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平成18年度公営企業会計決算特別委員会 委員会質疑

平成19年11月16日(金)
dot交通事業
dot中央卸売市場会計
dot水道事業
dot下水道事業
dot病院事業
長橋桂一
長橋桂一(公明党)
■交通事業

 ▼長橋委員
 公明党を代表いたしまして質問をいたします。
 まず、交通局長にお伺いをいたします。
 ホームでの安全対策についてであります。
 分科会におきましても、可動式ホームさく、これについて質疑をさせていただきました。その結果、ホームでの転落防止策として最も有効なのが、この可動式ホームさくである。そして、設置対象として総合的に検討した結果、大江戸線に設置することを決定し、早急に整備計画を策定する、こういう答弁をいただきました。可動式ホームさくについては、既に都営三田線に設置されておりまして、設置後は転落事故がなくなった。また、今度導入いたします大江戸線につきましては、乗客数が増加している。こういう中で、自動列車運転装置が装備されている、また、相互直通運転を行っていない、そしてまた、乗り入れ他社との協議が不要など、おおむね条件が整っている、こういうことでございます。
 そこで伺います。整備計画に当たっての方針、そして整備計画をいつ策定するのか、あわせてお伺いいたします。

 ▼交通局長
 ご指摘のありましたように、大江戸線は、乗客数が大幅に増加していること、相互直通運転を行っておりませんので他社との調整の必要がないこと、こうしたことから、可動式ホームさくを整備することといたしました。
 ホームさく整備計画の策定に当たりましては、既に営業を行っている路線でございますので、日常の運行に支障を来すことがないよう、また、ホームや車内の混雑への影響を少なくする工夫を盛り込みたいと考えております。さらに、交通局の厳しい経営環境を踏まえまして、設置コストもできるだけ抑えた計画としたいと考えております。
 なお、整備計画は、平成十九年度末までには取りまとめていきたいと考えております。



 ▼長橋委員
 年度内に策定をするということでございます。可動式ホームさくは、転落防止の決め手であります。ぜひとも交通局として事故のない都営交通を目指していただきたいと思います。
 次に、都営交通事業者としての自転車等の駐輪場整備についてお伺いをいたします。
 自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法がございます。その第五条に、ご案内のとおり、地方公共団体または道路管理者から自転車駐車場設置に協力を求められたときは、積極的に協力しなければならない、このように定められているわけであります。また、特別区長会からも、毎年のように要望を受けているわけであります。特別区長会からは、都営交通事業者として鉄道用地等の無償提供など、より一層の協力をすること、こういうふうに出されております。
 放置自転車対策については各区市が大変努力をして、ご苦労されているにもかかわらず、交通局だけではなくて、鉄道事業者の協力がなかなか見えてこない、こういうのが現状ではなかろうかと思います。
 そこで、まず初めに、交通局が区市に対して貸している駐輪場用地の整備状況についてお伺いをいたします。
 まずは駐輪場の設置箇所数、設置している駅、広さ、そして駐輪場整備に対する考え方、あわせてお伺いいたします。

 ▼交通局長
 現在、交通局が区に貸し付けております駐輪場用地は、十九駅におきまして三十七カ所、約一万四千平方メートルであります。交通局は、鉄道事業者として自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律、いわゆる自転車法の趣旨を踏まえまして、区が駐輪場を設置する場合、可能な限り協力しているところでございます。



 ▼長橋委員
 可能な限り協力をしているということでありますが、その結果が十九駅であります。都営地下鉄の駅は百六駅、百六駅分の十九駅は二割にも満たないわけであります。この深刻な実情をしっかり直視して、前向きに取り組んでいただきたいと思うわけでありますが、ご案内のとおり、私の地元は豊島区でございます。豊島区は、かつて放置自転車等対策推進税、これを打ち上げました。平成十五年のことであります。そして、区の中で議論をする中で、総務大臣も平成十六年には付帯をつけて、鉄道事業者との相互理解を図り、十分な協議検討を行うことということで、放置自転車等推進税が決められて、実施をされたわけであります。ただし、実施は一年間時期をおくらせまして、その間、引き続き鉄道事業者と協議をした。その結果、鉄道事業者から協力提案がさまざま出された。それを受けて、豊島区としては施行いたしましたけれども、この鉄道事業者の協力内容について、自転車法に基づく法的な義務が担保されるということで廃止をしたわけであります。その結果、豊島区は、かつて池袋がワーストワン、大塚がワーストツー、巣鴨はワーストスリー、こういう時代がありましたけれども、大きく前進をした経緯がございます。
 そこでお伺いをいたしますが、私もよくお伺いするのですが、巣鴨駅に巣鴨自動車営業所がございます。そこの敷地に、現在豊島区の駐輪場、百二十台の駐輪スペースが確保されています。これは非常に豊島区としては感謝をしているわけでございます。この巣鴨自動車営業所、今後老朽化に伴い建てかえが計画されていると聞いております。新チャレンジ二〇〇七には用地の有効利用ということでございますけれども、区は、建てかえの際、駐輪場用地として二倍の提供を受け、二百六十台の駐輪場として再整備したい、こういっているわけでございますが、局長、明確な答弁をお願いいたします。

