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平成18年度公営企業会計決算特別委員会 委員会質疑

平成19年11月16日(金)
dot交通事業
dot中央卸売市場事業
dot臨海地域開発事業
鈴木章浩
鈴木章浩(自民党)
■交通事業

 ▼鈴木(章)委員
 それでは、都議会自民党を代表いたしまして、最初の総括質疑をさせていただきます。
 平成十八年度予算は、二次にわたる財政再建推進プランの最終年度の予算として、財政構造改革の足取りを確かなものとし、東京のさらなる発展を目指す予算と位置づけられました。この十八年度予算の着実な執行に努めた結果、平成十八年度決算では二年連続の黒字となり、財政の弾力性を示す経常収支比率も八四・五%と、一・三%改善しました。
 しかし、景気の変動に左右されやすい法人二税に依存している都財政は決して盤石なものではなく、いかなる社会状況の変化にも柔軟に対応できるような財政基盤を一層確立していく必要があります。
 その中でも公営企業会計は十九年度東京都予算総額の約一六%を占めており、公営企業の経営改革なくしては、将来にわたる健全な財政は実現しないといっても過言ではありません。公営企業は、常に企業としての経済性を最大限発揮するとともに、本来目的である公共の福祉を増進するという基本原則に立って、さらに企業努力を徹底し、都民に信頼されるサービスを提供していくことが必要であります。そのような観点から質問いたします。
 最初に、交通局の各事業について伺います。
 地下鉄事業について、平成十八年度決算では、昭和三十五年の浅草線開業以来、初の黒字転換を果たしました。振り返りますと、東京都が最初に地下鉄建設を計画したのは大正八年のことでありますが、地下鉄は道路管理者である市が経営してこそ初めて本来の機能を十分に発揮できるという当時の東京市の反対にもかかわらず、政府主導で昭和十六年に帝都高速度交通営団が設立されました。
 その後、人口増加による殺人的な通勤ラッシュや、私鉄各社が競って都心に進出することによる交通網の不統一を来すことなどを懸念し、知事と都議会が一丸となって国に働きかけ、ようやく昭和三十三年に免許を取得し、悲願の都営地下鉄建設の実現を手中にしたのでありました。最初の計画から約四十年が経過しておりました。
 最初に建設に着手したのが都市計画高速鉄道第一号線、現在の浅草線であり、さらに四十年経過して、三田線、新宿線、大江戸線と次々と開業し、一日当たり約二百十六万人の輸送力を誇る関東有数の鉄道事業者にまで成長してまいりました。
 しかし、地下鉄は莫大な資本費の投下を必要とする事業であり、経常損益の黒字転換という歴史的ともいえる十八年度決算を迎えた時点で、累積の欠損金は、約四千七百億円に上る途方もないものとなっているわけであります。今後、交通局は、この欠損金を解消すべく、さらなる企業努力を継続していかなければならない新たな出発点に立ったととらえるべきと認識しております。
 こうした経緯に思いをいたしながら、改めて平成十八年度の地下鉄事業の決算についてのご所見をお伺いいたします。

 ▼交通局長
 地下鉄事業の収支は、初期投資が莫大で、かつ多額の減価償却費用が一定期間発生するため、収支を均衡させるのに長期間を要するという特徴があります。こうした収支構造でございますが、今回、減価償却等のいわゆる資本費負担の低減、乗客数の着実な増加及び長年にわたる内部努力などが相まちまして、平成十八年度決算において、昭和三十五年の地下鉄開業以来、初めて経常損益が黒字に転換したものであります。
 しかしながら、ご指摘のように、依然といたしまして四千七百億円もの巨額の累積欠損金があり、その解消にはなお相当の年月を要するものと考えております。
 今後とも、増客増収対策を行うとともに、一層の経営の効率化を進め、収支両面から財務状況の改善を図りまして、できるだけ早期の解消を目指してまいります。



