと聞いているんですね。もっとも、ポルシェというのはうるさいから、どこまで聞けるかわかったものじゃないんだけれども、触れると、クラシックの魅力というのは結構説得力があるんですね。クラシックはもはやヨーロッパの文化ではありません。人類の普遍的な音楽文化の基礎、ベースであることは間違いありませんので、ぜひ東京芸術劇場を生かしていただきたいと思います。
 実はショパンコンクールでも日本人は活躍しています。うちの松葉議員がいつもいっているバレエのプリマドンナも、日本人が大分活躍しています。海外では活躍するのだけれども、日本に帰ってきても活躍する舞台がなくてなかなか帰ってこられない、こういう声も何度か聞いたことがございます。そんな東京であってはならないと思いますので、ぜひとも知事、オーケーを出してくれましたので、期待していますので、よろしくお願いします。

■まちの景観

 ▼中嶋委員
 続いて、文化に関連いたしまして、まちの景観について質問をいたしたいと思います。
 まちの景観は、建築物や広告物、いろんなものがかかわったり要素となって形成されております。デザインも大事ですが、色彩もそれと同様に大事であります。
 今回都が提案いたしました景観計画の素案では、建築物の屋外広告物の色彩規制に初めて踏み込んだと聞いてございます。これは都民も大変関心が高い。色彩にまで踏み込んだ東京都、今後、市街地の色彩の誘導についてどんな基本的な方針で臨むのか、明らかにしていただきたいと思います。

 ▼都市整備局長
 成熟した都市にふさわしい、美しい東京を実現するためには、町並みの色彩について調和を図り、風格や落ちつきが感じられる景観を形成することが重要でございます。このため、景観計画の素案では色彩の基準を提案しており、一定規模以上の建築物等について、原色に近い色を避け、土や樹木の緑など自然の色と調和する、暖かみのある色彩を基調とするよう誘導することといたしました。
 また、景観形成特別地区では、一般の地域と比べて、より地域特性を踏まえた基準を定めるとともに、企業のロゴマーク等についても派手な色彩を抑え、観光資源である水辺や文化財庭園の緑が地域の主役として引き立つよう、街並みの色彩を誘導することとしております。

 ▼中嶋委員
 色彩を一定の範囲におさめて落ちつきのある景観をつくる、これは大変歓迎したいと思います。大賛成。
 しかし、具体的な基準で規制するとなると、いろんな反応が予想されますから、事前に慎重な検討が必要だと思います。今回の色彩基準の検討の経緯と、今後規制の実効性の担保についてどう考えているか、局長の答弁をいただきたいと思います。

 ▼都市整備局長
 今回の素案においては、色彩基準を提案するに当たりまして、過去十年間に景観条例に基づいて届け出された一定規模以上の建築物、約三百八十棟を調査いたしました。この結果をもとに、街並みとして落ちつきが感じられる色合い、明るさ、鮮やかさの範囲を定めております。
 素案の基準では、調査対象のうち約九割が適合しており、今後、基準に適合しない色彩計画が提案された場合には、必要に応じて条例に基づき勧告や変更命令を行ってまいります。

 ▼中嶋委員
 昔、環七の沿線に、もろピンクの外壁のレストランができました。唖然としたことをいまだに覚えております。感受性は人によって違うから、ピンクのレストランもいい人はいいかもしれないけれども、よく慎重に、効果のあるように運営してもらいたい。
 都市空間というのは都民、国民の共有財産、共有空間で、公共空間の質を高める必要がある。なかなか難しいんだけれども、一方で、地域全体で色彩に統一感が感じられるようになれば、都の基準を少し外れてもいいのではないかというケースも考えられる。いろんな場合がありますので、地域特性に応じた対応とか、個別への対応とか、運用をある程度考えておかないと、なかなかうまくいかないと思いますけれども、見解はいかがでありましょうか。

 ▼都市整備局長
 都は、街並み全体の色彩について一定の調和を図るため、今回の基準を提案しております。
 一方、歴史的な街並みや建造物が残されている地区、計画的な都市づくりが行われている地区などにおいて、地区計画等により良好な景観形成に資する独自の基準が定められる場合には、これを尊重することといたしました。
 また、地域固有の自然素材を使用し、周辺の景観との調和が可能となる場合には、景観審議会の意見も参考にして、事業者の提案を生かすこととしております。
 今後、こうした取り組みを通じ、地域の多様な特性を踏まえながら、良好な景観形成を推進してまいります。

