▼大塚委員
次に、東京オリンピック招致活動について伺います。
都は、昨年度、二十一世紀の東京オリンピック招致に向けた都民運動の展開を行ってきましたが、私も、昨年の第三回定例会において、招致活動への提案を幾つか行いました。
オリンピック招致の最終的な目標は、IOC委員から一番多くの票を獲得し、開催都市に選ばれることです。
そこで、国際プロモーションが大変重要になりますが、私は、地元港区の多くの駐日大使への働きかけが重要であり、親日家になってもらう活動をすべきと提案をいたしました。大使に対して、東京の町や競技施設予定地などを案内することは、東京、そしてオリンピック招致計画を理解してもらうために、大変有効な活動だと思います。来年六月の五都市程度の立候補都市決定まで国際プロモーションが禁止されているので、ぜひ解禁後には、より効果的な取り組みを行っていただきたいと思います。
そこで、初めに、来年に向け、IOC委員をよく知るとともに、ほかの申請都市の誘致運動を把握することが重要です。一九八八年夏季オリンピック招致において、名古屋市は、一九三二年ロサンゼルス・オリンピック百メートル背泳ぎ金メダリストであります、IOC副会長であった清川正二氏を擁し、優勢な情勢であったにもかかわらずソウルに敗退した歴史があります。過去に学び、IOC委員や他都市の動向を知り、東京の招致に生かしていくことが重要と考えますが、見解をお伺いします。
▼東京オリンピック招致本部長
来るべき二年後のIOC総会で、他都市よりも多くの票を獲得するために、過去の経験の分析、他都市の動向の把握等を行うことは大変重要であると認識しております。特に、シカゴ市など強豪といわれているライバル都市につきましては、現在、招致委員会と協力いたしまして、競技会場の配置や広報活動の動向などを把握しておりますとともに、それらを踏まえまして、東京自身の計画内容の精査や招致戦略づくりに努めているところでございます。
また、海外PRやIOC委員への働きかけといった国際プロモーションにつきましては、現段階においてIOCの行動規範という大きな制約がございますが、各局やJOC、国内競技団体と連携をとりながら、規範に抵触しない範囲で、さまざまな機会を活用して有益な助言や情報の収集を行っているところでございます。
今後、ますます本格化する招致レースを勝ち抜いていくために、こうした取り組みをより一層強化してまいります。
▼大塚委員
現在は、国内キャンペーンを主要な活動として、多様な活動を行い、オリンピック招致の賛同の拡大を図っています。また、今月は集中キャンペーン月間であり、月末には第一回の世論調査を行い、その結果を申請ファイルに記述すると聞いています。
一方、マスコミによる世論調査では、厳しい数字も出ておりますが、そこで、オリンピズムを広げ、賛同をふやす提案をしますが、子どもたちにスポーツの夢と喜びを広めるとした基本理念を具体化するため、オリンピアンなどが学校の体育や運動会や自治体体育大会に赴き、一緒に運動する、競技を行うなど、子どもたちに夢を持たせるきっかけづくりを行っていったらどうでしょうか。
多くの人々が感嘆したストリート陸上や群馬県伊勢崎市における地元Jリーグ選手と児童との体育授業の話を聞くと、親子ともどもがスポーツに感動する機会をつくることが大切だと考えます。特に、招致を行う都内における取り組みは、そうした活動を中心に展開していくべきではないかと思いますが、見解を伺います。
▼東京オリンピック招致本部長
次代を担う子どもたちが親と一緒になりましてスポーツに感動することは、招致活動の上でも重要であるというふうに思います。
これまでも、子どもたちや親が参加した駒沢公園でのオリンピックフェスティバルや都内各地でのスボーツ記録会、また、東京や全国で開催のオリンピアンふれあい交流事業、副題が「君も未来のオリンピアン」といいますが、これらなど、できるだけ多くの機会を利用しまして、広報活動を実施しているところでございます。
また、この十月から始めておりますが、オリンピックを通じて環境問題や世界平和にも関心を持ってもらうことをねらいとした「みんなのオリンピック」、副題が「ボクらの街にオリンピックがやってくる!」でございますけれども、この事業を、年度内に都内十一会場、全国合計で二十会場で開催する予定でございます。
このほかにも、オリンピック出場者が子どもたちと一緒に競技を行うオリンピアン母校訪問事業も行ってまいります。
