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平成18年度各会計決算特別委員会 委員会質疑

食品安全
都市農業
西崎光子
西崎光子(生活者ネット)
■食品安全

 ▼西崎委員
 まず、私、食品安全についてお伺いしたいと思います。
 ミートホープや比内鶏といった地方の企業だけではなく、不二家や創業三百年の赤福や船場吉兆という有名な企業まで、消費・賞味期限、産地など食をめぐる偽装事件が後を絶ちません。このような事件が続きますと、消費者の不安は高まる一方です。
 都においては、食品衛生法に基づき食品衛生監視指導計画を策定しています。その中で、食品の品質表示についてはどのような監視を行っているのか、伺います。

 ▼福祉保健局長
 食品の品質表示につきましては、いわゆるJAS法、正式には農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律により、義務づけられているものでございまして、都では、品質表示についての監視を、食品衛生監視指導計画に基づき、小売店舗等を対象に日常的に実施しております。
 監視の結果、不適正な表示を発見した場合は、国の東京農政事務所と連携して改善指導や公表などの措置を行っておりまして、平成十八年度は、牛肉や米などの不適正表示について、十三事業者に対して必要な指導を行うとともに、このうち重大な違反が認められた三事案を公表したところでございます。



 ▼西崎委員
 表示違反となった食品については適正表示を行うように指導していますけれども、食品の表示に関する法律は、JAS法、食品衛生法など多岐にわたっています。非常にわかりにくいのではないかと思います。そこで食品事業者に対する働きかけが必要だと思いますが、食品の品質表示を適正に行うようどのように働きかけているのか、伺います。

 ▼福祉保健局長
 都では、事業者が食品衛生法やJAS法などの規定を正しく理解して、適正表示が行われますよう、平成十七年度から食品の適正表示推進者育成講習会を実施しております。この講習会は、これまでに延べ八回実施しておりまして、計二千二百七十名が参加しております。
 また、表示の方法を食品別に解説したリーフレットを作成し事業者に配布するほか、都のホームページでも食品の表示に関する最新の情報を提供するなど、事業者に対する指導に努めているところでございます。



 ▼西崎委員
 今回の一連の事件は、内部告発によるものであったと聞いています。この背景には、平成十六年に制定されました公益通報者保護法により、内部告発者が法的に保護されることが保障されたこと、そして、東京都を初め多くの自治体で食品安全条例が制定されたことによりまして、食品を扱う事業者、消費者の食の安全に対する意識も高くなったということがあるのではないかと思います。
 そこで、食の安全・安心を都民に提供するため、事業者も自主的に衛生管理を推進するとともに、生産情報などを情報公開していく必要があります。
 都では、食品関係施設の営業者の人たちが日々取り組んでいる自主的な衛生管理を積極的に評価する仕組みといたしまして、食品衛生自主管理認証制度を創設していますが、食品衛生自主管理認証制度とはどのようなものなのか、また平成十八年度はどのように進めてきたのか、伺います。

 ▼福祉保健局長
 お話の制度は、食品事業者が製造販売等の施設において自主的に取り組んでいる衛生管理の一層の推進を図る、都独自の制度でございまして、基準を満たした施設を都が指定した第三者機関が認証するものでございます。
 平成十八年度末で、豆腐製造業や菓子製造業など二十三業種を対象に、百九十三施設が認証を取得しております。
 これらの施設につきましては、都のホームページ上で、都民に対して施設名を公表するなど周知を図っております。
 平成十八年度は、さらに認証取得を支援するための講習会を開催したほか、事業者が認証施設であることを都民にアピールすることができる認証取得シールの制定や、都の中小企業向け制度融資における優遇など、インセンティブの強化を図ったところでございます。



 ▼西崎委員
 日本の食品は六割を輸入に頼っている中で、都民の食卓に上る食品は、日本国内だけではなく、世界各地から送られてきている状況です。ことしになって、有害物質や農薬の入った中国産食品が見つかったということもありました。このことから、中国産への不安感が強まっています。また、国内産の農産物や加工食品について、生産過程でどのような農薬や化学肥料が使われたのか、消費者の関心は高いと思います。そこで、食についての生産履歴の管理徹底を行い、都民に情報提供を行う必要があると思います。
 都では、食品の生産、製造、流通業者を対象として、このような生産情報を消費者に提供する生産情報提供食品事業者登録制度に取り組んでいますが、その取り組み状況についてお聞かせください。

 ▼産業労働局長
 平成十六年度から開始をいたしました東京都生産情報提供食品事業者登録制度におきましては、食品の生産情報の提供に取り組む事業者とその食品を登録いたしまして、一般に公開するとともに、生産情報が明らかな食品として、登録マークの使用を認めているところでございます。例えば、農産物の場合、農薬や肥料の種類、量、使用日、種まきや収穫の日などを記録し、生産者がその情報を消費者に提供しております。
 平成十八年度には、同様の制度を始めました静岡県との連携を図りまして、情報提供を行う事業者の拡大を進めております。
 ちなみに、平成十八年度末現在で、千六百三十六事業者、六百三十四食品が登録されております。