 ▼鈴木(章)委員
 交通局は、明治四十四年に前身となる東京市電気局を創立し、市電と電気供給事業を開始して以来、関東大震災や第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けながらも、一日も欠かすことなく都民の足を確保してまいりました。
 しかしながら、大きな時代の変化の潮目の中で、その財政状況は憂慮すべき状態となり、昭和四十一年度から地方公営企業法の財政再建規定の適用を受けることとなりました。自主再建にとどまらず、法定再建を余儀なくされ、路面電車の撤去を含む東京都交通事業財政再建計画を策定し、不良債権の解消を図ってきたのであります。
 こうした交通局の努力の積み重ねがあって、今、局長からご答弁ありましたけれども、この平成十八年度決算でようやく交通局が所管する三会計五事業すべてにおいて経常黒字となったのであろうことは、評価に値するものといえます。
 しかし、地下鉄事業については、先ほども申し上げましたように、巨額の累積欠損金を解消して初めて事業として成り立つものであり、単年度収支の黒字転換は一つの節目にすぎないということを肝に銘じるべきであります。
 また、地下鉄以外のバスや都電などの事業も依然として予断を許さない状況にあると思いますが、この点についての認識をお伺いいたします。

 ▼交通局長
 バス事業につきましては、乗客数の長期的な逓減傾向がございます。加えまして、来年六月に予定されております東京メトロ副都心線の開業により、さらなる減少も見込まれております。原油価格の高騰による燃料費の増加などもございます。こうした外的要因に大きく左右される側面もございます。
 また、軌道事業、都電荒川線につきましては、一日約五万三千人のお客様がいらっしゃいますが、この乗客数が伸び悩む中、今後、本格的な車両更新を控えております。
 このため、増収増客に向けた努力を重ねるとともに、経営の効率化に努めてまいりますが、ご指摘がありましたように、財務状況は依然として予断を許さない状況にあると認識しております。



 ▼鈴木(章)委員
 まだまだこうした厳しい状況だからこそ、交通局は昨年度、バスの現業系給料表の見直しを行ったのだろうし、今後も管理の委託などの経営努力を進め、サービスの向上につなげていく必要があります。
 例えば、実際にまちを歩いてみると、バス停の上屋、ベンチなどは、都民からの要望が高いにもかかわらず、まだまだ十分行き届いていないのではないかと感じるのは私だけではないと思います。もちろん、歩道の幅員や地元の了解などのいろいろな制約があることは承知しておりますが、利用者の目に見えるようなサービスの向上にもぜひとも力を注いでいただきたいと思います。
 すべての事業で黒字を計上したからといって、ここで気を緩めることなく、先人たちの重ねてきた努力にも思いをはせ、手綱をいま一度引き締め、先ほどの局長答弁にもありましたように、一層の経営の効率化を進めるとともに、先日の分科会でも提言したように、基幹的収入である乗車料収入はもとより、広告料を初めとする関連事業収入の増収対策にも力を入れ、収支両面から財務状況の改善を図っていただきたいと要望いたします。
 次に、安全対策についてお伺いいたします。
 昨年十月には、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律、いわゆる運輸安全一括法が施行されました。これにより、運輸事業者は、輸送安全のさらなる向上に向け、みずから安全管理規程を作成し、これに基づき安全管理体制を確立し、運用していくことが要請されることとなったわけです。
 そこで、交通局における安全管理体制の整備状況は一体どうなっているのか、お伺いいたします。

 ▼交通局長
 交通局ではこれまでも、輸送の安全を第一として、マニュアルの整備、訓練の実施などを行ってまいりましたが、お話のありました運輸安全一括法に基づきまして、安全確保のための管理体制などを含めました安全管理規程を作成し、交通局の事業でございます鉄道事業、バス事業ごとに、それぞれ安全統括管理者を初め各部門の責任者を選任し、体制を構築しているところであります。
 具体的には、安全にかかわる基本的な姿勢を示した安全方針を定め、それを実行し、チェックして、改善を図る、いわゆるPDCAサイクルの取り組みを取り入れることで、安全マネジメント体制が適切に機能するよう、安全管理体制の整備を進めているところであります。



 ▼鈴木(章)委員
 それでは、具体的な都営交通の安全対策の取り組みはどのようになっているのでしょうか。お伺いいたします。

 ▼交通局長
 交通局は、輸送の安全確保に向けまして、ハード、ソフトの両面における安全対策に取り組んでおります。
 ハード面としては、韓国の地下鉄火災事故を契機としてつくられました国の新火災対策基準を踏まえ、駅排煙設備の整備、車両の不燃化を初め、JR福知山線の事故を踏まえた信号保安装置の更新、さらには早期地震速報システムの導入などを行ってきております。
 また、ソフト面としては、職員の安全意識の高揚を図るための安全輸送推進運動や、交通局独自の安全の日の設定、事故の際における的確な対応力の強化のためのマニュアルの整備、実際の事例を用いた事故防止研修、シナリオのない訓練の実施などを行っております。
 今後も積極的に安全対策を進めてまいります。