今後とも、各局やJOCと連携いたしまして、スポーツの夢や喜びが子どもたちや親に伝わる事業を積極的に実施し、招致に対する支持の拡大に結びつけてまいります。
▼大塚委員
次に、昨年六月、都は、世界一コンパクトな大会とした計画書を公表いたしましたが、続く国内都市選定では、竹田JOC会長が、都の計画を全体に磨きをかけたいと発言し、計画が変更される方向が示されました。その後、JOCは東京五輪招致戦略プロジェクトを設置し、計画の改善点を協議し、招致委員会に提案しましたが、今回の変更によって、JOCとの間での会場配置の議論が語り尽くされたと考えてよいのか、所見を伺います。
▼東京オリンピック招致本部長
このたび、申請ファイルの提出に向けまして、これまでの開催概要計画書を精査し、必要な見直しを行いました。その内容を開催基本計画としてまとめたところでございます。
競技会場の配置につきましては、国内立候補都市に決定された後、JOCや国内競技団体とも何回も意見交換を行うとともに、IOCの最新のテクニカルマニュアルや海外の専門家からの助言等も踏まえるなどしまして、検討を行ってまいりました。
今回発表した競技会場の配置計画案は、来年一月にIOCに提出する申請ファイルの基本となる内容であり、その策定に当たってはJOCとも十分な協議を行っております。
▼大塚委員
ボート、カヌーやセーリング、バレーボール会場といった恒久施設の整備の増加は、それらのスポーツレガシーを都民が後利用する位置づけがあり、持続可能なものでなければならないと考えます。それらが都民生活や招致計画にどのような影響を及ぼすのか、所見を伺います。
▼東京オリンピック招致本部長
今回、恒久施設として整備することといたしましたボート、カヌー会場とセーリング会場は、競技関係者のみならず、幅広く都民にマリンスポーツの場を提供する新しい拠点となるものと考えております。
また、代々木公園のバレーボール会場は、一九六四年の東京オリンピックの遺産である代々木地区にさらなる発展をもたらし、隣接する国立代々木競技場とともに、都民にトップレベルの競技に触れる機会を提供する屋内競技のメッカとなるものと考えております。
IOCは、オリンピック自体が開催都市の発展に寄与することを望んでおりまして、緑と水に囲まれたこれらの会場を新たな遺産として残すことは、既存の施設を十分に活用したコンパクトな会場と相まって、東京招致の大きな強みになるものと確信しております。
▼大塚委員
国内外の招致活動を行うためには、必要な資金を集めていかなければなりません。昨年の質問で、私は、さまざまな広告を使った収入を提案させていただきましたが、まずは招致機運を高めるため、ロゴの浸透を図っていくとのことでした。
東京オリンピックの財政計画の中で、招致経費の予定総額は五十五億円です。都が約三割の十五億円を負担し、残りの四十億円は招致の主体である招致委員会が、賛同を得る中で調達していくことになります。招致委員会では、十八年度で寄附とマーケティング事業で三億円、今年度の十九年度で十四億六千万円を集めていく予定であると聞いております。
今後さらに、招致に賛同する協力企業などから積極的に寄附を集めていく必要があり、これらの企業は、オリンピック競技大会の際には、ローカルスポンサーの候補にもなります。このような寄附などを集める取り組みは大変重要と考えますが、最後に、本部長のご答弁をお願いいたしまして、質問を終わります。
▼東京オリンピック招致本部長
東京オリンピック招致委員会は、民間企業からの寄附金、協賛金を中心に活動を行う特定非営利活動法人として位置づけられております。このため、本年度後半から、東京招致オフィシャルパートナー等支援プログラムを開始したところでございまして、これまで、ミズノ、アシックス、デサント、ヤフーから協力をいただいております。
開催決定前である現在の招致段階では、企業募金にはかなりのエネルギーが必要でございますが、招致委員会では、できる限り多くの企業から多額の協力が得られるよう精力的に働きかけを行っております。
都といたしましても、招致委員会の資金調達が円滑に進むよう経済団体などに対しまして協力をお願いするとともに、積極的に広報や現場でのPR活動を展開するなど、東京招致の実現に向けて全力で取り組んでまいります。都議会の皆様の応援をよろしくお願い申し上げます。
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