 ▼交通局長
 現在、豊島区に対しまして、地下鉄三田線巣鴨駅に隣接いたします私ども巣鴨自動車営業所内で提供可能な用地をお貸ししているところでございます。
 今後、巣鴨自動車営業所の改修を行う際には、豊島区と協議を進めながら、平成十八年六月に同区が策定をいたしました豊島区自転車等の利用と駐輪に関する総合計画というのがございますので、これに沿いまして積極的に協力してまいりたいと考えております。



 ▼長橋委員
 明確に、さらに上積みをしていただけるということでございます。
 豊島区は、巣鴨駅に例をとりますと、文京区とも隣接をしているわけであります。駐輪場が三カ所ありますが、その中の一つは、豊島区内の利用者よりも、文京区、いますけれども、文京区の利用者が七割の駐輪場もあるんです。これは、どこの区もそういう状況であるわけであります。
 ですから、そのところがたまたま豊島区だから整備をするわけでありますけれども、他区の利用者が大変多い、二十三区はそういう状況があるわけでありまして、そういう意味では、地下鉄事業者、地上の用地はなかなか確保できないというのはもちろん認識しているわけでありますが、毎年区長会の要望に対して措置状況を交通局長がお答えしているわけです。協力してきていると。しかし--しかしとは書いていないけれども、また、交通局では、その土地建物の経営資源を最大限に活用し増収に努めるとともに、経費の削減を図ることによって経営力の強化を図るとしている。どうも読むと、駐輪場整備は増収にならないですから、後回しになるように聞こえるわけでありますので、ぜひ、今大きな課題でありますこの駐輪場整備の促進を積極的にお願いするものでございます。

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■中央卸売市場会計

 ▼長橋委員
 次に、中央卸売市場会計についてお伺いをいたします。
 豊洲新市場の整備についてでございます。
 昨年の十月、豊洲新市場の施設規模、配置などを取りまとめた基本設計相当について、市場関係業界との間で大筋の合意をした。その合意を受けて、都が市場関係者、市場業者に向けて配布したチラシがあります。その中には、豊洲新市場の予定地の土壌について記載をされてあります。これがそのチラシでございますが、このチラシの中を見ますと、一番下にとりわけ大きな字で、豊洲新市場予定地の土壌は安全です、このように昨年の十月にうたっているわけでありますが、安全宣言をされたその根拠についてお伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 東京ガス株式会社は、操業に由来する汚染物質について、環境基準の十倍を超える物質は深さにかかわらず除去するとともに、操業時の地盤面から深さ二メートルの範囲の環境基準を超える物質を除去してございます。
 これに加えまして、都は環境基準を超える自然的要因の物質の処理などにより、地盤面から深さ二メートルの範囲の土壌を入れかえ、全体を二・五メートル盛り土し、その上を二十五センチから四十センチメートルのアスファルト舗装やコンクリート盤で覆うなど、敷地全面にわたり現行の法と比べても二重三重の対策を行うことから、安全性に問題はないとしたものでございます。法令が求める土壌汚染対策の基準と照らし合わせれば、現時点においても安全性を確保する上で極めて手厚い対策であるというふうに考えております。
 ただし、本年八月から行った調査の結果、汚染濃度が低いと想定されていた箇所の地下水から環境基準の千倍のベンゼンが検出されたため、市場用地としてより精度の高いリスク評価を行う観点から、専門家会議の意見を受けて、より詳細な調査を行うこととしたものでございます。