 ▼中嶋委員
 ぜひ地域に合った基準を設けて、良好な景観形成を色彩の角度からも実現していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

■子育て支援

 ▼中嶋委員
 続いて、子育て支援について何問か質問をしたいと思います。
 きのうですか、一・三を超えたと。つい去年までの論調は、もう二度と出生率は戻らないみたいな書き方をいっぱいしていましたけれども、一・三を超えました。やれば変わる、できるわけですから、しっかり頑張りたい、深く考えるなと。施策を充実させれば進歩する。したがって、いろんな角度の支援が必要であります。
 まず第一に、とりわけ住宅施策における支援策、これが大事であります。
 昨年の四定の代表質問で、全面的に改正される住宅基本条例の中に子育て支援が明記された、これを取り上げて、小さな子どものいる世帯に対する都営住宅の優遇制度をつくれと提案いたしました。都は、未就学児のいる世帯に対する新たな制度を考えたいと、そのときはこう答弁いたしました。もう時間が経過いたしました。新たな制度の具体的な内容、実施時期、そろそろ明らかにしていただきたいと思います。答弁をお願いします。

 ▼都市整備局長
 子育て支援につきましては、少子高齢化が進展する中、住宅政策においても重要な課題と認識しております。
 都営住宅では、これまで、ひとり親世帯や十八歳未満の子どもが三人以上いる多子世帯に対し優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居を導入してまいりました。
 来年度から新たに導入する制度は、小学校就学前の子どもが二人以上いる世帯について、抽せん倍率を七倍優遇するものであり、本年五月から募集ができるよう準備を進めております。

 ▼中嶋委員
 こういうのはもっと早く都民に伝えてあげてください。大変に喜ばれます。私も実は四人の子どもがおりまして、小さいころは住宅が大変ですから。男の子と女の子がいると、やっぱり部屋数を確保しなきゃなりません。ですから、やはり住まい、ぜひお願いしたいと思います。
 引き続いて、子育て支援について質問いたします。
 子どもの健やかな成長を支えるためには、妊娠期からのトータルな支援が不可欠であるといわれております。公明党は昨年四月にチャイルドファーストプランというのを発表いたしました。このプランの中では、医療保険の給付対象外となっている出産費用あるいは妊婦健診に関する負担の軽減、そうした妊娠期の支援策についても触れております。
 その結果、出産一時金、これは昨年十月、これまでの三十万から三十五万円に引き上げられました。同時に妊婦健診の公費負担、これも従来の二回から五回を標準にすると国の考えが示されました。もっとも、妊婦健診は区市町村の母子保健事業でありまして、したがって公費負担による回数、またその内容については、まず区市町村が独自に判断すべきことであります。
 したがって、区市町村にはぜひ積極的に対応していただきたいと考えておりますが、東京都としても広域的な立場から前向きに対応すべきであると思います。局としてどんな対応が可能か、見解を求めたいと思います。

 ▼福祉保健局長
 妊婦健康診査は、妊娠中の定期的な健康管理によりまして、安全な出産や母と子の健康を支えるだけでなく、子育て相談の支援に結びつけるきっかけとしても重要でございます。
 妊婦が妊娠から出産までの間における健康診査は、通常十五回程度でありますが、区市町村ではこのうち二回分を公費負担の対象とし、統一的な健診項目と単価を設定して実施しております。
 これに加え、現在、十の区市町村で助成額の上乗せなどの独自の取り組みを行っており、平成十九年度はさらに七区市町村が独自の取り組みを行う予定と把握しております。
 都としては、国の動きを踏まえ、公費負担の対象とすべき健診項目の選定など技術的支援を行いながら、区市町村の積極的な対応について働きかけてまいります。

 ▼中嶋委員
 特に都会では、子育てについて若い母親が孤立をしてしまう可能性がある、これは前から指摘されておりました。
 そこで、こんにちは赤ちゃん事業、そういうのも始まったと。さまざまな悩み、不安に対応する事業が始まった。これは国です。同様に都は、これから子どもを産み育てる家庭を対象に子育てスタート支援事業を開始いたします。この事業の内容とその効果、局長、答弁を願います。

