第1回定例会 一般質問

平成19年2月16日(金)

環境破壊の外環道路計画中止を
点字ブロックの目標を持つべき

伊沢けい子
伊沢けい子(無(市民の党))
■道路行政

質問1
 石原都知事は、オリンピック招致のためとして、三環状線の整備など、道路部分だけでも六兆円もかかる計画を示しています。中でも外環道は、地下の本線及び地上部の計画を合わせると二兆円もの予算がかかることになります。東京都も予測しているように、これからは都も人口が減少し、少子高齢社会になろうとしている中で、このような道路に多額の税金を使うのではなくて、生活に密着をした予算配分に切りかえるべきときが来ています。
  実際に市民の方から要望を受けることが多いのは、歩道の整備、点字ブロックの整備などです。こうした、生活していく上で必要不可欠であり、整備が急がれるものが中心となっています。
  こうした視点に立って、東京都の道路行政について質問をしたいと思います。
  まず、外環道路計画についてです。
  私の地元の三鷹市では、外環道路計画において、東八道路とのインターチェンジ、また中央道とのジャンクション、二カ所の換気塔など、関係の沿線七区市の中でも最も大きな影響を受けることから、今、住民の間で外環道路計画に対する反対、そして疑問の声が大きく上がってきています。
  特に、昨年四月に、インターチェンジから出てきた車を市内に受け入れるための地上部の都市計画道路が新たに五本も住宅地の真ん中に示されたことから、市民グループによる反対の署名運動が始まりました。
  また、この一月に東京都が三鷹市に対し、外環の高架式から地下方式への計画変更への意見を求めていましたが、三鷹市が計画変更に同意する意向を示しました。このことについて、市民側としては三鷹市の姿勢に納得できないとして、三鷹市に対して、外環計画の受け入れについて賛否を問う住民投票を行うべきという運動が昨年末に始まりました。
 その結果、一月四日から二月四日、ことしわずか一カ月の間に、一万一千二百一名もの住民投票を求める市民の署名が三鷹市内で集まったのです。住民投票を求めるために必要な法定数の約四倍もの署名が集まることとなり、市民の関心の高さを示すものとなっています。そして現在は、住民投票実施に向けての手続が進められているところです。
  そこで、住環境、自然環境への影響という点で、三鷹市への住民投票請求の理由となっている、疑問点にも挙げられていることを中心に質問をいたします。
  第一に、外環と中央道とのジャンクションで、三鷹市の立ち退きの住宅数が、現在でも二百六十棟必要と公表されていますが、昨年四月発表された第三次事業化計画で優先整備路線とした五本の都市計画道路及び外環ノ2を含めた立ち退き戸数を含めると何棟だと考えているのでしょうか。

答弁1
 ▼都市整備局長
 都市計画道路外環ノ2などの移転戸数についてでございますが、三鷹市内の優先道路整備路線については、平成十八年四月に策定されたものであり、現段階で移転戸数について把握してはおりません。
  また、外環ノ2については、現在、緑豊かな道路にするなど、三つの検討の方向性を地元に示している段階であり、移転戸数については把握しておりません。



質問2
 第二に、外環ノ2についてです。
  外環ノ2は、外環本線の真上に地上部の道路案として計画が三案示されていましたが、今もそのまま残っているのでしょうか。武蔵野市議会では反対の決議まで上がっております。三鷹市でも住民が強く反対していることについて、都はどういうふうに考えているのでしょうか。

答弁2
 ▼都市整備局長
 外環ノ2の検討の方向性についてでございますが、外環本線に合わせて計画されている都市計画道路外環ノ2は、幹線道路ネットワークを形成し、交通の円滑化を図るとともに、地域の利便性向上や沿線のまちづくりに寄与する道路であると考えております。これまで都は、外環本線を地下化した場合、外環ノ2を緑豊かな道路にするなど、三つの検討の方向性を地元に示してまいりました。この姿勢は現時点でも変わってはおりません。