 ▼長橋委員
 今のご答弁で、安全宣言をした、しかし再調査をする、千倍のベンゼンを検出して、より高いリスクの調査を行うということでございますが、この調査結果の公表を受けて、このままでは食の安全は守れない、そういう声が起きたわけであります。また、専門家会議に対しても、まず移転ありきを前提にして関係者に安心について説明し、納得してもらう努力がない、こういう声も聞いているわけであります。
 今回、豊洲新市場予定地の敷地すべてにわたって、土壌、地下水を十メートルメッシュ、四千百カ所で調査するということでございますが、環境学会や、または仲卸業者でつくる市場を考える会などが土壌汚染対策法に基づく調査を求めているわけであります。
 先ほどの答弁で、この土壌汚染対策法と同等である、こういう答弁をいただきましたが、何が同等なのか、何をもって同等とするのか、お答えいただきたいと思います。

 ▼中央卸売市場長
 豊洲新市場予定地は、土壌汚染対策法の対象となる用地ではございませんけれども、今回、専門家会議の意見を受け実施する土壌、地下水の調査は、敷地全面にわたって法が求める最小調査区分である十メートルメッシュを適用してございます。
 また、調査におきまして高濃度の有害物質が検出された場合には、東京ガス株式会社の操業時の地盤面から不透水層の上端まで一メートル単位で土壌の採取を行うことなどから、調査方法については結果として土壌汚染対策法と同等でございます。



 ▼長橋委員
 ぜひ今のご説明、さらにより詳しく関係者に説明をすべきである、このように思います。それが理解を得ていく方法でございます。
 また、専門家会議の議論、読ませていただきました。そうしますと、議論の中で、地下水のあるところは地下水で追い込んでいった方がより安定的な調査ができるというような議論をされております。地下水の調査を重視しているというふうに思うわけでありますが、今ご答弁がありました土壌汚染対策法とは同等であるということでございますが、今回の調査の特徴は何なのか、お伺いをいたします。

 ▼中央卸売市場長
 今回行います地下水調査は、専門家の科学的知見に基づき選定された手法でございまして、地中に有害物質があれば地下水中に物質が溶け出し、この地下水を採取、分析することで、全敷地にわたる汚染状況を漏れなく把握することができます。土壌のボーリング調査では、汚染箇所を的確に把握することが難しい汚染物質も--この難しいというのは、ボーリングの場合、ポイントで限られた汚染物質に掘り当てねばならないという意味で難しいということでございますけれども、地下水調査を主体にあわせて土壌調査を実施することで精度が高まることから、専門家会議ではすぐれた調査であるとしております。



 ▼長橋委員
 今ご答弁いただきましたが、まだ難しい。もっとわかりやすく説明をしていただきたいと思います。やはり、きちっと都民や市場関係者に説明をしていく、この努力をさらにしなければならないと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、移転になると、市場業者の負担が大きなネックになるわけであります。特に、仲卸業者の皆さん方は中小零細の業者が多く、また、廃業も続いている。数字を見ますと、かなり減っている。また、経営が非常に厳しい。約半数は赤字経営である。このような中で努力をされているわけであります。逆に、今大手は卸会社から直接買いつける相対取引がふえていると思います。相対取引がふえれば、当然これは市場の評価機能が衰えるのは明らかであります。市場の花である競りによって、みんなが見ている中で、衆人環視の中で競ることで適正な値段がつけられていくからであります。
 築地市場の仲卸業者がすべて豊洲市場に移転できるよう、必要な支援を行うべきであります。そして、その際に大事なのは、先ほども議論がありましたけれども、仲卸業者の方々の要望をしっかり聞いて配慮していく、これが大事だと思いますが、市場長、ご答弁をお願いします。

 ▼中央卸売市場長
 新市場の移転に当たりましては、移転を希望するすべての仲卸業者が円滑に豊洲新市場での事業継続が図られるよう、大田市場開設時の事例等を参考に、移転資金の融資や利子補給など必要な支援策を検討してまいります。あわせて、施設使用料や光熱水費など、市場業者の負担をできるだけ抑えるよう、さまざまな工夫や努力をしてまいります。さらに、仲卸業者の経営が活性化するよう、スーパーなど量販店からの要請にもこたえるため、店舗ごとの仕分けなどにも対応できる卸、仲卸売り場と一体になった荷さばきスペースや加工パッケージ施設等を整備し、仲卸業者のビジネスチャンスの拡大が図れるようにしてまいります。
 また、現築地市場におきましても、仲卸業者の経営基盤を強化し、健全な経営を確立していくために、公認会計士など専門家による相談窓口を開設して、助言、相談を行うなどの支援も行っているところでございます。
 今後、これらの支援策を検討するに当たりましては、市場業界の意見を聞き、その要望を十分考慮してまいります。