 ▼福祉保健局長
 この事業は、平成十九年度から新たに取り組むモデル事業でございまして、区市町村が母子健康手帳交付時などの機会を通じて、出産や子育てに支援を必要とする家庭を早期に把握し、見守りなどを続けながら、特に出産後の約一カ月間に集中的な支援を行うものでございます。
 この集中的支援の時期には、母親とその子どもを対象として、宿泊または通所により、妊産婦ケアの専門職である助産師が個別のプログラムに基づく母体のケアや母乳育児の支援などを行います。さらに、その後も支援を必要と判断した家庭に対しては、子ども家庭支援センターでの相談や訪問事業など、継続的なサービスに結びつけてまいります。
 こうした切れ目のない支援を行うことによりまして、妊娠期から出産直後にかけた不安感の軽減を図るとともに、安心して育児に取り組む環境を整えてまいります。

 ▼中嶋委員
 もう改めていうまでもなく、大変重要な事業であります。こうした事業はまだ他の自治体には余り見られません。これは非常に大きな、発展する可能性を秘めた事業であると私は思っております。というか、むしろ発展させていく必要がある。都として、今後のこの事業の展望を示しておくべきだと思いますが、局長、いかがでありましょうか。

 ▼福祉保健局長
 モデル事業として実施する三年間の取り組みを通じまして、対象者の範囲やその把握方法、ケアプログラムの内容、事業効果等について検証を重ねてまいります。その上で区市町村の意向等を踏まえながら、普及に向けた検討などを行っていく予定でございます。

 ▼中嶋委員
 何事もスタートが肝心で、やはり子育て開始前後が極めて重要でありまして、そこで何か問題があると虐待とかにつながる可能性もありますので、しっかりした取り組みをお願いしたいと思います。

■認知症対策

 ▼中嶋委員
 続いて、今度は高齢対策で、認知症問題について質問したいと思います。
 この認知症、だれもがなり得る病であります。都内は高齢者の約一割といわれておりまして、さきに示された「十年後の東京」においては、その数は三十万人に達するという予測が出ている。予測するだけでは意味がないので、だったらなおのこと、一刻も早い予防法、治療法の開発が我々の切実な願いであると思います。こっちが大事。
 昨年六月に、東京都神経科学総合研究所でアルツハイマー病の新ワクチンを開発したと聞いてございます。マウスで効果を--マウスに認知症ってあるのか。あるんだね。マウスで効果を確認したところ、効果が出た、多くの記事が載った、こう聞いて、患者から、患者の家族から問い合わせが殺到したそうでございます。
 したがって、改めて都民全体に、東京都神経科学総合研究所で行っているアルツハイマー病研究の現状、これを報告していただきたいと思います。

 ▼福祉保健局長
 認知症の約半数を占めますアルツハイマー病は、脳内にベータアミロイドというたんぱく質が蓄積しまして、脳神経細胞が破壊されて発症するものでございます。
 東京都神経科学総合研究所では、このベータアミロイドを除去する免疫機能を活性化するワクチンの開発を進めております。現在使われているアルツハイマー病の薬は、記憶障害などの症状の改善にとどまっておりますが、今回の研究は、病気の原因を除去するものとして期待されております。
 現在、動物実験を行っており、安全性、有効性が確認されれば、予防、治療薬としての実用化に向け、早急に研究を進めてまいります。

 ▼中嶋委員
 これは大変なことでありまして、世界的にも、進行をおくらせる薬は既にある、しかし治す薬はなかったと。それが根本的な病気の原因を除去する可能性が出てきたということはすごいことでありますから、ぜひ力を入れてやっていただきたいと思います。
 また、神経総合研究所とは別に、有能な老人総合研究所がありますね。ここでもやっているはずですから、どうなんでしょう、ここではやっているんですか。もしもやっていれば、また新しい可能性が出てくる。

 ▼福祉保健局長
 東京都老人総合研究所では、陽電子断層撮影装置、いわゆるPETにより、脳の活動状況などを立体画像で分析し、認知症の早期診断に役立てる研究を行っております。
 アルツハイマー病の場合には、ほとんど症状がない段階でベータアミロイドの蓄積状況を分析し、早期に診断を行い、治療を開始することが可能となります。また、認知症の発症などには、食事、運動、知的活動などの環境的な因子が関係していることが明らかになっております。
 この成果を認知症予防に生かすため、高齢者が小グループで、ウオーキングなどの運動や料理、園芸などの知的活動を行うプログラム開発の研究にも取り組んでおります。


 ▼中嶋委員
 いいじゃないですか。ほとんど症状がない段階でベータアミロイドの蓄積状況を分析して診断ができる、老人総合研究所で。一方、神経科学研究所の方では、根本的治癒が可能な薬がもうすぐできそうだと。これはぜひ老人総合研究所と神経科学研究所、もっと連携を密にして最先端の研究成果を持ち寄って、一日も早い実現を見るべきです。局長、決意を。おれらもなっちゃうかもしれないんだからね。