質問3
 第三に、地下水についてです。
  練馬区から世田谷に至る外環の計画線は、まさに地下水の豊富な場所となっております。ちょうどこの計画線に交わるように七本の川が横切っております。三鷹市では、この豊富な地下水を利用して水道水の六〇%を深井戸からくみ上げて利用しております。特に計画線の沿線には深井戸が集中しており、市内で三十九カ所ある深井戸のうち、二十四カ所は外環の計画されている三鷹市の東部地域に集中しています。このことから、井戸水がかれるおそれについて、ないと断言できるのか、お尋ねいたします。
  しかも、平成十六年に東京都が行った地下水の調査のうち、浅い場所と、それから深い場所との調査に分ければ、この外環が通る深いところの調査は、計画線十六キロメートルのうち十七カ所、つまり一キロにつき一カ所の割合でしか調査していないことがわかっております。これで十分といえるのでしょうか。三鷹市内だと、ただ三カ所のみとなっています。これだけ水道水として利用している深井戸が集中しているのに、十分といえるのでしょうか。これは、地下方式に同意している三鷹市自身も、水がかれるおそれを指摘しているところです。
  また、外環本線と中央道が交わるジャンクション部では、土地の隆起や沈下のおそれがあります。国交省のデータでは、最大一・二メートルの水位の上昇、そして〇・九メートルの水位の低下ということを予測しています。
  都や国は、地下水流動保全工法という、地下水を川上から川下へ流す工事を施せば影響は小さいというふうに説明をしていますが、この工事方法は全国でも実施例がまだ少なく、効果を疑問視する専門家の声も多くあります。三鷹市の場合は特に最大一・二メートルの水位上昇、〇・九メートルの水位低下と、かなり大きな影響を予想しています。土地の隆起や沈下がないと断定しているのでしょうか。


答弁3
 ▼都市整備局長
 井戸の水がれや地盤の隆起、沈下についてでございますが、外環の環境影響評価は、現地で実施したボーリング調査のほか、東京都土木技術センター等が保有する千本以上のボーリングデータなど既存資料も活用し、適切に行っております。
  これに基づき実施した地下水などの予測、評価の結果は、環境影響評価準備書で明らかにしたとおり、地下水流動保全工法など環境保全措置を適切に実施することにより、井戸の水がれや地盤の隆起、沈下への影響は極めて小さいものと考えております。



質問4
 第四に、都市計画道路三・四・一二号線についてお尋ねいたします。
  この路線は、昨年四月に優先整備路線として公表されて以来、地元の井の頭地域では大きな反対の声が上がり、二百人規模の集会が何度も持たれることとなりました。それも、この路線は武蔵野市が反対をしていることから、現段階では井の頭公園駅で行きどまりとなり、静かな住宅街になぜ行きどまりの道路が十六メーター幅に拡張されなければならないのか理解できないとして住民が反対し、三鷹市も井の頭地域については反対をしております。
  東京都はこの路線を優先道路から外すべきではないのか、見解を伺います。
  このように、外環計画地は密集した住宅地で、住環境、自然環境への破壊が余りにも大きいことが予測されます。また、計画そのものに、現段階で非常に重要な点において不明な点が余りにも多く、都市計画決定をできるような状況ではありません。私は、外環の地下方式への計画変更について強く反対をいたします。


答弁4
 ▼建設局長
 三鷹三・四・一二号線についてでございますが、本路線は三鷹市新川から武蔵野市境を結ぶ延長約四・二キロメートルの路線で、多摩東部地域の交通を円滑化し、防災性を向上させるとともに、東京外かく環状道路へのアクセス道路としても機能する重要な道路でございます。
  このうち吉祥寺通りから武蔵野市境までの約三・九キロメートルの区間は、多摩地域における第三次事業化計画の優先整備路線に位置づけており、その整備の必要性は高いと認識しております。
  なお、本事業化計画は、都と三鷹市を含めた多摩の二十八市町が共同で昨年四月に策定したものでございます。
  今後、外環の進捗状況などを勘案し、地域住民の理解と協力を得ながら事業化を進めてまいります。



質問5
 次に、点字ブロックについて質問いたします。
  平成七年から平成十七年までの十年間で、都内の視覚障害者の人数は、手帳を交付されている方の人数ですが、約五千五百人増加しております。これは十八歳以上の大人の視覚障害者の人数がふえているのです。
  高齢化に伴い、さまざまな病気などで視力を失う方が増加しているのではないかと予測がされます。特に病気などで中途で視力を失った場合の生活は大変なことになります。実際、中途で視力を失った場合は、外出が困難になり、家に閉じこもってしまう方が多いというふうに聞いております。
  高齢化が進む中で、ぜひ都内で点字ブロックを計画的にふやしていくべきだと考えます。その前提としても道路への歩道の整備が必要ですが、多摩地域での歩道の整備についての考え方と、整備率についてお答えください。