 ▼長橋委員
 仲卸業者の要望をよく聞いていくということでございます。あらゆる努力をしていただきたい。そうすることが、築地市場の移転問題のかぎともなると思うわけでございます。
 最後に、新市場開場、これは市場長から先ほどもご答弁がありました。しかし、食の安心・安全、これが確保されなければ開場はできないわけであります。知事も、定例の記者会見で、調査箇所をふやして都民が一〇〇%安心できるようにしていきたい、こういうふうにも知事みずからいわれるわけであります。都としての、食の安心・安全の確保に向けての取り組み、決意をお願いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 食の安全・安心の確保は、卸売市場の最も基本的な使命でございます。豊洲新市場予定地の土壌汚染対策につきましては、従来からの都の対策に加え、専門家会議からの提言を確実に実施してまいります。さらに、施設整備の面では、閉鎖型施設による外気との遮断と温度管理、特に衛生管理を重視した清潔ゾーンの設置など、高度な品質管理体制を徹底し、食の安全・安心を確保してまいります。
 こうした万全な土壌汚染対策や品質管理の高度化を図ることで、豊洲新市場を都民が安心できる市場として、平成二十五年三月に開場させてまいります。



 ▼長橋委員
 改めて申し上げます。ぜひとも、市場関係者の方の意見をしっかりと受けとめて、開場に向けて努力をしていただきたい。食の安心・安全が、まず最優先事項でございます。

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■水道事業

 ▼長橋委員
 次に、水道事業についてお伺いをいたします。
 震災復旧対策について、水道事業についてお伺いします。
 大規模な震災発生時、消火活動はもちろんでございますけれども、飲み水の確保など、水の重要性というのが飛躍的に増すわけであります。震災時の水の応急復旧は、大変に重要でございます。水道局は、本年七月十六日に発生いたしました新潟県中越沖地震については、被災自治体からの要請に基づいて、直ちに七月十八日、翌々日には現地への水道施設の復旧支援を行ったということであります。被災地である柏崎、そして刈羽村に向かったということでございますけれども、報道によりますと、送配水管の被害が多数発生をして、ほぼ全域が断水となってしまった。
 そこで、現地の被害状況と支援の内容、そして、支援に当たってどんな課題があったのか、お伺いをいたします。

 ▼水道局長
 本年七月に発災した新潟県中越沖地震は、水道施設においても約六万戸が断水するなど、甚大な被害が出ました。当局は速やかに応急対策支援本部を設置し、現地に調査隊を派遣して被災情報の収集に努めました。その後、直ちに局職員と工事業者を合わせ、延べ五百八十一人の人員と二十九台の車両を七次にわたり派遣し、被害の大きかった刈羽村の全域の復旧に当たりますとともに、柏崎市の中心部におきましても、断水していた主要幹線の上流部から漏水箇所を確認しながら、高度な配管技術を要する大口径管の復旧を一つ一つ行ってまいりました。
 復旧支援に当たっての課題についてでございますが、現地では、修理に必要な資材の調達に時間を要したこと、また、水道施設の状況等基礎情報の入手に時間を要したことなどが挙げられます。



 ▼長橋委員
 都は、平成十八年六月、昨年の六月に震災応急対策計画をまとめました。そこを見ますと、首都直下型地震の被害想定としまして、復旧の目標日数を三十日以内と設定をしました。そしてまた、首都中枢機関等への供給にかかわる路線が被災した場合の復旧を、発災後三日以内と設定をしているわけであります。明確に日にちが設定をされてあるわけでありますけれども、今の新潟中越沖地震の支援に当たっての課題の中に、材料の確保に手間取ったとか、それから初期活動が、情報がなかなかとりにくくて難しかったということでございます。
 そこで、この新潟中越沖地震の教訓を生かして、材料の確保、そして初期活動の強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。

 ▼水道局長
 東京が被災した場合の復旧材料の確保についてでございますが、首都中枢機関等への供給ルートを三日以内に復旧するために必要な材料は、常時保有しております。現在、その他のルートについても、緊急時対応のさらなる強化を図るため、備蓄材料の拡充と保管場所の再編整備を進めているところでございます。
 また、初期活動の強化についてでございますが、震災時の首都中枢機能維持の観点からも、一刻も早い現場状況の把握とともに、断水作業の迅速化など、首都中枢機関への供給ルートの早期復旧に向けた取り組みが重要であり、これらへの対応がより機動的にできる、いわば水道緊急隊ともいったような組織を来年度に設置する予定でございます。



