トップ >都議会ネットリポート>平成19年 >平成18年度公営企業会計決算特別委員会 委員会質疑 >原田恭子(生活者ネット)

平成18年度公営企業会計決算特別委員会 委員会質疑

平成19年11月16日(金)
dot多摩地区の地下水利用
dot都立病院等での洗剤使用
dot交通事業
原田恭子
原田恭子(生活者ネット)
■多摩地区の地下水利用

 ▼原田委員
 多摩地区における水道水の多くは地下水がブレンドされ、それがおいしい水の要因の一つになっています。この地下水を少しでも飲みたいという思いのあらわれとして、毎年多摩の市町村から、休止している水源井戸の再開要望が出ています。生活者ネットワークも、地下水を身近な水源として丁寧に涵養しながら飲み続けることを望んでいます。
 そこで、一元化後の地下水の揚水量の推移をまずお伺いします。

 ▼水道局長
 多摩地区統合二十五市町における年間揚水量は、一元化を開始した昭和四十八年度は約一億五千万立方メートルで、昭和六十年度以降はおおむね一億立方メートル前後で推移しております。平成十八年度は九千九百万立方メートルでございます。



 ▼原田委員
 いただいた資料にも、そのように、ここ十年間ぐらいは地下水の揚水量は安定しているというようなデータが出ています。これからもこの揚水量を保持しながら地下水をブレンドし続けてほしいと要望するものです。
 現在ある水源井戸の維持補修はどのように行われ、その維持補修費はどのぐらいでしょうか。

 ▼水道局長
 井戸につきましては、月二回行う日常点検など定期的な点検を行い、必要に応じまして取水ポンプ取りかえなどの補修工事を実施しているところでございます。平成十八年度における点検及び補修に要した費用は、点検費用が年間およそ一億四千万円、補修費用は七億八千万円、合計で九億二千万円でございます。



 ▼原田委員
 地下水源井戸の点検、補修に関しては一元化後も丁寧に続けている様子で、安心しました。今後、東京都直轄の事業になるということですが、引き続き、水源井戸の丁寧なメンテナンスを続けていただきたいと要望します。
 それで、多摩地区における水源井戸の総数と休止中の井戸数、そしてその休止の原因をお伺いします。

 ▼水道局長
 井戸の総数は二百九十本ありまして、そのうち休止中の井戸は二十九本でございます。また、休止の主な原因は、水位の低下や1・4ジオキサンなどによる水質悪化、地盤沈下防止対策でございます。



 ▼原田委員
 立川の三つの水源井戸が、1・4ジオキサン検出のため休止の状態が続いています。この経緯を見ると、平成十四年の休止以降も汚染は続いているとのお話です。地下水脈は汚染源を突きとめるのが大変難しいということのようですが、環境局、地元自治体と連携し、汚染源を調査することが必要と考えますが、ご見解を伺います。

 ▼水道局長
 現在、立川の三つの井戸からは、依然として1・4ジオキサンが検出されております。当該井戸は深井戸であることや、汚染行為から長時間経過している可能性があり、汚染源を突きとめるのは難しい状況でございます。また、1・4ジオキサンの除去方法につきましては、現在のところ確立されておりません。したがいまして、当面は水質検査を継続し、1・4ジオキサン濃度の推移を見守りながら環境局や地元自治体との情報連絡に努めてまいります。



 ▼原田委員
 地下水は河川の汚染と違って原因究明が難しいということは承知しております。加えて、1・4ジオキサンの処理も大変悩ましいということも聞いております。しかし、このように自然に負荷を与える物質を扱う業者、また、仕事の過程で有害物質を生成してしまう業界への指導監督を強めることは大変大事なことだと考えますし、汚染井戸対策も環境局と関係者の連携でぜひ進めていただきたいと思います。
 汚染井戸対策は、その井戸の水をくみ上げていくこと、これが大事です。立川の井戸を初めとする、汚染のため休止している井戸を放置しないでくみ上げて、少しでも早く水質を回復させることを望みます。多摩地域のそれぞれの自治体が大事に管理し飲み続けてきた地下水の保全をこれからもしっかり継続していくことを要望します。