 ▼鈴木(章)委員
 良質な経営を進めるに当たっては、経営の効率化は不可欠であります。民間でできるものは民間へ委託することは、今や公営企業経営の基本であるといっても過言ではありません。
 大変残念な話ですけれども、今年度に入ってから、七月に浅草線、先月に大江戸線と、それぞれ委託に関係したと思われる事故が発生しております。この場は平成十八年度決算に関する質疑の場なので、これらの事故について直接は質問しませんが、こうした事故は委託そのものが原因ではありません。委託する側がいかに確認を行い、または確認させるかといったことを検証し、最良の方法をとることが一番重要であります。
 そうした意味において、事故、トラブルなどの情報を生かし事故の未然防止を図ることは、運輸の安全確保の上で極めて重要であり、リスク管理なくして安全管理体制は確立できないといっても過言ではないと考えます。
 交通局においては、こうした事故の原因究明をしっかりと行い、再発防止に努めていただきたいと強く要望しておきます。
 本日は、分科会での地下鉄事業に続き、バス事業、軌道事業、安全対策について質問しました。このほか交通局が経営している電気事業などを含め全事業において、十八年度決算で経常黒字を計上しています。都の交通局が公営交通のリーダーとして、事業の先進性、先導的役割に加え、経営面でも存在を全国にアピールできるよう、引き続き良質な経営に努めていただきたいと思います。
 最後に、平成十八年度決算を踏まえた今後の事業運営について、改めて局長の決意をお伺いいたします。

 ▼交通局長
 おかげさまで、平成十八年度決算におきまして全事業が経営黒字となりました。特に、昭和三十五年、浅草線開業以来、地下鉄事業が黒字転換をしたということで、交通局にも一筋ながらも明るい光が見えてきたという感がいたします。
 しかしながら、委員からご指摘のありましたように、さまざまな課題がなお山積していると認識しております。また、今年度は日暮里・舎人ライナーの開業も控えております。こうした事業環境や厳しい経営状況ではございますが、ご指摘の安全対策、お客様サービス、そして経営の効率化にも積極的に取り組んでまいります。
 このためには、本年二月に策定いたしました三カ年の経営計画、新チャレンジ二〇〇七を着実に実施していくことが重要であると考えております。今後とも、経営のトップといたしまして、職員七千人、一人一人のエネルギーを最大限に引き出しまして、全力で事業運営に取り組んでいく所存でございます。



 ▼鈴木(章)委員
 ただいま局長から力強い答弁をいただきましたけれども、山積している課題に今後とも果断に取り組んでいただきますよう要望いたしておきます。

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■中央卸売市場事業

 ▼鈴木(章)委員
 次に、中央卸売市場事業についてお伺いいたします。
 築地市場が移転する豊洲地区では、環状二号線や晴海通り、そして「ゆりかもめ」の延伸など交通インフラの整備が進み、ショッピングモールのにぎわい施設も、住宅の開発とあわせて段階的に進むなど、まちが徐々に熟成していく様子が手にとるようにわかるようになってまいりました。さらに五年先には都民の台所である築地市場も移転し、市場の活気を加えた複合空間が、この豊洲地区に形成されていきます。このような豊洲地区のまちづくりは、さらに都民に親しまれるものとして進展していくものと期待しております。
 しかしながら、一方で、一部の市場業者が、豊洲新市場予定地の土壌汚染を理由に築地市場の移転反対運動を行っていることは、既に新聞等で報道されているとおりであります。こうした一部の市場業者の反対運動に端を発して、昨年からにわかに土壌汚染問題がクローズアップされてきたことから、都では専門家会議を設置し、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策について科学的知見をもとに検証作業を進めております。こうした取り組みからも、都は真摯に土壌汚染問題に取り組んでいるということがうかがえます。
 一方、豊洲新市場の整備状況を伺うと、市場では、これまでに、防潮護岸の整備や用地の購入など、相当な事業費をかけて豊洲新市場の整備を進めてきておりますが、この土壌汚染問題から、豊洲新市場整備事業にかかわるPFI手続は延期されたままになっています。
 都は、開場を期待する多くの都民や市場業者のためにも、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策に万全を期して、これまで進めてきている整備事業を鋭意進めていくべきだと思います。
 そこで、まず、これまでにどのくらいの経費をかけてきたのか、想定する土壌汚染対策費を含めた豊洲新市場整備にかかわる全体の事業費とあわせて、ご所見をお伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 豊洲新市場の整備に要する事業費は、市場施設の建設や新市場予定地の取得、土壌汚染対策に要する経費など、開場後の運営に係る経費を除いた整備費の総額で約四千四百億円と見込んでございます。このうちこれまでに執行した事業費は、豊洲地区への移転を決定した平成十三年度から十八年度までの六年間で、用地取得費が約七百二十億円、護岸の整備費が約二百十億円のほか、環状二号線下の市場通路の整備などが約五十億円で、合計約九百八十億円となってございます。