 ▼長橋委員
 材料については、三日分以上確保する。また、三日以内に復旧するために新たな組織をつくると。水道緊急隊、こういう組織が今明らかにされたわけであります。水道局復旧体制の強化が図られているということがよくわかったわけです。
 しかしながら、水道局の体制をいかに強化したとしても、そしてまた材料を確保したとしても、復旧工事を実際に行うのは民間の工事事業者であります。工事事業者の確保はどのように考えているのか、伺います。

 ▼水道局長
 東京湾北部を震源とするマグニチュード七・三の地震が発生した場合、断水率は区部で四六・三%、都全体で三四・八%に上るものと想定しております。その場合、水道管の被害箇所数は約八千二百カ所になるものと推計しております。復旧工事には、一日当たり最大三千人の人員が必要となり、約四百二十社の工事事業者の協力が必要となります。このため、震災時には単価契約工事業者約五百社に、契約に基づき復旧作業に当たることを要請するとともに、他の管路工事契約事業者約三百社にも協力要請をすることとしており、復旧工事に必要な事業者数を確保できるものと見込んでおります。



 ▼長橋委員
 復旧工事には最大三千人の人員、四百二十の工事事業者が必要である、それを確保するというご答弁でございますけれども、工事事業者は被災に遭わないというわけではないわけであります。工事事業者も当然被災に遭う中でございまして、そういう中で確保していくということで、大変困難な事業でもあるかと思います。ぜひとも日ごろから連携を強化していただきたいと思います。
 ところで、東京が新潟に復旧支援に行ったように、東京で地震があった場合には、他県、他都市の支援が必要になってくるわけであります。そのためには、地震を想定して、また、新潟中越沖地震の教訓を踏まえて、連携方法、情報交換--教訓にもありましたけれども、そういった訓練が必要になってくると思います。
 ことしの九月に、東京都と神奈川県川崎市が水を相互に融通する東京・川崎町田連絡管の設置を行いまして、この九月二十日に初の運用訓練を行いました。これは、我が党の小磯議員が取り組んできた成果でありまして、相互にバルブをあけて融通をするということで、大変に大きな成果だったと思いますが、しかし、震災の規模が大きくなりますと、当然東京だけではなくて近県も被災を受けるわけであります。
 そこで、そうした大規模な地震があった際に、他県、他都市との復旧支援はどのようになっているのか。また、そのための合同訓練をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 ▼水道局長
 震災時の相互応援についてでございますが、政令指定都市十五市及び社団法人日本水道協会との間で相互応援に関する協定を結び、応急給水活動、応急復旧活動などについての体制を整えております。東京が被災した場合には、横浜市と仙台市が応援幹事都市として各都市との調整を行うことになっております。現在、相互応援のための都市間の連携を効果的に機能させるため、資機材の備蓄状況や緊急時の連絡体制に関する情報を逐次交換しております。
 しかしながら、実際に被災した場合には相当の混乱が起きることも予想されますことから、新潟県中越沖地震の教訓を踏まえ、直ちに復旧支援活動を開始できるよう、ご指摘のとおり主要都市と連携した合同訓練を定期的に実施することを検討し、震災時の復旧体制に万全を期してまいります。



 ▼長橋委員
 今ご答弁で、水道局としてはこの震災対策についてあらゆる手を尽くしていることがよくわかったわけでございまして、東京の応援都市の第一順位が横浜市、第二順位が仙台市、私も初めて知ったわけでありますが、今いったとおり、そういった市としっかり訓練をやることが大事であります。ぜひとも早い時期に訓練を実施していただきたいと思います。