 ▼福祉保健局長
 認知症の予防法、治療法の確立は、超高齢社会における都民の安心を確保する上で極めて重要な課題でございます。
 現在、都が監理する東京都医学研究機構の三研究所と老人総合研究所では、認知症に関してさまざまな研究を行っております。今後、これらを有機的に結びつけ、予防、診断、治療、ケアの総合的な研究に取り組み、その成果を都民に有効に還元できるよう努めてまいります。
 また、アルツハイマー病の予防、治療に関する研究開発を一層推進していくために、福祉・健康安心基金も積極的に活用してまいりたいと考えております。

 ▼中嶋委員
 ぜひ東京都で認知症を克服する、これはなかなか大事業ですから、局長、頑張ってやってください。局長が頑張ってもだめか。でも責任者だから、何でもいいから頑張ってくださいよ。

■発達障害対策

 ▼中嶋委員
 続いて、発達障害対策について質問いたしたいと思います。
 LD児やADHDあるいはアスペルガー、僕も発達障害の説明を受けました。都内唯一の発達障害支援センター、一時間話を聞くと本当にいろんな意味で考えさせられます。自分自身、思い当たる節もありますし、自分の周辺にも思い当たる人が、いろいろ考えられます。これはかなり背景の広い問題かもしれませんので、しっかりと取り組みたいと思います。
 近く府中に予定されている小児総合医療センター、ここでもやると。ただ、我々は、梅ケ丘病院が閉鎖されるので都立病院でも発達障害に対応しろと、こう主張して、大塚病院でやりますという答弁をいただいてございます。いつ大塚病院に発達障害に対応できる小児精神外来が開設されるのか、まず教えていただきたいと思います。

 ▼病院経営本部長
 小児精神科の開設でございますが、具体的なスケジュールとしましては、平成十九年度施設設計を行いまして、平成二十年度に整備工事に入り、平成二十一年度末の小児総合医療センター開設を視野に入れて、それ以前には運営を開始できるよう万全の準備を行ってまいります。


 ▼中嶋委員
 梅ケ丘病院が府中に移るわけですから、府中と大塚病院で連携をとって対応していただきたいと思います。
 それから、東大病院の東大医学部の加藤教授、国から補助金を引っ張ってきて発達障害の研究をしています。東京都の行政と連携をとりたいと教授本人がいっているんですから、一生懸命そことも連携、これは大塚本部長じゃなくて、違うかもしれませんけれども、これも考えてもらいたいと思います。
 そこで、大塚病院で--都立大塚病院ね、大塚さんの病院じゃなくて。都立大塚病院で精神外来を開いた場合、入院は対応できるのかどうか、答弁を。

 ▼病院経営本部長
 入院を必要とする患者さんにつきましては、小児総合医療センターと密接な連携を図りまして、小児総合医療センターに病床を確保して受け入れていく予定でございます。


 ▼中嶋委員
 わかりました。本当はもっと細かに聞きたいんですが、あと一点あります。世田谷にある成育医療センターでも発達障害を扱うと内々聞いています。もしもそうであるならば、成育医療センター、府中、それから大塚病院、さらには東大医学部、これで連携してできないか、この辺いかがでしょう。

 ▼病院経営本部長
 小児精神を扱う医療機関というのは全国的にも相当限られておりますので、今おっしゃられた病院間で連携をとっていくというのは、当然我々も視野に入れながら、小児総合医療センター及び大塚病院の外来棟の設置に向けて努力してまいりたいと思っております。


 ▼中嶋委員
 わかりました。済みません、ちょっと駆け足の質問で大変恐縮ですけれども、発達障害は大事ですから。大体、発達障害支援センターが各都道府県に一カ所なんていうのはおかしいんですよ。東京都に一カ所しかできないんだから、ぜひ病院等で対応してもらいたいと思います。大塚さんにいってもしようがないんだけれども。

■電力のグリーン購入

 ▼中嶋委員
 次に、環境問題で、電気のグリーン購入について質問したいと思います。
 再生可能エネルギーの利用拡大が大きなテーマ、課題であります。去年の予算特別委員会で、電力のグリーン購入を都有施設で行うべきだと。その答弁は、検討する、こういったんですね。検討した結果どうなったか、グリーン購入のルール化づくりは進んでいるのか、答弁ください。