 ▼鈴木(章)委員
 ただいまご答弁いただきましたように、これまで一千億円近い事業費をかけ、首都圏の基幹市場となる豊洲新市場の整備事業を進めてきているのですから、ぜひ都民が安心できる市場を開場させるために、必要な土壌汚染調査や対策を講じて、引き続き整備事業を進めていっていただきたいと思います。
 次に、十一月五日には五回目の専門家会議が行われておりますが、この中で、豊洲新市場予定地の全域にわたって土壌や地下水を調査する計画が取りまとめられたと聞いております。
 そこで、この専門家会議で取りまとめられた調査計画の具体的内容についてお伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 調査は、道路用地を含め、豊洲新市場予定地の全域を対象とし、十メートルメッシュで合計四千百カ所において、土壌と地下水の調査を行います。土壌につきましては、東京ガス株式会社が操業していた当時の地盤面下五十センチメートルから試料を採取いたします。地下水につきましては、地下水位の上端から不透水層までの中間地点で地下水を採取いたします。対象とする物質は、東京ガス株式会社の操業に由来するベンゼン、シアン化合物などの七物質でございます。
 なお、これらの調査方法につきましては、土壌汚染対策法と同等でございます。



 ▼鈴木(章)委員
 確かに、ご答弁ありましたように、今回取りまとめられた四千百カ所の調査において、土壌だけでなく地下水までも調査して、汚染の把握に漏れがないようにしている内容がわかりました。
 今後、この調査した結果をもとに、専門家会議で議論し、豊洲新市場予定地での土壌汚染対策を考えていくということですが、現在、専門家会議で検討している土壌汚染対策の方向性はどのようになっているのか、お伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 これまで都が予定しておりました対策は、自然的要因の物質の除去を含め、東京ガス株式会社操業時の地盤面から深さ二メートルの部分の土の入れかえ、その上に厚さ二・五メートルの盛り土、さらにアスファルト舗装やコンクリート盤による封じ込めでございます。
 これらに加え、現在、専門家会議では、地下水の管理が重要であるとの観点から、地下水の水平移動を遮断する敷地周囲への遮水壁設置、高濃度の汚染地下水のくみ上げ浄化、ベンゼンを対象とした微生物や分解剤による浄化、毛管現象による地下水上昇防止のための砕石層の設置を検討してございます。
 また、今後行います土壌、地下水の詳細な調査の結果、高濃度の汚染箇所や、地下水の上昇による健全土への影響が明らかになった箇所につきましては、土壌処理を行うことを想定してございます。
 震災対策といたしましては、地盤の締め固めや地盤改良材を利用した地盤の固化を検討しております。
 さらに、市場施設完成後におきましても、地下水位の上昇による土壌の再汚染を防止するため、水位及び水質を継続的に監視し、地下水位を一定に保つなどの対策を議論しているところでございます。