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■下水道事業

 ▼長橋委員
 次に、下水道局にお伺いをいたします。
 下水道管渠の老朽化対策についてでございます。
 区部下水道の概要というのがホームページに載っております。それを見ますと、区部の下水道は平成六年度末に一〇〇%普及概成したということでございます。そして、約八百六十五万人の都民が使用している。そして、十八年度末での下水道管の総延長は約一万五千六百キロ、一日当たり四百八十万立方メートルの下水を処理している。もう大変、物すごい大きな数字であるかと思います。ですから、この中で資料を見ますと、そのうち耐用年数五十年を超えた下水管渠は約二千キロある、全体の一三%あるということでございます。ですから、経営計画二〇〇七を見ますと、毎年老朽化に伴って管渠の損傷及び故障の現状というのが出ています。道路陥没件数は、過去五年間の平均で毎年千百件、臭気苦情なども九百八十九件、故障処理件数は千九百件、こういうふうにあるわけでありまして、この老朽化対策というのは不断に努めていかなければならないと思うわけであります。
 そこでまず、下水道管渠の老朽化の実態把握はどのように行われているのか、また、十八年度の調査実績はどのぐらいだったのか、お伺いいたします。

 ▼下水道局長
 東京の下水道には、地下鉄が楽に通せるような大きな口径のものもございますが、その大部分は、人が入れない中小径の管渠でございます。管渠の老朽化の実態につきましては、直接目で確認する目視調査のほか、管渠内にテレビカメラを挿入いたしまして調査を行い、損傷状況などを把握しております。平成十八年度には、延長約七百キロメートルの調査を実施したところでございます。



 ▼長橋委員
 テレビカメラを使用しているということでございます。ということは、管渠の損傷は故障のデータとしても活用できるわけであります。また、耐用年数を超えた下水道管渠二千キロメートルの調査は、当然優先的にやっているんだろうと思うわけでありますけれども、今ご答弁をいただきましたテレビカメラによる調査、これは最新式の調査だと思いますけれども、いつから行っているのか、そしてまた、耐用年数を超えた下水道管渠二千キロメートルの調査状況、全部終わっているのかどうか、お伺いいたします。

 ▼下水道局長
 テレビカメラによる調査は、日常の維持補修に役立てるために昭和五十七年から実施しております。平成六年度に区部下水道が概成いたしましたが、平成七年からは下水道管渠の老朽化対策と能力不足の解消をあわせて実施する再構築を進めておりまして、これを計画的に実施するため、テレビカメラによる調査をより詳細に行うとともに、データの蓄積及び分析などを行っているところでございます。
 法定耐用年数五十年を超えております下水道管につきましては、全延長の調査がおおむね完了したところでございます。



 ▼長橋委員
 平成七年からは、再構築に入っていると。経営計画を見ますと、アセットマネジメント手法を導入して進めている、いわゆる事業費を平準化して計画的に更新をしていくということであるわけですが、現在使っている下水道管渠の老朽化というのは、同じ年数であったとしても、当然老朽化の度合いはさまざまであるかと思いますし、その対応にも違いがあろうかと思います。また、交通量の多い幹線道路での工事も行われるわけでありますし、そうした場合に渋滞など都民への影響も配慮しなければならないわけでありますが、老朽化した管渠の再構築に当たってはどのように進めているのか、伺います。

 ▼下水道局長
 再構築に当たりましては、調査結果をもとに、事業を経済的かつ効率的に実施しているところでございます。具体的には、可能な限り既設管渠を活用することといたしておりまして、損傷度から判断しまして健全な管渠はそのまま使用し、老朽化しているが敷設がえを要しないものについては、道路を掘削せずに下水道管渠をリニューアルできる更生工法を積極的に採用しております。
 このようにしてコスト縮減を図るとともに、工事に伴うお客様の生活への影響を極力低減させることで、お客様の理解を得ながら事業を進めているところでございます。



 ▼長橋委員
 今ご答弁がありました、道路を掘削しないで工事が可能な更生工法を積極的に活用しているということでありますが、この再構築に当たって更生工法ということでありますが、この更生工法、工法と書いてありますが、どのような工法があるのか、また、それを事業者に発注するに当たっては、工法の選定はどのようになっているのか、伺います。

 ▼下水道局長
 更生工法は、既設管渠内面に新たな管を構築することで、強度及び流下能力の確保を図る工法でございます。新たな管の材料となる更生材や、施工方法の異なるさまざまな工法が開発されております。構造から分類いたしますと、更生材単独で強度を有する自立管構造と、既設管渠と更生材が構造的に一体となり強度を有する複合管構造の二つの形式がございます。
 工事の発注に当たりましては、既設管渠の損傷状況や必要な下水の流下能力などを考慮し、いずれかの構造形式を選定しております。