答弁5
 ▼建設局長
 多摩地域における歩道の整備についてでございますが、歩道は、歩行者の安全の確保はもとより、植栽等による良好な都市景観の形成、ライフラインの収容空間の確保など多様な機能を有しており、その整備を推進することは重要でございます。そのため、歩道の整備に当たりましては、交通量や学校、病院などの配置状況を踏まえ、対象箇所を選定し、計画的に事業を進めております。平成十七年度末の多摩地域における歩道の整備率は六八%であり、平成十八年度は三十六カ所、約六・五キロの整備を行っております。
  今後とも、財源の確保に努めるとともに、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、だれもが安心して歩ける歩道を整備してまいります。



質問6
 また、既存の道路への点字ブロックの整備に使われている予算は、平成十七年度で二千九百万円、平成十八年度で三千百万円となっています。一カ所の点字ブロックへの取りつけ工事には十万円ほどかかりますから、都内全体で三百十カ所しか一年間にできません。
  三鷹市が管轄となっている北多摩南部事務所では、一年間の点字ブロック用の予算が五十万円しかなく、一カ所に十万円かかることから、一年間に五カ所つけるのがやっとという状況です。もっと予算を確保すべきだと思いますが、いかがですか。
  そして、都内全体での点字ブロックについての計画や目標を持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。


答弁6
 ▼建設局長
 歩道における視覚障害者誘導用ブロックの設置についてでございますが、いわゆる点字ブロックは視覚障害者が安全に歩行するための重要な施設であり、障害者団体や福祉施設の職員などと意見交換を行い、アドバイスを受けながら設置しております。
  都は現在、視覚障害者が多く利用する道路や、視覚障害者が多く利用する施設と駅やバス停留所などの交通結節点を結ぶ歩道において計画的に点字ブロックを設置しており、その進捗率は約七〇%でございます。これ以外の箇所におきましても、地元自治体や関係住民などから要望があった個別の箇所につきましては、必要に応じ、設置しております。
  今後とも、障害者団体等と連携を図りながら、視覚障害者が安全で、安心して歩けるよう点字ブロックの整備を推進してまいります。




 最後に、一昨日の東京高裁判決において、東京都教育委員会が行った教員の個人情報漏えいについて違法との判決が出されましたので、ここで発言しておきます。
 去る平成十六年九月二十九日の本会議において、私は、都教委による増田都子教諭の都議会議員への個人情報漏えい問題について追及しましたが、現副知事である横山氏は、当時教育長でしたが、都教委の裁量で行ったことで、適法だと答弁をしました。しかし、一昨日、東京高裁は、そのような裁量に基づく本件議員らに対する本件情報の開示を適法と認めるに足りる法令上の根拠は存在しないと断定しました。そして、都教委は、東京都個人情報保護条例違反の不法行為によって増田教諭の人権を侵害したと認定いたしました。
 横山副知事が教育長時代に行った不法行為について、過ちを認め、謝罪をすべきです。この過ちを教育委員会が認めなければ、現在も繰り返されることにつながることを指摘いたします。
 再質問を留保いたしまして、質問を終わります。

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■再質問

質問1
 再質問いたします。
  先ほど立ち退き戸数について、今の段階で全く把握していないという答えがありました。これでは本当に都市計画変更について行う資格もないと私は考えます。まさに三鷹市民が住んでいる場所がどうなるかということさえも把握していないで、どうしてこんな計画を出すことができるのでしょうか。このことについて、今後把握する予定があるのかどうか、お聞きいたしたいと思います。

答弁1
 ▼都市整備局長
 移転戸数についてでございますが、現在は事業を計画している段階でございまして、事業が進んで、当然測量などの行為がなされれば、移転戸数については正確に把握してまいります。



質問2
 地下水の問題ですけれども、地下水については先日の杉並の都市計画審議会においてもかなりの議論がなされておりまして、その中で、調査が肝心なところで、つまり、地下深度四十メートルからインターのところに上がってくる、斜めになっている場所でのポイントの調査が全くゼロであったというような事実が明らかとなっております。このような状況では、地下水についても全くその影響がわかっていないというふうにいわざるを得ません。このような状況で、どうして都市計画変更できるといえるのかという点についてお尋ねしたいと思います。

答弁2
 ▼都市整備局長
 ボーリングについても、先ほど申し上げましたように、既存のデータ、千本以上使って適切に予測を行っており、環境影響評価準備書で明らかにしたとおり、こういう地盤の隆起、沈下への影響は極めて少ないものと考えております。


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