 ▼鈴木(章)委員
 なるほど、将来にわたって地下水を管理し、汚染物質の上昇による影響を防止していくなど、手厚い土壌汚染対策を検討している状況がわかりました。
 しかし、さきの都の土壌汚染調査においては、想定外の区域から高濃度の汚染物質が検出されております。こうした状況下で都民は、生鮮食料品を扱う市場の移転にも大きな不安を持つように思います。都民が安心できる市場として、その事業を進めていくためには、一刻も早く調査の結果や効果的な対策を都民に公表し、土壌汚染に対する都民の不安を取り除いていくことが、今、一番求められていることだと思います。そのためにも、速やかに土壌汚染調査を進め、土壌汚染対策に関する専門家会議からの提言を少しでも早く打ち出していく必要があると思います。
 そこで、調査結果を踏まえた専門家会議からの提言時期はいつごろを見込んでいるのかをお伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 今回、豊洲新市場予定地で実施いたします四千百カ所の土壌、地下水の詳細調査は、平成二十年五月ごろには終える見込みでございます。詳細調査におきまして高濃度の有害物質が検出された場合には、当該箇所でより詳しい土壌のボーリング調査を行います。このボーリング調査には約二カ月の期間が必要でございまして、すべての調査が完了するのは、おおむね平成二十年七月と見込んでございます。
 提言の時期につきましては、同様に七月を予定しておりますが、調査の進捗状況を踏まえ、できる限り早期に提言がまとめられるよう、今後、専門家会議と調整をしてまいります。



 ▼鈴木(章)委員
 なるほど、調査が四千百カ所と、極めてボリュームある詳細な調査となっていることから、これくらいの期間はやむを得ないと思いますが、しっかりとした調査を行い、都民が安心できる土壌汚染対策を講じていっていただきたいと思います。
 こうした調査にこのような期間を要するとすれば、その後の建設スケジュールにも大きな影響を与えるように思われますが、開場スケジュールは一体どのようになるのか、改めてお伺いいたします。

 ▼中央卸売市場長
 平成二十年七月までに専門家会議からの提言を受け、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策の具体的な内容を明らかにしてまいります。専門家会議の提言後、特定事業の選定、入札公告、落札者の決定などのPFI手続を進め、できる限り早期に施設の建設工事に着手をいたします。
 開場時期につきましては、当初計画では平成二十四年度当初としておりましたが、四千百カ所の詳細調査や手厚い土壌汚染対策を実施することから、約一年程度おくれ、平成二十五年三月を予定してございます。



 ▼鈴木(章)委員
 これまで質問させていただきましたけれども、豊洲新市場の開場に当たっては、土壌汚染調査をきめ細かく行い、土壌汚染対策に万全を期すことが大前提であります。その上で、いまだに市場の移転に反対している水産仲卸業者も含め、市場業者に対して、移転に当たって必要となる経費の支援など、移転を円滑に進めるために必要なさまざまな方策を検討していただきたいと要望いたします。平成二十五年三月には、ぜひ都民が安心できる市場を開場させていただきたいと要望いたします。

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■臨海地域開発事業

 ▼鈴木(章)委員
 次に、臨海地域開発事業について質問します。
 都は昨年五月、臨海地域の機能強化を目指し、持ち株会社方式という新たな手法を活用した監理団体改革、持ち株会社構想を発表しました。この持ち株会社方式は、三セクでは全国初となるものであり、三セク改革の先進的な取り組みとして、他自治体などからも高い関心が寄せられていると聞いております。
 我が党は、臨海地域の主要課題に対応するために、持ち株会社である東京臨海ホールディングスを核として、グループの持つ資源や可能性を最大限活用すべきだと主張してまいりました。分科会でもただしましたが、まちづくりの総仕上げの時期においては、今までのような行政主導のまちづくりだけではなく、監理団体を含め、地域で活動する企業がより主体的にまちづくりに参加していくことも重要であります。
 そこで、臨海ホールディングスを設立した意義について改めてお伺いいたします。

 ▼港湾局長
 首都圏四千万人の生活と産業を支える大都市港湾である東京港と、開発の総仕上げに差しかかりました臨海副都心、この二つを擁する臨海地域は、港湾機能と都市機能とが交錯しておりまして、今後さらなる発展を遂げるためには、交通や観光、環境、防災など、多くの課題に取り組んでいく必要がございます。
 これらの課題に対する取り組み体制を一段と強化するため、これまで臨海地域を主な活動基盤として個別の政策目的の実現により地域の発展に貢献してまいりました各監理団体を経営統合し、親会社による統一的な経営戦略のもと、委員ご指摘のように、地域の活動主体としての視点を生かした一体的なサービスを提供する必要がありまして、持ち株会社である臨海ホールディングスを設立したものでございます。
 これによりまして、地域に密着した機動的な事業展開が可能となるとともに、経営資源の相互融通や事業連携によりまして、一体的、総合的なサービスを提供できるようになると考えております。