 ▼長橋委員
 今のご説明を聞いてもなかなか理解が難しいのでございますけれども、二つの工法があるということでございますが、東京の下水道は高度成長期に整備をされたわけで、今後膨大な下水道管渠が一斉に更新時期を迎えるわけであります。将来にわたって都民生活の安全、快適性を確保しなければならないわけでありまして、今お話のありました再構築に当たって有効な更生工法については、さらなる技術開発を行って、増加する下水道管渠の更新を効率的に進めるべきでありますけれども、最後に、今後の老朽化対策についての取り組みをお伺いいたします。

 ▼下水道局長
 下水道は、生活環境の改善や浸水の防除、公共用水域の水質保全など重要な役割を担っておりまして、こうした役割を果たすためには、下水道施設の適切な維持管理、計画的な再構築が必要となります。このため、今後更新を迎える膨大な下水道管渠に対しては、巡視や点検などの日常的な維持管理の充実を図るとともに、計画的な再構築による予防保全を重視した維持管理に努めてまいります。
 また、限られた予算の中で老朽化対策を効率的かつ着実に実施していくために、既設管渠の延命化などの工夫を行うほか、新技術、新工法の開発導入にも積極的に取り組み、一層のコスト縮減を図ってまいります。
 今後とも、お客様である都民の皆様に、将来にわたり安定した下水道サービスを提供するとともに、積極的に老朽化対策を推進してまいります。

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■病院事業

 ▼長橋委員
 最後に、病院経営本部にお伺いします。ちょっと時間がありませんので、簡略して質問させていただきます。
 私が聞きたいのは、都立病院における看護師確保育成策についてでございます。
 昨年の四月に診療報酬が改定されまして、入院患者十人に対して看護師一人という配置基準が改められて、患者七人に対して看護師一人という新基準が設けられた。その結果、どういうことが起きたかというと、大学病院を中心、大規模なところを中心に、看護師の獲得競争が激化したわけであります。その結果、地域医療を支える民間の中小病院は診療を休止せざるを得ない状況に追い込まれて、私の地元でも、そういう状況で廃院になったところもあるわけであります。これは、本年第一回の定例会でも指摘をしたところであります。
 また、看護職員需給見通しも、診療報酬改定前の算定でございましたので、新たな策定を求めたところでありまして、このほど看護職員需給見通しが新たに発表になったわけであります。平成十九年には二千八百人看護師が不足する、このままでは平成二十三年には三千五百人以上が不足する、こういう見通しであります。
 また、看護師確保の大きな柱として、非常に離職率が高いということが挙げられます。都立病院においても、看護職員の充足状況というのは厳しいものがあろうかと思うわけでございますが、まずは都立病院の十八年度の看護職員の充足状況、あわせて都立病院での看護師の確保定着対策、さらには新人の看護師の定着対策、そしてまた、環境整備として二十四時間保育の実施をこの間の三定で求めましたけれども、まとめてご答弁いただきたい、よろしくお願いします。

 ▼病院経営本部長
 一点目の都立病院の看護師の充足状況でございますが、平成十八年度におきます実態を見てみますと、定数四千六十三人に対しまして、四月一日の時点で四千百二十五人、十月一日では四千六十人、年度末には三千七百六十三人となっておりまして、年度当初は充足しているものの、年度後半にかけて欠員が生じているという状況にございます。
 このような状況を踏まえまして、都立病院では、まず看護師の採用方法につきまして、年度当初だけでなく、欠員状況に応じまして年度途中でも経験者を採用するなどの弾力的な方法を実施しているということでございます。
 また、新卒看護師は、看護学校卒業時の能力と現場に行ったときに求められる能力のギャップにかなりの悩みを感じて、実は短期間で離職するケースが多いということで、新卒看護師の定着に向けた取り組みとして、平成十八年度は都立三病院におきまして専任の指導担当者を配置いたしまして、心のケアを含めた指導を行うなど、看護臨床研修を導入いたしました。この結果、平成十七年度に一九・三%であった当該三病院の看護師の離職率が、十八年度には七%まで低下したということで、著しい効果がございますので、十九年度にはこれを五病院に拡大したところでございます。
 また、二十四時間保育についてのご質問でございますけれども、長橋理事ご指摘のとおりでございまして、都立病院に勤務する職員の四分の三は女性職員でございまして、とりわけ圧倒的多数を占めます看護職員や増加しております女性医師の確保、定着のために有効な方策の一つでございます。来年度からの実施に向けまして予算要求を行いますとともに、運営体制などについて具体的な検討を進めているところでございまして、来年度、ぜひとも実現を図ってまいりたいと存じます。

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