▲ページのトップへ
■都立病院等での洗剤使用

 ▼原田委員
 さて、PRTR法では、家庭から排出される洗剤、殺虫剤、また、農地やゴルフ場から排出される農薬、都民が運転する、また事業者が運転する車の排出ガスなど、国が推計して公表しています。今、文科省のホームページに、PRTRデータを読み解くための市民ガイドブック、平成十七年度集計結果からというホームページがアップされていますが、家庭から排出される物質の排出量は五万五千トンとされ、そのトップが衣類の防虫剤で三〇%、二位、三位、四位と合成洗剤の成分が続いていまして、二八%、二三%、三%になっています。合計すると半分以上、家庭から排出される合成洗剤の界面活性剤が占めているということです。このホームページは、大変難しい有害化学物質の話をわかりやすく掲載しているので、ぜひ皆さんも一度見ていただきたいと思います。
 先日、新聞の報道で、関東地方整備局、八都県市の、東京湾の水質改善への汚染物質流れ込みを制限しようと、下水道の整備、高度処理施設の充実、家庭での洗剤使用の削減などを盛り込んだ実施計画を作成しようとしている情報が入っております。公の場での洗剤使用は、その流れに配慮するものでなければならないと考えます。
 そこで、都立病院の厨房で使われている洗剤はどのような考え方で採用しているのか、お伺いします。

 ▼病院経営本部長
 都立病院の厨房におけます食器洗浄につきましては、都が委託した民間事業者が実施しておりますが、委託契約の中で使用する洗剤につきまして、事前に都の承認を得ることを義務づけております。この承認に当たりましては、個々の製品の成分表示や危険有害性情報などを確認することによりまして、安全性に配慮するとともに、食器や器具の種類等も考慮しながら使用する洗剤を採用しているというところでございます。



 ▼原田委員
 いただいた全都立病院の厨房で使用している洗剤名の資料を見ますと、全部合成洗剤なんですね。大きな食器洗浄器になると、学校給食の場合でも純粋な石けん使用はノズルが詰まるということで、複合石けんの使用がほとんどです。しかし、手洗い部分は石けんが使用されています。公の病院での洗剤は極力合成洗剤を使わないような工夫をぜひお願いします。
 その次なんですけれども、市場での品質管理マニュアル作成の手引なんですけれども、場内での衛生管理など、項目を立てて内容を示しています。この中での洗剤使用はどのように表記されているのか、お伺いします。

 ▼中央卸売市場長
 都は平成十八年度に品質管理マニュアル作成の手引を策定し、卸売業者が品質管理マニュアルをみずから定め、市場での食品の取り扱いや施設管理などを適正に行っていくよう指導してきました。この手引の中で洗剤の使用につきましては、卸売業者が陳列台やすのこ等の器具類や床面を洗浄する際に、器具類の素材や使用状況、床面の構造に応じた方法を選ぶことが必要とした上で、望ましい方法として中性洗剤を使用した後、水洗い、水切り等を行う例を示してございます。各卸売業者は、この手引の例を参考としながら、施設設備に適した方法をマニュアルで規定しているところでございます。



 ▼原田委員
 この中性洗剤といういい方は、石けんは基本的にアルカリ性ですので、中性洗剤は合成洗剤なんですね。聞けば、市場では水洗いがほとんどだというようなこともございますから、わざわざ中性洗剤というような記述もどうかなと、要らないのではないかと考えます。化学物質というと事業者しか出さないと思いがちですけれども、合成洗剤、殺虫剤など、私たちも知らず知らずに有害化学物質を使っているわけです。せめてこのPRTRに登録された有害化学物質を使用しても、今は問題ないとしても、二十年後、三十年後、安全といい切ることはできませんので、有害化学物質は予防原則からの対応が望まれると考えます。

▲ページのトップへ
■交通事業

 ▼原田委員
 次に、東京都の交通局への質問に移ります。
 経営計画チャレンジ二〇〇一で頭出しをした駅構内への店舗展開、また、チャレンジ二〇〇四で打ち出された福祉環境対策など、社会的課題への対応を踏まえ、十八年度末に策定した新チャレンジ二〇〇七の中で社会的課題の展開についてお伺いします。
 まず、駅構内の店舗の設置は三十店舗増という方針を出し、この中で一店舗ずつが障害者の店舗として展開するようです。この施策は、障害者の働く場の確保という点で大変画期的なことではないかと評価するものです。これから自立支援法の成立を受けて、障害者の自立的な働きも問われていきます。障害者が働く構内店舗として、今年度に都営浅草線の大門駅に第一号店を出店する予定と聞いていますが、障害者店舗の設置について、交通局の認識及び検討過程をお伺いします。

 ▼交通局長
 駅構内に障害者が働く店舗を設置することは、公営交通事業者として重要な役割と認識しております。このため、交通局ではこれまでの都議会における議論も踏まえ、障害者が働く駅構内店舗の設置の実現に向け検討してまいりました。その結果、平成十九年度については、来年三月、大門駅構内に第一号店を出店することとなり、現在準備を進めております。