 ▼鈴木(章)委員
 今、答弁のありましたように、臨海ホールディングスが地域で活動する企業や都民の視点を生かしたまちづくりを積極的に行い、総仕上げの時期を迎えた臨海副都心にふさわしいまちづくりを実現してほしいと思います。
 さて、こうした取り組みを実現するため、十九年一月に持ち株会社東京臨海ホールディングスが設立され、同時に、東京臨海熱供給株式会社が子会社となりました。自治体において監理団体の持ち株会社化を図ることは初めてのことであり、さまざまな設立手法がある中で工夫をされたことと思います。
 そこで、臨海ホールディングスの設立の手法と、どのような考え方でその手法をとったのかをお伺いいたします。

 ▼港湾局長
 臨海地域の諸課題に速やかに対応し、臨海地域の機能強化を図るためには、早期に持ち株会社を設立しまして、団体の自主性を生かした取り組みを進めていく必要があると考えております。このため、団体の自立化の推進という監理団体改革の趣旨も踏まえまして、都の出資による準備会社の設立ではなく、グループ化する団体みずからが持ち株会社を設立することとし、さらに、設立に係るコストや時間を最小限とするため、東京臨海熱供給株式会社の単独株式移転によりまして、平成十九年一月に株式会社東京臨海ホールディングスを設立したものでございます。



 ▼鈴木(章)委員
 なるほど、株式移転という手法の採用により、これまで行われていた都からの出資という新たな資金投入ではなく、子会社化する団体みずからの資産を活用したことがわかりました。まちづくりの面でも手法の面でも、これまで以上に自主的、主体的な取り組みを進めていることは評価できます。
 このようなホールディングスグループの主体的な取り組みは大いに歓迎するところでありますが、一方で、持ち株会社のもとに監理団体が子会社化されることにより、これまでよりも我々議会や都民の目から見えにくくなるのではないかといった懸念も生じます。
 そこで、これまで臨海地域で活動してきた監理団体がホールディングスグループに参加し、子会社化されたときに、どのように説明責任を果たしていくのかをお伺いいたします。

 ▼港湾局長
 議会や都民に対する臨海ホールディングスグループの説明責任を果たすために、地方自治法の規定による報告義務の有無にかかわらず、親会社、各子会社の単体の経営状況と、グループ全体の連結した経営状況について定期的に議会にご報告してまいります。
 また、親会社である臨海ホールディングスは、各子会社が監理団体と同等の情報公開の推進に努めるよう、子会社管理規程を定めて子会社への指導を行うこととしております。これによりまして、子会社となった各監理団体も、これまでと変わらず情報公開に関する制度を維持し、情報公開に取り組んでまいります。
 都としても、それぞれの団体のホームページ上でも公開するなど、都民にわかりやすい形で情報提供に努めるよう指導してまいります。



 ▼鈴木(章)委員
 ただいま局長からご答弁ありましたように、ぜひとも透明性が担保できるような、説明責任が果たせるような取り組みを期待いたします。
 持ち株会社である臨海ホールディングスのもとに五社の経営統合が完了すると、臨海ホールディングスグループは、港湾経営や地域冷暖房、交通アクセスの確保、オフィスビルによる企業活動の場の提供、展示会ビジネスなど、臨海地域の発展に欠かせない広範な事業展開を担う企業群となります。
 港湾機能と都市機能が交錯するこの地域が、両機能の相互調和を図りながら、今後もさらなる発展を遂げていくためには、臨海ホールディングスグループが行政のパートナーとして課題解決に取り組んでいくことが不可欠であります。持ち株会社方式という新たな取り組みを必ず成功させるために、臨海地域で活動する臨海ホールディングスグループの主体性を尊重しつつも、都民の視点を忘れることのないよう、都もしっかりと指導監督を行っていただきたいと強く要望します。
 また、各グループを効果的に活用し、魅力と活力にあふれるまちづくりに邁進いただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

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