 ▼西崎委員
 今後は、こういった生産情報提供食品事業者登録制度に、もっと登録事業者、登録食品をふやす必要があると思います。今後も、生産情報の提供を拡大させるために働きかけていくことを要望いたします。

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■都市農業

 ▼西崎委員
 次に、都市農業について伺います。
 東京の農業は、農地や農業就業者の減少傾向が続いているものの、野菜は約七十五万人分を賄える生産量がありまして、また、都市の緑や環境の保全という役割を担っている部分もあります。
 都では、平成十三年に、東京の農業を振興していくために、東京農業振興プランを作成しました。しかし、この間に、食の安全・安心にかかわるさまざまな問題が起き、消費者の関心も高まっていることや、農業の担い手不足、農地の減少など、課題も多くあります。また、一方では、都市住民の農業体験へのニーズの高まりや、食育基本法の施行など、農業を取り巻く環境も変化してきています。
 そこで、農業振興プランの中間評価を行いましたが、幾つかの事業が、目標達成のために対策の再構築が必要とされました。
 その一点目は、農業ベンチャーの育成についてです。中間報告では、意欲的な農家が増加し、新たな試みも芽生えているため、支援対策を再検討する必要があるとされています。
 二点目としては、農業ヘルパーの育成です。中間評価では、担い手が定着するに至っておらず、ニーズなどを再検討していく必要があるとされています。
 このような課題に対し、新たな農業経営を目指す意欲ある担い手の育成や、農業に意欲を持った都民を担い手として育成するために、どのような取り組みを行っているのか、伺います。

 ▼産業労働局長
 平成十八年六月に取りまとめました「東京農業振興プランの中間評価と今後の地域別取組」では、企業的経営を目指す農業者への支援と、農業への都民参加の普及、定着に向けた対策が必要であるとされております。
 都は、平成十八年度から、経営革新に意欲的な農業者が農業経営の優良事例や他産業の経営事例を研究するための意欲的農業者支援セミナーを実施しております。また、都民のための実践農業セミナーも開設いたしまして、農業に関心を持つ都民がみずから耕作できる技術を持った新たな担い手になれるよう、育成に取り組んでおります。



 ▼西崎委員
 都市農業には、今質問したような担い手の問題のほかに、都市農地の保全という大きな問題があります。この十年で千四ヘクタールも都市農地が減少しています。そこで、都民が農業に親しみながら体験できる体験農園は、練馬区で既に十二件を超えておりまして、このような取り組みは、農業者にとっても、都民にとっても、農地を保全していく意味でよい制度だと思います。十八年度はどのように農業体験農園の整備支援を進めてきたのか、伺います。

 ▼産業労働局長
 農業体験農園は、入園者にとりましては、農業者と直接接することによりまして農業への理解を深めることができること、また、農業者にとりましても、市場価格に左右されない収入が得られるなど経営が安定するメリットがあるため、農地の保全にもつながるものと考えております。
 都は、平成八年度から、農業体験農園を開設する際に、生産緑地保全整備事業によりまして、休憩施設やトイレなどの整備に対する補助を行ってきております。
 農業体験農園は、年々増加し、平成十八年度末現在、都内で四十七園が開設しております。



 ▼西崎委員
 都のアンケートでは、東京に農業や農地を残したいと思うと回答した人が全体の八割を占めていました。都民が積極的に農地保全に取り組めるような仕組みが大切だと思います。このために援農ボランティア制度の活用を進めるべきだと思いますが、都ではどのように取り組んでいるのか、伺います。

 ▼産業労働局長
 援農ボランティア制度は、農作業や農業の基礎的な知識などを習得した都民の方々を援農ボランティアに認定いたしまして、高齢化や労働力不足の農家の作業を補助するために派遣する制度でございます。
 平成十八年度末までに、都内で千四百六十五人の援農ボランティアを認定しておりまして、区市や地域の農業協同組合と連携いたしまして農家への派遣を行っております。
 また、援農ボランティアが農家における経験を重ねまして、農業の新たな担い手となることも期待されますことから、さらなるスキルアップを図るため技術講習会の開催などの支援を行っております。



 ▼西崎委員
 最後の質問になりますが、都市農地の保全に関する問題は、農地制度や税制、相続税制度などの国の制度が改善されなければ解決しないと思います。しかしながら、東京都としても、独自にできることに取り組んでいくことが必要だと思います。
 都では、都市農業検討委員会を設置したと聞いていますが、平成十八年度どのような取り組みを行ったのか伺って、私の質問を終わります。

 ▼産業労働局長
 都市農地保全についての検討を進めるために、平成十八年七月に、学識経験者、関係団体、農業者で構成をいたします都市農業検討委員会を設置いたしました。
 平成十八年十一月の委員会報告では、都が取り組むべき施策のあり方といたしまして、農業者の意欲的な経営展開への支援、また労働力が不足する農家に対する支援、都市農地保全に向けた都民と農業者との連携の推進などの方向が示されました。
 これを受けまして、平成十八年度に、農作業の受委託や、農業、農地を生かしたまちづくりについての検討を行いまして、既に今年度、農作業受委託制度の事業化については着手したところでございます。

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