 ▼環境局長
 電力購入のルール化につきましては、今回、競争によって電力供給事業者を選ぶ都有施設においては、単に価格のみを条件とするのではなく、環境に配慮して電力の調達を行うという方針を決定いたしまして、先般、財務局長、環境局長の連名で各局に通知したところでございます。
 この方針は、購入する電力の五%以上の再生可能エネルギーの調達をするというものでございまして、平成十九年度の電力購入から適用してまいります。


 ▼中嶋委員
 ぜひやってください。
 問題は、今の制度では、電気代として企業が支払い済みのグリーン電気代に対して法人税がかかるんですって。これは何とかできないか。国は企業のグリーン購入を促進すべきでありながら、国税当局は逆のことをやっていると。グリーン電力の購入代金についても法人税を負担させない、こういう税制改正を国に要望すべきです。これが一点。これは要望するしかないんでね。
 もう一つ、こうした再生可能エネルギー、電気のグリーン購入、今の答弁でルール化したことはわかりました。こうした例は、他の自治体にまだないんですね。ここからは知事の出番だと思うんだけれども、八都県市でグリーン購入を徹底してやるべきだと思います。八都県市でやれば、もっと早急に全国に広がります。電気のグリーン購入、これも検討していただきたい。あしたやれとはいっていませんから、局長、二つ答弁をお願いします。

 ▼環境局長
 一問目の方でございますけれども、都内には結構、企業の中で自主的に再生可能エネルギーの拡大をしようとしているところがあるんですが、それをさらに広めるということになりますと、今ご指摘いただいたように、一生懸命頑張っても、それが経営上非常に負担になるというふうな状況が、今、税法上ございます。
 このような観点から、今ご提案いただきましたように、グリーン電力の購入代金が税法上、正当に経費として算入できるように、制度改正を国に対して提案要求してまいります。
 それから、広域的な拡大ということでございますけれども、自治体が電力のグリーン購入を制度化するに当たっては、再生可能エネルギーの調達をするとか、あるいはその実績を確認するという方法の明確化とか、契約に当たっての仕様書の標準化などについて一定のノウハウがございまして、都はこれまでの経験をもとに、電力のグリーン購入マニュアルみたいな形でノウハウをまとめてきております。
 これを他の自治体などに積極的に提供しようということで、来月、全国の自治体や自治体職員、企業の社会貢献部署の担当者などを対象としてセミナーを開催いたします。八都県市にもこのセミナーについては参加を呼びかけておりますので、こうした取り組みを進めていきながら、電力のグリーン購入について、首都圏を含め全国的に拡大するように、積極的に取り組んでまいります。


 ▼中嶋委員
 ぜひ再生可能エネルギーでも東京都がリードしていただきたいと思います。
 時間がないので、多摩の林業の復活と山林の再生と木質バイオマスエネルギーの生産、この三位一体の事業を次回に提案いたしますので、これは産労の方だ、覚悟しておいていただきたいと思います。
 一点です。不動産担保融資に過度に依存しない新たな融資手法、つまり動産担保。公明党は、製品在庫、製造機械、IT機器などの動産を担保にした融資制度をつくれと、こう主張いたしました。かなり導入の環境は整備されつつあると思います。動産担保導入の環境はどう変わったか、これが一点です。
 時間がないのでもう一点質問しちゃいます。環境が変わったのであるならば、そろそろ動産担保の導入に踏み切るべきだというのが我々の主張であります。
 別々に聞きたかったんですが、時間がありません。しっかりと前向きな答弁、産労局長、やってください。

 ▼産業労働局長
 国におきましては、在庫商品などの動産等を担保にした融資を普及させるために、中小企業信用保険法の改正法案を今国会に提出するとともに、金融機関やノンバンク、商社などと共同で動産担保融資協会(仮称)を設立する予定であります。
 動産担保融資につきましては、既に一部の政府系金融機関において実施されている例がありますが、今後、本格的に普及するには、動産等の管理体制や評価方法の統一、処分マーケットの整備など、多くの解決すべき課題があると認識しております。
 さらに、東京の産業力を高めていく、それを支える基盤といたしまして、不動産を持たない中小企業やベンチャー企業が事業に必要な資金を円滑に調達できる環境を整備する必要があり、動産担保融資は、新たな資金供給の手法として期待できるものであります。
 資金調達手法の多様化という観点から、国や金融機関による課題解決の状況等も見きわめながら、東京信用保証協会、金融機関と連携を図りつつ、不動産担保に過度に依存しない資金調達方法の確保に向けまして、都としても国へ働きかけるなど努力してまいります。



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