 ▼原田委員
 今後多くの駅で展開していただきたいと思うわけですが、設置までの手続とその過程についてお伺いします。

 ▼交通局長
 障害者が働く店舗の設置に当たりましては、交通局が出店の候補地を関係区にお示しし、運営する障害者団体の選定などについて関係区と協議しながら決定をしております。課題は、地下という限られた空間のため、出店者の希望と合致する場所、店舗スペースが少ないということであります。



 ▼原田委員
 賃貸の選考は一般と障害者用は違っていて、一般は公募、障害者用は交通局が決めた区画の自治体と協議して決定するというお話ですが、自立支援法はいろいろ課題を抱えているわけなんですが、この自立支援法の精神というのは、障害者が自立して地域で暮らし、働くことを目的としています。障害者団体が主体に手を挙げられる選考法にしていくことが法の趣旨に合っていると考えます。障害者の区画をまずは公募していくことが望ましいと考えますが、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 また、三年間で三十店舗という、さまざまな地域での店舗が展開する中で、障害者のつくり出す製品を駅店舗の事業者で委託販売ができるような協力要請も、障害者へのささやかな協力として効果的と考えます。一つの店舗経営が困難でも毎日少しずつなら可能な団体も多い、そんな障害者団体の実態です。都営交通局の店舗展開のシンボルとして、これもぜひ考えていただければと思います。
 次に、温暖化への取り組み、各局の創意工夫で展開が行われています。公共交通はまさに今後市民の足として脱車社会のシンボル的な役割を担っていくと考えます。交通局においてはこれまでも環境への取り組みとしてどのような取り組みをしてきたか、また、新たにどのような取り組みをしていくのか、お伺いします。

 ▼交通局長
 地下鉄事業では、大量の電力を消費するため、交通局はこれまでも省エネルギー型車両の導入、消費電力の少ない照明設備の採用など、省エネルギー対策を実施してまいりました。また、現在、お客様サービスの向上のため進めております駅の冷房化、エレベーターの整備等に際しましても、消費電力の少ない設備を採用するなど、環境に配慮しております。都バスにつきましても、環境基準をクリアする最新バス、ハイブリッドバスの導入、そして先日スタートいたしましたバイオ燃料の使用なども行っております。
 加えまして、新経営計画におきまして、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用する駅エコプロジェクトを、地上駅の新宿線東大島駅で試行的に実施しております。



 ▼原田委員
 最後に、最近ベビーカーで移動する子育て世代がふえてきましたが、電車のドアに挟まれたという事故が報道されています。ベビーカーを押して乗車する場合、本人もそうですが、周りの人たちも、先に乗っていいか後がいいか、ちゅうちょすることも多くて、このベビーカーを押している人たちの対応、ちょっとしたタイムロスが事故につながると考えます。子育て支援、バリアフリーの促進の視点から一定のルールが求められると考えています。具体的には場内アナウンスで一言、ベビーカーをご利用の方は優先してご乗車くださいなどという案内が必要ではないかと思いますが、ベビーカーの優先乗車といった子育て世代への配慮について見解をお伺いします。

 ▼交通局長
 小さなお子様とご一緒のお客様には、安全で快適にご利用していただきたいということが交通事業者の重要な責務の一つであると認識しております。ベビーカーに関しては、これまでも関東の大手鉄道事業者と共同で車内転倒やドア挟みを防止するための啓発ポスターを掲載するなど、ご利用になるお客様に対し注意喚起を行ってきたところであります。ご指摘のありましたベビーカーの優先乗車についてでありますが、現時点では社会的なコンセンサスがまだできているとはいえず、検討課題も多いと考えております。
 引き続き、乗務員や駅係員の安全確認をこれまで以上に徹底させ、事故防止に努めてまいります。



 ▼原田委員
 これまで企業は、経済行為が最優先の中、社会の一員としての役割が薄くとも許されていたようです。今日、まちづくりの担い手として市民が主権者として浮上し、そのまちに住んでいる人だけでなく、働き、学ぶ人もまちづくりの担い手として位置づけられてきています。特に、地域にある企業の存在は大変大きいと思います。企業の社会的姿勢が問われてきています。特に、公の立場にある事業者は率先して社会的役割を果たして、社会のありようを牽引していく役割があると考えます。今後のさらなる取り組みを期待して、質問を終わります。

▲ページのトップへ

戻る
HP評価アンケート